JPWO2008123121A1 - 継目無管の製造方法及び孔型ロール - Google Patents
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Abstract
管の目標肉厚が異なる場合であっても、同一外径のマンドレルバーを用いることができると共に、管の周方向偏肉を効果的に抑制可能な継目無管の製造方法を提供する。本発明に係る継目無管の製造方法は、延伸圧延後の管の目標肉厚wtが複数存在する場合に、複数の圧延スタンドの内、仕上スタンドに配設される孔型ロール1のみを、下記の式(1)の条件を満足すると共に、各目標肉厚毎に異なる溝底曲率半径R1を有する孔型ロールに変更して管を延伸圧延する工程を含むことを特徴とする。−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。
Description
本発明は、継目無管の製造方法に関する。特に、本発明は、延伸圧延後の管の目標肉厚が異なる場合であっても、同一外径のマンドレルバーを用いることができると共に、管の周方向偏肉を効果的に抑制可能な継目無管の製造方法及び孔型ロールに関する。
マンドレルミルとして、従来より、対向する2つの孔型ロールが各圧延スタンドに配設され、隣接する圧延スタンド間で孔型ロールの圧下方向を90°ずらして交互に配置した2ロール式のマンドレルミルや、圧下方向の成す角が120°となるように3つの孔型ロールが各圧延スタンドに配設され、隣接する圧延スタンド間で孔型ロールの圧下方向を60°ずらして交互に配置した3ロール式のマンドレルミルが用いられている。また、圧下方向の成す角が90°となるように4つの孔型ロールが各圧延スタンドに配設された4ロール式のマンドレルミルも適用されている。
これらのマンドレルミルでは、内面にマンドレルバーが挿入された状態の管が、各圧延スタンドに配設された孔型ロール間を通過することにより、管が延伸圧延される。この延伸圧延工程では、孔型ロールとマンドレルバーとの隙間で管が圧下され、その肉厚が前記隙間の寸法に応じた所定の寸法に仕上げられる。このため、延伸圧延後の管の目標肉厚が異なると、これに応じて孔型ロールとマンドレルバーとの隙間寸法を変更する必要がある。
この隙間寸法を変更するため、一般的には、外径の異なるマンドレルバーを複数本用意し、管の目標肉厚に応じて、用いるマンドレルバーを変更している。しかしながら、目標肉厚の設定ピッチが細かいと、これに応じて外径の異なるマンドレルバーが多数必要となる。また、管の目標肉厚が1種類の場合、マンドレルバーは、延伸圧延に供された後に管から抜き取られ、冷却され、表面に潤滑剤を塗布された後、延伸圧延される別の管の内面に再び挿入されて使用(循環使用)されるのが一般的である。このため、同じ外径のマンドレルバーも多数必要となる。従って、管の目標肉厚が異なる場合に、マンドレルバーの変更のみで対応するとすれば、膨大な数のマンドレルバーを保有することが必要であり、マンドレルバーに要する材料費や、そのハンドリングのための設備費用が過大となる。
このため、マンドレルバーの変更だけでなく、管の目標肉厚に応じて、孔型ロールの圧下位置(ロールギャップ)を変更する方法が併用されている。しかしながら、孔型ロールのロールギャップを変更した場合、管の周方向に偏肉(肉厚の変動)が生じ易い。特に、マンドレルミルが備える複数の圧延スタンドの内、仕上スタンド(管の周方向位置が同一である部位に最後に接する孔型ロールが配設された圧延スタンド)に配設された孔型ロールのロールギャップを変更した場合に、管の周方向偏肉が生じ易い。例えば、2ロール式のマンドレルミルの場合には4次の周方向偏肉(管を一周する間に、その肉厚の大小が周期的に4回変動する偏肉)が生じ易い。また、3ロール式のマンドレルミルの場合には6次の周方向偏肉が生じ易く、4ロール式のマンドレルミルの場合には8次の周方向偏肉が生じ易い。
従来、このような管の周方向偏肉を抑制することを目的としたマンドレルミルによる延伸圧延方法として、例えば、日本国特開昭61−86020号公報(特許文献1)、日本国特開平5−237514号公報(特許文献2)、日本国特開平6−179003号公報(特許文献3)、日本国特開平8−71610号公報(特許文献4)に記載の方法が提案されている。
特許文献1に記載の方法は、2ロール式のマンドレルミルにおいて、上下又は左右非対称に孔型ロールの圧下位置を調整する方法である。しかしながら、特許文献1に記載の方法は、4次の周方向偏肉を抑制することができる代わりに、6次や8次の周方向偏肉の発生を招く。
特許文献2に記載の方法は、2ロール式のマンドレルミルにおいて、一対の孔型ロールの各ロール軸を、管の進行方向に対して相互に逆方向に傾斜配置して延伸圧延する方法である。しかしながら、特許文献2に記載の方法では、傾斜配置した孔型ロールのエッジ部が管の外面に接触することにより外面疵が生じる虞がある。
特許文献3に記載の方法は、マンドレルミルの出側に向かってテーパ状に縮径されたマンドレルバーを用い、このマンドレルバーと管との長手方向の相対位置を制御して延伸圧延する方法である。しかしながら、特許文献3に記載の方法では、テーパ状のマンドレルバーを搬送することが困難な上、マンドレルバーと管との相対位置を極めて高精度に制御する必要があるため、実際には適用困難である。
特許文献4に記載の方法は、最前段及び最終段の圧延スタンドに4つの孔型ロールが配設され、他の圧延スタンドに2つの孔型ロールが配設されたマンドレルミルによって、管を延伸圧延する方法である。しかしながら、特許文献4に記載の方法では、最終段の1段前の圧延スタンド(2つの孔型ロールが配設された圧延スタンド)に配設された孔型ロールのフランジ部に対向する管の部位が、最終段の圧延スタンド(4つの孔型ロールが配設された圧延スタンド)に配設された孔型ロールのフランジ部に噛み出すことにより、管に外面疵が生じる虞がある。
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、延伸圧延後の管の目標肉厚が異なる場合であっても、同一外径のマンドレルバーを用いることができると共に、管の周方向偏肉(2ロール式マンドレルミルを用いる場合には4次の周方向偏肉)を効果的に抑制可能な継目無管の製造方法及び孔型ロールを提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明の発明者らは鋭意検討した結果、下記の(1)及び(2)の事項を見出した。
(1)仕上スタンド出側における管の周方向偏肉のピーク位置(肉厚が最も大きくなる又は最も小さくなる位置)は、孔型ロールの溝底曲率中心を基準として、孔型ロールの溝底部に対向する位置から周方向にθ=90/i(°)(i:各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数)だけずれた位置に生じ易い(図1参照)。
(2)幾何学計算上、仕上スタンド出側における管の溝底部に対向する位置の肉厚に対して、上記θ(°)だけずれた位置における管の肉厚は(1−cosθ)・S(S:孔型ロールのオフセット量)だけ増加することになる(図1参照)。従って、管の目標肉厚が複数存在する場合、仕上スタンドに配設される孔型ロールを、各目標肉厚毎に異なる溝底曲率半径を有する孔型ロールに変更する(例えば、目標肉厚が小さい管を延伸圧延するときには、溝底曲率半径の小さな孔型ロールに変更する)と共に、この変更した孔型ロールについての(1−cosθ)・Sの絶対値が所定範囲内に収まるようにすれば、各目標肉厚の管を延伸圧延する際に同一外径のマンドレルバーを用いることができると共に、管の周方向偏肉を効果的に抑制可能である。
(1)仕上スタンド出側における管の周方向偏肉のピーク位置(肉厚が最も大きくなる又は最も小さくなる位置)は、孔型ロールの溝底曲率中心を基準として、孔型ロールの溝底部に対向する位置から周方向にθ=90/i(°)(i:各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数)だけずれた位置に生じ易い(図1参照)。
(2)幾何学計算上、仕上スタンド出側における管の溝底部に対向する位置の肉厚に対して、上記θ(°)だけずれた位置における管の肉厚は(1−cosθ)・S(S:孔型ロールのオフセット量)だけ増加することになる(図1参照)。従って、管の目標肉厚が複数存在する場合、仕上スタンドに配設される孔型ロールを、各目標肉厚毎に異なる溝底曲率半径を有する孔型ロールに変更する(例えば、目標肉厚が小さい管を延伸圧延するときには、溝底曲率半径の小さな孔型ロールに変更する)と共に、この変更した孔型ロールについての(1−cosθ)・Sの絶対値が所定範囲内に収まるようにすれば、各目標肉厚の管を延伸圧延する際に同一外径のマンドレルバーを用いることができると共に、管の周方向偏肉を効果的に抑制可能である。
本発明者は、上記知見に基づき、本発明を完成したものである。すなわち、本発明は、複数の孔型ロールがそれぞれ配設された複数の圧延スタンドを備えるマンドレルミルによって管を延伸圧延する工程を有する継目無管の製造方法であって、延伸圧延後の管の目標肉厚が複数存在する場合に、前記複数の圧延スタンドの内、仕上スタンドに配設される孔型ロールのみを、下記の式(1)の条件を満足すると共に、各目標肉厚毎に異なる溝底曲率半径を有する孔型ロールに変更して管を延伸圧延する工程を含むことを特徴とする継目無管の製造方法を提供するものである。
−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)
ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。
−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)
ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。
なお、本発明における「仕上スタンド」とは、管の周方向位置が同一である部位に最後に接する孔型ロールが配設された圧延スタンドを意味する。本発明における「溝底曲率半径」及び「オフセット量」の意味については、図面を参照して後述する。
また、前記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載の製造方法に用いられるマンドレルミルの仕上スタンドに配設される孔型ロールであって、下記の式(1)の条件を満足することを特徴とする孔型ロールとしても提供される。
−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)
ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。
−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)
ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。
本発明に係る継目無管の製造方法及び孔型ロールによれば、延伸圧延後の管の目標肉厚が異なる場合であっても、同一外径のマンドレルバーを用いることができると共に、管の周方向偏肉を効果的に抑制可能である。
以下、添付図面を適宜参照しつつ、本発明に係る継目無管の製造方法の一実施形態について説明する。
前述のように、本発明に係る継目無管の製造方法は、複数の孔型ロールがそれぞれ配設された複数の圧延スタンドを備えるマンドレルミルによって管を延伸圧延する工程を有する。そして、延伸圧延後の管の目標肉厚が複数存在する場合に、前記複数の圧延スタンドの内、仕上スタンドに配設される孔型ロールのみを、下記の式(1)の条件を満足すると共に、各目標肉厚毎に異なる溝底曲率半径を有する孔型ロールに変更して管を延伸圧延する工程を含むことを特徴とする。
−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)
ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。
前述のように、本発明に係る継目無管の製造方法は、複数の孔型ロールがそれぞれ配設された複数の圧延スタンドを備えるマンドレルミルによって管を延伸圧延する工程を有する。そして、延伸圧延後の管の目標肉厚が複数存在する場合に、前記複数の圧延スタンドの内、仕上スタンドに配設される孔型ロールのみを、下記の式(1)の条件を満足すると共に、各目標肉厚毎に異なる溝底曲率半径を有する孔型ロールに変更して管を延伸圧延する工程を含むことを特徴とする。
−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)
ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。
以下、図1を参照して、本発明における「溝底曲率半径」及び「オフセット量」の意味を説明する。
図1は、溝底曲率半径及びオフセット量の意味を説明するための図であり、2ロール式のマンドレルミルに配設された孔型ロール及びマンドレルバーを模式的に表す縦断面図を示す。図1は、複数の円弧を組み合わせて設計された孔型ロール1の孔型プロフィールPRの例を示す。この孔型プロフィールPRは、溝底部Bと孔型中心(パスライン中心)Oとを結ぶ直線を対称軸として左右対称の曲線で描かれる。一方の側のプロフィールは、半径R1で中心角α1の円弧(以下、円弧R1という)と、他の円弧とを連続的に組み合わせた形状である。
図1は、溝底曲率半径及びオフセット量の意味を説明するための図であり、2ロール式のマンドレルミルに配設された孔型ロール及びマンドレルバーを模式的に表す縦断面図を示す。図1は、複数の円弧を組み合わせて設計された孔型ロール1の孔型プロフィールPRの例を示す。この孔型プロフィールPRは、溝底部Bと孔型中心(パスライン中心)Oとを結ぶ直線を対称軸として左右対称の曲線で描かれる。一方の側のプロフィールは、半径R1で中心角α1の円弧(以下、円弧R1という)と、他の円弧とを連続的に組み合わせた形状である。
<溝底曲率半径>
溝底曲率半径は、溝底部Bと円弧R1の中心(溝底曲率中心)O’との距離、すなわち、円弧R1の半径R1で表される。
溝底曲率半径は、溝底部Bと円弧R1の中心(溝底曲率中心)O’との距離、すなわち、円弧R1の半径R1で表される。
<オフセット量>
オフセット量Sは、溝底曲率中心O’と孔型中心Oとの距離で表される。換言すれば、マンドレルバー2の外径をDB、延伸圧延後の管の目標肉厚をwtとすれば、オフセット量Sは、下記の式(2)で表される。
S=R1−DB/2−wt ・・・(2)
オフセット量Sは、溝底曲率中心O’が孔型中心Oより外方に(孔型ロール1の溝底部Bから遠ざかる方向に)位置する場合に、すなわち、孔型ロール1を基準位置(溝底曲率中心O’と孔型中心Oとが一致する位置)よりもマンドレルバー2側に閉め込んだ場合に正の値となる。
オフセット量Sは、溝底曲率中心O’と孔型中心Oとの距離で表される。換言すれば、マンドレルバー2の外径をDB、延伸圧延後の管の目標肉厚をwtとすれば、オフセット量Sは、下記の式(2)で表される。
S=R1−DB/2−wt ・・・(2)
オフセット量Sは、溝底曲率中心O’が孔型中心Oより外方に(孔型ロール1の溝底部Bから遠ざかる方向に)位置する場合に、すなわち、孔型ロール1を基準位置(溝底曲率中心O’と孔型中心Oとが一致する位置)よりもマンドレルバー2側に閉め込んだ場合に正の値となる。
なお、ここでは、2ロール式のマンドレルミルを例に挙げて説明したが、3ロール式や4ロール式マンドレルミルの場合も、溝底曲率半径及びオフセット量の意味は同じである。
図2は、本発明に係る方法及び従来の方法で管を延伸圧延する場合に、マンドレルミルの各圧延スタンドに配設される孔型ロールの例を示す。図2は、5つの圧延スタンドを備えた2ロール式のマンドレルミルの場合を例示しており、このマンドレルミル入側から数えて第4番目の圧延スタンド(#4圧延スタンド)及び第5番目の圧延スタンド(#5圧延スタンド)が仕上スタンドとされている。また、図2に示す「QP」は、QP=(1−cosθ)・Sの値を意味する。図2(a)は、延伸圧延後の管の目標外径276mmに対して、目標肉厚が10mmと9mmの2種類存在する場合に配設される孔型ロールの例を示す。また、図2(b)は、延伸圧延後の管の目標外径382mmに対して、目標肉厚が17.5mmと16.5mmの2種類存在する場合に配設される孔型ロールの例を示す。
図2(a)に示すように、従来の方法では、延伸圧延後の目標肉厚が10mmの管を製造する場合を基準として(前述した式(2)で表されるオフセット量Sが0mmとなるように)、仕上スタンド(#4、#5圧延スタンド)に配設する孔型ロールの溝底曲率半径R1を設定(R1=138mm)する(図2(a)に示すNo.1)。そして、目標肉厚が9mmの管を製造する場合も、この仕上スタンドに配設された孔型ロールを変更していなかった。具体的には、目標肉厚9mmの管を製造する場合も、目標肉厚10mmの管を製造するときと同じ外径のマンドレルバー(外径256mm)を用いるのであれば、仕上スタンドに配設された孔型ロールのロールギャップを目標肉厚10mmのときよりも小さくして延伸圧延していた(図2(a)に示すNo.2)。このため、QP=0.3mmとなり、延伸圧延後の管に4次の周方向偏肉が生じていた。一方、目標肉厚9mmの管を製造する場合に、目標肉厚10mmの管を製造するときよりも大きな外径のマンドレルバーを用いるとすれば、外径258mmのマンドレルバーを用いることによって、仕上スタンドに配設された孔型ロールのロールギャップを変更することなく、QP=0mmを実現可能である。しかしながら、このような都合の良い外径を有するマンドレルバーを常時保有することは、前述した理由により、実際上は困難である。図2(a)では、外径256mmの次に大きな外径として、外径262mmのマンドレルバーしか保有していなかった場合を例示しており、この外径262mmのマンドレルバーを用いるのであれば、仕上スタンドに配設された孔型ロールのロールギャップを目標肉厚10mmのときよりも大きくして延伸圧延する必要があった(図2(a)に示すNo.3)。このため、QP=−0.6mmとなり、延伸圧延後の管に4次の周方向偏肉が生じていた。
本発明に係る方法においても、延伸圧延後の目標肉厚が10mmの管を製造する場合には、従来の方法と同じ孔型ロール(溝底曲率半径R1=138mm)を仕上スタンドに配設する(図2(a)に示すNo.4)。しかしながら、本発明に係る方法では、目標肉厚が9mmの管を製造する場合には、仕上スタンドに配設する孔型ロールを溝底曲率半径R1の異なる孔型ロール(図2(a)に示すNo.5の例では、R1=137mm)に変更する。この際、用いるマンドレルバーの外径も考慮に入れ、QPが−0.1mm≦QP≦0.1mmとなる溝底曲率半径R1を有する孔型ロールに変更する。これにより、目標肉厚10mmの管を製造するときと同じ外径のマンドレルバー(外径256mm)を用いても、−0.1mm≦QP≦0.1mmとすることができ(図2(a)に示すNo.5の例では、QP=0.0mm)、延伸圧延後の管の4次の周方向偏肉を大幅に低減することが可能である。また、本発明に係る方法によって目標肉厚9mmの管を製造する場合に、従来の方法と同様に、目標肉厚10mmの管を製造するときよりも大きな外径のマンドレルバー(外径262mm)を用いることも可能である(図2(a)に示すNo.6)。この場合にも、用いるマンドレルバーの外径(262mm)を考慮に入れ、QPが−0.1mm≦QP≦0.1mm(図2(a)に示すNo.6の例ではQP=0.0mm)となる溝底曲率半径R1(図2(a)に示すNo.6の例では、R1=140mm)を有する孔型ロールに変更する。これにより、目標肉厚10mmの管を製造するときと同じ外径のマンドレルバー(外径256mm)を用いても、−0.1mm≦QP≦0.1mmとすることができ(図2(a)に示すNo.6の例では、QP=0.0mm)、延伸圧延後の管の4次の周方向偏肉を大幅に低減することが可能である。
図2(b)に示す例も同様であり、従来の方法では、延伸圧延後の目標肉厚が17.5mmの管を製造する場合を基準として、仕上スタンドに配設する孔型ロールの溝底曲率半径R1(R1=191mm)を設定し(図2(b)に示すNo.7)、目標肉厚が16.5mmの管を製造する場合も、この仕上スタンドに配設された孔型ロールを変更していなかった。このため、目標肉厚16.5mmの管を製造する場合も、目標肉厚17.5mmの管を製造するときと同じ外径のマンドレルバー(外径347mm)を用いるのであれば(図2(b)に示すNo.8)、仕上スタンドに配設された孔型ロールのロールギャップを目標肉厚17.5mmのときよりも小さくして延伸圧延する必要があり、QP=0.3mmとなった。この結果、図3(b)に示すように、延伸圧延後の管に大きな4次の周方向偏肉が生じていた。
これに対し、本発明に係る方法では、目標肉厚が16.5mmの管を製造する場合には、仕上スタンドに配設する孔型ロールを溝底曲率半径R1の異なる孔型ロール(図2(b)のNo.10に示す例では、R1=190mm)に変更する。この際、用いるマンドレルバーの外径も考慮に入れ、QPが−0.1mm≦QP≦0.1mmとなる溝底曲率半径R1を有する孔型ロールに変更する。これにより、目標肉厚16.5mmの管を製造するときと同じ外径のマンドレルバー(外径347mm)を用いても、−0.1mm≦QP≦0.1mmとすることができる(図2(b)のNo.10に示す例では、QP=0.0mm)。この結果、図3(a)に示すように、延伸圧延後の管の4次の周方向偏肉を大幅に低減することが可能である。
Claims (2)
- 複数の孔型ロールがそれぞれ配設された複数の圧延スタンドを備えるマンドレルミルによって管を延伸圧延する工程を有する継目無管の製造方法であって、
延伸圧延後の管の目標肉厚が複数存在する場合に、前記複数の圧延スタンドの内、仕上スタンドに配設される孔型ロールのみを、下記の式(1)の条件を満足すると共に、各目標肉厚毎に異なる溝底曲率半径を有する孔型ロールに変更して管を延伸圧延する工程を含むことを特徴とする継目無管の製造方法。
−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)
ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。 - 請求項1に記載の製造方法に用いられるマンドレルミルの仕上スタンドに配設される孔型ロールであって、下記の式(1)の条件を満足することを特徴とする孔型ロール。
−0.1mm≦(1−cosθ)・S≦0.1mm ・・・(1)
ここで、上記式(1)におけるθは、各圧延スタンドに配設される孔型ロールの個数をi(i=2〜4)とした場合にθ=90/i(°)で表され、Sは孔型ロールのオフセット量(mm)を意味する。
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