JP4231361B2 - 筒状複合フィルムラベルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は清涼飲料や嗜好飲料或いは食料、調味料等の容器として用いられるプラスチックボトル、瓶、缶、カップ等の容器を被覆包装するために用いる熱収縮性又はストレッチ性を有する複合フィルムラベルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
清涼飲料や嗜好飲料或いは食料、調味料等は、ペットボトルの如きプラスチックボトルや瓶、缶或いはカップ等の容器に充填、収納して販売されているが、これらの容器にラベルを付ける必要がある場合、近年では延伸ポリスチレン(OPS)製やポリエステル(PET)製の横一軸収縮フィルムを用いたラベルにより被覆包装されることが多くなってきている。
【0003】
上記OPS製やPET製の容器包装用の収縮フィルムは、通常、45〜60μm程度の透明な熱可塑性横一軸収縮フィルムであり、この収縮フィルムに裏面印刷を施した後、所要の幅寸法にスリットしてから、該スリットされた収縮フィルムの幅方向一端部を、幅方向他端部に所要寸法重ねて溶剤でシールすることにより筒状に製袋し、これを所要の長さ寸法に切断して筒状の熱収縮性フィルムラベルとしている。この熱収縮性フィルムラベルを使用する場合は、たとえば、ラベルを装着すべき容器、たとえば、プラスチックボトルや瓶に被せて胴部の外周に配置し、この状態にて収縮トンネルを通過させて所要の収縮処理条件の下で加熱することにより、上記フィルムラベルを、材料として使用した上記収縮フィルムの収縮特性に基づいて横方向に熱収縮させて、プラスチックボトルや瓶の胴部の外周に密着させ、これにより上記印刷した図柄を上記プラスチックボトルやビンの表面にて表示させることができるようにしてある。
【0004】
又、プラスチックボトルのうち、ガスを含んだ液体、たとえば、炭酸飲料等を液温4℃程度で充填する場合に多く用いられている耐圧用ペットボトルのような耐熱性のない容器については、熱変形する虞があるため上記のような熱収縮性フィルムラベルを装着することは難しい。そのため、このような耐熱性のない容器に対しては、主にポリエチレン(PE)製のストレッチフィルムを用いたラベルにより被覆包装するようにしてある。すなわち、上記熱収縮性フィルムラベルを製造する場合と同様に、主にPE製のストレッチフィルムに裏面印刷を施した後、所要の幅寸法にスリットし、該スリットされたストレッチフィルムの幅方向一端部を、幅方向他端部に所要寸法重ねてシールして筒状に製袋した後、所要の長さ寸法に切断して筒状のストレッチ性フィルムラベルを製造し、このフィルムラベルの口径を大きく引き伸ばした状態で、耐熱性のない容器、たとえば、耐圧用ペットボトルに被せて胴部の外周に配置し、しかる後、上記ストレッチ性フィルムラベルの口径を元に戻すよう収縮させることにより、上記耐圧用ペットボトルの胴部の外周に密着させて、該耐圧用ペットボトルの表面にて上記印刷内容を表示させるようにしてある。
【0005】
ところで、たとえば、上記プラスチックボトル、ビン、缶等の容器に詰めた各種飲料や食料品等は、ホットウォーマー等を用いて温めた状態で販売することがあるが、この場合、上記OPS製やPET製の熱収縮性のフィルムラベルを装着した各種容器では、内容物の熱が容器壁及びラベルを通して直接的に外部に伝わるため、その熱さにより直接手に持つことが困難になる。そのため断熱性能を有するフィルムラベルを作成して装着すれば、該フィルムラベル部分を手で持つことが可能になると考えられ、このため断熱性能を有する容器包装用のフィルムラベルが要望されてきている。
【0006】
又、たとえば、上記各種容器に詰めた各種飲料や食料品等は、その種類によっては冷蔵庫で冷やすこともあり、この場合に、上記冷却された各種飲料や食料品が詰めてある容器を常温に取り出しておくと、容器表面に結露が生じ、この結露した水滴が落下して該容器を置いたテーブル上に水が溜まったり、該容器を持つ手が濡れてしまうということがあった。そのため水分を吸収可能なフィルムラベルを作成して装着すれば、該フィルムラベルにより結露する水分を吸収させることが可能になると考えられ、このために、吸水性能(吸湿性能)を有する容器包装用のフィルムラベルも望まれている。一方、上記容器表面における結露を防止するための他の手法としては、容器を断熱性能を有するフィルムラベルで被覆して結露自体を起こさせないようにすることも考えられ、この場合は、上記容器内容物を温める場合と同様に断熱性能を有するフィルムラベルが望まれる。
【0007】
更に、商品に付するラベルは、その商品の顔となるものであることから意匠性が求められるものであり、その一例としては、たとえば、上記各種容器に装着するラベルに、和紙風のデザインが望まれることもある。
【0008】
なお、容器の包装材料としては、紙、レーヨン紙、不織布等の如き薄葉材料と一軸又は二軸延伸した熱収縮性フィルムとを貼り合わせて積層してなる包装材が従来提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0009】
又、容器に装着させるストレッチ性を有するラベルに関し、その機能を向上させるためのものとしては、たとえば、筒状に製袋したストレッチラベルを後工程に送るべく一旦巻き取るときに形成される折り目部分に、印刷の不良が発生するのを防止するための手法(たとえば、特許文献2参照)や、ペットボトル用のストレッチラベルが、装着してあるペットボトルを熱処理することに伴って自己弾性収縮力が低下しても、上記ペットボトルから抜けてしまうのを防止するための手法が従来提案されている(たとえば、特許文献3参照)。
【0010】
【特許文献1】
特公平8−25546号公報
【特許文献2】
実開平6−74330号公報
【特許文献3】
実開平6−60869号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記特許文献1に示された包装材料は、熱収縮性フィルムの全面に薄葉材料としての不織布が積層してなるもので、酒瓶等の容器に対し和紙風の化粧包装を施すことを目的としたものではあるが、かかる包装材料は、熱収縮性フィルムが内側となるようにして一升瓶の外周に巻き回した後、その両側端部の熱収縮性フィルム同士を重ねて熱融着させて合掌貼り方式の製袋シールを行うことにより筒状物を形成し、次に、該筒状物の下端部にて上記容器の底よりも下方に垂下させた部分を熱収縮させることで容器の底部側を被覆し、しかる後、容器上部の小径部に対しては、筒状にした上記包装材の内側の空気を抜くことで容器の周壁に密着させると共に、容器よりも上方に突出する部分はひねってから倒伏させることで化粧包装を行うものであって、皺等の外観不良を生じさせることなく容器の表面に密着させることが要求される容器包装用のラベルとは被覆包装の形態が著しく異なるものである。
【0012】
更に、上記特許文献1で提案されているように、熱収縮性フィルムと薄葉材料を積層してなる包装材料を用いて合掌貼りする方式の製袋シール方法では、以下のような問題が発生する。▲1▼基材となる熱収縮性フィルムに貼り合わせる不織布等の薄葉材料に制限が伴う。すなわち、たとえば、ポリプロピレン(PP)製の収縮フィルムにPP製の不織布を貼り合わせた場合、該PP製不織布の面の平滑性は繊維の太さにより異なる。しかも、この面平滑性の変化に加えて上記PP製不織布の厚みを増大させていくと、熱収縮性フィルムの面同士を合わせて合掌貼りするときには、この不織布の面上から熱溶着用のシールバーを当てることになり、このため、シール面が受ける押し圧が大きくばらつくと同時に温度ムラも加わり、安定したシールが期待できない。したがって、容器包装用ラベルとして容器の外周にて高収縮させようとする場合には、シール部分にシール不良による穴空き現象等の不良が発生する虞がある。▲2▼合掌貼りした個所が表面より突出して外観不良となるため、飲料等を充填するプラスチックボトルやビン等の容器に使用されている高収縮フィルムラベルとしての採用は困難である。▲3▼なお、不織布の面は一様でなく、その繊維の太さにもよるが、不織布面は凹凸が激しい。このため不織布の面同士を合わせてシールしようとすると、シール強度のばらつきが大きく安定しない。したがって、不織布面をシール面とすることは基本的には不可能になることから、不織布を内側に、熱収縮性フィルムを外側に配置した状態で容器に装着することが困難である。
【0013】
因みに、OPS製やPET製の熱収縮性フィルムの全面に、上記と同様に不織布を積層してなる複合フィルムを製造し、該複合フィルムの幅方向一端部を、幅方向他端部に所要寸法重ねて製袋シールして筒状体を形成し、これを所要の長さ寸法に切断するようにすれば、不織布を積層してなり且つ合掌貼りによる突出部分のない熱収縮性の複合フィルムラベルを形成することできるかと考えられるが、この場合には、上記複合フィルムの幅方向一端部と他端部とのシール部分では、熱収縮性フィルムと不織布との積層部に、熱収縮性フィルムと不織布の積層部が重ねられることになるため、熱収縮性フィルム面と不織布面との接着が必須となる。しかし、上記不織布における熱収縮性フィルム面との接触は、該不織布の表面に露出している繊維の表面のみに限定されることから、上記不織布が、たとえ溶剤によるシールが可能な素材製のものであったとしても、溶剤シールでは熱収縮性フィルム面と不織布面との間に十分に完全なシール強度を得ることはできない。よって、従来のOPS製やPET製の熱収縮性フィルムのみを用いてフィルムラベルを製造するときのように溶剤による製袋シールは不可能であることから、接着剤によるシールが必要とされる。
【0014】
ところで、上記のように熱収縮性フィルム面と不織布面とを接着剤によりシールしようとする場合には、接着剤を、不織布の隙間を埋めるよう多く塗布することが必要となる。すなわち、接着剤の塗布量が少なく、不織布の隙間を埋めていない場合には、シール部分の強度が不織布の繊維間の密着強度に支配されるため、製袋シール後の上記複合フィルムによるラベルを、容器に装着して収縮させるときに、不織布の層間剥離が発生する虞が大きい。スパンボンド製法により製造されているPP等の不織布の繊維間密着強度は、製造過程で加えられるエンボス加工の強さに依存するため、エンボス加工を強くして繊維間密着強度を高めた不織布を使用すれば、該不織布の層間剥離を抑制することが可能かと考えられるが、この場合、不織布製造時のエンボス加工を強くすることは、不織布の柔軟性がなくなる方向に働くため、熱収縮性フィルムの熱収縮に追従させて高収縮させる際の収縮阻害要因となってしまうという問題がある。したがって、上記のような熱収縮性を備えた複合フィルムのラベルを製造するには、材料とする不織布の繊維間の密着強度には相当の制限があり、要求される収縮性能が高ければ高いほど不織布の層間剥離不良は起き易いのである。このことは、基材フィルムを熱収縮性フィルムに代えてPE製等のストレッチフィルムとしてストレッチ性を有する複合フィルムによるラベルを製造しようとする場合も同様で、上記ストレッチフィルムに追従して大きく引き伸ばして容器に装着できる不織布ほど層間剥離不良を起こす虞が大となってしまう。
【0015】
一方、熱収縮フィルム面と不織布面の接着を行わせるときに、不織布の隙間を埋めるよう接着剤の塗布量を多くすることは別の問題の要因となる。すなわち、製袋シールした端面から外側に接着剤がはみ出す虞が高く、万一、はみ出した場合は、製袋シール後の複合フィルムの筒状物を一旦ロール状に巻き取るときに、ブロッキング不良を発生して製品にならなくなる可能性が大である。このように、不良の発生する虞があるということはロス率が高くなりコストアップの大きな要因となってしまう。したがって、上記接着剤によるブロッキングを防止するためには接着剤の塗布量管理が必要となるが、手間が嵩むという問題がある。
【0016】
更に、不織布の厚さを厚くすると、その隙間を埋めるように接着剤を十分に浸透させるために加工速度を遅くして対応する必要があるが、加工速度が遅いことは直接的にコストアップにつながってしまうという問題があり、このため使用できる不織布の厚さ寸法には相当の制限が生じるのが実状である。又、上記不織布への接着剤の浸透にはばらつきが生じて安定性に欠けることからも、ロス率が高くなるという問題もある。
【0017】
なお、熱収縮性フィルムに不織布を積層した複合フィルムの幅方向一端部を幅方向他端部に所要寸法重ねた状態で製袋シールするための別の手法としては、上記複合フィルムの重ね合わせ部分にて、熱収縮性フィルムにおける反不織布積層側の表面部同士を所要幅の粘着テープにより留める方法も考えられる。しかし、この場合には、上記粘着テープを熱収縮性フィルム製にするとか、粘着テープの粘着剤を、複合フィルムを構成する熱収縮性フィルムの熱収縮条件にも耐え得る耐熱粘着剤にする必要があり、コストアップの要因となるという問題がある。更に、上記複合フィルムを、熱収縮性フィルムを外側にして筒状に成形するときに、該熱収縮性フィルムの表面にマット処理を施すようにした場合には、上記粘着テープの貼られた面だけ反射率が高まって照かり、外観的にも問題が残る虞が懸念される。
【0018】
一方、和紙風の意匠性を高める等の目的のためは、上記複合フィルムを筒状に成形する際、不織布面を外側にすることが考えられるが、この場合、筒状に成形するために実施する製袋シールを、上記と同様に粘着テープによる貼り付けで実施しようとしても、前述した熱収縮フィルム面と不織布面との製袋シールを接着剤で行うようにする場合と同様に、上記粘着テープの粘着材では不織布の空隙を埋められないために、シール部剥離不良が避けられないという問題が生じる。
【0019】
このために、商品に付すラベルに対し、たとえば、和紙風の意匠性が求められるような場合、従来は、通常の他分野でも多く用いられている印刷技術、すなわち、和紙風の印刷を施すという対応に留まっているのみであった。
【0020】
又、従来提案されている容器包装用のラベルの機能を向上させるための手法としては、特許文献2及び特許文献3に示されているように、印刷に関する提案しか行なわれていないというのが実状であり、したがって、断熱性能や吸水性能等の機能性、或いは、上述したような和紙風の高い意匠性を有する容器包装用のラベルは、マーケットからは求められてきてはいたが、現在まであまり提案されていなかった。
【0021】
そこで、本発明は、熱収縮性若しくはストレッチ性を備えてなるラベルに、断熱性能、吸水性能等の機能性を付加したり、和紙風等の高い意匠性を付加できるようにした筒状複合フィルムラベルの製造方法を提供しようとするものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために、1枚乃至複数枚分のラベルが取れるような所要の幅寸法としてある熱収縮性又はストレッチ性を有する基材フィルムのシートの片面に、上記1枚乃至複数枚分のラベルに相当する部分と幅方向の一端部に接着剤を幅方向に所要間隔で塗工した塗工領域を設けるようにし、次いで、上記基材フィルムのシートにほぼ等しい幅寸法を有して上記基材フィルムの伸縮に応じて伸縮でき且つ基材フィルムに所要の機能を付与させるようにするための添合フィルムのシートを、上記基材フィルムのシートに重ね合わせて接着剤を介し積層して、上記各接着剤の塗工領域の間における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートが接着されていない非接着領域に、上記幅方向と直交する長手方向に連続するトンネル状の空間部を形成してなる複合フィルムのシートを形成し、しかる後、該複合フィルムのシートの上記空間部における添合フィルムのシートを、スリット用治具を空間部内を移動させることにより該空間部の幅方向他側端部位置で全長に亘りスリットし、次いで、上記空間部における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートを該空間部の幅方向一側端部位置で一緒にスリットして、空間部での2個所のスリット位置の間に位置する添合フィルムのシートの一部を切り落すことにより、基材フィルムの幅方向一端部が添合フィルムの幅方向一端部よりも所要量突出した複合フィルムを形成し、該複合フィルムを幅方向に折り曲げて、上記基材フィルムの一端側の突出端部の一側面と、上記基材フィルムの幅方向他端部における他側面とを製袋シールして筒状に成形することを特徴とする筒状複合フィルムラベルの製造方法とする。
【0023】
本発明の方法により製造された筒状複合フィルムラベルを使用する場合は、基材フィルムの有する熱収縮性又はストレッチ性に応じて、従来の収縮ラベル又はストレッチラベルと同様のラベリング方法で包装対象容器の外周に装着させる。上記筒状複合フィルムラベルは、基材フィルムと添合フィルムを積層してなる複合フィルムを筒状に製袋する際に、上記基材フィルムの幅方向両端部同士をシールしたものであるため、該筒状複合フィルムラベルを包装対象容器に装着すべく熱収縮或いはストレッチさせるときに、基材フィルムと添合フィルムとの接着部分、及び、基材フィルムの伸縮に応じて伸縮できるようにしてある添合フィルム自体に対しては、大きな伸縮方向の力は作用しない。したがって、上記筒状複合フィルムラベルは、デラミネーション不良等の外観不良を呈することなく容易に上記包装対象容器の外周に密着される。このため上記包装対象容器表面のラベル部分では、上記添合フィルムの有する所要の機能に基く機能性が発揮されるようになる。
【0029】
又、1枚乃至複数枚分のラベルが取れるような所要の幅寸法としてある熱収縮性又はストレッチ性を有する基材フィルムのシートの片面に、上記1枚乃至複数枚分のラベルに相当する部分と幅方向の一端部に接着剤を幅方向に所要間隔で塗工した塗工領域を設けるようにし、次いで、上記基材フィルムのシートにほぼ等しい幅寸法を有して上記基材フィルムの伸縮に応じて伸縮でき且つ基材フィルムに所要の機能を付与させるようにするための添合フィルムのシートを、上記基材フィルムのシートに重ね合わせて接着剤を介し積層して、上記各接着剤の塗工領域の間における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートが接着されていない非接着領域に、上記幅方向と直交する長手方向に連続するトンネル状の空間部を形成してなる複合フィルムのシートを形成し、しかる後、該複合フィルムのシートの上記空間部における添合フィルムのシートを、スリット用治具を空間部内を移動させることにより該空間部の幅方向他側端部位置で全長に亘りスリットし、次いで、上記空間部における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートを該空間部の幅方向一側端部位置で一緒にスリットして、空間部での2個所のスリット位置の間に位置する添合フィルムのシートの一部を切り落すことにより、基材フィルムの幅方向一端部が添合フィルムの幅方向一端部よりも所要量突出した複合フィルムを形成し、更に、該複合フィルムの上記所要量突出させてある基材フィルムの幅方向一端部とは反対側の基材フィルムと添合フィルムとの接着剤による接着個所の位置をスリットして添合フィルムの幅方向他端部が基材フィルムの幅方向他端部に接着剤を介し固定されたものとし、該複合フィルムを幅方向に折り曲げて、上記基材フィルムの一端側の突出端部の一側面と、上記基材フィルムの幅方向他端部における他側面とを製袋シールして筒状に成形することを特徴とする筒状複合フィルムラベルの製造方法とする。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1(イ)(ロ)(ハ)は、本発明により製造される複合フィルムラベルの基本構造について示すもので、図1(イ)に示す如く、熱収縮性又はストレッチ性を有する基材フィルム2の一側面における幅方向一端側辺縁部の所要幅領域aを除く領域に、上記基材フィルム2の熱収縮性又はストレッチ性に追従して伸縮でき且つ上記基材フィルム2の有する熱収縮性又はストレッチ性に基づいて容器に装着できるようにするラベルに対して更に所望される所要の機能を付加させるようにするための添合フィルム3を、接着剤4を介し一体に積層して、基材フィルム2の幅方向一端部領域aが、上記添合フィルム3の幅方向一端よりも所要幅に亘って突出する複合フィルム1を形成する。更に、該複合フィルム1を、図1(ロ)に示す如く、上記基材フィルム2が外側で添合フィルム3が内側となるように幅方向に折り曲げ、上記複合フィルム1の幅方向一端部を幅方向他端部の外側に所要の幅寸法で重ねて筒状にすると共に、上記複合フィルム1における幅方向一端側にて添合フィルム3よりも突出する基材フィルム2の一端部領域である突出端部aの一側面と、該基材フィルム2の幅方向他端部における他側面とを重ねて製袋シールして、幅方向の両端部を一体に接合した筒状の基材フィルム2を表面に露出させ、その内周側に上記添合フィルム3を設けてなる筒状複合フィルムラベルAを構成する。或いは、図1(ハ)に示す如く、上記図1(イ)に示した複合フィルム1を、添合フィルム3が外側で且つ基材フィルム2が内側となるように、複合フィルム1の幅方向一端側における上記基材フィルム2の突出端部aを、複合フィルム1の幅方向他端部の内側に所要の幅寸法で重ねて筒状にすると共に、上記基材フィルム2の突出端部aの一側面と、該基材フィルム2の幅方向他端部における他側面とを製袋シールして、幅方向両端部を一体に接合して筒状にした基材フィルム2の外周側に添合フィルム3を露出させるよう配した筒状複合フィルムラベルBを構成する。
【0033】
更に、上記本発明により製造される筒状複合フィルムラベルA及びBは、基材フィルム2の表面(外側面)と裏面(内側面)及び添合フィルム3の表面と裏面のうち、外部から見える所要個所に、必要に応じて印刷を施すようにしてもよい。なお、本発明における印刷とは、ラベルに付すべき所要の図柄(必要に応じてタイトル等を含んでいてもよい)の印刷に加えて、後述するように、基材フィルム2を表面に露出させる形式の筒状複合フィルムラベルAにおける上記基材フィルム2表面にマット処理を施す加工や、添合フィルム3を表面に露出させる形式の筒状複合フィルムラベルBにて、上記添合フィルム3を各種不織布や紙状物とする場合における該各種不織布や紙状物の表面部の繊維のほつれを防止するためのコーティング処理(表面処理)も含むものとする。
【0034】
以下、詳述する。
図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)乃至図5は本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の一形態として、熱収縮性を有し、更に、断熱性を備えてなるラベルへ適用する場合を示すもので、先ず、図2(イ)(ロ)に示す如く、基材フィルムとして、厚み20〜60μmとし、且つ幅方向に複数枚分、たとえば、4枚分のラベルを取れるような所要の幅寸法としてある熱可塑性横一軸収縮タイプのPET製或いはOPS製の熱収縮性フィルム2aのシートの裏面(後工程で製袋シールして筒状にするとき内側となる面)に、グラビア印刷機等の印刷機(図示せず)を用いて、ラベルに付すべき所要の図柄を、後工程にて製袋シールする場合のシール代となる所要幅寸法の非印刷領域(インキの付着しない領域)を互いに挟んだ配置となるよう4列に亘り裏面印刷する。なお、符号5は、上記熱収縮性フィルム2aのシート上における上記図柄の印刷領域、すなわち、印刷インキの乗っている領域を示す。上記印刷インキとしては、たとえば、熱収縮性フィルム2aがPET製の場合には、ポリエーテル・ポリウレタン系インキを用いるようにし、OPS製の場合には、OPS製フィルムが耐溶剤性に欠けるため、アルコール可溶のアクリル系インキを用いるようにすればよい。
【0035】
次に、上記熱収縮性フィルム2aのシートの上記印刷面に、図示しない塗工機を用いて、図2(ハ)(ニ)に示す如く、上記図柄印刷領域5よりも内側となるように、たとえば、上記熱収縮性フィルム2aがPET製の場合はポリエステルウレタンポリオールにポリイソシアネートを加えた接着剤4を、又、熱収縮性フィルム2aがOPS製の場合は水又はアルコール可溶なウレタン系の接着剤4をそれぞれ塗工する。この際、添合フィルムとしての不織布3aを後工程で切断する際に固定できるようにするために、熱収縮性フィルム2aのシートの左右いずれか一側端部(図では右側端部)では、右端の印刷領域5より上記各接着剤4の塗工領域同士に設けた間隔と同様の間隔を隔てた位置に、接着剤4を塗工してなる不織布固定用の接着剤4aの塗工領域を設けるようにしておく。なお、上記不織布3a固定用の接着剤4aの塗工領域を設けた側とは反対側となる他側端部(図では左側端部)では、左端の図柄印刷領域5を越えて接着剤4を塗布してもよい。
【0036】
次いで、図2(ホ)(ヘ)に示す如く、上記熱収縮性フィルム2aのシートの上記接着剤4,4a塗工面に、上記熱収縮性フィルム2aとほぼ等しい幅寸法を有する添合フィルムとして、上記熱収縮性フィルム2aの収縮性能に追従して収縮可能な不織布3aのシートを重ね合わせ、その後、乾燥ゾーンを通過させるか或いは自然乾燥にて上記接着剤4,4aを乾燥固化させて、熱収縮性フィルム2aのシートと不織布3aのシートとを接着剤4,4aを介し積層してなる複合フィルム1のシートを形成する。上記不織布3aのシートを貼り合わせる際、該不織布3aがPP製、PE製、PET製等の難接着性素材製の場合には、該不織布3aにおける接着面側となる表面部に、コロナ放電処理、プライマー処理、その他、接着剤4,4aとの密着性を高めるための活性化処理を予め施すようにしておく(以降の実施の形態についても同様とする)。又、上記接着剤4,4aは、溶剤タイプ、無溶剤タイプのいずれで行ってもよい。
【0037】
これにより、上記形成される複合フィルム1のシートでは、接着剤4,4aの各塗工領域において、熱収縮性フィルム2aと不織布3aが接着剤4,4aを介し一体化される。又、各図柄印刷領域5上の接着剤4の塗工領域同士の間、及び、右端の図柄印刷領域5上における接着剤4の塗工領域と、不織布3a固定用の接着剤4aの塗工領域との間では、熱収縮性フィルム2aのシートと不織布3aのシートが接着されないため、この非接着領域6においては、上記熱収縮性フィルム2aと不織布3aのシート同士の間に、長手方向に連続するトンネル状の空間部7がそれぞれ形成されるようになる。
【0038】
その後、図3(イ)(ロ)に示す如く、上記トンネル状空間部7に挿入可能な薄い板状としてある挿入用薄葉部材9と、該挿入用薄葉部材9上の左右方向の一側位置に、該薄葉部材9の先端方向(図上左方向)に刃を向けて側方へ水平方向に突出するよう取り付けてあるレザー刃10とから形成してなるスリット用治具8の上記挿入用薄葉部材9を、図2(ホ)(ヘ)に示した複合フィルム1のシートにおける各トンネル状空間部7に、上記レザー刃10が不織布3aに当るように図3(ロ)に示した状態を上下に反転させた配置で挿入して、該挿入用薄葉部材9の挿入に伴って上記トンネル状空間部7を形成している上記不織布3aのシートにおける各非接着領域6の一側端部位置(図上左側端部位置)bを、上記レザー刃10により、図2(ホ)(ヘ)に一点鎖線で示す如く、長手方向の全長に亘りスリットする。次いで、上記各非接着領域6の他側寄り位置(図上右側寄り位置)cにて、図2(ホ)(ヘ)に二点鎖線で示す如く、上記熱収縮性フィルム2aのシートと、不織布3aのシートを一緒にスリットする。なお、上記複合フィルム1のシートの左端部は、熱収縮性フィルム2aのシートと不織布3aのシートを、二点鎖線で示す如く図柄印刷領域5に対応させて一緒にスリットする。
【0039】
これにより、上記複合フィルム1のシートは、各図柄印刷領域5ごとに対応する所要の幅寸法に切断されて、図4(イ)に示す如く、包装対象容器の外周寸法に対応した所要幅を有する複合フィルム1が形成される。上記切断の際、図2(ホ)(ヘ)で示したように、熱収縮性フィルム2aのシートは、各非接着領域6の右側寄りの位置cの1個所のみでスリットされているのに対し、不織布3aのシートは、上記各非接着領域6の左右両側の位置bとcの2個所でスリットされているため、該2個所のスリット位置bとcの間に位置する細幅の部分が切り落される。したがって、上記複合フィルム1は、熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側(図上右側)の辺縁部の所要幅領域(図1の突出端部aに相当する領域)を除く領域に、不織布3aが接着剤4を介し一体に積層された構成、すなわち、上記幅方向一端側の辺縁部では、熱収縮性フィルム2aが不織布3aよりも突出して該熱収縮性フィルム2aの突出端部aが表裏両側に露出された状態になる。なお、切り落される細幅の不織布3aは、エアブローにより除去するか、図示しないローラに巻き取って除去或いは回収を図るようにすればよい。
【0040】
しかる後、上記所要幅の複合フィルム1を、図4(ロ)に示す如く、上記熱収縮性フィルム2aが外側で不織布3aが内側となるように幅方向に折り曲げて、幅方向一端部を幅方向他端部外側に所要の幅寸法で重ねて筒状にすると共に、上記熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側の突出端部aの内側面と、幅方向他端部における外側面とを、たとえば、溶剤(図示せず)により製袋シールして、熱収縮性を有する筒状複合フィルムラベルA1を形成する。上記形成された筒状複合フィルムラベルA1は、一旦ロール状に巻き取っておくようにしてある。
【0041】
なお、上記各図においては、熱収縮性フィルム(基材フィルム)2aの厚み、不織布(添合フィルム)3aの厚み、接着剤4の塗工厚、図柄塗工領域5の厚み(印刷インキの塗工厚)は、便宜上、いずれもほぼ同様の寸法として示してあるが、これは各々の実際の厚みを反映するものではない。又、複合フィルム1を構成する熱収縮性フィルム2a、不織布3aや、これらへの接着剤4の塗工領域、図柄印刷領域5の幅は、便宜上、それぞれ概略で示してある。したがって、上記熱収縮性フィルム2a、不織布3a、接着剤4の塗工領域、印刷領域5の幅が実際の複合フィルム1におけるそれぞれの実際の幅寸法を反映するものではない。以降の各実施の形態においても同様である。
【0042】
上記本発明の製造方法により製造した筒状複合フィルムラベルA1を用いて、プラスチックボトルや瓶、缶等の包装対象容器12を被覆包装する場合は、先ず、図5(イ)(ロ)に示す如く、従来のラベル装着時と同様に、上記ロール状に巻き取ってある筒状フィルムラベルA1を、図示しないラベリングマシンにかけて、包装対象容器12に対応した長さ寸法に切断した後、包装対象容器12に被せてその外周に配置し、しかる後、スチーム等の収縮トンネルを通過させるときに、上記筒状複合フィルムラベルA1の構成部材である熱収縮性フィルム2aを収縮させるための所要の収縮処理条件を作用させる。これにより、図5(ハ)(ニ)に示す如く、上記筒状複合フィルムラベルA1は、包装対象容器12の外周にて上記熱収縮性フィルム2aの収縮性能に基づいて幅方向に収縮させられるため、上記包装対象容器12の外周に密着させられて、筒型複合フィルムラベル付き容器11が製造され、該ラベル付き容器11の表面部では、熱収縮性フィルム2aに予め裏面印刷しておいた図柄印刷領域5の図柄が表示されるようになる。
【0043】
このように、本発明により製造された筒状複合フィルムラベルA1によれば、OPS製又はPET製としてある熱収縮性フィルム2aの収縮性能に基く良好な熱収縮性を発揮させることができると同時に、該熱収縮性フィルム2aに積層してある不織布3aの機能を熱収縮性フィルム2aに付加して発揮させることができる。すなわち、上記不織布3aは、繊維間に空隙を備えた構成を有しており、この空隙の存在に基いて断熱性を発揮させることができるものである。したがって、上記包装対象容器12の外周に上記不織布3aを存在させることができるため、該容器12を被覆包装しているラベルに断熱性を付与することができる。したがって、包装対象容器12が熱くて手で直接持つことが困難な容器、たとえば、ホットウォーマー等で温めて販売する各種飲料や食料品等の容器であったとしても、上記筒状複合フィルムラベルA1を装着することにより、該ラベルA1部分を手で持つことが可能となる。又、上記包装対象容器12の内容物が冷たい場合には、上記筒状複合フィルムラベルA1の有する断熱性に基づいて、結露の防止も期待できる。
【0044】
更に、上記筒状複合フィルムラベルA1における製袋シール部分は、対応する部分の不織布3aを切取り除去して熱収縮性フィルム2a同士のシールとしてあるために、シール強度の確保を図るために不織布3aにシール用接着剤を浸透させる必要をなくすことができる。したがって、熱収縮性フィルム2a同士の接触面に安定したシール面を確保できることから、溶剤シール以外にも、接着剤シールや超音波シール等、通常の収縮ラベル分野で熱収縮性フィルム2a同士をシールするために実施されている各種シール方法を採用できる。しかも、シール強度に、不織布3aの厚さや目付け(坪量)が影響する虞を排除できるため、安定した製袋シールを実施でき、熱収縮性フィルム2aを高収縮させる場合にもシール不良による穴空き現象の発生等、不織布3aの層間剥離によるシール部の不良が発生する虞を防止できる。更に、製袋シールを溶剤シールによって行うようにすれば、製造される本発明の筒状複合フィルムラベルA1をロール状に巻くときにおけるブロッキングが発生する虞を防止することができる。なお、上記製袋シールを接着剤を用いて行う場合であっても、熱収縮性フィルム2a同士のシール面となっているため、接着剤の塗布量を容易に制御することができる。したがって、この場合にも、ブロッキングが発生する虞を容易に低減させることができる。よって、加工ロスを低減できるため、コストダウンを図ることができる。更に、上記したように、不織布3aにシール用の接着剤を浸透させる必要はないため、シール作業の速度を向上させることができて、このことによってもコストダウンを図ることができる。
【0045】
又、熱収縮性フィルム2aと不織布3aとの間の接着剤4を介した接着強度としては、上記熱収縮性フィルム2aを収縮させるときに、不織布3aが上記熱収縮性フィルム2aと一緒に幅方向に収縮できる強度があればよい。そのため、上記不織布3aを熱収縮性フィルム2aに接着させるために用いる接着剤4の塗布量は、少なくともドライ(固形分)換算で0.5g/m2以上とすればよく、使用する不織布3aの繊維の太さや目の粗さに応じて自在に設定できる。
【0046】
更に、上記本発明により製造された筒状複合フィルムラベルA1の不織布3aとしては、基材フィルムとなる熱収縮性フィルム2aを収縮させるときに、該熱収縮性フィルム2aの収縮性能に追従して幅方向に収縮させることができるような材料特性を備えていれば、その素材や厚みを、ラベルに所望する特性に合わせて自在に選択できる。したがって、不織布3aを積層することにより断熱性能を発揮させようとする場合には、コストも含めて選定すると、たとえば、安価なスパンボンド製法によるPP製の不織布3aを採用することが好適である。このスパンボンド製法のPP製不織布3aは多種類の目付け品があることから、要求される断熱性能に応じて適宜目付け量を選定することで、広い範囲の要求性能に対応できる様々な断熱性能の筒状複合フィルムラベルA1を製造することができる。
【0047】
次に、図6(イ)(ロ)及び図7(イ)(ロ)は本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の他の形態として、和紙風の高い意匠性を得ることができる容器包装用ラベルへ適用する場合を示すものである。すなわち、図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)乃至図4に示したと同様の筒状複合フィルムラベルの製造方法において、図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示した如く、基材フィルムとしてのOPS製又はPET製の熱収縮性フィルム2aのシートの一側面に印刷した図柄印刷領域5上に接着剤4を塗工すると共に、添合フィルムを後工程で切断するときに固定できるようにするための接着剤4aを塗工した後、図2(ホ)(ヘ)に示した如く、上記接着剤4,4aの塗工面上に、添合フィルムとしての不織布3aのシートを積層する場合と同様に、図6(イ)(ロ)に示す如く、先ず、添合フィルムとしてのレーヨン製雲竜紙3bのシートを熱収縮性フィルム2aに積層して、該レーヨン製雲竜紙3bのシートと熱収縮性フィルム2aのシートとを接着剤4,4aを介し一体化して複合フィルム1のシートを形成させる。その後、図2(ホ)(ヘ)に示したと同様のスリット工程、すなわち、図6(イ)(ロ)に一点鎖線で示す如き上記複合フィルム1のシートにおける各非接着領域6の左側端部位置bにおける上記レーヨン製雲竜紙3bのスリットと、図6(イ)(ロ)に二点鎖線で示す如き上記各非接着領域6の右側寄り位置cにおける熱収縮性フィルム2a及びレーヨン製雲竜紙3bの同時スリットとを実施することにより、図7(イ)に示す如く、熱収縮性フィルム2aと、該熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側辺縁部の所要幅領域を除く領域に接着剤4を介し積層したレーヨン製雲竜紙3bとからなる所要幅の複合フィルム1を形成する。しかる後、図7(ロ)に示す如く、図4(ロ)に示したと同様に、熱収縮性フィルム2aが外側となるようにして上記複合フィルム1の幅方向の一端側辺縁部を、幅方向他端部の外周側に所要寸法で重ね、上記熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側における突出端部aの内側面と、幅方向他端部の外側面とを溶剤シールやその他の各種シール方法により製袋シールして筒状に成形し、これにより、上記熱収縮性フィルム2aを通して上記レーヨン製雲竜紙3bの繊維が透けて見える外観を呈する筒状複合フィルムラベルA2を製造する。
【0048】
その他、図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)乃至図4(イ)(ロ)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0049】
本実施の形態の筒状複合フィルムラベルA2によれば、熱収縮性フィルム2aの収縮性能に基づいた良好な熱収縮性に加えて、上記レーヨン製雲竜紙3bの繊維を上記熱収縮性フィルム2aを通して透かし見ることで、和紙風の意匠性を得ることができる。したがって、上記筒状複合フィルムラベルA2を用いて、図5(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示したと同様にして、包装対象容器12に装着して被覆包装を行うようにさせれば、和紙風の意匠性を備えたラベル付き容器11とすることが可能になる。
【0050】
なお、上記筒状複合フィルムラベルA2を製造するに当り、熱収縮性フィルム2aに積層して和紙風の意匠性を発揮させるための添合フィルム3としては、レーヨン製雲竜紙3bに代えて、目付けの軽い(坪量の小さい)PP製不織布やその他の不織布等の薄葉材を用いるようにしてもよい。
【0051】
又、和紙風の意匠性を更に向上させることができるようにするために、図7(イ)(ロ)に二点鎖線で示す如く、上記筒状複合フィルムラベルA2にて外部へ露出されることとなる上記熱収縮性フィルム2aの外側面に、マットインキ13を塗工してマット処理を施すことにより、筒状複合フィルムラベルA2の表面の反射を抑えるようにしてもよい。この場合、上記マットインキ13は、熱収縮性フィルム2aのシートに図柄の裏面印刷を行う工程の段階にて、熱収縮性フィルム2aにおける上記図柄を印刷すべき面とは反対側の面に印刷しておくようにすればよい。なお、このマットインキ13の印刷は、所要幅の複合フィルム1を形成させた後、該複合フィルム1を筒状にして製袋シールする際に該熱収縮性フィルム2aの幅方向他端部の外側面側におけるシール代となる所要幅領域は除外するようにしてある。
【0052】
次いで、図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図9(イ)(ロ)は本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態として、外観上の和紙風の意匠性に加えて、和紙風の手触りも得ることができるラベルに適用する場合を示すものである。
【0053】
この場合は、先ず、図8(イ)(ロ)に示す如く、図2(イ)(ロ)に示したと同様に、基材フィルムとしての熱収縮性フィルム2aのシートの裏面に、所要の図柄を、所要幅の非印刷領域を互いに挟んで4列に亘り裏面印刷して図柄印刷領域5を設ける。
【0054】
次に、図8(ハ)(ニ)に示す如く、上記熱収縮性フィルム2aのシートにおける反印刷面となる表面に、上記図柄印刷領域5よりも内側となるように図示しない塗工機を用いて接着剤4を塗工する。この際、図2(ハ)(ニ)に示したと同様に、上記熱収縮性フィルム2aのシートの左右いずれか一側端部(図では右側端部)に、熱収縮性フィルム2aに和紙風の外観を有するような機能を付与する添合フィルムとしてのレーヨン製雲竜紙3bを後工程で切断する際に固定できるようにするための接着剤4aの塗工領域を設けるようにしておく。
【0055】
次いで、図8(ホ)(ヘ)に示す如く、上記熱収縮性フィルム2aのシートの上記接着剤4,4a塗工面に、上記熱収縮性フィルム2aとほぼ等しい幅寸法を有する添合フィルムとして上記の如き和紙風の外観を備えるように機能するレーヨン製雲竜紙3bのシートを重ね合わせ、その後、上記接着剤4,4aを乾燥固化させて、熱収縮性フィルム2aのシートとレーヨン製雲竜紙3bのシートとを接着剤4,4aを介し積層してなる複合フィルム1のシートを形成する。
【0056】
これにより、上記形成される複合フィルム1のシートでは、接着剤4,4aの各塗工領域において、熱収縮性フィルム2aとレーヨン製雲竜紙3bが接着剤4,4aを介し一体化され、各接着材4,4aの塗工領域の間の非接着領域6では、上記熱収縮性フィルム2aとレーヨン製雲竜紙3bのシート同士の間に、長手方向に連続するトンネル状の空間部7がそれぞれ形成されるようになる。
【0057】
したがって、その後、図3(イ)(ロ)に示したと同様のスリット用治具8を、図8(ホ)(ヘ)に示した複合フィルム1のシートにおける各トンネル状空間部7に挿入して、各非接着領域6における一側端部位置(図上左側端部位置)bにて、図8(ホ)(ヘ)に一点鎖線で示す如く、上記レーヨン製雲竜紙3bのシートのみを長手方向の全長に亘りスリットし、上記各非接着領域6の他側寄り位置(図上右側寄り位置)cにて、図8(ホ)(ヘ)に二点鎖線で示す如く、上記熱収縮性フィルム2aのシートと、レーヨン製雲竜紙3bのシートを一緒にスリットする。なお、上記複合フィルム1のシートにおける左端部は、熱収縮性フィルム2aのシートとレーヨン製雲竜紙3bのシートを、二点鎖線で示す如く図柄印刷領域5に対応させて一緒にスリットする。
【0058】
これにより、上記複合フィルム1のシートは、各図柄印刷領域5ごとに対応する所要の幅寸法に切断されて、図9(イ)に示す如く、包装対象容器12の外周寸法に対応した所要幅を有する複合フィルム1が形成される。上記スリットの際に、図8(ホ)(ヘ)で示したように、各非接着領域6にて熱収縮性フィルム2aに重なる部分のレーヨン製雲竜紙3bのシートは、左右両側の2個所でスリットして切落してあるため、上記複合フィルム1は、熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側に、レーヨン製雲竜紙3bの幅方向一端部よりも突出して表裏両側に露出される突出端部aが形成された構成とされる。
【0059】
しかる後、上記所要幅の複合フィルム1を、図9(ロ)に示す如く、上記レーヨン製雲竜紙3bが外側で熱収縮性フィルム2aが内側となるように幅方向に折り曲げて、幅方向一端部における熱収縮性フィルム2aの突出端部aを、該複合フィルム1の幅方向他端部の内側に所要の幅寸法で重ねて筒状にすると共に、上記重ねた熱収縮性フィルム2aの突出端部aの外側面と幅方向他端部における内側面とを、溶剤、その他の各種シール方法により製袋シールして、熱収縮性を有する筒状複合フィルムラベルB1を形成する。上記形成された筒状複合フィルムラベルB1は、一旦ロール状に巻き取っておくようにしてある。
【0060】
上記において、複合フィルム1を、レーヨン製雲竜紙3bが外側となるようにして筒状に成形すると、熱収縮性フィルム2a上における図柄印刷領域5の内側に設定してある接着剤4の塗工領域よりもレーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14が多少はみ出しているため、該レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14は、上記接着剤4による固定が行われないフリーな状態のまま、筒状複合フィルムラベルB1の表面部に存在することとなる。このように、筒状複合フィルムラベルB1の表面部に、レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14がフリーな状態で存在していると、その後の包装対象容器12への装着作業や該筒状複合フィルムラベルB1を装着してなるラベル付き容器11への充填作業、搬送作業時等に引っ掛りを生じる虞が懸念される場合がある。このため、上記レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14は必要に応じて固定するようにしてもよい。すなわち、たとえば、上記筒状複合フィルムラベルB1を製造するために、図9(イ)に示した如き複合フィルム1を、図8(ホ)(ヘ)に示した如きシートより切り出す際、熱収縮性フィルム2aとレーヨン製雲竜紙3bが接着剤4にて接着されている個所の真近にてレーヨン製雲竜紙3bをスリットするようにすれば、該レーヨン製雲竜紙3bのフリーな端縁部は非常に狭い幅となる。このようにレーヨン製雲竜紙3bのフリーな端縁部の幅が非常に狭い場合は、後述する実施例(5)の結果から明らかなように、上記筒状複合フィルムラベルB1を装着させた容器を搬送させるラインが、ラインの継ぎが正確で、且つ突起物のないよく整備された10m程度のラインであれば、上記レーヨン製雲竜紙3bのフリーな端部があっても、引っ掛りを生じさせずにラインに流すことが可能である。したがって、上記筒状複合フィルムラベルB1におけるレーヨン製雲竜紙3bのフリーな幅方向端縁部14は、ラベルの安定化を図るためには固定する方がよいが、必ず固定しなければならないものではない。レーヨン製雲竜紙3bのフリーな幅方向両端縁部14の固定を行う場合は、上記複合フィルム1における熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側の突出端部aの外側面と幅方向他端部の内側面との製袋シールを行なった後、又は、シール時に同時に未接着状態の上記レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14と、熱収縮性フィルム2aとの隙間に、薄い板状の治具(図示せず)を挿入して上記レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14を捲りながら、その下側に接着剤、たとえば、上記熱収縮性フィルム2aのシートとレーヨン製雲竜紙3bのシートとの積層に使用した接着剤4や瞬間接着剤を薄く塗布した後、上記レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14と熱収縮性フィルム2aとを密着させて接着するようにする。又、上記レーヨン製雲竜紙3bが非常に薄いもの若しくは目が粗いものである場合には、上記レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14に対し、上記熱収縮性フィルム2aとレーヨン製雲竜紙3bとの積層に用いた接着剤4を、外部より吹き付けることにより、上記レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端縁部14の熱収縮性フィルム2aへの接着を行わせるようにしてもよい。このように接着剤4の吹き付けによりレーヨン雲竜紙3bの幅方向両端縁部14の接着、固定を行わせる場合には、たとえば、温風を大量に吹き付ける等して接着剤4を十分に乾燥させるようにするが、更に、製袋シールした上記筒状複合フィルムラベルB1をロール状に巻き取るときにおけるブロッキングの発生を確実に防止できるようにするためには、製造した筒状複合フィルムラベルB1をロール状に巻くときに、扁平させた上記筒状複合フィルムラベルB1の折径とほぼ同じ幅にスリットしてある表面処理を施していないPE製フィルム等を挟んで巻き上げるようにすればよい。
【0061】
本実施の形態の筒状複合フィルムラベルB1によれば、熱収縮性フィルム2aの収縮性能に基く良好な収縮性を得ることができると共に、表面にレーヨン製雲竜紙3bを露出させてあることにより、和紙風の外観に加え和紙風の感触も得ることができるラベルとすることができる。
【0062】
なお、上記筒状複合フィルムラベルB1を包装対象容器12の外周に配置して収縮させる際、スチームで収縮させると、該スチームの水分をレーヨン製雲竜紙3bが吸着し、ラベル表面に露出している繊維が膨潤してしまうことから、上記スチームを用いる場合はできるだけ水分を含まないスチームを用いるようにするか、上記筒状複合フィルムラベルB1を収縮させた後、ラベルを乾燥させるための工程を設けることが望ましい。更には、収縮処理にスチームに代えて熱風(ホットエア)を用いるようにすることが望ましい。
【0063】
又、上記図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図9(イ)(ロ)に示した実施の形態においては、熱収縮性フィルム2aのシートに裏面印刷するものとして示したが、上記熱収縮性フィルム2aのシートの表面に表面印刷して図柄印刷領域5を設けた後、該図柄印刷領域5上に接着剤4を介してレーヨン製雲竜紙3bのシートを積層するようにしてもよい。
【0064】
図10(イ)(ロ)及び図11(イ)(ロ)は図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図9(イ)(ロ)に示した実施の形態の応用例を示すもので、図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)に示した如く、熱収縮性フィルム2aのシートとレーヨン製雲竜紙3bとを接着剤4,4aを介し積層してなる複合フィルム1のシートを形成した後、所要幅にスリットして包装対象容器12の外周寸法に対応する幅寸法の複合フィルム1を形成させるときに、先ず、図10(イ)(ロ)に一点鎖線で示す如く、図8(ホ)(ヘ)に一点鎖線で示したと同様に上記複合フィルム1のシートにおける各非接着領域6の一側端部位置bにてレーヨン製雲竜紙3bをスリットした後、図10(イ)(ロ)に二点鎖線で示す如く、図8(ホ)(ヘ)に二点鎖線で示したと同様に、上記各非接着領域6の他側寄り位置cにて熱収縮性フィルム2aのシートとレーヨン製雲竜紙3bのシートを一緒にスリット操作する時に、スリット刃を並べて用いることにより、同時に、上記各非接着領域6の他端部に直近の熱収縮性フィルム2aとレーヨン製雲竜紙3bとの接着剤4による接着個所も位置dでスリットして、包装対象容器12の外周寸法に対応する幅の複合フィルム1を形成させるようにする。
【0065】
これにより、上記形成される複合フィルム1は、図11(イ)に示す如く、該複合フィルム1の幅方向他端部に位置するレーヨン製雲竜紙3bの幅方向他端部が熱収縮性フィルム2aに接着剤4を介し固定されたものとなる。
【0066】
しかる後、図11(ロ)に示す如く、上記複合フィルム1を幅方向に折り曲げて、図9(ロ)に示したと同様に、上記レーヨン製雲竜紙3bが外側となるようにして製袋シールすることにより、筒状複合フィルムラベルB2を製造するようにする。
【0067】
上記筒状複合フィルムラベルB2によれば、所要幅の複合フィルム1を形成させるときに、熱収縮性フィルム2aとレーヨン製雲竜紙3bとの接着剤4による接着個所が位置dでスリットしてあるため、形成される上記複合フィルム1の幅方向他端部では、レーヨン製雲竜紙3bのフリーな端部は生じない。したがって、レーヨン製雲竜紙3bのフリーな端縁部が、後工程のライン搬送時等に引っ掛りを生じる虞を低減できると共に、上記複合フィルム1の製袋シールを行なった後、レーヨン製雲竜紙3bのフリーな端縁部を接着剤により固定する場合であっても、固定作業を行う個所を半減できることから、製造に要する手間およびコストの削減化を図ることができる。
【0068】
更に、図12(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図13(イ)(ロ)は本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態として、吸水性を備えた複合フィルムラベルに適用する場合を示すものである。
【0069】
本実施の形態における筒状複合フィルムラベルB3の構造を概説すると、これは、基材フィルムとしての熱収縮性フィルム2aの表面に、添合フィルム3として、吸水性という機能を発揮させるための所要の厚みとした不織布、たとえば、コットン製不織布3cを接着材4を介し積層したものである。このように、所要の厚みを有するコットン製不織布3cを、熱収縮性フィルム2aの表面側に配置してあるため、該熱収縮性フィルムに2aに印刷を施しても、外側より目視することが困難になる場合がある。この場合は、熱収縮性フィルム2aのシートには印刷を行わず、コットン製不織布3cに表印刷を施すようにする。更に、上記印刷の行なわれない熱収縮性フィルム2aに対しては、塗工機にて接着剤4,4aを塗工するための基準位置の決定が難しいため、接着剤4,4aの塗工もコットン製不織布3c側に行う必要があり、このため製造方法は以下のようにしてある。
【0070】
すなわち、先ず、図12(イ)(ロ)に示す如く、幅方向に複数枚分、たとえば、4枚分のラベル幅に対応できる所要の幅寸法としてある添合フィルムとしてのコットン製不織布3cの表面に、ラベルに所望される所要の図柄を、後工程の製袋シール時にシール代とすべき所要の間隔を隔てて4列に亘り表印刷する。符号5は該図柄の印刷領域を示す。次に、図12(ハ)(ニ)に示す如く、上記コットン製不織布3cの反印刷面側となる裏面にて、上記各印刷領域5よりも内側となるように、図示しない塗工機を用いて接着剤4を塗工する。この際、該コットン製不織布3cのシートの一側端部(図上右端部)を後段で切断する際に位置固定できるようにするために、該コットン製不織布3cのシートの左右いずれか一側端部(図では右端部)にも、接着剤4aの塗工領域を設けるようにしておく。
【0071】
次いで、図12(ホ)(ヘ)に示す如く、上記コットン製不織布3cのシートの接着剤4,4a塗工面に、該コットン製不織布3cのシートとほぼ等しい幅寸法を備えた基材フィルムとしての熱収縮性フィルム2aのシートを重ね合わせ、その後、上記接着剤4,4aを乾燥固化させて、熱収縮性フィルム2aのシートとコットン製不織布3cのシートとを接着剤4,4aを介し積層してなる複合フィルム1のシートを形成する。
【0072】
これにより、上記形成される複合フィルム1のシートでは、接着剤4,4aの各塗工領域において、熱収縮性フィルム2aと不織布3aが接着剤4,4aを介し一体化される一方、接着剤4,4aの各塗工領域の間の非接着領域6においては、上記熱収縮性フィルム2aのシートとコットン製不織布3cのシートとの間に、長手方向に連続するトンネル状の空間部7がそれぞれ形成されるようになる。
【0073】
したがって、その後、図3(イ)(ロ)に示したと同様のスリット用治具8を、図12(ホ)(ヘ)に示した複合フィルム1のシートにおける各トンネル状空間部7に挿入することにより、各非接着領域6における一側端部位置(図上左側端部位置)bにて、図12(ホ)(ヘ)に一点鎖線で示す如く、上記コットン製不織布3cのシートのみを長手方向の全長に亘りスリットすると共に、図12(ホ)(ヘ)に二点鎖線で示す如く、上記各非接着領域6の他側寄り位置(図上右側寄り位置)cにて、上記熱収縮性フィルム2aのシートと、コットン製不織布3cのシートを一緒にスリットする。なお、上記複合フィルム1のシートの左端部は、熱収縮性フィルム2aのシートとコットン製不織布3cのシートを、二点鎖線で示す如く、図柄印刷領域5に対応させて一緒にスリットする。
【0074】
これにより、上記複合フィルム1のシートは、各図柄印刷領域5ごとに対応する所要の幅寸法に切断されて、図13(イ)に示す如く、包装対象容器12の外周寸法に対応した所要幅を有する複合フィルム1が形成される。上記所要の幅寸法に切断する際、図12(ホ)(ヘ)で示したように、各非接着領域6にて熱収縮性フィルム2aに重なる部分のコットン製不織布3cは左右両側位置bとcでスリットして切り落すようにしているため、上記複合フィルム1の熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側(図上右側)には、コットン製不織布3cよりも突出する突出端部aが形成されて、該突出端部aが表裏両側に露出された状態になる。
【0075】
しかる後、上記所要幅の複合フィルム1を、図13(ロ)に示す如く、上記コットン製不織布3cが外側で熱収縮性フィルム2aが内側となるように幅方向に折り曲げて、熱収縮性フィルム2aにおける幅方向一端部の突出端部aを、幅方向他端部の内側に所要の幅寸法で重ねて筒状にすると共に、上記熱収縮性フィルム2aの重ね合わせた幅方向一端側の突出端部aの外側面と、幅方向他端部における内側面とを、溶剤シール等の所要のシール方法により製袋シールして、熱収縮性を有する筒状複合フィルムラベルB3を形成する。上記形成された筒状複合フィルムラベルB3は、一旦ロール状に巻き取っておくようにしてある。
【0076】
上記製袋シール後の筒状複合フィルムラベルB3のシール部付近では、上記コットン製不織布3cの幅方向両端部が、図9(ロ)に示した筒状複合フィルムラベルB1におけるレーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端部と同様に、固定されないままの状態となるので、必要に応じて、上記レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端部を固定する場合と同様に、上記コットン不織布3cの固定されていない端部を所要の治具を用いて捲り上げ、その下側に上記接着剤4と同様の接着剤4又は瞬間接着剤を薄く塗布するようにして、熱収縮性フィルム2aの表面へ接着、固定するようにすればよい。
【0077】
なお、上記のような製袋シール後におけるコットン製不織布3cの幅方向の端部の接着、固定作業を軽減できるようにするために、上記熱収縮性フィルム2aとコットン製不織布3cとからなる複合フィルム1のシートを所要幅に切断して包装対象容器12の外周寸法に対応した幅寸法の複合フィルム1を形成させるときに、図10(イ)(ロ)及び図11(イ)(ロ)に示した筒状複合フィルムラベルB2の製造時と同様に、図12(ホ)(ヘ)に示した複合フィルム1のシートにおける各非接着領域6の他側寄り位置cをスリットするときに、該各非接着領域6の他端部に直近の熱収縮性フィルム2aとコットン製不織布3cの接着剤4による接着部分を、図10に示したスリット位置dと同様のスリット位置にて同時にスリットさせるようにして、コットン製不織布3cの他端部が熱収縮性フィルム2aに接着剤4を介し固定されてなる複合フィルム1を形成させるようにしてもよい。
【0078】
本実施の形態の筒状複合フィルムラベルB3によれば、熱収縮性フィルム2aの収縮性能に基づく良好な収縮性に加えて、コットン製不織布3cの有する機能である吸水性を付与したラベルとすることができる。
【0079】
したがって、上記筒状複合フィルムラベルB3を図5(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示したと同様に、図示しないラベリングマシンにかけて、所要長さに切断した後、包装対象容器12の外周に被せ、しかる後、収縮トンネルを通して上記熱収縮性フィルム2aを熱収縮させて上記包装対象容器12の装着させてラベル付き容器11を製造させると、該ラベル付き容器11ごと内容物を冷やした後、常温環境に曝した場合に、上記包装対象容器12の外面にて結露する水分を、上記筒状複合フィルムラベルB3の構成部材であるコットン製不織布3cにより吸収させることができることから、容器表面における結露の発生や、結露した水滴が上記ラベル付き容器11より落下して容器を載置したテーブル等の上に溜まるようになることを防止することができる。
【0080】
なお、上記包装対象容器12の外周に配した筒状複合フィルムラベルB3を収縮させる際、スチームで収縮させると、該スチームの水分をコットン製不織布3cが吸着してしまうことから、図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図9(イ)(ロ)で示した実施の形態と同様に、スチームを用いる場合は、できるだけ水分を含まないスチームを用いるようにするか、上記筒状複合フィルムラベルB3を収縮させた後、ラベルを乾燥させるための工程を設けるようにすることが望ましい。更には、スチームに代えて熱風(ホットエア)を用いるようにすることが望ましい。
【0081】
更に、上記コットン製不織布3cの表面には印刷を施してあることから、この印刷に用いられたインキが上記筒状複合フィルムラベルB3の表面に露出されているコットン製不織布3cの表面部における繊維同士を接着させることができて、繊維のほつれを抑制することが可能となる。したがって、上記コットン製不織布3cの表面に施す印刷としては、図柄のない領域にも、該コットン製不織布3cの表面の保護を目的としてコーティング(表面処理)を行うようにしてもよい。
【0082】
図14(イ)(ロ)は本発明の実施の更に他の形態として、和紙風の意匠性を備えたストレッチ性の複合フィルムラベルに適用する場合を示すもので、図6(イ)(ロ)乃び図7(イ)(ロ)に示したと同様の構成において、基材フィルム2を、熱収縮性フィルム2aに代えてPE製ストレッチフィルム2bとすると共に、添合フィルム3を、レーヨン製雲竜紙3bに代えて坪量の比較的小さいPP製不織布3aとしたものである。この場合、図14(イ)に示す如く、図7(イ)に示したと同様に、裏面印刷を施してある基材フィルムとしてのストレッチフィルム2bと、その幅方向一端側辺縁部の所要幅領域を除く領域の印刷面側に、所要の接着剤4を介し一体に積層してなる不織布3aとからなる所要幅の複合フィルム1を形成させた後、図14(ロ)に示す如く、図7(ロ)に示したと同様に、上記複合フィルム1の幅方向一端側のストレッチフィルム2bの突出端部aを、幅方向他端部の外側に重ねて製袋シールする際、溶剤によるシールに代えてポリウレタン系の接着剤を用いてシールを行うことにより、筒状複合フィルムラベルA3を製造するようにする。なお、製造された上記筒状複合フィルムラベルA3は、ロール状に巻き取っておくようにする。その他、図6(イ)(ロ)及び図7(イ)(ロ)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0083】
本実施の形態の筒状複合フィルムラベルA3によれば、上記PE製ストレッチフィルム2bのストレッチ性能に基づく良好なストレッチ性を有することに加えて、若干不透明な上記PE製ストレッチフィルム2bを通してその内側の不織布3aの繊維を見ることができるため、和紙風の意匠性を呈するラベルとすることができる。
【0084】
上記筒状複合フィルムラベルA3を包装対象容器12に装着する場合には、図示しないラベリングマシンにかけて、上記包装対象容器12の被覆包装すべき領域に対応させて所要の長さ寸法に切断した後、筒状となっている該複合フィルムラベルA3を、包装対象容器12の外径よりも大となるように大きく押し開いた状態として上記包装対象容器12の胴部の外周に配置し、しかる後、押し開いている荷重を解消させることにより上記包装対象容器12の外周側にてストレッチフィルム2bのストレッチ性能に基づいて収縮させて、上記包装対象容器12の外周に密着させて筒状複合フィルムラベル付き容器11を製造させるようにすればよい。
【0085】
したがって、上記包装対象容器12が耐熱性のない容器の場合であっても、上記和紙風の意匠性を備えた筒状複合フィルムラベルA3を装着してなるラベル付き容器11とすることができる。
【0086】
図15(イ)(ロ)は本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態として、良好な収縮性能を有し且つ比重1.0以下の複合フィルムラベルとすることができるようにする場合を示すもので、図10(イ)(ロ)及び図11(イ)(ロ)に示した実施の形態と同様の構成において、基材フィルム2を、OPS製又はPET製の熱収縮性フィルム2aとすることに代えて、PP製熱収縮性フィルム2cとすると共に、添合フィルム3を、レーヨン製雲竜紙3bとすることに代えて、OPS製熱収縮性フィルム3dとするようにして、筒状複合フィルムラベルB4を形成させたものである。
【0087】
上記において、PP製熱収縮性フィルム2cの比重は約0.9であり、又、OPS製熱収縮性フィルム3dの比重は約1.05であることから、上記PP製熱収縮性フィルム2cとOPS製熱収縮性フィルム3dを一層ずつ重ねて積層物としたときの比重が1.0以下となるように、接着剤4及び図柄の印刷に用いたインキの量及び比重をそれぞれ考慮して、上記PP製熱収縮性フィルム2cとOPS製熱収縮性フィルム3dの厚みをそれぞれ設定してある。
【0088】
又、複合フィルム1の幅方向一端側における基材フィルムとしてのPP製熱収縮性フィルム2cの突出端部aを幅方向他端部のPP製熱収縮フィルム2cの内側に重ねて製袋シールする際は、所要の接着剤を用いてシールを行うようにしてある。その他、図10(イ)(ロ)及び図11(イ)(ロ)に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0089】
上記筒状複合フィルムラベルB4における製袋シール部は、PP製熱収縮性フィルム2cとOPS製熱収縮性フィルム3dとの積層物に、更に基材フィルムである上記PP製熱収縮性フィルム2cを重ねた構造、すなわち、二層のPP製熱収縮性フィルム2cと一層のOPS製熱収縮性フィルム3dとの積層構造となるため、上記PP製熱収縮性フィルム2cとOPS製熱収縮性フィルム3dを一層ずつ重ねた部分よりも比重が小さくなる。したがって、上記筒状複合フィルムラベル1は、どの部分においても比重を1.0よりも小さくすることができる。
【0090】
このように、本実施の形態の筒状複合フィルムラベルB4によれば、一般に収縮率のあまり高くないPP製熱収縮性フィルム2cの収縮性能を、OPS製熱収縮性フィルム3dの有する高い収縮率の収縮性能により増強させることができて、ラベル全体として高い収縮性能を得ることができると共に、比重を1.0以下として水に浮くラベルとすることができる。したがって、上記本実施の形態における筒状複合フィルムラベルB4を、包装対象容器12としての図示しないペットボトルに対し、図5(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示したと同様にして装着させてラベル付き容器11を形成させると、該ラベル付き容器11を使用後に廃棄処分するときには、ラベル付き容器11を粉砕してフレークとしてから水に投入するようにすれば、比重が1.4付近で水に沈むペットボトル由来のペット樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂)と、比重が1.0よりも小さくしてある上記筒状複合フィルムラベルB4とを容易に水比重分離することが可能となり、このため上記ペット樹脂のリサイクルに有利なものとすることができる。
【0091】
図16(イ)(ロ)は本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態を示すもので、図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)乃至図4(イ)(ロ)に示したと同様の構成において、基材フィルムとしてのOPS製又はPET製の熱収縮性フィルム2aに積層させる添合フィルム3を、不織布3aとすることに代えて、PP製発泡熱収縮性フィルム3eとして筒状複合フィルムラベルA4を形成させたものである。
【0092】
その他の構成は図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図4(イ)(ロ)に示したものと同様であり、同一のものには同一符号が付してある。
【0093】
本実施の形態の筒状複合フィルムラベルA4によれば、上記熱収縮性フィルム2aの収縮性能に基づく高い熱収縮性を有すると共に、上記PP製発泡熱収縮性フィルム3eによる断熱性能を備えた容器包装用のラベルとすることができる。
【0094】
したがって、上記筒状複合フィルムラベルA4を、図5(イ)(ロ)(ハ)(ニ)に示したと同様にして包装対象容器12に装着してラベル付き容器11を製造させれば、該ラベル付き容器11の内容物の温度が高い場合であっても、ラベル部分を手に持つことができる。又、上記断熱性能により、冷たい内容物を充填した包装対象容器12の結露を防止することができる。
【0095】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)乃至図4(イ)(ロ)の実施の形態、図6(イ)(ロ)及び図7(イ)(ロ)の実施の形態、図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図9(イ)(ロ)の実施の形態、図10(イ)(ロ)及び図11(イ)(ロ)の実施の形態における基材フィルムを、熱収縮性フィルム2aとすることに代えて、図14(イ)(ロ)の実施の形態にて示したと同様のストレッチフィルム2bとして、ストレッチ性を備えた筒状複合フィルムラベルを製造するようにしてもよい。添合フィルム3としては、筒状複合フィルムラベルA,Bを包装対象容器12に装着する際、基材フィルム2とする熱収縮性フィルム2a,2cの収縮性能やストレッチフィルム2bのストレッチ性能に追従して幅方向に伸縮できるものであれば、ラベルに所望される各種機能に応じて上記不織布3a、レーヨン製雲竜紙3b、コットン製不織布3c、OPSフィルム3d、熱収縮性発泡フィルム3e以外のものを適宜使用してもよい。又、上記添合フィルム3の材質、形状に応じて、該添合フィルム3の基材フィルム2との接着面側に、コロナ処理、プライマー処理等の各種接着前処理を実施することは任意である。更に、上記不織布3aとしては、スパンボンド法以外の製法によって製造される不織布を用いるようにしてもよい。図柄を印刷するためのインキの種類、たとえば、溶剤の種類等は、印刷を行うべき基材フィルム2や添合フィルム3の素材に応じて任意のものを使用してよい。基材フィルム2と添合フィルム3とを接着するための接着剤4,4aの種類は、使用する基材フィルム2や添合フィルム3の素材に応じて任意のものを使用してよい。ラベルとして図柄が不要であれば、印刷は行わなくてもよい、すなわち、上記各実施の形態における図柄印刷領域5は省略するようにしてもよい。図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)乃至図4(イ)(ロ)の実施の形態、図6(イ)(ロ)及び図7(イ)(ロ)の実施の形態、図14(イ)(ロ)の実施の形態、図16(イ)(ロ)の実施の形態において、図10(イ)(ロ)及び図11(イ)(ロ)の実施の形態に示したように、複合フィルム1を形成させる際、該複合フィルム1の幅方向他端部を、基材フィルム2a,2b,2cと添合フィルム3a,3b,3d,3eとの接着剤4を介した接着部分をスリットすることで形成させるようにしてもよい。図12(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図13(イ)(ロ)の実施の形態にて示した筒状複合フィルムラベルB3を製造するときに、熱収縮性フィルム2aのシートに、接着剤4,4aを塗工するための塗工機にて認識可能な基準位置、たとえば、幅方向の一端部に基準線を印刷して設けることにより、該熱収縮性フィルム2a側に接着剤4,4aを塗工するようにしてもよい。図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)乃至図4(イ)(ロ)の実施の形態、図16(イ)(ロ)の実施の形態における断熱性を主目的とした筒状複合フィルムラベルA1,A4は、内容物の熱を外部に伝えないようにすることが望まれる容器であれば、容器内容物の冷熱の断熱や、外部から容器内容物への熱の移行の防止が要求されるような容器の包装に用いるようにしてもよい。上記実施の形態では、基材フィルム2a,2b,2cのシートや添合フィルム3a,3b,3c,3d,3eのシートを、ラベル4枚分に対応する幅寸法を備えたものとして、該各フィルムを積層してなる複合フィルム1のシートから、筒状に製袋して筒状複合フィルムラベルを形成させるための複合フィルム1を4列同時に製造するものとして示したが、上記基材フィルム2a,2b,2cのシート及び添合フィルム3a,3b,3c,3d,3eのシートを、ラベル1枚乃至3枚分の幅、或いは5枚分以上に対応した幅寸法として、該各フィルムのシートを積層してなる複合フィルム1のシートをスリットすることにより、筒状に製袋シールしてラベルとすべき複合フィルム1を、1列乃至3列、或いは、5列以上同時に製造させるようにしてもよい。図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図9(イ)(ロ)の実施の形態、図10(イ)(ロ)及び図11(イ)(ロ)の実施の形態、図12(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図13(イ)(ロ)の実施の形態のように、筒状複合フィルムラベルB1,B2,B3の表面が、繊維の存在により平滑でない面となる場合には、基材フィルムとしての熱収縮性フィルム2aにバーコード等の高い読取精度が求められる印刷を施して、該印刷を添合フィルム3b,3cを通して読取ることや、上記添合フィルム3b,3cの非平滑面にバーコード等の高い読取精度が求められる印刷を施しても、読取ることが困難な場合があるため、このような場合は、複合フィルム1の幅方向一端側にて添合フィルム3b,3cの幅方向一端より突出する基材フィルムとしての熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側の突出端部aの幅を、シール代として必要な幅寸法よりも幅広に形成させるようにしておくことにより、該熱収縮性フィルム2aの突出端部aの外側面と、幅方向他端部の内側面とを重ねて製袋シールして筒状に成形するときにも、上記熱収縮性フィルム2aの突出端部aの基端側が、幅方向他端部に覆われることなく外部に露出されるようにして、この外部に露出される基材フィルムの突出端部aの外側面に、上記バーコード等の高い読取精度が求められる印刷を行うようにしてもよい。製袋シールは、溶剤シール、接着剤によるシール、熱シール、超音波、高周波シールでもよく、基材フィルムがPVC製、OPS製、PET製のような有機溶剤に可溶なフィルムの場合は、溶剤シールが合理的である。添合フィルム3としては、PP製、PE製、PET製、ウレタン製、ナイロン製、コットン製、レーヨン製等の不織布や織物、パルプ製、セルロース製、レーヨン製等の薄葉材、PP製、PE製、PET製、ポリスチレン製等の発泡フィルム等、ラベルに所望される機能に応じて任意のものを使用してよい。図3(イ)(ロ)に示したスリット用治具8のレザー刃10は側方へ前傾状態で突出するものとして示したが、挿入用薄葉部材9の先端方向に刃を向けた状態としてあれば、直角方向や後傾した状態で側方へ突出するように上記挿入用薄葉部材9に取り付けるようにしてもよい。所要幅の複合フィルム1を形成させるときに、基材フィルム2の幅方向一端側に突出端部aを形成させるべく添合フィルム3を切り取る方法としては、エアーナイフ、レーザー光、丸刃、上刃と下刃の2枚刃での切り取る丸刃等、レザー刃10以外の切断方法を採用してもよい。基材フィルム2,2a,2b,2c及び添合フィルム3,3a,3b,3c,3d,3eには、滑剤、帯電防止剤、UV吸収剤等その目的に応じて適宜配合するようにしてもよいこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0096】
【実施例】
以下、本発明者が行った実施例について説明する。
【0097】
(1)
図2(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)乃至図4(イ)(ロ)の実施の形態にて示した方法に基づき、熱収縮性フィルム2aを、厚さが30μmのPET製で95℃の温水に10秒浸漬させたときの収縮率が、横収縮が80%、縦収縮が0.0%のフィルムとし、この熱収縮性フィルム2aのシートに、印刷機にてポリエーテル・ポリウレタン系インキを用いて所要の同じ図柄を幅方向に4つ並べて裏印刷した。次に、印刷面に、図柄印刷領域5の幅方向にそれぞれ2mmずつ内側となるように、ポリエステルウレタンポリオールにポリイソシアネートを加えてなる接着剤4,4aを、ドライ換算で2g/m2となるようにグラビアロールにて塗工した。この接着剤4,4aの溶剤をある程度飛ばした後、接着剤塗工面に、坪量20g/m2のスパンボンド製法による不織布2aを積層して複合フィルム1のシートを形成した。次いで、この複合フィルム1のシートを、熱収縮性フィルム2aと不織布3aとの非接着領域6における所要のスリットを行なって所用の幅寸法とすると共に、不織布3aの一部を切り取って、熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側に不織布3aの幅方向一端よりも突出する突出端部aを形成してなる複合フィルム1を形成させた。その後、複合フィルム1を、上記PP製不織布3aを内側にして幅方向に折り曲げて筒状にすると共に、熱収縮性フィルム2aの一端側における突出端部aの内側面に、溶剤としての1,1,2−トリクロロエタンを薄く塗工した後、直ぐに熱収縮性フィルム2aの他端部表面と重ねて押しつけて筒状複合フィルムラベルA1を製造した。
【0098】
上記製造された筒状複合フィルムラベルA1の製袋シール部では、熱収縮性フィルム2aの幅方向両端部同士が綺麗に且つ強く接着されていた。
【0099】
このようにして製造された筒状複合フィルムラベルA1を規定寸法に切断して、既に飲料が充填されているボトル缶の外周に配置し、この状態で所要の収縮条件に設定してあるスチームトンネルを通したところ、ボトル缶の外面に沿って綺麗に収縮させることができた。熱収縮性フィルム2aの幅方向両端部同士による製袋シール部では、外周側に配された熱収縮性フィルム2aの先端まで充分にシールされていたことで、収縮による返り現象は見られず、しかも、トップカールもなく十分に綺麗に収縮した状態となった。この筒状複合フィルムラベルA1を装着してあるボトル缶を、通常の缶の持ち方で手に持って缶の栓を開けたところ、スムーズに開けることができた。
【0100】
比較として、上記と同様の材料、方法において、熱収縮性フィルム2aと不織布3aとの積層を、接着剤4の塗工量をドライ換算で2、5、7、9g/m2の4つの条件で実施し、更に、複合フィルム1を製造するときに、不織布3aの幅方向一端側を切り取ることなく、熱収縮性フィルム2aの全面に不織布3aが積層されるようにし、この複合フィルム1の幅方向一端側と他端側を所要幅で重ねて、熱収縮性フィルム2aと不織布3aとの積層に使用した接着剤4,4aを用いて通常の貼り合わせシールを実施して筒状に成形した。
【0101】
上記熱収縮性フィルム2aと不織布3aとの積層に使用した接着剤4,4aの塗布方法は、定量ポンプとノズルを利用した落下方式、噴霧による塗布方式の2方式で実施したが結果は同様であった。
【0102】
その結果、積層時の接着剤塗工量が2g/m2、5g/m2の2例の場合は、所定の寸法に切った筒状のラベルを500mlペットボトルの所定の位置に配置してスチームトンネル内を通過させて収縮させたところ、全て不織布3aの層間剥離による不良が発生した。接着剤塗工量が7g/m2の場合も同様に収縮させると、120サンプルに1つ出るか出ないかの割合でデラミネーション不良が発生した。接着剤塗工量を9g/m2と増加させれば、デラミネーション不良が発生せず綺麗な仕上りの製品が得られた。これらのサンプルの製袋シール部を電子顕微鏡にて拡大して調べてみると、不織布2a内にて、接着剤4の充填しきれていない層が存在すると、デラミネーション不良が発生していることが判った。
【0103】
(2)
実施例(1)においてPP製の不織布3aの坪量を40g/m2とし、不織布3aの坪量の増加に対応させて接着剤4の塗工量をドライ換算で3g/m2とし、その他は実施例(1)と同様にして筒状複合フィルムラベルA1を製造した。
【0104】
このように不織布3aの坪量を増加させて筒状複合フィルムラベルA1を製造しても、実施例(1)と同様の効果を得ることができることが判明した。
【0105】
比較として、上記と同様の材料、方法において、複合フィルム1を製造するときに、不織布3aの幅方向一端側を切り取ることなく、熱収縮性フィルム2aの全面に不織布3aが積層されるようにし、この複合フィルム1の幅方向一端側と他端側を所要幅で重ねて、熱収縮性フィルム2aと不織布3aの積層に使用した接着剤4,4aを用いて通常の貼り合わせシールを実施して筒状に成形した。接着剤4,4aの塗工量はドライ換算で9g/m2となるようにした。
【0106】
その結果、製袋シール時に塗布する接着剤4の不織布3aへの浸透性が少ないか、熱収縮性フィルム2aと不織布3aとの積層時の接着剤4の不織布3aへの浸透性が少ないために、筒状のラベルを所定の寸法にカットし、500mlペットボトルの所定の位置に配置した後、シュリンクトンネルを通して収縮させると、製袋シール部で不織布3aの層間剥離不良を発生させる割合が非常に高かった。
【0107】
(3)
実施例(1)において、添合フィルムをPP製不織布3aに代えて、9g/m2のレーヨン製雲竜紙3bとし、接着剤4の塗工量を1.5〜2.5g/m2とし、その他は実施例(1)と同様にして筒状複合フィルムラベルA2を製造した。なお、熱収縮性フィルム2aへの印刷は、全面にインクが入る印刷でなく、必要な文字と図柄のみ印刷して、その他の部位は透明なフィルムの状態を保った印刷とした。
【0108】
上記筒状複合フィルムラベルA2を規定寸法に切断して、500mlの角型ペットボトルに装着して、スチームの収縮トンネルを通過させた。
【0109】
その結果、実施例(1)の場合と同様に美麗な収縮状態とすることができ、更に、熱収縮性フィルム2aを通してレーヨン製雲竜紙3bが透かし見えることで和紙雰囲気のラベル付きペットボトルを得ることができた。
【0110】
比較として、上記と同様の材料、方法において、複合フィルム1を製造するときに、レーヨン製雲竜紙3bの幅方向一端側を切り取ることなく、熱収縮性フィルム2aの全面にレーヨン製雲竜紙3bが積層されるようにした。その後、上記複合フィルム1の幅方向両端部を重ねて製袋シールしようとしたところ、シール部の接着を行うことができなかった。これは、シール部にて、熱収縮性フィルム2a同士の間に、異素材であるレーヨン製雲竜紙3bが接着してあったため、シール部が接着しなかったものと判断された。
【0111】
(4)
実施例(3)において、熱収縮性フィルム2aの表面に、後段の製袋シール時にシール代となる部分は除いてマットインキ13を印刷し、その他は実施例(3)と同様にして筒状複合フィルムラベルA2を製造した。
【0112】
上記筒状複合フィルムラベルA2を規定寸法に切断して、500mlの角型ペットボトルに装着して、スチームの収縮トンネルを通過させたところ、ラベル表面のマット処理に伴って、実施例(3)よりも和紙風雰囲気の意匠性をはるかに高めることができた。
【0113】
(5)
図8(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図9(イ)(ロ)の実施の形態にて示した方法に基づき、実施例(1)と同様にして熱収縮性フィルム2aのシートに、所要の図柄を裏印刷した。次に、反印刷面に、図柄印刷領域5の幅方向にそれぞれ2mmずつ内側となるように、実施例(1)と同様の接着剤4,4aを、ドライ換算で1.5〜2.5g/m2となるようにグラビアロールにて塗工した。この接着剤4,4aの溶剤をある程度飛ばした後、接着剤塗工面に、実施例(3)と同様のレーヨン製雲竜紙3bを積層して複合フィルム1のシートを形成した。次いで、この複合フィルム1のシートを、熱収縮性フィルム2aとレーヨン製雲竜紙3bとの非接着領域6における所要のスリットを行なって所要の幅寸法を有すると共に、レーヨン製雲竜紙3bの一部を切り取って、熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側に突出端部aを形成してなる複合フィルム1を形成させた。その後、複合フィルム1を、上記レーヨン製雲竜紙3bが外側となるように筒状にすると共に、熱収縮性フィルム2aの一端側における突出端部aの外側面に、溶剤としての1,1,2−トリクロロエタンを薄く塗工した後、直ぐに熱収縮性フィルム2aの他端部内側面を重ねて押しつけて筒状複合フィルムラベルB1を製造した。この際、上記スリット加工に伴って、レーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端部では、端から0.1〜0.2mm幅程度の部分が熱収縮性フィルム2aに対し接着されていなかったため、上記製袋シール加工時に、レーヨン製雲竜紙3bの上から積層に使用した接着剤4と同じ接着剤4を噴霧して吹付けて固定した。その後、製造された筒状複合フィルムラベルB1を巻き上げるときには、ブロッキング防止を目的として、折径と同じ幅にスリットした未処理のPEフィルムを挟んで巻き上げた。
【0114】
上記製造された筒状複合フィルムラベルB1を規定寸法に切断して、500mlの角型ペットボトルに装着して、スチームトンネルを通過させて収縮させた。
【0115】
その結果、外観に加えて、更に手触りも含めて今までにない和紙風意匠が表現できた。その他の収縮状態は何ら問題なく綺麗に収縮されていた。更に、スチームの水滴が、熱収縮性フィルム2a面を表面側にする場合に比して多く保持された状態ではあったが、風を当てて水分を飛ばしたところ、梱包ダンボールにダメージを与える程までは至らなかった。
【0116】
比較として、上記において、複合フィルム1におけるレーヨン製雲竜紙3bの幅方向両端部における熱収縮性フィルム2aとの非接着部分を固定せずに製袋加工して筒状に成形して筒状複合フィルムラベルB1を製造した。
【0117】
その結果、外観上は特に不良は見られなかったが、製袋シール部分に熱収縮性フィルム2aに接着されていないレーヨン製雲竜紙3bのフリーな端部がヒラヒラしていた。このヒラヒラしている部位は幅が狭いため、外観上は密着されているように見えて不良とはなっていなかった。実充填、ラベリングラインを想定して、10m程度の搬送ラインを備えた搬送システムを作り、上記レーヨン製雲竜紙3bのフリーな端部を有する筒状複合フィルムラベルB1を装着したペットボトルを流した。この際、上記搬送ラインを、ラインの継ぎを正確に合わせたり、突起物のないようよく整備しておいたところ、ヒラヒラしたレーヨン製雲竜紙3bのフリーな端部が引っ掛ることもなく、又、該フリーな端部が捲れ上がることもなく、良好に搬送を行うことが可能であった。
【0118】
更に、図10(イ)(ロ)及び図11(イ)(ロ)の実施の形態にて示した方法に基づき、上記筒状複合フィルムラベルB1と同様の製造工程にて、複合フィルム1のシートから所要の幅寸法を有する複合フィルム1を切り出すときに、熱収縮性フィルム2aとレーヨン製雲竜紙3bとの接着剤4を介した接着部分をスリットすることで、複合フィルム1の幅方向他端部を形成させ、その他は上記と同様の方法により筒状複合フィルムラベルB2を製造した。この際、上記筒状複合フィルムラベルB2の幅方向一端側には、レーヨン製雲竜紙3bのフリーな端部が生じていたが、該端部の固定を行わないまま上記筒状複合フィルムラベルB1の場合と同様にして筒状複合フィルムラベルB2を装着させたペットボトルを、実充填、ラベリングラインを想定した50m程の搬送システムの搬送ラインに流したところ、ラインの継ぎをずらしたり、ラインに突起物を付着させた場合でも、上記レーヨン製雲竜紙3bのフリーな端部が引っ掛りを生じることなく良好に搬送できた。
【0119】
(6)
実施例(5)において、基材フィルムを、PET製熱収縮性フィルム2aの代わりにOPS製熱収縮性フィルム2aとし、その他は実施例(5)と同様にして筒状複合フィルムラベルB1を製造した。但し、印刷インキはアルコール可溶のアクリル系インキに、接着剤4はアルコール可溶のポリエーテルポリウレタン系接着剤として、OPSフィルムにダメージを与えないものを選択した。
【0120】
その結果、実施例(5)と同様の結果が得られた。
【0121】
(7)
図12(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(ヘ)及び図13(イ)(ロ)の実施の形態にて示した方法に基づき、坪量27.5g/m2のコットン製不織布3cに、所要の図柄を凸版にて表印刷を施した。印刷インキは通常紙ラベル等に使用されているインキで刷った。次に、反印刷面に、図柄印刷領域5の幅方向にそれぞれ2mmずつ内側となるように、ポリエステルウレタンポリオールにポリイソシアネートを加えてなる接着剤4,4aを、ドライ換算で2g/m2となるようにグラビアロールにて塗工した。この接着剤4,4aの溶剤をある程度飛ばした後、接着剤塗工面に、実施例(1)と同様の熱収縮性フィルム2aを重ね合わせて積層して複合フィルム1のシートを形成した。次いで、この複合フィルム1のシートを、熱収縮性フィルム2aとコットン製不織布3cとの非接着領域6における所要のスリットを行なって所用の幅寸法を有すると共に、コットン製不織布3cの一部を切り取って、熱収縮性フィルム2aの幅方向一端側に突出端部aを形成してなる複合フィルム1を形成させた。その後、複合フィルム1を、上記コットン製不織布3cが外側となるように筒状にすると共に、熱収縮性フィルム2aの一端側における突出端部aの外側面に、溶剤としての1,1,2−トリクロロエタンを薄く塗工した後、直ぐに熱収縮性フィルム2aの他端部内側面を重ねて押しつけて筒状複合フィルムラベルB3を製造した。
【0122】
上記複合フィルム1において、コットン製不織布3cの幅方向両端部は、熱収縮性フィルム2aに固定されていないため、該熱収縮性フィルム2aと接着されていないコットン製不織布3cの端部を所要の治具にて持ち上げ、熱収縮性フィルム2a面に接着剤を薄く塗布し、直後に治具を外して熱収縮性フィルム2aの上にコットン製不織布3cを重ね合わせて密着させた。この時の接着剤はシアノ系瞬間接着剤を用いた。
【0123】
上記筒状複合フィルムラベルB3を規定寸法に切断して、500mlの角型ペットボトルに装着して、スチームの収縮トンネルを通過させた。
【0124】
その結果、上記ペットボトルの外周にきれいに収縮されて装着された。このラベル付きボトルに細かく砕いた氷と水を500ml注入して、湿度90%、温度30℃の環境条件下に1時間放置したところ、コットン製不織布3cには容器表面にて結露した水分が含まれて、手に持つと手が濡れる程度の量の水が転移したが、その容器を置いたテーブル上には何らの水滴がなく、結露した水滴の落下を防止することができた。但し、所定の長さに切断したラベルを容器の所定の位置に配置した後、収縮させるに際し、スチームにて収縮させるとそのスチームの水分をコットン製不織布3cが吸着する不具合が生じるため、スチームで収縮させる場合はできるだけ水分を含まないスチームか、収縮させた後、ラベルを乾燥させる工程がある方が望ましい。更に望ましい収縮条件は、熱風(ホットエア)であることが解った。
【0125】
(8)
実施例(1)において、基材フィルムをPET製熱収縮性フィルム2aとすることに代えて、PE製ストレッチフィルム2bとし、又、PP製の不織布3aの坪量を13g/m2とし、その他は実施例(1)と同様にして筒状複合フィルムラベルA3を製造した。
【0126】
上記筒状複合フィルムラベルA3を規定寸法に切断して、筒状になっているラベルを大きく押し開いて500mlの角型ペットボトルに装着した後、口径を元に戻させることにより、外観上何ら問題無くラベルとして装着でき、若干不透明なPE製ストレッチフィルム2bを通して不織布3aの繊維が和紙風に見えた。
【0127】
(9)
実施例(6)において、基材フィルムを50μm厚のPP製熱収縮性フィルム2cとし、添合フィルムを30μm厚のOPS製熱収縮性フィルム3dとし、その他は実施例(6)と同様にして筒状複合フィルムラベルB4を製造した。なお、上記PP製熱収縮性フィルム2cとOPS製熱収縮性フィルム3dとを積層してなる複合フィルム1のシートをスリットして所要幅の複合フィルム1を形成させるときに、上記複合フィルム1のシートにおけるPP製熱収縮性フィルム2cとOPS製熱収縮性フィルム3dとの非接着領域6の幅方向他端側にあるPP製熱収縮性フィルム2cとOPS製熱収縮性フィルム3dとの接着領域においても、上記PP製熱収縮性フィルム2cとOPS製熱収縮性フィルム3dのスリットを行うことにより、上記OPS製熱収縮性フィルム3dの他端部に、PP製熱収縮性フィルム2cと接着されていない部分が生じることを防止するようにしてある。
【0128】
上記筒状複合フィルムラベルB4を規定寸法に切断して、所要の容器に装着して、熱水で収縮させた。
【0129】
その結果、容器の周りにきれいに収縮した収縮ラベル付き容器11を得ることができた。又、上記筒状複合フィルムラベルB4は、5mm角に切断して水に投入すると、全ての部分が水に浮遊した。
【0130】
(10)
実施例(1)において、添合フィルムをPP製不織布3aとすることに代えて、厚さが170μmで比重0.6のPP製発泡収縮フィルム3eとし、その他は実施例(1)と同様にして筒状複合フィルムラベルA4を製造した。
【0131】
上記筒状複合フィルムラベルA4を規定寸法に切断して、所要の容器の外周に配置して、熱水にて収縮させた。
【0132】
その結果、容器の周りにきれいに収縮したラベル付き容器11を得ることができた。該ラベル付き容器11に飲料を入れ、液温を70℃になるまで温めて、その状態にて容器のラベル部分を手に持ったところ、液の温かさは感じるが充分手に持つことができた。
【0133】
【発明の効果】
以上述べた如く、本発明によれば、以下の如き優れた効果を発揮する。
(1) 1枚乃至複数枚分のラベルが取れるような所要の幅寸法としてある熱収縮性又はストレッチ性を有する基材フィルムのシートの片面に、上記1枚乃至複数枚分のラベルに相当する部分と幅方向の一端部に接着剤を幅方向に所要間隔で塗工した塗工領域を設けるようにし、次いで、上記基材フィルムのシートにほぼ等しい幅寸法を有して上記基材フィルムの伸縮に応じて伸縮でき且つ基材フィルムに所要の機能を付与させるようにするための添合フィルムのシートを、上記基材フィルムのシートに重ね合わせて接着剤を介し積層して、上記各接着剤の塗工領域の間における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートが接着されていない非接着領域に、上記幅方向と直交する長手方向に連続するトンネル状の空間部を形成してなる複合フィルムのシートを形成し、しかる後、該複合フィルムのシートの上記空間部における添合フィルムのシートを、スリット用治具を空間部内を移動させることにより該空間部の幅方向他側端部位置で全長に亘りスリットし、次いで、上記空間部における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートを該空間部の幅方向一側端部位置で一緒にスリットして、空間部での2個所のスリット位置の間に位置する添合フィルムのシートの一部を切り落すことにより、基材フィルムの幅方向一端部が添合フィルムの幅方向一端部よりも所要量突出した複合フィルムを形成し、該複合フィルムを幅方向に折り曲げて、上記基材フィルムの一端側の突出端部の一側面と、上記基材フィルムの幅方向他端部における他側面とを製袋シールして筒状に成形することを特徴とする筒状複合フィルムラベルの製造方法としてあるので、複合フィルムのシートの空間部で基材フィルムのシートと添合フィルムのシートをスリットすることにより、複合フィルムは、基材フィルムの幅方向一端側を添合フィルムの幅方向一端側よりも所要量突出した状態にできることから、複合フィルムを幅方向に折り曲げて筒状にすると共に基材フィルムの幅方向一端側の突出端部の一側面と該基材フィルムの幅方向他端部における他端面とを製袋シールして筒状複合フィルムラベルとすることができ、基材フィルムの有する熱収縮性又はストレッチ性に基づいて、デラミネーション不良等の外観不良を呈することなく容易に包装対象容器の外周に密着させることができ、該容器の表面部にて、添合フィルムの有する所要の機能を発揮させることが可能となる。
(2) 又、1枚乃至複数枚分のラベルが取れるような所要の幅寸法としてある熱収縮性又はストレッチ性を有する基材フィルムのシートの片面に、上記1枚乃至複数枚分のラベルに相当する部分と幅方向の一端部に接着剤を幅方向に所要間隔で塗工した塗工領域を設けるようにし、次いで、上記基材フィルムのシートにほぼ等しい幅寸法を有して上記基材フィルムの伸縮に応じて伸縮でき且つ基材フィルムに所要の機能を付与させるようにするための添合フィルムのシートを、上記基材フィルムのシートに重ね合わせて接着剤を介し積層して、上記各接着剤の塗工領域の間における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートが接着されていない非接着領域に、上記幅方向と直交する長手方向に連続するトンネル状の空間部を形成してなる複合フィルムのシートを形成し、しかる後、該複合フィルムのシートの上記空間部における添合フィルムのシートを、スリット用治具を空間部内を移動させることにより該空間部の幅方向他側端部位置で全長に亘りスリットし、次いで、上記空間部における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートを該空間部の幅方向一側端部位置で一緒にスリットして、空間部での2個所のスリット位置の間に位置する添合フィルムのシートの一部を切り落すことにより、基材フィルムの幅方向一端部が添合フィルムの幅方向一端部よりも所要量突出した複合フィルムを形成し、更に、該複合フィルムの上記所要量突出させてある基材フィルムの幅方向一端部とは反対側の基材フィルムと添合フィルムとの接着剤による接着個所の位置をスリットして添合フィルムの幅方向他端部が基材フィルムの幅方向他端部に接着剤を介し固定されたものとし、該複合フィルムを幅方向に折り曲げて、上記基材フィルムの一端側の突出端部の一側面と、上記基材フィルムの幅方向他端部における他側面とを製袋シールして筒状に成形することを特徴とする筒状複合フィルムラベルの製造方法とすることにより、基材フィルムの収縮性能に基づく良好な収 縮性を得ることができると共に、複合フィルムの幅方向他端部では、添合フィルムのフリーな端部は生じないため、後工程のライン搬送時等に引っ掛りを生じる虞を低減できると共に、製袋シールを行った後、添合フィルムのフリーな端縁部を接着剤により固定する場合であっても、固定作業を行う個所を半減できて、製造に要する手間とコストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の基本構成を示すもので、(イ)は製造途中で形成される基材フィルムと添合フィルムとを積層してなる複合フィルムのシートの概略側面図、(ロ)(ハ)はいずれも(イ)の複合フィルムを筒状に製袋して筒状複合フィルムラベルとしたときのシール部を示す概略側面図である。
【図2】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の一形態を示すもので、(イ)と(ロ)、(ハ)と(ニ)、(ホ)と(ヘ)はそれぞれ製造工程の異なる段階を示すフィルムのシートの概略側面図及び該シートを裏面側から見た概略図である。
【図3】 図2(ホ)(ヘ)の複合フィルムのシートのスリットに用いるスリット用治具を示すもので、(イ)は概略平面図、(ロ)は概略側面図である。
【図4】 図2(ホ)(ヘ)に続く本発明の製造工程を示すもので、(イ)は複合フィルムの概略側面図、(ロ)は(イ)の複合フィルムを筒状に製袋してなる筒状複合フィルムラベルのシール部を示す概略側面図である。
【図5】 図4(ロ)にて製造される筒状複合フィルムラベルを容器に装着する手順を示すもので、(イ)は容器の外周に筒状複合フィルムラベルを配置した状態を示す概略正面図、(ロ)は(イ)の要部を拡大して示す切断平面図、(ハ)は筒状複合フィルムラベルを装着してなるラベル付き容器の概略側面図、(ニ)は(ハ)の要部を拡大して示す切断平面図である。
【図6】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の他の形態にて製造途中で形成される複合フィルムのシートを示すもので、(イ)は概略側面図、(ロ)はフィルムのシートを裏面側から見た概略図である。
【図7】 図6に続く本発明の製造工程を示すもので、(イ)は複合フィルムの概略側面図、(ロ)は(イ)の複合フィルムを筒状に製袋してなる筒状複合フィルムラベルのシール部を示す概略側面図である。
【図8】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)と(ロ)、(ハ)と(ニ)、(ホ)と(ヘ)はそれぞれ製造工程の異なる段階を示すフィルムのシートの概略側面図及び該シートを裏面側から見た概略図である。
【図9】 図8(ホ)(ヘ)に続く本発明の製造工程を示すもので、(イ)は複合フィルムの概略側面図、(ロ)は(イ)の複合フィルムを筒状に製袋してなる筒状複合フィルムラベルのシール部を示す概略側面図である。
【図10】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態にて製造途中で形成される複合フィルムのシートを示すもので、(イ)は概略側面図、(ロ)はフィルムのシートを裏面側から見た概略図である。
【図11】 図10に続く本発明の製造工程を示すもので、(イ)は複合フィルムの概略側面図、(ロ)は(イ)の複合フィルムを筒状に製袋してなる筒状複合フィルムラベルのシール部を示す概略側面図である。
【図12】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)と(ロ)、(ハ)と(ニ)、(ホ)と(ヘ)はそれぞれ製造工程の異なる段階を示すフィルムのシートの概略側面図及び該シートを裏面側から見た概略図である。
【図13】 図12(ホ)(ヘ)に続く本発明の製造工程を示すもので、(イ)は複合フィルムの概略側面図、(ロ)は(イ)の複合フィルムを筒状に製袋してなる筒状複合フィルムラベルのシール部を示す概略側面図である。
【図14】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)は複合フィルムの概略側面図、(ロ)は(イ)の複合フィルムを筒状に製袋してなる筒状複合フィルムラベルのシール部を示す概略側面図である。
【図15】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)は複合フィルムの概略側面図、(ロ)は(イ)の複合フィルムを筒状に製袋してなる筒状複合フィルムラベルのシール部を示す概略側面図である。
【図16】 本発明の筒状複合フィルムラベルの製造方法の実施の更に他の形態を示すもので、(イ)は複合フィルムの概略側面図、(ロ)は(イ)の複合フィルムを筒状に製袋してなる筒状複合フィルムラベルのシール部を示す概略側面図である。
【符号の説明】
A,A1,A2,A3,A4 筒状複合フィルムラベル
B,B1,B2,B3,B4 筒状複合フィルムラベル
1 複合フィルム
2 基材フィルム
2a 熱収縮性フィルム(基材フィルム)
2b ストレッチフィルム(基材フィルム)
2c PP製熱収縮性フィルム(基材フィルム)
3 添合フィルム
3a 不織布(添合フィルム)
3b レーヨン製雲竜紙(添合フィルム)
3c コットン製不織布(添合フィルム)
3d OPS製熱収縮性フィルム(添合フィルム)
3e PP製熱収縮性発泡フィルム(添合フィルム)
4 接着剤
4a 接着剤
6 非接着領域
7 トンネル状の空間部
8 スリット用治具
11 ラベル付き容器
12 包装対象容器
b 空間部の幅方向他側端部位置
c 空間部の幅方向一側端部位置
d 基材フィルムと添合フィルムとの接着剤による接着個所の位置
Claims (2)
- 1枚乃至複数枚分のラベルが取れるような所要の幅寸法としてある熱収縮性又はストレッチ性を有する基材フィルムのシートの片面に、上記1枚乃至複数枚分のラベルに相当する部分と幅方向の一端部に接着剤を幅方向に所要間隔で塗工した塗工領域を設けるようにし、次いで、上記基材フィルムのシートにほぼ等しい幅寸法を有して上記基材フィルムの伸縮に応じて伸縮でき且つ基材フィルムに所要の機能を付与させるようにするための添合フィルムのシートを、上記基材フィルムのシートに重ね合わせて接着剤を介し積層して、上記各接着剤の塗工領域の間における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートが接着されていない非接着領域に、上記幅方向と直交する長手方向に連続するトンネル状の空間部を形成してなる複合フィルムのシートを形成し、しかる後、該複合フィルムのシートの上記空間部における添合フィルムのシートを、スリット用治具を空間部内を移動させることにより該空間部の幅方向他側端部位置で全長に亘りスリットし、次いで、上記空間部における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートを該空間部の幅方向一側端部位置で一緒にスリットして、空間部での2個所のスリット位置の間に位置する添合フィルムのシートの一部を切り落すことにより、基材フィルムの幅方向一端部が添合フィルムの幅方向一端部よりも所要量突出した複合フィルムを形成し、該複合フィルムを幅方向に折り曲げて、上記基材フィルムの一端側の突出端部の一側面と、上記基材フィルムの幅方向他端部における他側面とを製袋シールして筒状に成形することを特徴とする筒状複合フィルムラベルの製造方法。
- 1枚乃至複数枚分のラベルが取れるような所要の幅寸法としてある熱収縮性又はストレッチ性を有する基材フィルムのシートの片面に、上記1枚乃至複数枚分のラベルに相当する部分と幅方向の一端部に接着剤を幅方向に所要間隔で塗工した塗工領域を設けるようにし、次いで、上記基材フィルムのシートにほぼ等しい幅寸法を有して上記基材フィルムの伸縮に応じて伸縮でき且つ基材フィルムに所要の機能を付与させるようにするための添合フィルムのシートを、上記基材フィルムのシートに重ね合わせて接着剤を介し積層して、上記各接着剤の塗工領域の間における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートが接着されていない非接着領域に、上記幅方向と直交する長手方向に連続するトンネル状の空間部を形成してなる複合フィルムのシートを形成し、しかる後、該複合フィルムのシートの上記空間部における添合フィルムのシートを、スリット用治具を空間部内を移動させることにより該空間部の幅方向他側端部位置で全長に亘りスリットし、次いで、上記空間部における基材フィルムのシートと添合フィルムのシートを該空間部の幅方向一側端部位置で一緒にスリットして、空間部での2個所のスリット位置の間に位置する添合フィルムのシートの一部を切り落すことにより、基材フィルムの幅方向一端部が添合フィルムの幅方向一端部よりも所要量突出した複合フィルムを形成し、更に、該複合フィルムの上記所要量突出させてある基材フィルムの幅方向一端部とは反対側の基材フィルムと添合フィルムとの接着剤による接着個所の位置をスリットして添合フィルムの幅方向他端部が基材フィルムの幅方向他端部に接着剤を介し固定されたものとし、該複合フィルムを幅方向に折り曲げて、上記基材フィルムの一端側の突出端部の一側面と、上記基材フィルムの幅方向他端部における他側面とを製袋シールして筒状に成形することを特徴とする筒状複合フィルムラベルの製造方法。
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