JP4231159B2 - 太陽電池モジュール用瓦、および太陽電池モジュール付瓦 - Google Patents

太陽電池モジュール用瓦、および太陽電池モジュール付瓦 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、太陽光を光電変換する太陽電池モジュールを建物の屋根に搭載するための太陽電池モジュール用瓦、および太陽電池モジュールを搭載した太陽電池モジュール付瓦に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、建物の屋根に葺かれる瓦に太陽電池モジュールを搭載し、太陽エネルギーを電気に変換して利用する技術として、例えば、特願平8−244988号公報に開示されたものが知られている。
【0003】
この公報には、瓦本体の上面に太陽電池モジュールを陥着するための凹部を有し、この凹部内の下辺側の底部に瓦本体の裏側に貫通した複数の孔を有するとともに各孔に連通して延びた複数の溝を有する構造が開示されている。この構造により、太陽電池モジュールと凹部との間の隙間のコーキング部分を通して凹部内に不所望に浸水した雨水を上記複数の溝および複数の孔を通して瓦の裏側へ流出させるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の瓦構造では、瓦本体の凹部と太陽電池モジュールとの間に浸水防止のためのコーキングが不可欠であり、コーキング部分の劣化等により万が一凹部に雨水が浸水した場合には、太陽電池モジュールの裏側にある接続端子が濡れる可能性があった。
【0005】
また、上述した従来の瓦構造は、凹部に不所望に浸水した雨水を瓦の裏側に導くようになっているため、この構造の瓦を葺いた際に、建物の屋根の野地板を濡らして腐食させてしまう可能性があった。
【0006】
この発明は、以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、太陽電池モジュールと瓦本体との間の浸水を防止するためのコーキングが不要であり、屋根の野地板を雨水で濡らすことのない太陽電池モジュール用瓦、および太陽電池モジュール付瓦を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の太陽電池モジュール用瓦は、建物の傾斜した屋根に取付けられる略矩形板状の平らな瓦本体と、この瓦本体の上面に設けられ、上記瓦本体の傾斜方向に沿って該瓦本体の全長に亘って延び排水溝と、上記瓦本体の上面に設けられ、太陽電池モジュールを収納する凹陥部と、を有し、上記排水溝は、上記凹陥部と部分的に重なる位置関係で、該凹陥部より深く形成されているとともに、該凹陥部より上記傾斜方向に長く形成されており、該凹陥部を超えた両端が上記瓦本体の上面に露出している
【0009】
また、上述した発明によると、複数枚の瓦本体を上記傾斜方向に並べて瓦葺きした際、上段側の瓦本体の排水溝の下端が下段側の瓦本体の対応する排水溝の上端と接続し、これらの排水溝が一直線状に連続することを特徴とする。
【0010】
また、上述した発明の太陽電池モジュール用瓦は、上記凹陥部内であって上記排水溝と重ならない部位に、上記太陽電池モジュールの端子ボックスを収納するための収納凹部を有し、この収納凹部の周囲に、該収納凹部に対する浸水を防止するため該収納凹部を囲む環状の溝を有し、この環状の溝は、上記排水溝に連通していることを特徴とする。
【0011】
また、上述した発明の太陽電池モジュール用瓦は、上記凹陥部内であって上記排水溝と重ならない部位に、上記太陽電池モジュールの端子ボックスを収納するための収納凹部を有し、この収納凹部の周囲に、該収納凹部に対する浸水を防止するため該収納凹部を囲む環状の凸部を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の太陽電池モジュール付瓦は、太陽電池モジュールと、この太陽電池モジュールをその上面に設けられた凹陥部に収納した状態で、建物の傾斜した屋根に取付けられる略矩形板状の平らな瓦本体と、上記凹陥部と部分的に重なる位置関係で上記瓦本体の上面に設けられ、上記瓦本体の傾斜方向に沿って該瓦本体の全長に亘って延び、上記傾斜方向に離間した上記瓦本体の上辺および下辺に開放した上端および下端を有し、上記凹陥部より上記傾斜方向に長く且つ該凹陥部より深い互いに離間した複数本の排水溝と、を有し、上記各排水溝の上記凹陥部を超えた両端が上記瓦本体の上面に露出している
【0013】
また、上述した発明によると、複数枚の瓦本体を上記傾斜方向に並べて瓦葺きした際、上段側の瓦本体の排水溝の下端が下段側の瓦本体の対応する排水溝の上端とそれぞれ接続し、これら上下一対の排水溝が一直線状に連続することを特徴とする。
【0014】
また、上述した発明の太陽電池モジュール付瓦は、上記凹陥部内であって上記排水溝と重ならない部位に、上記太陽電池モジュールの端子ボックスを収納するための収納凹部を有し、この収納凹部の周囲に、該収納凹部に対する浸水を防止するため該収納凹部を囲む環状の溝を有し、この環状の溝は、上記排水溝に連通していることを特徴とする。
【0015】
更に、上述した発明の太陽電池モジュール付瓦は、上記凹陥部内であって上記排水溝と重ならない部位に、上記太陽電池モジュールの端子ボックスを収納するめの収納凹部を有し、この収納凹部の周囲に、該収納凹部に対する浸水を防止するため該収納凹部を囲む環状の凸部を有することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
図1には、この発明の太陽電池モジュール用瓦1の概略斜視図を示してあり、図2には、この太陽電池モジュール用瓦1をその上面1a側から見た平面図を示してある。各図において、太陽電池モジュール用瓦1を建物の傾斜した屋根に葺いた状態の例として、傾斜方向に沿った上段側の太陽電池モジュール用瓦1を実線で示し、下段側の太陽電池モジュール用瓦1’の一部を破線で示してある。また、図2では、太陽電池モジュール用瓦1の上面1aに設けられた後述する凹陥部4内に太陽電池モジュール6を収納した状態として、太陽電池モジュール6を破線で示してある。
【0018】
図1および図2に示すように、太陽電池モジュール用瓦1は、例えばセメント瓦、粘土瓦、金属瓦によって形成された略矩形板状の瓦本体2を有している。瓦本体2は、図2に破線で示すように、その凹陥部4に太陽電池モジュール6を収納・接着した状態(太陽電池モジュール付瓦として)で建物の傾斜した屋根に沿って上下左右に整列した状態で葺かれる。
【0019】
瓦本体2の傾斜方向上側および左側には、上下左右に隣り合う瓦本体2と係合するオーバラップ2a、2bがそれぞれ設けられている。また、上側のオーバーラップ部2aには、瓦本体2を図示しない屋根の野地板に固定するための2つのくぎ孔3が形成されている。
【0020】
瓦本体2の上面1aには、略全面に亘って略矩形状の凹陥部4が設けられている。この凹陥部4は、後述する太陽電池モジュール6の肉厚より僅かに深く形成されており、太陽電池モジュール6の寸法に合った大きさに形成されている。この凹陥部4には、太陽電池モジュール6が装着されて接着される。
【0021】
また、瓦本体2の上面1aには、凹陥部4とは別に、瓦本体2の傾斜方向に沿って瓦本体2の全長に亘って延びた2本の排水溝8が設けられている。各排水溝8は、瓦本体2の傾斜方向に離間した上辺20aおよび下辺20bにそれぞれ開放した上端8aおよび下端8bを有し、比較的幅広で且つ凹陥部4より深く形成されている。
【0022】
このように形成された各排水溝8は、複数枚の瓦本体2を屋根の傾斜方向に沿って並べて瓦葺きした際に、上段側の瓦本体2の排水溝8の下端8bが下段側の瓦本体2の対応する排水溝8の上端8aと接続し、これらの排水溝8、8が傾斜方法に沿って一直線状に連続するようになっている(図1または図2参照)。つまり、屋根に葺かれた複数枚の瓦本体2によって、屋根の全長に亘って傾斜方向に連続した複数本の長い排水溝が形成されることになる。
【0023】
また、2本の排水溝8の間であって、凹陥部4の略中央部には、矩形状の端子ボックス収納凹部10(以下、単に収納凹部10と称する)が設けられている。この収納凹部10の底部で、瓦本体2の上端部側に偏倚した位置にはケーブル導出孔10aが穿設されている。この収納凹部10には、凹陥部4内に収納された太陽電池モジュール6の裏面側に設けられた図示しない端子ボックスが収納され、ケーブル導出孔10aには、端子ボックスから導出された図示しない出力取出しケーブルが挿通される。つまり、太陽電池モジュール6の出力取出しケーブルは瓦本体2の裏側に導出される。
【0024】
瓦本体2の凹陥部4に収納される太陽電池モジュール6は、例えば1枚のガラス基板に透明電極層、アモルファス半導体層、裏面電極層を形成したもので、裏面は半導体層、裏面電極層等を保護するため、封止材で封止した矩形状の薄板パネル構造であるが、アモルファス半導体層に限定されるものではなく、単結晶、多結晶、微結晶またはSi系でも化合物系でもよい。
【0025】
次に、上記のように構成された太陽電池モジュール付瓦を用いて建物の屋根を施工する、いわゆる瓦葺きについて説明する。
【0026】
建物の屋根には棟側から軒側に向かって下り勾配に傾斜する野地板が設けられており、この野地板に直接または瓦下地材を介して太陽電池モジュール付瓦を載置する。
【0027】
通常の太陽電池モジュールを持たない瓦の瓦葺き作業と同様に、太陽電池モジュール付瓦を軒側から順次棟側に向かって野地板に載置するが、上下左右に隣り合う瓦本体2相互は、瓦本体2のオーバラップ部2a、2bを互いに係合し、瓦本体2の上側のオーバーラップ部2aに設けられたくぎ孔3(図1及び図2参照)に釘を通して野地板に固定する。
【0028】
このような作業を繰り返すことにより、太陽電池モジュール付瓦によって屋根を葺くことができ、この瓦葺き作業と平行して、太陽電池モジュール6の端子ボックスから導出された出力取出しケーブル相互を、瓦本体2の裏側で直列または並列に接続することにより、複数枚の太陽電池モジュール6を電気的に接続することができる。
【0029】
上記のように構成された本発明の太陽電池モジュール用瓦1または太陽電池モジュール付瓦(図2の状態のもの)によると、この瓦の上(或いは太陽電池モジュール6の上)に降った雨や雪などの略全量を、屋根の傾斜方向に繋がった排水溝8を通して積極的に流し落すため、雨水の排水を確実にすることができる。
【0030】
また、瓦本体2の上面1aに形成した排水溝8の深さを、太陽電池モジュール6が装着される凹陥部4の深さより深くしたため、殆どの雨水が太陽電池モジュール6の裏側を通って流れることになり、従来必要とされていた凹陥部4と太陽電池モジュール6との間のコーキングが不要となる。
【0031】
さらに、比較的幅広で深い排水溝8を瓦本体2の上面1aに形成し且つ各排水溝8を屋根の傾斜方向に沿った全長に亘って繋げたため、雨水が瓦本体と屋根の図示しない野地板との間に流れることがなく、雨水による腐食等により野地板を傷めることがない。
【0032】
尚、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変形可能である。例えば、上述した実施の形態では、瓦本体2の上面1aに2本の排水溝8を形成した場合について説明したが、これに限らず、3本以上の排水溝を形成しても良い。また、瓦本体2の上面1aに排水溝8を設けた以外の構成については、その形状、寸法、機能などにおいて種々変更可能である。
【0033】
また、図3に示すように、太陽電池モジュール6の端子ボックスを収納する収納凹部10の周囲に浸水を防止するための環状の溝30を設けても良い。この場合、環状の溝30は、その傾斜方向下端側に設けられた複数の排水溝31を介して瓦本体2の排水溝8に連通している。このように、収納凹部10を囲む環状の溝30を設けることにより、収納凹部10への浸水をより確実に防止できる。
【0034】
さらに、図4に示すように、太陽電池モジュール6の端子ボックスを収納する収納凹部10の周囲に浸水を防止するための環状の凸部40を設けても良い。このように、収納凹部10を囲む環状の凸部40を設けることにより、収納凹部10への浸水をより確実に防止できる。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明の太陽電池モジュール用瓦、および太陽電池モジュール付瓦は、上記のような構成および作用を有しているので、太陽電池モジュールと瓦本体との間の浸水を防止するためのコーキングが不要であり、屋根の野地板を雨水で濡らすことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の太陽電池モジュール用瓦を示す斜視図。
【図2】図1の太陽電池モジュール用瓦を示す平面図。
【図3】図1の太陽電池モジュール用瓦の凹陥部に形成された収納凹部を囲む環状の溝を示す部分斜視図。
【図4】図1の太陽電池モジュール用瓦の凹陥部に形成された収納凹部を囲む環状の凸部を示す部分斜視図。
【符号の説明】
1…太陽電池モジュール用瓦、
1a…上面、
2…瓦本体、
3…くぎ孔、
4…凹陥部、
6…太陽電池モジュール、
8…排水溝、
8a…上端、
8b…下端、
10…収納凹部、
10a…ケーブル導出孔、
20a…上辺、
20b…下辺、
30…環状の溝、
31…排水溝、
40…環状の凸部。

Claims (8)

  1. 建物の傾斜した屋根に取付けられる略矩形板状の平らな瓦本体と、
    この瓦本体の上面に設けられ、上記瓦本体の傾斜方向に沿って該瓦本体の全長に亘って延び排水溝と、
    上記瓦本体の上面に設けられ、太陽電池モジュールを収納する凹陥部と、を有し、
    上記排水溝は、上記凹陥部と部分的に重なる位置関係で、該凹陥部より深く形成されているとともに、該凹陥部より上記傾斜方向に長く形成されており、該凹陥部を超えた両端が上記瓦本体の上面に露出していることを特徴とする太陽電池モジュール用瓦。
  2. 複数枚の瓦本体を上記傾斜方向に並べて瓦葺きした際、上段側の瓦本体の排水溝の下端が下段側の瓦本体の対応する排水溝の上端と接続し、これらの排水溝が一直線状に連続することを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用瓦。
  3. 上記凹陥部内であって上記排水溝と重ならない部位に、上記太陽電池モジュールの端子ボックスを収納するための収納凹部を有し、
    この収納凹部の周囲に、該収納凹部に対する浸水を防止するため該収納凹部を囲む環状の溝を有し、
    この環状の溝は、上記排水溝に連通していることを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュール用瓦。
  4. 上記凹陥部内であって上記排水溝と重ならない部位に、上記太陽電池モジュールの端子ボックスを収納するための収納凹部を有し、
    この収納凹部の周囲に、該収納凹部に対する浸水を防止するため該収納凹部を囲む環状の凸部を有することを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュール用瓦。
  5. 太陽電池モジュールと、
    この太陽電池モジュールをその上面に設けられた凹陥部に収納した状態で、建物の傾斜した屋根に取付けられる略矩形板状の平らな瓦本体と、
    上記凹陥部と部分的に重なる位置関係で上記瓦本体の上面に設けられ、上記瓦本体の傾斜方向に沿って該瓦本体の全長に亘って延び、上記傾斜方向に離間した上記瓦本体の上辺および下辺に開放した上端および下端を有し、上記凹陥部より上記傾斜方向に長く且つ該凹陥部より深い互いに離間した複数本の排水溝と、を有し、
    上記各排水溝の上記凹陥部を超えた両端が上記瓦本体の上面に露出していることを特徴とする太陽電池モジュール付瓦。
  6. 複数枚の瓦本体を上記傾斜方向に並べて瓦葺きした際、上段側の瓦本体の排水溝の下端が下段側の瓦本体の対応する排水溝の上端とそれぞれ接続し、これら上下一対の排水溝が一直線状に連続することを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュール付瓦。
  7. 上記凹陥部内であって上記排水溝と重ならない部位に、上記太陽電池モジュールの端子ボックスを収納するための収納凹部を有し、
    この収納凹部の周囲に、該収納凹部に対する浸水を防止するため該収納凹部を囲む環状の溝を有し、
    この環状の溝は、上記排水溝に連通していることを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュール付瓦。
  8. 上記凹陥部内であって上記排水溝と重ならない部位に、上記太陽電池モジュールの端子ボックスを収納するめの収納凹部を有し、
    この収納凹部の周囲に、該収納凹部に対する浸水を防止するため該収納凹部を囲む環状の凸部を有することを特徴とする請求項に記載の太陽電池モジュール付瓦。
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