JP4230637B2 - 強化繊維材シートによる柱の補強構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリート構造物の補強構造に関するものである。更に詳しくは、壁付き柱、独立柱を強化繊維材にて補強したコンクリート構造物の補強構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既存コンクリート構造物の耐震補強を目的として、鋼板補強に替わり強化繊維材によって補強することが知られており、広範に実施されるようになっている。強化繊維材による補強対象は、梁、床版、柱、煙突等のコンクリート構造物全般に亘り、せん断補強、曲げ補強等、目的に応じた補強が為される(例えば、特開平9−67946号公報、特開平9−132852号公報)。
【0003】
ここで使用される強化繊維材の内、長繊維を使用した強化繊維材は異方性材料であるため、繊維の配向方向と補強目的を考慮し補強構造が決められており、柱等のコンクリート構造物を強化繊維材で補強する場合は、繊維軸を柱の周方向と一致するように周回させて、貼付ける方式が採用されている(例えば、特開平10−169211号公報、特公平6−56060号公報)。
【0004】
強化繊維材は、一方向配向(UD)強化繊維材、織物強化繊維材などが知られており、補強効果を有効なものとするために、繊維軸方向を補強部位の柱、梁の周方向と一致させるように配設させるのが一般的である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この方式は次の大きな問題を抱えている。即ち、隅角部の強化繊維材の引張強度が直線部の強化繊維材の引張強度より低く、隅角部で強化繊維材が破断しやすいという問題である。
【0006】
なお、本明細書で「隅角部」とは、柱のコーナー部と該コーナー部につながる平面を含み、該平面は全部であっても一部であってもよいものを言う。
【0007】
隅角部の強度低下を防止するため、特公平6−56061号公報では、隅角部を曲率半径30mm以上に曲面加工することが推奨されている。しかし、特公平6−56061号公報に示されているように曲率半径50mmに曲面加工しても直線状のストランド強度の90%程度の強度しか発現することはできない。
【0008】
また、新具らが、シート状連続繊維によりせん断補強されたRC柱の靭性能に関する実験的研究(その3)実験結果概要及び結果、日本建築学会大会学術講演梗概集(1997年9月)で報告しているとおり、実際の補強実験においても、隅角部で強化繊維材が破断してしまう場合がある。
【0009】
そこで本発明は、壁付き柱或いは独立柱の強度を高めることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上述の問題を解決するため、鋭意研究した結果、壁付き柱或いは独立柱の強度を高めるために、次の発明を完成した。
【0011】
本発明の柱の補強構造は、柱部位と壁部位からなる壁付き柱、又は独立柱に対して、強化繊維材シートの繊維方向と柱部位の周方向又は独立柱の周方向とを一致させるようにして、強化繊維材シートが少なくとも壁付き柱の柱部位から壁部位にかけて、又は独立柱の周囲に周回して添着されており、壁付き柱の柱部位の面又は独立柱の面における補強繊維材シートの層数の最も少ない箇所の層数よりも、壁付き柱の柱部位の隅角部又は独立柱の隅角部における補強繊維材シートの層数を多くしている。
独立柱について本発明の柱の補強構造の特徴は、次の四個のパターンが挙げられる。
本発明の柱の補強構造の1個めのパターンは、(1)独立柱の表面が強化繊維材シートで補強されている補強構造であって、(2)1枚の強化繊維材シートの両端部が独立柱の隅角部において互いに重なり合うように、且つ巻き始め端末と巻き終い端末とが独立柱の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シートの繊維方向と独立柱の周方向とを一致させるようにして、(3)強化繊維材シートが、独立柱の表面を周回して添着されていることを特徴とする。
本発明の柱の補強構造の2個めのパターンは、(1)独立柱の表面が強化繊維材シートで補強されている補強構造であって、
(2)1枚の強化繊維材シートの両端部が独立柱の隅角部において互いに重なり合うように、且つ巻き始め端末と巻き終い端末とが独立柱の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シートの繊維方向と独立柱の周方向とを一致させるようにして、
(3)強化繊維材シートが、独立柱の表面を周回して添着され、
(4)前記(1)〜(3)の補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シートが前記(2)及び(3)の配置状況となるように添着され、該添着が1回以上繰り返されていることを特徴とする。
本発明の柱の補強構造の3個めのパターンは、(1)独立柱の表面が第1と第2の強化繊維材シートで補強されている補強構造であって、(2)第1の強化繊維材シートで、独立柱の3個の隅角部を覆うようにし、(3)第2の強化繊維材シートで、第1の強化繊維材シートで覆われていない隅角部及び該隅角部に隣接する隅角部を覆うようにし、(4)第1と第2の強化繊維材シートの互いの端部が重なり合うように、且つ第1と第2の強化繊維材シートの4個の端末がそれぞれ独立柱の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シートの繊維方向と独立柱の周方向とを一致させるようにして、(5)強化繊維材シートが、独立柱の表面を周回して添着され、(6)前記(1)〜(5)の補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シートが前記(2)〜(4)の配置状況となるように添着され、該添着が1回以上繰り返されていることを特徴とする。
本発明の柱の補強構造の4個めのパターンは、(1)独立柱の表面が第1と第2の強化繊維材シートで補強されている補強構造であって、(2)第1の強化繊維材シートで、独立柱の隅角部の2個を覆うようにし、(3)第2の強化繊維材シートで、第1の強化繊維材シートで覆われていない2個の隅角部を覆うようにし、(4)第1と第2の強化繊維材シートの互いの端部が重ならないように、且つ第1の強化繊維材シートの一方の端末と第2の強化繊維材シート一方の端末が独立柱の一つの面上に配置され、残りの端末同士が、独立柱の別の面上に配置されるように、並びに強化繊維材シートの繊維方向と独立柱の周方向とを一致させるようにして、(5)強化繊維材シートが、独立柱の表面を周回して添着され、(6)前記(1)〜(5)の補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シートが前記(2)〜(4)の配置状況となるように、且つ既に配置されている強化繊維材シートの端末の配置面とは異なる面に端末が配置されるように添着され、該添着が1回以上繰り返されていることを特徴とする。
【0012】
本発明において「壁付き柱」とは、柱と壁が一体となった構造物をいう。 本発明において「独立柱」とは、壁とは独立している柱をいう。単に「柱」というときは、通常は両方の意味を含んでもよい場合である。しかしながら、独立柱を簡略のために単に柱というときもある。
【0013】
本発明の補強構造が適用される柱には、コンクリート構造物の補強の際に一般的に採用される状態の柱が含まれる。即ち、隅角部を面取り加工した状態、隅角部を曲面状に加工した状態、特開平10−169211号公報に例示されているような隅角部に曲面材を配した状態の柱も含まれる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
【0015】
本発明の強化繊維材で使用される強化繊維の種類は、特に限定されないが、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の有機もしくは無機繊維の単独又は2種以上の組合せが挙げられる。コンクリート構造物を効果的に補強する上で、好ましくは、炭素繊維が使用される。炭素繊維としては、アクリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。これらの炭素繊維は、樹脂との親和性を増すため、表面処理によって表面が活性化されたものが好ましい。
【0016】
強化繊維材は、一方向配向強化繊維材、織組織強化繊維材であり、織組織は平織、綾織、繻子織等特に制限はされない。
【0017】
これらの強化繊維材は、強化繊維材の繊維軸方向が柱の周方向に一致して周回される。「繊維軸方向」とは、強化繊維材が一方向配向組織の場合は、その配向方向を繊維方向といい、また、強化繊維が織組織の場合は、縦糸又は経糸の方向を繊維軸方向とするが、縦と経の織り密度が異なる場合は、織り密度の高い方を繊維軸方向とするのが合理的である。本発明で用いられる強化繊維材は好ましくは一方向配向強化繊維材である。
【0018】
本発明において使用されるこれらの強化繊維材は、取扱性向上のために、低目付の織物、不織布、組布等のバッキング材が貼付してある物でもよい。このようなバッキング材は強化繊維材の乱れ、目開きを防止し、樹脂を塗布する際、毛羽立ち、シート性の保持に対しても有効である。バッキング材の材質は有機繊維、ガラス繊維等であり、繊維目付としては、5〜100g/m2 程度のものである。
【0019】
具体的には、特開平9−132852号公報に例示されているような一方向に引き揃えられた強化繊維材シートの少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂繊維不織布を配し、強化繊維材シートと熱可塑性樹脂繊維不織布を熱融着したシート、または、特開平9−67946号公報に例示されているような一方向に引き揃えられた強化繊維材シートの少なくとも一方の面に熱可塑性樹脂組布(そふ)等を配し、強化繊維材シートと熱可塑性樹脂組布(そふ)が熱融着されたシート等が好ましい例として挙げられる。
【0020】
熱可塑性樹脂繊維不織布、または、熱可塑性樹脂組布(そふ)等の熱可塑性樹脂繊維シートの成分は、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等が挙げられ、特に溶融温度が70〜200℃のものが好適である。その理由は、70℃未満で溶融する繊維では気温が高くなる夏場には形態保持性が乏しくなり、一方、溶融温度が200℃を越えるものであれば熱融着に多くのエネルギーが必要となるためである。
【0021】
熱可塑性樹脂繊維不織布、または、熱可塑性樹脂組布(そふ)等の熱可塑性樹脂繊維シートの形態は、特に制限されないが、樹脂を通過させることが可能な通孔を有していれば良い。
【0022】
熱可塑性樹脂繊維シートの繊維目付は、5〜100g/m2 、好ましくは10〜50g/m2 程度である。
【0023】
更に、積極的に樹脂を通過させる目的で、この繊維シートに開孔率5〜40%の範囲でくり抜き孔を設けることもできる。このくり抜き孔は、例えば、円形孔、楕円形孔、角形孔、スリット形孔等の任意の形状でよい。
【0024】
本発明の強化繊維材のコンクリート構造物面への施工は、コンクリート構造物の面に予め下地処理を施した後、マトリックス樹脂を塗布し、強化繊維材を配設し、ローラ等の圧着具により、強化繊維材を押さえつけて、下面に塗布されているマトリックス樹脂を湧き上げるようにし、強化繊維材の繊維層に含まれる空気等の気泡を追い出しつつ、繊維層にマトリックス樹脂を充分に含浸させる。この強化繊維材の繊維層の厚さに応じ、さらにマトリックス樹脂を塗布する。
【0025】
強化繊維材を、コンクリート構造物面上に多重積層する場合は、各層ごとに、マトリックス樹脂の塗布と強化繊維材の配置を行い、ローラ等の圧着具による樹脂含浸をその都度行うのが良い。
【0026】
多重積層は、一方向強化繊維材、織組織強化材繊維のみの多重積層でも、これらの組み合わせの多重積層でも良い。
【0027】
熱可塑性樹脂織維シートが強化繊維材の片面のみに配されている場合、強化繊維材に樹脂を含浸させる際、ローラによる毛羽立ちを無くするために、強化繊維材は、コンクリート構造物に対して、熱可塑性樹脂織維シートが融着された面が外になるように配置することが望ましい。
【0028】
マトリックス樹脂は、硬化剤成分と樹脂成分とを含み、強化繊維材層への含浸性を考慮し、樹脂粘度が100〜10000センチボイズ(25℃)となるよう調整されていることが好ましい。特に好ましくは500〜5000センチボイズ(25℃)である。マトリックス樹脂をこのような粘度に調整するためには、溶媒を使用することもできるが、作業環境を考慮すると、無溶剤であることが好ましい。
【0029】
本発明で使用される接着剤およびマトリックス樹脂の種類は特に制限されないが、好ましくはエポキシ樹脂が挙げられる。本発明において好ましく用いられるエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0030】
エポキシ樹脂の反応性希釈剤として、n−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレンオキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレート等から選ばれた少なくとも1種が使用でき、無溶剤で適度の粘度に調整するのに有効である。
【0031】
エポキシ樹脂の硬化剤及び硬化促進剤としては、通常エポキシ樹脂に用いられている種類のものが適用できる。マトリックス樹脂がエポキシ樹脂で反応性希釈剤がフェニルグリシジルエーテルの場合、例えばポリアミドアミン、アミドアミン、ジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン、メタキシレンジアミン等の芳香族ポリアミン、メンセンジアミン等の脂環族ポリアミン、変性ポリアミン、ベンジルメチルアミン等の第三アミン、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、ポリメルカプタン類、ポリチオール類、三フッ化ホウ素アミン錯体等を例示できる。
【0032】
硬化剤及び硬化促進剤の選択は、マトリックス樹脂の硬化温度が10〜40℃程度の常温で数日以内に硬化するように選定するのが好ましい。
【0033】
本発明の柱の補強構造を図面によって説明する。
【0034】
図1は、1つの隅角部を有する壁付き柱に対する本発明の補強構造の斜視図を示したものである。図1において、1は既存コンクリート躯体の壁付き柱であり、2−1、2−2は強化繊維材シート、3は柱部位、4は壁部位である。図1では、第1と第2の強化繊維材シート2−1、2−2の端末6−1、6−2の各々が、柱部位3の異なる面に配置されて、柱部位3の1つの隅角部から壁部位4に渡り、周回して添着されている。両強化繊維材シート2−1、2−2はその繊維方向が柱部位3の周方向と一致するように周回して添着されている。両強化繊維材シート2−1、2−2の端部は柱部位3の隅角部で重ね合わされて、重ね合わせ部5を形成している。
【0035】
図2は、図1のA−Aの断面図である。
【0036】
図3は、1つの隅角部を有する壁付き柱11に対する従来の補強構造の断面図である。第1、第2の強化繊維材シート12−1、12−2の端末16−1、16−2は壁部位14の同一の表面上にあり、両強化繊維材シート12−1、12−2の端部は壁部位14の表面で重なって重ね合わせ部15を形成している。
【0037】
このように図3の従来の壁付き柱11の補強構造では、柱部位13の隅角部に強化繊維材シート12が1層しかないのに対し、図1、図2の本発明の壁付き柱1の補強構造は1つの隅角部に2層の強化繊維材シート2−1、2−2を配しているので、柱部位3の強度が従来の壁付き柱11の補強構造に比べて高い。
【0038】
図4は、2つの隅角部を有する壁付き柱21に対する本発明の補強構造の断面図である。図4において、第1、第2の強化繊維材シート2−1、2−2が、2つの隅角部にわたり、互いの端部が重なり合うようにして、且つ両強化繊維材シート2−1、2−2の各々の端末6−1、6−2が、柱部位3の異なる面に配置されるようにして、2つの隅角部から壁部位4に渡り、該強化繊維材シート2−1、2−2の繊維方向が柱部位3の周方向と一致するように周回して添着されている。両強化繊維材シート2−1、2−2の端部は柱部位3の隅角部で重ね合わされて、重ね合わせ部を形成している。
【0039】
図5は、2つの隅角部を有する壁付き柱31に対する従来の補強構造の断面図である。図5において、第1、第2の強化繊維材シート12−1、12−2の端末16−1、16−2は壁部位14の同一の表面上にあり、両強化繊維材シート12−1、12−2の端部は壁部位14の表面で重なって重ね合わせ部を形成している。
【0040】
このように図5に示す従来の壁付き柱31の補強構造では、柱部位13の隅角部に強化繊維材シート12−1、12−2が1層しかないのに対し、図4の本発明の壁付き柱21の補強構造は2つの隅角部に2層の強化繊維材シート2−1、2−2を配しているので、柱部位3の強度が従来の壁付き柱31の補強構造に比べて高い。
【0041】
図6は、対角線上に2つの隅角部を有する壁付き柱41に対する本発明の補強構造の断面図である。図6では、壁付き柱41の一つの隅角部の一方の面側に対してのみ本発明の補強構造を実施した例である。図6において、第1、第2の強化繊維材シート2−1、2−2が、1つの隅角部にわたり、互いの端部が重なり合うようにして、且つ両強化繊維材シート2−1、2−2の各々の端末6−1、6−2が、柱部位3の異なる面に配置されるようにして、1つの隅角部から壁部位4に渡り、該強化繊維材シート2−1、2−2の繊維方向に柱部位3の周方向を一致させるように周回して添着されている。第1と第2の強化繊維材シート2−1、2−2の端部は柱部位3の隅角部で重ね合わされて、重ね合わせ部を形成している。したがって、該隅角部では強度が高い。
【0042】
図7は、壁とは独立した柱(独立柱、或いは単に柱ということもある)に対する本発明の補強構造の斜視図であり、4つの構造部を有する柱51に対して1枚の強化繊維材シート2による補強構造である。
【0043】
図8は、図7のA−Aにおける断面図である。図7及び図8において、1枚の強化繊維材シート2の両端部が柱の隅角部において互いに重なり合うように、且つ巻き始め端末6−1と巻き終い端末6−2とが柱の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シート2の繊維方向と柱51の周方向とを一致させるようにして、強化繊維材シート2が、柱51の表面に周回して添着されている。図7及び図8に示されるように、強化繊維材シート2の両端部が柱51の1つの隅角部で重ね合わされており、柱51の他の強化繊維材シート2の添着されている箇所よりも、強化繊維材シート2の層数が多く、該隅角部では強度が増加する。
【0044】
図9は、従来の独立柱の補強構造の断面図である。強化繊維材シート2は、柱51の表面に周回して添着されているが、両端部が柱の同一の面で重ね合わせられており、強化繊維材シート2の両端末6−1、6−2は柱の同一の面に位置し、隅角部では1層のみの強化繊維材シート2の補強であるから、図7、図8の補強構造に比べて隅角部の強度が低い。
【0045】
図10は4つの隅角部を有する独立柱に対する2枚の強化繊維材シートによる本発明の補強構造を示す断面図である。図10では、第1の強化繊維材シート2−1で柱51の3個の隅角部を覆うようにし、第2の強化繊維材シート2−2で第1の強化繊維材シート2−1で覆われていない隅角部を含む3個の隅角部を覆うようにし、第1と第2の強化繊維材シート2−1、2−2の互いの端部が重なり合うように、且つ両強化繊維材シート2−1、2−2の各々の端末6−1、6−2、6−3、6−4が柱51のそれぞれ異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シート2−1、2−2が、柱51の表面を周回して添着されている。
【0046】
図10の強化繊維材シート2−1、2−2の両端部が51柱の2つの隅角部で重ね合わされており、該隅角部では強度が特に高い。
【0047】
図11は4つの隅角部を有する独立柱に対する2枚の強化繊維材シートによる補強構造を示す断面図である。図11では、第1の強化繊維材シート2−1で柱51の隅角部の2個を覆うようにし、第2の強化繊維材シート2−2で、第1の強化繊維材シート2−1で覆われていない2個の隅角部を覆うようにし、第1と第2の強化繊維材シート2−1、2−2の互いの端部が重ならないように、且つ第1の強化繊維材シート2−1の一方の端末6−1と第2の強化繊維材シート2−2の一方の端末6−3が柱51の一つの面上に配置され、残りの端末6−2、6−4同士が、柱51の別の面上に配置されるように、並びに強化繊維材シート2−1、2−2の繊維方向と柱51の周方向とを一致させるようにして、強化繊維材シート2−1、2−2が、柱51の表面を周回して添着されている。 このような補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シート2−3、2−4が前記と同様な配置状況となるように、且つ既に配置されている強化繊維材シート2−1、2−2の端末6−1、6−2、6−3、6−4の配置面とは異なる面に端末が配置されるように添着されて補強構造をなしている。該添着は1回以上繰り返されていてもよい。
【0048】
図11の補強構造では、下層と上層の各強化繊維材シートの両端部が独立柱の4つの隅角部で重ね合わされており、該隅角部では強度が高まる。また、図11の補強構造では、強化繊維材シートの積層構造において、内部に空間を生じ、この空間が強化繊維材シートの段差が発生し、直線性を保持することが困難となるので、この段差発生を防止するために段差解消材10で空間を充填しておくことが望ましい。段差解消材10には、段差発生防止用の繊維強化材やマトリックス樹脂を用いることができる。
【0049】
図12は4つの隅角部を有する独立柱に対して、4枚の強化繊維材シートによる補強構造を示す断面図である。図12では、第1の強化繊維材シート2−1で、柱51の3個の隅角部を覆うようにし、第2の強化繊維材シート2−2で、第1の強化繊維材シート2−1で覆われていない隅角部及び該隅角部に隣接する隅角部を覆うようにし、第1と第2の強化繊維材シート2−1、2−2の互いの端部が重なり合うように、且つ第1と第2の強化繊維材シート2−1、2−2の4個の端末6−1、6−2、6−3、6−4がそれぞれ柱51の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シート2−1、2−2の繊維方向と柱51の周方向とを一致させるようにして、強化繊維材シート2−1、2−2が、柱51の表面を周回して添着されている。このような補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シート2−3、2−4が上記と同様な配置状況となるように添着され、補強構造をなしている。該添着は1回以上繰り返されてていてもよい。
【0050】
図12の補強構造では、各強化繊維材シートの両端部が独立柱の4つの隅角部で重ね合わされており、該隅角部では強度が高まる。また、図12において10−1、10−2は、強化繊維材シートの積層構造の内部に発生する空間を防ぐために、空間内に充填するための段差解消材である。段差解消材10−1、10−2は強化繊維材シートの直線性を保つために使用することが好ましい。
【0051】
図13は4つの隅角部を有する独立柱に対して、4枚の強化繊維材シートによる補強構造を示す断面図である。図13では、1枚の強化繊維材シート2−1の両端部が柱51の隅角部において互いに重なり合うように、且つ巻き始め端末6−1と巻き終い端末6−2とが柱51の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シート2−1の繊維方向と柱の周方向とを一致させるようにして、強化繊維材シート2−1が、柱51の表面を周回して添着されている。このような補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シートが前記と同様な配置状況となるように添着されて補強構造をなしている。該添着は1回以上繰り返されていてもよい。巻き始め端末6−1と巻き終い端末6−2を450°程度周回させて、4本の強化繊維材シートを同様にして巻くと、段差のない表面構造が得られる。
【0052】
図13は、特に、4枚の強化繊維材シート2−1、2−2、2−3、2−4を用いて、互いの巻き終わりの端末と巻き始めの端末を密着させて形成した補強構造である。このように構成すれば、4枚目の巻き終わりの端末で、一枚目の巻き始めの端末により生じた段差が解消できる。しかも、4つの隅角部は4層の強化繊維材シートの補強がなされているので、強度が高い。
【0053】
図14は4つの隅角部を有する独立柱に対する従来の4層補強構造を示した断面図である。図13及び図14の補強構造に用いた強化繊維材シートの重ね合せ部の長さは柱51の一辺の長さと同一としている。図13の第1番目の強化繊維材シート2−1の巻き始め末端6−1は柱51のコーナー部であり、巻き終わり末端6−2は別のコーナー部でとなっている。引きつづき、第2番目の強化繊維材シート2−2の巻き始め末端6−3は、1番目の巻き終わり末端6−2と密着して始まり、巻き終わり末端6−4はさらに別のコーナー部である。同様にしてさらに第3番目、第4番目の強化繊維材シート2−3、2−4が巻かれている。
【0054】
図13及び図14の補強構造を比較すれば、図13では、独立柱の4箇所の隅角部に連続な強化繊維材シートが5層あるが、図14では、連続な強化繊維材シートが4層しかなく、継ぎ目を有する不連続な強化繊維材シートが1層ある。従って、図13の補強構造と図14の補強構造では、強化繊維材シートの使用量は同一であるが、図13の補強構造の方が、隅角部の補強効果が大きい。
【0055】
図15〜図17は、本発明が適用できる様々な断面を有する柱状体の断面図を概念的に示したものである。図15はコンクリート製の柱のコーナー部が曲面加工されたものある。図16は四角柱のコンクリート製の柱のコーナー部が面取り加工されたものである。図17はコンクリート製の柱に外皮加工がなされたものであり、柱51のコーナー部に曲面材7が積層され、柱51の平面部に平板8が積層されている。曲面材7及び平板8はプレキャストコンクリート、木材、プラスチック等から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせから構成される。
【0056】
【実施例】
図18に曲げ加工部引張試験概要図を、図19に従来材の強化繊維材シート2の曲げ加工部引張試験概要図を、図20に本発明材の強化繊維材シート2の曲げ加工部引張試験の概要図をそれぞれ示す。
【0057】
〔実施例1〕
炭素繊維HTA(引張強度400kgf/mm2 、引張弾性率24,000kgf/mm2 、東邦レーヨン株式会社製)の長繊維を一方向に配向し、融点115℃の変性ポリエステル不織布(目付25g/m2 、三井東庄化学株式会社製)を片面に圧着させ、炭素繊維目付け300g/m2 の強化繊維材を得た。
【0058】
この一方向強化織維材は、柔軟であり、直径300mmのドラムに巻き取ることが可能であった。この強化繊維材のドレープ性を天然繊維や合成繊維の風合度を測定するために用いられる風合メーターを用いて評価したところ、風合度は20gであり(測定温度25℃)、ドレープ性に優れていた。
【0059】
エピコート834(油化シェルエポキシ株式会社製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、粘度約25,000センチポイズ)、YED205(油化シェルエポキシ株式会社製、ポリグリコールジグリシジルエーテル、粘度約25センチポイズ)及び変性ポリアミンを用い、粘度が4,000センチポイズ(25℃)になるようにマトリックス樹脂を調整した。
【0060】
コンクリート材として、断面300mm×300mm、高さ900mmの柱を使用した。下地処理を実施した後に、前記マトリックス樹脂を400g/m2 塗布した。この上に、前記製造方法により得られた強化繊維材を、柱の周方向と強化繊維材の繊維軸方向とが一致するように配置した。そして、強化繊維材をハンドローラにて押圧し、下面よりマトリックス樹脂を湧出させるようにして、繊維層に含まれていた空気を追い出し、繊維層に樹脂を含浸させた。
【0061】
強化繊維材の巻き始め端末の下面に塗布したマトリックス樹脂が強化繊維材の表面に湧出した後、重ね合せ部にマトリックス樹脂を400g/m2 塗布し、巻き終い端末を重ね合せ、ハンドローラにて押圧し、重ね合せ部を形成した。ここで、図7に示すように強化繊維材の両端部を柱の隅角部で重ね合せ、巻き始め端末と巻き終い端末は、柱の異なる面に配置した。
【0062】
〔実施例2〕
前期実施例1のマトリックス樹脂を前記実施例1の強化繊維材1層に含浸させ、完全硬化する前のドレープ性を有する段階(25℃で4時間硬化した段階)でL字型(L字部の曲率半径は30mm)のアルミ板の上に載せ、図20に示した形状に重ね合せ、試験片(曲げ片長さ350mm+250mm)を作製した。重ね合せ部の長さは、図20に示す通り、隅角部から垂直方向に100mm、水平方向に100mmとした。その後、25℃で7日間硬化した。
【0063】
この曲げ加工した試験片の引張強度をJISK7073に準拠した試験条件で測定した。曲げ加工部引張強度は、382kgf/mm2 であった。
【0064】
〔比較例1〕
前記実施例1のマトリックス樹脂を前記実施例1の強化繊維材1層に含浸させ、完全硬化する前のドレープ性を有する段階(25℃で4時間硬化した段階)でL字型(L字部の曲率半径は30mm)のアルミ板の上に載せ、図19に示した形状の試験片(曲げ片長さ350mm+250mm)を作製した。その後、25℃で7日間硬化した。
【0065】
この曲げ加工した試験片の引張強度をJISK7073に準拠した試験条件で測定した。曲げ加工部引張強度は、329kgf/mm2 であった。
【0066】
前記実施例2と比較例1を比較すると、隅角部で2層の強化繊維材を重ね合せた材料は1層のみの強化繊維材より引張強度が優れていることが明らかとなった。
【0067】
〔実施例3〕
炭素繊維HTA(引張強度400kgf/mm2 、引張弾性率24,000kgf/mm2 、東邦レーヨン株式会社製)の長繊維を一方向に配向し、融点115℃の変性ポリエステル不織布(目付25g/m2 、三井東庄化学株式会社製)を両面に圧着させ、炭素繊維目付け600g/m2 の強化繊維材を得た。
【0068】
前記実施例1のマトリックス樹脂を上記強化繊維材1層に含浸させ、完全硬化する前のドレープ性を有する段階(25℃で4時間硬化した段階)でL字型(L字部の曲率半径は30mm)のアルミ板の上に載せ、図20に示した形状に重ね合せ、試験片(曲げ片長さ350mm+250mm)を作製した。その後、25℃で7日間硬化した。
【0069】
この曲げ加工した試験片の曲げ加工部引張強度をJISK7073に準拠した試験条件で測定した。曲げ加工部引張強度は、374kgf/mm2 であった。
【0070】
〔比較例2〕
前記実施例1のマトリックス樹脂を前記実施例3の強化繊維材1層に含浸させ、完全硬化する前のドレープ性を有する段階(25℃で4時間硬化した段階)でL字型(L字部の曲率半径は30mm)のアルミ板の上に載せ、図19に示した形状の試験片(曲げ片長さ350mm+250mm)を作製した。その後、25℃で7日間硬化した。
【0071】
この曲げ加工した試験片の曲げ加工部引張強度をJISK7073に準拠した試験条件で測定した。曲げ加工部引張強度は、281kgf/mm2 であった。
【0072】
前記実施例3と比較例2を比較すると、隅角部で2層の強化繊維材を重ね合せた材料は1層のみの強化繊維材より引張強度が優れていることが明らかとなった。
【0073】
また、上記結果を下記の表1にまとめて示すが、従来の方法である比較例1と比較例2を比較すると、炭素繊維目付け300g/m2 よりも炭素繊維目付け600g/m2 のシートを使用した系の強度が低下しているが、実施例2と実施例3の比較から明らかなように、本発明では、炭素繊維目付け600g/m2 でも強度低下は僅かである。
【0074】
【表1】
【0075】
【発明の効果】
角柱状のコンクリート構造物に圧縮荷重または曲げモーメントが作用すると、強化繊維材に引張力が加わり、柱の隅角部で強化繊維材シートが破断してしまう場合があるが、本発明の強化繊維材シートによるコンクリート構造物の補強構造では、壁付き柱或いは独立柱の隅角部の強度が高められているので隅角部の破断を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1つの隅角部を有する壁付き柱に対する本発明の補強構造の斜視図である。
【図2】図1のA−Aの断面図である。
【図3】1つの隅角部を有する壁付き柱に対する従来の補強構造の断面図である。
【図4】2つの隅角部を有する壁付き柱に対する本発明の補強構造の断面図である。
【図5】2つの隅角部を有する壁付き柱に対する従来の補強構造の断面図である。
【図6】2つの隅角部を有する壁付き柱に対する本発明の補強構造の断面図である。
【図7】4つの隅角部を有する独立柱に対する本発明の補強構造の斜視図である。
【図8】図7のA−Aにおける断面図である。
【図9】4つの隅角部を有する独立柱に対する従来の補強構造の断面図である。
【図10】4つの隅角部を有する独立柱に対する本発明の補強構造の断面図である。
【図11】4つの隅角部を有する独立柱に対する本発明の補強構造の断面図である。
【図12】4つの隅角部を有する独立柱に対する本発明の補強構造の断面図である。
【図13】4つの隅角部を有する独立柱に対する本発明の補強構造の断面図である。
【図14】4つの隅角部を有する独立柱に対する従来の補強構造の断面図である。
【図15】隅角部を曲面加工した柱の断面図である。
【図16】隅角部を面取り加工した柱の断面図である。
【図17】隅角部に曲面材を配した柱の断面図である。
【図18】曲げ加工部引張試験の概要図である。
【図19】従来の補強構造における強化繊維材シートの曲げ加工部引張試験の概要図である。
【図20】本発明の補強構造における強化繊維材シートの曲げ加工部引張試験の概要図である。
【符号の説明】
1、11、21、31、41 壁付き柱
2、2−1、2−2、2−3、2−4、12−1、12−2 強化繊維材シート
3、13 柱部位
4、14 壁部位
5、15 重ね合わせ部
6−1、6−2、6−3、6−4、6−5、6−6、6−7、6−8、16−1、16−2 端末
7 曲面材
8 平板
10、10−1、10−2 段差解消材
51 柱
Claims (8)
- (1)独立柱の表面が強化繊維材シートで補強されている補強構造であって、
(2)1枚の強化繊維材シートの両端部が独立柱の隅角部において互いに重なり合うように、且つ巻き始め端末と巻き終い端末とが独立柱の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シートの繊維方向と独立柱の周方向とを一致させるようにして、
(3)強化繊維材シートが、独立柱の表面を周回して添着されていることを特徴とする柱の補強構造。 - (1)独立柱の表面が強化繊維材シートで補強されている補強構造であって、
(2)1枚の強化繊維材シートの両端部が独立柱の隅角部において互いに重なり合うように、且つ巻き始め端末と巻き終い端末とが独立柱の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シートの繊維方向と独立柱の周方向とを一致させるようにして、
(3)強化繊維材シートが、独立柱の表面を周回して添着され、
(4)前記(1)〜(3)の補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シートが前記(2)及び(3)の配置状況となるように添着され、該添着が1回以上繰り返されていることを特徴とする柱の補強構造。 - (1)独立柱の表面が第1と第2の強化繊維材シートで補強されている補強構造であって、
(2)第1の強化繊維材シートで、独立柱の3個の隅角部を覆うようにし、
(3)第2の強化繊維材シートで、第1の強化繊維材シートで覆われていない隅角部及び該隅角部に隣接する隅角部を覆うようにし、
(4)第1と第2の強化繊維材シートの互いの端部が重なり合うように、且つ第1と第2の強化繊維材シートの4個の端末がそれぞれ独立柱の異なる面に配置されるように、並びに強化繊維材シートの繊維方向と独立柱の周方向とを一致させるようにして、
(5)強化繊維材シートが、独立柱の表面を周回して添着され、
(6)前記(1)〜(5)の補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シートが前記(2)〜(4)の配置状況となるように添着され、該添着が1回以上繰り返されていることを特徴とする柱の補強構造。 - (1)独立柱の表面が第1と第2の強化繊維材シートで補強されている補強構造であって、
(2)第1の強化繊維材シートで、独立柱の隅角部の2個を覆うようにし、
(3)第2の強化繊維材シートで、第1の強化繊維材シートで覆われていない2個の隅角部を覆うようにし、
(4)第1と第2の強化繊維材シートの互いの端部が重ならないように、且つ第1の強化繊維材シートの一方の端末と第2の強化繊維材シート一方の端末が独立柱の一つの面上に配置され、残りの端末同士が、独立柱の別の面上に配置されるように、並びに強化繊維材シートの繊維方向と独立柱の周方向とを一致させるようにして、
(5)強化繊維材シートが、独立柱の表面を周回して添着され、
(6)前記(1)〜(5)の補強構造の表面にさらに、別の強化繊維材シートが前記(2)〜(4)の配置状況となるように、且つ既に配置されている強化繊維材シートの端末の配置面とは異なる面に端末が配置されるように添着され、該添着が1回以上繰り返されていることを特徴とする柱の補強構造。 - 強化繊維材シートの積層構造において、内部に生じる空間を段差解消材で充填したことを特徴とする請求項2、3又は4記載の柱の補強構造。
- 前記壁付き柱又は独立柱がコンクリート構造物である請求項1〜5の何れか1項記載の柱の補強構造。
- 前記強化繊維材シートが、一方向配向強化繊維材又は織組織強化繊維材から選ばれた1種又は2種以上である請求項1〜6の何れか1項記載の柱の補強構造。
- 前記織組織が、平織組織、綾織組織、及び繻子織組織から選ばれたも のである請求項7記載の柱の補強構造。
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