JPH10317265A - 一方向強化繊維材、それを用いた成形方法及びその成形物 - Google Patents

一方向強化繊維材、それを用いた成形方法及びその成形物

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JPH10317265A
JPH10317265A JP9143064A JP14306497A JPH10317265A JP H10317265 A JPH10317265 A JP H10317265A JP 9143064 A JP9143064 A JP 9143064A JP 14306497 A JP14306497 A JP 14306497A JP H10317265 A JPH10317265 A JP H10317265A
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JP
Japan
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reinforcing fiber
sheet
fiber material
thermoplastic resin
reinforcing
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JP9143064A
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Masato Ando
正人 安藤
Shigehiko Harada
茂彦 原田
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Teijin Ltd
Original Assignee
Toho Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 FRP成形物を成形する際に、適度な形態
保持性を有し、ドレープ性、樹脂含浸性に優れたFRP
成形用一方向強化繊維材を提供する。 【解決手段】 一方向に引き揃えられた強化繊維と、樹
脂が通過できる通孔を有する熱可塑性樹脂繊維シートを
熱融着してなる一方向強化繊維シート。また、このシー
トにマトリックス樹脂を含浸、成形する方法及び成形
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FRP成形に使用
される強化繊維材、この強化繊維材を用いたFRP成形
方法、FRP成形物補強方法、成形物並びにFRP成形
物の補強・補修構造に関する。さらに詳しくは、繊維強
化材にマトリックス樹脂を成形面上で含浸させ、ついで
マトリックス樹脂を硬化させて繊維強化樹脂成形物を得
る方法に適用するに好適な繊維強化材を提供するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】FRP成形方法には、ハンドレイアップ
成形、引抜き成形、フ゜レス成形、オートクレーフ゛成形、フィラメントワイ
ント゛成形、RIM成形、RTM成形などが知られており、繊維
強化材はその取扱い性により、織物、組み紐、マット
材、ロービング材などがその成形方法、FRPの要求特
性などに応じて使用されている。これらの成形方法のう
ち、ハンドレイアップ成形やRIM成形などの予めマト
リックス樹脂の含浸していない繊維強化材を成形型に設
置した後、マトリックス樹脂を含浸し、硬化させる成形
方法には、強化繊維材の取扱い性の面からマット材、織
物材、組み紐材などの繊維が二次元あるいはランダムに
配向し、かつ繊維の屈曲した材料を使用していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記強
化繊維材は、二方向もしくはランダムに繊維が配向し、
且つその繊維も屈曲しているために、これらを使用した
FRP成形品は、本来の強化繊維物性を充分に反映した物
性を有するものではなかった。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記した問題点を解決す
るために、本発明のFRP成形用強化繊維材は、一方向
に引き揃えられた強化繊維シートの少なくとも一方の面
に、マトリックス樹脂を通過させることができる熱可塑
性繊維シートが配され両者が熱融着されている繊維強化
材である。この熱可塑性繊維シートには孔径1〜50m
mφ且つ開孔率5〜40%の通孔を有することがより好
ましい。
【0005】一方向に引き揃えられた強化繊維シート
は、単独でも複数を繊維シート繊維軸が交叉するように
積層した積層強化繊維シートでも良い。繊維軸の交叉角
度は最も単純な2層構造では、0゜/90゜であるが、
その組合せは、0゜/45゜,0゜/60゜などでも良
く、積層される強化繊維の厚さや繊維目付(単位面積当
たりの重量)は、同一でも異なっていても良い。3層に
積層された場合は、通常は第1層と第3層が同一繊維軸
方向となるように積層される。このように積層された強
化繊維材は、成形時の作業効率、品質管理の点において
優れる。
【0006】積層された強化繊維間には、熱可塑性繊維
の不織布、例えば表面に配されたと同様な熱可塑性繊維
シートが配され、且つ熱融着していることが、層間の剥
離を防止する上で好ましい。
【0007】また、層間の剥離、強化繊維相互間の分離
を防止するために、熱可塑性樹脂の短繊維又は粉末を介
在させ、強化繊維相互を点接着させる事もできる。この
場合熱可塑性樹脂の短繊維又は粉末の量が多くなると全
体が硬くなる傾向が強くなるので、強化繊維の重量に対
し10%以下好ましくは5%以下が好ましい。ここで使
用される熱可塑性樹脂としては、熱可塑性樹脂シートと
同質の素材が好ましいがこれには限定されない。例え
ば、低融点の変性ポリアミド、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩
化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボ
ネート、ポリアセタール、ポリエステルなどを使用する
ことが出来る。
【0008】熱可塑性樹脂繊維は、繊維長50mm以
下、特に30mm以下の短繊維が好ましい。熱可塑性樹
脂粉末の場合は、平均粒径0.2mm以下、特に好まし
くは0.05mm以下の粒径のものが好ましい。これら
の短繊維又は粉末を混合し熱融着させることによって強
化繊維相互がピンポイント接着し繊維相互の分離が抑制
され、取り扱い性が改善される。更に、切断したときに
も切断面の纏まりが良く、多方向積層接着にも好適であ
る。
【0009】強化繊維材は、下記式で示される空隙率が
35〜70%であることを特徴とする請求項1記載の強
化繊維材。 ( 1− 強化繊維材の真の体積/見かけの体積)×1
00= 空隙率(%) 強化繊維材の真の体積=目付/繊維比重 見かけの体積=厚み×単位面積 厚みの測定方法 :JIS R7602に準拠して測定 本発明の説明に用いる用語「強化繊維シート」は、本発
明の「強化繊維材」の構成材料の一部を意味し、全部を
意味しない。
【0010】本発明の強化繊維材は、上記したように一
方向に引き揃えられた強化繊維シートと熱可塑性樹脂シ
ートが熱融着してなる融着物であり、マトリックス樹脂
を含んでいない。そして、該強化繊維材を用いた本発明
のFRP成形方法によれば、強化繊維材をFRP成形に
配設するときにはマトリックス樹脂を含浸していない状
態のものを使用するので、その重量は、マトリックス樹
脂を含浸しているものに比べ軽量であり、作業性に優れ
る。しかもドレープ性に優れているので、FRP成形型
の表面の複雑な形状にも追従させて配置することができ
る。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の強化繊維材において使用
可能な強化繊維の種類は、アラミド繊維、炭素繊維、硝
子繊維などの有機もしくは無機繊維の単独又は2種以上
の組合せである。
【0012】FRP成形物に高強度を与える上で、特
に、好ましくは炭素繊維が使用され、炭素繊維としては
アクリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などが挙げられ
る。これらの炭素繊維は、樹脂などの親和性を増すため
に表面処理により表面が活性化されたものが好ましい。
【0013】また、強化繊維シートは一方向配向配列繊
維シートが繊維軸を異にして積層されたものであっても
良い。この場合、積層間の剥離を防止するために、層間
に、例えば不織布などのマトリックス樹脂通過性を有す
る熱可塑性繊維シートを介在させ熱融着させることもで
きる。更に、強化繊維シートには、熱可塑性樹脂の短繊
維もしくは粉末を介在させる事もできる。
【0014】本発明の強化繊維材の構成要素である熱可
塑性樹脂シートの成分は、ポリアミド繊維、ポリエステ
ル繊維などが挙げられ、特に溶融温度が200℃以下の
ものが好適である。特に、50℃〜150℃のものがよ
い。その理由は、溶融温度が200℃を越えるものであ
れば熱融着に多くのエネルギーが必要となるためであ
る。50℃未満で溶融する繊維では気温が高くなる夏場
には形態保持性が乏しくなりやすい。
【0015】熱可塑性樹脂シートの形態は、不織布、フ
リースなどでもよく、特に制限されないが、マトリック
ス樹脂を通過させることができる通孔を有するシート形
態であり、本発明の強化繊維材にマトリックス樹脂を含
浸した場合に、マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂シート
の通孔を通って強化繊維シートに含浸出来るものであれ
ば何でもよい。
【0016】このような通孔は、不織布の繊維間の間隙
の他に、1〜50mmφの孔径で且つ開孔率5〜40%
のものが好ましい。
【0017】更にシート目付で規定すれば、10〜10
0g/m2 、好ましくは20〜80g/m2 の通気性
の高い熱可塑性樹脂シートである。このような組織の熱
可塑性樹脂シートは、一般に市販されているものが使用
可能である。熱可塑性樹脂繊維不織布は、通気抵抗が低
い物を得ることができるので、特に好適である。
【0018】本発明の強化繊維材は、前記強化繊維シー
トの片面或いは両面に、前記熱可塑性樹脂シートが配さ
れ、両者が界面において熱融着されて一体となってい
る。強化繊維シートと熱可塑性樹脂シートとの熱融着の
程度は、熱可塑性樹脂シートが通孔の状態を維持してい
る程度に溶融して、両者が接着しているのが良い。熱可
塑性樹脂シートが完全に溶融し、膜状を形成してしまう
と、熱可塑性樹脂シートの通孔が完全に塞がれたり或い
は通孔の径が減少するため、マトリックス樹脂の含浸性
に欠けるようになるからである。強化繊維シートが積層
されたものである場合は、強化繊維シート相互の界面
で、表面と同程度に接着しているのがよい。
【0019】強化繊維材の密度は、空隙率で35〜70
%であることが良い。空隙率が35%を下回るとマトリ
ックス樹脂の含浸性が低下し、成形物中にホ゛イト゛を生じ
易く、また70%を超えるものはシートのハ゛ラケを生じ易
く、取扱い性に劣る。本発明の強化繊維材の断面概念図
を図1に示す。
【0020】図1において、1は強化繊維シート、2は
熱可塑性樹脂シート、3は界面を示す。
【0021】図2乃至第4図は別の態様の強化繊維材を
示す。本発明の強化繊維材の製造において、強化繊維シ
ートの両面を2枚の熱可塑性樹脂シートにより挟み込む
ように配置して熱融着しても良い。強化繊維シートと熱
可塑性樹脂シートとの界面3に於ける融着は、両者を重
ね合わせた状態で、熱加圧ローラ間を通過させることに
よって、或いは熱板に挟み、加熱することによって行う
ことができる。
【0022】熱可塑性樹脂シートを2枚用いる場合は、
その種類が異なってもよく、例えば、一方が不織布もう
一方がネットでも良い。強化繊維シートを2枚の熱可塑
性樹脂シートで挟み込むように配置して熱融着している
場合、熱融着による一体化に加えて、必要に応じて、2
枚の熱可塑性樹脂シートに対して、軽いピンポイント接
着又はステッチを入れてもよい。このような処理を行う
と、より一層、強化繊維シートの偏りやずれが無くな
り、取扱い性が改善される。さらに必要に応じて、熱可
塑性樹脂シートとしてフリースを使用し、軽いパンチン
グを行っても良い。強化繊維シート材が炭素繊維である
場合、通電して炭素繊維の通電抵抗を利用して炭素繊維
を発熱させ、そのまま加圧ローラ間を通すと、炭素繊維
に接触している熱可塑性樹脂シートが軟化し、効率的な
ピンポイント接着を行うこともできる。このような方法
の採用は、強化繊維シートと熱可塑性樹脂シートを多層
に積層し、同時に接着する場合に特に有効である。本発
明の製造方法により得られる強化繊維材は、従来の織
物、組み紐とは異なり、繊維の屈曲が発生しない。
【0023】また、本発明の製造方法により得られる強
化繊維材は、マトリックス樹脂の含浸性は極めて高く、
繊維目付は、広い範囲で選定できる。強化繊維シートの
目付の下限は、通常、50g/m2 以上、特に200
g/m2 以上とするのが、積層工程を減少させる観点
から好ましく、一方、目付の上限は、目付が大きくなる
とマトリックス樹脂の含浸性が劣るなどの理由で、80
0g/m2 を越えない方が良い。強化繊維シートが積
層構成されている場合は、単位シートの目付は、低い方
が等方性の強化繊維材を得る上で好ましい。積層される
単位シートは同じ目付である必要はない。
【0024】本発明の強化繊維材へのマトリックス樹脂
の含浸はFRP形成面にFRP成形構造物面マトリック
ス樹脂を予め塗布し、強化繊維材を配設し、この強化繊
維材の繊維層の厚さと樹脂量に応じ、さらにマトリック
ス樹脂を塗布し、或いはそのままで、ローラーなどの圧
着具により、強化繊維材を押さえつけて、下層に塗布さ
れている接着剤やマトリックス樹脂をしみだすように
し、強化繊維材の繊維層に含まれる空気などの気泡を追
い出しつつ、繊維層にマトリックス樹脂を充分に含浸さ
せる。
【0025】強化繊維材を一層或いは多層積層して用い
る場合、一層ごとに、マトリックス樹脂の塗布と強化繊
維材の配置を行い、ローラーなどの圧着具による樹脂含
浸をその都度行うのが良い。強化繊維材にマトリックス
樹脂を含浸させる際、ローラーによる毛羽立ちを無くす
るために、強化繊維材の配設は熱可塑性樹脂シートの面
が外になるように配置することが望ましい。形態安定
性、取扱い性の面からは、強化繊維シートの両面に熱可
塑性樹脂シートが融着されていることが好ましい。
【0026】本成形に使用されるマトリックス樹脂の種
類は特に制限されないが、エポキシ樹脂、ヒ゛ニルエステル樹
脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。例えば
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹
脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノール
S型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹
脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポ
キシ樹脂、ハロゲン化エポキシ樹脂、グリシジルアミン
型エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0027】エポキシ樹脂には反応性希釈剤として、n
−ブチルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテ
ル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、スチレン
オキサイド、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグ
リシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどが併
用でき、無溶剤で適度の粘度に調整するのに有効であ
る。
【0028】エポキシ樹脂の硬化剤及び硬化促進剤とし
ては、通常エポキシ樹脂に用いられている種類のものが
適用できる。例えばポリアミドアミン、アミドアミン、
ジエチレントリアミンなどの脂肪族ポリアミン、メタキ
シレンジアミンなどの芳香族ポリアミン、脂環族ポリア
ミン、変性ポリアミン、ベンジルジメチルアミンなどの
第三アミン、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾー
ル類、ポリメルカプタン類、ポリチオール類、三フッ化
ホウ素アミン錯体などを例示できる。ビニルエステル樹
脂にはビスフェノールA型ビニルエステル樹脂、ビスフ
ェノールF型ビニルエステル樹脂、ビスフェノールS型
ビニルエステル樹脂、フェノールノボラック型ビニルエ
ステル樹脂、クレゾールノボラック型ビニルエステル樹
脂、脂環式ビニルエステル樹脂、ハロゲン化ビニルエス
テル樹脂などが挙げられる。
【0029】不飽和ポリエステル樹脂としては、マレイ
ン酸、無水マレイン酸、フマル酸などの不飽和二塩基酸
とエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロプ
レングリコールなどのグリコール類からなるものが使用
されるが、特に制約を受けるものではない。
【0030】不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル
樹脂の硬化剤としては、一般的に使用されるものなら特
に制約を受けるものではないが、ハイドロパーオキシド
類、ジアルキルパーオキシド類、ジアリルパーオキシド
類、ケトンパーオキシド類、パーオキシジカーボネート
類、パーオキシケタール類、パーオキシエステル類など
の有機過酸化物などが例示される。また不飽和ポリエス
テル樹脂や、ビニルエステル樹脂には、ナフテン酸コバ
ルトなどの一般的な促進剤を併用しても良い。また本発
明の強化繊維材は、既成形のFRP成形物の補強・補修
に使用しても良い。
【0031】
【実施例】
〔実施例1〕アクリル系炭素繊維(強度400kgf/
mm2 ,弾性率24t/mm2 ,繊維直径7μm)の
長繊維を一方向配向した、目付300g/m2 の炭素
繊維シートの片面に、融点115℃の変性ポリエステル
不織布(目付25g/m2、三井東圧化学(株)製)を
重ね、設定温度113℃の熱加圧ローラ間を通過させ、
一体化させることにより、図1の強化繊維材を得た。こ
の強化繊維材は、柔軟であり、直径300mmのドラム
に巻き取ることが可能であった。この強化繊維材のドレ
ープ性を、天然繊維や合成繊維の風合度を測定するため
に用いられる風合メーターを用いて評価したところ、2
5℃における風合メーターによる風合度は20g、10
℃における風合度は30gであり、ドレープ性に優れて
いた。ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びイミダゾ
ール系硬化剤を用い、マトリックス樹脂とした。 この
マトリックス樹脂を、上記製造方法により得られた図1
の強化繊維材に繊維体積含有率が40%になるよう含浸
塗布し、ハンドローラーにて押圧転動を繰り返し、繊維
層に含まれていた空気を追い出し、繊維層にマトリック
ス樹脂を含浸させた。ついで、40℃の雰囲気で48時
間静置し、マトリックス樹脂を硬化させた。この成形物
の引張強度テスト結果を下記の表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】〔実施例2〕アクリル系炭素繊維(強度4
00kgf/mm2 ,弾性率24t/mm2 ,繊維直
径7μm)の長繊維を一方向配向した、目付300g/
2 の炭素繊維シートの片面に、融点130℃の変性
ポリアミド不織布(目付25g/m2 、三井東圧化学
(株)製)に、孔径5mmφを横方向ピッチ10mm、
縦方向ピッチ5mmとなるようパンチング処理した不織
布(開孔率39%)を配し、設定温度127℃の熱加圧
ローラ間を通過させ、一体化させ図1の強化繊維材を得
た。
【0034】同様に作製した目付150g/m2の炭素
繊維シートを前記300g/m2の一方向強化繊維シー
トの両面に、強化繊維が直交するように貼り合せ、図4
の交互積層タイプ(0°/90°/0°)強化繊維材を得た。本
強化繊維材に実施例1のマトリックス樹脂を実施例1と
同様の方法で含浸、硬化させた。この成形物の引張強度
テスト結果を表1に示す。
【0035】〔比較例1〕アクリル系炭素繊維(強度4
00kgf/mm2 ,弾性率24t/mm2 ,繊維直
径7μm)からなる平織物(炭素繊維目付:630g/
2)に、実施例1のマトリックス樹脂を実施例1と同様
の方法で含浸、硬化させた。この成形物の引張強度テス
ト結果を表1に示す。
【0036】〔比較例2〕アクリル系炭素繊維(強度4
00kgf/mm2 ,弾性率24t/mm2 ,繊維直
径7μm)の長繊維を一方向配向した、目付300g/
2 の炭素繊維シートの片面に、融点115℃の変性
ポリエステル不織布(目付50g/m2、三井東圧化学
(株)製)を重ね、設定温度120℃の熱加圧ローラ間
を通過させ、一体化させることにより、実施例1とは空
隙率の異なる図1の強化繊維材を得た。これに実施例1
のマトリックス樹脂を実施例1と同様の方法で含浸、硬
化させた。この成形物の引張強度テスト結果を表1に示
す。
【0037】
【発明の効果】本発明のFRP成形用強化繊維材は、軽
量であり且つドレープ性に優れ、作業性に優れる。本発
明のFRP成形用強化繊維材は、一方向に引き揃えられ
た強化繊維シートにマトリックス樹脂が通過できる通孔
を有する熱可塑性樹脂シートが配されているので、マト
リックス樹脂の含浸性に優れ、強化繊維層に含まれる気
泡がマトリックス樹脂成分の含浸工程において追い出さ
れ、気泡の減少した強度の高いFRP成形物を提供する
ことができる。本発明のFRP成形用強化繊維材は、織
物や組み紐のような強化繊維の屈曲がないために、強度
の高いFRP成形物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図 1】本発明の強化繊維材の断面概念図である。
【図 2】本発明における熱可塑性樹脂シートを両面に
配した強化繊維材の断面概念図である。
【図 3】本発明の強化繊維シートの繊維軸角度を変え
て配置した強化繊維材の断面概念図である。
【図 4】本発明の強化繊維シートを角度を変えて3層
に配した強化繊維材の断面概念図である。
【符号の説明】
1 強化繊維シート 2 熱可塑性樹脂シート 3 界面部位

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方向に引き揃えられた強化繊維シート
    の少なくとも一方の面に、マトリックス樹脂が通過でき
    る通孔を有する熱可塑性樹脂繊維シートが配され、両者
    が熱融着されていることを特徴とする強化繊維材。
  2. 【請求項2】 一方向に引き揃えられた強化繊維シート
    の少なくとも一方の面に、マトリックス樹脂が通過でき
    る通孔を有する熱可塑性樹脂繊維シートが配され、両者
    が熱融着されており且つ下記式で示される空隙率が35
    〜70%であることを特徴とする請求項1記載の強化繊
    維材。 ( 1− 強化繊維材の真の体積/見かけの体積)×1
    00= 空隙率(%)
  3. 【請求項3】 複数の一方向に引き揃えられた強化繊維
    シートが繊維軸方向を異にして積層されており、しかも
    この積層シートの少なくとも一方の面に、マトリックス
    樹脂が通過できる通孔を有する熱可塑性樹脂繊維シート
    が配され、両者が熱融着されていることを特徴とする請
    求項1又は2記載の強化繊維材。
  4. 【請求項4】 複数の一方向に引き揃えられた強化繊維
    シートが繊維軸方向を異にして積層されており、しかも
    この積層された繊維強化シート相互の間に少なくとも一
    層の、マトリックス樹脂が通過できる通孔を有する熱可
    塑性樹脂繊維シートが配されていることを特徴とする、
    請求項1乃至3記載の強化繊維材。
  5. 【請求項5】 一方向に引き揃えられた強化繊維シート
    の少なくとも一方の面に、1〜50mmφで且つ開孔率
    が5〜40%の通孔を有する熱可塑性樹脂シートが配さ
    れ、両者が熱融着されていることを特徴とする、請求項
    1乃至4記載の強化繊維材。
  6. 【請求項6】 前記強化繊維シートが炭素繊維から構成
    されたものである、請求項1乃至5記載の強化繊維材。
  7. 【請求項7】 前記熱可塑性樹脂シートが50℃以上で
    溶融したものである、請求項1乃至6記載の強化繊維
    材。
  8. 【請求項8】 前記熱可塑性樹脂シートの目付が100
    g/m2 以下である、請求項1乃至7記載の強化繊維
    材。
  9. 【請求項9】 前記熱可塑性樹脂シートが熱可塑性樹脂
    繊維不織布である、請求項1乃至8記載の強化繊維材。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至9記載の強化繊維材にマ
    トリックス樹脂を含浸させ、次いで硬化させる事を特徴
    とする成形方法
  11. 【請求項11】 一方向に引き揃えられた強化繊維シー
    トと熱可塑性樹脂シートとが熱融着している状態の強化
    繊維材が一層以上配され、マトリックス樹脂によって硬
    化していることを特徴とするFRP成形物。
  12. 【請求項12】 一方向に引き揃えられた強化繊維シー
    トと熱可塑性樹脂シートとが熱融着している状態の強化
    繊維材が一層以上配され、マトリックス樹脂によってF
    RP成形物の表面上に一体化して硬化していることを特
    徴とするFRP成形物の構造。
JP9143064A 1997-05-16 1997-05-16 一方向強化繊維材、それを用いた成形方法及びその成形物 Pending JPH10317265A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001001319A (ja) * 1999-06-24 2001-01-09 Takehiro:Kk 熱可塑性植物繊維シートの製造方法
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