JP4230411B2 - 浴室床及びその成形方法 - Google Patents
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Description
前記床面部は、排水部付近に位置する第1の領域と、当該第1の領域以外に位置する第2の領域とからなり、これら第1及び第2の領域には相互に異なる樹脂材料が用いられ、
前記第1の領域に用いられる樹脂材料は、第2の領域に用いられる樹脂材料より高い親水性を有する、という構成を採っている。
前記第1の領域は、床面部面内における排水口外縁回り及び又は排水溝側縁回りに設けられ、その領域の幅は約200mm以下に設定される、という構成も採ることができる。
前記成形型は、床面部形成領域と、この床面部形成領域の一部領域若しくは一端側に設けられた排水部形成領域とをキャビティに備え、
前記床面部形成領域に第1の樹脂材料を配置する一方、前記排水部形成領域及び又は当該領域に隣接する床面部形成領域に第1の樹脂材料より高い親水性を発揮する第2の樹脂材料を配置して成形する、という手法を採っている。
凸部19の一辺の長さは、特に限定されるものでないが、1〜50mmに設定されている。一方、溝18は、その延出方向と直交する方向の断面形状が略凹状とされるとともに、溝幅が0.5〜3.0mm、溝深さが0.3〜2.0mmに設定され、隣接する凸部19上の湯水を溝18内に誘引する力を発揮するようになっている。
また、床面部14は、約1/10〜2/10の範囲内で排水口15へ向かって傾斜するように凹んだ面形状をなす水勾配を備え、上面側に掛けられた湯水が図3中二点鎖線で示される方向に流れるようになっている。
具体的には、第1の領域23の上面の静的接触角が50°〜70°に設定される一方、前記第2の領域24の上面の静的接触角が80°〜90°に設定され、第1の領域23は、第2の領域24より高い親水性を上面に発揮するようになっている。
なお、図2中、第1の領域23を網点により表したが、当該網点は、説明の便宜上、第1及び第2の領域23,24を特定するために付したものであり、実際の床面部14が各領域間で色分けされるものではない。
(1)不飽和ポリエステル樹脂若しくはエポキシアクリレート樹脂のグリコール成分として、平均分子量が200〜1000となるポリエチレングリコールを分子骨格中に組み込んだ樹脂材料
(2)不飽和ポリエステル樹脂若しくはジアリルフタレート樹脂100重量部に対し、添加剤(アルコキシシリル基を有するモノエポキシ樹脂とジカルボン酸との開環反応物)を1〜20重量部添加した樹脂材料
上記(1)の樹脂材料によれば、親水性を発揮するポリエチレングリコールが不飽和ポリエステル等の樹脂構造の一部とされるため、入浴や清掃を繰り返し行った場合でも、床面部14の上面に親水性を半永久的に発揮させることが可能となる。
上記(2)の樹脂材料によれば、添加剤中のアルコキシシリル基の作用により、不飽和ポリエステル樹脂等と添加剤との相溶性を向上させ、つまり、これらが分離する力を弱めて、添加剤を浴室床10の厚さ方向に対して均一に分散させることができる。よって、床面部14の上面側にアルコキシシリル基を発現させることができるので、浴室床10の使用時に、アルコキシシリル基中のアルキル基を加水分解により除去させて水酸基を形成することでき、床面部14の上面に親水性を発揮させることが可能となる。
前記プレス成形法は、図4(A)及び(B)に模式的に示されるような成形型30を用いて行うことができる。この成形型30は、下型31と、この下型31との間に所定のキャビティ32を形成する上型33とを備えて構成されている。キャビティ32は、前記床面部14を形成可能な床面部形成領域32Aと、当該領域32Aの一端側(図4(A)中左端側)に位置するとともに、下型31の上面(キャビティ面)から突出する領域を有する排水部形成領域32Bとを備えている。
このような成形型30により浴室床10を成形する場合、所定の離型処理を行った後、図4(A)に示されるように、SMCとされた第1の樹脂材料M1を排水部形成領域32B上に配置し、SMCとされた第2の樹脂材料M2を床面部形成領域32A上に配置する。次いで、図4(B)に示されるように、下型31及び上型33を合わせることにより、各樹脂材料M1,M2に圧力が付与されて当該樹脂材料M1,M2がキャビティ32内で伸展し、所定のキープ時間経過後に浴室床10が成形される。このとき、各樹脂材料M1,M2は、キャビティ32内で相互に結合されるようになり、第1の樹脂材料M1により第1の領域23が形成され、第2の樹脂材料により第2の領域24が形成される。
なお、第1の樹脂材料M1は、図4(C)に示されるように、排水部形成領域32Bに隣接する領域に配置しても、前述と同様にして成形することができる。
このような成形型35により浴室床10を成形する場合、前記第1及び第2の樹脂材料M1,M2をゲルコートとして使用する。キャビティ41に所定の離型処理を行った後、第1の領域23に対応する位置すなわち排水部形成領域36Bに隣接する床面部形成領域36Aに第1の樹脂材料M1を塗布し、それ以外の床面部形成領域36Aに第2の樹脂材料M2を塗布することにより浴室床10が成形される。
ここでは、図6に示されるように、平面サイズが150×300mm、重量650gのプレート40をプレス法により成形した。当該プレート40は、幅1.5mm、深さ1.0mmの溝41と、一辺の長さが10mmとなる平面視正方形状の複数の凸部42と、図6中下端40A側に形成された縁取り部43とを上面に備えており、図6中下端40A側の断面形状(B−B線に沿う断面形状)が前述の排水口15の外周側に近似した形状、すなわち、図2と同様の断面形状となるように形成した。
ここで、プレート40を成形型を用いて成形するときに、図6中下方領域に対応するキャビティ内に重量150gのSMCからなる第1の樹脂材料を配置し、図6中上方領域に対応するキャビティ内に重量500gのSMCからなる第2の樹脂材料を配置した。
第1の樹脂材料は、一例として表1に示される配合表に準じて作製した。添加剤は
モノエポキシ樹脂としてグリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン250重量部、ジカルボン酸としてフマル酸232重量部を配合し、温度140℃、キープ時間180分の条件下で開環反応させたものを用いた。
第2の樹脂材料は、表1の添加剤を抜いた配合のものを用いた。
実施例1に対し、第1の樹脂材料を重量300g、第2の樹脂材料を重量350gに変えた。
実施例1に対し、成形法をハンドレイアップ成形法に変え、第1及び第2の樹脂材料を後述の配合により作製されるゲルコートとして用いた。図6中下端に沿う50mm幅の領域に対応するキャビティ面に第1の樹脂材料を塗布し、それ以外の領域に第2の樹脂材料を塗布した。
第1の樹脂材料は、一例として表2に示される配合表に準じて作製した。添加剤は実施例1と同じく、モノエポキシ樹脂としてグリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン250重量部、ジカルボン酸としてフマル酸232重量部を配合し、温度140℃、キープ時間180分の条件下で開環反応させたものを用いた。
第2の樹脂材料は、表2の添加剤を抜いた配合のものを用いた。
実施例1に対し、第1の樹脂材料を用いずに、重量650gの第2の樹脂材料だけで成形を行った。
実施例3に対し、第1の樹脂材料を用いずに、第2の樹脂材料だけで成形を行った。
なお、表3中、排水状態の評価として、「◎」は、非常に良好な評価(プレート下端部に水が滞留することなく流れ落ちる状態)を表す。また、「○」は、良好な評価(プレート下端部において排水速度が遅くなるものの、水が殆ど滞留することなく流れ落ちる状態)を表し、「×」は、期待する排水性が見られなかったという評価(プレート下端部に水が水滴状に滞留する状態)を表す。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、数量、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (5)
- 所定位置に排水部が設けられた床面部を有する樹脂製の浴室床において、
前記床面部は、排水部付近に位置する第1の領域と、当該第1の領域以外に位置する第2の領域とからなり、これら第1及び第2の領域には相互に異なる樹脂材料が用いられ、
前記第1の領域に用いられる樹脂材料は、第2の領域に用いられる樹脂材料より高い親水性を有することを特徴とする浴室床。 - 前記第1の領域は、その上面の静的接触角が50°〜70°に設定される一方、前記第2の領域は、その上面の静的接触角が80°〜90°に設定されていることを特徴とする請求項1記載の浴室床。
- 前記第1の領域は、床面部面内における排水部外縁回りに設けられ、その領域の幅は約200mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の浴室床。
- 前記排水部は、床面部を開口する排水口及び又は排水溝を備え、
前記第1の領域は、床面部面内における排水口外縁回り及び又は排水溝側縁回りに設けられ、その領域の幅は約200mm以下に設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の浴室床。 - 請求項1〜4の何れかに記載の浴室床を成形型を用いて成形する方法であって、
前記成形型は、床面部形成領域と、この床面部形成領域の一部領域若しくは一端側に設けられた排水部形成領域とをキャビティに備え、
前記床面部形成領域に第1の樹脂材料を配置する一方、前記排水部形成領域及び又は当該領域に隣接する床面部形成領域に第1の樹脂材料より高い親水性を発揮する第2の樹脂材料を配置して成形することを特徴とする浴室床の成形方法。
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