JP4229541B2 - 空気調和機の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧縮機の駆動用電力などの大きな電力が流れる端子板の異常発熱対策に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に分離型の空気調和機、特に交流100Vを使用する家庭用のものでは、室内ユニットに設けられた端子板を介して室外ユニットへ電力を供給するように構成されていたが、この端子板で接続不良による発熱・発火などの問題が発生しており、発火などに至らないように保護装置が働く構造のものが求められていた。
【0003】
このような問題に対して、端子板の発熱が分かるように密着して温度ヒューズを一体に取付け、この温度ヒューズの溶断が分かるように制御装置と、温度ヒューズとを接続するものが考えられていた。
【0004】
このような構成では、接続不良で接触抵抗が大きくなると接続部が発熱して端子板の温度が高くなって温度ヒューズが溶断し、同時にこの温度ヒューズの溶断を制御装置が感知するところとなり、保護動作が行われていた。
【0005】
このような従来の加熱保護装置に対して特開平5−91651号公報に記載されているようなものが開発されていた。この公報に記載されたものは、溶断した温度ヒューズの取り替えを不要にしたものであり、「交流電源の電源線を空気調和機のねじ式電源端子台のねじ部に接続し、このねじ式電源端子台から空気調和機の内部回路への交流電源の通電を行うリレーを接続し、前記ねじ式電源端子台の発熱が分かるように密着して感温式SWを備え、この感温式SWの接片の開閉状態が分かるように制御装置とこの感温式SWとを接続し、前記制御装置と前記リレーの巻線とを、リレードライバーを介して接続する構成」とすることによって、空気調和機のねじ式電源端子台の過熱保護動作が働くとき、前記ねじ式電源端子台の異常発熱を検知する感温式SWの接片が、閉から開になり、その後、前記ねじ式電源端子台の発熱が治まると、前記感温式SWの接片が、開から閉になり、自動的に元の接続に戻ることができるものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、製造の効率UP等により端子板の温度ヒューズ(または感温式SW)の結線を圧着で行うようになってきている。この圧着の際に圧着不良があるとこの圧着点で接触抵抗が大きくなり、マイコン等で温度ヒューズの状態(溶断)を検知していると誤動作をする問題点があった。
【0007】
この圧着点の接触抵抗は経年変化や長期的な微振動でも増加することがあり、同様に誤動作を招く場合がった。また、圧着の変わりに半田付けを行った際に同様の問題点が生じるものであった。
【0008】
本発明は、このような問題点に対して接触抵抗の増加を電圧降下から判断して保護動作を行うように成した空気調和機の制御装置を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、室内ユニットと室外ユニットとから構成される分離型の空気調和機の室内ユニットに設けられた端子板を介して室外ユニットへ電力を供給して空調運転を行うように成した空気調和機の制御装置において、端子板の温度を検出しこの端子板の温度が設定温度に達した際に回路を開く温度検出器と、この回路を介して電子部品へ駆動用の電力を供給する電源回路と、温度検出器の回路を経た後の電力の電圧を検出しこの電圧が設定電圧以下に低下した際に空気調和機の保護動作を行う保護部と、前記温度検出器の接触抵抗の増加に伴い、電流が流れながら電圧が低下する場合、当該状態である表示を行う判断部と、を備えることによって、温度検出器を経た後の電力低下で保護動作を行えるものである。
【0010】
さらに、温度検出器は端子板の温度が設定温度に達した際に回路が溶断される温度ヒューズを用いることによって、温度異常時には瞬時に回路の遮断ができるものである。
【0011】
さらに、保護部はアナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)を有し、所定周期毎に電圧をアナログ値からデジタル値に変換して設定電圧との比較を行うことによって、電圧と設定電圧とをデジタル値同士で比較することができるものである。
【0012】
さらに、設定電圧が保護部を構成するマイコンの動作保証電圧以上で設定さることによって、マイコンが動作不能になる前に保護動作が行えるものである。
【0013】
さらに、端子板は室外ユニットに搭載される圧縮機の駆動電力が流れるので、端子板の接触不良を圧縮機に供給する駆動電力による発熱で検知することができる。
【0014】
さらに、温度検出器は電源回路との間で圧着によって電気的に接続されているので、接触抵抗の増加による電圧降下から圧着不良を判断できるものである。
【0015】
また、空気調和機に設けられた端子板を介して電力が供給され、この電力を用いて空調運転を行うように成した空気調和機の制御装置において、端子板の温度を検出しこの端子板の温度が設定温度に達した際に回路を開く温度検出器と、この回路を介して電子部品へ駆動用の電力を供給する電源回路と、温度検出器の回路を経た後の電力の電圧を検出しこの電圧が設定電圧以下に低下した際に空気調和機の保護動作を行う保護部と、温度検出器の接触抵抗の増加に伴い、電流が流れながら電圧が低下する場合、当該状態である表示を行う判断部と、を備えるので、温度検出器を経た後の電力低下で保護動作を行えるものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は室内ユニットと室外ユニットとからなる分離型の空気調和機の室内ユニットに設けられる制御回路の概略ブロック図である。
【0017】
この図において、1は100Vの交流電力が供給されるプラグであり、100Vの商用交流電源に接続されている。この交流電力はスイッチ2を介して電源回路3に供給されている。
【0018】
4は電流ヒューズ、5は整流回路、6はモータ電源、7は制御用電源、8はシリアル電源であり、これらの構成要素が電源回路3を構成している。電流ヒューズ4は電源回路に3に供給される電流が所定電流異常になった際に溶断して回路の保護を図るものであり、整流回路5は電流ヒューズ4を介して得られる交流電力を全波整流し、モータ電源回路6は調和空気を室内に送風するファンモータ(DCモータ)9の駆動電源を生成するものであり、後記するマイコンからの信号に基づいてDC12V〜DC48Vの間で可変出力されるものであり、制御用電源7は制御部10の駆動電源(DC5V)を生成し安定化させるものであり、シリアル電源8は室外ユニットへ送信する信号を室外ユニットへ供給する交流電力と共通線を共用させるために回路である。
【0019】
11は端子板であり、1番端子、2番端子、3番端子が樹脂製の端子台に設けられていると共に、所定の温度以上で溶断して回路を開く温度ヒューズ12がこの端子台の温度、すなわち端子板11の温度を検知できるように取り付けられている。
【0020】
尚、温度ヒューズ12は温度検出器の1例であり、温度を検出し、この温度が所定の温度以上で回路を開くものであればよく、バイメタルスイッチ、水銀スイッチなどを用いても良い。
【0021】
温度ヒューズ12は制御用電源7から制御部10及び制御部10のマイコン13へDC5Vの電力を供給する回路(配線)14a,14bに設けられており、この回路に圧着によって挿入されている。この圧着処理をすることによって、端子板11に温度ヒューズを取り付ける際の作業工程が簡単になっていると共に、旗端子やコネクタなどを用いない分端子板11のコンパクト化や効率よい外形形状が得られている。
【0022】
尚、温度ヒューズ12は作業工程が増えるが半田付けで回路14a、14bに接続しても良く、本発明はこの場合も適用できるものである。
【0023】
15は抵抗であり、1端を温度ヒューズ12の回路を経た後の電圧を検出できる位置、すなわち回路14bの電圧を検出できる位置に接続され、他端を電子部品であるマイコン13のA/D入力端子(アナログ/デジタル変換入力端子)に接続されている。
【0024】
このA/D入力端子はマイコン13(保護部の機能を備える)の内部のアナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)につながり、この端子に与えられるアナログ値の電圧を所定周期毎にデジタル値に変換するものである。尚、変換範囲はDC4.5V付近の精度を必要とするのでDC4V〜DC5Vの範囲に外部回路(図示は省略)で設定されている。
【0025】
温度ヒューズ12の回路を経た後の電圧は5Vラインに供給され、マイコン13及びマイコン以外の電子部品の駆動電力になっている。
【0026】
端子板11の1番端子とプラグ1との間にはパワーリレー16の常開接片17が介在され、マイコン13の出力(ドライバーの図示は省略)で常開接片17を閉じ、端子板11からの交流電力の出力を制御している。端子板11の2番端子はプラグ1に接続されると共に、3番端子(信号出力用の端子)との共通線になっている。
【0027】
3番端子はマイコン13から出力される信号をシリアル回路18、シリアル電源8を介して出力する端子である。
【0028】
尚、端子板11の1番端子〜3番端子は後記する図2の室外ユニットに搭載される電気回路の端子板に同じ端子番号同士がつながるように接続されるものである。
【0029】
19はワイヤレスのリモートコントローラであり、空気調和機の運転制御や種種設定及び機能の選択をスイッチの操作に基づいて行うものであり、その操作信号が表示基板20に設けらた受信回路に向けて送信される。マイコン13はこの操作信号を受信し空気調和委の運転制御を行うものである。尚、表示基板20には空気調和機の運転状態(冷房/暖房/ドライ等の運転モードや設定温度、室温など)が表示される。
【0030】
21はスイッチ基板であり、スイッチ2や試運転操作のスイッチなどサービスにかかるスイッチが設けられている。
【0031】
22はフラップモータであり、フラップの角度を制御して室内ユニットで空気調和された空気の室内への吐出方向を変えるものである。
【0032】
23は外部ロムであり、マイコン13の初期設定値を格納している。
【0033】
24、25は室内の温度を検出する温度センサ、室内ユニットに搭載される熱交換器の温度を検出する温度センサであり、マイコン13のA/D入力端子(前記A/D入力端子と同等の機能を備える)に接続され、マイコン13がこれら検出された温度を空気調和機の運転制御に用いるものである。
【0034】
26はドライバー回路であり、リレーの駆動やフラップモータの駆動用にマイコン13から出力される信号を電力増幅するものである。
【0035】
27はモータ駆動回路であり、スイッチング素子を3相ブリッジ状に結線したインバータ回路を有し、このインバータ回路の出力をファンモータ9を回転子の回転位置に合わせて切り換えるものである。インバータ回路の出力を切り換える信号はマイコン13から出力される。
【0036】
図2は抵抗15を介して与えられる電圧に対するマイコン13の主な動作(保護部としての動作)を示すフローチャートである。この図において、ステップS1で温度ヒューズ12の回路を経た後の電圧を入力する。この電圧をA/D変換回路でデジタル値に変換した電圧Vが4.5V以上か否かの判断をステップS2で行う。尚、4.5Vの設定値はマイコン13の動作が保証される最低電圧であり、この設定値はマイコンの種類によって任意に変更されるものである。従って、この設定電圧から0.2〜0.3V低下した電圧でマイコン13の動作が不安定なり停止に至るものである。
【0037】
ステップS2でV≧4.5Vが判断されれば、電圧が正常の範囲にあると判断され、以下の異常処理を行うことなく再びステップS1を介してステップS2が繰り返されるものである。
【0038】
ステップS2の条件を満たさないときは、温度ヒューズ12の圧着点での接触抵抗の増加や温度ヒューズの溶断が考えられるのでステップS3、S4でパワーリレー16をOFFさせて常開接片17を開き、次いで空気調和機の運転を停止状態にするものである。
【0039】
次いでステップS5で異常表示を行う。この異常表示はマイコン13が動作可能な間維持される。
【0040】
ステップS2の条件が満たされない原因が圧着点の接触抵抗の増加であれば、電圧Vの低下速度が遅く、ステップS5による異常表示も長期にわたって行われる。また原因が温度ヒューズ12の溶断によるものであれば電圧Vは急激に0Vになり、強制的に停止状態に至って実質的にステップS5による異常表示は行われない。
【0041】
図3は室外ユニットに搭載される制御回路の概略を示すブロック図であり、端子板31の端子番号を同じくして図1に示す端子板11に接続されるものである。
【0042】
この図において、32は電源回路であり、端子板31の1番端子、2番端子を介して得られる室内ユニットからの100Vの交流電力を倍電圧整流し平滑するものである。この電源回路32からの出力される直流電力は、スイッチング素子を3相ブリッジ状に結線したインバータ回路へ出力されて、3相交流(圧縮機34が誘導電動機を用いている場合)または、回転子の回転位置に対応する固定子巻線を通電できる波形(圧縮機34が直流ブラシレスモータを用いている場合)に変換された後圧縮機34へ供給される。
【0043】
35はマイコンであり、端子板31の3番端子及びシリアル回路36を介して室内ユニットのマイコン13から制御信号を受信し主に圧縮機34の回転数、四方切換弁37の切換やファンモータ38の運転などの制御を行うものである。
【0044】
このように構成された分離型の空気調和機では、端子板11が接触抵抗の増加や過電流で異常発熱した際には温度ヒューズ12が溶断されて保護動作が行われ、温度ヒューズの圧着不良や振動や経年変化による接触抵抗の増加の際には接触抵抗の増加による電圧降下を判断して保護動作を行うものである。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本願発明は、空気調和機の制御装置において、端子板の温度を検出しこの端子板の温度が設定温度に達した際に回路を開く温度検出器と、この回路を介して電子部品へ駆動用の電力を供給する電源回路と、温度検出器の回路を経た後の電力の電圧を検出しこの電圧が設定電圧以下に低下した際に空気調和機の保護動作を行う保護部とを備えたので、端子板の温度が上昇した際には温度検出器の回路が開いて保護が行え、温度検出器を経た後の電圧が低下した際にも保護動作が行えるものである。
【0046】
また温度検出器に温度ヒューズを用いることによって端子板の温度上昇時には瞬時に回路の遮断ができる用になるものである。
【0047】
またアナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)を用いてデジタル値で電圧の比較を行うので温度ヒューズの溶断に至らないときの異常を区別して表示することができるものである。
【0048】
設定電圧は保護部を構成するマイコンの動作保証電圧以上で設定されているので、マイコンの停止前に保護動作が行えるものである。
【0049】
端子板は室外ユニットに搭載される圧縮機の駆動電力が流れるので、圧縮機の異常に基づく端子板の温度上昇に対して保護が行えるものである。
【0050】
温度検出器は前記電源回路との間で圧着によって電気的に接続されているので、この圧着不良による接触抵抗の増加を判断して保護動作が行えるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す室内ユニットに搭載される電気回路のブロック図である。
【図2】図1に示したマイコンの要部動作を示すフローチャートである。
【図3】室内ユニットに接続される室外ユニットに搭載される電気回路のブロック図である。
【符号の説明】
3 電源回路
10 制御部
11 端子板
12 温度ヒューズ
13 マイコン
17 リレー
Claims (7)
- 室内ユニットと室外ユニットとから構成される分離型の空気調和機の室内ユニットに設けられた端子板を介して室外ユニットへ電力を供給して空調運転を行うように成した空気調和機の制御装置において、
前記端子板の温度を検出しこの端子板の温度が設定温度に達した際に回路を開く温度検出器と、
この回路を介して電子部品へ駆動用の電力を供給する電源回路と、
前記温度検出器の回路を経た後の電力の電圧を検出しこの電圧が設定電圧以下に低下した際に空気調和機の保護動作を行う保護部と、
前記温度検出器の接触抵抗の増加に伴い、電流が流れながら電圧が低下する場合、当該状態である表示を行う判断部と、
を備えたことを特徴とする空気調和機の制御装置。 - 前記温度検出器は前記端子板の温度が設定温度に達した際に前記回路が溶断される温度ヒューズであることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の制御装置。
- 前記保護部はアナログ/デジタル変換回路(A/D変換回路)を有し、所定周期毎に前記電圧をアナログ値からデジタル値に変換して前記設定電圧との比較を行っていることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の制御装置。
- 前記設定電圧は前記保護部を構成するマイコンの動作保証電圧以上で設定されていることを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の制御装置。
- 前記端子板は室外ユニットに搭載される圧縮機の駆動電力が流れることを特徴とする請求項4に記載の空気調和機の制御装置。
- 前記温度検出器は前記電源回路との間で圧着によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の空気調和機の制御装置。
- 空気調和機に設けられた端子板を介して電力が供給され、この電力を用いて空調運転を行うように成した空気調和機の制御装置において、
前記端子板の温度を検出しこの端子板の温度が設定温度に達した際に回路を開く温度検出器と、
この回路を介して電子部品へ駆動用の電力を供給する電源回路と、
前記温度検出器の回路を経た後の電力の電圧を検出しこの電圧が設定電圧以下に低下した際に空気調和機の保護動作を行う保護部と、
前記温度検出器の接触抵抗の増加に伴い、電流が流れながら電圧が低下する場合、当該状態である表示を行う判断部と、
を備えたことを特徴とする空気調和機の制御装置。
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