以下に、本発明の実施の形態に係る室外機制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は実施の形態1に係る室外機制御装置を備えた室外機の構成図であり、図2は図1に示される室外機に接続される室内機の構成図である。
空気調和機の室外機1及び室内機2は、冷媒配管3と室内室外接続用配線4とによって接続される。室内機2には、リモコン用配線6を介してリモコン5が接続される。リモコン5は、運転指令と、運転モードと、被空調設定温度とを選択するためのコントローラである。運転モードには、冷房運転、暖房運転、除湿運転又は送風運転といった各種の動作モードが含まれる。リモコン5に設けられた表示部5aには、運転の状態と、室内吸い込み温度と、被空調設定温度とが表示される。
図1に示される室外機1は、室外機1の制御を司る室外機制御装置13と、圧縮機7と、室外熱交換器8と、電子膨張弁10と、外気を流通させる室外ファン11と、室外ファン11用の室外ファンモータ26とを備える。
室外機制御装置13は、商用電源15から供給される交流電力を整流して出力する整流回路16と、整流回路16の出力側に接続され突入電流を抑制する突入電流抑制回路19と、突入電流抑制回路19に接続された力率改善用のリアクタ18と、整流回路16で整流された電圧を平滑する平滑コンデンサ17と、平滑コンデンサ17で平滑された直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路54と、直流電圧検出部である電流電圧変換回路23と、運転停止部である過電流比較回路24と、制御部であるインバータ回路駆動用マイコン20と、マイコン誤動作監視回路40bとを備える。以下では説明を簡単化するため、インバータ回路駆動用マイコン20を単に「マイコン20」と称し、マイコン誤動作監視回路40bを単に「監視回路40b」と称する場合がある。
突入電流抑制回路19は、突入電流抑制用リレー19aと、突入電流抑制用リレー19aに並列接続された突入電流防止素子19bとを備える。突入電流抑制回路19及びリアクタ18は、整流回路16と平滑コンデンサ17との間に直列に接続されている。
インバータ回路54は、複数のスイッチング素子54a,54b,54c,54d,54e,54fと、複数のスイッチング素子駆動回路54g,54h,54i,54j,54k,54lと、素子短絡保護部54mとを備える。
電流電圧変換回路23は、整流回路16とインバータ回路54との間の母線に流れる母線電流Idcを検出し、検出した電流を電圧信号23aに変換して出力する回路である。
過電流比較回路24は、比較回路24aと、第1の電圧発生回路である電圧安定化回路24bと、第2の電圧発生回路である固定電圧発生回路24dと、出力切替部24eとを備える。電圧安定化回路24bには、アナログ出力端子20aから出力される基準電圧が印加され、出力切替部24eには電圧安定化回路24bの出力と、固定電圧発生回路24dの出力との双方が入力される。
出力切替部24eは、マイコン20に接続された切替出力部20bの出力状態に応じて、電圧安定化回路24bの出力と固定電圧発生回路24dの出力との何れかを出力する。出力切替部24eから出力される電圧は、比較回路24aの基準電位となる。具体的に説明すると、切替出力部20bの出力がLowレベルの場合、出力切替部24eは、固定電圧発生回路24dの出力を比較回路24aに出力する。切替出力部20bの出力がHiレベルの場合、出力切替部24eは、電圧安定化回路24bの出力を比較回路24aに出力する。ここで、切替出力部20bには抵抗20cが設けられており、マイコン20の不作動及び誤動作が生じた場合、切替出力部20bの出力状態は必ずLowレベルとなる。
電流電圧変換回路23で変換された母線電流Idcの電圧信号23aは、比較回路24aに入力される。比較回路24aは、出力切替部24eから出力された電圧レベルと電圧信号23aの電圧レベルとを比較する。電圧信号23aの電圧レベルが出力切替部24eから出力された電圧レベルより大きい場合、比較回路24aは、過電流判定信号を過電流出力部24cに出力する。
過電流出力部24cは、過電流出力部24cの出力端と、インバータ回路54の素子短絡保護部54mと、マイコン20とに接続される。素子短絡保護部54mは、過電流出力部24cを介して伝送された過電流判定信号を受信したとき、インバータ回路54の動作を停止させる。圧縮機7へ供給される交流電力の出力が停止されるため圧縮機7が停止する。またマイコン20は、過電流出力部24cを介して伝送された過電流判定信号を受信したとき、インバータ回路54の動作を停止させる。インバータ回路54の動作が停止することにより、圧縮機7に過大な電流が流れることを防止できるため、圧縮機7の故障が抑制され、インバータ回路54に過大な電流が流れることを防止できるため、インバータ回路54の故障と異常加熱とによる、部品の劣化を防止できる。
マイコン20は、複数のスイッチング素子54a,54b,54c,54d,54e,54fのそれぞれをオンオフ制御するためのパルス幅変調信号を生成して出力する。複数のスイッチング素子駆動回路54g,54h,54i,54j,54k,54lのそれぞれには、マイコン20で生成されたパルス幅変調信号が入力される。複数のスイッチング素子駆動回路54g,54h,54i,54j,54k,54lのそれぞれは、パルス幅変調信号を、複数のスイッチング素子54a,54b,54c,54d,54e,54fのそれぞれを駆動可能な駆動信号に変換して出力する。これにより複数のスイッチング素子54a,54b,54c,54d,54e,54fのそれぞれがオンオフ制御される。
監視回路40bはマイコン20のRESET端子に接続されている。監視回路40bは、マイコン20の誤動作を検出した場合、マイコン20のRESET端子にリセット用の信号を出力することにより、マイコン20をリセットさせて、マイコン20の更なる誤動作を防止する。
また室外機制御装置13は、突入電流抑制回路19に設けられる突入電流抑制用リレー19aの駆動回路であるリレー駆動回路25と、保護情報設定部38と、後述する室内制御マイコン43から出力される各種の情報が格納される不揮発性メモリ37と、電圧変換回路53と、通信回路22とを備える。
リレー駆動回路25は制御メインマイコン21によって制御される。保護情報設定部38には、圧縮機7を過電流から保護するための情報群が設定される。情報群としては、室外機1の機種と、圧縮機7の仕様と、商用電源15の仕様とを例示できる。保護情報設定部38に設定された情報の具体例は後述する。電圧変換回路53は、平滑コンデンサ17で平滑された直流電圧である母線電圧を検出し、母線電圧をマイコン20が読み込み可能な電圧に変換してマイコン20に出力する。なお室外機1の機種には室外機1の定格能力を示す馬力に関する情報が含まれる。
また室外機制御装置13は、室外機1の一連の制御を司る制御メインマイコン21と、室外ファンモータ26を駆動するファンモータ駆動回路27と、室内機2との通信を行うための室内通信回路41と、制御メインマイコン21のマイコン誤動作監視回路40aと、室外機1の運転状況と各種の異常情報とを表示する表示部39と、複数の変換回路30,32,34,36と、電子膨張弁10の駆動回路28とを備える。
制御メインマイコン21がファンモータ駆動回路27を制御することにより、室外ファンモータ26は特定の回転数に制御される。
マイコン誤動作監視回路40aは、制御メインマイコン21のRESET端子に接続されている。マイコン誤動作監視回路40aは、制御メインマイコン21の誤動作を検出した場合、制御メインマイコン21のRESET端子にリセット用の信号を出力することにより、制御メインマイコン21をリセットさせて、制御メインマイコン21の更なる誤動作を防止する。
図2に示される室内機2は、室内機2の制御を司る室内機制御装置14と、室内熱交換器9に設けられ室内空気を流通させる室内ファン12と、室内ファン12用の室内ファンモータ44と、室内熱交換器9とを備える。
室内機制御装置14は、室外通信回路42と、リモコン通信回路52と、不揮発性メモリ50と、各種の設定を切替えるための切替スイッチ51と、室内制御マイコン43と、変換回路47と、変換回路49と、ファンモータ駆動回路45とを備える。
室内制御マイコン43がファンモータ駆動回路45を制御することにより、室内ファンモータ44は特定の回転数に制御される。
室内温度を検出する室内温度検出用のサーミスタ46で検出された温度は、変換回路47を介して室内制御マイコン43に取り込まれる。室内配管の温度を検出する冷室内配管温度検出用のサーミスタ48で検出された温度は、変換回路49を介して室内制御マイコン43に取り込まれる。室内制御マイコン43とリモコン5は、リモコン通信回路52を介して各種の情報を相互に送受信する。
圧縮機7、室外熱交換器8、室内熱交換器9及び電子膨張弁10は、冷媒配管3により環状に接続される。圧縮機7、室外熱交換器8、室内熱交換器9、電子膨張弁10及び冷媒配管3は、冷媒回路を構成する。電子膨張弁10は、制御メインマイコン21から電子膨張弁10の駆動回路28を介して特定の開度に制御される。
図1に示される室外機1では、商用電源15から供給される交流電力が整流回路16によって整流され、整流された電圧は、突入電流抑制回路19とリアクタ18とを介して、平滑コンデンサ17によって平滑される。平滑された特定の直流電圧、すなわち母線電圧は、インバータ回路54に印加される。
制御メインマイコン21とマイコン20とは通信回路22で相互に通信を行い、制御メインマイコン21で算出された、圧縮機7に必要な運転周波数は、マイコン20へ伝送される。マイコン20は、制御メインマイコン21から伝送された運転周波数に応じてパルス幅変調信号を生成を生成し、生成したパルス幅変調信号を複数のスイッチング素子駆動回路54g,54h,54i,54j,54k,54lのそれぞれに対して出力する。
マイコン20で生成されたパルス幅変調信号が複数のスイッチング素子駆動回路54g,54h,54i,54j,54k,54lのそれぞれで駆動信号に変換され、駆動信号により複数のスイッチング素子54a,54b,54c,54d,54e,54fのそれぞれがオンオフ動作する。平滑コンデンサ17で平滑された母線電圧は、複数のスイッチング素子54a,54b,54c,54d,54e,54fのそれぞれがオンオフ動作によって、特定の交流周波数及び交流電圧に変換されて、圧縮機7に印加される。これにより圧縮機7が運転される。また素子短絡保護部54mは、外部から出力された停止信号を受信したとき、複数のスイッチング素子駆動回路54g,54h,54i,54j,54k,54lのそれぞれの動作を停止させることで、圧縮機7の運転を停止させる。
高圧圧力スイッチ29は、冷媒回路内に設けられ、冷媒の圧力がある一定の圧力より高くなった際に動作するスイッチである。高圧圧力スイッチ29の作動状態は、変換回路30を介して制御メインマイコン21に取り込まれる。
低圧圧力スイッチ31は、冷媒回路内に設けられ、冷媒の圧力がある一定の圧力より低くなった際に動作するスイッチである。低圧圧力スイッチ31の作動状態は変換回路32を介して制御メインマイコン21に取り込まれる。
圧縮機外郭温度検出用のサーミスタ33は、圧縮機7の外郭温度であるシェル温度を検出するサーミスタである。サーミスタ33で検出された温度は、変換回路34を介して制御メインマイコン21に取り込まれる。
冷媒温度サーミスタ35は冷媒の温度を検出するサーミスタである。冷媒温度サーミスタ35で検出された温度は、変換回路36を介して制御メインマイコン21に取り込まれる。
制御メインマイコン21と室内制御マイコン43とは、室外機制御装置13に設けられた室内通信回路41と、室内機制御装置14に設けられた室外通信回路42とを介して、相互に通信を行う。室内通信回路41と室外通信回路42とは、室内室外接続用配線4を介して相互に接続されている。
図3は図1に示す不揮発性メモリに格納される圧縮機減磁特性と圧縮機過電流保護値との一例を示す図である。図3の縦軸は圧縮機減磁特性と圧縮機過電流保護値とを示す。横軸は圧縮機7の外郭温度を示す。圧縮機減磁特性は破線で示され、圧縮機過電流保護値は実線で示される。
圧縮機減磁特性は、図1に示す圧縮機7内の不図示のモータが有する磁石の減磁特性を示す。圧縮機7内のモータが有する磁石は、当該磁石の温度が低下するほど減磁電流値が小さくなる減磁特性を有する。圧縮機7の仕様により圧縮機減磁特性は異なるため、図3には仕様が異なる4つの圧縮機7a,7b,7c,7dのそれぞれの圧縮機減磁特性が例示される。
圧縮機過電流保護値は、圧縮機7内のモータが有する磁石の減磁特性に基づいて設定される減磁保護閾値である。圧縮機過電流保護値の温度特性は、圧縮機減磁特性よりも一定値大きい値に設定される。モータ電流が圧縮機過電流保護値を超える場合、スイッチング素子の駆動が停止される。圧縮機減磁特性と同様に、圧縮機7の仕様により圧縮機過電流保護値は異なるため、図3には仕様が異なる4つの圧縮機7a,7b,7c,7dのそれぞれの圧縮機過電流保護値が例示される。
図4は図1に示す保護情報設定部に設定される保護情報の一例を示す図である。図4に示すように保護情報設定部38には、室外機1の機種に関する「機種設定」情報と、圧縮機7の仕様に関する「圧縮機7仕様」情報と、減磁保護特性である圧縮機過電流保護特性と、圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTdと、圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値VrefTdhとが設定されている。圧縮機過電流保護特性は、図3に示される圧縮機過電流保護値を実線で結んだ特性に対応する。
図4の上段に示されるこれらの情報は、商用電源15の種類に対応付けられている。単相の商用電源15の場合、単相電源用の複数の機種a,b,c,d,e,fの室外機1と、これらの室外機1のそれぞれに用いられる圧縮機7a,7b,7cと、圧縮機過電流保護特性7aa,7ba,7caと、圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTda,VrefTdb,VrefTdcと、圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値VrefTdha,VrefTdhb,VrefTdhcとが対応付けられている。
三相の商用電源15の場合も同様に、三相電源用の複数の機種a,b,c,d,g,h,i,j,kの室外機1と、これらの室外機1のそれぞれに用いられる圧縮機7a,7b,7c,7dと、圧縮機過電流保護特性7aa,7ba,7ca,7daと、圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTda,VrefTdb,VrefTdc,VrefTddと、圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値VrefTdha,VrefTdhb,VrefTdhc,VrefTdhdとが対応付けられている。
次に室外機1の動作を図5及び図6のフローチャートを用いて説明する。図5は図1に示す室外機の室外機制御装置の動作を説明するための第1のフローチャートである。図6は図1に示す室外機の室外機制御装置の動作を説明するための第2のフローチャートである。
図5において、電源投入後、ステップS401で制御メインマイコン21は保護情報設定部38に設定された情報を入力する。ステップS402で制御メインマイコン21は、ステップS401で入力した保護情報設定部38の情報より、商用電源15の仕様の判定を行う。
ステップS403で制御メインマイコン21は、ステップS401で入力した保護情報設定部38の情報より、室外機1の機種の判定を行う。
ステップS404で制御メインマイコン21は、ステップS401で入力した保護情報設定部38の情報より、圧縮機7の仕様の判定を行う。
ステップS405で制御メインマイコン21は、ステップS402からステップS404で判定された、商用電源15の仕様と室外機1の機種と圧縮機7の仕様とに対応する圧縮機過電流保護特性7aa〜7daを決定する。
ステップS406で制御メインマイコン21は、ステップS405で得られた圧縮機過電流保護特性に対応する圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTda〜VrefTddを決定する。
ステップS407で制御メインマイコン21は、ステップS406で得られた圧縮機過電流保護基準外郭温度に対応する圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値VrefTdh(℃)を決定する。
ステップS408で制御メインマイコン21は、ステップS405で得られた圧縮機過電流保護特性と、ステップS406で得られた圧縮機過電流保護基準外郭温度と、ステップS407で得られた圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値とを、マイコン20に送信する。
ステップS409で、制御メインマイコン21は、圧縮機外郭温度検出用のサーミスタ33で検出された温度の値をマイコン20に送信する。なお、サーミスタ33で検出された温度の値は、ステップS409で送信されるだけでなく、ステップS409以外のステップでも送信されているものとする。
図6に示すステップS410で、マイコン20は、圧縮機7が特定の運転開始条件を満たすか否かを判断する。圧縮機7が運転開始条件を満たさない場合(ステップS410,No)、制御メインマイコン21では図5に示すステップS401の処理が実行される。
ステップS410で、圧縮機7が運転開始条件を満たす場合(ステップS410,Yes)、ステップS411で、マイコン20は、圧縮機過電流保護基準外郭温度から過電流遮断電圧値を推定して出力する。具体的には、マイコン20は、圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTdaを130℃とした場合に、圧縮機7に流れる電流が68[A]となる過電流遮断電圧値を推定する。推定された過電流遮断電圧値は、アナログ出力端子20aより電圧安定化回路24bに送信される。
ステップS412で、マイコン20は、過電流比較回路24の比較回路24aの比較基準電圧を、電圧安定化回路24bとすべく、出力切替部24eに対してHiレベルを出力する。これによりステップS413で圧縮機7が運転を開始する。
ステップS414で、マイコン20は、圧縮機7の運転中に過電流比較回路24からの過電流判定信号の有無を判定することによって、過電流を検出したか否かを判定する。
圧縮機7の運転中に過電流が検出されない場合(ステップS414,No)、ステップS413の処理が実行される。
圧縮機7の運転中に過電流が検出された場合(ステップS414,Yes)、ステップS415でマイコン20は、圧縮機7の停止処理を行う。ステップS416で、マイコン20は、圧縮機7が停止する直前の圧縮機外郭温度Tdcompstpの値を確認する。
ステップS417で、マイコン20は、圧縮機7が停止する直前の圧縮機外郭温度Tdcompstpの値が圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTd以上の場合(ステップS417,Yes)、マイコン20は、ステップS418で、過電流遮断電圧値を圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTdのままとし、過電流遮断電圧値の補正は行わない。
ステップS417で、圧縮機停止直前の圧縮機外郭温度(Tdcompstp)の値が圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTd未満の場合(ステップS417,No)、ステップS419で、マイコン20は、前回の過電流遮断電圧値の補正操作から一定の時間、例えば30分間連続して運転が継続されたか否かを判定する。
ステップS419で、前回の過電流遮断電圧値の補正操作から一定の時間連続して運転が継続された場合(ステップS419,Yes)、マイコン20は、ステップS418で、過電流遮断電圧値を圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTdにリセットする。
ステップS419で、前回の過電流遮断電圧値の補正操作から一定の時間連続して運転が継続されていない場合(ステップS419,No)、ステップS420で、マイコン20は、過電流遮断電圧値を以下のように演算する。すなわち、マイコン20は、圧縮機外郭温度Tdcompstpに圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値VrefTdhを加えたものを、圧縮機過電流保護特性7aa〜7daから得られる過電流遮断電圧値とする。
ステップS420の後、マイコン20は、圧縮機外郭温度Tdcompstpが圧縮機過電流保護特性7aa〜7daの範囲内であれば、過電流遮断電圧値の補正を繰り返す。
以上のように実施の形態1に係る室外機制御装置13によれば、空気調和機の一時的な負荷の変動と、一時的な受電電源の変動とにより、圧縮機7の過電流遮断停止が生じた場合でも、圧縮機の減磁特性範囲内で過電流遮断値の補正を行うことにより、圧縮機としての信頼性を確保しつつ、空気調和機を継続的に運転させることができる。
なお特許文献1に開示されるモータ駆動装置では、負荷に過大な電流が流れることを防止する過電流保護回路を、負荷の種類及び負荷の仕様ごとに切替える必要があり、制御回路部が共通化できないという課題があった。実施の形態1に係る室外機制御装置13によれば保護情報設定部38に設定された情報を用いることにより、複数の過電流保護回路を用いることなく、制御回路部を共通化でき、空気調和機の製造コストの低減が可能である。
実施の形態2.
以上の実施の形態1の室外機制御装置13は、マイコン20が、圧縮機7の運転中に過電流比較回路24からの過電流検出を検出した際、圧縮機停止直前の圧縮機外郭温度により、過電流遮断電圧値を補正するようにしたものである。実施の形態3では、マイコン20に誤動作又は不作動が生じた場合でも圧縮機7に過電流が流れることによる故障を抑制できる実施の形態2に係る室外機制御装置13の構成例を説明する。実施の形態2に係る室外機制御装置13の構成は、室外機制御装置13における動作を除き、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
次に実施の形態2に係る室外機制御装置13の動作を説明する。出力切替部24eは、マイコン20の切替出力部20bの出力状態に応じて、電圧安定化回路24bの出力又は固定電圧発生回路24dの出力を、比較回路24aの基準電位として印加する。切替出力部20bの出力がLowレベルの場合、出力切替部24eは、固定電圧発生回路24dの出力を比較回路24aに出力する。切替出力部20bの出力がHiレベルの場合、出力切替部24eは、電圧安定化回路24bの出力を比較回路24aに出力する。ここで、切替出力部20bには抵抗20cが設けられており、マイコン20の不作動及び誤動作が生じた場合、切替出力部20bの出力状態は必ずLowレベルとなる。
特許文献1に開示されるモータ駆動装置では、モータの減磁保護に関する一連の保護動作が、マイコンのプログラムで構成されているため、仮にマイコンの不作動や誤動作が生じた場合、モータの減磁保護の処理が実行されず、モータを減磁させてしまう可能性があった。実施の形態2に係る室外機制御装置13では、マイコン20の不作動及び誤動作が生じた場合、過電流比較回路24が固定電圧発生回路24dに切り替わることにより、圧縮機7に過電流が流れることによる故障を抑制できる。
実施の形態3.
実施の形態1は、マイコン20が、圧縮機7の運転中に過電流比較回路24からの過電流を検出した際、圧縮機停止直前の圧縮機外郭温度により、過電流遮断電圧値を補正するようにしたものである。実施の形態3は、モータ巻線温度検出器が圧縮機7から外れ、又は圧縮機7へのモータ巻線温度検出器の接続不良が生じた場合でも、圧縮機7に過電流が流れることによる故障を抑制できる実施の形態3に係る室外機制御装置13の構成例を説明する。実施の形態3に係る室外機制御装置13の構成は、室外機制御装置13における動作を除き、実施の形態1と同様であるため説明を省略する。
図7は実施の形態3に係る室外機制御装置で用いられる保護情報の一例を示す図である。固定電圧設定値24daから24ddの値は、圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTdから得られる過電流遮断電圧値である。例えば、圧縮機仕様7aに対応する圧縮機過電流保護基準外郭温度VrefTdaを130℃とした場合に、圧縮機7aに流れる電流が68[A]となる過電流遮断電圧値と同一の過電流設定値となるように予め設定されたものが、固定電圧設定値24daから24ddである。
また図7に示される保護情報には、圧縮機外郭温度異常判定経過時間ΔTdta〜ΔTdtdと、圧縮機外郭温度異常判定温度差ΔTda〜ΔTddとが、固定電圧設定値24daから24ddと対応付けられている。圧縮機外郭温度異常判定経過時間ΔTdta〜ΔTdtdは、圧縮機7が運転を開始してから一定時間経過したときの時間である。図7に示されるこれらの保護情報は、保護情報設定部38に設定されているものとする。なお図7では、図4に示される圧縮機過電流保護特性、圧縮機過電流保護基準外郭温度、及び圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値の図示が省略されているが、圧縮機過電流保護特性、圧縮機過電流保護基準外郭温度、及び圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値は、図7の保護情報にも設定されているものとする。
固定電圧発生回路24dには、図7に示される固定電圧設定値24daから24ddの値が設定される。すなわち固定電圧発生回路24dには、室外機1の機種と圧縮機7の仕様とに対応した複数の固定電圧設定値24daから24ddの値が設定される。固定電圧発生回路24dに固定電圧設定値24daから24ddの値を設定する方法としては、制御メインマイコン21が固定電圧発生回路24dに書き込むことを例示できる。
次に実施の形態3に係る室外機制御装置13の動作を図8及び図9を用いて説明する。図8は実施の形態3に係る室外機制御装置の動作を説明するための第1のフローチャートである。図9は実施の形態3に係る室外機制御装置の動作を説明するための第2のフローチャートである。
ステップS601〜ステップS607の動作は、図5に示すステップS401〜ステップS407と同様であるため説明を割愛する。
ステップS608で制御メインマイコン21は、ステップS602からステップS604で得られた情報を基に、圧縮機外郭温度異常判定経過時間ΔTdta〜ΔTdtdを決定する。
ステップS609で制御メインマイコン21は、ステップS602からステップS604で得られた情報を基に、圧縮機外郭温度異常判定温度差ΔTda〜ΔTddを決定する。
ステップS610で制御メインマイコン21は、ステップS605で得られた圧縮機過電流保護特性と、ステップS606で得られた圧縮機過電流保護基準外郭温度と、ステップS607で得られた圧縮機過電流保護可変外郭温度補正値と、ステップS608で得られた圧縮機外郭温度異常判定経過時間ΔTdta〜ΔTdtdと、ステップS609で得られた圧縮機外郭温度異常判定温度差ΔTda〜ΔTddとをマイコン20に送信する。
ステップS611で、制御メインマイコン21は、圧縮機外郭温度検出用のサーミスタ33で検出された温度の値をマイコン20に送信する。なお、サーミスタ33で検出された温度の値は、ステップS611で送信されるだけでなく、ステップS611以外のステップでも送信されているものとする。
図9に示すステップS612〜ステップS615の動作は、図5に示すステップS410〜ステップS413と同様であるため説明を割愛する。
ステップS616で、マイコン20は、圧縮機7の運転開始時のサーミスタ33の値Tdstartを記憶する。
ステップ617で、マイコン20は、圧縮機7が運転を開始してからの経過時間が、圧縮機外郭温度異常判定経過時間以上であるか否かを判定する。
圧縮機7が運転を開始してからの経過時間が、圧縮機外郭温度異常判定経過時間未満の場合(ステップS617,No)、マイコン20は、ステップS615に移行する。
圧縮機7が運転を開始してからの経過時間が圧縮機外郭温度異常判定経過時間以上の場合(ステップS617,Yes)、マイコン20は、ステップS618で、現在のサーミスタ33の値Tdnowを格納する。
次に、ステップS619で、マイコン20は、現在のサーミスタ33の値Tdnowと、運転開始時のサーミスタ33の値Tdstartとの差が、圧縮機外郭温度異常判定温度差より大きいか否かを判定する。
現在のサーミスタ33の値Tdnowと、運転開始時のサーミスタ33の値Tdstartの差が、圧縮機外郭温度異常判定温度差より大きい場合(ステップS619,Yes)、マイコン20は、ステップS615に移行し、圧縮機7の運転を継続する。
現在のサーミスタ33の値Tdnowと、運転開始時のサーミスタ33の値Tdstartの差が、圧縮機外郭温度異常判定温度差未満の場合(ステップS619,No)、マイコン20は、ステップS620に移行し、出力切替部24eにLowレベルを出力し、比較回路の24aに印加される基準電圧を、固定電圧発生回路24dで生成される電圧に切替える。
特許文献1に開示されるモータ駆動装置では、モータ巻線温度検出器が圧縮機7から外れ、又は圧縮機7へのモータ巻線温度検出器の接続不良が生じた場合、モータ部の温度を正常に検出することが不可能であり、かつモータ巻線温度は、モータ巻線温度検出器が外れた後の箇所で検出される温度、又は接続不良の状態で検出される温度となり、モータを減磁させてしまう課題があった。実施の形態3に係る室外機制御装置13によれば、モータ巻線温度検出器が圧縮機7から外れ、又は圧縮機7へのモータ巻線温度検出器の接続不良が生じた場合、過電流比較回路24の出力が、固定電圧発生回路24dの出力電圧に切り替わることにより、圧縮機7過電流から確実に保護することができる。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。