JP4228844B2 - 歯車継手 - Google Patents

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Description

この発明は、回転駆動力を伝達するために使用する歯車継手に関するものである。
外歯歯車を設けたピニオンと内歯歯車を設けたスリーブとによる従来の歯車継手では、両側の端面に開口があるスリーブを使用していた。一方の端面の開口は、回転軸を通す回転軸穴を有する端カバーにより塞ぎ、もう一方の端面の開口も部材により塞いでいた。少なくとも一方の開口は、ピニオンをスリーブ内部に入れることができる大きさである。開口を塞ぐ部材とスリーブとの接合部には潤滑剤が漏れるのを防止する機構を備えていた。(例えば、特許文献1を参照)
なお、ピニオンを回転軸に取付ける方法は、焼嵌めによるのが一般的である。焼嵌め時にはピニオンをスリーブに入れておくことはできないので、以下のような手順で歯車継手を組立てる。まず、端カバーの回転軸穴に回転軸を通した状態でピニオンを焼嵌めで回転軸に取付ける。次に、スリーブの中にピニオンを入れて歯車を噛み合わせる。そして、端カバーをスリーブに取付ける。最後に、スリーブのもう一方の端面の開口を塞ぐ。
特開平7−286622号公報
外歯歯車を設けたピニオンと内歯歯車を設けたスリーブとによる従来の歯車継手では、スリーブの両側の端面に開口があり、スリーブと開口を塞ぐ部材との接合部には潤滑剤が漏れるのを防止する機構を備えていたので、以下の問題点があった。
(1)スリーブと開口を塞ぐ部材の接合部に有る潤滑剤が漏れるのを防止する機構の調整が難しく、潤滑剤が漏れる場合があった。
また、端カバーに回転軸を通す回転軸穴が有るため、以下の問題点があった。
(2)端カバーに有る回転軸を通す回転軸穴からほこりや水などの潤滑剤を劣化させる物質(劣化物質と呼ぶ)が歯車継手の内部に入りやすく、潤滑剤を早く劣化させる。なお、劣化物質は、固体、液体、気体の何れでもありうる。
この発明は上記の課題を解決するためになされたもので、潤滑剤が漏れることを防止したり、劣化物質がスリーブ内部に入ることを防止して潤滑剤の劣化を抑えたりなど、歯車継手の潤滑剤の保守を容易にすることを目的とする。
潤滑剤が漏れて量が不足したり劣化したりして潤滑性能が低下すると、歯車継手の歯車が損傷してしまう可能性が高くなる。歯車が損傷すると、修理や交換のために歯車継手を備えた動力機器が長期間使用できなくなる。歯車継手は、電車などの交通機関、クレーンなどの建築機器、工場などで使用される重機械などで広く使用されており、これらの機器が使用できなくなると社会的に影響が大きい。そのため、歯車継手を正常な状態に保つための歯車継手の潤滑剤の保守を容易にすることは、産業上で重要な課題である。
この発明に係る歯車継手は、第1の回転軸に結合される外歯歯車を設けたピニオンと、該ピニオンの外歯歯車と噛み合う内歯歯車を設け、両側の端面に開口を持ち少なくとも一方の開口から前記ピニオンを内部に入れ、第2の回転軸に結合されるスリーブと、該スリーブの第1の回転軸が通る側の端面に有る前記開口を塞ぎ、前記第1の回転軸を通す回転軸穴を有する第1の端材と、前記スリーブのもう一方の端面に有る前記開口を塞ぐ第2の端材とを備え、前記スリーブと前記第1の端材と前記第2の端材とが潤滑剤を保持できる空間を構成する歯車継手において、前記回転軸穴の内周面と対向する面に軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけ、前記回転軸穴の内周面と対向する面に円周方向の溝が設けられ、前記溝において底面の外方方向の端部が開口の内方方向の端部よりも軸線内方側に位置するように、前記溝の両方の側面を軸線内方に向かって傾斜させることを特徴とするものである。
この発明に係る歯車継手は、第1の回転軸に結合される外歯歯車を設けたピニオンと、該ピニオンの外歯歯車と噛み合う内歯歯車を設け、両側の端面に開口を持ち少なくとも一方の開口から前記ピニオンを内部に入れ、第2の回転軸に結合されるスリーブと、該スリーブの第1の回転軸が通る側の端面に有る前記開口を塞ぎ、前記第1の回転軸を通す回転軸穴を有する第1の端材と、前記スリーブのもう一方の端面に有る前記開口を塞ぐ第2の端材とを備え、前記スリーブと前記第1の端材と前記第2の端材とが潤滑剤を保持できる空間を構成する歯車継手において、前記回転軸穴の内周面と対向する面に軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけ、前記回転軸穴の内周面と対向する面に円周方向の溝が設けられ、前記溝において底面の外方方向の端部が開口の内方方向の端部よりも軸線内方側に位置するように、前記溝の両方の側面を軸線内方に向かって傾斜させることを特徴とするものなので、回転軸穴の内周面に対向する面の表面を伝って劣化物質が歯車継手の内部に入るのを防止するという効果が有る。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1の歯車継手の全体構成を一部破断して示す断面図である。この歯車継手は、鉄道車両の駆動用電動機1と減速用歯車装置2との間を連結するものである。より具体的にいうと、駆動用電動機1により駆動される駆動回転軸3と、減速用歯車装置2の被駆動回転軸4との間を連結する歯車継手である。この歯車継手は、左右がほぼ対称である。図2に、図1における左側の駆動用電動機1側の拡大図を示す。なお、駆動回転軸3または被駆動回転軸4のことを、以下では略して単に回転軸と呼ぶことがある。
駆動用電動機1側で説明するので、駆動回転軸3が第1の回転軸であり、被駆動回転軸4が第2の回転軸であるとする。なお、減速用歯車装置2側から見れば、被駆動回転軸4が第1の回転軸であり、駆動回転軸3が第2の回転軸である。
駆動回転軸3と被駆動回転軸4には、ピニオン5が軸端ナット6により固着される。ピニオン5の外周には、クラウニングが施された歯の外歯歯車5aが形成されている。2個のピニオン5は同じ大きさで同じ形状であり、外歯歯車5aの形状も同じである。駆動回転軸3と被駆動回転軸4は、継手本体部7に挿入されている。
ここで、クラウニングとは、歯車の歯を歯すじ方向の中央部が凸になるように加工することである。外歯歯車5aの歯にクラウニングを施すことの目的は、駆動回転軸3と被駆動回転軸4の位置や軸線方向がずれても歯車継手として機能させるためである。このような回転軸の位置や軸線方向がずれても動力を伝達できる歯車継手は通常、可撓歯車継手と呼ばれる。
この実施の形態1は、鉄道車両の車軸で使用する歯車継手にこの発明を適用した場合なので、可撓歯車継手としている。その理由は、以下である。鉄道車両では、駆動用電動機1は台車枠に配置され、減速用歯車装置2は車軸に配置される。線路にはカーブや勾配が有るため、台車枠と車軸との位置関係がずれて駆動回転軸3と被駆動回転軸4の軸線の位置や方向がずれる場合が多く有る。回転軸の位置や軸線方向がずれても動力を伝達できるように、可撓継手とする必要が有る。
継手本体部7は円筒状の形状で、円筒の両側の開口を塞ぐ端カバー8が継手本体部7の両側の端面に有る。端カバー8にはそれぞれ1個の回転軸穴8aが有り、この回転軸穴8aにはピニオン5が固着された駆動回転軸3または被駆動回転軸4が挿入されている。
継手本体部7は、スリーブ9と端カバー8とを一体加工してなる2個のスリーブ部材7aを端カバー8のない側の端面を互いに重ね合わせて、この端面にある帽子のつばのように径が大きくなった部分を所定の数のボルト7bとナット7cで固着して組立てたものである。なお、2個のスリーブ部材7aの形状は同一である。スリーブ部材7aの外形は円筒状で、この円筒状の部分が両側の端面に開口を持つスリーブ9であり、一方の端面を塞ぐ端カバー8がこの発明でいう第1の端材である。
スリーブ部材7aは、端カバー8とスリーブ9とを一体加工したものである。ここで、本明細書における一体加工とは、分離できないように一体に加工することと定義する。一体加工の方法は、1個の素材から加工してもよいし、端カバー8とスリーブ9を別々に加工して溶接やロー付けなどにより接合してもよい。分離できないように一体に加工できる方法であれば、どのような方法でもよい。ただし、遠心力で継手内部の潤滑剤が漏れないように密着していなければならない。
スリーブ9の内側には、内歯歯車9aを形成している。この内歯歯車9aは、前記したピニオン5の外歯歯車5aと噛み合う。スリーブ9の端カバー8のない側の端面はスリーブ9の内径と同じ大きさの径の開口があり、この開口がピニオン収容穴9bとなる。
外歯歯車5aと内歯歯車9aの噛み合わせ部には、潤滑剤であるグリース10が充填されている。なお、潤滑剤としてグリース10以外を使用してもよい。潤滑剤の種類は、歯車継手の素材や動作温度などの動作環境を考慮して、適切なものを選択すればよい。
駆動用電動機1側でのピニオン5の外歯歯車5aとスリーブ9の内歯歯車9aの噛み合わせ部から見ると、ピニオン5は第1の回転軸である駆動回転軸3と結合され、スリーブ9はもう1組のスリーブ9とピニオン5とを介して第2の回転軸である被駆動回転軸4と結合される。
端カバー8には、内歯歯車9aの軸線と中心が一致した円形の回転軸穴8aがある。端カバー8の回転軸穴8aの外側の周囲は、短い円筒状に所定の長さ出ている。この出ている部分の周面には回転軸の軸線外方(駆動用電動機1の側)に向って径が大きくなる勾配をつけた溝8bが有る。回転軸と平行なX軸に対するこの溝8bの角度は、図2に示すように角度θAである。
ピニオン収容穴9bには第2の端材である中心板11がはめ込まれており、継手本体部7の内部は中心板11で左右に仕切られる。この左右に仕切られた空間には、回転軸に取付けたそれぞれ1個のピニオン5が入る。前述のように回転軸の位置や軸線方向がずれる場合があり、回転軸の位置がずれても軸端ナット6が中心板11に接触して中心板11が損傷することがないように、軸端ナット6には円形の弾性体製のクッション12を取付けておく。
スリーブ9のピニオン収容穴9bは中心板11により塞がれ、スリーブ9のもう一方の端面には端カバー8があるので、スリーブ9と中心板11と端カバー8とによりスリーブ部材7aの内部にはグリース10を保持できる空間が構成される。スリーブ9と端カバー8は一体加工されているので、グリース10が漏れ出る可能性が有る継ぎ目は、中心板11とスリーブ9との接合部だけである。図2に示すように、中心板11とスリーブ9との接合部には、接合部からグリース10が漏れ出ることを防止するために、シール材としてOリング13を挿入しておく。なお図1では、図の煩雑さを避けるためシール材であるOリング13の表示を省略している。
グリース10をスリーブ部材7aの内部に保持できれば、中心板11に貫通穴が有ってもよい。軸端ナット6が接触することがない程度にこの貫通穴が大きい場合は、クッション12は不要になる。
回転軸穴8aの内周面8cは、軸線方向に内歯歯車9aの内側に入り込むぐらいの長さが有る。回転軸穴8aの内周面8cの長さをこのように長くするために、回転軸穴8aの周囲の軸線内方(駆動用電動機1でない側)には筒状の筒状部8dがあり、ピニオン5の側面には軸線外方に開いた窪み5bがあり、この窪み5bの中に軸線外方側から筒状部8dが入るようにしている。
回転軸穴8aの内周面8cの軸線外方に近い約半分は、図2に示すように回転軸と平行なX軸に対して角度θBで軸線外方に向って径が大きくなる勾配をつけてある。軸線内方に近い半分も、軸線内方に向って径が大きくなる勾配をつけてある。なお、軸線内方に近い半分の方が、勾配は小さい。
回転軸穴8aの内周面8cと、これに対向するピニオン5の外周面5cとの間は間隔を狭くしており、狭隘部を構成している。この狭隘部の長さは、回転軸穴8aの内周面8cの長さとほぼ等しい。
回転軸穴8aの内周面8cの角度θBの勾配がついた部分に相対するピニオン5の外周面5cには、1個以上の所定の数(この実施の形態1では3個)の溝5dが有る。溝5dの両側の側面はX軸に対して同じ角度θCで傾斜し、底部が丸くなっている。そのため、溝5dの両側の側面は軸線外方に向って径が大きくなる。
この歯車継手は、以下のようにして組立てる。ピニオン収容穴9bからピニオン5をスリーブ部材7aの内部に入れ、回転軸穴8aにピニオン5を通す。スリーブ部材7aの内部に有るピニオン5に、油圧などにより回転軸を圧入して軸端ナット6で固着する。ピニオン収容穴9bに中心板11をはめ込み、2個のスリーブ部材7aを重ね合わせてボルト7bとナット7cを締め付けて組立てる。
以上で構造の説明を終了し、動作を説明する。まず、潤滑剤が漏れるのを防止する動作について説明する。歯車継手が回転していない状態では、グリース10はスリーブ部材7a内部の底面に溜まっている。グリース10の流動性は低いため、外歯歯車5aと内歯歯車9aの噛み合わせ部にも一部のグリース10がついている。歯車継手が回転する状態では遠心力が働いて、グリース10がスリーブ部材7aの内面にほぼ均等の厚さで充填され、外歯歯車5aと内歯歯車9aの噛み合わせ部にも均等にグリース10が行き渡る。図1と図2は、回転している時の状態を表現している。
グリース10には遠心力が働くので、スリーブ9の継ぎ目などから外に漏れ出ようとするが、スリーブ9の継ぎ目が中心板11との間の接合部だけであるから、その漏れを低減できる。つまり、第1の端材である端カバー8がスリーブ9と一体加工されているので、端カバー8とスリーブ9との間に継ぎ目がないからこの部分からグリース10が漏れ出ることがないうえ、スリーブ9に端カバー8を取付ける組立作業が不要になるという効果が有り、加えて端カバー8とスリーブ9の間に継ぎ目がないから、両者間に装着していた潤滑剤の漏れを防止するOリングやガスケットなどの部品も不要になる。
端カバー8とスリーブ9を一体加工することにより、歯車継手の端部の形状が簡単化し、歯車継手がコンパクトになり重量を減らすことができる。そのため、歯車継手の回転バランスが良くなり、騒音や振動も減るという効果が有る。
次に、歯車継手の内部に劣化物質が侵入することを防止する動作について説明する。そのためにまず、歯車継手の内部に劣化物質が侵入する経路について考察する。図3は劣化物質が侵入する経路を説明するための図であるが、劣化物質の侵入経路は空間的には、歯車継手の外部(外部空間Aと呼ぶ)、端カバー8の回転軸穴8aとピニオン5の間の空間(連結空間Bと呼ぶ)、スリーブ9の内部(内部空間Cと呼ぶ)、に大きく分けることができる。連結空間Bは、回転軸穴8aの内周面8cの端から端までとする。内部空間Cは、連結空間B以外のスリーブ9の内部の空間である。
劣化物質が侵入する経路は、空間中を移動する(空間移動と呼ぶ)か、歯車継手を構成する部材の表面を伝って移動するか(表面移動と呼ぶ)でも、分類できる。気体の劣化物質は空間移動でしか移動できないが、液体または固体の劣化物質は空間移動と表面移動の両方で移動できる。
このような歯車継手の内部に劣化物質が侵入する経路の考察に基づき、歯車継手の内部に劣化物質が侵入することを防止する対策を、以下のように分類する。ただし、この発明に係る対策の中には、対策1Bに分類されるものはない。また、この発明に係る対策は、おもに回転中の歯車継手での対策である。
対策1A:外部空間Aから連結空間Bへの表面移動を防止する。
対策1B:外部空間Aから連結空間Bへの空間移動を防止する。
対策2A:連結空間Bから内部空間Cへの表面移動を防止する。
対策2B:連結空間Bから内部空間Cへの空間移動を防止する。
この対策の分類の概念を説明する図を、図4に示す。図4において、(1a)は対策1Aを、(1b)は対策1Bを、(2a)は対策2Aを、(2b)は対策2Bをそれぞれ示すものである。
端カバー8の外側の回転軸穴8aの周囲が所定の長さ出ている短い円筒状の部分の側面に有る溝8bは、対策1Aに該当する。溝8bを設けることにより、後述するように溝8bの表面に有る劣化物質に軸線外方方向の力が働き、この力を受けて外側にはね飛ばされる。つまり、端カバー8の外面を伝って溝8bに来る劣化物質が回転軸穴8aの内部である連結空間Bに劣化物質が侵入するのを防止するという効果が、溝8bには有る。
溝8bの表面に有る劣化物質に働く軸線外方方向(X軸方向)の力を定量的に評価するために、以下の変数を定義する。また、既に定義済の角度を表す変数も以下に示す。
K :劣化物質に働く表面への吸着力のベクトル。表面に垂直に働く。
S :劣化物質に働く遠心力のベクトル。回転軸に垂直に働く。
H :劣化物質に働く表面からの反作用力のベクトル。表面に垂直に働く。
G :劣化物質に働く合成力のベクトル。
θA:溝8bの勾配のX軸に対する角度。
θB:回転軸穴8aの内周面8cの勾配のX軸に対する角度。
θC:溝5dの傾斜のX軸に対する角度。
図5に、端カバー8の回転軸穴8aの外側の外周面の溝8bの表面に有る劣化物質に働く力の説明図を示す。ここで、力の成分として以下を定義する。なお、ここでは奥行き方向すなわち回転方向であるZ軸の成分は考慮しない。その理由は、劣化物質のX軸方向への移動には関係しないからである。
p成分:表面に平行な成分。軸線外方に向う場合が正。添え字はp。
q成分:表面に垂直な成分。表面から離れる場合が正。添え字はq。
x成分:X軸に平行な成分。軸線外方に向う場合が正。添え字はx。
y成分:高さ方向であるY軸の成分。上に向う場合が正。添え字はy。
まず、力の性質を簡単に説明する。吸着力Kは、劣化物質が溝8bの表面に付着している場合に、表面に向う方向に垂直に劣化物質に作用する。遠心力Sは、劣化物質が回転している場合に、回転軸に垂直な方向(図2の断面の位置ではX軸に直交する方向)に劣化物質に作用する。反作用力Hは、劣化物質が溝8bの表面に付着しており、かつ他の力を合成した力のq成分が負になる場合すなわち表面に向う方向である場合に、その力を打ち消して合成力Gのq成分がゼロすなわちGq=0となるように表面から離れる方向に垂直に劣化物質に働く。
重力は他の力と比較して小さいので、回転中の歯車継手では考慮しない。
これらから、劣化物質に作用する合成力Gは、以下となる。
(1)Sq>|K|の場合。反作用力Hが作用しない場合。
G=S+K (式1)
Gp=Sp=|S|×sinθA (式2)
Gq=Sq+Kq=|S|×cosθA−|K| (式3)
Gx=Kx=|K|×sinθA (式4)
Gy=Sy+Ky=|S|−|K|×cosθA (式5)
(2)Sq≦|K|の場合。反作用力Hが作用する場合。
G=S+K+H (式6)
Gp=Sp=|S|×sinθA (式7)
Gq=Sq+Kq+Hq
=|S|×cosθA−|K|+Hq=0 (式8)
図5(a)は劣化物質が溝8bの表面を離れて移動する前記(1)の場合であり、図5(b) は劣化物質が溝8bの表面を移動する前記(2)の場合である。どちらの場合も、合成力Gは軸線外方方向の力の成分を有する。劣化物質は、合成力Gの方向に加速されて移動する。劣化物質が移動するようになると、空気抵抗や表面への吸着力による抵抗も劣化物質に作用するようになるが、ここでは考慮しない。抵抗があったとしても移動の速度が遅くなるだけで、合成力Gの方向に劣化物質は移動する。
図5(a)の場合は劣化物質が溝8bの表面から離れて移動することになる。劣化物質が溝8bの表面から離れるまでに働く(式4)による力を受けて、溝8bの表面から離れる時点では軸線外方方向の速度成分を有する。溝8bの表面から離れた後はY軸方向の力である遠心力Sだけが劣化物質に働き、Y軸方向に加速されながら軸線外方方向にも移動することになる。(式4)はGxが吸着力の大きさ|K|と比例することを意味しており、吸着力Kが大きいほど劣化物質の軸線外方方向への移動速度が大きくなる。
図5(b)の場合は、劣化物質が溝8bの表面を移動することになる。Gq=0となるので、合成力Gのx成分GxをGpから求めると以下となる。
Gx=Gp×cosθA=|S|×sinθA×cosθA (式9)
ただし、Sq≦|K|を変換した下に示す(式10)も成立する必要が有る。
|S|×cosθA≦|K| (式10)
(式9)からGxは遠心力の大きさ|S|に比例し、遠心力の大きさ|S|が一定の場合は、θAが45度の場合にGxが最大になる。吸着力の大きさ|K|が一定ならば、(式10)からθAが90度に近いほどより大きい遠心力Sに対して図5(b)の場合が成立することになる。遠心力の大きさ|S|は回転数に比例するので、図5(b)の場合は回転数が小さい場合である。
なお、この実施の形態1では回転軸穴8aの外側の周囲を短い円筒状に所定の長さだけ出ているが、出ていなくてもよいし、出ている長さを任意に選んでもよい。軸線外方に向かって径が大きくなる溝8bを設けることができれば、回転軸穴8aの外側の周囲はどのような形状でもよい。
回転軸穴8aの内周面8cと、これに相対するピニオン5の外周面5cとの間の間隔を狭くして狭隘部を構成しているのは、対策2Bに該当する。間隔が広い場合よりも、劣化物質が連結空間Bから内部空間Cに入りにくくなるという効果が有る。
回転軸穴8aの内周面8cに対向するピニオン5の外周面5cに溝5dを設けることも、対策2Bに該当する。ピニオン5の外周面5cに有る溝5dと回転軸穴8aの内周面8cとの間が直通型のラビリンスシールを構成し、連結空間Bから内部空間Cへ空間移動で劣化物質が侵入するのを防止するという効果が有る。このラビリンスシールを構成することによる効果は、歯車継手が回転中かどうかによらない。なお、直通型のラビリンスシールとは、流体が通る直線状の通路に断面積が大きい部分と小さい部分とが交互にできるようにしたラビリンスシールである。
溝5dが有ることにより狭隘部の断面積がX軸方向で変化し、X軸方向に直通型のラビリンスシールを構成する。直通型のラビリンスシールでは、断面積が大きい部分では圧力が低く流体の移動速度が小さくなり、断面積が小さい部分では圧力が高く流体の移動速度が速くなるというように、圧力と移動速度が変化する。この圧力と移動速度の変化が、流体を移動させようとする力に対して抵抗として働き、流体が移動しにくくなる。
溝5dの数や幅や深さや、溝5dの間の間隔や、内周面8cと外周面5cの間の間隔などは、所定の効果のラビリンスシールが構成できるように調整する。
歯車継手が回転中に連結空間Bに侵入してきた劣化物質は、連結空間Bの溝5dがない部分ではとくに、空気の粘性によりピニオン5及び端カバー8に引きずられて回転する空気とともに回転し、劣化物質が遠心力を受けることになる。遠心力を受けた劣化物質は、回転軸穴8aの内周面8cに接触するまで半径方向に移動する。このように内周面8cに移動して来る劣化物質を表面移動で外部空間Aに出す作用が、回転軸穴8aの内周面8cの軸線外方に向かって径が大きくなる勾配には有る。そのため、内周面8cに軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけることは、対策2Aに該当する。
回転軸穴8aの内周面8cに有る劣化物質には、図6に示すように、吸着力Kと、遠心力Sと、内周面8cからの反作用力Hとが働く。内周面8cは軸線外方に向かって径が大きくなる角度θBの勾配をつけることにより、これらの合成力Gは内周面8cを伝って軸線外方に向かって働くことになる。このため、回転軸穴8aの内周面8cに有る劣化物質が内周面8cを伝って軸線外方に移動することになり、劣化物質が内部空間Cに入るのを防止するという効果が有る。
合成力Gは、図5(b)の場合と同様に、以下のようになる。ただし、遠心力Sのq成分Sqは内周面8cに向う方向なので、負の値になる。
Gp=Sp=|S|×sinθB (式11)
Gq=Sq+Kq+Hq
=−|S|×cosθB−|K|+Hq=0 (式12)
Gq=0となるので、合成力Gのx成分であるGxをGpから求めると以下となる。
Gx=Gp×cosθB=|S|×sinθB×cosθB (式13)
(式13)からGxは遠心力の大きさ|S|に比例し、遠心力の大きさ|S|が一定の場合は、θBが45度の場合にGxが最大になることが分かる。ただし、θBを大きくするとラビリンスシールを構成しにくくなる。
回転軸穴8aの内周面8cに軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけているので、下側の内周面8cは軸線外方の方が低くなる。そのため、回転中でない場合も、回転軸穴8aの内周面8cに有る劣化物質に重力が働いて、下側の内周面8cを伝って劣化物資が連結空間Bから外部に出やすくなり、劣化物質が内部空間Cに入るのを防止するという効果が有る。
ピニオン5の外周面5cに有る溝5dの側面を軸線外方に向って径が大きくなるように傾斜させていることは、対策2Aに該当する。ピニオン5の外周面5cを伝ってくる劣化物質は、溝5dに入る。溝5dの表面に有る劣化物質に働く力を、図7に示す。劣化物質が溝5dの軸線外方に近い方の側面(A側面と呼ぶ)から離れて移動する場合が図7(a)であり、A側面の表面を移動する場合が図7(b)であり、軸線外方に遠い方の側面(B側面と呼ぶ)に有る場合が図7(c)であり、底面に有る場合が図7(d)である。図7(a)と図7(b)の違いは、図5と同様に遠心力の大きさ|S|の違いである。Sq>|K|の場合の場合が図7(a)で、Sq≦|K|の場合が図7(b)である。遠心力の大きさ|S|は回転数に比例するので、回転数が大きい場合が図7(a)で、回転数が小さい場合が図7(b)になる。
回転する歯車継手では、前述のように吸着力Kと、遠心力Sと、溝5dの表面からの反作用力Hとが劣化物質に作用し、これらの合成力Gの方向に加速されて劣化物質は移動する。
溝5dの側面を軸線外方に向って径が大きくなるように傾斜させているので、図7(a)〜図7(c)までで劣化物質は軸線外方方向に移動する。劣化物質を軸線外方に移動させる力は、以下のような式で表現できる。図7(a)の場合は、θAをθCに置き換えるように(式1)〜(式5)を変形した式。図7(b)の場合は、θAをθCに置き換えるように(式6)〜(式10)を変形した式。図7(c)の場合は、θBをθCに置き換えるように(式11)〜(式13)を変形した式。
図7(a)では、劣化物質が溝5dの側面の表面を離れて空間を移動することになる。劣化物質が溝5dのB側面または回転軸穴8aの内周面8cまで到達すると、以後は表面を伝って軸線外方に移動する。
図7(b)と図7(c)では、溝5dの側面の表面を伝って劣化物質が軸線外方に移動する。
溝5dの底面に有る場合の図7(d)では、劣化物質は溝5dのB側面の方に移動して、B側面に到達した後は図7(c)の場合と同様に軸線外方の方向に移動することになる。なお、溝5dの底面でもA側面に近い位置では、A側面の方に移動して、以後は図7(a)または図7(b)の場合と同様に軸線外方の方向に移動することになる。
このように、溝5dの側面を軸線外方に向って径が大きくなるように傾斜させているので、ピニオン5の表面を伝って溝5dに入った劣化物質は、軸線外方方向の力を受けて連結空間Bから外部空間Aの方向に移動する。つまり、連結空間Bに表面を伝って入ってきた劣化物質が内部空間Cに入ることを防止できるという効果が有る。なお、この実施の形態1では溝5dの両側の側面を傾斜させたが、どちらか一方の側面だけを傾斜させても効果が有る。
遠心力Sが大きく図7(a)となる場合は、連結空間B中の劣化物質が回転軸穴8aの内周面8cに到達することになるので、内周面8cに軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけておく必要が有る。そうしておかないと、内周面8cの表面を伝って内部空間Cへ劣化物質が侵入することを防止できない。
この実施の形態1は回転軸に取付けられた2個のピニオン5と2個のスリーブ部材7aを有する可撓歯車継手に適用した場合であるが、それぞれが回転軸に取付けられた1個のピニオン5と1個のスリーブ9を有する歯車継手でも同様の効果が有る。また、可撓歯車継手でない歯車継手に適用しても同様な効果が有る。
1個のピニオン5と1個のスリーブ9を有する歯車継手では、ピニオン収容穴9bに回転軸穴8aを有する端カバー8を取付けるようにしてもよい。
この実施の形態1では中心板11を備えたが、中心板11がなくてもスリーブ部材7a内部に潤滑剤を保持できるので、中心板11はなくてもよい。中心板11がない場合は、接合する相手のスリーブ部材7aがピニオン収容穴9bを塞ぐ第2の端材として機能することになる。
中心板11が塞ぐ開口の大きさは、ピニオン5を挿入できればスリーブ9の内側の空間の断面よりも小さくてもよい。端カバー8がある端面の開口の大きさもスリーブ9の内側の空間の断面と同じか小さくてもよい、小さい場合は断面に対する開口の面積の割合はいくらでもよい。
スリーブ9の開口の大きさが小さく、スリーブ9と第1の端材である端カバー8とだけまたはスリーブ9だけでも潤滑剤をスリーブ部材7aの内部に保持できる場合なども、スリーブ9と第1の端材と第2の端材とで潤滑剤を保持できる空間を構成する場合に含むとする。
この実施の形態1では、溝5dは回転軸穴8aの内周面8cに対向する位置にピニオン5が有るので、溝5dをピニオン5に設けた。内周面8cに対向する位置に回転軸などのピニオン5でない部材が有る場合は、その部材に溝を設ける。
この実施の形態1では、ピニオン5に軸線方向の窪み5bを設けて、この窪み5bに軸線外方側から筒状部8dが入るようにしたので、筒状部8dなどで構成される狭隘部の長さを回転軸穴が有る端面から内歯歯車の端までの間隔よりも長くしても、歯車継手全体の軸線方向の長さをピニオン5に軸線方向の窪み5bがない場合よりも短くできる。回転軸穴が有る端面から内歯歯車の端までの間隔よりも狭隘部の所定の長さが短くできる場合は、ピニオン5に窪み5bを設けなくてもよい。また、所定の長さの狭隘部が構成できるならば、筒状部8dはなくてもよい。
回転軸穴8aの内周面8cの軸線外方に近い約半分に、軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけたが、勾配をつける部分をより長くしてもよい。また、所定の効果が得られるならば、より短くしてもよい。内側に近い部分が、内側に向かって径が大きくなる僅かな勾配が有るのは、勾配をなくしたり軸線外方に向って径が大きくなる勾配としたりしてもよい。
この実施の形態1では、端カバー8とスリーブ9を一体加工した歯車継手で、歯車継手の内部に劣化物質が侵入することを防止する対策を実施した。端カバー8をボルトなどによりスリーブ9に取付ける場合でもこれらの対策を適用でき、同様な効果が有る。
この実施の形態1では、歯車継手の内部に劣化物質が侵入することを防止する複数の対策を同時に実施したが、複数の対策をすべて同時に実施する必要はなく、何れか少なくとも1個の対策を実施すればよい。実施した対策に関しては、その対策の効果が得られる。
以上のことは、他の実施の形態でもあてはまる。
実施の形態2.
実施の形態2は、回転軸穴8aの内周面8cに対向するピニオン5の外周面5cに軸線外方に向って径が大きくなる勾配をつけるように、実施の形態1を変更したものである。図8に、実施の形態2の歯車継手の駆動用電動機1側の拡大図を示す。回転軸穴8aの内周面8cに対向するピニオン5の外周面5cも、内周面8cと同様に回転軸であるX軸に対して角度θDで軸線外方に向って径が大きくなる勾配をつけている。なお、θB>θD>0である。
内周面8cの角度θBとなる部分は、内周面8cのX軸の長さのほぼ中央から外側の部分である。X軸に平行な同じ範囲の部分に、外周面5cでも角度θDの勾配をつけている。
その他の構造は、実施の形態1の場合の図2と同様である。
回転軸穴8aとピニオン5の形状に関する制約を説明する。そのために、以下の変数を定義する。角度θDの定義も以下に示す。
R1:ピニオン5の径が最大の部分での半径。
R2:回転軸穴8aの径が最小の部分での半径。
W :ピニオン5の径が最大の部分と回転軸穴8aの径が最小の部分との
X軸方向の間隔。
D1:ピニオン5の径が最大の部分での狭隘部のY軸方向の間隔。
D2:回転軸穴8aの径が最小の部分での狭隘部のY軸方向の間隔。
θD:外周面5cの勾配のX軸に対する角度。
回転軸穴8aの中にピニオン5を挿入できるようにするために、以下でなければならない。
R2 > R1 (式14)
D1とD2は、以下の式から計算できる。
D1=R2−R1+W×sinθB (式15)
D2=R2−R1+W×sinθD (式16)
これらの式から、以下が分かる。狭隘部の間隔を小さくするためには、R2−R1をゼロに小さくし、角度θBと角度θDをゼロに近くする必要が有る。ただし、R2−R1をゼロに小さくすると回転軸穴8aにピニオン5を挿入しにくくなる。
次に動作を説明する。実施の形態1と比較して動作に差が有るのは、ピニオン5の表面を伝って来る劣化物質の場合である。その他の場合は、実施の形態1と同様に動作する。
外周面5cに軸線外方に向って径が大きくなる勾配をつけているので、外周面5cの表面に有る劣化物質に作用する合成力Gは、溝8bの場合と同様に、外周面5cの表面に有る劣化物質に作用する合成力は、(式1)〜(式10)でθAをθDに置き換えるように変形した式で表現できる。よって、溝8bの場合と同様に、合成力Gの軸線外方方向の成分Gxにより、劣化物質が軸線外方方向へ移動し連結空間Bから外部空間Aに出ることになり、連結空間Bから内部空間Cへは劣化物質が移動しにくくなる。
外周面5cに軸線外方に向って径が大きくなる勾配をつけると、下側の外周面5cは軸線外方の方が低くなる。そのため、歯車継手が回転しない場合でも、外周面5cの表面に有る劣化物質には重力により軸線外方へ移動しやすくなるので、連結空間Bから内部空間Cへ外周面5cの表面を伝って劣化物質が侵入するのを防止する効果が有る。
外周面5cに軸線外方に向って径が大きくなる勾配をつけることによる、連結空間Bから内部空間Cへ劣化物質が移動するのを防止する効果が大きいのは、回転数がそれほど大きくなくSq≦|K|となる場合である。その理由は、Sq≦|K|となる場合には、ピニオン5の表面に有る劣化物質がピニオン5の表面を伝って移動するからである。回転数が大きくSq>|K|となる場合は、外周面5cの表面に有る劣化物質は遠心力Sにより表面を離れて、回転軸穴8aの内周面8cの方に移動する。そのため、Sq>|K|となる場合は、外周面5cの勾配よりも回転軸穴8aの内周面8cの勾配の方が連結空間Bから内部空間Cに劣化物質が入らないようにする上で重要である。
この実施の形態2ではθB>θDとしたが、θB≦θDとしてもよい。内周面8cのX軸の長さのほぼ中央から外側の部分に勾配をつけたが、勾配をつける部分をより長くしたり、所定の効果が得られるならばあればより短くしたりしてもよい。勾配をつける部分が回転軸穴8aの内周面8cと外周面5cとで対向するようにしたが、内周面8cと外周面5cの何れかまたは両方で対向しない範囲にも勾配をつけるようにしてもよい。
実施の形態3.
実施の形態3は、スリーブ9と第2の端材を一体加工した場合である。図9に、実施の形態3の歯車継手の全体構成を一部破断して示す断面図を示す。駆動回転軸3にピニオン5が軸端ナット6で固着して結合される。被駆動回転軸4には、スリーブ9と第2の端材を一体加工した1個のスリーブ部材7aがボルト9cとナット9dにより結合される。
スリーブ部材7aの円筒状のスリーブ9の部分には、ピニオン5の外歯歯車5aと噛み合う内歯歯車9aが設けられている。内歯歯車9aの軸線、駆動回転軸3、被駆動回転軸4の軸線は、すべて一致している。スリーブ9の内部には潤滑剤としてグリース10が有る。スリーブ9の第2の端材がある方の端面は、平面である。ボルト9cとナット9dにより、この平面に被駆動回転軸4と一体加工された結合板4aが結合される。なお、被駆動回転軸4は結合板4aに対して垂直である。
スリーブ9のもう一方の端面は、スリーブ9の内径と同じ径のピニオン収容穴9bがある。ピニオン収容穴9bは、第1の端材である端カバー8により塞がれる。端カバー8には回転軸穴8aが有る。ボルト8eとナット8fにより、端カバー8はスリーブ部材7cに取付けられる。端カバー8とスリーブ部材7cとの接合部には、シール材としてOリング14が有る。
次に動作を説明する。歯車継手が回転すると、実施の形態1の場合と同様にグリース10に遠心力が働き、スリーブ9の継ぎ目から外に漏れ出ようとする。この実施の形態3では、スリーブ9と第2の端材を一体加工しているので、スリーブ9と第2の端材の継ぎ目がなく、継ぎ目からグリース10が漏れ出ることを軽減できるという効果が有る。
この発明の実施の形態1の歯車継手の全体構成を一部破断して示す断面図である。 この発明の実施の形態1の歯車継手の駆動用電動機側の拡大図である。 歯車継手の内部および外部の空間の区分を説明する図である。 歯車継手の内部に劣化物質が侵入することを防止する対策の分類の概念を説明する図である。 この発明の実施の形態1の歯車継手のスリーブの回転軸穴の外側の外周面の溝の表面に有る劣化物質に働く力を説明する図である。 この発明の実施の形態1の歯車継手のスリーブの回転軸穴の内周面に有る劣化物質に働く力を説明する図である。 この発明の実施の形態1の歯車継手のピニオンに設けた溝の表面に有る劣化物質に働く力を説明する図である。 この発明の実施の形態2の歯車継手の駆動用電動機側の拡大図である。 この発明の実施の形態3の歯車継手の全体構成を一部破断して示す断面図である。
符号の説明
1 :駆動用電動機
2 :減速歯車装置
3 :駆動回転軸(第1の回転軸)
4 :被駆動回転軸(第2の回転軸)
4a:結合板
5 :ピニオン
5a:外歯歯車
5b:窪み
5c:外周面
5d:溝
6 :軸端ナット
7 :継手本体部
7a:スリーブ部材
7b:ボルト
7c:ナット
8 :端カバー(第1の端材)
8a:回転軸穴
8b:溝
8c:内周面
8d:筒状部
8e:ボルト
8f:ナット
9 :スリーブ
9a:内歯歯車
9b:ピニオン収容穴(開口)
9c:ボルト
9d:ナット
10 :グリース(潤滑剤)
11 :中心板(第2の端材)
12 :クッション
13 :Oリング
14 :Oリング
A :外部空間
B :連結空間
C :内部空間

Claims (3)

  1. 第1の回転軸に結合される外歯歯車を設けたピニオンと、該ピニオンの外歯歯車と噛み合う内歯歯車を設け、両側の端面に開口を持ち少なくとも一方の開口から前記ピニオンを内部に入れ、第2の回転軸に結合されるスリーブと、該スリーブの第1の回転軸が通る側の端面に有る前記開口を塞ぎ、前記第1の回転軸を通す回転軸穴を有する第1の端材と、前記スリーブのもう一方の端面に有る前記開口を塞ぐ第2の端材とを備え、前記スリーブと前記第1の端材と前記第2の端材とが潤滑剤を保持できる空間を構成する歯車継手において、前記回転軸穴の内周面と対向する面に軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけ、前記回転軸穴の内周面と対向する面に円周方向の溝が設けられ、前記溝において底面の外方方向の端部が開口の内方方向の端部よりも軸線内方側に位置するように、前記溝の両方の側面を軸線内方に向かって傾斜させることを特徴とする歯車継手。
  2. 前記回転軸穴の内周面と対向する面との距離が軸方向に一定であり、前記内周面に軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけたことを特徴とする請求項1に記載の歯車継手。
  3. 前記回転軸穴の外側の周囲に軸線外方に向かって径が大きくなる勾配をつけた溝を設けたことを特徴とする請求項2に記載の歯車継手。
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