JP4228770B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、詳しくは半導体装置の銅配線上に銅拡散防止膜を形成する半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体基板上に形成する高密度集積回路の微細配線には、デザインルールの縮小化に伴い、配線容量の低減のため、銅(Cu)が適用されることが一般的となりつつある。銅は比抵抗が1.8μΩcmと低く、半導体装置の高速化に有利な上に、エレクトロマイグレーション耐性が従来から使用されてきたアルミニウム系合金に比べて一桁程度高くなっている。このように、銅配線を適用すると、配線容量の低減はもとより、配線の信頼性も向上することはよく知られている。
【0003】
銅は層間絶縁膜として一般に用いられる酸化シリコン膜に拡散し易いため、銅配線を銅の拡散を防止するバリア膜で被覆する必要がある。銅配線は例えば図5に示すようなプロセスにより形成される。図2の(1)に示すように、基板(図示せず)上に形成された第1絶縁膜111には配線溝112内にバリア膜113を介して溝配線構造の銅もしくは銅合金からなる第1配線114が形成されている。さらに、第1絶縁膜111上に上記第1配線114を覆うように銅の拡散を防止するバリア膜115が形成され、さらに第2絶縁膜116、第3絶縁膜117が形成されている。上記第3絶縁膜117から第2絶縁膜116およびバリア膜115を貫通する接続孔118を形成するとともに前記第3絶縁膜117に第2配線を形成する配線溝119を形成する。次いで、上記配線溝119および接続孔118の各内面、および上記第3絶縁膜117上に銅の拡散を防止するバリア膜120を形成した後、さらに銅めっきのシード層となる銅シード層131を形成する。
【0004】
次に、図2の(2)に示すように、上記銅シード層131を用いた銅の電解めっき法により、上記接続孔118および配線溝119を埋め込むように上記銅シード層131上に銅を堆積して銅膜132を形成する。
【0005】
次に、図2の(3)に示すように、第3絶縁膜117上の余剰な銅膜132(銅シード層131も含む)、バリア膜120を、例えば、化学的機械研磨(以下CMPという、CMPはChemical Mechanical Polishingの略)により除去する。その結果、上記配線溝119内に第2配線121が形成され、上記接続孔118内に上記第1配線114に接続するプラグ122が形成される。
【0006】
次に、図2の(4)に示すように、上記第3絶縁膜117上に、銅からなる第2配線121上を被覆するように、銅の拡散を防止するバリア絶縁膜127を形成する。そして、上記プロセスを順次、繰り返すことにより、半導体装置の多層配線構造を形成することができる。
【0007】
一方、銅配線の適用には、以下のようなデメリットが存在する。▲1▼銅拡散を抑制するために、誘電率の高い窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)等のバリア絶縁膜を必要する。このような誘電率の高い絶縁材料は配線容量を上昇させることになる。すなわち、RC遅延(抵抗Rと容量Cによる配線の遅延)が大きくなるという問題を有している。▲2▼銅配線と上記バリア絶縁膜との界面はエレクトロマイグレーション(EM)耐性に弱い。
【0008】
上記のようなデメリットを回避するために、銅配線上に金属系の銅拡散防止材料を成膜する方法が適用されている。例えば、窒化チタン(TiN)等のバリア膜を全面に成膜し、化学的機械研磨(以下、CMPという)にて銅配線部分のみバリア膜を残す方法、選択的な成膜が可能なCVD法により銅配線上のみにタングステン膜を形成する方法等がある。また、RC遅延を改善し、エレクトロマイグレーション耐性に優れていて、銅の拡散防止性に優れている材料としてコバルトタングステンリン(CoWP)が提案されている。CoWPは、無電解めっきにより選択的に銅配線上のみに成膜できるという特徴も有する。(例えば、特許文献1参照。)。この技術は、上記2つの技術と比較して、簡易な装置で形成が可能であり、ランニングコストも安価であることから、有力な技術である。
【0009】
以下に、銅配線上へのCoWP無電解めっき成膜方法および原理について簡単に説明する。無電解めっき法により、CoWPを銅配線上に選択的に成膜させるためには、無電解めっきを開始するための触媒層が必要となる。ところが、銅は触媒活性度が低いため、CoWPを析出させるための十分な触媒として働かない。そこで、一般的にパラジウム(Pd)などの触媒金属層を銅表面に置換めっきにより形成する方法が用いられている。
【0010】
置換めっきは、異種金属のイオン化傾向の相違を利用するものである。銅はパラジウムに比べ電気化学的に卑な金属であるから、例えば塩化パラジウムの塩酸溶液中に銅を浸すと、銅の溶解に伴って放出される電子が、溶液中の貴金属であるパラジウムイオンに転移し、卑金属の銅表面上にパラジウムが析出される。必然的に金属ではない絶縁膜の表面ではパラジウムの置換反応は起こらないため、パラジウム触媒層は銅表面上のみに形成されることになる。引き続きこのパラジウム層を触媒として、銅配線上にのみ無電解めっき反応を開始させてCoWPによるバリアメタル層を形成する。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−230220号公報(第3−4頁、図1)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、無電解めっき法による銅配線上への選択的成膜には、前述したように、大きなメリットがあるが、その一方、その選択性を維持することに困難がある。選択性劣化の要因はいくつかあるが、主なる要因は触媒に用いているパラジュウム(Pd)置換めっき時に発生している。置換めっきでは、その名のとおり、配線である銅とパラジウムとのイオン化傾向の違いから、下記化学式(1)に示すように銅が溶解する環境において、溶解された銅のサイトに、下記化学式(2)に示すようにパラジウムが置換されて成膜される現象である。
【0013】
Cu→Cu2++2e- …(1)
【0014】
Pd2++2e-→Pd …(2)
【0015】
すなわち、置換めっき液中に溶解・イオン化された銅(Cu)は、置換めっき溶液中に溶けることになるが、溶液中の電子を捕獲し、銅(Cu)原子として、再付着するものも存在する。再付着された銅が配線上ならば、何ら問題はないが、フィールド(絶縁膜)上に再付着されると、その銅サイトにパラジウムが置換されて、絶縁膜上にパラジウムが存在することになる。このことが、CoWPの無電解めっきの不確定要素となり、その後に成膜されるCoWPの無電解めっき膜が絶縁膜上にも形成されることになり、無電解めっき膜の選択性が破れることになる。このように、絶縁膜上にもCoWPの無電解めっき膜が形成されると、その後の銅の置換めっきにより、絶縁膜上にも銅が堆積され、最悪の場合には、配線間ショートを発生させ、半導体装置の信頼性を失わせるような不良の原因となり、歩留りの低下を来すことになる。半導体で要求される100%近い配線歩留まりを達成するには、イオン化された銅を制御し、ウエハへの再付着をゼロにする必要がある。しかしながら、イオン化された銅を制御することは困難である。そこで、別の解決手段が求められていた。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされた半導体装置の製造方法である。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法は、基板上に、第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に形成された該第1絶縁膜に対して選択的に除去可能な第2絶縁膜とを形成する工程と、前記第2絶縁膜と前記第1絶縁膜に配線溝を形成する工程と、前記配線溝内にバリア膜を介して銅膜を埋め込む工程と、化学的機械研磨によって前記第2絶縁膜上の余剰な前記銅膜および前記バリア膜を除去して前記配線溝に残された前記バリア膜および前記銅膜で配線を形成する工程と、置換めっきによって前記配線上に触媒金属層を形成する工程と、無電解めっきによって前記触媒金属層の触媒金属と置換して前記配線上に前記バリア膜を形成する工程と、リフトオフ法によって、前記第2絶縁膜上に前記置換めっきにより置換されずに残された前記触媒金属層および前記置換めっきにより形成された前記バリア膜とともに前記第2絶縁膜を除去する工程とを備え、前記第2絶縁膜は、有機系絶縁材料もしくはカーボン系絶縁材料で形成され、酸素の活性種による等方性エッチングにて除去される製造方法である。
【0018】
さらに、第2絶縁膜を除去することは、何らかの段差が形成されることになる。この段差が大きくならないようにするために、第2絶縁膜は第1絶縁膜に対して選択的にエッチング可能な膜で形成される。通常、半導体装置の層間絶縁膜にはシリコン酸化膜系の絶縁膜を用いることが一般的である。そこで、第2絶縁膜は、有機系絶縁材料もしくはカーボン系絶縁材料で形成することが望ましい。またその膜厚は、第2絶縁膜を除去した後の露光工程における露光の焦点深度内の膜厚とすることが望ましい。さらに、第2絶縁膜を除去する工程は、酸素の活性種、例えば酸素(O2)、水(H2O)等の酸素を含んだガスをプラズマ等で励起させた酸素イオンまたはラジカルを用いて、等方性エッチングにて行うことが有効である。
【0019】
上記半導体装置の製造方法では、絶縁膜は、第1絶縁膜と、第1絶縁膜上に形成された第1絶縁膜に対して選択的に除去可能な第2絶縁膜とからなり、バリア膜を形成する工程は、配線上に触媒層を形成するための置換めっき工程と、無電解めっきによってバリア膜を形成する工程と、第2絶縁膜上に形成されたバリア膜とともに第2絶縁膜を除去する工程とを備えている。したがって、たとえ、触媒金属層を形成する工程で第2絶縁膜上に触媒金属層が形成され、さらに無電解めっきにより第2絶縁膜上の触媒金属層と置換されて、第2絶縁膜上にバリア膜が形成されたとしても、その後に第2絶縁膜を除去しているので、第2絶縁膜上に形成された触媒金属層やバリア膜は、第2絶縁膜とともに除去される。よって、絶縁膜上に配線間をショートするようなバリア膜は形成されない。このため、触媒金属層を利用する無電解めっきにより銅もしくは銅合金からなる配線上に選択的に銅の拡散を防止するバリア膜を形成することが可能になる。
【0020】
なお、絶縁膜上に形成されたいわゆる選択性の破れたバリア膜だけの除去が最も簡単な方法であるように考えられるが、この方法では、配線上に形成されたバリア膜もエッチングされてしまうため、有効な手段とはならないのである。
【0021】
また本発明の上記各製造方法では、Cu配線が形成された配線上部にバリア性を有する被覆メタルを、選択的に形成することにより、以下のような作用がもたらされる。つまり、銅配線で広く適用されている誘電率の高い窒化シリコン(SiN)、炭化シリコン(SiC)等の絶縁膜を銅の拡散を防止するバリア膜に使用する必要がなくなるので、配線容量を低減することができ、半導体装置のより高速化が可能になる。また、配線の微細化に伴い、配線形状が縮小化するため、エレクトロマイグレーション耐性が劣化する方向にある。そのエレクトロマイグレーション耐性劣化の一つの要因には、銅もしくは銅合金からなる配線と窒化シリコンや炭化シリコンからなるバリア膜との界面で発生するボイド形成がある。一方、本発明のように、金属系のバリア膜を適用することにより、銅もしくは銅合金からなる配線と窒化シリコン膜や炭化シリコン膜との接触がなくなり、さらに金属系バリア膜と銅もしくは銅合金からなる配線の金属系材料同士の接触になるので、エレクトロマイグレーション耐性の向上が期待できる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態を、図1の概略構成断面図によって説明する。図1では、簡単のため、配線部のみを記載したが、接続孔と配線溝とを形成して接続孔と配線溝とに配線材料を同時に埋め込む、いわゆるデュアルダマシン法による製造工程であっても同様に本発明を適用することができる。
【0023】
図1の(1)に示すように、基板(図示せず)上に配線部を形成するための絶縁膜(層間絶縁膜)10を成膜する。この絶縁膜10は、第1絶縁膜11を成膜した後に、第2絶縁膜12を成膜する。第1絶縁膜11には一般的に使用されるシリコン酸化膜を適用し、第2絶縁膜12には第1絶縁膜11に対して選択的に除去可能な絶縁材料を適用する。
【0024】
次いで、図1の(2)に示すように、リソグラフィー技術およびエッチング技術(例えばドライエッチング)によって、上記第1絶縁膜11および第2絶縁膜12に配線部となる配線溝(トレンチ部)13を形成する。
【0025】
次いで、図1の(3)に示すように、上記配線溝13の内面、および上記第2絶縁膜12上に銅の拡散を防止するバリア膜14を形成した後、さらに銅めっきのシード層となる銅シード層15を形成する。次に、上記銅シード層15を電極および成長核として用いた銅の電解めっき法により、上記配線溝13を埋め込むように上記銅シード層15上に配線材料となる銅を堆積して銅膜16を形成する。
【0026】
次に、第2絶縁膜12上の余剰な銅膜16(銅シード層15も含む)、バリア膜14を、例えば、化学的機械研磨(以下、CMPという)により除去する。その結果、図1の(4)に示すように、上記配線溝13内にバリア層14を介して配線17が形成される。ここでは、配線17を銅で形成したが、配線17は銅を含む材料、例えば銅合金で形成されるものであってもよい。上記余剰な銅膜16、銅シード層15、バリア膜14の除去工程では、その下地である上記第2絶縁膜12を除去しないようにしなければならない。上記CMPプロセスでは、通常、銅膜16(銅シード層15も含む)のCMPと、バリア膜14のCMPを別々の工程で行う。このようなCMPプロセスは、上記第2絶縁膜12が金属系材料膜ではないため、それほど困難ではなく、バリア膜14を除去するCMP工程において、一般的に使用されている選択比 銅:バリア膜:絶縁膜(シリコン酸化膜)=1:1:0.25または0.1:1:0.25のスラリーを用いれば、上記第2絶縁膜12を十分に残すこときが可能である。
【0027】
次に、図1の(5)に示すように、上記配線17表面に触媒層(例えば、触媒金属層。以下触媒金属層と記す)18を形成する。この触媒金属層18は銅との置換めっきにより形成される。したがって、銅よりもイオン化傾向の小さな金属を用いる。例えば上記触媒金属層18には、金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)等を用いることができる。この置換めっきにより形成される触媒金属層18は配線溝の開口部19の底部全面を被覆する膜状に形成されてもよく、もしくは島状に形成されてもよい。少なくとも、後に行われるこの触媒金属層18を利用した無電解めっきによるバリア膜の形成工程において、バリア膜が膜状に成膜される密度に、触媒金属層18が形成されればよい。また、上記第2絶縁膜12上にも、不要な触媒金属層18が形成されることがある。
【0028】
ここでは一例として、パラジウム置換めっきについて述べる。まず、パラジウム置換めっき工程を行う前に、配線17表面を自然酸化膜や有機汚染物質等が無いクリーンな状態にしておくことが望ましく、例えば希硫酸、希硝酸等の酸洗浄、シュウ酸、クエン酸等のカルボン酸基を有する有機酸による錯体化除去洗浄等のクリーニングプロセスを導入することは好ましい。ただし、上記クリーニングプロセスを実行しなくても、パラジウム置換めっきによりCuはエッチングされるので、必ずクリーニング工程を導入しなければならないということではない。
【0029】
パラジウム置換めっきには、硫酸パラジュウム、塩化パラジュウム等を適用する。本実施の形態では、硫酸パラジュウムを適用したときの条件を示す。硫酸パラジュウム置換めっきの主要なパラメータの条件範囲は以下のとおりである。パラジウム濃度は例えば0.46ppm以上1000ppm以下とし、水素イオン指数:pHは例えば5未満とする。また、置換めっきプロセス時の主要なパラメータ範囲は以下のとおりである。めっき液の温度は18℃以上80℃以下、めっきの方式は、一例として浸漬式もしくは回転スプレー方式とし、回転スプレー方式の場合には、基板の回転数を例えば10rpm以上1000rpm以下、めっき時間を例えば1秒以上180秒以下とする。そしてパラジウム置換めっきが終了した後、ウエハに付着された硫酸パラジウムめっき液を純水にて十分に洗い流す。上記説明した値は一例であって、適宜、めっき条件は設定される。
【0030】
最後に、めっき液を純水で流しきれない場合には、希釈された酸または錯体形成洗浄液にて、第2絶縁膜12上に残った硫酸パラジウムを除去する洗浄工程を導入してもよい。この洗浄工程を導入することにより、クロスコンタミネーションによる汚染等が低減され、より安定でかつ再現性のあるプロセスが可能となる。ただし、この洗浄工程は必ずしも必要ではない。
【0031】
次に、図1の(6)に示すように、触媒金属層18を利用した無電解めっきにより、上記配線17表面に銅の拡散を防止するバリア膜20を形成する。このとき、第2絶縁膜12上の触媒金属層18が形成されている部分には不要なバリア膜20が形成される。このバリア膜20としては、コバルト系の膜もしくはニッケル系の膜がある。また拡散防止効果をさらに向上させるために、タングステン(W)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)等を添加剤として混入させることも好ましい。ここでは、コバルト-タングステン-リン(Co−W−P)のバリア膜20について説明する。
【0032】
Co−W−Pの無電解めっき成膜では、ナトリウム塩の含有されためっき液が一般的であるが、アルカリ金属の半導体デバイス中への含有はデバイス特性に悪影響を及ぼす。そのため、アルカリ金属フリーのCo−W−Pの無電解めっき成膜を試み、成功した(ADMETA 2001, アジアンセッション予稿集 USセッション編pp90−91参照)。ここでは、本技術を適用し、Co−W−Pの無電解めっきによる成膜を行う。なお、Co−W−Pの膜厚は、デバイスの種類にもよるが、10nm〜50nmが望ましい。また、上記図1の(5)で説明した純水洗浄工程からCo−W−P成膜までの時間は可能な限り短くすることが望ましく、その時間は例えば120分以内とする。また、上記図1の(5)で説明した純水洗浄工程後、ウエットの状態でCo−W−P成膜を行うことが望ましいが、このことは必須ではない。
【0033】
上記Co−W−P成膜後、めっき液を純水で十分に洗い流す。その後、さらに希釈された酸または錯体形成洗浄液または界面活性剤またはアルカリ有機酸等で洗浄することは、ウエハ表面をコンタミネーションフリーにするという意味で有効である。ただし、必須ではない。
【0034】
次に、図1の(7)に示すように、第2絶縁膜12〔前記図1の(6)参照〕を除去する。このように、第2絶縁膜12を除去することから、たとえ、第2絶縁膜12上に不要な触媒金属層18〔前記図1の(6)参照〕や不要なバリア膜20〔前記図1の(6)参照〕が形成されていたとしても、第2絶縁膜12とともに不要な触媒金属層18や不要なバリア膜20も除去されるため、第1絶縁膜11表面には触媒金属層18やバリア膜20が残らない。このように、上記説明した各工程を経ることによって、第1絶縁膜11表面を被覆することなく配線17表面のみを被覆する金属系のバリア膜20が形成される。
【0035】
上記Co−W−P無電解めっきプロセスでは、Co−W−Pが第1絶縁膜11上には成膜されず、配線17上に成膜されるという、選択性を有しており(ADMETA 2001, アジアンセッション予稿集 USセッション編pp90−91)、本願発明のようなリフトオフ法には有効に作用する。すなわち、配線17間の絶縁膜10(第1絶縁膜11)上には、製造装置や作業者等からの発塵、ウエットプロセス等で発生するミスト、絶縁膜上にもともと存在する欠陥、除去されなかった触媒等のコンタミネーションを核とした選択性の破れたCo−W−Pが存在しているかもしれないが、層状としての存在はないため、第2絶縁膜12の除去を容易に行うことができる。
【0036】
ここで、本発明の構成要素となる第2絶縁膜12に関わるプロセスに関して、以下に説明する。
【0037】
まず、第2絶縁膜12の材料に関しては、以下に示すような特性を有する必要がある。前述したように、配線形成の際、第2絶縁膜12上の余剰の銅膜16、銅シード膜15およびバリア膜14をCMP等により除去する必要があるが、その際、スラリー等のケミカルアタックや機械的衝撃(圧力)等の外的因子が第2絶縁膜12に印加される。それら外的因子に耐え得るような膜である必要がある。
【0038】
前記図1の(7)に示したように、第2絶縁膜12は最後に除去されるため、配線17と第2絶縁膜12除去後の表面である第1絶縁膜11の表面との間に段差が生じることになる。この段差が大きな段差になると、次工程以後に行われるリソグラフィー工程において、デフォーカスによるパタン崩れを誘発し、また、次の配線部を構成する接続孔または配線の深さ方向のディメンジョンにばらつきが発生する。そこで、第2絶縁膜12は、第2絶縁膜12を除去した後の露光工程における露光の焦点深度内の膜厚とすることが望まれる。さらに、第2絶縁膜12の除去工程の際、配線17の側壁に形成されたバリア膜14、第1絶縁膜11、配線17上に形成されたバリア膜20の材料に対して、第2絶縁膜12が選択的に除去される必要がある。
【0039】
上記条件を満足し、かつ上記プロセスを円滑に安定的に実施できる第2絶縁膜12の材料としては、カーボン系絶縁膜もしくは有機系絶縁膜が最適である。このうち、有機系絶縁膜は一般的に脆弱または軟質な膜であることから、最適な材料はカーボン系絶縁膜である。カーボン系絶縁膜の成膜には、炭素−水素結合を含む原料ガスを用いれば化学的気相成長(CVD)法で容易に成膜でき、また、カーボンターゲットを用いればスパッタリング法でも成膜が可能である。また、CVD法のカーボン系絶縁膜では、H(水素)の含有量により、硬度(ダイヤモンドライクカーボン等の硬質膜、グラファイトのようなc軸方向に対して強固な膜等)、薬品耐性等を変化させることができるため、有効な方法である。また、成膜方法がドライ系の方法であるため、その制御性も容易であり、第2絶縁膜12の膜厚の制御に関しても、十分である。
【0040】
さらに、カーボン系絶縁膜は、酸素(O2)、H2O(水)等の酸素を含むガスをプラズマ等の励起で発生する酸素イオンや酸素ラジカル等に反応し、一酸化炭素(CO)または二酸化炭素(CO2)をガス成分として用いることにより、容易にエッチングされる。酸素イオンおよびラジカル等は、図1の(7)に示した表面に表出される材料、すなわち、上記バリア膜14、バリア膜20、第1絶縁膜11等に対して、ほとんど影響を及ぼさない。一例としては、ADMETA 2001, アジアンセッション予稿集 USセッション編pp90−91にCo−W−Pの耐酸化性に関する記述が記載されている。
【0041】
上記半導体装置の製造方法では、触媒置換めっき法と無電解めっき法で構成された銅配線上への選択的バリア膜形成方法を行う表面には、銅配線以外の部分に、犠牲膜となるカーボン系絶縁膜または有機系絶縁膜からなる第2絶縁膜12が形成されている。そして、触媒金属層18を利用する無電解めっきにより配線17表面上を被覆するバリア膜20を形成した後、第2絶縁膜12を除去している。したがって、たとえ、触媒金属層18を形成する工程で第2絶縁膜12上に触媒金属層18が形成され、さらに無電解めっきにより第2絶縁膜12上の触媒金属層18と置換されて、第2絶縁膜12上にバリア膜20が形成されたとしても、その後に第2絶縁膜12を除去しているので、第2絶縁膜12上に形成された触媒金属層18やバリア膜20は、第2絶縁膜12とともに除去される。よって、第2絶縁膜12を除去した後に表出する第1絶縁膜11上に配線間をショートするようなバリア膜は形成されない。このため、触媒金属層18を利用する無電解めっきにより銅もしくは銅合金からなる配線17上に選択的に銅の拡散を防止するバリア膜20を形成することが可能になる。
【0042】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の半導体装置の製造方法によれば、選択的に銅もしくは銅合金からなる配線上に銅の拡散を防止するバリア膜を成膜することができる。これにより、従来技術で必須であった誘電率の高いSiN、SiC等のバリア絶縁膜が不必要となるため、半導体装置の絶縁膜(層間絶縁膜)の実効的な誘電率が減少し、配線容量も同時に減少させることができる。したがって、配線の信号伝達速度の向上が期待できる。また、半導体装置の層間絶縁膜の積層種類および積層段数が減少することになる。このため、層間絶縁膜への接続孔および配線溝加工が容易になり、安定した加工プロセスが適用できる。安定した加工プロセスは半導体装置製造の歩留まり向上につながる。
【0043】
また、銅もしくは銅合金(以下代表して銅と記す)からなる配線と絶縁膜との界面の密着性は弱く、銅と絶縁膜との界面でエレクトロマイグレーションによる界面散乱を誘起しやすくなり、エレクトロマイグレーション耐性を劣化させる問題が解決できる。すなわち、銅からなる配線上に金属系のバリア膜を適用することにより、銅からなる配線と絶縁膜との界面が存在しなくなるので、半導体装置の配線のエレクトロマイグレーション耐性の向上ができる。さらに、バリア絶縁膜SiN、SiC等は圧縮応力の高い膜であり、ストレスマイグレーション、エレクトロマイグレーション耐性を劣化させる要因であったが、それらバリア絶縁膜は不要であるため、半導体装置の配線のストレスマイグレーション耐性、エレクトロマイグレーション耐性ともに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態を示す概略構成断面図である。
【図2】従来の製造方法の一例を示す概略構成断面図である。
【符号の説明】
11…第1絶縁膜、12…第2絶縁膜、17…配線、18…触媒層(触媒金属層)、20…バリア膜
Claims (2)
- 基板上に、第1絶縁膜と、該第1絶縁膜上に形成されていて該第1絶縁膜に対して選択的に除去可能な第2絶縁膜とを形成する工程と、
前記第2絶縁膜と前記第1絶縁膜に配線溝を形成する工程と、
前記配線溝内にバリア膜を介して銅膜を埋め込む工程と、
化学的機械研磨によって前記第2絶縁膜上の余剰な前記銅膜および前記バリア膜を除去して前記配線溝に残された前記バリア膜および前記銅膜で配線を形成する工程と、
置換めっきによって前記配線上に触媒金属層を形成する工程と、
無電解めっきによって前記触媒金属層の触媒金属と置換して前記配線上にバリア膜を形成する工程と、
リフトオフ法によって、前記第2絶縁膜上に前記置換めっきにより置換されずに残された前記触媒金属層および前記置換めっきにより形成された前記バリア膜とともに前記第2絶縁膜を除去する工程とを備え、
前記第2絶縁膜は、有機系絶縁材料もしくはカーボン系絶縁材料で形成され、酸素の活性種による等方性エッチングにて除去される
半導体装置の製造方法。 - 前記第2絶縁膜は、前記第2絶縁膜を除去した後の露光工程における露光の焦点深度内の膜厚とする
請求項1記載の半導体装置の製造方法。
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