JP4228405B2 - 金属薄膜積層フィルムおよび該フィルムを用いたフレキシブルプリント配線板 - Google Patents

金属薄膜積層フィルムおよび該フィルムを用いたフレキシブルプリント配線板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、熱伝導性、絶縁性に優れたポリベンゾアゾールフィルムに直接、金属薄膜を付着形成させた金属薄膜積層フィルムおよび該フィルムを用いたフレキシブルプリント配線板に関するものである。なお、本発明の「フィルム」とはフィルムおよびシートを代表するものとする。
【0002】
【従来の技術】
紙−フェノール基材やガラス−エポキシ基材に銅箔を貼り、配線部分を印刷して他の部分をエッチングすることにより形成されるプリント配線板が知られている。これらの配線板は、基材が硬質なため、リジッドプリント配線板と呼ばれているが、近年、電子機器の小型化、軽量化、高密度化に伴い、リジッドプリント配線板に代わり、フレキシブルプリント配線板が多用されるようになってきた。
フレキシブルプリント配線基板(以下FPCと省略する。)とは、可撓性のある絶縁フィルムと、例えば銅箔等を、接着剤等を用いて積層し、これに配線加工を施したものであり、薄く、軽量で、立体配線の自由度が高く、しかも回路中に可動部分を組み込むことができるため、年々需要が増大している。
【0003】
FPC用の絶縁フィルムの素材としては、ガラスエポキシシート等の無機・有機複合物も使用されているが、一般的には、ポリイミド、ポリエステル、芳香族ポリアミド等の比較的耐熱性に優れた高分子をフィルム化したものが用いられる。しかし、ポリエステルは、ハンダ使用温度に堪え得るだけの耐熱性がないため用途が限られている。また、芳香族ポリアミド、特にパラ配向の全芳香族ポリアミドは、高い結晶性を有し、高融点で耐熱性に優れ、しかも剛直な分子構造を持つため、機械的強度も高い、というメリットを有しているが、吸湿による膨張が大きく、熱収縮率も大きいので寸法安定性が悪い、というデメリットがある。吸湿特性を改善する目的で芳香環に塩素原子を置換導入する試みもあるが、熱寸法安定性がさらに低下し、また、高温で使用すると塩素原子のせいで金属箔が腐食するという問題が起きていた。
【0004】
このため、FPCには優れた耐熱性を有するポリイミドが最も多用されている。しかしポリイミドにおいても熱収縮や吸湿による寸法変化の問題は残されている。さらに、現在のフィルム厚は25μmが主流であるが、より薄膜にしようと試みた場合、コストが高くなってしまうこと、あるいは、ポリイミドの弾性率が低いためにフィルムの腰が弱くなって実用的でなくなること、という問題があった。
【0005】
一方、上記絶縁フィルム上に金属箔を積層する際に熱硬化性接着剤が用いられることが多いが、接着剤層は通常20〜40μm程度と厚く、これ以上の薄膜化は望みにくい。また、接着剤の誘電特性が低いことから、ICの高速化やファインピッチ化には、厚い接着剤層の存在が障壁となっている。さらに、プラズマディスプレイパネルのための配線部材等のように、比較的狭い導体間に高い電圧が加わる場合は、接着剤層中にメタルマイグレーションによる金属のブリッジが生成することがあり、絶縁信頼性の観点からは問題となっていた。
【0006】
また、金属箔として一般的である銅箔としては、電解銅箔や圧延銅箔があり、厚さ35μmのものを中心に、70μm、18μmの銅箔が用いられている。FPCの薄膜化の要求に合わせて銅箔についても極薄箔が望まれているが、コストが高くなると共に、箔の強度等の物性低下が著しく加工がしにくいという問題があった。
【0007】
このような観点から、絶縁フィルムに接着剤で銅箔等の金属箔を貼るのではなく、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の方法で金属薄膜を直接絶縁フィルム上に形成することが試みられている。しかし、蒸着等の薄膜形成法では、基材がかなり高温環境下に曝されることから前記した高分子フィルムでは反り等の変形や寸法変化が起ってしまう。またフィルムとの密着性が悪く、金属薄膜の剥離が起るなどの問題もあり、FPCとして特性的に満足のいくものは得られ難い。
【0008】
一方、電子機器の小型化、軽量化、高密度化の流れは、回路中での発熱に伴う諸問題を引き起こすことにもなっている。特に最近では、小型電子機器にも高速動作の半導体素子が使用されるようになってきたが、この高速動作半導体素子は発熱量が大きく、高密度実装状態とも相まって、いかにして配線板の熱放散性を高めるか、ということが大きな問題となっている。しかし、ポリイミドを含めた多くの高分子材料は熱伝導性が低く、熱放散という点では期待できない。伝熱性のよい金属箔を基材の一部に用いてメタルベース基板としたり、金属微粉末やカーボンブラックを高分子材料に配合して熱伝導性を高めようとする試みも行われているが、これらの熱伝導性改良手段は、電気伝導度を上昇させて絶縁性を低下させることになってしまうので、FPC用としては好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明では、絶縁性、放熱性に優れ、高温環境下におかれても変形等を起こさないような充分な耐熱性と寸法安定性を有する絶縁フィルム素材を見出し、この素材上に直接金属薄膜を形成した金属薄膜積層フィルム、およびこの積層フィルムを用いた極めて薄いFPCを提供することを課題として掲げた。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の金属薄膜積層フィルムは、下記構造式
【化2】
で示されるいずれかの繰り返し単位からなり、二軸配向してなるポリベンゾアゾールフィルムの片面または両面に、接着剤層を介することなく、金属薄膜が形成されているところに要旨を有する。ポリベンゾアゾールフィルムの厚さが3〜75μm、かつ引張弾性率が縦方向および横方向のいずれもにおいて1000kg/mm以上で、金属薄膜の厚さが0.1〜20μmであることが好ましい。ポリベンゾアゾールフィルムは、絶縁性、耐熱性、寸法安定性に優れ、さらに高い熱伝導性を示すので、ポリベンゾアゾールフィルムの上に、直接、金属薄膜を形成しても、反りなどの変形を起こさず、放熱性に優れた精密なFPCを製造することができる。ポリベンゾアゾールフィルムの好ましい熱伝導率の目安は1〜50W/mKである。なお、本発明の「ポリベンゾアゾール」とは、ポリベンゾオキシアゾールまたはポリベンゾチアゾール、およびこれらのアルキルまたはハロゲン誘導体のことである。
【0011】
FPC用途としては、金属薄膜が銅からなる薄膜であることが電気伝導度の点から好ましい。また、ポリベンゾアゾールの中でも、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾールは、耐熱性等の各特性に優れているため好ましい。
【0012】
なお本発明には、本発明の金属薄膜積層フィルムを基板とし、配線加工を施して得られるフレキシブルプリント配線板も含まれる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の金属薄膜積層フィルムは、フィルム素材としてポリベンゾアゾールを用いたところに特徴を有する。ポリベンゾアゾールは、ベンゾオキシアゾールまたはベンゾチアゾールおよびこれらのアルキルまたはハロゲン誘導体のポリマーである。具体的には、下記構造式で示されるいずれかの繰り返し単位からなるポリマーである。なお、下記式中の芳香環部分には、アルキル基またはハロゲン原子が導入されていてもよく、下記繰り返し単位(a)〜(d)のうち2種以上有する共重合体であってもよい。
【0014】
【化3】
【0015】
ポリベンゾアゾールの中でも、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾールが耐熱性等の各特性が良好であり、好ましい。
【0016】
ポリベンゾアゾールの合成方法は、特に限定されない。米国特許第4533693号等には、ポリベンゾアゾール等の合成方法として、ジオール等の第1モノマー成分の塩酸塩を出発原料として用い、これをポリリン酸中で加熱・減圧しながら塩酸を除去し、次いでテレフタル酸等の第2モノマー成分を添加して加熱・減圧することにより縮合合成する方法等が示されている。例えば、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩とテレフタル酸からは、ポリシスパラフェニレンベンゾビスオキサゾールが、2,5−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩とテレフタル酸からは、ポリトランスパラフェニレンベンゾビスオキサゾールが得られる。
【0017】
FPC用途という点でポリベンゾアゾールフィルムの機械的強度を考慮すれば、フィルム化した後のポリマーの極限粘度(メタンスルホン酸溶液中)が、5以上となるような重合体を用いることが好ましい。
【0018】
フィルム化には、ポリベンゾアゾールのドープ(溶液)を不活性雰囲気下で押出す方法を採用するとよい。例えば、米国特許第4973442号には、リオトロピック液晶性ドープに、円筒状の逆転する回転ダイで剪断力を与えて押出すことにより、ポリマーを配向させて、押出し方向に対して+θ度配向した層と−θ度配向した層を形成して多軸配向フィルムを得る方法が記載されている。ただしこの方法は、厚みの均一性が得られにくい問題がある。
【0019】
一方、特表平6−503521号では、ポリベンゾアゾールを8〜20重量%含有するポリリン酸ドープをTダイから80〜200℃で押出し、不活性雰囲気化で冷却した後、このフィルム状ドープの両面を熱可塑性フィルムで挟み、これらのラミネート物をテンター等で横延伸した後に熱可塑性フィルムを取り除く方法が記載されている。フィルム状ドープは、Tダイから押出された時点で縦方向に配向するので、この方法によれば、厚みが均一な2軸配向フィルムが得られる。縦配向が弱ければ、横延伸の前または後にロール等による縦延伸工程を追加することもでき、またテンターで縦横同時に延伸してもよい。
【0020】
ポリベンゾアゾールフィルムの厚みは、3〜300μmとすることが好ましい。フィルムが厚過ぎると、可撓性が低下して、フレキシブルなプリント配線板を得ることが難しい。しかし、フィルムが薄過ぎると、腰が弱くなり、機械的強度が低下すると共に、電気絶縁性も低下するため好ましくない。フィルム厚を150μm以下とするのがより好ましく、75μm以下がさらに好ましい。最も好ましい厚さの上限値は40μmである。また下限値は、5μm以上とするのが好ましく、7μm以上がより好ましい。
【0021】
ポリベンゾアゾールフィルムは、引張弾性率が縦方向および横方向のいずれもにおいて1000kg/mm2 以上であることが機械的強度の点から好ましい。。1000kg/mm2 より小さいと、特に薄肉のフィルムにしたときの強度が不足することがある。
【0022】
熱伝導率は大きいことが好ましく、本発明で用いられるポリベンゾアゾールでは、常温、分子軸配向方向において、1〜50W/mKである。熱伝導率をこの範囲にするには、フィルムのヤング率が400kg/mm2 以上、より好ましくは1500kg/mm2 以上になるように配向させるとよい。一般的なプラスチックは0.1〜0.5W/mK程度であり、放熱性に乏しいが、本発明では熱伝導率のよいポリベンゾアゾールをフィルム基材として用いているので、金属薄膜を形成した後でも優れた熱放散性を示し、小型電気機器や高密度実装用のFPCとして最適である。
【0023】
ポリベンゾアゾールフィルムには、公知のフィルム用添加剤、例えば、紫外線吸収剤・安定剤、熱安定剤、滑剤、顔料、延伸助剤等を加えることができる。またフィルムと金属薄膜層との密着性を上げるために、フィルムに対して、アンカーコート剤のコーティングや、ケミカルエッチング処理、コロナ処理、プラズマ処理を施してもよい。
【0024】
上記ポリベンゾアゾールフィルム上に形成される金属薄膜用金属としては、FPCに一般的に用いられている銅だけでなく、各種金属を用いることができる。例えば、Be、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、As、Se、Sr、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Te、Ba、ランタノイド系金属、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Tl、Pb、Bi等の常温で固体の金属やこれらの合金が挙げられる。合金としては、Fe−Co系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Si系合金、Fe−C系合金、Cu−Zn系合金、Cu−Sn系合金、Ni−Cr系合金等の2元合金や、Fe−Ni−Cr系合金等の3元合金等、あるいは4元系以上の合金も利用可能である。また、酸化錫、酸化インジウム、酸化バナジウム、酸化ルテニウム等の導電性を有する金属酸化物を用いてもよい。
【0025】
金属薄膜の製法は、フィルム上に接着剤層を介することなく、金属の膜を直接形成することができれば特に限定されない。要するに、予め製造された金属箔のような薄膜を絶縁フィルムに接着するのではなく、フィルム上に直接(あるいはフィルムの表面処理によって形成された層上に)、金属層を生成させればよいのである。具体的には、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング、レーザー物理蒸着法等のPVD法や、化学気相蒸着(CVD)法等の気相法や、電気メッキ法または無電解メッキ法等の液相法を採用することができる。
【0026】
金属薄膜と絶縁フィルムの密着力に優れているのは、イオンプレーティング法、スパッタリング法等である。ただしこれらの気相法は、金属析出速度(薄膜成長速度)が遅く、1μm以上の比較的厚い金属層を形成するには長時間要する。一方、電気メッキ法は析出速度が速く、膜厚を厚くする時には有効であるが、絶縁フィルムに直接電気メッキを行うことができない。
【0027】
従って、比較的厚みのある金属膜を形成する場合には、まず、フィルム上にイオンプレーティング法、スパッタリング法等の気相法で1μm以内の金属薄膜を形成し、続いて、電気メッキ法や無電解メッキ法等の液相法を用い、気相法で形成した金属と同種または異種の金属膜をさらに形成・積層していくことが好ましい。また、フィルムにケミカルエッチング処理を施した後に無電解メッキ法で金属薄膜を形成すると密着性が良好となるので、気相法で最初の薄膜を形成する代わりに、無電解メッキ法によって薄膜を形成してから電気メッキ法を用いて膜厚を増やすこともできる。なお、絶縁フィルムを用いて電気メッキを行うために導電性を付与するときには、導電性ペーストやコート液、導電性高分子材料等を予め塗布する手段が採用可能である。
【0028】
金属薄膜の厚みは、用途に応じて変更でき、通常0.1〜100μmとする。回路設計上、導体抵抗等を考慮すれば、1〜50μmが適している。より好ましくは3〜25μm、さらに好ましくは3〜12μmである。また、5〜20μmの厚みの金属箔は、高い屈曲性と微細な細線加工が要求される用途に適している。
【0029】
本発明の金属薄膜積層フィルムは、ポリベンゾアゾールフィルムの少なくとも片面に金属薄膜が形成されたものである。本発明の金属薄膜積層フィルムの金属層部分を、公知の方法でエッチング加工して回路パターンを形成すれば、フレキシブルプリント配線板を得ることができる。片面FPC、両面FPCのいずれも製造可能であり、両面FPCにおいては両面間をメッキ加工や導電ペーストを用いて導通確保することにより、両面スルホール回路とすることもできる。また、ビルドアップ法でさらに多層化することもでき、アディティブ法やセミアディティブ法を組み合わせてもよい。また、金属層を形成したポリベンゾアゾールフィルムをスリットし、スプロケットホールをパンチングした後、エキシマレーザーでフィルムのみをエッチング・除去し、デバイスホールを開けて、TAB(テープオートメイテッドボンディング)用のキャリアテープとして利用することも可能である。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0031】
実施例1
[ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾールの合成]
槽型反応器中に、窒素気流下において、116%(純H3 PO4 を100%としたとき)のポリリン酸43.86重量部に五酸化二リン14.49重量部を加え、さらに、4,6−ジアミノレゾルシノール二塩酸塩9.10重量部と平均粒径2μmになるように微粉化したテレフタル酸7.10重量部を加え、80℃に加熱して撹拌混合した。次いで150℃で10時間混合した後、200℃に熱した2軸押出機内で重合した。シス−ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾールのポリマードープが得られた。このポリマードープは、黄色であり、メタンスルホン酸溶液で測定した極限粘度は、38dl/gであった。
【0032】
[フィルムの作製]
上記ポリマードープを、150℃でTダイから押出し、押出された高粘度のフィルム状ドープを不活性雰囲気下で金属ロールにキャストして冷却した。次いで、未延伸ポリプロピレンフィルムをフィルム状ドープの両面にラミネートし、この両面ラミネートシートごとテンターで150℃で横方向に延伸した。ラミネートしたポリプロピレンフィルムを剥離して取り除き、フィルム状ドープを24時間水洗した後、280℃で熱固定した。厚さ50μmの2軸配向したポリパラフェニレンベンズビスオキサゾールフィルムが得られた。このフィルムの引張弾性率は、縦方向で2300kg/mm2 、横方向で2800kg/mm2 であった。またフィルムの熱伝導率は、縦方向が20W/mK、横方向が30W/mKであった。なお、熱伝導率は、ジャーナル・オブ・アプライド・フィジクス36巻[J.Appl.Phys.Vol.36(1977)]の5634頁に記載されている定常熱流束法を用いて測定した値である。
【0033】
[金属薄膜積層フィルムの作製]
上記フィルム上の片面に、スパッタリング法によって、銅からなる厚さ0.2μmの薄膜を形成した。さらに、電解銅メッキ法を用いて、銅の層の厚みを10μmに増やし、片面銅膜積層フィルムを作製した。同様にして、両面銅膜積層フィルムを作製した。
【0034】
[キャリアテープ]
片面銅膜積層フィルムを35mm幅にスリットし、JIS K 7552(1965)に規定された映画用生フィルム(ポジ目生フィルム)の寸法に相当するスプロケットホールを孔明け加工により形成した。デバイスホール以外の部分をマスクして、KFエキシマレーザー(247nm)を照射してエッチングすることにより、デバイスホールを作製した。次に、ドライフィルムレジストをフォトファブリケーションしてエッチングレジストとし、塩化第二銅でエッチングした。さらにニッケルメッキおよび金メッキを施して、配線パターンを作製した。得られたキャリアテープの寸法精度は、上記JIS規格を満足するものであった。
【0035】
[FPC加工]
両面銅膜積層フィルムにドリル加工を施し、最小径0.2mmの貫通孔を形成し、スルホール導通加工を行った。スルホール導通加工は、コンディショニング、触媒付与、触媒活性化、無電解銅メッキ、パネル電気銅メッキ、の順で行った。最終的なスルホール部分の導体厚みは20μmとした。次いで、液状レジストを厚さ8μmにコーティングし、フォトファブリケーションしてエッチングレジストを形成し、塩化第二銅でエッチング加工して、最小幅25μm、最小線間隔25μmの導体パターンを形成した。カバーフィルムとして感光性ポリイミドフィルムを用いてマスクして、両面FPCを得た。
【0036】
[評価]
FPCの加工工程中における寸法変動を、ドライフィルムレジストパターンと得られた導体回路パターンとで比較したところ、0.012%であった。また得られたFPCに消費電力1.0[W]の素子を実装し、25℃の室内で動作させて素子の温度上昇を記録したところ、10分後の素子温度上昇は+13℃であった。
【0037】
比較例1
ポリパラフェニレンベンズベンゾアゾールフィルムに代えて、厚さ30μmのポリイミドフィルム(商品名「カプトン」;デュポン社製)を用いた以外は実施例1と同様にして両面FPCを作製した。このFPCの寸法変動率は、0.28%であった。また実施例1と同様にして素子の温度上昇を測定したところ、素子の温度は、動作10分後に+42℃も上昇した。
【0038】
【発明の効果】
本発明の金属薄膜積層フィルムは、ポリベンゾアゾールフィルムの上に金属薄膜が形成されたものであり、FPCの薄膜化に寄与するところは大きい。本発明の積層フィルムから得られるフレキシブルプリント配線板は、耐熱性、寸法精度に優れているので、特に、微細でかつ多数の電極を高精度で作製する必要のあるLCDやPDP等のマトリクス型ディスプレイの周囲の配線基板として有用である。さらに接着剤層を介在させていないため、導体間に高電圧が継続的に引火される用途においてもマイグレーションによる絶縁劣化を生じることはない。
【0039】
また、ポリベンゾアゾールフィルムの熱伝導率が高く、この基材に直接金属層が接しているため、得られるFPCは放熱性に優れたものとなり、高消費電力の電子素子を搭載する用途、例えば、電源回路、PDP等のディスプレイの駆動回路、高速演算処理を行うCPUやアクセラレーター素子を搭載するための基板として最適である。

Claims (4)

  1. 下記構造式
    で示されるいずれかの繰り返し単位からなり、二軸配向してなるポリベンゾアゾールフィルムの片面または両面に、接着剤層を介することなく、金属薄膜が形成されてなり、
    ポリベンゾアゾールフィルムの厚さが3〜75μm、かつ引張弾性率が縦方向および横方向のいずれもにおいて1000kg/mm以上で、
    金属薄膜の厚さが〜20μmで、かつ該金属薄膜の形成が、気相法で金属薄膜を形成し、続いて液相法を用い、気相法で形成した金属と同種または異種の金属膜をさらに形成・積層してなされることを特徴とする金属薄膜積層フィルム。
  2. ポリベンゾアゾールフィルムの熱伝導率が1〜50W/mKである請求項1に記載の金属薄膜積層フィルム。
  3. 上記金属薄膜が銅からなる薄膜である請求項1または2に記載の金属薄膜積層フィルム。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の金属薄膜積層フィルムを基板として用いたことを特徴とするフレキシブルプリント配線板。
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