JP4227280B2 - 5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸の製造方法 - Google Patents

5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー写真感光材料用発色剤や機能性色素等の合成中間体として有用な5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸の改良された製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸の合成法は今までに公知の例はなく、考えられる合成法としては、その鍵中間体である5−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸(V)から誘導する方法がある。例えば特開昭62−123,157号、特開昭62−123,158号には、5−カルボンアミド体、5−スルホンアミド体を5−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸から誘導する方法が記載されている。そして、この鍵中間体である5−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸については、5−アミノ−1−ナフトールをアルカリの存在下で、高圧下、二酸化炭素と高温で反応させる方法のみが知られている。例えば、米国特許第2453105号記載の方法は、o-ジクロロベンゼンを溶媒として温度175℃、圧力60気圧の下で7時間反応させ、63%の収率で目的とする5−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸を得ている。しかし、この方法では高温、高圧の条件が必要であり、また、5−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸を単離精製するのが困難であるなどの問題点があった。
【0003】
【化3】
Figure 0004227280
【0004】
そこで、5−アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸(V)を経由しない5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸(III)の合成法として、5−アミノ−1−ナフトールの5位を先にアルキル化し、5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)に変換した後、アルカリの存在下で二酸化炭素と反応させて5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸(III)を合成する方法が考えられる。例えば特開平1−180863号には、5−アミノ−1−ナフトールの5位を先にアミド化またはスルホンアミド化し、5−置換アミノ−1−ナフトール類に変換した後、これを単離し、アルカリ塩に変換したものを高圧下、二酸化炭素と高温で反応させた後、酸で処理することによって5−置換アミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸を合成する方法が記載されている。しかし、この方法で5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸を合成する場合、5−アルキルアミノ−1−ナフトールが酸化をうけやすく不安定であり、また低融点であるため(例えば、5−ドデシルアミノ−1−ナフトールでは融点65℃)、5位をアルキル化した後単離精製するのが困難であるという問題があった。また、2位にカルボキシル基を導入する際、アルカリ塩として単離精製してから、二酸化炭素と反応させている点で、工程数が多くなり工業的に有利な方法であるとは言いがたい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、工業的に有利な方法で5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸を製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は以下の方法により達成される。
(1)非プロトン性極性溶媒中、5−アミノ−1−ナフトール(下記一般式(I)で表される化合物についてアミノ基をR −X(X=ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシまたはアリールスルホニルオキシ)と反応させる方法で、アミノ基にアルキル基を導入し、下記一般式(II)で表される5−アルキルアミノ−1−ナフトールを得、それを単離精製することなく、塩基存在下、二酸化炭素と反応させることを特徴とする下記一般式(III)で表される5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸の製造法。
【0007】
【化4】
Figure 0004227280
【0008】
(R炭素数1〜32のアルキル基(単環もしくは多環のシクロアルキル基を含む)を表す。Rはさらに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基またはアミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい。
(2下記一般式(III)で表される5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸。
【0009】
【化5】
Figure 0004227280
【0010】
(R炭素数1〜32のアルキル基(単環もしくは多環のシクロアルキル基を含む)を表す。Rはさらに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基またはアミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい。
この方法は非プロトン性極性溶媒を用いることでアルキル化とカルボキシル化が共通の溶媒で行えるため、アルキル化の後、単離精製が困難な5−アルキルアミノ−1−ナフトールを取り出さずに、そのまま次工程のカルボキシル化を行える点で、収率が良く、酸化されやすい化合物でもカルボキシル化が行え、また工程が1つで済む点で簡便で生産性高く製造できる方法であるといえる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。上記のごとくRは、炭素数1〜32のアルキル基(シクロアルキル基を含む)を表す。更に詳しくは、Rはアルキル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換の炭素数1〜32のアルキル基を表す。アルキル基(好ましくは炭素数1〜22であり、具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、2−プロペニル、2−プロピニル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、n−ヘキシル、2−メトキシエチル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−ヘキサデシルおよびn−オクタデシル等が挙げられる。シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)]を表す。
これまで述べてきた置換基の中でさらに置換可能な基は以下の置換基でさらに置換されていてもよい。すなわち、
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、ヘキシル)、アルケニル基(例えば、ビニル)、アルキニル基(例えば、エチニル)、フルオロアルキル基(例えば、トリフルオロメチル)、アリール基(例えば、フェニル、トリル、ナフチル)、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、オクチルオキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、ナフチルオキシ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、ブチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ)、アミノ基(例えば、アミノ、N−メチルアミノ、N,N−ジメチルアミノ、N−フェニルアミノ)、アシル基(例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル)、アルキルまたはアリールスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、フェニルスルホニル)、アシルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基(例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノ)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル、N−メチルアミノカルボニル、N,N−ジメチルアミノカルボニル、N−フェニルアミノカルボニル)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル、N−メチルアミノスルホニル、N,N−ジメチルアミノスルホニル、N−フェニルアミノスルホニル)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトシキカルボニル、オクチルオキシカルボニル)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、ブトキシカルボニルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(例えば、N−メチルアミノカルボニルアミノ、N−フェニルアミノカルボニルアミノ)が挙げられる。
本発明の製造法で製造するのに適した一般式(III)で表される化合物の具体例を以下に示すがこれらに限定されるものではない。
【0012】
【化6】
Figure 0004227280
【0013】
【化7】
Figure 0004227280
【0014】
【化8】
Figure 0004227280
【0015】
次に5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)を単離精製せずに5−アミノ−1−ナフトール(I)から5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)を経由して一般式(III)で表される5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸を製造する方法について述べる。
【0016】
【化9】
Figure 0004227280
【0017】
5−アミノ−1−ナフトール(I)から5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)を合成する反応について詳しく説明する。一般にアニリン類のN−モノアルキル化は大別して以下の3つの方法により達成することができる。
[1]アニリン類と −X(X=ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ等)とを反応させる方法。
[2]アニリン類を一旦アシルアミドとした後、還元する方法。
[3]アニリン類を一旦イミンとした後、還元する方法。
【0018】
このうち5−アミノ−1−ナフトール(I)に適用する場合、収率、汎用性、経済性、安全性等の点から、[1]の方法が最も好ましい。
以下に[1]5−アミノ−1−ナフトール(I)とR−Xとの反応について詳しく説明する。Xとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルホニルオキシ等を挙げることができる。好ましくは、Xは臭素原子またはヨウ素原子である。R−Xの5−アミノ−1−ナフトール(I)に対するモル比は0.1〜4であり、好ましくは0.9〜1.2である。5−アミノ−1−ナフトール(I)とR−Xとの反応は塩基触媒下で行った方が良く、塩基としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム等の無機塩基またはトリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン等の有機塩基を挙げることができる。好ましくは、炭酸水素ナトリウムである。塩基の5−アミノ−1−ナフトール(I)に対するモル比は0.1〜3であり、好ましくは0.5〜1である。
【0019】
5−アミノ−1−ナフトール(I)とR1−X1との反応の好ましい溶媒は、好ましい溶媒は、非プロトン性極性溶媒(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、 N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N,N’-ジメチルイミダゾリドン等)で、これらは単独でまたは混合溶媒として使用する。より好ましくは、N,N-ジメチルアセトアミドまたはN-メチルピロリドンである。
5−アミノ−1−ナフトール(I)とR1−X1との反応の好ましい反応温度は、50℃〜200℃であり、より好ましくは100℃〜130℃である。
5−アミノ−1−ナフトール(I)とR1−X1との反応の好ましい反応時間は、30分〜10時間であり、より好ましくは3時間から5時間である。
本発明において一般式(II)で表される5−アルキルアミノ−1−ナフトールは、単離精製することなくそのまま次工程に用いる。
【0020】
次に5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸(III)を製造する方法について詳細に述べる。
5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸(III)は5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)から非プロトン性極性溶媒中、塩基存在下、二酸化炭素と反応させて製造される。
塩基の5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)に対するモル比は1〜30であり、好ましくは1〜6である。
5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)と二酸化炭素との反応で用いる塩基としては、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、金属アルコキシドで、これらの混合塩基でもよい。好ましくは、金属アルコキシドまたは炭酸カリウムと金属アルコキシドの混合塩基である。
炭酸カリウムと金属アルコキシドの混合塩基を使用する場合のモル比は、炭酸カリウム:金属アルコキシド=1〜8:1〜8であり、好ましくは炭酸カリウム:金属アルコキシド=1〜6:2〜3である。
金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、t-ブトキシナトリウム、t-ブトキシカリウム等が挙げられ、好ましくはt-ブトキシナトリウムである。
5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)と二酸化炭素との反応に用いる溶媒は非プロトン性極性溶媒であり、5−アミノ−1−ナフトール(I)から5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)を合成する反応に用いる溶媒と同じである。また、更に溶媒を添加することにより混合溶媒として使用しても良い。好ましくは単独の溶媒である。
【0021】
添加する溶媒としては、非プロトン性極性溶媒(例えばN,N-ジメチルホルムアミド、 N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N,N’-ジメチルイミダゾリドン)またはこれ以外の溶媒(例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン、ジグライム、ケロシン)が挙げられ、高沸点であることが好ましい。より好ましくはN,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンである。
5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)と二酸化炭素との反応の好ましい反応温度は、80℃〜200℃であり、より好ましくは100℃〜180℃である。
【0022】
5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)と二酸化炭素との反応の好ましい二酸化炭素の圧力は0.5atm〜100atmであり、より好ましくは5atm〜20atmである。
5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)と二酸化炭素との反応の好ましい反応時間は1時間から12時間であり、好ましくは3時間から6時間である。
反応手順としては、窒素雰囲気下、非プロトン性極性溶媒中、塩基存在下、5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)を加熱攪拌し、昇温後に二酸化炭素と反応させてもよいし、あるいは二酸化炭素雰囲気下、加熱攪拌し、昇温後に二酸化炭素を加圧してもよいし、あるいは二酸化炭素加圧下、加熱昇温してもよい。好ましくは窒素雰囲気下、非プロトン性極性溶媒中、塩基存在下、5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)を加熱攪拌し、昇温後に二酸化炭素と反応させる方法である。
【0023】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づきさらに詳細に説明する。
実施例1
化合物(16)の合成
5−アミノ−1−ナフトール(50g)、n-ドデシルブロミド(78.3g)、炭酸水素ナトリウム(26.4g)およびN-メチルピロリドン(200ml)の混合物を窒素雰囲気下130℃で5時間攪拌後、50℃まで冷却した。得られた溶液にt-ブトキシナトリウム(90.6g)、炭酸カリウム(130.2g)を加え、10気圧の二酸化炭素雰囲気下、120℃で6時間攪拌後、40℃まで冷却した。得られた溶液を酢酸エチル(500ml)/水(500ml)に注加し、水層のpHが8.5になるまで濃塩酸を加えた。得られた混合液に活性炭(10g)を添加して15分攪拌後、セライト濾過した。分液後、有機層を約100mlになるまで濃縮し、水(350ml)/濃塩酸(60ml)に注加した。得られた混合液にヘキサン(200ml)を加え、ゆっくり攪拌しながら15℃まで冷却し、その温度で30分間静置した。結晶を濾取し、酢酸エチル/ヘキサン(=1/1)およびアセトニトリルでかけ洗い後、乾燥することににより化合物(16)(76.3g、65%)を得た。(化合物の同定は元素分析、NMRおよびMassスペクトルにより行った。)
【0024】
1H NMR(300MHz,DMSO-d6)
δ: 0.84(t,J=6.6Hz,3H),1.22(bs,18H),1.55-1.70(m,2H),3.16(t,J=6.9Hz,2H),3.35(bs,1H),6.10(bs,1H),6.63(d,J=7.5Hz,1H),7.32(dd,J=7.5,8.1Hz,1H),7.41(d,J=8.1Hz,1H),7.59(d,J=9.1Hz,1H),7.63(d,J=9.1Hz,1H),12.50(bs,1H)
元素分析
計算値:C 74.36% H 8.95% N 3.77% O 12.92%
実測値:C 74.18% H 8.96% N 3.76% O 13.10%
【0025】
次に参考のため、アルキル化を行ったあと、単離精製してからカルボキシル化を行った結果を以下に示す。
参考例1
5−ドデシルアミノ−1−ナフトールの合成
5−アミノ−1−ナフトール(30g)、n-ドデシルブロミド(47g)、炭酸水素ナトリウム(15.8g)およびN-メチルピロリドン(90ml)の混合物を窒素雰囲気下130℃で5時間攪拌後、50℃まで冷却した。得られた溶液を酢酸エチル(100ml)に注加し、活性炭(5g)を添加して30分攪拌後、セライト濾過した。得られた溶液を水(400ml)に注加し、分液を行った。有機層にさらに水(100ml)を添加し、分液を行った。この操作を2回行った後、有機層を減圧にて濃縮した。濃縮残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/n-ヘキサン=1:4)により精製することにより5−ドデシルアミノ−1−ナフトール(37g、60%)を得た。
【0026】
化合物(16)の合成
200ml容の反応容器に、5−ドデシルアミノ−1−ナフトール(5g)、t-ブトキシナトリウム(4.4g)、炭酸カリウム(6.3g)およびN-メチルピロリドン(25ml)をとり、この混合物を10気圧の二酸化炭素雰囲気下、120℃で6時間攪拌後、40℃まで冷却した。得られた溶液を酢酸エチル(50ml)/水(50ml)に注加し、水層のpHが7になるまで濃塩酸を加えた。得られた混合液に活性炭(1g)を添加して15分攪拌後、セライト濾過した。分液後、有機層を減圧にて濃縮し、水(30ml)/濃塩酸(1ml)に注加した。得られた混合液にヘキサン(20ml)を加え、ゆっくり攪拌しながら15℃まで冷却し、その温度で30分間静置した。結晶を濾取し、酢酸エチル/ヘキサン(=1/5)およびアセトニトリルでかけ洗い後、乾燥することにより化合物(16)(5.4g、95%)を得た。その結果を表1に示した。
【0027】
Figure 0004227280
【0028】
上記実施例の結果および比較例の結果から、参考例1のアルキル化を行ったあと、単離精製してからカルボキシル化を行う方法に比べ、本発明の方法の方が収率が良く、単離精製の操作が必要なく、工業的に有利な方法で5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸を製造できることがわかる。
【0029】
【発明の効果】
非プロトン性極性溶媒中、5−アミノ−1−ナフトール(I)のアミノ基にアルキル基を導入し、5−アルキルアミノ−1−ナフトール(II)を得、それを単離精製することなく、塩基存在下、二酸化炭素と反応させる本発明の製造法によって、アルキル化の後、単離精製が困難な5−アルキルアミノ−1−ナフトールを取り出さずに、そのまま次工程のカルボキシル化を行うことができ、かつ酸化されやすい化合物でもカルボキシル化が行え、高収率かつ工業的に有利な方法で5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸(III)を製造できる。

Claims (2)

  1. 非プロトン性極性溶媒中、5−アミノ−1−ナフトール(下記一般式(I)で表される化合物についてアミノ基をR −X(X=ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシまたはアリールスルホニルオキシ)と反応させる方法で、アミノ基にアルキル基を導入し、下記一般式(II)で表される5−アルキルアミノ−1−ナフトールを得、それを単離精製することなく、塩基存在下、二酸化炭素と反応させることを特徴とする下記一般式(III)で表される5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸の製造法。
    Figure 0004227280
    (R炭素数1〜32のアルキル基(単環もしくは多環のシクロアルキル基を含む)を表す。Rはさらに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基またはアミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい。
  2. 下記一般式(III)で表される5−アルキルアミノ−1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸。
    Figure 0004227280
    (R炭素数1〜32のアルキル基(単環もしくは多環のシクロアルキル基を含む)を表す。Rはさらに、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、フルオロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アミノ基、アシル基、アルキルまたはアリールスルホニル基、アシルアミノ基、アルキルまたはアリールスルホニルアミノ基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニルアミノ基またはアミノカルボニルアミノ基で置換されていてもよい。
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