JP4227062B2 - 燃料電池システム、燃料電池システムの燃料、及び燃料電池システムの密閉容器 - Google Patents
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Description
本発明の第1の実施の形態に係る燃料電池システム1aを、図面を参照して説明する。図1は、本発明による燃料電池システムの一実施の形態を示す概略的構成図であり、この燃料電池システム1aは、燃料電池の一例としてイオン導電性を有する固体高分子膜(イオン交換膜)3を、燃料極5と空気極(酸化剤極)7とによって挟み込んだ構成の燃料電池本体9を備えている。この種の燃料電池は、固体高分子型燃料電池(高分子電解質形燃料電池)として知られているので、燃料電池本体9の詳細な説明は省略する。
CH3OCH3+3H2O→6H2+2CO2 ・・・(1)
水素を効率良く生成するためには、ジメチルエーテルと混合する水の量が化学量論比のモルの1:3程度から、多少水が多い方が好ましい。したがって、ジメチルエーテルの改質反応を完全に進行させるためには、水の量は量論より多くするのが好ましく、ジメチルエーテルと水の混合比をモル比で1:4程度とするのがよい。しかし、ジメチルエーテルと水は、室温(25℃)付近ではモル比で1:7程度しか溶解しない。ジメチルエーテルとの親和性の高いメタノールを重量比で5〜10%程度加えることにより、ジメチルエーテルと水とをモル比で1:4程度に溶解できる。燃料中のメタノールの含有量は10wt%以下,更に好ましくは5〜10wt%であるのがよい。なお、メタノールの含有量は5wt%より小さくなると、ジメチルエーテルと水が2層に分離する。メタノールの含有量を10wt%以下、更には5〜10wt%とすることで,ジメチルエーテルの改質に更に好適な組成の燃料が得られる。
CH3OCH3+H2O→2CH3OH ・・・(2)
CH3OH→2H2+CO ・・・(3)
CO+H2O→H2+CO2 ・・・(4)
のように改質反応と、シフト反応とが同時に進行し、水素を含む水素リッチガスに改質される。このとき改質器11は、後述する触媒燃焼器23から熱が供給されておおよそ350℃に保たれる。
CO+3H2→CH4+H2O ・・・(5)
のように選択メタネーション触媒によりH2と反応させてCH4に変換するものである。選択メタネーション触媒としては、ルテニウム(Ru)系の触媒が好適である。この反応を行う際、流量制御弁49の上流側は燃料の飽和蒸気圧より僅かに低圧であるが大気圧より高圧の約3気圧であって、COの除去がより効果的に行われる。これによりCO濃度がモル濃度で10ppm以下になったH2,CO2,H2O,CH4を含むガスは、流量制御弁49を通って高分子型の燃料電池本体9の燃料極(アノード)5に供給される。
CO+1/2O2→CO2 ・・・(6)
に示すように、酸素を供給して、COを選択的に酸化させる反応でも良い。この場合、水素と酸素はあまり反応させず、COを選択的に酸素と反応させるためのルテニウム(Ru)系の部分酸化触媒が用いられる。また、図3において後述するが、水素を選択的に透過する半透膜を用いて、水素を選択的に分離してもよい。
第1の実施の形態の第1の変形例に係る燃料電池システム1bは、図3に示すように、CO除去手段45bの下流側に管路34が接続され、管路34の下流側に背圧調整弁21が接続され、背圧調整弁21の下流側に管路36が接続されている。管路36の下流側は、回収路35に接続されている。CO除去手段45bの内部には、ほぼ水素のみを選択的に透過する半透膜が配置されている。このような半透膜としては、例えば石英系の半透膜が好適である。石英膜の半透膜としては、例えば、厚さ350μm程度のα−Al2O3膜基材の上に厚さ0.6μm程度のγ−Al2O3膜を堆積させ、その上に厚さ0.3μm程度のシリカ層を堆積させた膜が好適である。CO除去手段45bの内部は、250〜350℃程度に維持されている。CO除去手段45bの下流側に配置された管路34は、背圧調整弁21により大気圧より高圧の3気圧程度に調整される。このように、半透膜の上流側を大気圧より高い圧力にすることにより、半透膜両側での圧力の差を大きくとることができ、透過速度を向上させることが可能になる。
第1の実施の形態の第2の変形例に係る燃料電池システムは、図4に示すように、気化器17、改質器11、CO除去手段45a、及び触媒燃焼器23が真空断熱容器101に収容されている。真空断熱容器101は、外容器101a及び外容器101aの内側に配置された内容器101bを有する。外容器101a及び内容器101bはガラス製で、外容器101aと内容器101bとの間は真空になっている。外容器101a及び内容器101bはステンレス製でもよい。外容器101a及び内容器101bの内壁には、外容器101aと内容器101bの輻射率を低く抑え、放熱を小さく抑えるための銀メッキ層が配置されてもよい。
本発明の第2の実施の形態に係る燃料電池システム1cを、図5を参照して説明する。この燃料電池システム1cは、用いる燃料であるジメチルエーテル(第1燃料)とともに水及びメタノールが改質器11へ同時に供給されるものであり、そのため、水とメタノールとの混合液を収容した密閉容器(第2の密閉容器)71を備えている。密閉容器71は、ピストン、ダイアフラム等の区画体71cにより、第1室71aと第2室71bに区画されている。第1室71aは、空気やDME等の気体が収容され、第2室71bには、第2燃料としてメタノールと水の混合液が収容されている。制御弁52を開くと、密閉容器(第1の密閉容器)13に作用するDMEの飽和蒸気圧により、気体が管路53を通って密閉容器71へ送給される。管路53から気体が送給されると、区画体71cは、第1室71aで作用する気体の圧力により第2室71b側へ押し出される。密閉容器71の下流側に接続された開閉弁55を開くと、第2室71bに収容された第2燃料が気化器17へ送給される。メタノールと水の混合液は、気化器17において気化され、気化した混合ガスが改質器11へ供給されることになる。なお、第2室71bの第2燃料としては、メタノールの代わりにエタノールが収容されてもよい。
本発明の第2の実施の形態の変形例に係る燃料電池システム1dは、図6に示すように、CO除去手段45dの下流側に接続された管路34、管路34の下流側に接続された背圧調整弁21、及び上流側を背圧調整弁21接続され、下流側を回収路35に接続された管路36を更に備える点が、図5に示す燃料電池システム1cと異なる。CO除去手段45dの内部には、図5に示すCO除去手段45cと同様に、ほぼ水素のみを選択的に透過する半透膜が配置される。他は、図5に示す燃料電池システム1cと同様であるので、説明を省略する。
本発明の第3の実施の形態に係る燃料電池システム1eは,図7に示すように,DMEを収容する密閉容器(第1の密閉容器)13と、水を収容する密閉容器(第2の密閉容器)71と、メタノールを収容する密閉容器(第3の密閉容器)72と、水及びメタノールを気化する気化器17と、水及びメタノールを導入し、メタノールを水素リッチガスに改質する改質器11と、水素リッチガスに含まれる一酸化炭素を除去若しくは減少させるCO除去手段45eと、水素リッチガスと酸素とを反応させて発電する燃料電池本体9とを備える。
(7)式に示すように、メタノールと水の化学量論比は1:1である。改質器11に送給する燃料として、メタノールと水とが1:1程度のモル比にすることにより、メタノール改質に必要な水の量のみを気化させることができるので、気化熱を必要量に抑え、かつ、改質部でのガス滞留時間を大きくとることが可能になる。この結果、改質効率が向上し、改質効率が高く、小型化が可能な燃料電池システム1eが提供できる。さらに、水タンク39に収容された水は、ポンプ57によって吸引されるので、第2室71bに補充するための水として再利用できる。
本発明の第3の実施の形態の第1の変形例に係る燃料電池システム1fは、図8に示すように、CO除去手段45fの下流側に接続された管路34、管路34の下流側に接続された背圧調整弁21、及び上流側を背圧調整弁21接続され、下流側を回収路35に接続された管路36を更に備える点が、図7に示す燃料電池システム1eと異なる。CO除去手段45fの内部には、図3及び図5に示すCO除去手段45b、45dと同様に、ほぼ水素のみを選択的に透過する半透膜が配置される。図8に示す燃料電池システム1fによれば、CO除去手段45fに内装された半透膜により、水素リッチガスの中から水素ガスを選択的に透過させることで、燃料極5へ供給する水素濃度が高くなるため、燃料電池本体9の発電効率を向上させることができる。
本発明の第3の実施の形態の第2の変形例に係る燃料電池システム1gは、図9に示すように、密閉容器71の下流側及び密閉容器72の下流側にそれぞれ気化器17a及び気化器17bが配置される。図9に示す燃料電池システム1gによれば、密閉容器13で作用する燃料の飽和蒸気圧により、密閉容器71の水の混合液が気化器17aに導入され,密閉容器72のメタノールが気化器17bにそれぞれ導入される。したがって、燃料の送給に必要なポンプを省略でき、燃料電池システム1gの小型化及び簡素化が図れる。
本発明の第3の実施の形態の第3の変形例に係る燃料電池システム1hは、図10に示すように、密閉容器71の下流側及び密閉容器72の下流側に、気化器17a及び気化器17bがそれぞれ配置されている。また、CO除去手段45hの下流側に管路34が接続され、管路34の下流側に背圧調整弁21が接続されている。背圧調整弁21の下流側は、回収路35に接続された管路36が接続されている。図8に示す燃料電池システム1hによれば、CO除去手段45hに内装された半透膜により、水素リッチガスの中から水素ガスを選択的に透過させることで、燃料極5へ供給する水素濃度が高くなるため、燃料電池本体9の発電効率を向上できる。
本発明の第4の実施の形態に係る燃料電池システム1iを、図11を参照して説明する。この燃料電池システム1iは、燃料電池本体9の燃料極5に対して水素を供給するために、燃料を水素リッチガスに改質するための改質器11が設けられている。用いる燃料はジメチルエーテル(DME)であり、密閉容器(第1の密閉容器)13内に収容してある。良く知られているように、ジメチルエーテルの常温での飽和蒸気圧は大気圧より高圧であって約6気圧の圧力を有する。そのため、密閉容器13内で液相および気相として存在するジメチルエーテルには、約6気圧の飽和蒸気圧が常に作用していることになる。
本発明の第4の実施の形態の変形例に係る燃料電池システム1jは、図12に示すように、CO除去手段45jの下流側に接続された管路34、管路34の下流側に接続された背圧調整弁21、及び上流側を背圧調整弁21接続され、下流側を回収路35に接続された管路36を更に備える点が、図11に示す燃料電池システム1iと異なる。
3…固体高分子膜
5…燃料極
7…空気極
9…燃料電池本体
11…改質器
13…密閉容器(第1の密閉容器)
17,17a,17b…気化器
23…触媒燃焼器
25…空気ポンプ
45a,45b,45c,45d,45e,45f,45h,45i,45j…CO除去手段
71…密閉容器(第2の密閉容器)
72…密閉容器(第3の密閉容器)
101…真空断熱容器
131…カートリッジ部
132…弁
135…受け口部
136…燃料送給管
Claims (10)
- ジメチルエーテル及び水をモル比で1:3−1:4に混合した混合液に対し、メタノールを重量比で5−10%含ませた燃料を収容する密閉容器と、
前記燃料を気化する気化器と、
気化した前記燃料を水素リッチガスに改質する改質器と、
前記水素リッチガスと酸素とを反応させて発電する燃料電池本体
とを備えることを特徴とする燃料電池システム。 - 前記密閉容器は、
燃料を収容するカートリッジ部と、
前記カートリッジ部の開口部を封止する弁と、
前記開口部に対向し、前記カートリッジ部を固定する受け口部と、
前記受け口部に接続され、前記燃料を送給する燃料送給管
とを備えることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。 - 前記燃料電池本体から送給されるガスを燃焼する触媒燃焼器と、
前記触媒燃焼器を内部に収容する真空断熱容器とを更に含み、
前記真空断熱容器は、前記触媒燃焼器に隣接するように、前記気化器、前記改質器、前記CO除去手段を内部に収容することを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料電池システム。 - 前記改質器は,アルミナにRh、Pd、Pt、Cuのうち少なくとも1種の金属を担持した改質触媒が内装されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記改質器は,前記燃料の改質反応を促すための改質触媒及び前記改質反応により発生する一酸化炭素を水と反応させるためのシフト触媒を内装することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
- 前記改質器と前記燃料電池本体との間に前記水素リッチガスに含まれる一酸化炭素を除去若しくは減少させるCO除去手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池システム。 - 燃料を収容する密閉容器と、
前記燃料を気化する気化器と、
気化した前記燃料を水素リッチガスに改質する改質器と、
前記水素リッチガスと酸素とを反応させて発電する燃料電池本体と
を備える燃料電池システムに用いられる燃料であって、
ジメチルエーテルと水とをモル比で1:3−1:4に混合した混合液に対し、メタノールを重量比で5−10%含むことを特徴とする燃料電池システムの燃料。 - 前記改質器と前記燃料電池本体との間に前記水素リッチガスに含まれる一酸化炭素を除去若しくは減少させるCO除去手段と、
を更に備える請求項7に記載の燃料電池システムの燃料。 - 燃料を収容する密閉容器と、
前記燃料を気化する気化器と、
気化した前記燃料を水素リッチガスに改質する改質器と、
前記水素リッチガスと酸素とを反応させて発電する燃料電池本体と
を備える燃料電池システムの燃料を収容する密閉容器であって、
ジメチルエーテルと水とをモル比で1:3−1:4に混合した混合液に対し、メタノールを重量比で5−10%含む燃料を収容することを特徴とする密閉容器。 - 前記改質器と前記燃料電池本体との間に前記水素リッチガスに含まれる一酸化炭素を除去若しくは減少させるCO除去手段と、
を更に備える請求項9に記載の密閉容器。
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