JP4224959B2 - 液晶基板の組立装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、減圧状態で液晶表示パネルの構成部材たる一対の基板を貼り合わせる液晶基板の組立装置に係り、特に、その一対の基板を減圧状態のチャンバ内で仮貼り合わせし、その後チャンバ内を大気開放することで本貼り合わせを行う液晶基板の組立装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルの製造には、透明電極や薄膜トランジスタアレイ等が設けられた二枚のガラス基板を、基板の周縁部に口字状に設けた接着剤(以下、「シール剤」ともいう)で例えば2μm程度の極めて接近した間隔をもって貼り合わせ(以下、その貼り合わせ後の基板を「セル」という)、その各基板と接着剤で形成される空間に液晶を封止するという工程がある。
【0003】
従来、そのような基板を貼り合わせて液晶を封止する装置としては、注入口を設けないようにシール剤をクローズしたパターン(口字形)に描画した一方の基板上に液晶を滴下しておく。そして、真空チャンバ内にて他方の基板を一方の基板の上方に配置し、真空状態でその他方の基板と一方の基板との間隔を狭めて加圧して上下の基板を貼り合わせる、という特開2000−284295号公報に開示された基板貼り合わせ装置がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例に開示された技術にあっては、真空状態で基板を貼り合わせるものである為、基板が大型化すると真空中における機械的な加圧力では基板間隔が所定量になるまでの加圧力を与えることは難しい。そこで、チャンバ内を大気圧に戻す時に各基板の表面に掛かる力を利用し、その力で加圧して各基板を所定の間隔にする方法が提案されている。しかしながら、そのような大気圧に戻して加圧する装置では、これまでは単にチャンバ内を大気圧に戻すことだけしか考慮されていなかった為、基板表面の位置によって加わる圧力にバラツキが生じる、という不都合があった。即ち、基板表面全体に、略均一な圧力が加わっていなかったので、適正且つ高精度な基板間距離の液晶表示パネルを得ることができなかった。
【0005】
本発明は、かかる従来例の有する不都合を改善し、減圧されたチャンバ内を大気圧に戻して本貼り合わせを行う際に、仮貼り合わせの行われた基板の表面全体に略均一な圧力を掛けることができる液晶基板の組立装置を提供することを、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する為、本発明では、貼り合わせ対象物たる二枚の基板を機械的に仮貼り合わせするチャンバに、減圧された当該チャンバ内を大気圧に戻す為に、加圧板の上面側のチャンバに設けられた開口部からガスを導入する配管を設けると共に、チャンバのガス導入用の開口部の近傍で且つ当該チャンバ内に、配管から導入されたガスによる各基板表面に掛かる圧力が略均一になるよう調整する調整手段を設け、調整手段は、加圧板における他方の基板の保持面と反対の面の略中央部に開口部から該導入されたガスを導く調整板である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明に係る基板貼り合わせ装置の一実施形態について図1からに図3基づいて説明する。
【0008】
[基板貼り合わせ装置の構成]
この基板貼り合わせ装置は、図1に示すように大きく分類すれば、貼り合わせ対象物たる二つの基板33,34(以下、後述するテーブル9に載置保持する基板33を「下基板33」と、後述する加圧板16に保持する基板34を「上基板34」という。)の位置決めを行うXYθステージ部S1と、各基板33,34の貼り合わせ動作を行う基板貼り合わせ部S2と、後述する各基板33,34の一次加圧を行うZ軸移動ステージ部S3とから構成されており、その各部S1,S2,S3が架台1上に順次配置されている。ここで、XYθステージ部S1は架台1上に載置保持され、基板貼り合わせ部S2は架台1上に立設された例えば四つの支柱を備えた第一フレーム2に支持され、Z軸移動ステージ部S3は架台1上に立設された例えば四つの支柱を備えた第二フレーム3に支持される。以下、これら各部S1,S2,S3について詳述する。
【0009】
[XYθステージ部]
XYθステージ部S1は、架台1上に配設されたXステージ4aと、このXステージ4a上に配設されたYステージ4bと、このYステージ4b上に配設されたθステージ4cとを有する。本実施形態のXステージ4aは、駆動モータ5によってYステージ4bとθステージ4cを左右方向(図1中のX軸方向)に移動できるよう構成される。また、Yステージ4bは、駆動モータ6によってθステージ4cを前後方向(図1中のY軸方向)に移動できるよう構成される。更に又、θステージ4cは、回転ベアリング7を介し駆動モータ8によってYステージ4bに対して図1に示すθ方向に回転するよう構成される。
【0010】
ここで、θステージ4c上には、下基板33を載置保持するテーブル9が支持柱10を介して固定されている。また、Yステージ4bには、回転ベアリング13と真空シール14を介して支持柱10の下部側を被包するアーム11が配設されており、これにより支持柱10の回転に伴ってアーム11がつられて回転しないようになっている。更に又、そのアーム11と基板貼り合わせ部S2の後述する減圧チャンバ15との間には、アーム11上に一端を固定し且つ減圧チャンバ15の下部に他端を固定すると共に支持柱10に覆設する蛇腹状の弾性体から成る真空ベローズ12が配設されており、これにより貼り合わせ時における減圧チャンバ15内の減圧状態を保持している。
【0011】
尚、本実施形態にあっては支持柱10をテーブル9の略中央に一本配設しているが、必ずしもこれに限定するものではなく、例えばθステージ4cによるテーブル9の所定量(後述する位置合わせマークの位置ずれ量)を補正するだけの回転が可能であればその支持柱10を複数本設けてもよい。
【0012】
[基板貼り合わせ部]
基板貼り合わせ部S2は、図1に示すように、減圧下にて二枚の基板33,34の貼り合わせを行う減圧チャンバ15と、この減圧チャンバ15内に配設されたテーブル9と、同じく減圧チャンバ15内でテーブル9の上方に対向して配設された加圧板16とを有する。この場合、テーブル9には後述する接着剤や液晶39が設けられた下基板33が載置保持され、加圧板16にはその下基板33に貼り合わせる上基板34が保持される。
【0013】
上記減圧チャンバ15の側部には、各基板33,34を出入する為の第一開口部15aが設けられており、更にこの第一開口部15aを閉塞するゲートバルブ17が備えられている。ここで、このゲートバルブ17は、シリンダ17Aによって上下方向(図1中のZ軸方向)に移動自在に構成される。
【0014】
更に、減圧チャンバ15の下部には減圧チャンバ15内を減圧排気する為の第一及び第二の排気管20a,20bが配設されており、これら各排気管20a,20bは、図示しない切換バルブを介して真空ポンプに接続される。このように、本実施形態にあっては、減圧排気する時にこの切換バルブを操作制御することで、減圧チャンバ15内のガスの排気速度を制御している。ここで、第一排気管20aは、第二排気管20bに比べて細いものが用いられ、例えば各々断面略円形の排気管の場合、第一排気管20aの径を1とすると、太い方の第二排気管20bは約10〜100倍程度の径のものが用いられる。この場合、第一排気管20aの径は、この第一排気管20aから後述するが如く減圧チャンバ15内を減圧排気する際に、ガスの流れによって基板33,34の暴れ、下基板33上の液晶の飛散や減圧による水分の凍結が発生しない速度となるように設定する。例えばその径の設定の際には、種々の径の配管にて予め実験し、その実験結果に基づいて定めた径の第一排気管20aを配設する。
【0015】
また、減圧チャンバ15内のテーブル9側には、下基板33を図示しない移載機から受け取る,若しくはセルを取り出す為に使用される複数の昇降ピン35が立設される。この昇降ピン35は、その一端(図1中の下端)にシリンダ36が配設されており、このシリンダ36によってテーブル9に形成した貫通孔の中を上下方向に移動できるよう構成されている。
【0016】
更に又、減圧チャンバ15の上部にはその減圧チャンバ15内の減圧状態を徐々に大気圧に戻す為の配管21と、減圧チャンバ15内にガス(空気)を導入する若しくは遮断する為に配管21の途中に備えた弁22とが配設される。
【0017】
ここで、配管21には図示しない圧力源(例えばポンプ)とレギュレータとが接続されている。また、その配管21における減圧チャンバ15内への開口部の近傍であってその減圧チャンバ15内には、導入ガスを減圧チャンバ15内で拡散させる為の調整板37が設けられる。例えば本実施形態にあっては、配管21における減圧チャンバ15内への開口部が減圧チャンバ15の一つの角部に設けられているので、調整板37は、その角部の近傍に配設されている。かかる調整板37は、その開口部近傍から加圧板16の上面(上基板34の保持面とは反対側の面)の略中央付近まで延設されており、これによりその略中央付近に導入ガスが当たるようになっている。このように、調整板37を、加圧板16の上面中央付近に配管21からの導入ガスが当たるように成形し且つ配設することによって、導入ガスが加圧板16の上面中央付近からその加圧板16の周縁に向けて拡散される。そして、その拡散された導入ガスが、後述するが如くテーブル9上に載置されている一次加圧後の各基板33,34の表面に均一に当たるようになる。即ち、導入ガスは、加圧板16の上面中央付近から一次加圧後の各基板33,34の表面に向けて回り込んでいく。
【0018】
ここで、後述する加圧板16の各吸引吸着孔53からパージガスを同時に排出することで、加圧板16の上面からの配管21を経た導入ガスの回り込みが、少なくとも各基板33,34の表面には略均一のガス圧が掛かるようになる。尚、かかる場合のパージガスとしては窒素ガス又は空気を用いてよい。
【0019】
尚、本実施形態にあっては配管21からガスを導入する為の開口部を減圧チャンバ15の一つの角部に設けているが、必ずしもこれに限定するものではなく、例えば各角部に設けてもよい。かかる場合は、その各角部に夫々上記調整板37を設ければよい。また、その開口部を対称の位置(対向する角部の上方でも対向する辺の上方でもよい)に設ける場合は、夫々の開口部に対応した位置に上記調整板37を設ければよい。更に又、開口部を加圧板16の中央部付近の上方に設ける場合は、その加圧板16の上面全体を覆うように且つその上面に対して間隔を設けて調整板を設ければよい。かかる場合の調整板は、減圧チャンバ15内の圧力分布が均一になるようにガスを分散させることができるものであればよく、例えば網目状の板,又は打ち抜きの複数の孔を設けた板を用いる。尚、そのように加圧板16の中央部付近に対応させて開口部を設けた場合は、加圧板16の上面自体を調整板として用いてもよい。
【0020】
また、減圧チャンバ15の側面(前述したゲートバルブ17が備えられた側とは反対側)にはその減圧チャンバ15に形成された略円形の第二開口部15bを閉塞する板状体から成る大気開放弁23と、この大気開放弁23を第二開口部15bから離間させるシリンダ24とが配設される。このように、大気開放弁23を設け、この大気開放弁23を第二開口部15bから離間させることによって、減圧チャンバ15内を急速に大気圧に戻すことができる。ここで、前述した配管21に断面略円形のものを用いた場合は、その配管21の径を1とすると、第二開口部15bの口径は5以上にすることが望ましい。
【0021】
更に、減圧チャンバ15の上部には加圧板16に形成された図示しないマーク認識用孔を通して上下の各基板33,34の位置合わせマークを観測する為の窓25が複数設けられる。ここで、その位置合わせマークの観測には図1に示す認識用カメラ26が用いられ、この認識用カメラ26によって各基板33,34の位置合わせマークのずれを測定する。
【0022】
続いて、テーブル9には、静電気又は吸引吸着によって下基板33を吸着する為の図示しない静電吸着用電極と図2に示す複数の吸引吸着孔50とが設けられている。また、このテーブル9には、図2に示すが如く、各吸引吸着孔50に連通する例えば断面略矩形の吸引室51と、この吸引室51に連通すると共に吸引吸着孔50の反対面に形成された排気口52とが設けられている。
【0023】
その静電吸着用電極は、本実施形態にあっては略矩形の平板電極であり、テーブル9の上面の両端側に形成された二つの略矩形の凹部に各々嵌着される。また、その静電吸着用電極は、その表面(テーブル9の上面側)が誘電体で覆われており、この誘電体の主面がテーブル9の上面と面一になるよう設けられる。このようにテーブル9に配設された静電吸着用電極は、夫々正負の直流電源に適宜なスイッチを介して接続されている。これが為、各静電吸着用電極に正或いは負の電圧が印加されると、上記誘電体の主面に負或いは正の電荷が誘起される。そして、その電荷によって下基板33に形成されている透明電極膜との間に発生するクーロン力で下基板33がテーブル9に静電吸着される。ここで、各静電吸着用電極に印加する電圧は、同極でもよいし、夫々異なる双極でもよい。
【0024】
尚、減圧チャンバ15内が大気の場合は、前述した吸引吸着孔50による吸引吸着を行った方がよい。その理由は、静電吸着を行う場合、下基板33とテーブル9の間に空気層があると、静電気による放電現象が発生して下基板33やテーブル9を損傷してしまう。これが為、例えば下基板33をテーブル9に最初に密着保持するときは周囲が大気下にあるので、先ず吸引吸着を行い、減圧室内を減圧していって放電現象が発生しない程度まで減圧されてから静電吸着を行うことが望ましい。
【0025】
次に、各吸引吸着孔50は、前述したが如く吸引室51と排気口52に連通しており、その排気口52が、図1に示す配管18を介して減圧チャンバ15の外部に配設した図示しない吸着バルブに接続され、この吸着バルブを経由して図示しない真空ポンプに接続されている。この場合、その配管18の途中には吸引吸着解除用のバルブを介して大気開放する為のバイパス配管が設けられており、その吸引吸着解除用バルブを大気開放することによって吸着状態を強制的に解除している。更に、図示していないが、その配管18には吸引吸着孔50からガスをパージできるように、ガスパージ用のバルブも接続されている。そして、このガスパージ用バルブにはガスパージ用の配管を介してレギュレータが接続されており、減圧チャンバ15内にパージするガスの圧力が調整できるようになっている。このように本実施形態にあっては、各吸引吸着孔50を、減圧チャンバ15内を大気圧に戻す時のガスのパージ孔としても利用できるように構成してある。
【0026】
以上の如く構成されたテーブル9は、前述したが如く支持柱10を介してθステージ4c上に固定される。
【0027】
また、加圧板16には、テーブル9と同様に上基板34を吸着する為の図示しない静電吸着用電極と図2に示す複数の吸引吸着孔53とが設けられている。ここで、後述するが如く加圧板16にて上基板34を吸引吸着している状態で減圧チャンバ15内を減圧していくと、その吸着力が小さくなり上基板34が落下する虞がある。これが為、減圧チャンバ15内には、加圧板16の僅か下の位置で上基板34を受け止める図示しない基板保持爪が設けられている。この基板保持爪は、例えば上基板34の対角位置たる二つの角部に対応して配設されており、減圧チャンバ15の上部から下方に向けて延設したシャフトで釣り下げ保持される。
【0028】
具体的には、図示しないが、減圧チャンバ15の上部に形成された貫通孔にシャフトが挿通されており、このシャフトがその軸中心で回転し且つ上下移動できるように構成されている。この場合、減圧チャンバ15内が真空漏れを起こさないようにシャフトに真空シールが覆設されている。上記回転はシャフトの端部に接続された図示しない回転アクチェータによって、上下移動は同様にシャフトの端部に接続された図示しない昇降アクチェータによって行われる。このようにシャフトを回転又は上下移動させることによって、各基板33,34の貼り合わせを行ない、下基板33上に滴下された液晶剤を各基板33,34の主面の広がり方向に拡張させる際に邪魔にならぬように基板保持爪を退避させることができる。
【0029】
更にこの加圧板16には、図2に示すが如く、各吸引吸着孔53に連通する例えば断面略矩形の吸引室54と、この吸引室54に連通すると共に吸引吸着孔53の反対面に形成された排気口55とが設けられている。
【0030】
この排気口55は、図1に示す配管19を介して減圧チャンバ15の外部に配設した図示しない吸着バルブに接続され、この吸着バルブを経由して図示しない真空ポンプに接続されている。この場合、その配管19の途中にはテーブル9と同様に吸引吸着解除用のバルブを介して大気開放する為のバイパス配管が設けられており、その吸引吸着解除用バルブを大気開放することによって吸着状態を強制的に解除している。更に、図示していないが、各吸引吸着孔53を、テーブル9と同様に減圧チャンバ15内を大気圧に戻す時のガスのパージ孔としても利用できるように、その配管19にはガスパージ用のバルブと、このガスパージ用バルブにガスパージ用の配管を介して接続されたガス圧力調整用のレギュレータとが設けられている。
【0031】
以上の如く構成された加圧板16は、複数の支持柱27を介してZ軸移動ステージ部S3の後述する移動ベース29に吊り下げ固定されている。
【0032】
ここで、減圧チャンバ15と移動ベース29との間には、減圧チャンバ15上に一端を固定し且つ移動ベース29の下部に他端を固定すると共に支持柱27に覆設する蛇腹状の弾性体から成る真空ベローズ28が配設されており、これにより貼り合わせ時における減圧チャンバ15内の減圧状態を保持している。
【0033】
[Z軸移動ステージ部]
Z軸移動ステージ部S3は、加圧板16を吊り下げ保持する移動ベース29と、その両端に配設されたリニアガイド30と、このリニアガイド30と係合し且つフレーム3に設けられた上下方向(図1に示すZ軸方向)のレール3aと、そのZ軸方向の出力軸を備えた電動モータ32と、一端が移動ベース29側に係合し且つ他端が電動モータ32の出力軸側に係合するボールネジ31とを有する。このようにZ軸移動ステージ部S3を構成することによって、駆動させた電動モータ32で移動ベース29をレールに沿って上下方向に移動させ、加圧板16を上下移動させることができる。
【0034】
[基板貼り合わせ装置の動作]
次に、本実施形態の基板貼り合わせ装置の動作を説明する。ここでは貼り合わせ対象物たる基板として液晶パネル用の基板を用いた場合について例示する。
【0035】
予め、貼り合わせる二枚の基板の何れか一方には、その各基板を貼り合わせた際に液晶を決められた枠内に閉じ込め封入する為、枠状に接着剤を一筆書きで塗布しておき、その枠内に液晶を所定量滴下しておく。この液晶が滴下された基板を下基板33とする。かかる場合、この下基板33の膜面には光硬化樹脂も打点塗布しておく。
【0036】
先ず、減圧チャンバ15の外部に配設された図示しない移載機のハンドを用いて、膜面を下方に向けた上基板34の周縁部を下側から吸引吸着する。そして、減圧チャンバ15の第一開口部15aに備えたゲートバルブ17を開け、その第一開口部15aから移載機のハンドを減圧チャンバ15内に挿入し、電動モータ32を駆動して下降させた加圧板16を上基板34に押し付ける。しかる後、ハンドの吸引吸着を解除し、真空ポンプを作動させて吸引吸着孔53で上基板34を加圧板16に吸引吸着する。この上基板34の吸着が終了すると、ハンドを減圧チャンバ15外に退避させる。
【0037】
続いて、各昇降ピン35の先端がテーブル9の上面から突出するようにシリンダ36を作動させ各昇降ピン35を上昇させておく。そして、液晶を滴下した面を上にした下基板33の周縁部を移載機のハンドで下側から吸引吸着し、そのハンドを減圧チャンバ15内に挿入して下基板33を各昇降ピン35上に移載する。この下基板33の移載が終了すると、ハンドを減圧チャンバ15外に退避させてゲートバルブ17を閉じる。しかる後、各昇降ピン35を下降させて下基板33をテーブル9上に載置し、真空ポンプを作動させて吸引吸着孔50で下基板33をテーブル9に吸引吸着する。
【0038】
以上の如きテーブル9と加圧板16への各基板33,34の吸着が終了すると、第一排気管20a側のバルブを開放して減圧チャンバ15内のガスを徐々に排気する。具体的には、本実施形態にあっては装置の初期状態にて第一及び第二の排気管20a,20bが切換バルブによって双方共閉じられた状態に設定されており、各基板33,34の吸着が終了すると、第一排気管20a側を開放し且つ第二排気管20b側を閉じた状態になるよう切換バルブを切り換えて減圧チャンバ15内のガスを徐々に排気する。この場合、前述したが如き径に設定した第一排気管20aを用いて低速排気しているので、ガスの流れによる基板33,34の暴れ、下基板33上の液晶の飛散や減圧による水分の凍結が発生を防止することができる。
【0039】
続いて、第一排気管20aによる排気によって減圧チャンバ15内が所定の圧になったときに、具体的には図示しない圧力計にて測定した減圧チャンバ15内の気圧が排気速度を上げても基板暴れ,液晶飛散や水分凍結が発生しない圧力になったとき(例えば、吸引吸着力で吸着している上基板34が加圧板16から離れない程度の圧まで減圧したとき)に、第一排気管20aのバルブを閉じる。
【0040】
そして、第二排気管20bのバルブを開放し、各基板33,34を貼り合わせる為の圧力(本実施形態にあっては約5×10−3Torr)まで減圧チャンバ15内を急速に減圧する。ここで、その圧力下では上基板34の吸引吸着力よりも減圧チャンバ15内の気圧の方が低くなっているので、その上基板34が加圧板16から離れてしまう。しかしながら、加圧板16の下面側には前述した基板保持爪が具備されており、前述した回転アクチェータや昇降アクチェータによって基板保持爪を動かして上基板34が保持されているので、その上基板34は加圧板16から離間しない。
【0041】
上述したが如く減圧チャンバ15内の減圧が終了すると、減圧下でも各基板33,34をテーブル9と加圧板16に各々吸着できるように、そのテーブル9及び加圧板16の静電吸着電極に電圧を印加して各基板33,34を静電吸着する。しかる後、電動モータ32を駆動して移動ベース29を下降させ、上基板34を下基板33に接近させる。そして、認識用カメラ26を用いて各基板33,34に設けた位置合わせマークを観測して基板33,34間の位置ずれを測定し、この測定値に基づきXステージ4a,Yステージ4b並びにθステージ4cの動作制御を行ってテーブル9を水平移動させ、下基板33と上基板34の位置合わせを行う。
【0042】
その位置合わせが終了すると、移動ベース29を更に下降させて上基板34で接着剤を押し潰し、その接着剤で形成された枠内に液晶を封止した状態にする。このようにして一次加圧(又は「予備加圧」ともいう)が終了する。尚、その一次加圧の最中に、下基板33と上基板34の位置合せを複数回行うことで、接着剤の潰れ状態の違い等による基板33,34間の位置ズレを補正することができる。
【0043】
その一次加圧の後、予め基板の膜面に打点塗布された光硬化樹脂に、本装置に設けられた図示しない光照射機構から光を照射して光硬化樹脂を硬化させ、各基板33,34の位置ズレが生じないようにする。しかる後、加圧板16の静電吸着電極の印加電圧を切断し、電動モータ32を駆動して加圧板16を上昇させる。
【0044】
ここで、基板の大きさが小さい場合は、前述した一次加圧の如き機械的な加圧機構で所望の加圧力を加えることができるので、その加圧機構のみで所望の基板間距離を得ることができる。しかしながら、大きな基板の場合、その加圧機構では加圧力が不足する。例えば、前述した一次加圧後の大きな基板33,34間の間隔は約15μm程度であり、まだ所望の間隔になっていない。これが為、接着剤の潰れ量が少なく、その接着剤における各基板33,34との接触面積が小さい(接触部長さが短い)ので接着状態が不完全である。更には、接着剤の枠内の液晶が広がらず、その液晶間に大きな真空空間部ができている。
【0045】
このような大きな基板33,34に所望の加圧力を印加する為には、装置自体を大きくして大きな加圧力を印加できるようにしてもよい。しかしながら、これでは装置が大型化してしまうので、装置全体を再構築しなければならず費用がかかってしまう。
【0046】
ここで、減圧チャンバ15内の圧力を減圧状態から大気圧へと変化させると、基板33,34間の空間部分(前述した真空空間部)は減圧状態である為、各基板33,34には略均一にその外部から大きな圧力が加わる。例えば各基板33,34の大きさが1200mm×1000mmの場合は、その基板33,34間の空間部分が減圧状態のときに大気圧を加えると121.6kNの力を掛けることができる。これが為、本実施形態にあっては以下の如く二次加圧を行い、既存の装置の大きさのままで適正な基板間隔である5μm以下好ましくは4μm以下の間隔にする。
【0047】
前述したが如く一次加圧終了後に減圧チャンバ15内を減圧状態から大気圧へと圧力を変化させると、各基板33,34には略均一に圧力を加えることができる。しかしながら、急激に大気圧に戻した場合は、前述したが如く接着剤がまだ十分に潰れていない為、減圧チャンバ15内に導入したガスがその接着剤を破って真空空間部に入り込み、不良品の液晶基板ができてしまう。
これが為、本実施形態にあっては、一次加圧終了後に細い配管21の弁22を開放し、その配管21に接続した圧力源から加圧されたガスを調整板37を介して減圧チャンバ15内の加圧板16の上面中央部付近に吐出すると共に、加圧板16に設けた吸引吸着孔53からもガスを基板の表面に吹き付けることで、減圧チャンバ15内のガスの圧力分布を略均一に保ちながらその減圧チャンバ15内を徐々に大気圧に戻す。その際、テーブル9側の吸引吸着孔50からも同時にガスを吐出させるようにしてもよい。このように減圧チャンバ15内を徐々に大気圧に戻していくと、セル(各基板33,34)には徐々に且つ略均一に圧力が加わり、接着剤が徐々に潰れていく。また、真空空間部の内圧と減圧チャンバ15内の圧力との差が徐々に大きくなるので、導入されたガスが接着剤を破って真空空間部内に入り込むことはない。そしてこれにより、接着剤と各基板33,34との接触面積も徐々に拡大する。
【0048】
かかる状態の基板33,34間の間隔は約10μm程度になっている。ここで、前述したが如く減圧チャンバ15内にガスを導入すると、接着剤は、潰れることで流動が起こり、チクソトロピー性によって粘度が低下する。本実施形態にあってはこの接着剤の粘度が低下した状態で、急速に減圧チャンバ15内を大気圧に戻す為の大気開放弁23を開放して更に各基板33,34に加圧力を加える。具体的には、減圧チャンバ15内に設けた圧力計が所定圧を超えたことを検出したときに弁22を閉じ、且つシリンダ24を作動させて大気開放弁23を開放することによって、各基板33,34に加圧力が加わり貼り合わせが終了する。例えばその所定圧としては、導入されたガスが接着剤を破って真空空間部40内に入り込むことがなくなったときの圧力を予め実験等で検出しておき、その圧力を設定しておけばよい。
【0049】
このように急速に減圧チャンバ15内を大気圧に戻すことによって接着剤の接触面積が各基板33,34に対して広がり、シール性が向上するので、基板33,34間にガスが接着剤を破って入り込むことがなくなる。また、接着剤はその粘度が低下している為に速やかに潰れ、且つ液晶も加圧されて潰れて広がるので、各基板33,34の貼り合わせ時間が短くなる。
【0050】
以上示したが如く貼り合わせが終了し、更には減圧チャンバ15内の圧力が大気圧になると、ゲートバルブ17を開ける。それと同時に、各パージガスを供給している各配管のバルブを閉めてガスの供給を停止する。そして、テーブル9の静電吸着電極の印加電圧を遮断し、且つ吸引吸着孔50における吸引を解除(前述したが如く吸引吸着孔50からガスを吐出している場合はその解除動作は行わない)した後、各昇降ピン35を上昇させてセルをテーブル9上から押し上げる。しかる後、移載機のハンドを第一開口部15aからセルの下部(セルとテーブル9の間)に挿入し、そのハンド上にセルを移載して減圧チャンバ15外に搬出する。以上の如き手順を経て基板の貼り合わせが終了する。
【0051】
尚、本実施形態にあっては太さの異なる第一及び第二の排気管20a,20bを切換バルブによって切り換えて排気経路を変更し、これにより排気速度を制御しているが、必ずしもその方法に限定するものではなく、例えば本実施形態の如く二つの排気管20a,20bを設けずに一つの排気管のみで構成してこの排気管に真空ポンプを接続し、この真空ポンプを制御して排気速度を制御してもよい。この場合、排気管は、太い方の管径(即ち本実施形態の第二排気管20bの管径)にすることが望ましい。
【0052】
以上示したが如き調整板37を設けた装置を構成し、その装置にて上述したが如き手順で液晶基板の組み立てを行うことによって、仮貼り合わせの行われた基板の表面全体に略均一な圧力を掛けることができ、高精度の液晶パネルを形成することが可能となる。
【0053】
【発明の効果】
本発明に係る液晶基板の組立装置によれば、機械的な加圧(予備加圧)で貼り合わせた各基板を、チャンバ内を大気圧に戻す際の圧力で本加圧するときに、調整手段で導かれたガスによって基板表面に略均一な加圧力を加えることができるので、貼ら合わせムラのない、適性且つ高精度な基板間距離の液晶表示パネルを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液晶基板の組立装置の一実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】本実施形態に係る液晶基板の組立装置のチャンバ内に配設されたテーブルと加圧板を示す断面図である。
【図3】本実施形態に係る調整板の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
9 テーブル
15 チャンバ
16 加圧板
18,19 配管
20a 第一排気管
20b 第二排気管
21 配管
22 弁
33,34 基板
37 調整板
50,53 吸引吸着孔
Claims (2)
- 内部を減圧する機構を備えたチャンバと、該チャンバ内に配設し且つ液晶を滴下した貼り合わせ対象物たる一方の基板を保持するテーブルと、該チャンバ内に配設し且つ該一方の基板に対向させて貼り合わせ対象物たる他方の基板を保持する加圧板とを備え、該各基板を、該各基板の間隔を狭めて当該各基板の内の何れか一方に設けた接着剤により貼り合わせる液晶基板の組立装置であって、
該チャンバに、減圧された当該チャンバ内を大気圧に戻す為に、該加圧板の上面側の該チャンバに設けられた開口部からガスを導入する配管を設けると共に、該チャンバのガス導入用の開口部の近傍で且つ当該チャンバ内に、該導入されたガスによる該各基板表面に掛かる圧力が略均一になるよう調整する調整手段を設け、
該調整手段は、該加圧板における該他方の基板の保持面と反対の面の略中央部に該開口部から該導入されたガスを導く調整板であることを特徴とする液晶基板の組立装置。 - 前記加圧板に、前記他方の基板を保持すると共に、前記チャンバ内を大気圧に戻す際に基板表面にガスを排出するよう構成した吸引吸着孔を設けたことを特徴とする請求項1記載の液晶基板の組立装置。
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