JP4224327B2 - 断熱パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は従来における冷凍保冷車の一例を模式的に示したもので、ここに図示している冷凍保冷車1においては、キャブ2後部のシャシフレーム3上に冷凍保冷庫を成す箱形の荷台4が搭載されており、この荷台4の土台部分にあたる床構造5を取り囲む前壁6、後壁7、左右の側壁8、屋根9の夫々が、図4に示す如き断熱パネル10により構成されている。
【0003】
即ち、この断熱パネル10は、アルミニウム製の外板11と内板12との間に、スチレンやウレタン等の発泡断熱材13を挟んで接着剤14により貼り合わせたサンドイッチ構造を成すようにしてある。
【0004】
ところが、近年においては、前述した如き発泡断熱材13より断熱性能に優れ且つ軽量な真空断熱材を利用して断熱パネルを構成することが実用化されてきている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−267344号公報
【0006】
図5に一例を示している通り、真空断熱材15とは、連続気泡硬質ウレタンフォーム等をコア材16として使用し、これを図示しないゲッター剤(真空度劣化防止のガス吸着剤)と共に空気や水蒸気等の気体を殆ど通さないアルミコルゲートフィルム等の気密フィルム17により被包し、その内部を真空ポンプでほぼ真空になるまで排気した後に密封したものである。
【0007】
ただし、前記真空断熱材15のコア材16としては、連続気泡硬質ウレタンフォーム等の多孔質材料の他、シリカ等の粉末凝固材料やグラスウール等の繊維質材料を採用することも可能である。
【0008】
尚、コア材16を気密フィルム17で真空密封するに際し、気密フィルム17には余裕寸法が必要であるので、気密フィルム17の縁部を圧着により閉じ合わせた封止箇所には、前記余裕寸法分を含んだ圧着片部18が残ることになる。
【0009】
そして、斯かる真空断熱材15を利用して断熱パネルを構成するにあたっては、図6に示す如く、真空断熱材15の周囲に発泡断熱材13を充填して硬化させることにより該発泡断熱材13の内部に真空断熱材15を埋め込んだ断熱パネル19としたり、或いは、図7に示す如く、一対のパネル型の発泡断熱材13,13の間に真空断熱材15を挟んで接着剤14により一枚ずつ貼り合わせたサンドイッチ構造の断熱パネル20としたりしていた。尚、図7中における21は硬質ウレタンフォーム等から成る補強柱を示している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、斯かる真空断熱材15を利用した断熱パネル19,20のリサイクル性を考慮した場合、前者のような発泡断熱材13内部への真空断熱材15の埋め込みや、後者のような発泡断熱材13表面への真空断熱材15の接着といった方式では、特殊な廃棄処理を必要とする真空断熱材15を発泡断熱材13から良好に解体して分別することが困難であり、その廃棄時におけるリサイクル性が悪いという問題があった。
【0011】
また、何れの断熱パネル19,20の場合であっても、真空断熱材15自体が剛性の低いものである上に、真空度を保持するための気密フィルム17が脆弱なものであったため、各真空断熱材15の相互間に発泡断熱材13を充填したり、補強柱21を介装したりしてパネル剛性を確保し、各真空断熱材15に直接的な応力集中が生じないようにしなければならず、これにより各真空断熱材15を隙間なく配列することが困難となってパネル全体に占める各真空断熱材15の被覆率が低下し、この被覆率の低下により断熱パネル19,20の断熱性能が損なわれてしまうという問題があった。
【0012】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、真空断熱材を利用した断熱パネルのリサイクル性を良化し且つ真空断熱材による被覆率を高めて断熱性能の更なる向上を図ることを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コア材を気密フィルムにより真空密封して成る真空断熱材を備え、ガスを封入した多数の緩衝用気泡が一方の面に突出するように形成されているエアキャップにより真空断熱材を被覆し、このエアキャップで被覆した真空断熱材を平面状に互いに隙間なく近接配置したうえ、一対のパネル型を成す発泡断熱材により挾圧保持したことを特徴とする断熱パネル、に係るものである。
【0014】
而して、エアキャップで被覆した真空断熱材を平面状に配列して両発泡断熱材により挾圧保持すると、各真空断熱材と両発泡断熱材との間でエアキャップが圧縮される結果、両発泡断熱材間で各真空断熱材がしっかりと固定されることになり、真空断熱材の発泡断熱材への埋め込みや接着といった解体性の悪い方式を採用することなく、断熱性能に優れた軽量の断熱パネルを製作することが可能となる。
【0015】
また、各真空断熱材がエアキャップにより保護されて両発泡断熱材の相互間に挾圧保持されていれば、断熱パネルへの荷重がエアキャップを介し各真空断熱材の平面全域で受けとめられて、その周囲を被覆している前記エアキャップの緩衝力により分散吸収されることになる。
【0016】
このため、各真空断熱材の相互間に発泡断熱材を充填したり、補強柱を介装したりしなくても、各真空断熱材に対し直接的且つ局所的な応力が作用する虞れが未然に回避され、エアキャップで被覆した真空断熱材を互いに隙間なく近接配置することが可能となり、パネル全体に占める各真空断熱材の被覆率を従来より大幅に向上することが可能となる。
【0017】
また、多数の緩衝用気泡を有するエアキャップ自体も高い断熱性能を有しているので、これにより両発泡断熱材から浮上支持されることになる真空断熱材への入熱も極めて少ないものとなり、より一層の断熱性能の向上が図られることになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1及び図2は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図3〜図7と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0020】
図1及び図2に示す如く、本形態例においては、冷凍保冷車1の荷台4(図3参照)を形成するための断熱パネル22の場合で例示してあり、コア材16を気密フィルム17により被包して真空密封した真空断熱材15(図5参照)を、ガスを封入した多数の緩衝用気泡が一方の面に突出するように形成されているエアキャップ23(一般的に傷付き易い商品の梱包等に用いられているもの)により被覆し、該エアキャップ23で被覆した真空断熱材15を平面状に配列して一対のパネル型を成す発泡断熱材24,24により挾圧保持するようにしてある。
【0021】
ここで、各真空断熱材15をエアキャップ23で被覆するに際しては、前記各真空断熱材15の圧着片部18を折り返して表面に沿わせた状態でエアキャップ23で被覆するようにしており、また、エアキャップ23で被覆した真空断熱材15の夫々を相互間の隙間を極力なくして近接配置するようにしている。
【0022】
尚、図1における図示においては、図面を判り易くする観点から図1中の左右方向両端の圧着片部18のみを上向きに折り返した図示としてあるが、圧着片部18が真空断熱材15の全周に残っている場合には、その全周の圧着片部18を適宜に折り込み部分を介在させつつ全て折り返して真空断熱材15の表面に沿わせるようにすることになる。
【0023】
更に、エアキャップ23で被覆した真空断熱材15を両発泡断熱材24,24により挾圧保持するに際しては、これら両発泡断熱材24,24の外縁部分に沿う枠型の補強柱25(図2参照)を介して接着剤14により両発泡断熱材24,24を貼り合わせるようにしてあり、この枠型の補強柱25の内側において、各真空断熱材15を平面状に配列するようになっている。
【0024】
而して、エアキャップ23で被覆した真空断熱材15を平面状に配列して両発泡断熱材24,24により挾圧保持すると、各真空断熱材15と両発泡断熱材24,24との間でエアキャップ23が圧縮される結果、両発泡断熱材24,24間で各真空断熱材15がしっかりと固定されることになり、真空断熱材15の発泡断熱材24,24への埋め込みや接着といった解体性の悪い方式を採用することなく、断熱性能に優れた軽量の断熱パネル22を製作することが可能となる。
【0025】
また、各真空断熱材15がエアキャップ23により保護されて両発泡断熱材24,24の相互間に挾圧保持されるようになっていれば、断熱パネル22への荷重がエアキャップ23を介し各真空断熱材15の平面全域で受けとめられて、その周囲を被覆している前記エアキャップ23の緩衝力により分散吸収されることになる。
【0026】
このため、各真空断熱材15の相互間に発泡断熱材を充填したり、補強柱(図7参照)を介装したりしなくても、各真空断熱材15に対し直接的且つ局所的な応力が作用する虞れが未然に回避され、エアキャップ23で被覆した真空断熱材15を互いに隙間なく近接配置することが可能となり、パネル全体に占める各真空断熱材15の被覆率を従来より大幅に向上することが可能となる。
【0027】
また、多数の緩衝用気泡を有するエアキャップ23自体も高い断熱性能を有しているので、これにより両発泡断熱材24,24から浮上支持されることになる真空断熱材15への入熱も極めて少ないものとなり、より一層の断熱性能の向上が図られることになる。
【0028】
従って上記形態例によれば、真空断熱材15の発泡断熱材24,24への埋め込みや接着といった解体性の悪い方式を採用しなくて済むので、廃棄時に発泡断熱材24,24から良好に真空断熱材15を解体して分別することができ、これによって、リサイクル性の良い断熱パネル22を実現することができる。
【0029】
また、各真空断熱材15の相互間に発泡断熱材を充填したり、補強柱(図7参照)を介装したりしなくて済むことから、パネル全体に占める各真空断熱材15の被覆率を従来より大幅に向上することができ、しかも、エアキャップ23自体の持つ高い断熱性能も利用することができるので、断熱パネル22の断熱性能を従来より大幅に向上することができる。
【0030】
尚、本発明の断熱パネルは、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、冷凍保冷車以外に、寒冷地における保温車、冷凍庫、保温庫等にも適用し得ること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
上記した本発明の断熱パネルによれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0032】
(I)真空断熱材の発泡断熱材への埋め込みや接着といった解体性の悪い方式を採用しなくて済むので、廃棄時に発泡断熱材から良好に真空断熱材を解体して分別することができ、これによって、リサイクル性の良い断熱パネルを実現することができる。
【0033】
(II)各真空断熱材の相互間に発泡断熱材を充填したり、補強柱を介装したりしなくて済むことから、パネル全体に占める各真空断熱材の被覆率を従来より大幅に向上することができ、しかも、エアキャップ自体の持つ高い断熱性能も利用することができるので、断熱パネルの断熱性能を従来より大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例を示す断面図である。
【図2】図1の発泡断熱材及び補強柱の全体構造を示す斜視図である。
【図3】従来における冷凍保冷車の一例を模式的に示す概略図である。
【図4】図3の荷台を形成している断熱パネルの詳細を示す断面図である。
【図5】真空断熱材の詳細を示す断面図である。
【図6】図5の真空断熱材を利用した断熱パネルの従来例を示す断面図である。
【図7】図5の真空断熱材を利用した断熱パネルの別の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
15 真空断熱材
16 コア材
17 気密フィルム
22 断熱パネル
23 エアキャップ
24 発泡断熱材
Claims (1)
- コア材を気密フィルムにより真空密封して成る真空断熱材を備え、ガスを封入した多数の緩衝用気泡が一方の面に突出するように形成されているエアキャップにより真空断熱材を被覆し、このエアキャップで被覆した真空断熱材を平面状に互いに隙間なく近接配置したうえ、一対のパネル型を成す発泡断熱材により挾圧保持したことを特徴とする断熱パネル。
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