JP4224258B2 - エピスルフィド化合物の製造方法 - Google Patents

エピスルフィド化合物の製造方法 Download PDF

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  • Polymers With Sulfur, Phosphorus Or Metals In The Main Chain (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の構造のエピスルフィド基を分子内に2個以上有するエピスルフィド化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高屈折率樹脂用モノマーはその光学的特性から、プラスチックレンズ材料として近年多用されている。プラスチックレンズに要求されている性能は光学性能として高屈折率、高アッべ数、物理的性質としては高耐熱性、低比重である。これらの性能の中で、高耐熱性、低比重については現在の高屈折率プラスチックレンズでも高いレベルで実用されている。しかしながら、屈折率とアッべ数に関しては屈折率が上昇するほどアッベ数が低下すると言った相反する物性であるため両方を同時に向上させることは非常に困難である。そこでアッべ数の低下を抑えながら、高屈折率化を行う検討が盛んに行われておりこれらの検討の中でも最も代表的なものは特開平9−11097号公報及び特開平9−71580号公報及び特開平9−255781号公報でエピスルフィド化合物を使用することであり、本出願人らもWO89/10575,特開平11−140070号公報、特開平11−183702号公報等のエピスルフィド系化合物を使用したレンズ用の樹脂を提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
これらのエピスルフィド化合物を用いる事で、比較的高いアッべ数を有しながら極めて高い屈折率を有する樹脂を得ることができる。しかし原料エポキシ化合物をチア化する事により、エピスルフィド化合物を製造するに際し、公知の文献(特開平9−255781号公報、特開平9−71580号公報)等に記載された方法、即ち少量の有機酸、或いは無機酸を使用する方法では、生成物のタール化による収率低下及び、タールの反応器壁への付着等の問題がある場合があった。又、本発明者らが先に特開平11−349078号公報において当量の有機酸を使用し、イソチウロニウム塩を合成する方法を提案しているが、この方法においては、タール化防止、収率向上などのメリットがあり、非常に有用であるが、イソチウロニウム塩化後に加水分解反応を行うため高価な有機酸を廃棄する必要がある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、この様な問題点を解決すべく検討した結果、エピスルフィド化合物の合成において、重要な中間体であるイソチウロニウム塩をエポキシ化合物から合成するに際し、カチオン型イオン交換樹脂を使用することにより、エピスルフィド化合物の純度及び収率の向上、タール化防止が可能な上に、イオン交換樹脂をリサイクル使用するによりコスト低減、環境負荷削減等が可能となることを見出し、本発明に至った。
【0005】
即ち本発明は、以下のものである。
(A) エポキシ化合物から、イソチウロニウム塩を中間体として経て、式(1)で表されるエピスルフィド化合物を製造するに際し、イソチウロニウム塩の製造工程においてカチオン型イオン交換樹脂を用いることを特徴とするエピスルフィド化合物の製造方法。
【化5】
Figure 0004224258
(Yは置換又は未置換の直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1〜10の二価の炭化水素基、置換又は未置換の1,4−ジチアン基、アリーレン基、アラルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。)
(B)(1)で表されるエピスルフィド化合物が式(2)されるビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィドである(A)のエピスルフィド化合物の製造方法。
【化6】
Figure 0004224258
)カチオン型イオン交換樹脂の使用量がイオン交換樹脂の貫流交換容量見合いでエポキシ化合物に対して、0.5当量以上10.0当量以下の範囲にある(A)記載のエピスルフィド化合物の製造方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0007】
本発明は式(5)で表される部分構造を分子内に1個以上有するエポキシ化合物を原料とするエピスルフィド化合物の製造方法に関する。
【化9】
Figure 0004224258
【0008】
本発明においてイソチウロニウム塩化の際に用いられるカチオン型イオン交換樹脂としては,(商品名)レバチットSP112,レバチットSP120,レバチットSP100,レバチットTSW40,レバチットMDS1368,レバチットK1141、レバチットK2411,レバチットSC104,レバチットE399/83,レバチットE1616/83,レバチットE56/83,ダイヤイオンSK1B,ダイヤイオンSK104,ダイヤイオンSK110,ダイヤイオンSK112,ダイヤイオンSK116,ダイヤイオンPK208,ダイヤイオンPK212,ダイヤイオンPK216,ダイヤイオンPK220,ダイヤイオンPK228,ダイヤイオンHPK25,ダウエックス50w−X8,ダウエックス99,アンバーライト IR−120B,アンバーライトIR−122,アンバーライトIR−124,アンバーライト200C,アンバーライト201B,アンバーライト252,アンバーライトIR−118,アンバーライトXT−1006,アンバーライトXT−1007,アンバーライトXT−1016,等の強酸性タイプ及び、(商品名)ダイヤイオンWK10,ダイヤイオンWK11,ダイヤイオンWK100,ダイヤイオンWT01S,ダイヤイオンWK40,アンバーライトIRC−50,アンバーライトIRC−76,レバチットCNP−80,等の弱酸性タイプのカチオン型イオン交換樹脂が挙げられるが、例示化合物に限定されるものではない。これらは、エポキシ化合物及び反応条件により適宜選択して使用される。
【009】
反応に用いるカチオン型イオン交換樹脂の当量は、イオン交換樹脂にカチオンを含む溶液を流し、流出液中のカチオン濃度が原液と同じ濃度になるまで交換した事を表す総交換容量ベースで算出した場合、イソチウロニウム塩化反応が完結しないため、通常は、流出液中のカチオン濃度が急激に増加する点を表す貫流交換容量ベースで算出した当量数を用いる。本発明におけるカチオン型イオン交換樹脂の使用量は湿潤状態でエポキシ化合物に対して、0.5当量以上10.0当量以下が好ましく、更に好ましくは、1.0当量以上5.0当量以下である。用いられる酸成分は単独でも2種類以上を混合して用いる事も可能である。
【0010】
チウロニウム塩化反応時に溶媒は使用しても使用しなくても良いが、使用する場合溶媒としてはエ−テル類、アルコ−ル類、ケトン類、エステル類、水等が挙げられる。エ−テル類としては、エチルエ−テル、ジクロロエチルエ−テル、イソプロピルエチルエ−テル、n-ブチルエ−テル、イソブチルエ−テル、プロピルエ−テル、イソプロピルエ−テル、イソアミルエ−テル、ジイソアミルエ−テル、n−ヘキシルエ−テル、メチルフェニルエ−テル、n−ブチルフェニルエ−テル、アミルフェニルエ−テル、、ベンジルエ−テル、エチレングリコ−ルモノメチルエ−テル、エチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジエチルエ−テル、エチレングリコ−ルイソプロピルエ−テル、エチレングリコ−ルモノブチルエ−テル、エチレングリコ−ルジブチルエ−テル、エチレングリコ−ルイソアミルエ−テル、エチレングリコ−ルモノフェニルエ−テル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ−ルジメチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、ジエチレングリコ−ルジブチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルモノエチルエ−テル、トリエチレングリコ−ルジエチルエ−テル、プロピレングリコ−ルモノエチルエ−テル等のエ−テル類
【0011】
アルコ−ル類としてはメタノ−ル、エタノ−ル、プロパノ−ル、イソプロパノ−ル、n−ブタノ−ル、sec−ブタノ−ル、ter−ブタノ−ル、n−アミルアルコ−ル、イソアミルアルコ−ル、ペンタノ−ル、n−ヘキサノ−ル、メチルアミノアルコ−ル、2−エチルブタノ−ル、n−ヘプタノ−ル、n−オクタノ−ル、2−オクタノ−ル、3−オクタンノ−ル、2−エチルヘキサノ−ル、3,5,5−トリメチルヘキサノ−ル、n−デカノ−ル、ウンデカノ−ル、n−ドデカノ−ル、ヘプタデカノ−ル、シクロヘキサノ−ル、ベンジルアルコ−ル、2−メチルシクロヘキサノール、フリフリルアルコール、テトラヒドロフリフリルアルコール等のアルコ−ル類
【0012】
ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン,メチル−n−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、メシチルオキシド、イソホロン、シクロヘキサノン、o−シクロヘキサノン、アセトフェノン等のケトン類
【0013】
エステル類としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル酢酸メチルイソアミル、酢酸メトキシブチル、酢酸sec−エチルブチル、酢酸−2−エチルヘキサノール、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソアミル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸アミル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸−n−ブチル、乳酸アミル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、ケイ皮酸メチル、けい皮酸エチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、シュウ酸ジアミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジエチル、等のエステル類等が挙げられるが、これらの例示化合物に限定されるものではない。
【0014】
以上の溶媒は反応条件及び原料及び目的とするエピスルフィド化合物によって適宜選択されるが、単独或いは、2種以上を混合して用いても良い。
【0015】
本発明において、中間体であるイソチウロニウム塩を合成する時に化用いられるチア化剤としてチオ尿素類が挙げられ、チオ尿素が最も好ましい。チオ尿素の使用量はエポキシ化合物に対して0.5当量から3.0当量の範囲で使用することができ、好ましくは0.8当量から2.0当量、更に好ましく0.9当量から1.5当量の範囲である。
【0016】
本発明におけるイソチウロニウム塩化反応温度は、好ましくは−20℃以上80℃以下であり、より好ましくは0℃以上50℃以下である。
【0017】
本発明方法におけるチウロニウム塩の合成は通常、反応機内に溶媒の存在又は不存在下にイオン交換樹脂、チア化剤、エポキシ化合物を同時に或いは、二種以上を同時に又はそれぞれを別々に装入して行う。イソチウロニウム塩化反応終了後は、抽出溶媒を装入し塩基性化合物にてイソチウロニウム塩を加水分解した後、抽出溶媒層とイオン交換樹脂を濾別する。濾過した抽出溶媒層は水層を分液し、抽出溶媒を留去する事により目的とするエピスルフィド化合物を得る事ができる。濾別したイオン交換樹脂は希塩酸水溶液にて再生処理を行い、次回の反応に用いることができる。
【0018】
本発明方法で製造されるエピスルフィド化合物としては、ビス(β―エピチオプロピル)スルフィド、ビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィド、ビス(β―エピチオプロピルチオ)メタン、1,2−ビス(β―エピチオプロピルチオ)エタン、1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオ)プロパン、1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―2―メチルプロパン、1,4―ビス(β―エピチオプロピルチオ)ブタン、1,4―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―2―メチルブタン、1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオ)ブタン、1,5―ビス(β―エピチオプロピルチオ)ペンタン、1,5―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―2―メチルペンタン、1,5―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―3―チアペンタン、1,6―ビス(β―エピチオプロピルチオ)ヘキサン、1,6―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―2―メチルヘキサン、3,8―ビス(β―エピチオプロピルオ)―3,6―トリチアオクタン、1,2,3―トリス(β―エピチオプロピルチオ)プロパン、2,2―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―1―3―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)プロパン、1,5―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―2―(β―エピチオプロピルチオメチル)―3―チアペンタン、1,5―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―2,4―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)―3―チアペンタン、1―(β―エピチオプロピルチオ)―2,2―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)―4―チアヘキサン、1,8―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―4,5―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)―3,6―ジチアオクタン、1,8―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―4,4―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)―3,6―ジチアオクタン、1,8―ビス(β―エピチオプロピルチオ)―2,5―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)―3,6―ジチアオクタン、1,8-ビス(β―エピチオプロピルチオ)―2,4,5―トリス(β―エピチオプロピルチオメチル)―3,6―ジチアオクタン、1,1,1―トリス[―[2―(β―エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]―2―(β―エピチオプロピルチオ)エタン、1,1,2,2―テトラキス[―[2―(β―エピチオプロピルチオ)エチル]チオメチル]―2-(β―エピチオプロピルチオ)エタン等の鎖状脂肪族β―エピチオプロピルチオ化合物
【0019】
1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,4―ビス(β―エピチオプロピルチオ)シクロヘキサン、1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、1,4―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)シクロヘキサン、2,5−ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)−1,4−ジチアン、等の環状脂肪族β―エピチオプロピルチオ化合物
【0020】
1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,4―ビス(β―エピチオプロピルチオ)ベンゼン、1,3―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、1,4―ビス(β―エピチオプロピルチオメチル)ベンゼン、ビス−[4―(β―エピチオプロピルチオ)フェニル] ―メタン、2,2−ビス−[4―(β―エピチオプロピルチオ)フェニル] ―プロパン等の芳香族β―エピチオプロピルチオ化合物を挙げる事ができるが、例示化合物に限定されるものではない。
【0021】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。
【0022】
実施例 1
温度計、攪拌機を備えた1000ml四つ口フラスコに水100ml、チオ尿素45.0g(0.59モル)とカチオン型イオン交換樹脂レバチットCNP−80ws(商品名)を240ml計り取り、窒素雰囲気下で反応器内温を20℃に保ちながら、ビス−(β―エポキシプロピル)ジスルフィド50.2g(0.28モル)を1時間かけて滴下し、滴下終了後温度を20℃に保ちながら1時間熟成した。熟成終了後にメチルエチルケトン300mlを仕込み、25%%アンモニア水溶液41.2g(0.60モル)を熟成時の温度を保ちながら滴下し、滴下終了後同温度を保ちながら2時間熟成した。熟成終了後、イオン交換樹脂を濾過しメチルエチルケトン200mlにて洗浄した。濾別した有機層と水層を分液後、水層を廃棄し、有機層を飽和食塩水で洗浄したのち無水硫酸ナトリウムにて脱水し、得られた有機層を1.33KPaの減圧下30℃の温度にて溶媒を留去し、ビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィドの粗体を得た。得られた粗体の収量、純度、純度換算収率、フラスコへのタール付着の状況を表1に記載した。使用したイオン交換樹脂は5%塩酸水による再生処理を行った。
【0023】
実施例2
カチオン型イオン交換樹脂レバチットSP120(商品名)を550ml及び、加水分解塩基として25%アンモニア水溶液61.3g(0.90モル)を用いた以外は、実施例1に準拠して反応をを行った。得られた粗体の収量、純度、純度換算収率、フラスコへのタール付着の状況を表1に記載した。使用したイオン交換樹脂は5%塩酸水による再生処理を行った。
【0024】
実施例3
カチオン型イオン交換樹脂アンバ−ライトIR−124(商品名)300ml及び、加水分解塩基として25%アンモニア水溶液52.4g(0.77モル)を用いた以外は、実施例1に準拠して反応を行った。得られた粗体の収量、純度、純度換算収率、フラスコへのタール付着の状況を表1に記載した。使用したイオン交換樹脂は5%塩酸水による再生処理を行った。
【0025】
実施例4
5回再生したレバチットCNP−80を用いた以外は,実施例1に準拠して反応を行った。得られた粗体の収量、純度、純度換算収率、フラスコへのタール付着の状況を表1に記載した。使用したイオン交換樹脂は5%塩酸水による再生処理を行った。
【0026】
比較例1
温度計、攪拌機を備えた1000ml四つ口フラスコに水100ml、チオ尿素4
5.0g(0.59モル)と蟻酸2.4g(0.05モル)を計り取り、窒素雰囲気下で反応器内温を20℃に保ちながら、ビス−(β―エポキシプロピル)ジスルフィド50.2g(0.28モル)を1時間かけて滴下し、滴下終了後温度20℃を保ちながら2時間熟成した。熟成終了後にメチルエチルケトン200mlを仕込み、18%炭酸ナトリウム水溶液30g(0.05モル)を熟成時の温度を保ちながら滴下し、滴下終了後同温度を保ちながら3時間熟成した。熟成終了後30分間静置した後、水層と有機溶媒層を分液した。分液した有層層を水洗後、硫酸ナトリウムにて脱水した。得られた有機層を1.33KPaの減圧下30℃の温度にて溶媒を留去し、ビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィドの粗体を得た。得られた粗体の収量、純度、純度換算収率、フラスコへのタール付着の状況を表1に記載した。反応終了後のフラスコは壁面に大量のタールが付着し、フラスコの洗浄無しでは次のバッチを始める事はできなかった。
【0027】
比較例2
酸として酢酸3.2g(0.05モル)を用いた以外は、比較例1に準拠して反応を行った。得られた粗体の収量、純度、純度換算収率、フラスコへのタール付着の状況を表1に記載した。反応終了後のフラスコは壁面に大量のタールが付着し、フラスコの洗浄無しでは次のバッチを始める事はできなかった。
【0028】
比較例3
酸として36%塩酸5.4g(0.05モル)を用いた以外は、比較例1に準拠して反応を行った。得られた粗体の収量、純度、純度換算収率、フラスコへのタール付着の状況を表1に記載した。反応終了後のフラスコは壁面に大量のタールが付着し、フラスコの洗浄無しでは次のバッチを始める事はできなかった。
【0029】
比較例4
酸として酢酸35.5g(0.59モル)、加水分解塩基として25%安水40.5g(0.6モル)を用いた以外は、比較例1に準拠して反応を行った。カチオン型イオン交換樹脂を使用しない場合、使用した酢酸は加水分解後に全て廃棄した。得られた粗体の収量、純度、純度換算収率、フラスコへのタール付着の状況を表1に記載した。
【0030】
【表1】
Figure 0004224258
【発明の効果】
エピスルフィド化合物の製造に際し、エポキシ化合物をカチオン型イオン交換樹脂とチア化剤を用いて相当するイソチウロニウム塩とした後、加水分解反応を行うことにより高収率、高品質且つ、低コスト、環境負荷が少ないエピスルフィド化合物を得る事が可能となった。

Claims (3)

  1. エポキシ化合物から、イソチウロニウム塩を中間体として経て、式(1)で表されるエピスルフィド化合物を製造するに際し、イソチウロニウム塩の製造工程においてカチオン型イオン交換樹脂を用いることを特徴とするエピスルフィド化合物の製造方法。
    Figure 0004224258
    (Yは置換又は未置換の直鎖、分岐又は環状の炭素原子数1〜10の二価の炭化水素基、置換又は未置換の1,4−ジチアン基、アリーレン基、アラルキレン基を表す。mは0〜2の整数を表し、nは0〜4の整数を表す。)
  2. (1)で表されるエピスルフィド化合物が式(2)で表されるビス(β―エピチオプロピル)ジスルフィドである請求項記載のエピスルフィド化合物の製造方法。
    Figure 0004224258
  3. カチオン型イオン交換樹脂の使用量がイオン交換樹脂の貫流交換容量見合いでエポキシ化合物に対して、0.5当量以上10.0当量以下の範囲にある請求項1記載のエピスルフィド化合物の製造方法。
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