JP4224254B2 - 板状小物ワークの搬送装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属板等からなる板状の小物ワークの搬送装置に関し、詳しくは、粘着面を有する粘着シートによって上記小物ワークを搬送する搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属板等の板状素材は、プレス等による打ち抜き加工、レーザー切断等の手段によって所定の形状に形成される。このように形成されたワークの多くは各種の仕上げ加工が施される。一般にプレスによって打ち抜き加工した場合には、プレスに設置されたダイ側の面の角部にダレが生じ、パンチ側の面の角部にカエリ(バリ)が生ずる。また、レーザー切断した場合には、レーザーによる加熱溶融によって裏面側に酸化物からなるドロスが突出形成される。更に、マシニングセンター或いはフライス盤等によってワークを加工した場合にも、カエリが発生する。このようなワークを完成品とするには、上記カエリやドロスは不要であり、通常の場合はカエリやドロスを除去するための追加工が施される。また、所定の形状に形成したワークの表面に対し、仕上げ加工として研磨や研削等の追加工を行うことがある。
【0003】
このような追加工を行うワークの外径寸法が例えば50mm以下、厚さが3mm以下の小物ワークの場合には、追加工を行うときにワークを保持固定することが困難な場合が多い。図6は、小物ワークの表面に研磨や研削等の追加工を行う方法の一例を示している。即ち、板状の小物ワーク100は、保持治具101に形成した凹所102に嵌入することにより保持している。そして、保持治具101はコンベア104に配列固定されて研磨或いは研削加工を行うグライダー103の位置まで搬送し、小物ワーク100の表面に対し、グライダー103または小物ワーク100の相対的な移動によって研磨或いは研削加工が行われる。また、ワークが磁性体の場合には、マグネットのワークを吸着保持させて追加工を行う場合がある。
【0004】
小物ワーク100が比較的少数の場合は、図7に示すように、ヤスリ105によって小物ワーク100のカエリ部分やドロスを研削している。即ち、作業者が図示しないコンベアによって搬送される小物ワーク100を手に持ち、手作業によってヤスリ掛け作業を行った後に再びコンベアに戻すようにしている。また、小物ワーク100の個数が比較的多い場合には、通常は図示しないバレル(図示しない)に小物ワーク100を投入して所謂バリ取り作業を行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、小物ワーク100に対する各種の追加工において、保持治具101を使用する場合は、加工前に小物ワーク100を凹所102内に嵌入し、加工後に凹所102から取り出す作業を繰り返している。しかし、このような作業は作業性が著しく悪く、しかも小物ワーク100の形状に合わせた保持治具101を製作する必要があり、必然的にコストが高くなる要因となっていた。このように、専用の保持治具101は、大量生産するときに適しているが、少量生産の場合には不向きである。また、マグネットによる吸着保持は、ワークが非磁性体の場合には使用できず、ワークの材質による制約を受ける問題がある。
【0006】
また、作業者がヤスリ105等の道具によって小物ワーク100のカエリやドロスを除去するなどの追加工を行う場合には、小物ワーク100が小さいために保持すること自体が困難であり、しかも微細な作業のために追加工にばらつきが生ずる問題がある。更には、ヤスリ掛け作業は多くの時間を要するために多くの工数を必要とし、この場合もコストが高くなる要因となっていた。一方、小物ワーク100をバレルによってバリ取りを行う場合は、バリ取り時間が長時間に及ぶ上にバレルへの投入作業と取り出し作業に長時間を要し、更に、取り出し後にはバレル内の液体を除去するための洗浄が必要になることから必然的にコストが高くなる問題がある。しかも、板状の小物ワーク100の板厚が肉薄の場合は、バレル内の衝撃等によって変形する問題もある。更に、バレル作業はバッチ処理のために、製造工程におけるラインから外れることから、工程管理が困難になる問題も有している。
【0007】
本発明は、上記実状に鑑み、追加工等を行う板状の小物ワークを簡便に保持すると共に移送することができる板状小物ワークの搬送装置を提供しようとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、
板状の小物ワークの被加工面を露出させ反対面を移送用粘着シートの粘着面に粘着し、上記粘着シートの移送により、上記小物ワークを加工装置の加工位置まで搬送し、上記加工装置において上記粘着シートに粘着した状態で上記小物ワークの被加工面に所定の加工を行った後、上記粘着シートを移送して上記小物ワークを粘着面から剥離する板状小物ワークの搬送装置において、
上記小物ワークは周囲に移送用粘着シートの粘着面が露出するように所定の間隔をおいて上記移送用粘着シートに粘着固定された状態で搬送されて、上記加工装置による上記小物ワークの加工時に生じたきりこ等が上記小物ワークの周囲に露出している上記粘着面に付着するようになっており、
上記小物ワークの上方からはブロアー等によって空気が吹き付けられ、上記きりこ等の上記粘着面への付着を助長させるようになっていることを特徴としている。
【0009】
本発明の板状小物ワークの搬送装置において、
上記加工装置は、上記移送用粘着シートに粘着された小物ワークの表面に砥面を対峙させたグラインダーと、駆動モータと、この駆動モータの出力軸の回転を上記グラインダーの回転軸に伝達する回転伝達機構とを有しており、
上記回転伝達機構は、上記駆動モータの出力軸側と上記グラインダーの回転軸の一端側とを磁気結合している磁気カップリングを備え、
この磁気カップリングの間には隙間があり、この隙間に磁気遮蔽しない素材からなるカバーを被冠することにより、このカバーに上記のきりこ等を磁気吸引させることが望ましい。
【0010】
本発明の板状小物ワークの搬送装置において、
上記駆動モータは、調整軸によって上下動する支持板に取り付けられており、
上記駆動モータが上下動すると、上記磁気カップリングの駆動モータの出力軸側と上記グラインダーの回転軸の一端側との間隔が変化して、上記磁気カップリングを介して伝達されるトルク伝達力が変化することが望ましい。
【0011】
本発明の板状小物ワークの搬送装置において、
上記移送用粘着シートを移送するための主動ローラおよび従動ローラを有しており、
上記移送用粘着シートは上記従動ローラの外周面に約1/4巻きつけられるように掛け渡されており、上記移送用粘着シートを挟み上記主動ローラが上記従動ローラに当接しており、
上記移送用粘着シートの粘着面側が上記主動ローラに接していることが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
図1乃至図4は、本発明にかかる板状小物ワークの搬送装置の実施態様を示している。テープ状に形成された粘着シート1は、ガイド機構2に移動自在にガイドされている。ガイド機構2は、両側にガイド壁3が形成され、ガイド壁3間の間隔は搬送用粘着シート1の幅よりもやや広く設定されている。更に、一方のガイド壁3から鍔部4が取り付けられ、この鍔部4が基盤5に設けた支持部材に支持されている。支持部材は3個の支持体から構成され、左右の支持体6,7は、基盤5に固定された台座8,9に円柱状の支柱10,11が突出形成され、鍔部4に形成した小孔に貫通させている。更に、台座8,9と鍔部4との間にはコイルバネ12,13が支柱10,11に嵌入されて配設されている。
【0014】
中央の支持体は、基盤5に固定された台座14と、調整部材15とから構成され、台座14には螺孔14aが形成され、この螺孔14aに調整部材15の螺子部15aが螺入されている。また、調整部材15の螺子部15aを鍔部4に形成した小孔に貫通すると共に、中間部に形成した段部を鍔部4に当接させている。
【0015】
そして、ガイド機構2は、調整部材15の回動によって上下位置を調整することができる。即ち、調整部材15を回動して鍔部4を下降させると、左右の支持体に設けたコイルバネ12,13の弾力に抗して図示下方に下降し、また、調整部材15を逆方向に回動すると、コイルバネ12,13の弾力によって鍔部4が図示上方に上昇する。このように、調整部材15の回動によってガイド機構2の高さ調整ができる。尚、図1乃至図3に示す実施態様において、ガイド機構2の全体を上下動させて高さを調整する構成としたが、例えば、後述する駆動ローラ16の中心を支点として、ガイド機構2の上流側を回動させることにより高さ調整を行う構成に変更することもできる。また、ガイド機構2の高さ調整を必要としない場合は、固定式に構成しても良い。
【0016】
ガイド機構2の下流側には、搬送用粘着シート1を移送するための駆動ローラ16が配設されている。駆動ローラ16の両端にはガイド鍔16aが形成され、搬送用粘着シート1をガイドするようにしている。また、駆動ローラ16は駆動モータ17の出力軸に固着され、駆動モータ17の回転駆動によって駆動ローラ16が一体に回転する。駆動ローラ16の周面には押圧ローラ18が回転自在に添設されている。
【0017】
そして、搬送用粘着シート1は駆動ローラ16の周面を約4分の1沿って下方に排出される。このとき、搬送用粘着シート1は押圧ローラ18の押圧により摩擦力を高めて駆動ローラ16の回転に従って移送される。
【0018】
駆動ローラ16の図示右側には、後述するワークを排出するためにシュート19が設けられている。シュート19は一端が駆動ローラ16に近接させ、搬送用粘着シート1が駆動ローラ16の周面に沿って方向変換したとき、ワークが搬送用粘着シート1の粘着面から剥離させ、ワークをシュート19に乗せるようにしている。シュート19は図示のように傾斜させているので、ワークはシュート面を摺動しながら排出される。
【0019】
一方、ガイド機構2の上流側には、搬送用粘着シート1の繰り出し機構(図示しない)が設けられている。搬送用粘着シート1は巻回された状態で繰り出し機構から送出される。繰り出し機構には適宜のバックテンションを付与するためのブレーキ機構を設けることが望ましい。
【0020】
以上のように構成された移送用粘着シート1による搬送装置によって、板状の小物ワークが搬送される。板状の小物ワーク20は、例えば、金属板等の板状素材をプレス等によって打ち抜き加工やレーザー裁断等の手段によって所定の形状に形成された、板厚が3mm以下、外径寸法が50mm以下と比較的肉薄かつ小さな形状としている。更に、このような小物ワーク20は、プレスによって打ち抜き加工したときに生ずるカエリ(バリ)、或いは、レーザー切断時に生ずるドロスを除去する追加工、或いは、表面に対して研磨や研削等の仕上げ加工を行うものである。
【0021】
このような小物ワーク20は、図1乃至図3に示すように移送用粘着シート1に載置したうえで粘着面1aに粘着固定される。移送用粘着シート1は、再剥離性粘着剤を有する粘着シートが良い。再剥離性粘着シートは、図4に示すように、粘着剤を球状に形成した粘着層1aがベース材1bに塗布されている。そして、小物ワーク20を押圧することにより粘着層1aの球状粘着剤が扁平となって粘着面積が広がり粘着する。また、小物ワーク20を剥離すると、球状粘着剤が元の球状に復帰する。このため、再剥離性粘着シートは、小物ワーク20を剥離したときに、粘着層1aの球状粘着剤が小物ワーク20に転移しないので、剥離後に球状粘着剤を除去するための洗浄工程を省略できる特徴がある。尚、再剥離性粘着シートとして、アクリル系粘着剤を主成分とした再剥離性粘着剤を使用するものもあって、剥離時に粘着剤が小物ワーク20に転移しない性質を有するものであれば、他に変更することができる。また、移送用粘着シート1は、ガイド機構2によって移送する幅を有するものであれば長さは問わず、比較的長尺の粘着テープであっても良い。
【0022】
以上のような再剥離性粘着シートを使用した移送用粘着シート1は、前記繰り出し機構から順次繰り出され、ガイド機構2に沿って移送する。このとき、図1乃至図3に示すように、小物ワーク20を移送用粘着シート1の粘着層1aに粘着する。再剥離性粘着シートは押圧によって粘着されることから、移送用粘着シート1に小物ワーク20を載置したときに、ワーク供給機構(図示しない)自体で押圧するようにしても、また、図1、図2において二点差線で示す押圧ローラ30によって押圧して粘着力を高めることが望ましい。
【0023】
小物ワーク20は移送用粘着シート1によって加工装置40に移送され、小物ワーク20の被加工面から加工が行われる。本実施態様は、加工装置40として小物ワーク20のカエリを除去するための研削装置を示している。即ち、移送用粘着シート1に粘着された小物ワーク20の表面に砥面を対向させたグラインダー41の回転軸42は、保持壁47に固着された軸受43に回転自在に支持されている。回転軸42の一端は、磁気カップリング44からなる回転伝達機構を介して駆動モータ45の出力軸に磁気結合されている。駆動モータ45は、略コ字状に形成された支持板46に支持されている。この支持板46は、基盤5に配設された保持壁47に移動可能に嵌合されている。
【0024】
保持壁47には長孔47aが形成され、支持板46に一端を固着したガイドピン48が嵌入されている。また、支持板46の基盤5に対向する面には、調整軸49が設けられ、調整軸49を回転することにより、支持板46が保持壁47の長孔47aに従って上下動するように構成されている。この調整軸49の操作によって支持板46と共に駆動モータ45を上下動するようにしている。
【0025】
駆動モータ45が上下動すると、磁気カップリング44の駆動モータ45の出力軸側と回転軸42の一端側との間隔が変化する。磁気カップリング44は磁気結合によって構成されていることから、両者の間隔が小さいほどトルク伝達力が大きくなり、逆に、間隔が大きくなるとトルク伝達力が小さくなる。従って、調整軸49の回転操作によって駆動モータ45を上下動させることによって、グラインダー41に対するトルクを変化させるようにしている。
【0026】
通常の場合、小物ワーク20が厚いときは、カエリやドロスが大きくなる。これらを除去するためには、グラインダー41を大きなトルクで駆動する必要がある。また、小物ワーク20が薄いときは、カエリやドロスも小さいことから、グラインダー41が小さなトルクであっても除去することができる。このように、調整軸49の回転操作によって、小物ワーク20に対する最適トルクによって加工が行えるようにしている。また場合によっては、グラインダー41等の加工装置に大きな負荷がかかることがある。このとき、磁気カップリング44がトルクリミッターとして作用し、加工装置からの過負荷トルクが遮断されるので、駆動モータ45を焼損等の事故から未然に防止することができる。
【0027】
小物ワーク20は図4に示すように、上面のカエリ面21の角部には、プレスによる打ち抜き加工によってカエリ21aが形成されている。上述した加工装置40は、このカエリ21aを有する被加工面となるカエリ面21を研削加工により除去するものである。このとき、小物ワーク20は、角部にダレ22aを有するダレ面22側を上記移送用粘着シート1の粘着面に粘着固定し、カエリ21aを有するカエリ面21を上面に露出させる。ダレ面22側にはカエリ21aのような突起物がないので、粘着面に密接させることができ粘着による固定強度が高くなる。
【0028】
また、小物ワーク20は、移送用粘着シート1の幅よりも小さい寸法であり、順次粘着する小物ワーク20間に所定の間隔をおいて粘着している。この結果、1個の小物ワーク20の周囲には、移送用粘着シート1の粘着面が露出している。小物ワーク20は、このような状態で加工装置40に搬送される。尚、小物ワーク20と移送用粘着シート1の幅との関係において、移送用粘着シート1の幅よりも約2倍程度の幅を有する小物ワーク20を搬送してもよい。このときも、各小物ワーク20の間には移送用粘着シート1の粘着面が露出するような間隔を設けることが望ましい。
【0029】
加工装置40のグラインダー41の砥面は、少なくとも小物ワーク20に形成されたカエリ21aを除去するように、カエリ面21に接する直前の位置に設定されている。そして、グラインダー41が回転した状態とし、移送用粘着シート1によって小物ワーク20が到来すると、グラインダー41の砥面がカエリ21aを研削することにより除去される。
【0030】
グラインダー41によって研削されたカエリ21aは、移送用粘着シート1の露出した粘着面1aに付着するので飛散を減少させることができる。また、粘着面1aへの付着を助長するように、小物ワーク20の上方からブロアー等によって空気を吹き付けることが好ましい。また、回転軸42の一端と駆動モータ45の出力軸との間に設けた磁気カップリング44の間には隙間があり、この隙間に磁気遮蔽しない素材からなるカバーを被冠することにより吸引させるようにしてもよい。
【0031】
以上のようにカエリ21aが除去された小物ワーク20は、移送用粘着シート1によって更に移送される。その後、小物ワーク20が駆動ローラ16に到達すると、搬送用粘着シート1が駆動ローラ16に沿って方向変換するので、小物ワーク20が搬送用粘着シート1から剥離してシュート19に乗せられ、斜面を摺動しながら排出される。
【0032】
また、小物ワーク20がレーザー切断によって切断されたときは、上面の被加工面の角部にはドロスが形成される。上述した加工装置40によって、このドロスも、上述したカエリの除去と同様に、研削加工により除去することができる。即ち、小物ワーク20のドロスが形成された被加工面とは反対の面を上記移送用粘着シート1の粘着面に粘着固定する。このとき、被加工面の反対面にはドロスのような突起物がないので、粘着面に密接させることができ粘着による固定強度が高くなる。この状態から、移送用粘着シート1によって小物ワーク20を加工装置40まで移送し、グラインダー41の砥面によってドロスを研削することにより除去する。
【0033】
図5は、本発明の他の実施態様を示し、移送用粘着シート1を更に効率的に移送するようにしている。即ち、搬送用粘着シート1を従動ローラ50の外周に約4分の1巻き付けるようにし、この従動ローラ50に主動ローラ51を当接するようにしている。そして、主動ローラ51は駆動モータの出力軸に固着して回転駆動される。この構成によれば、搬送用粘着シート1の粘着面1a側が主動ローラ51に粘着するので摩擦力が大幅に高くなり伝達ロスが向上する。従って、従動ローラ50は搬送用粘着シート1のベース材1bとの摩擦によって従動回転するか、もしくは滑りを生じて停止することもある。尚、搬送用粘着シート1に再剥離粘着シートを使用したときは、主動ローラ51の押圧力を弱くすることにより、粘着力を弱めることができるので、搬送用粘着シート1が主動ローラ51に巻き付くようなことはない。
【0034】
なお、搬送用粘着シート1を移送する移送機構は、小物ワーク20に対する加工の種別に応じて、連続した移送の他、加工装置の位置で停止させる間欠移送の何れであっても良い。また、加工装置として前述の実施態様では小物ワーク20のカエリを除去する例を示したが、比較的応力を与えない切削加工、孔あけ加工、曲げ加工、マーキング、レーザー切断、溶接等を行っても良い。この場合、搬送用粘着シートのベース材が可撓性を有するため、孔あけ加工や曲げ加工においても支障を及ぼすことがない。
【0035】
このような加工を行う小物ワーク20として、前述した例のように、単純な四角形でなくとも、円形状、多角形状等種々の形状であってもよく、搬送用粘着シートに粘着する面以外に突起部分があっても良い。また、搬送用粘着シートの粘着力を強くする等、必要な粘着強度が得られれば、小物ワーク20の粘着面に多少の凹凸があってもよく、この場合、小物ワーク20に与える加工時の応力と搬送用粘着シートの粘着力との相関関係によって適宜に設定可能である。
【0036】
更に、小物ワーク20を加工装置に精度良く位置決めして停止するために、搬送用粘着シートに位置決め用のパイロット孔、或いはマーカーを設け、この位置を検出して停止するようにしても良い。この変形例として、小物ワーク20を供給する供給機構に上記パイロット孔やマーカーを検出する手段を設け、この検出位置で小物ワーク20を精度良く搬送用粘着シートに粘着させるようにしても良い。更にまた、搬送用粘着シートにアブソリュートリニアエンコーダに相当するコードを印刷等により付設し、このコードを読みとることによって、小物ワーク20の位置決めを行うこと、或いは、加工装置における加工状態を変化させるようにしても良い。また、短辺状の所定枚数の搬送用粘着シートを使用すれば、この搬送用粘着シートをカウントすることにより所定の小物ワークの個数を決めることも可能である。
【0037】
以上説明したように、板状小物ワークの搬送装置では、板状の小物ワークを移送用粘着シートの粘着面に粘着することにより小物ワークを容易に保持することができ、しかも、粘着シート自体によって移送し、この状態で被加工面に対して加工するので、ワークに合わせた治具等が不要になり、種々の形状のワークに対応させることができる。しかも、コンベア等の機構が不要になるなど装置を簡便にすることができる。また、肉薄な板状の小物ワークであっても粘着シートに粘着されているので、搬送及び加工時にワークの変形を未然に防止することができる。
【0038】
また、移送用粘着シートを再剥離性粘着シートとすることにより、小物ワークの粘着と剥離が容易になり、しかも、粘着シートから剥離しても粘着剤が小物ワークに付着することが殆どないので、洗浄工程を不要にすることが可能となる。
【0039】
さらに、小物ワークの周囲に移送用粘着シートの粘着面を露出させることにより、加工時に生じたきりこ等を周囲の粘着面に付着させることができる。
【0040】
さらにまた、プレスの打ち抜き加工によって形成された板状の小物ワークのダレ面側を移送用粘着シートに粘着するので、小物ワークをほぼ密着状態で粘着させることができ、保持力を高くした状態でカエリを研削加工することができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、板状の小物ワークの被加工面を露出させ反対面を移送用粘着シートの粘着面に粘着し、上記粘着シートの移送により、上記小物ワークを加工装置の加工位置まで搬送し、上記加工装置において上記粘着シートに粘着した状態で上記小物ワークの被加工面に所定の加工を行った後、上記粘着シートを移送して上記小物ワークを粘着面から剥離する板状小物ワークの搬送装置において、上記小物ワークは周囲に移送用粘着シートの粘着面が露出するように所定の間隔をおいて上記移送用粘着シートに粘着固定された状態で搬送されて、上記加工装置による上記小物ワークの加工時に生じたきりこ等が上記小物ワークの周囲に露出している上記粘着面に付着するようになっており、上記小物ワークの上方からはブロアー等によって空気が吹き付けられ、上記きりこ等の上記粘着面への付着を助長させるようになっていることを特徴としている。
【0042】
本発明によれば、小物ワークの周囲に移送用粘着シートの粘着面を露出させることにより、加工時に生じたきりこ等を周囲の粘着面に付着させることができる。また、ブロワー等によって空気を吹きつけることにより、加工時に生じたきりこ等の粘着面への付着を助長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる板状小物ワークの搬送装置の一実施態様を示す平面図である。
【図2】 本発明にかかる板状小物ワークの搬送装置の一実施態様を示す正面図である。
【図3】 本発明にかかる板状小物ワークの搬送装置の一実施態様を示す斜視図である。
【図4】 本発明にかかる板状小物ワークの搬送装置の加工状態を示す部分拡大図である。
【図5】 本発明にかかる板状小物ワークの搬送装置の他の実施態様を示す正面図である。
【図6】 従来の搬送及び加工の形態を示す断面図である。
【図7】 従来の加工の他の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 移送用粘着シート
1a 粘着層
1b ベース材
2 ガイド機構
20 小物ワーク
21 カエリ面
21a カエリ
22 ダレ面
22a ダレ
40 加工装置
41 グラインダー
Claims (4)
- 板状の小物ワークの被加工面を露出させ反対面を移送用粘着シートの粘着面に粘着し、上記粘着シートの移送により、上記小物ワークを加工装置の加工位置まで搬送し、上記加工装置において上記粘着シートに粘着した状態で上記小物ワークの被加工面に所定の加工を行った後、上記粘着シートを移送して上記小物ワークを粘着面から剥離する板状小物ワークの搬送装置において、
上記小物ワークは周囲に移送用粘着シートの粘着面が露出するように所定の間隔をおいて上記移送用粘着シートに粘着固定された状態で搬送されて、上記加工装置による上記小物ワークの加工時に生じたきりこ等が上記小物ワークの周囲に露出している上記粘着面に付着するようになっており、
上記小物ワークの上方からはブロアー等によって空気が吹き付けられ、上記きりこ等の上記粘着面への付着を助長させるようになっていることを特徴とする板状小物ワークの搬送装置。 - 請求項1に記載の板状小物ワークの搬送装置において、
上記加工装置は、上記移送用粘着シートに粘着された小物ワークの表面に砥面を対峙させたグラインダーと、駆動モータと、この駆動モータの出力軸の回転を上記グラインダーの回転軸に伝達する回転伝達機構とを有しており、
上記回転伝達機構は、上記駆動モータの出力軸側と上記グラインダーの回転軸の一端側とを磁気結合している磁気カップリングを備え、
この磁気カップリングの間には隙間があり、この隙間に磁気遮蔽しない素材からなるカバーを被冠することにより、このカバーに上記のきりこ等を磁気吸引させることを特徴とする板状小物ワークの搬送装置。 - 請求項2に記載の板状小物ワークの搬送装置において、
上記駆動モータは、調整軸によって上下動する支持板に取り付けられており、
上記駆動モータが上下動すると、上記磁気カップリングの駆動モータの出力軸側と上記グラインダーの回転軸の一端側との間隔が変化して、上記磁気カップリングを介して伝達されるトルク伝達力が変化することを特徴とする板状小物ワークの搬送装置。 - 請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載の板状小物ワークの搬送装置において、
上記移送用粘着シートを移送するための主動ローラおよび従動ローラを有しており、
上記移送用粘着シートは上記従動ローラの外周面に約1/4巻きつけられるように掛け渡されており、上記移送用粘着シートを挟み上記主動ローラが上記従動ローラに当接しており、
上記移送用粘着シートの粘着面側が上記主動ローラに接していることを特徴とする板状小物ワークの搬送装置。
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