JP4224105B2 - 信号処理部及び無線機 - Google Patents
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Description
従来の双方向無線システムで用いられる無線機は、スペクトラム拡散(SS:Spread Spectrum)方式を採用した微弱電波で動作する無線機である。
従来の双方向無線システムについて図12を参照しながら説明する。図12は、従来の双方向無線システムの概略図である。
従来の双方向無線システムは、送信部1aと受信部1bを有する親機1の無線機と、送信部2aと受信部2bを有する子機2の無線機とを備え、子機2の入力装置を動作させて、子機2から親機1に動作命令を送信し、親機1ではその命令に従って動作するようになっている。
つまり、従来の双方向無線システムは、SSを採用した双方向通信(半2重)可能な微弱無線システムとなっている。
上記無線機における信号処理部について図13を参照しながら説明する。図13は、従来の信号処理部の構成ブロック図である。
従来の信号処理部は、ADC(Analog Digital Converter)制御部11と、AGC(Auto Gain Control)部12と、APC/AFC(Auto Power Control/Auto Frequency Control)制御部13と、DAC制御部14と、キャリア復調部15と、キャリアデータ生成部16と、キャリア変調部17と、受信データ復号部18′と、拡散符号生成部20′と、拡散変調部21′と、相関ピーク検出部22′と、粗周波数ズレ検出部23′と、微周波数ズレ検出部24′とから構成されている。
ADC制御部11は、A/Dコンバータ(A/D)への制御信号の生成と、A/Dコンバータから受信IF(Intermediate Frequency)信号を入力する制御を行う。
DAC制御部14は、キャリア変調部17でキャリア変調処理を行ったデータをD/Aコンバータへ送出する。
受信データ復号部18′は、同期確立後のIFキャリア周波数の微周波数補正後に、同期ワードの検出し、ユーザデータの復号処理を行う。
拡散変調部21′は、同期ワード/REFデータの差動符号化処理を行い、送信ユーザデータ及び差動符号化した同期ワード/REFデータの拡散変調処理を行う。
尚、関連する先行技術として、特開2000−115027号公報(特許文献1)、特開2002−290272号公報(特許文献2)がある。
しかしながら、上記従来の無線機の信号処理部における相関ピーク検出処理では、検出相関値に対して、固定しきい値若しくは複雑な処理による可変しきい値と比較することによりピーク検出を行っているため、いずれの場合においても、弱電界環境下や機器の個体差から生じるピーク値変動に対して、極限までしきい値を絞りこむことは不可能であり、誤検出の確率が上がり、ある程度のマージンを設けた場合、大幅な検出感度の劣化につながってしまうという問題点があった。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る信号処理部は、キャリアデータ生成部がキャリアデータを生成し、キャリア復調部がキャリアデータに基づいて受信信号をキャリア復調し、マッチドフィルタ部がキャリア復調データに対して、相関検出処理として逆拡散処理、全加算処理を行い、相関検出データを出力し、相関ピーク検出部が相関検出データから相関ピークを検出し、相関ピークの位置情報を出力し、粗周波数ズレ検出部がキャリア復調データに対してキャリア周波数ズレ量に応じた周波数成分を検出し、周波数ズレ量をキャリアデータ生成部に出力し、微周波数検出部が相関ピーク検出時の相関検出データから周波数ズレ量を少なくする微周波数ズレ量をキャリアデータ生成部に出力し、制御部が相関ピークの位置情報を入力し、処理クロックを調整する無線機の信号処理部としているので、マッチドフィルタ部と相関ピーク検出部の動作により相関ピーク検出処理において検出感度を向上させることができる効果がある。
また、本発明の実施の形態に係る無線機は、上記信号処理部を備えるものである。
本発明の実施の形態に係る信号処理部部について図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る信号処理部の構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る信号処理部(本信号処理部)は、図1に示すように、ADC(Analog Digital Converter)制御部11と、AGC(Auto Gain Control)部12と、APC/AFC(Auto Power Control/Auto Frequency Control)制御部13と、DAC(Digital Analog Converter)制御部14と、キャリア復調部15と、キャリアデータ生成部16と、キャリア変調部17と、受信データ復号部18と、マッチドフィルタ部19と、拡散符号生成部20と、拡散変調部21と、相関ピーク検出部22と、粗周波数ズレ検出部23と、微周波数ズレ検出部24と、制御部25とから構成されている。
次に、本信号処理部の各部について図面を参照しながら説明する。
[ADC制御部11]
ADC制御部11は、A/DコンバータIC(Integrated Circuit)から受信IF(Intermediate Frequency)信号を読み出し、受信信号をキャリア復調部15に出力する制御を行う。
また、ADC制御部11は、A/DコンバータICへの制御信号を生成して出力する。
AGC部12は、ADC制御部11から出力された受信信号に対して、常に設定した振幅になるよう、AGCアンプへゲインコントロールを行うための制御信号を出力する制御を行う。
APC/AFC制御部13は、サーミスタを使用し、無線部(RF[Radio Frequency]部)の温度モニタを行うためのA/DコンバータICへの制御信号を生成して出力する。
また、APC/AFC制御部13は、A/DコンバータICからのモニタ値に応じて、AFC補正値をキャリアデータ生成部16へ、APC補正値をキャリア変調部17へ供給する。
ここで、APCは自動送信パワー制御、AFCは自動周波数制御を意味している。
DAC制御部14は、キャリア変調部17でキャリア変調処理を行ったデータをD/AコンバータICへ送出する制御を行う。
また、DAC制御部14は、D/AコンバータICへの制御信号を生成して出力する。
キャリア復調部15について図2を参照しながら説明する。図2は、キャリア復調部の構成ブロック図である。
キャリア復調部15は、受信IF信号に対して、キャリアデータ生成部16から入力されるIFキャリアデータに基づいてIFキャリア成分の除去処理を行い、更に512kHzサンプリング(厳密には524,288Hz)から256kHzサンプリング(厳密には262,144Hz)にダウンサンプル処理を行う。
キャリアデータ生成部16について図3を参照しながら説明する。図3は、キャリアデータ生成部の構成ブロック図である。
キャリアデータ生成部16は、キャリア変調部17及びキャリア復調部15へ供給するIFキャリアデータを生成する。
IFキャリアデータは、送受とも90°位相の違う2種類ずつを生成する。
また、キャリアデータ生成部16は、粗周波数ズレ検出部23及び微周波数ズレ検出部24からの周波数ズレ検出データ、APC/AFC制御部13からのAFC補正データに応じて、周波数補正処理を行う。
キャリア変調部17は、キャリアデータ生成部16から供給されるIFキャリアデータに対して、APC/AFC制御部13からのAPC補正要求に応じてAPC補正処理を行う。
更に、キャリア変調部17は、拡散変調部21から入力される拡散変調処理データ(ユーザデータ、同期ワード/REFデータ)に対して、IFキャリアデータによるキャリア変調を行う。
IFキャリアデータは、ユーザデータと同期ワード/REFデータで90°位相を変えたものを使用する。
また、キャリア変調部17は、各々キャリア変調処理を行ったものを加算する加算処理を行う。
次に、受信データ復号部18について図4,5を参照しながら説明する。図4は、受信データ復号部前段の構成ブロック図であり、図5は、受信データ復号部後段の構成ブロック図である。尚、図4の(a)〜(d)と図5の(a)〜(d)とは各々接続するものとなっている。
受信データ復号部18は、同期確立してからIFキャリア周波数の微補正処理の後に、同期ワードの検出及びユーザデータの復号処理を行う。
キャリア復調データは、8倍オーバーサンプルデータ(チップレート32,768Hzに対して、キャリア復調データは262,144Hzサンプルデータ)であるため、デシメーションフィルタリング(8タップの移動平均フィルタ)の後、32,768Hzサンプルデータにダウンサンプルする。
ダウンサンプル後にHPF(High Pass Filter =FIRフィルタ)にて低周波成分の除去を行う。
信号帯域内のため、同時に信号成分も除去されてしまうが、HPFのカットオフ周波数を信号帯域幅の影響の出ない一部分に留めることで、感度劣化につながらないようにしている。
受信データ復号部18におけるフィルタリング処理後、スライディング相関処理により、逆拡散処理及び累積処理を行う。
拡散変調部21で詳細に説明するが、ユーザデータの復号は、同期ワード/REFデータとの相対位置関係により判断する。
また、同時に同期ワード/REFデータ成分から同期ワードの検出を行う。検出は遅延検波処理にて行う。但し、分割相関処理を行っているため、通常の遅延検波処理ではなく、2段遅延検波処理となる。
次に、マッチドフィルタ部19について図6を参照しながら説明する。図6は、マッチドフィルタ部の構成ブロック図である。
マッチドフィルタ部19は、キャリア復調データに対して、相関検出処理としてマッチドフィルタリングにて逆拡散処理、更に全加算処理を行う。
次に、拡散符号生成部20について図7を参照しながら説明する。図7は、拡散符号生成部の構成ブロック図である。
拡散符号生成部20は、拡散変調、逆拡散処理用の拡散符号を生成する。
使用する拡散符号は、同期ワード/REFデータ用とユーザデータ用に2種類必要である。この2種類を別々のパラメータから生成することも可能だが、本信号処理部では1種類のパラメータにて生成した符号を正配列及び逆配列として使用することで全く違った符合として使用している。
次に、拡散変調部21について図8を参照しながら説明する。図8は、拡散変調部の構成ブロック図である。
拡散変調部21は、同期ワード/REFデータの差動符号化処理を行い、その差動符号化処理した同期ワード/REFデータ及び送信ユーザデータの拡散変調処理を行う。
次に、相関ピーク検出部22について図9を参照しながら説明する。図9は、相関ピーク検出部の構成ブロック図である。
相関ピーク検出部22は、図9に示すように、マッチドフィルタ部19からの相関検出値を入力し、1bit区間内の最大ピーク位置をカウンタ値で検出する1bit区間最大ピーク位置検出部221と、検出された最大ピーク位置のカウンタ値と以前の最大ピーク位置のカウンタ値を比較し、比較結果を出力する最大ピーク位置比較部222と、入力される比較結果から相関ピークが検出されたならシンボル同期信号(相関ピーク検出信号:同期検出信号)を外部及び制御部25に出力し、シンボル位相ズレについてのシンボル位相ズレ検出信号を微周波数ズレ検出部24に出力するシンボル同期信号生成部223と、フリーランのカウンタ値を出力するフリーランカウンタ224とを備えている。
第1に、検出処理開始からフリーランカウンタ224を起動する。
フリーランカウンタ224は、256kHz/1bit長分=512チップ/bitでは4,096=12bitカウンタである。
従って、本信号処理部では2bit連続ではなく、3bit連続でカウンタ値が所定範囲内であった時ピーク検出としている。誤検出確率は、(8/4,096)^3=1/134,217,728と低くなる。
本信号処理部における相関ピーク検出部22のピーク検出処理では、ピークとノイズとの間にしきい値を設ける必要が無いため、しきい値設定によるロス(感度劣化)が生じない。
そして、相関ピーク検出部22では、弱電界にてピーク値が消失(ノイズに埋もれてしまう)する極限レベルまでピーク検出を行うことが可能である。
上記の処理により、相関ピークを検出した後もフリーランカウンタ224を起動し続け、以下のクロック位相エラーの検出処理を行う。尚、クロック位相エラーとは、親機−子機間の処理クロックの周波数ズレにより、数十〜数百msecの通信の間にbit同期がずれてしまうことを指す。
第2に、同期確立以降も定期的にマッチドフィルタ部19を起動し、相関値の検出処理を行う。
制御部25では上記位相エラー値に応じて、処理クロックの位相調整処理を行う。
次に、粗周波数ズレ検出部23について図10を参照しながら説明する。図10は、粗周波数ズレ検出部の構成ブロック図である。
粗周波数ズレ検出部23は、キャリア復調データに対して、LPF(Low Pass Filter)でノイズ除去を行い、ダウンサンプリング処理して、FFT演算を行って累積処理し、最大ピーク位置の検出を行い、粗周波数ズレ検出データを出力する。
ダウンサンプル後のデータに対して、親機−子機のIFキャリア周波数ズレ量に応じた残留周波数成分の検出を行う。
残留周波数成分の検出は、32ポイントのFFT演算で行う。従って、検出周波数精度は、1,024Hzとなる。
1回の演算周期は、32/32,768≒1msecであり、最大32回までの累計を可能としている。
32回の累計演算を行った場合の検出感度は、理論上では約15dBアップする。
そして、検出した粗周波数ズレ量をキャリアデータ生成部16に供給する。
次に、微周波数ズレ検出部24について図11を参照しながら説明する。図11は、微周波数ズレ検出部の構成ブロック図である。
微周波数ズレ検出部24は、受信データ復号部18でのデータ復号処理を前に、分割相関処理による分割損(分割による感度劣化)の低減を目的に、周波数ズレ量をさらに少なくするため、高い精度の周波数検出を行う。
そのため、ピークが検出されたときの当該相関データ(32分割分*I,Q成分=64ポイント)に対してFFT演算を行うことで、その残留ズレ分の周波数検出を行うことができる。
ここで得られた微周波数ズレ値をキャリアデータ生成部16へ供給する。
尚、微周波数ズレ検出部24は、粗周波数ズレ検出部23と同じ32ポイントFFT演算回路のため、共用化が可能である。
制御部25は、相関ピーク検出部22から同期検出信号を入力し、シンボル同期処理を行い、外部からの入力により相関ピーク検出部22及び粗周波数ズレ検出部23の動作タイミングを制御する。
特に、制御部25は、相関ピーク検出部22からの位相エラー値に応じて信号処理部内の各部に提供されるクロックの位相を調整する。
以下、受信処理の流れの概略を簡単に説明する。
第1に、受信処理開始にてADC制御部11を介してキャリア復調部15にてキャリア復調処理実施する。
第2に、キャリア復調処理データを粗周波数ズレ検出部23及びマッチドフィルタ部19へ供給し、粗周波数ズレ検出部23で粗周波数ズレ量検出を行い、同時にマッチドフィルタ部19で相関検出処理を、相関ピーク検出部22で相関ピーク検出処理を行う。
第4に、相関ピーク検出部22で相関ピークが検出された場合、そのピーク値に該当する分割相関の各検出値(32分割分、I,Q成分の計64ポイント)を微周波数ズレ検出部24に供給し、微周波数ズレ量の検出を行う。
以上が、本信号処理部における受信処理の概要である。
本信号処理部及びそれを用いた無線機によれば、相関ピーク検出処理において検出感度を向上させることができる効果がある。
Claims (6)
- 無線機に用いられる信号処理部において、
入力される周波数ズレ量に応じて周波数補正を行い、キャリアデータを生成するキャリアデータ生成部と、
前記キャリアデータに基づいて受信信号をキャリア復調し、キャリア復調データを出力するキャリア復調部と、
前記キャリア復調データに対して、複数に分割して部分相関検出処理として逆拡散処理、累積演算処理を行って複数分割の相関値を算出し、更に前記複数分割の相関値について全加算処理を行い、相関検出値を出力すると共に前記複数分割の相関値を相関ピークの検出によって部分相関検出値として出力するマッチドフィルタ部と、
前記相関検出値を入力し、1ビット区間内の最大ピーク位置を検出し、以前検出した最大ピーク位置と比較し、比較結果から相関ピークが検出されると、相関ピークの位置情報を出力する相関ピーク検出部と、
前記キャリア復調データに対して高速フーリェ変換演算を行い、キャリア周波数ズレ量に応じた周波数成分を検出し、周波数ズレ量を前記キャリアデータ生成部に出力する粗周波数ズレ検出部と、
前記部分相関検出値に対して高速フーリェ変換演算を行い、周波数ズレ量を少なくする微周波数ズレ量を前記キャリアデータ生成部に出力する微周波数検出部と、
前記相関ピークの位置情報を入力し、前記相関ピーク検出部と前記粗周波数ズレ検出部における動作タイミングとなる処理クロックを調整する制御部とを有することを特徴とする信号処理部。 - 相関ピーク検出部は、
カウンタ値を出力するカウンタと、
マッチドフィルタ部からの相関検出値を入力し、1ビット区間内の最大ピーク位置を前記カウンタ値で検出する1ビット区間最大ピーク位置検出部と、
前記検出された最大ピーク位置のカウンタ値と以前の最大ピーク位置のカウンタ値を比較し、比較結果を出力する最大ピーク位置比較部と、
前記比較結果から相関ピークが検出されたなら相関ピーク検出信号と、シンボル位相ズレがある場合にシンボル位相ズレ検出信号を制御部に出力するシンボル同期信号生成部とを有することを特徴とする請求項1記載の信号処理部。 - 1ビット区間最大ピーク位置検出部は、検出処理開始から1ビット区間毎の最大相関値を検出し、最大値が更新される毎にカウンタ値を内部のメモリに格納する処理を行い、
最大ピーク位置比較部は、検出処理開始から2ビット区間分の最大値の検出が完了してから、区間毎に2ビットの区間における最大相関値のカウンタ値を比較し、比較結果をシンボル同期信号生成部に出力し、
シンボル同期信号生成部は、前記比較結果が所定範囲内のズレであれば、相関ピークと判断し、相関ピーク検出信号を送出することを特徴とする請求項2記載の信号処理部。 - シンボル同期信号生成部は、3ビット連続で比較結果が所定範囲内のズレであれば、相関ピークと判断することを特徴とする請求項3記載の信号処理部。
- 1ビット区間最大ピーク位置検出部は、相関ピーク検出をしたときのカウンタ値をクロック位相エラー検出の基準値として保持し、
最大ピーク位置比較部は、その後に検出した最大ピーク位置のカウンタ値が、前記保持した基準値の前後特定数の値以内であれば、前記最大ピーク位置のカウンタと前記基準値とを比較し、
シンボル同期信号生成部は、前記最大ピーク位置のカウンタ値と前記基準値とが違う値となった場合は、その差分値をクロック位相エラー値とするシンボル位相ズレ検出信号として、制御部へ送出し、
前記制御部は、前記クロック位相エラー値とするシンボル位相ズレ検出信号に応じて、処理クロックの位相調整処理を行うことを特徴とする請求項3又は4記載の信号処理部。 - 請求項1乃至5のいずれか記載の信号処理部を備えることを特徴とする無線機。
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