JP4223524B2 - ラケット用ストリング及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、バドミントン、テニス、スカッシュ等のラケット用合成ストリング(ガットともいう)であって、細くても高強力で耐久性があり、打球感の良好なラケット用ストリング及びその製造方法に関するものである。
従来、バドミントン、テニス、スカッシュ等のラケット用合成ストリングとして、芯糸としてのモノフィラメントやマルチフィラメントの周囲に、皮糸としてのモノフィラメント(通常は、断面が円形の円形糸)を編組したり巻き付けたりしたストリングが多く用いられている。
例えば、バドミントン用ストリングでは、芯糸としてのマルチフィラメントに皮糸としてのモノフィラメントを編組したストリングが一般的に使用されている。
特開平2−280777号公報には、使用時の耐久性を高めることを目的として、芯糸の外周に接着剤を介して、長径が短径の1.5倍以上ある偏平糸が巻き付けられたラケット用ガットが開示されている。しかしながら、偏平糸を用いると、通常の断面円形の円形糸を用いた場合に比べガット表面の凹凸が少なくなるため、シャトルやボールとの適度な摩擦が得られず、打球感に劣る。
特開2005−304678号公報には、ポリアミドマルチフィラメント芯糸を共重合熱可塑性樹脂溶液で表面コーティングし、芯糸に皮糸を編組み又は巻き付けする方法が開示されている。しかしながら、皮糸が樹脂溶液の溶剤で一部溶解するため強力低下は避けられない。
また、ストリングにおいて熱融着によって繊維を収束固着させることについて、特開昭58−118776号公報に、マルチフィラメント糸を合糸したのち撚りをかけ、さらに非接触状態で加熱することにより単糸間を熱融着させる方法が開示されている。しかしながら、ストリングの実用的な耐久性という点ではマルチフィラメントを融着させるだけでは不十分である。
一方、異形断面繊維として、種々のものが知られている。
実開平5−81280号公報には、合成樹脂製の偏平糸の幅Lが少なくとも二本以上の偏平モノフィラメントが連結した構造をもち、その厚みDが0.05〜0.20mm、さらに連結部の厚みAが0.02mm以上でかつ厚みの差D−Aが0.03mm以上であることを特徴とする屋外人工芝生用パイル糸が開示されている。
特開平8−60425号公報には、熱可塑性重合体からなる合成繊維であって、単糸の横断面において、偏平基部の長手方向に略半円形状の突起部が対称に付与された凸部を1〜3個有しており、偏平基部の長手方向の長さ(長軸)と、略半円形状の突起部の頂点から向かい合う突起部の頂点までの長さ(短軸)との比が4/1〜2/1であり、かつ単糸繊度が2〜10d、強度が7g/d以上であるエアーバッグ用繊維が開示されている。
特開平9−111532号公報には、熱可塑性重合体よりなる偏平度が3〜10の偏平糸であって幅方向表裏両面に糸の長手方向に連続した溝が各々5〜15本形成されており、該溝の深さが偏平糸厚みの3〜11%であることを特徴とする人工芝生用原糸が開示されている。
特開2002−293209号公報には、合成繊維マルチフィラメントからなるエアバッグ用繊維であって、前記合成繊維マルチフィラメントを構成する単糸の単糸繊度が2〜7dtex、単糸断面形状が最大長軸長aと最大短軸長bの比a/bで表される扁平率を1.5〜8とした長方形断面であり、且つ単糸の最大短軸長bと最小短軸長cから式c/b×100で表される長軸方向の表面凹凸率が80〜100%であるエアバッグ用繊維が開示されている。
特開平2−280777号公報 特開2005−304678号公報 特開昭58−118776号公報 実開平5−81280号公報 特開平8−60425号公報 特開平9−111532号公報 特開2002−293209号公報
上記芯糸の周囲に皮糸を編組するタイプのラケット用ストリングに関し、より細くて耐久性があり、打球感の良好なストリングの開発が要望されている。
より細いストリングを得るには、芯糸を細くするか、皮糸となるフィラメントを細くするか、あるいは両者を共に細くすることになる。芯糸がマルチフィラメントである場合、例えば、マルチフィラメントを構成するフィラメントの本数を減らして芯糸を細くする。
いずれの場合にも繊維(樹脂)の使用量が減少するので、ストリングの強力も減少して、それにともない耐久性が低下することは避けられない。特に、強力への寄与が大きい芯糸を細くすると強力低下が大きくなる。
しかしながら、皮糸となるモノフィラメントを細くすることについても以下のような問題点がある。
まず、細いモノフィラメントの製造は従来のモノフィラメント紡糸機では経済的、技術的に問題が多い。すなわち、細い糸を得ようとすると材料の吐出量が少なくなり生産性が落ちると共に、紡糸機内での材料の滞留時間が長くなるため材料の熱分解や加水分解が起きやすく、得られる糸の物性面、むらの面で問題が多い。
また、皮糸として細いモノフィラメントを用いて従来の製紐機で芯糸の周面を被覆する場合、芯糸の周面全体を被覆するためには、組糸として使用する糸の本数を増やす必要がある。具体的には、従来、直径0.06mmのモノフィラメントを3本合糸して供給していたものが、直径0.05mm又はそれ以下の細いモノフィラメントの場合には、3本では隙間を生じるため4本以上合糸して供給する必要がある。合糸する本数を増やした場合、被覆層において、必ずしも各フィラメントは薄く一列に並ばず、タルミを生じたり集束して重なる場合が多い。このように、細い糸を多数本合糸して製紐する場合、厚みの薄い組み構造の被覆層を安定して得ることには問題がある。また、モノフィラメントを撚って供給すると被覆層の厚みが増し、結果として細いストリングが得られない。
本発明の目的は、細くても高い強力と耐久性及び良好な打球感を得ることのできるラケット用ストリング及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは上記問題について検討した結果、皮糸として用いられるフィラメントの断面形状を、2〜6個の略円形及び/又は略楕円形が線状に連結した異形断面形状とすることにより、細くても高強力で耐久性があり、打球感の良好なラケット用ストリングが得られることを見出した。また、皮糸として編組されたフィラメントをフィラメント同士の接触部において融着させ、且つ、皮糸として編組されたフィラメントと芯糸とをフィラメントと芯糸との接触部において融着させることにより、より緻密で耐久性のあるストリングが得られることを見出した。
本発明には、以下の発明が含まれる。
(1) 芯糸の周囲に皮糸が編組されているラケット用ストリングであって、
前記皮糸として用いられるフィラメントが、断面形状が、2〜6個の略円形及び/又は略楕円形が線状に連結した異形断面形状であり、前記断面形状において、各略円形及び/又は略楕円形の中心を結ぶ軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最大値をD(mm)、略円形及び/又は略楕円形の連結部における前記軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最小値をd(mm)、前記軸線方向のフィラメントの長さをL(mm)とした場合に、下記式
D=0.02〜0.08(mm)
d≧0.01(mm)
d/D=0.2〜0.7
L=0.06〜0.4(mm)
を満足するフィラメントである、ラケット用ストリング。
(2) 前記皮糸として用いられるフィラメントの強度が、4.5CN/dtex〜10CN/dtexである、上記(1)に記載のラケット用ストリング。
(3) 前記皮糸として編組されているフィラメントがフィラメント同士の接触部において融着しており、且つ、前記皮糸として編組されているフィラメントと芯糸とがフィラメントと芯糸との接触部において融着している、上記(1)又は(2)に記載のラケット用ストリング。
(4) 芯糸の融点M(℃)と皮糸としてのフィラメントの融点m(℃)との関係がM≧mである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のラケット用ストリング。
(5) 芯糸と皮糸とが共にポリアミド系樹脂からなる、上記()〜(4)のうちのいずれかに記載のラケット用ストリング。
(6) 表面がさらに樹脂層で被覆されている、上記()〜(5)のうちのいずれかに記載のラケット用ストリング。
(7) 芯糸の周囲に、皮糸を組する工程(A)を含む、上記(1)に記載のラケット用ストリングの製造方法。
(8) 芯糸の融点M(℃)と皮糸としてのフィラメントの融点m(℃)との関係がM≧mである、上記(7)に記載のラケット用ストリングの製造方法。
(9) 工程(A)で得られたストリングを融点m±10℃で熱処理し、前記皮糸として編組されているフィラメントをフィラメント同士の接触部において融着させ、前記皮糸として編組されているフィラメントと芯糸とをフィラメントと芯糸との接触部において融着させる工程(B)を含む、上記(8)に記載のラケット用ストリングの製造方法。
(10) 上記(7)〜(9)のうちのいずれかに記載の方法で製造されたラケット用ストリング。
本発明によれば、皮糸として用いられるフィラメントの断面形状を、2〜6個の略円形及び/又は略楕円形が線状に連結した異形断面形状とすることにより、細くても高強力で耐久性があり、打球感の良好なラケット用ストリングが得られる。また、皮糸として編組されたフィラメントをフィラメント同士の接触部において融着させ、且つ、皮糸として編組されたフィラメントと芯糸とをフィラメントと芯糸との接触部において融着させることにより、より緻密で耐久性のあるストリングが得られる。
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明のラケットストリングに用いる皮糸用モノフィラメントについて説明する。
前記フィラメントは、断面(フィラメントの長手方向に対する垂直断面)形状が2〜6個の略円形(真円を含む)及び/又は略楕円形(楕円形を含む)が線状に連結した異形断面形状であり、前記断面形状において、各略円形及び/又は略楕円形の中心を結ぶ軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最大値をD(mm)とし、略円形及び/又は略楕円形の連結部における前記軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最小値をd(mm)とし、前記軸線方向のフィラメントの長さをL(mm)とした場合に、下記式を満足するラケットストリング用フィラメントである。
D=0.02〜0.08(mm)
d≧0.01(mm)
d/D=0.2〜0.7
L=0.06〜0.4(mm)
円が連結した断面形状を有しているため、このモノフィラメントはいわゆる偏平糸であり、その表面には凹凸が存在する。
略円形及び/又は略楕円形の連結数は2〜6個、好ましくは3〜5個である。連結する円が7個以上であると、フィラメント表面の凹凸が緩やかになり、ストリングの皮糸として用いた場合にストリング表面の凹凸効果(すなわち、後述する好打球感)が小さくなる。
同じ大きさと形とを有する略円形のみが連結していてもよく、多少大きさや形の異なる略円形同士が連結していてもよい。また、略円形と略楕円形とが連結していてもよい。
連結部は、隣り合う円同士が重なり合って形成される部分であってもよく、また、互いに重なり合わない円同士を繋ぐ所定の厚み(前記軸線に対して垂直方向の長さ)及び長さ(前記軸線方向の長さ)を有する部分であってもよい。
Dは、前記断面形状における各略円形及び/又は略楕円形の中心を結ぶ軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最大値であり、0.02〜0.08mm、好ましくは0.03〜0.06mmである。0.02mm未満の場合、フィラメント自体の厚みが薄いためストリングの皮糸として用いた場合にストリングが充分な耐久性を得られず、また、フィラメント表面の凹凸が緩やかとなりストリングの皮糸として用いた場合にストリング表面の凹凸効果(すなわち、後述する好打球感)が小さくなる。0.08mmを超える場合、特に組み構造のストリングの皮糸として用いた場合に交差部の厚みが大きくなって緻密な構造が得られにくくなり、ストリングの太さに対し物性が低くなる。
dは、前記断面形状における、略円形及び/又は略楕円形の連結部における前記軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最小値であり、0.01mm以上の厚みが必要である。0.01mm未満の場合、連結部の厚みが不十分で、フィラメントが比較的容易に分離するため、ストリングの皮糸として用いた場合に毛羽立ちの原因となる。
d/Dは0.2〜0.7である。0.2未満の場合、フィラメントが分離しやすく、0.7を超える場合、フィラメント表面の凹凸が緩やかとなり、ストリングの皮糸として用いた場合にストリング表面の凹凸効果(すなわち、後述する好打球感)が小さくなる。
Lは、前記軸線方向のフィラメントの長さであり、言い換えれば、偏平糸の幅(長径)である。Lは、0.06〜0.4mmである。0.06mm未満の場合、フィラメント表面に充分な凹凸が得られず、ストリングの皮糸として用いた場合にストリング表面の凹凸効果(すなわち、後述する好打球感)が小さくなる。0.4mmを超える場合、偏平度が大きくなって、工程通過性や、操作性で問題が生じやすい。
図1は、本発明のラケット用ストリングに用いる皮糸用フィラメントの一例を示す断面図である。図1において、フィラメント(1)の断面形状は同じ大きさの4個の円形が直線状に連結した異形断面形状である(以下、円形が重なるタイプと称する)。各円形の中心を結ぶ軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最大値Dは、各円の直径に等しい。連結部は隣り合う円同士が重なり合って形成される部分であり、連結部における前記軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最小値dは、3つの連結部において等しい。
図2は、本発明のラケット用ストリングに用いる皮糸用フィラメントの他の一例を示す断面図である。図2において、フィラメント(2)の断面形状は同じ大きさの3個の円形がそれぞれ重ならずに、所定の厚み(前記軸線に対して垂直方向の長さ)及び長さ(前記軸線方向の長さ)を有する連結部を介して直線状に繋がっている(以下、円形が重ならないタイプと称する)。Dは、各円の直径に等しい。dは、2つの連結部において等しい。
図3は、本発明のラケット用ストリングに用いる皮糸用フィラメントの他の一例を示す断面図である。図3において、フィラメント(3)の断面形状は2個の楕円形と1個の円形が、両端に楕円形が位置するように直線状に連結した異形断面形状である。Dは、真ん中に位置する円の直径である。連結部は隣り合う円同士が重なり合って形成される部分であり、dは2つの連結部において等しい。
上述のように、略円形及び/又は略楕円形が線状に連結した異形断面形状を有するモノフィラメントは、各図において上下両面に凹凸を有する偏平糸である。
また、前記フィラメントの太さをデジテックス(dtex)で表すと、約7〜200dtexであることが好ましい。
前記異形断面形状を有するモノフィラメントは上述のように表面に適度な凹凸を有している。このフィラメントがストリングの皮糸として用いられた場合、フィラメント表面の凹部によって、芯糸との接触部において微細な間隙が生じ、その結果ストリングは柔軟性を獲得する。また、このフィラメントを芯糸に編組することによって得られたストリングの表面は、適度な凹凸を有するため、シャトルやボールとの適度な摩擦が得られる。このように、柔軟性を有し、シャトル等との適度な摩擦を得ることのできるストリングは、打球感に非常に優れる。従って、前記フィラメントを用いることによって、打球感の良好なストリングを得ることができる。
また、前記異形断面形状を有する偏平フィラメントによって、上述したような皮糸として用いられるフィラメントを細くすることに対する従来のフィラメント製造上の問題及びストリング製造上の問題が一挙に解決される。詳細については後述する。
前記フィラメントの樹脂は特に限定されないが、好ましくは、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン610、ナイロン612、ナイロンMXD6等のポリアミド系樹脂、ナイロン6/66、ナイロン6/12等の共重合ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)等の芳香族ポリエステル系樹脂やこれらを主成分とする共重合ポリエステル系樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解ポリエステルとして知られる脂肪族ポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や共重合ポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
これらの中で、特にポリアミド系樹脂が好ましい。
また、フィラメントの樹脂の分子量は高いものが、強力が高く且つ熱処理時の強力変化も小さくできるので好ましい。具体的には、樹脂の相対粘度(ηr)は3.0以上が好ましい。
ィラメントの樹脂には、必要に応じて、染顔料、耐熱剤、耐光剤、平滑剤、柔軟剤等の添加剤や改質剤を添加することができる。また、他の樹脂をブレンドすることもできる。
前記フィラメントの製造方法は特に限定されるものではないが、通常のフィラメント紡糸機を用いて、紡糸口金孔の形状を所望のフィラメント断面形状が得られるように用いるフィラメントの材料の物性等を考慮して設計することにより得ることができる。
紡糸の条件については使用する樹脂の一般的な押出し条件を適用することができる。樹脂の種類にもよるが、通常、温度は、200〜290℃である。
図4は、口金の孔の形状例を示す平面模式図である。
図4(a)に示される口金(4)の孔(5)の形状は、同じ大きさの4つの円形の孔5a、5b、5c、5dが所定の厚み(円形の中心を結ぶ軸線に対して垂直方向の長さ)及び長さ(前記軸線方向の長さ)を有する連通孔5e、5f、5gを介して線状に繋がった形状である。図4(a)の口金(4)を用いて、通常のフィラメント紡糸機でフィラメントを製造する場合、用いるフィラメントの材料に応じて紡糸条件を適宜設定することによって、図1に示すフィラメント(1)(円形が重なるタイプ)や、図示していない円形が重ならないタイプのフィラメントを得ることができる。
図4(b)に示される口金(6)の孔(7)の形状は、同じ大きさの4つの円形の孔7a、7b、7c、7dが直線状に並んだ形状(いわゆる4ホール口金)である。図4(b)の口金(6)を用いて、紡糸条件を適宜設定し紡出後融着させることによって、図1に示すフィラメント(1)(円形が重なるタイプ)を得ることができる。
以下、モノフィラメント紡糸機で製造する場合について述べる。
紡糸機のノズル(口金)から押し出された溶融樹脂は、水等の液体中で冷却固化された後、常法通り延伸、熱処理され、巻き取られてフィラメントとなる。冷却及び延伸条件は、樹脂種類により適正な条件を選定する。樹脂の種類にもよるが、冷却温度は通常10〜70℃であり、延伸温度はガラス転移点以上融点以下である。延伸処理において、通常湿熱及び/又は乾熱中で3〜8倍程度まで延伸される。さらに必要に応じ定長又は弛緩熱処理を行い巻き取る。
得られるフィラメントの物性は、口金設計と紡糸条件を適正化することで丸断面のフィラメントを紡糸する場合とほぼ同等の強度を得ることができる。
ィラメントの好ましい強度は4.5CN/dtex〜10CN/dtex、伸度は25%〜40%程度である。
上記異形断面形状を有する偏平フィラメントによって、上述したような、皮糸として用いられるフィラメントを細くすることに対する従来のフィラメントの製造上の問題が解決される。すなわち、通常の断面が円形のフィラメント(以下、円形フィラメントと称する)を細くする場合の、フィラメントの製造上の問題を解決する。紡糸機には適正範囲の吐出量があり、細い円形フィラメントを製造する場合、吐出量を確保するため口金ホール数を増やして対応するが、紡糸設備の糸走行本数には限界がある。また、口金のサイズや作業性等からも本数には限界がある。一方、吐出量が少なくなると紡糸機内での材料の滞留時間が長くなり材料の熱分解や加水分解が起きるため、品質的にも繊度むらや糸切れを生じやすくなる。一般的には0.06mm以下の細い糸を効率よく製造するのは難しいとされている。しかしながら、本発明のフィラメントであれば0.06mm相当あるいはそれ以下の細い円形フィラメント2〜6本分を連結した形状のものを1本のフィラメントとして製造できるので、走行本数が減り、吐出量も上げられる。従って、フィラメントを効率よく製造することが可能となる。
次に、ラケット用ストリングについて説明する。
本発明のラケット用ストリングは、芯糸に、皮糸として上記異形断面形状を有するフィラメントが編組されたものである。
芯糸について特に限定はないが、モノフィラメント、マルチフィラメントあるいはこれらの組み合わせのいずれも用いることができる。マルチフィラメントを含有する場合20〜300回/m程度の撚り掛けした糸が好ましく、また、主として集束性を付与するため必要に応じ樹脂加工した芯糸を使用することができる。
組は、公知の編組機(例えば、16打ち)を用いて行うとよい。
本発明において、皮糸として編組されているフィラメントがフィラメント同士の接触部において融着しており、且つ、皮糸として編組されているフィラメントと芯糸とがフィラメントと芯糸との接触部において融着していることが好ましい。融着とは、熱によって溶融した皮糸としてのフィラメント同士、あるいは溶融した皮糸としてのフィラメントと溶融した芯糸とが互いに接着して硬化した状態をいう。
芯糸の融点M(℃)と皮糸としてのフィラメントの融点m(℃)との関係はM≧mであることが好ましい。M−m=0〜70(℃)であることが好ましく、さらにM−m=0〜50(℃)であることがより好ましい。
すなわち、皮糸としてのフィラメントの融点は、芯糸素材の融点と同等か低融点であるのが好ましい。好ましい融点差は0〜70℃、さらに好ましい融点差は0〜50℃である。
芯糸の樹脂は特に制限されないが、皮糸用フィラメントの樹脂として上述したものを好ましく用いることができる。
芯糸の融点M(℃)は、用いられる樹脂によっても異なるが、好ましくは200℃〜280℃の範囲である。皮糸としてのフィラメントの融点m(℃)は、用いられる樹脂によっても異なるが、好ましくは150℃〜280℃の範囲である。なお、ここでいう芯糸の融点は、皮糸と接触する部分の融点を意味する。例えば、芯糸として芯鞘あるいは海島モノフィラメントを使用する場合には、鞘成分あるいは海成分の融点を意味し、芯成分や島成分の融点は皮糸フィラメントの融点mよりも70℃以上高くても良い。
皮糸としてのフィラメントと芯糸とは同系統の樹脂素材が好ましい。特に、芯糸と皮糸とが共にポリアミド系樹脂からなることが好ましい。例えば、芯糸としての繊維素材がナイロン6の場合、皮糸としてのフィラメント素材には、ナイロン6、ナイロン6/66、ナイロン6/12等の共重合ポリアミド系樹脂が特に好ましく用いられる。
このような素材を用いることにより、後述する熱処理工程(ストリングの製造方法における工程(B))の後、皮糸として編組されているフィラメントが相互に及び/又は芯糸と融着しているストリングが得られる。熱融着により、皮糸と皮糸、芯糸と皮糸とが強固に接着するので、後加工なしで毛羽立ちしにくく耐久性の高いストリングが得られる。
上記ストリングは、表面がさらに樹脂層で被覆されていてもよい。
さらに本発明のストリングには、必要に応じ、染色、印字、油剤付与等ラケット用ストリングの製造に必要な加工を行うことができる。
さらに、本発明のラケット用ストリングの製造方法について説明する。
本発明のストリングの製造方法は、芯糸の周囲に皮糸として上記異形断面を有するフィラメントを編組する工程(A)を含む方法である。芯糸の融点M(℃)と皮糸としてのフィラメントの融点m(℃)との関係は、M≧mであることが好ましい。さらに、M−m=0〜70(℃)であることが好ましく、M−m=0〜50(℃)であることがより好ましい。さらに、工程(A)で得られたストリングを融点m±10℃で熱処理し、皮糸として編組されているフィラメントをフィラメント同士の接触部において融着させ、皮糸として編組されているフィラメントと芯糸とをフィラメントと芯糸との接触部において融着させる工程(B)を含む方法である。
工程(A)において、芯糸、及び、皮糸としてのフィラメントは上述したものを用いることができる。皮糸としてのフィラメントを編組する条件については特に制限されず、公知の編組機を用いて行うとよい。
バトミントンのストリングで一般的な16打ち組みタイプの製紐機を用いる場合、組み糸には、上記異形断面を有するフィラメントを一本ずつ供給するようにするのが合理的である。
形断面を有する偏平フィラメントを用いることにより、従来の皮糸として用いられるフィラメントを細くすることに対するストリングの製造上の問題が解決される。通常の細い円形フィラメントで芯糸の周面全体を被覆する場合には、組糸として使用する糸の本数を増やす必要がある。細い糸を多数本合糸して製紐する場合、被覆層において必ずしも各フィラメントは薄く一列に並ばず、タルミを生じたり集束して重なる場合が多かった。しかしながら、前記フィラメントは、隣接した細い円形フィラメントが最初から一体化した形状であるため、厚みの薄い組み構造の被覆層を安定して得ることができる。
工程(B)において、熱処理は皮糸としてのフィラメントの融点近傍、具体的には、融点m±10℃で行われる。熱処理は皮糸フィラメントを完全に溶融させるのではなく、表面のみ融解させ皮糸フィラメントの強伸度はできるだけ低下させないようにすることが好ましい。
さらに張力下で熱処理することが好ましい。緊張下で熱処理することにより、ストリングの構造が締まりストリング内の空隙が少なくなるため、ストリング全体を一体化する効果が発揮できる。
具体的な熱処理の条件(温度、時間、引張り度合い)については、皮糸フィラメント素材、芯糸素材、熱処理装置、加工速度等にもよるが、好ましくは非接触加熱であって、温度は前述の通り融点m±10℃程度、時間は3〜300秒、引張り度合いとして延伸倍率は0.95〜1.08倍程度が好ましいが、条件で決まるのではなく、効果として十分な融着と強伸度の向上が得られる条件を適宜選定する。条件が不適切であると、融着不足、あるいは、過度の融着・溶融で強力低下を招く。延伸倍率が低く張力が不足すると融着が不十分となり、緻密度も上がらない。一方延伸倍率が高すぎると得られるストリングの伸度が低くなり、角切れを生じやすく、球の飛びも悪くなる。好ましい伸度は65%RH条件で23%〜35%程度である。
このような熱処理により皮糸フィラメント同士の交差部や接触部、及び、皮糸フィラメントと芯糸との接触部が融着接着する。従って、接着剤等の樹脂加工をしなくても十分な接着性、耐毛羽立ち性を得ることができる。また、緊張下で熱処理すると空隙が少ない緻密な構造となり、ストリングの太さに対し繊維の比率が高くなる。結果として熱処理条件を適切に選べば、処理前のストリングの強伸度に対し仕上がりを細くできると共に、強力と伸度が共に向上する。これはストリングが一体化することにより、伸張時(打球時)に均一に応力がかかるためと推定される。
また、皮糸フィラメント同士、及び、皮糸フィラメントと芯糸との熱融着により、ストリングにおいて通常実施している表面樹脂加工やコーティング等の表面樹脂被覆を行わなくても十分な実用耐久性を有するストリングが得られる。従って、樹脂加工やコーティングを行う場合に比べ、より細いストリングを得ることができる。さらに、皮糸としてのフィラメントの表面の凹凸が保持されたストリングを得ることができる。
もちろん、本発明において必要に応じて樹脂被覆を行うことを妨げるものではない。樹脂被覆方法としては、樹脂溶剤溶液や樹脂エマルジョンを使用したいわゆる樹脂加工方法、溶融コーティング法による樹脂被覆が可能であり、薄い被膜で十分な効果が得られる。
上述のような方法によって得られたストリングは、皮糸として編組されたフィラメントがフィラメント同士の接触部において融着しており、且つ、皮糸として編組されたフィラメントと芯糸とがフィラメントと芯糸との接触部において融着している。よって、より緻密な構造を有しており、結果として細くても耐久性のあるストリングが得られる。
以下、実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
芯糸として下記に示す芯糸Aを用い、皮糸として下記に示すフィラメントIを用いてラケット用ストリングの製造を行った。
芯糸A:東レ(株)製 ナイロン6マルチフィラメント(1400デジテックス(T)−204フィラメント(F)−タイプ(T)781,融点215℃)を2本撚糸した樹脂加工品。
この際の樹脂加工は、共重合ナイロン(東レ(株)製、CM8000、融点128℃)の10wt%メタノール溶液を芯糸にコーティングすることにより行った。
フィラメントI:ナイロン6/66共重合樹脂(三菱エンプラ(株)製、ノバミド2030、融点200℃)を用い、255〜270℃の紡糸温度で、図4(a)に示す口金(4)を用いてフィラメントを紡糸した。紡糸機として、モノフィラメント紡糸機(水冷方式、ヨコ型)を用いた。押し出された糸を25℃の水中で冷却し、引き続き98℃のスチーム中で3.8倍に、次いで180℃の乾熱延伸でトータル5.5倍に延伸した後、6%のリラックス率で弛緩熱処理(175℃)して巻き取った。
得られたフィラメントIの断面形状は図1に示す形状であり、D=0.042mm、d=0.02mm、L=0.16mm、d/D=0.48、太さ 66dtexであった。また、フィラメントIの強力は4.7N、伸度は32.5%、強度は7.1CN/dtexであった。
(工程A)
芯糸Aの周囲に、皮糸としてフィラメントIを、16打ち製紐機を用いて編組し、製紐後のストリングを得た。
(工程B)
次に、製紐後のストリングに、製紐後の加工として熱処理を行った。熱処理として200℃の温度雰囲気中で非接触加熱を行い、10m/分の速度で20秒処理して巻き取り、熱処理加工後のストリングを得た。巻き取り側速度は10.1m/分、延伸倍率は1.01倍であった。
<実施例2>
芯糸として下記に示す芯糸Bを用い、皮糸として実施例1と同じフィラメントIを用いてラケット用ストリングの製造を行った。
芯糸B:東レ(株)製 ナイロン6マルチフィラメント(930T−140F−T781,融点215℃)と、東レ(株)製 ナイロン6マルチフィラメント(1400T−204F−T781,融点215℃)とを1本ずつで撚糸した樹脂加工品。
この際の樹脂加工は、上記芯糸Aの樹脂加工法と同じ方法で行った。すなわち、共重合ナイロン(東レ(株)製、CM8000、融点128℃)の10wt%メタノール溶液を芯糸にコーティングすることにより行った。
芯糸として芯糸Bを用いた以外は実施例1と同じ条件で工程Aを行い、製紐後のストリングを得た。さらに、実施例1と同じ条件で工程Bを行い、熱処理加工後のストリングを得た。
<実施例3>
芯糸として下記に示す芯糸Cを用い、皮糸として実施例1と同じフィラメントIを用いてラケット用ストリングの製造を行った。
芯糸C:東レ(株)製 ナイロン6マルチフィラメント(2100T−306F−T781,融点215℃)を1本で撚糸した樹脂加工品。
この際の樹脂加工は、上記芯糸Aの樹脂加工法と同じ方法で行った。すなわち、共重合ナイロン(東レ(株)製、CM8000、融点128℃)の10wt%メタノール溶液を芯糸にコーティングすることにより行った。
芯糸として芯糸Cを用いた以外は実施例1と同じ条件で工程Aを行い、製紐後のストリングを得た。さらに、実施例1と同じ条件で工程Bを行い、熱処理加工後のストリングを得た。
実施例1〜3で得られた製紐後のストリングの表面を顕微鏡観察すると、いずれにおいても皮糸フィラメントは整然と配列しておりねじれ部分は認められなかった。得られた熱処理加工後のストリングは、それぞれ皮糸と皮糸との接触部、皮と芯部との接触部が融着しており、腰折れもなかった。
実施例1〜3の製紐後のストリングの物性及び熱処理加工後のストリングの物性をそれぞれ表1に示す。いずれにおいても、熱処理加工後のストリングの強力及び伸度は熱処理融着により製紐後のストリングより高くなっていた。
また、実施例1〜3で得られた熱処理加工後のストリングにシリコーン系油剤を付与した後、バドミントンラケットに25ポンドで張り上げた。いずれも問題なく張り上げ可能であった。
<比較例1>
芯糸として実施例1と同じ芯糸Aを用い、皮糸として下記に示すフィラメントIIを用いてラケット用ストリングの製造を行った。
フィラメントII:断面が円形で太さが0.043mmの市販のN66フィラメント(東レ(株)製、17T−1−3290、強力 100CN、伸度 38%)を4本合糸したフィラメント。
なお、実施例1で用いたのと同じモノフィラメント紡糸機で0.043mm直径の円形フィラメントの紡糸を試みたが、吐出量が少なくなり、繊度むらや糸切れのため安定紡糸ができなかった。比較例に使用した市販フィラメントはマルチフィラメント紡糸機で製造されているものである。
芯糸Aの周囲に、皮糸としてフィラメントIIを、実施例1と同じ16打ち製紐機を用いて編組し、製紐後のストリングを得た。
製紐後のストリングに、製紐後の加工として樹脂加工を行い、樹脂加工後のストリングを得た。樹脂加工については特開2005−304678号公報に開示されている方法に準じた。すなわち、ナイロン66コーティング剤(ナイロン66/フェノール/キシレン=15/65/20)をストリング表面に塗布し、加熱乾燥する工程を2回繰り返した。
<比較例2>
芯糸として実施例2と同じ芯糸Bを用い、皮糸として比較例1と同じフィラメントIIを用いてラケット用ストリングの製造を行った。
芯糸として芯糸Bを用いた以外は比較例1と同じ方法で、製紐後のストリングと樹脂加工後のストリングをそれぞれ得た。
<比較例3>
芯糸として実施例3と同じ芯糸Cを用い、皮糸として比較例1と同じフィラメントIIを用いてラケット用ストリングの製造を行った。
芯糸として芯糸Cを用いた以外は比較例1と同じ方法で、製紐後のストリングと樹脂加工後のストリングをそれぞれ得た。
比較例1〜3で得られた各製紐後のストリングの表面を顕微鏡観察すると、いずれにおいても組み糸は必ずしも平面的に4本配列されず重なった状態で組まれている部分がかなり認められた。
比較例1〜3の製紐後のストリング及び樹脂加工後のストリングの物性をそれぞれ表1に示す。いずれにおいても、樹脂加工に使用している溶剤のフェノールはフィラメントも溶解させるため、樹脂加工後のストリングの強力は製紐後のストリングの強力に比べやや低下する傾向が見られた。また、直径も同じ芯糸を用いた実施例に比べ、いずれもやや太目であった。
また、比較例1〜3で得られた各樹脂加工後のストリングに、上記シリコーン系油剤を付与した後、バドミントンラケットに25ポンドで張り上げた。
<試打評価>
バドミントン上級プレーヤー3名で、実施例及び比較例で得られたストリングから得られた上述の各バドミントンラケットを用いて試打評価した。比較例3の細ゲージストリングを用いたものはテスト中、早期にストリングが切断し、耐久性不足であった。
芯糸が同じストリング(例えば、実施例1で得られたストリングと比較例1で得られたストリング)を用いたラケット同士を比較すると、反発、打球音とも実施例で得られたストリングを用いたラケットの方が良いとの評価であった。特に実施例で得られたストリングを用いたラケットは球離れがよくシャープ感があるとの評価であり、耐久性についても比較例で得られたストリングを用いたものに比べ同等以上との評価であった。
<実施例4>
芯糸として下記に示す芯糸Dを用い、皮糸として下記に示すフィラメントIIIを用いてラケット用ストリングの製造を行った。
芯糸D:直径0.46mmのナイロン6モノフィラメント(ナイロン6樹脂、三菱エンプラ(株)製ノバミド1020を紡糸したもの)。
フィラメントIII:ナイロン6/66共重合樹脂(三菱エンプラ(株)製、ノバミド2430、融点192℃)を用い、紡糸口金として、同じ大きさの3つの円形が所定の厚み及び長さを有する連通孔を介して線状に繋がった形状の口金孔を有する口金を用いて、255〜270℃の紡糸温度でフィラメントを紡糸した。紡糸機として、実施例1で用いたのと同じモノフィラメント紡糸機を用いた。押出された糸を25℃の水中で冷却し、引き続き98℃のスチーム中で3.8倍に、次いで170℃の乾熱延伸でトータル5.6倍に延伸した後、7%のリラックス率で弛緩熱処理して巻き取った。
得られたフィラメントIIIの断面形状は図2に示す形状であった(D=0.05mm、d=0.02mm、L=0.17mm、d/D=0.4、太さ 72dtex)。フィラメントIIIの強力は5.3N、伸度は33.8%、強度は7.4CN/dtexであった。
(工程A)
芯糸Dの周囲に、皮糸としてフィラメントIIIを、実施例1と同じ16打ち製紐機を用いて編組し、製紐後のストリングを得た。
(工程B)
次に、製紐後のストリングに、製紐後の加工として熱処理を行った。熱処理として190℃の温度雰囲気中で非接触加熱を行い、10m/分の速度で20秒処理して巻き取り、熱処理加工後のストリングを得た。巻き取り側速度は10.1m/分、延伸倍率は1.01倍であった。
得られた製紐後のストリングの表面を顕微鏡観察すると皮糸フィラメントは整然と配列しており、ねじれ部分は認められなかった。得られた熱処理加工後のストリングは、皮糸と皮糸との交差部、皮と芯部とが融着一体化しており、腰折れもなかった。
製紐後のストリングの物性及び熱処理加工後のストリングの物性をそれぞれ表1に示す。熱処理加工後のストリングの強力及び伸度は熱処理融着により製紐後のストリングより高くなっていた。
また、得られた熱処理加工後のストリングに、上記シリコーン系油剤を付与した後、バドミントンラケットに25ポンドで張り上げ、上述したのと同じ試打評価を行ったところ、反発、打球音は良好で耐久性も良好であった。
<実施例5>(参考例)
芯糸として下記に示す芯糸Eを用い、皮糸として実施例4と同じフィラメントIIIを用いてラケット用ストリングの製造を行った。
芯糸E:直径1.05mmのナイロン6モノフィラメント(東レ・モノフィラメント(株)製、160Y1.05WX)。
(工程A)
芯糸Eの周囲に、皮糸としてフィラメントIIIの17本を巻き付けて、製紐後のストリングを得た。
(工程B)
工程Aと連続して、製紐後の加工として熱処理を行った。熱処理として190℃の温度雰囲気中で非接触加熱を行い、30秒処理し融着させた。その後ポリウレタン15wt%溶液で表面樹脂加工し、熱処理・樹脂加工後のストリングを得た。
製紐後のストリング及び熱処理・樹脂加工後のストリングの物性を表1に示す。このストリングは、皮糸による比較的微細な表面凹凸と表面のウレタンタッチによって、テニス、ソフトテニス用として良好な打ち味を示すものであった。
Figure 0004223524
本発明のラケット用ストリングに用いる皮糸用フィラメントの一例を示す断面図である。 本発明のラケット用ストリングに用いる皮糸用フィラメントの他の一例を示す断面図である。 本発明のラケット用ストリングに用いる皮糸用フィラメントの他の一例を示す断面図である。 口金の孔の形状例を示す平面模式図である。
符号の説明
1:フィラメント
2:フィラメント
3:フィラメント
4:口金
5:孔
5a:円形の孔
5b:円形の孔
5c:円形の孔
5d:円形の孔
5e:連通孔
5f:連通孔
5g:連通孔
6:口金
7:孔
7a:円形の孔
7b:円形の孔
7c:円形の孔
7d:円形の孔

Claims (10)

  1. 芯糸の周囲に皮糸が編組されているラケット用ストリングであって、
    前記皮糸として用いられるフィラメントが、断面形状が、2〜6個の略円形及び/又は略楕円形が線状に連結した異形断面形状であり、前記断面形状において、各略円形及び/又は略楕円形の中心を結ぶ軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最大値をD(mm)、略円形及び/又は略楕円形の連結部における前記軸線に対して垂直方向の厚みのうちの最小値をd(mm)、前記軸線方向のフィラメントの長さをL(mm)とした場合に、下記式:
    D=0.02〜0.08(mm)
    d≧0.01(mm)
    d/D=0.2〜0.7
    L=0.06〜0.4(mm)
    を満足するフィラメントである、ラケット用ストリング
  2. 前記皮糸として用いられるフィラメントの強度が、4.5CN/dtex〜10CN/dtexである、請求項1に記載のラケット用ストリング。
  3. 前記皮糸として編組されているフィラメントがフィラメント同士の接触部において融着しており、且つ、前記皮糸として編組されているフィラメントと芯糸とがフィラメントと芯糸との接触部において融着している、請求項1又は2に記載のラケット用ストリング。
  4. 芯糸の融点M(℃)と皮糸としてのフィラメントの融点m(℃)との関係がM≧mである、請求項1〜3のうちのいずれかに記載のラケット用ストリング。
  5. 芯糸と皮糸とが共にポリアミド系樹脂からなる、請求項〜4のうちのいずれかに記載のラケット用ストリング。
  6. 表面がさらに樹脂層で被覆されている、請求項〜5のうちのいずれかに記載のラケット用ストリング。
  7. 芯糸の周囲に、皮糸を組する工程(A)を含む、請求項1に記載のラケット用ストリングの製造方法。
  8. 芯糸の融点M(℃)と皮糸としてのフィラメントの融点m(℃)との関係がM≧mである、請求項7に記載のラケット用ストリングの製造方法。
  9. 工程(A)で得られたストリングを融点m±10℃で熱処理し、前記皮糸として編組されているフィラメントをフィラメント同士の接触部において融着させ、前記皮糸として編組されているフィラメントと芯糸とをフィラメントと芯糸との接触部において融着させる工程(B)を含む、請求項8に記載のラケット用ストリングの製造方法。
  10. 請求項7〜9のうちのいずれかに記載の方法で製造されたラケット用ストリング。
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