JP4223181B2 - 低層用柵構造体と接続用ブラケット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ガードレール、ガードパイプ、ガードケーブルなど、道路に沿って設置される道路用(路側用)防護柵に防音パネルを取り付けて成る低層用(市街地用)の柵構造体の技術分野に属し、更に云えば、新設の防護柵はもとより、既設の防護柵についても同様に実施できる防音パネル併用の低層用柵構造体と、防護柵の支柱へ防音パネルを取り付けるのに好適な接続用ブラケットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、道路用(路側用)防護柵は広く実施されているが、最近では環境の改善、保全の見地から、車輌防護柵機能に防音性能を併せ持つように、防護柵に防音パネルを併用することが要請されている。
【0003】
そうした目的で開発されたものとして、従来、特開平10−338913号公報に開示された「防音機能を有する防護柵」が公知である。この防護柵は、道路(路側)に沿い間隔をあけて立てられた支柱の上部の車輌通行側にガードレールのような車輌防護部材が水平方向に架設され、その下側であって防護部材と同じ車輌通行側の支柱間に防音パネルが取り付けられ、支柱の車輌通行側は防音パネルによって隠されていることが特徴である。車輌防護部材及び防音パネルはそれぞれ独立した手段によって支柱に取り付けられている。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】
上述のように、車輌の防護柵機能と道路騒音の防音機能を合せ持つ低層用(市街地用)柵構造体は既に公知である。
【0005】
しかし、従来公知の柵構造体は、車輌防護部材及び防音パネルがそれぞれ独立した手段によって支柱に取り付けられた構成であるから、支柱との取り合い構造が複雑で部品点数も多く、防音パネルの設置作業に時間とコストがかかる欠点が認められる。
【0006】
また、車輌防護部材と防音パネルが同じ車輌通行側に設置されるため、支柱の地上高さが800mmでも、防音パネルの高さは500mm程度に制限され、その分防音効果が低い欠点がある。しかも、車輌防護部材と防音パネルが同じ車輌通行側に設置されているが故に、車輌の衝突時には防護部材と防音パネルの双方が等しく破損されることになり易い。にもかかわらず防音パネルの使用に際して必須と考えられている飛散防止策(飛散防止ワイヤーの使用)については何ら顧慮されていないことが問題である。
【0007】
本発明の目的は、防音パネルの設置を、特別に工夫した簡単で軽便な構造の接続用ブラケットを使用することにより、新設時はもとよりのこと、既設の防護柵への併設も容易に行え、既製の防音パネルの使用も可能な、低層用柵構造体を提供することである。
【0008】
本発明の次の目的は、車輌防護材の背後側(歩道側)であって道路に沿って並ぶ支柱と支柱の間の部分に防音パネルが設置され、したがって、防音パネルは支柱の地上高さと同じ高さに設置でき、防音効果に優れるほか、車輌防護材が相当程度破損した上でないと防音パネルへの事故波及がなく、よって保守に有利である、低層用柵構造体を提供することである。
【0009】
本発明の目的は更に、防音パネルに必須の飛散防止ワイヤーの設置についても十分考慮した構成の低層用柵構造体を提供することである。
【0010】
本発明の異なる目的は、上記した低層用柵構造体を構築するのに至便であり、使用も容易な接続用ブラケットを提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明に係る低層用柵構造体は、
防護柵に防音パネルを取り付けて成る低層用柵構造体であって、
防護柵は、道路に沿って複数の支柱が間隔をあけて立てられ、同支柱の車輌通行側に車輌防護用のビーム材が取り付けられており、前記支柱と支柱の間に、防音パネルが、支柱の上部及び下部に取り付けたブラケットを介して接合し設置されていること、前記防音パネルは支柱とほぼ同じ高さであり、支柱の太さとほぼ同じかそれよりも小さい厚さ寸法であり、
前記防音パネルには、その両側端に、平面視がコ字形のリブが、その開口を前記支柱に向けて配置されており、
前記支柱の上部に同支柱をビーム材と直交する方向に貫通された貫通ボルトにビーム材取付け用継手部材が取り付けられ、同貫通ボルトに前記ビーム材取付け用継手部材とは支柱をは挟んで反対側の部位に上部用ブラケットが取り付けられていること、
前記上部用ブラケットは、湾曲された円弧状部と、同円弧状部の一方又は両方の端部を前記コ字形リブのフランジと同じ方向へ内向きに屈曲した平坦部とから成り、円弧状部の前記平坦部から最も遠い位置又は中央部位に前記貫通ボルトへ取り付けるためのボルト挿入部を備え、前記ボルト挿入部を取り付けた前記貫通ボルトで支柱と上部用ブラケットが接合され、前記上部用ブラケットの前記平坦部と防音パネルのコ字形リブとがボルト接合されていることを特徴とする。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載した低層用柵構造体において、
防護柵の端部支柱に防音パネルを取り付ける上部用ブラケットは、約1/4円の円弧状部と、同円弧状部の一端部をコ字形リブのフランジと同じ方向へ内向きに屈曲した平坦部とから成り、前記円弧状部の他端部に貫通ボルトへ取り付けるためのボルト挿入部を備え、前記ボルト挿入部を取り付けた前記貫通ボルトにて支柱とビーム材取付け用継手部材及び上部用ブラケットが接合されており、該上部用ブラケットの前記平坦部と防音パネルのコ字形リブとがボルト接合されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項1に記載した低層用柵構造体において、
防護柵の中間支柱の下部に防音パネルを取り付ける下部用ブラケットは、中間支柱をほぼ取り囲む大きさの半円状部材と、前記半円状部材の両端を直径線方向の内向きに屈曲して形成した二つの平坦部の間へ掛け渡す長さの直線状部材との組合わせから成り、前記二つの平坦部と直線状部材との重なり部分が防音パネルのコ字形リブとボルト接合されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4記載の発明は、請求項1又は2に記載した低層用柵構造体において、
上部用ブラケットのボルト挿入部は、貫通ボルトの頭が通る口径の孔、若しくは前記孔の垂直上方にボルト軸部外径より少し広幅の切り欠き部を一連に形成した倒立鍵孔形状の孔、又は下端を開放した倒立U字形状の切り欠き、或いはこれらの組合わせとして1個または複数個設けていることを特徴とする。
【0022】
請求項5記載の発明に係る接続用ブラケットは、
請求項1又は4に記載した低層用柵構造体に使用する上部用ブラケットであって、
湾曲された円弧状部と、同円弧状部の端部を内向きに屈曲した平坦部とから成り、円弧状部のほぼ中央部位に貫通ボルトへ取り付けるためのボルト挿入部を備え、前記平坦部にボルト孔が設けられており、当該上部用ブラケットは、前記ボルト挿入部が防護柵の支柱を貫通した貫通ボルトにおいてビーム材取付け用継手部材とは支柱を挟んで反対側の部位へ支柱側面と接する状態に取り付けられ、前記平坦部と防音パネルのコ字形リブとがボルト接合されることを特徴とする。
【0023】
請求項6記載の発明に係る接続用ブラケットは、
請求項1又は2に記載した低層用柵構造体に使用する上部用ブラケットであって、
約1/4円の円弧状部と、同円弧状部の一端部を内向きに屈曲した平坦部とから成り、前記円弧状部の他端部に貫通ボルトへ取り付けるためのボルト挿入部を備え、前記平坦部にボルト孔が設けられており、当該上部用ブラケットは、前記ボルト挿入部が防護柵の支柱を貫通した貫通ボルトボルトにおけるビーム材取付け用継手部材とは反対側の部位へ支柱側面と接する状態に取り付けられ、前記平坦部と防音パネルのコ字形リブとがボルト接合されることを特徴とする。
【0024】
請求項7記載の発明に係る接続用ブラケットは、
請求項1に記載した低層用柵構造体に使用する下部用ブラケットであって、
バンド材が支柱を取り囲む大きさの輪状に形成されており、同バンド材の一端部が内向きに屈曲した平坦部に形成され、該平坦部及びバンド材の他端部にボルト孔が設けられており、前記平坦部にバンド材の他端部を重ねて両者のボルト孔へ通したボルトで防音パネルのコ字形リブとボルト接合されることを特徴とする。
【0025】
請求項8記載の発明に係る接続用ブラケットは、
請求項1に記載した低層用柵構造体に使用する下部用ブラケットであって、
支柱をほぼ取り囲む大きさの半円状部材と、前記半円状部材の両端を内向きに屈曲して形成した二つの平坦部の間へ掛け渡す長さの直線状部材との組合わせから成り、前記二つの平坦部及び直線状部材の両端部にボルト孔が設けられており、半円状部材の二つの平坦部と、これに重ねた直線状部材との重なり部分が防音パネルのコ字形リブとボルト接合されることを特徴とする。
【0026】
請求項9記載の発明は、請求項5又は6に記載した接続用ブラケットにおいて、
上部用ブラケットのボルト挿入部は、貫通ボルトの頭が通る口径の孔、若しくは前記孔の垂直上方にボルト軸部外径より少し広幅の切り欠き部を一連に形成した倒立鍵孔形状の孔、又は下端を開放した倒立U字形状の切り欠き、或いはこれらの組合わせとして1個又は複数個設けられていることを特徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】
請求項1〜4に記載した発明に係る低層用(又は市街地用)柵構造体の実施形態を、図面に基いて説明する。
【0030】
図1〜図3に示した低層用柵構造体は、道路に沿って例えば2m程度の間隔をあけて列状に立てられた複数の支柱1…の上部の車輌通行側に、一例として車輌防護用の3本のビーム材2(又はビームパイプともいう)が上下方向に15cm程度の間隔をあけて水平方向に長く取付けられた防護柵において、前記ビーム材2の背後側(歩道側)であって前記隣接する支柱1、1の間の部位に1枚ずつの防音パネル3を、支柱1の上部及び下部に取り付けた後述の接続用ブラケットを介して接合し設置した構成である。特に、前記防音パネル3は支柱1とほぼ同じ高さであり(図2)、また、支柱2の太さ(又は支柱1の車輌通行方向と直交する方向の幅、以下同じ)と略同じかそれよりも小さい厚さ寸法(図1)である(請求項1記載の発明)。
【0031】
図面には支柱1は丸パイプ支柱として示しているが、この限りではない。
【0032】
上記ビーム材2を支柱1へ取付ける手段は既に種々公知である。図示例の場合は、各支柱1…の車輌通行側へ当てがった略コ字形状のビーム材取付け用継手部材5(通例、ブラケットともいう)を、同支柱1の直径方向に貫通させた通しボルト4にて固定している(図3)。
【0033】
端位置の支柱1に関しては、図6に詳示したように、前記ビーム材取付け用継手部材5で支持された端部インナースリーブ6の一端へ前記ビーム材2の端部をはめ込み、ネジ止めする。中間位置の支柱1に関しては、図8に詳示したように、前記ビーム材取付け用継手部材5で中間点を支持された中間型インナースリーブ7の両端部へそれぞれ対応するビーム材2の端部をはめ込み、ネジ止めする構造でそれぞれ強固に取付けられている。従って、同じ通しボルト4を使用する手法で支柱1へ取付けるガードレールやガードケーブル等も同様に本発明の車輌防護材として適用可能である。
【0034】
上記のビーム材取付け用継手部材5により、ビーム材2は、支柱1の外面よりも更に数cm程度を車輌通行側へ突き出して取付けられている(図1、図3)。したがって、図1で明らかなように、隣接する支柱1、1の間の部位は上下方向に広々と空いているから、ここには高さ制限を受けることなく、防音パネル3を設置可能である。
【0035】
もっとも、図1〜図3に示した実施形態の場合、防音パネル3の長手方向寸法は隣接する支柱1と1の間の間隔に略等しく、高さも支柱1の地上高さ(約80cm)とほぼ等しく、厚さは支柱1の外径と等しい大きさ(約100mm)で構成している(請求項1記載の発明)。
【0036】
防音パネル3の両端の上下部は、支柱1の上部及び下部に取り付けた、以下に説明する接続用ブラケット10、11、12、13を介して支柱と接合し設置されている。
【0037】
ちなみに防音パネル3の構造について概説すると、図4、図5に例示したとおり、車輌通行側面のみ吸音孔を有する多孔板3bで形成し、反対側面(歩道側面)は吸音孔の無い無孔板3aで形成した薄型の箱内に吸音材3cを充填した構成である。
【0038】
防音パネル3の両側端(両側面)には、平面視が略コ字形状(溝型鋼状)のリブ9がその溝開口をパネル面と同方向の外向き(図1、図6、図8参照)に配置して取り付けられている。前記リブ9の上下方向に、上述したブラケットの使用に必要なボルト孔9bが必要数だけ水平方向に長い長孔として設けられている(図4)。
【0039】
各防音パネル3には車輌衝突時の散乱防止ワイヤー8が設置され、予想外の二次災害の発生を防ぐ対策がとられている。散乱防止ワイヤー8は、防音パネル3の上部を長手方向に貫通する配置で設置され、その両端は上記接続用ブラケットに結合されるが、その詳細は後述する。
【0040】
要するに、上記のように両側端に平面視がコ字形のリブ9がその開口をパネル面と同方向の外向きに配置された防音パネル3は、支柱1に取り付けたビーム材取付け用継手部材5のボルト4(以下、これを貫通ボルトという場合がある。)が支柱1をビーム材2と直交方向に貫通されており、同貫通ボルト4においてビーム材2とは反対側(歩道側)の部位に上記の接続用ブラケットが取り付けられ、同ブラケットの端部と防音パネル3の前記リブ9とがボルト接合されている。
【0041】
上記防音パネル3の上部を防護柵の各支柱1の上部へ取り付ける接続用ブラケット10と11(以下、これらを上部用ブラケットという場合がある。)の実施例を図6と図7、及び図8と図9に示した。
【0042】
先ず図6、7に示した接続用ブラケット10について説明する。
【0043】
この接続用ブラケット10は、防護柵の端部支柱1の上部へ防音パネル3の側端上部を取り付けるためのものであり、支柱1の全体を取り巻く大きさの円の約1/4に相当する円弧状部10bと、同円弧状部10bの一端部を上記防音パネル3のリブ9におけるフランジ9a(図6)と同じ方向へ内向きに屈曲した平坦部10cとから成る。前記円弧状部10bの他端部には、上述したビーム材取付け用継手部材5の貫通ボルト4へ取り付けるためのボルト挿入部10aを備えている。前記平坦部10cには垂直下方への延長部にボルト孔10dが設けられ、もって前記ボルト挿入部10aとの間に相当な高低差を確保している。ボルト15及びナット16によるネジ止め作業の便宜を図るためである。
【0044】
この接続用ブラケット10は、前記ボルト挿入部10aが防護柵の支柱1を貫通したビーム材取付け用継手部材5のボルト4におけるビーム材2とは反対側の部位へ支柱側面と接する状態に取り付けられ(図6)、前記平坦部10cと防音パネル3のリブ9のフランジ9aとがボルト15及びナット16で接合されて防音パネル3の設置が行われている(請求項2及び6記載の発明)。
【0045】
なお、図7中の符号10eは防音パネルの散乱防止ワイヤーの端部を結合する孔であるが、その形状及び使用法については後述する。
【0046】
上記の接続用ブラケット10は、図7Aのように、上記円弧状部10bにおいて、上記の平坦部10cから最も遠い他端の位置に、ボルト挿入部10aを、上記ビーム材取付け用継手部材5を支持する貫通ボルト4の軸部を通すことが可能な幅寸で下端を開放した倒立U字形状のスリット10aとして設ける場合のほか、図7Bのように前記貫通ボルト4の頭を通すことが可能な口径の円孔の中央部から垂直上方に、同貫通ボルト4の軸部を通すことが可能な幅寸のスリットを倒立U字形状に一連に形成した倒立鍵穴形状のボルト挿入部10aとして設け、又は単純に貫通ボルト4の頭を通すことが可能な口径の円孔(図10A参照)として設け実施することもできる。或いは図7Cのように平坦部10cに垂直下方への延長部を設けないで、円弧状部10と同じ幅寸のバンド材の加工品となし、その平坦部10cにボルト孔10dを設けた構成で実施することもできる。
【0047】
次に、図8と図9に示した接続用ブラケット11(上部用ブラケット)について説明する。
【0048】
この接続用ブラケット11は、防護柵の中間支柱1の上部へ防音パネル3の側端上部を取り付けるためのものであり、支柱1を大きく取り囲む半円形状に湾曲された円弧状部11bと、同円弧状部11bの両端部を上記防音パネル3の側端に配置したリブ9のフランジ9aと同じ方向へ内向きに屈曲した平坦部11cとから成る。前記円弧状部11bのほぼ中央部位にビーム材取付け用継手部材5のボルト4へ取り付けるためのボルト挿入部11aを備えている。
【0049】
図示例の場合、平坦部11cには垂直下方への延長部を一連に形成して、前記ボルト挿入部11aに対して相当な高低差を確保した位置にボルト孔11dが設けられている。
【0050】
この接続用ブラケット11(上部用ブラケット)は、前記ボルト挿入部11aが、防護柵の支柱1を貫通したビーム材取付け用継手部材5の貫通ボルト4におけるビーム材2とは反対側(歩道側)の部位へ支柱側面と接する状態に取り付けられる(図8)。そして、前記平坦部11cと防音パネル3のリブ9におけるフランジ9aとがボルト15とナット16とで接合され、もって前記貫通ボルト4にて支柱1とビーム材2およびブラケット11とが接合された上に、該上部用ブラケット11の前記平坦部11cと防音パネル3のリブ9とがボルト接合されている(請求項1、5記載の発明)。
【0051】
なお、図9中の符号11eは防音パネルの散乱防止ワイヤーの端部を結合する孔であるが、その形状及び使用法については後述する。
【0052】
上記の接続用ブラケット11に関しても、図9Aのように、ボルト挿入部11aを上記ビーム材取付け用継手部材5の貫通ボルト4の軸部を通すことが可能な幅寸で下端を開放した倒立U字形状のスリット11aとして設ける場合のほか、図9Bのように前記貫通ボルト4の頭を通すことが可能な口径の円孔の中央から垂直上方に、同ボルト4の軸部を通すことが可能な幅寸のスリットを倒立U字形状に一連に形成した倒立鍵孔形状のボルト挿入部11aとして設け、又は図10Aのように単純に貫通ボルト4の頭を通すことが可能な口径の円孔として設け実施することもできる。或いは図9Cのように平坦部11cに垂直下方への延長部を設けないで、円弧状部11bと同じ幅寸のバンド材の加工品となし、その平坦部11cにボルト孔11dを設けた構成で実施することもできる。
【0053】
その他の実施形態として、図10Bに例示したように、円弧状部11b及び平坦部11cを共に均等断面の長い樋状に形成して、それぞれの必要位置にボルト挿入部11a、ボルト孔11d、及びケーブル用の孔11eを設けた構成の接続用ブラケット11’を実施することもできる。図10Bは、防音パネル3のリブ9のフランジ9aとボルト接合するボルト孔11dが上下に2箇所設けられた構成も示す。
【0054】
つまり、上部用ブラケット19、11のボルト挿入部10a、11aは、上記貫通ボルト4の頭が通る口径の孔、若しくは前記孔の垂直上方にボルト軸部外径より少し広幅の切り欠き部を一連に形成した倒立鍵孔形状の孔、又は下端を開放した倒立U字形状の切り欠き、或いはこれらの組合わせとして1個又は複数個設けて実施することができる(請求項4又は9記載の発明)。
【0055】
以上要するに、図6と図7に示した端部支柱用のブラケット10、及び図8と図9に示した中間支柱用のブラケット11はそれぞれ、ビーム材2を取り付ける上記ビーム材取付け用継手部材5の貫通ボルト4に支持力を求めて防音パネル3の取付けを行う点で同一の技術的思想に立脚した構成であり、ベルト材の加工品或いは板金加工品として構成されている。
【0056】
上記2種の接続用ブラケット10、11は、上記貫通ボルト4を締め付けるナットを一旦緩めて、ビーム材2とは反対側(歩道側)へボルト挿入部10a又は11aを挿入し、その後再び前記ナットを締め付けて強く固定する。
【0057】
上記の各接続用ブラケット10と11(上部用ブラケット)には更に、防音パネル3の上部を長手方向へ貫通する配置で設置された散乱防止ワイヤー8の端部を止める位置(図6、図8参照)に、同散乱防止ワイヤー8の端部を結合する孔10e、11eを必要数備えている。散乱防止ワイヤー8は、防音パネル3の上記取付け作業と前後して、その端部を各ブラケット10、11の前記孔10e、11eへ通し、内側からナット17をネジ込んで止める手段などが実施される。前記孔10e、及び11eに関しても、例えば図10Aに示したように、鍵孔形状の孔としても実施される。
【0058】
次に、図11と図12、及び図13と図14に、上記防音パネル3の側端下部を支柱1の下部へ接合し設置する接続用ブラケット12、13(以下、これらを下部用ブラケットという場合がある。)の実施例を示している。いずれも上記したように防護柵の支柱に防音パネルを取り付けて低層用柵構造体を構築する際に使用するブラケットである。
【0059】
先ず、図11と図12は、防音パネル3の側端下部を、防護柵における端位置の支柱1の下部へ取り付ける下部用ブラケット12を示している。即ち、バンド材が支柱1を取り囲む大きさの輪状に形成されて成り、同バンド材の一端部を内向きに屈曲して平坦部12cが形成され、該平坦部12c及び同バンド材の他端部にそれぞれボルト孔12bが設けられている。つまり、前記平坦部12cにバンド材の他端部を重ねて両者のボルト孔12bを一致させ、そのボルト孔12bへ通したボルト18とナット19で防音パネル3のリブ9におけるフランジ9aとボルト接合されている(請求項7記載の発明)。
【0060】
また、図13と図14は、上記防護柵における中間支柱1の下部へ、防音パネル3の側端下部を接合し設置する接続用ブラケット13を示している。
【0061】
この下部用ブラケット13は、中間支柱1を大きく半円形状に取り囲む大きさの半円状部材13aと、前記半円状部材13aの両端を内向きに屈曲して形成した二つの平坦部13dの間へ掛け渡す長さの直線状部材13bとの組合わせから成る。前記二つの平坦部13d及び直線状部材13bの両端部にそれぞれボルト孔13cが設けられている。つまり、半円状部材13aの二つの平坦部13dと、これに重ねた直線状部材13bの端部のボルト孔13cをそれぞれ一致させ、両者の重なり部分が、防音パネル3のリブにおけるフランジ9aとボルト20及びナット21で接合されている(請求項3及び8記載の発明)。
【0062】
【本発明が奏する効果】
請求項1〜4に記載した発明に係る低層用柵構造体は、防音パネルの設置を、特別に工夫した簡単で軽便な構造の接続用ブラケット=上部用および下部用ブラケット(請求項5〜9記載の発明)を使用することにより、新設時はもとよりのこと、既設の防護柵への併設も容易に行え、道路騒音の低減に寄与する。新製品はもとより既製の防音パネルの使用も可能である。
【0063】
また、車輌防護材の背後側(歩道側)であって道路に沿って並ぶ支柱と支柱の間の部分に防音パネルを設置するので、防音パネルは少なくとも支柱の地上高さと同じ高さに設置でき、防音効果に優れる。しかも車輌防護材が相当程度破損した上でないと防音パネルへの事故波及がなく、保守に有利である。
【0065】
請求項5〜9記載の発明に係る接続用ブラケット(上部用および下部用ブラケット)によれば、上記した低層用柵構造体を構築するのに至便であり、使用も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低層用柵構造体の一部を実施形態として示した平面図である。
【図2】本発明に係る低層用柵構造体の一部を実施形態として示した正面図である。
【図3】本発明に係る低層用柵構造体の側面図である。
【図4】防音パネルの実施例を示した正面図である。
【図5】防音パネルの拡大した断面図である。
【図6】端位置の支柱に対して防音パネルの上部をブラケットで取り付けた構造の平面図である。
【図7】A、B、Cはそれぞれ前記接続用ブラケットの異なる例を示した斜視図である。
【図8】中間位置の支柱に対して防音パネルの上部をブラケットで取り付けた構造の平面図である。
【図9】A、B、Cは前記接続用ブラケットの異なる例を示した斜視図である。
【図10】A、Bは前記接続用ブラケットの更に異なる例を示した斜視図である。
【図11】AとBは端位置の支柱に対して防音パネルの下部をブラケットで取り付けた構造の平面図と正面図である。
【図12】前記ブラケットの斜視図である。
【図13】AとBは中間位置の支柱に対して防音パネルの下部をブラケットで取り付けた構造の平面図と正面図である。
【図14】前記ブラケットの斜視図である。
【符号の説明】
1 支柱
2 ビーム材(車輌防護材)
3 防音パネル
8 散乱防止ワイヤー
10 ブラケット(上部用)
11 ブラケット(上部用)
12 ブラケット(下部用)
13 ブラケット(下部用)
4 貫通ボルト
10a ボルト挿入部
11a ボルト挿入部
9 リブ
9a フランジ
Claims (9)
- 防護柵に防音パネルを取り付けて成る低層用柵構造体であって、
防護柵は、道路に沿って複数の支柱が間隔をあけて立てられ、同支柱の車輌通行側に車輌防護用のビーム材が取り付けられており、前記支柱と支柱の間に、防音パネルが、支柱の上部及び下部に取り付けたブラケットを介して接合し設置されていること、前記防音パネルは支柱とほぼ同じ高さであり、支柱の太さとほぼ同じかそれよりも小さい厚さ寸法であり、
前記防音パネルには、その両側端に、平面視がコ字形のリブが、その開口を前記支柱に向けて配置されており、
前記支柱の上部に同支柱をビーム材と直交する方向へ貫通された貫通ボルトにビーム材取付け用継手部材が取り付けられ、同貫通ボルトに前記ビーム材取付け用継手部材とは支柱を挟んで反対側の部位に上部用ブラケットが取り付けられていること、
前記上部用ブラケットは、湾曲された円弧状部と、同円弧状部の一方又は両方の端部を前記コ字形リブのフランジと同じ方向へ内向きに屈曲した平坦部とから成り、円弧状部の前記平坦部から最も遠い位置又は中央部位に前記貫通ボルトへ取り付けるためのボルト挿入部を備え、前記ボルト挿入部を取り付けた前記貫通ボルトで支柱と上部用ブラケットが接合され、前記上部用ブラケットの前記平坦部と防音パネルのコ字形リブとがボルト接合されていることを特徴とする、低層用柵構造体。 - 防護柵の端部支柱へ防音パネルを取り付ける上部用ブラケットは、約1/4円の円弧状部と、同円弧状部の一端部をコ字形リブのフランジと同じ方向へ内向きに屈曲した平坦部とから成り、前記円弧状部の他端部に貫通ボルトへ取り付けるためのボルト挿入部を備え、前記ボルト挿入部を取り付けた前記貫通ボルトにて支柱とビーム材取付け用継手部材及び上部用ブラケットが接合されており、該上部用ブラケットの前記平坦部と防音パネルのコ字形リブとがボルト接合されていることを特徴とする、請求項1に記載した低層用柵構造体。
- 防護柵の中間支柱の下部に防音パネルを取り付ける下部用ブラケットは、中間支柱をほぼ取り囲む大きさの半円状部材と、前記半円状部材の両端を直径線方向の内向きに屈曲して形成した二つの平坦部の間へ掛け渡す長さの直線状部材との組合わせから成り、前記二つの平坦部と直線状部材との重なり部分が防音パネルのコ字形リブとボルト接合されていることを特徴とする、請求項1に記載した低層用柵構造体。
- 上部用ブラケットのボルト挿入部は、貫通ボルトの頭が通る口径の孔、若しくは前記孔の垂直上方にボルト軸部外径より少し広幅の切り欠き部を一連に形成した倒立鍵孔形状の孔、又は下端を開放した倒立U字形状の切り欠き、或いはこれらの組合わせとして1個または複数個設けていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した低層用柵構造体。
- 請求項1又は4に記載した低層用柵構造体に使用する上部用ブラケットであって、
湾曲された円弧状部と、同円弧状部の端部を内向きに屈曲した平坦部とから成り、円弧状部のほぼ中央部位に貫通ボルトへ取り付けるためのボルト挿入部を備え、前記平坦部にボルト孔が設けられており、当該上部用ブラケットは、前記ボルト挿入部が防護柵の支柱を貫通した貫通ボルトにおいてビーム材取付け用継手部材とは支柱を挟んで反対側の部位へ支柱側面と接する状態に取り付けられ、前記平坦部と防音パネルのコ字形リブとがボルト接合されることを特徴とする、接続用ブラケット。 - 請求項1又は2に記載した低層用柵構造体に使用する上部用ブラケットであって、
約1/4円の円弧状部と、同円弧状部の一端部を内向きに屈曲した平坦部とから成り、前記円弧状部の他端部に貫通ボルトへ取り付けるためのボルト挿入部を備え、前記平坦部にボルト孔が設けられており、当該上部用ブラケットは、前記ボルト挿入部が防護柵の支柱を貫通した貫通ボルトにおいてビーム材取付け用継手部材とは支柱を挟んで反対側の部位へ支柱側面と接する状態に取り付けられ、前記平坦部と防音パネルのコ字形リブとがボルト接合されることを特徴とする、接続用ブラケット。 - 請求項1に記載した低層用柵構造体に使用する下部用ブラケットであって、
バンド材が支柱を取り囲む大きさの輪状に形成されており、同バンド材の一端部が内向きに屈曲した平坦部に形成され、該平坦部及びバンド材の他端部にボルト孔が設けられており、前記平坦部にバンド材の他端部を重ねて両者のボルト孔へ通したボルトで防音パネルのコ字形リブとボルト接合されることを特徴とする、接続用ブラケット。 - 請求項1に記載した低層用柵構造体に使用する下部用ブラケットであって、
支柱をほぼ取り囲む大きさの半円状部材と、前記半円状部材の両端を内向きに屈曲して形成した二つの平坦部の間へ掛け渡す長さの直線状部材との組合わせから成り、前記二つの平坦部及び直線状部材の両端部にボルト孔が設けられており、半円状部材の二つの平坦部と、これに重ねた直線状部材との重なり部分が防音パネルのコ字形リブとボルト接合されることを特徴とする、接続用ブラケット。 - 上部用ブラケットのボルト挿入部は、貫通ボルトの頭が通る口径の孔、若しくは前記孔の垂直上方にボルト軸部外径より少し広幅の切り欠き部を一連に形成した倒立鍵孔形状の孔、又は下端を開放した倒立U字形状の切り欠き、或いはこれらの組合わせとして1個又は複数個設けられていることを特徴とする、請求項5又は6に記載した接続用ブラケット。
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