JP4221993B2 - モータ駆動回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、モータ駆動回路に関する。詳しくは、PWM制御のキャリア周波数可変手段を備えたモータ駆動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術において、モータをPWM(Pulse Width Modulation;パルス幅変調)制御で駆動するときのモータ駆動回路(ドライバー)は、駆動用のPWMパルスを生成するブロックと生成されたPWMパルスをインピーダンス変換してモータコイルを駆動するブロックとから構成されている。
【0003】
このようなモータ駆動回路において、例えば、DCモータを駆動するときには、必要とするトルクに相当する電力をPWMパルス(波形)のデューティを変化させることによってモータの駆動制御を実現し、また、ステッピングモータを駆動するときには、必要とする励磁パターンに相当する電力をPWMパルス(波形)のデューティを変化させることによってモータの駆動制御を実現している。
【0004】
このときPWMパルス(波形)のキャリア周波数は、以下の▲1▼〜▲5▼に示す条件に最適な周波数を選択し、固定値として設定している。
▲1▼音響ノイズとならない周波数以上
▲2▼要求されるデューティ切り替えの時間的分解能を満足する周波数以上
▲3▼負荷の抵抗とインダクタンスで充分に平滑化される周波数以上
▲4▼要求されるデューティの分解能が実現できる周波数以下
▲5▼デューティ0[%]あるいは100[%]に近い領域での幅が細いパルスが正確に出力できる周波数以下
【0005】
条件▲2▼において、最低でも1周期分のパルス波形を出力しないと、デューティに応じた電力をモータに供給することができない為、デューティの切り替えはキャリア周波数が高い程、頻繁に行うことができ、時間的分解能が増すことになる。
【0006】
また、条件▲4▼において、PWMパルスを出力する回路が備えているカウンタの語長は、デューティの分解能と比例関係にあり、カウンタのカウントアップスピードは回路の動作クロックから決まり、これを固定にしたとき、キャリア周波数はカウンタの語長に反比例、すなわちデューティの分解能と反比例することになる。
【0007】
ところで、上述の▲1▼〜▲5▼に適うキャリア周波数を選択した場合であっても、モータの駆動状態が変化することによって必ずしも適切なキャリア周波数でなくなることもある。そこで、キャリア周波数を適宜変化させて駆動制御を行うことができるモータ駆動回路(装置)も存在している(例えば、特許文献1)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−141587号公報(第2−3頁、第1図)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、PWM制御のモータ駆動回路を用いた機器、例えば、ビデオカメラやデジタルスチルカメラなど、機器の小型化の要求が高くなってきており、機器が小型化することによってモータ制御の精度がシビアになり、また、機器の他の部分に影響を及ぼしてしまう、というような問題が発生する。
【0010】
例えば、ビデオカメラの場合、マイクとモータとが近くなることにより、モータ駆動音がマイクに混入してきたり、カメラレンズの移動範囲が小さくなるため、レンズ位置制御の精度がシビアになる、などモータの制御条件が厳しくなってきている。
【0011】
さらに、小型化によって機器内が高密度実装となり、モータの駆動電流が流れる配線は、AC特性(特に立ち上がり時間)に速くて急峻な電圧の変化があると、周辺の信号線にノイズがかぶり、例えば、ビデオカメラやデジタルスチルカメラなどの機器における画像信号への影響などは深刻な問題となる。
【0012】
このように、機器の小型化にともなって、最適なPWMのキャリア周波数の選定し、モータの駆動制御を精度よく行うことが困難になってきているという問題がある。
【0013】
また、PWMのキャリア周波数を適宜変化させて制御を行うモータ駆動回路では、モータの駆動状態を検出するためにフィードバック信号が必要となり、このフィードバック信号を検出するための信号線が周辺の信号線に影響を与えてしまうという問題もある。
【0014】
従って、PWM制御のモータ駆動回路において、他の信号線などへの影響(かぶり)を抑え、かつ、モータを高精度で駆動制御することができるようにすること、に解決しなければならない課題を有する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明に係るモータ駆動回路は次のような構成にすることである。
【0016】
[1] PWM制御のためのキャリア周波数を任意に可変出力するキャリア周波数可変手段を備えたモータ駆動回路であって、
前記キャリア周波数可変手段により、
(1)ステッピングモータの回転を停止している状態或いはゆっくりと回転させる場合のキャリア周波数は、デューテイが50%以下のとき、
(デューテイ(%)/100/Tr(立ち上がり時間)(s))>20kHz
であれば、キャリア周波数は20kHzに設定し、
(デューテイ(%)/100/Tr(立ち上がり時間)(s))<20kHz
であれば、キャリア周波数は(デューテイ(%)/100/Tr(立ち上がり時間)(s))(Hz)に設定し、
デューテイが50%以上のとき、
((100−デューテイ(%))/100/Tr(立ち上がり時間)(s))>20kHz
であれば、キャリア周波数は20kHzに設定し、
((100−デューテイ(%))/100/Tr(立ち上がり時間)(s))<20kHz
であれば、キャリア周波数は(デューテイ(%)/100/Tr(立ち上がり時間)(s))(Hz)に設定し、
(2)ステッピングモータを高速で回転させる場合のキャリア周波数は、
(回転速度(pps))/4×360/(cosθ(rad))(Hz)>16kHz
であれば、キャリア周波数は(回転速度(pps))/4×360/(cosθ(rad))(Hz)に設定し、
(回転速度(pps))/4×360/(cosθ(rad))(Hz)<16kHz
であれば、キャリア周波数は16kHzに設定してステッピングモータを駆動制御することを特徴とするモータ駆動回路。
【0017】
上述したようなモータ駆動回路において、キャリア周波数可変手段がモータへの印加電圧の時間的変化率に応じて変化させたキャリア周波数を生成し、この生成したキャリア周波数に基づいてモータの駆動制御を行うので、PWMパルスのデューティに応じた駆動制御が可能となり、他の信号線などへの影響(かぶり)を抑え、かつ、モータを高精度で駆動制御することができるようになる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係るモータ駆動回路の実施の形態について図面を参照して説明する。但し、図面は専ら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0019】
まず、第1の実施例として、ステッピングモータを駆動制御する場合について説明する。
【0020】
図1は、2相ステッピングモータのモータ駆動回路の構成を簡略化して示したブロック図であり、MCU(Micro Controller Unit)10と、モータ駆動回路20と、2相ステッピングモータ30から構成される。
【0021】
MCU(Micro Controller Unit)10は、モータ駆動回路20に接続し、モータ駆動回路20に対し、モータへの印加電圧の時間的変化率に応じた所定の電気的角度を与え、2相ステッピングモータ30の駆動を制御する機能を備えている。
【0022】
モータ駆動回路20は、波形生成制御部210、波形生成部A220a及び波形生成部B220b、モータ駆動部230、ドライブ部240から構成される。
【0023】
波形生成制御部210は、一方をMCU10、他方を波形生成部A220a及び波形生成部B220bと接続され、MCU10が指定する電気的角度に応じて波形生成部A220a及び220bを制御する。
【0024】
波形生成部A220aは、デューティ算出部221a、カウンタ222a、カウントスピードコントロール部223a、比較器224aから構成され、一方を波形生成制御部210、他方をモータ駆動部230と接続される。
【0025】
そして、波形生成部A220aを構成する各部221a〜224aは波形生成制御部210に従って動作し、デューティ算出部221aは、生成するパルス波形のデューティを算出して比較器224aに出力し、カウンタ222aは、カウンタスピードコントロール部223aからの制御に基づいたカウント値(=1秒間に発生するスイッチングパルス数)を比較器224aに出力し、比較器224aは、デューティ算出部221aの出力とカウンタ222aの出力に基づいたPWMパルスを生成し、モータ駆動部230に出力する。
【0026】
波形生成部B220bは、デューティ算出部221b、カウンタ222b、カウントスピードコントロール部223b、比較器224bから構成され、一方を波形生成制御部210、他方をドライブ部240と接続される。
【0027】
そして、波形生成部B220bを構成する各部221b〜224bは波形生成制御部210に従って動作し、デューティ算出部221bは、生成するパルス波形のデューティを算出して比較器224bに出力し、カウンタ222bは、カウンタスピードコントロール部223bからの制御に基づいたカウント値(=1秒間に発生するスイッチングパルス数)を比較器224bに出力し、比較器224bは、デューティ算出部221bの出力とカウンタ222bの出力に基づいたPWMパルスを生成し、ドライブ部240に出力する。
【0028】
つまり、波形生成部A220a及び波形生成部B220bは、カウンタスピードコントロール部223a/223bによってカウンタ222a/222bを制御することによって、1秒間に発生するスイッチングパルス数=PWMのキャリア周波数を可変制御し、デューティ算出部221a/221bの出力とカウンタ222a/222bの出力に基づいてPWMパルスを生成してモータ駆動部230/ドライブ部240に出力する。
【0029】
モータ駆動部230は、モータ駆動制御部231と4個のパワーMOSトランジスタからなるスイッチング部232とから構成され、一方を波形生成部A220a(の比較器224a)、他方を2相ステッピングモータ30のうちの1相のコイルと接続されており、モータ駆動制御部231が波形生成部A220aからのPWMパルスに基づいてスイッチング部232を制御し、所定のモータ電源(VM)を2相ステッピングモータ30に供給する。
【0030】
ドライブ部240は、モータ駆動制御部241と4個のパワーMOSトランジスタからなるスイッチング部242とから構成されており、一方を波形生成部B220b(の比較器224b)、他方を2相ステッピングモータ30のうちの別の1相のコイルと接続され、モータ駆動制御部241が波形生成部B220bからのPWMパルスに基づいてスイッチング部242を制御し、所定のモータ電源(VM)を2相ステッピングモータ30に供給する。
【0031】
次に、上述した構成からなるモータ駆動回路の動作について説明する。
【0032】
波形生成部A220a及び波形生成部B220bは、MCU10(外部コントローラ)が指定する電気的角度に応じたPWMパルス(波形)を生成し、それぞれモータ駆動部230、ドライブ部240に対して生成したPWMパルスを出力する。
【0033】
2相ステッピングモータ30をサイン波駆動する際、モータの各コイルに流す電流は、互いに位相が90度ずれたサイン波になっており、波形生成部A220a及び波形生成部B220bからは、図2に示すような位相差に応じたPWMパルス(波形)が生成、出力される。
【0034】
モータ駆動部230及びドライブ部240では、それぞれのモータ駆動制御部231/241によって波形生成部A220a及び波形生成部B220bからのPWMパルス(波形)に基づいて、スイッチング部232/242のスイッチング動作を制御し、2相ステッピングモータ30の各コイルに印加される電圧(モータ電源(VM))を制御する。
【0035】
ここで、スイッチング部232(又は242)のスイッチング動作を説明する。
【0036】
図3は、4個のパワーMOSトランジスタMOS_A〜MOS_Dで構成されたスイッチング部232(又はスイッチング部242)と2相ステッピングモータ30のコイル30aとの接続状態を略示的に示したものである。
【0037】
MOS_AとMOS_Bは直列接続(a点)され、MOS_Aの他方はモータ電源(VM)と接続され、MOS_Bの他方はアースに接続する。一方、MOS_CとMOS_Dは直列接続(b点)され、MOS_Cの他方はモータ電源(VM)と接続され、MOS_Dの他方はアースに接続する。
【0038】
そして、直列接続されたMOS_A、MOS_Bと、同じく直列接続されたMOS_C、MOS_Dとを並列接続し、2相ステッピングモータ30のコイル30aの一方をMOS_AとMOS_Bの接続点(a点)と接続し、コイル30aの他方をMOS_CとMOS_Dの接続点(b点)に接続する。
【0039】
このように接続されたスイッチング部232(又は242)はモータ駆動部231(又は241)により制御され、MOS_AとMOS_Dをオン(ON)とし、MOS_BとMOS_Cをオフ(OFF)にすると、2相ステッピングモータ30のコイル30aにはMOS_AとMOS_Bの接続点からMOS_CとMOS_Dの接続点方向、即ち、a点→b点方向の電流が流れる。
【0040】
また、MOS_AとMOS_Dをオフ(OFF)とし、MOS_BとMOS_Cをオン(ON)とすると、2相ステッピングモータ30のコイル30aには、MOS_CとMOS_Dの接続点からMOS_AとMOS_Bの接続点方向、即ち、b点→a点方向の電流が流れる。
【0041】
このようにモータ駆動部231(又は241)によって、所定のパワーMOSトランジスタをオン(ON)/オフ(OFF)制御してモータのコイルに流れる電流の方向を切り換えることによりスイッチング動作の制御を行う。
【0042】
このスイッチング部232(又は242)のスイッチング動作のときに、例えば、ビデオカメラやデジタルスチルカメラなどの機器では、スイッチングによって流れる電流の立ち上がりが急峻になると、基板の配線パターンを通じて画像などの信号系にノイズがのってしまい画質が劣化するという問題がある。
【0043】
そのために、モータ駆動部231(又は241)では、モータに供給するモータ電源(VM)の立ち上がり時間Trを緩やかにするように制御しており、例えば、このスイッチング動作による立ち上がり時間Trを図4に示すグラフのように500[ns]になるように制御することによって信号系にノイズがのることを回避している。
【0044】
このように、ステッピングモータを精度よく位置決め制御する場合、キャリア周波数が高いと、立ち上がり時間Trに制限を設けているためにPWMパルス(波形)が正しく出力されず、PWMパルスのデューティに応じた電力を正しくモータに供給できず、モータが所望の動作を実行できないので、波形生成部A220a及び波形生成部B220bにおいて、電流リップルが問題にならない程度にキャリア周波数を低く抑える。
【0045】
続いて、上述したモータ駆動回路をサイン波駆動するときのPWMのキャリア周波数制御の具体例について説明する。
【0046】
例えば、2相ステッピングモータ30の各コイルに流す電流の位相が90度ずれたサイン波である場合、図5に示すように、電気的角度[deg]を80度で精度良く位置決めするときは、一方のコイルに印可するPWMパルスのデューティが99.2[%]、他方のコイルに印可するPWMパルスのデューティは58.7[%]となる。
【0047】
このとき、信号系にノイズがのることを回避するため、立ち上がり時間Trを500[ns]に制限している場合(図4参照)、2相ステッピングモータ30に正しく電力を供給するためのPWMパルスの最小パルス幅は、図6に示すように500[ns]となる。
【0048】
したがって、PWMパルス(波形)のデューティを58.7[%]で正しく出力するための最大周波数は、0.587/500[ns]=1174[kHz]となるが、回路の消費電力を抑えつつ、精度を確保する目的でPWMのキャリア周波数=20[kHz]となるように波形生成部A220a(又は波形生成部B220b)で生成する。
【0049】
また、PWMパルス(波形)のデューティを99.2[%]で正しく出力するための最高周波数は、0.008/500[ns]=16[kHz]となり、PWMのキャリア周波数=16[kHz]となるように波形生成部B220b(又は波形生成部A220a)で生成する。
【0050】
なお、この16[kHz]のPWMのキャリア周波数は、可聴域にかかるが、PWMパルス(波形)のパルスの幅が非常に小さいのでリップルのエネルギーが低く音圧レベルが低く、音響ノイズは問題とならない。(仮に、上述のデューティが58.7[%]のPWMパルスのキャリア周波数が可聴域に入ると、音響ノイズが大きな問題になる。)
【0051】
一方、ステッピングモータを高速で回転させる場合、PWMパルス(波形)のデューティが50[%]近傍では、デューティの時間的変化率が高くなるため(図5参照)、デューティの切り替え周波数、即ち、PWMのキャリア周波数を高くして、PWMパルス1周期ごとのデューティの変化量を小さくすることにより駆動電流を滑らかにする。
【0052】
このデューティの切り替えは、PWMパルスが整数周期で出力されたところで切り替える必要があるため、PWMのキャリア周波数の値が上限値となる。このためデューティの切り替え周波数を高くすることは、即ち、PWMのキャリア周波数を高くすることと同義になる。
【0053】
例えば、PWMパルス(波形)のデューティが50[%]に相当する電気的角度でデューティを0.5[%]ずつ変化させるためには、電気的角度を0.6度ずつ変化させることになる。したがって、ステッピングモータを960[pps]で駆動するときのPWMのキャリア周波数は、デューティが50[%]の電気的角度において、960[pps]/4×360/0.6=144[kHz]に設定する。デューティが50[%]から離れるにしたがって、デューティの変化率が低くなるため、デューティの変化率に応じてPWMのキャリア周波数も低くする。
【0054】
従って、このようにステッピングモータ30の制御を行う場合は、以下のような条件でPWMのキャリア周波数を変化させる。
【0055】
[1]ステッピングモータの回転を停止している状態、或いは、ゆっくりと回転させる場合のキャリア周波数は次のようにする。
【0056】
[1−1]PWMパルス(波形)のデューティが50[%]以下の場合
▲1▼(デューティ[%]/100)/Tr[s]>20[kHz]であれば、キャリア周波数=20[kHz]とする。
▲2▼(デューティ[%]/100)/Tr[s]<20[kHz]であれば、キャリア周波数=((デューティ[%]/100)/Tr[s])[Hz]とする。
【0057】
[1−2]PWMパルス(波形)のデューティが50[%]以上の場合
(1)((100−(デューティ[%]/100/Tr[s])>20[kHz]であれば、キャリア周波数=20[kHz]とする。
(2)((100−(デューティ[%])/100/Tr[s])<20[kHz]であれば、キャリア周波数=(デューティ[%]/100)/Tr[s])[Hz]とする。
【0058】
[2]ステッピングモータを高速で回転させる場合のキャリア周波数は、次のようにする。
【0059】
▲1▼(回転速度[pps]/4×360/cosθ[rad])[Hz]>16[kHz]であれば、キャリア周波数=(回転速度[pps]/4×360/cosθ[rad])[Hz]とする。
▲2▼(回転速度[pps]/4×360/cosθ[rad])[Hz]<16[kHz]であれば、キャリア周波数=16[kHz]とする。
【0060】
このようにPWMのキャリア周波数を変化させてステッピングモータの駆動制御を行うことにより、以下のような駆動制御が可能となる。
【0061】
1)パルスのデューティに応じたキャリア周波数で駆動制御されるので、デューディ0〜100[%]全域に渡り、精度よく駆動制御することが可能となる。
2)デューティが0[%]又は100[%]近傍でも滑らかに駆動することができると共に、50[%]近傍でもデューティの切り替え段差を小さくすることができるため、モータの駆動音を低減することができる。
3)デューティが0[%]又は100[%]近傍でも精度が維持できるため、電圧変調することなく高精度でサイン波駆動することができ、モータを最大トルクで用いることができる。
4)モータの動作速度に応じてデューティの切り替え周期の変更が行われるので高速動作が可能になる。
【0062】
次に、第2の実施例としてDCモータを駆動制御する場合について説明する。
【0063】
図7は、DCモータのPWM駆動するときのDCモータ(直流モータ)のモータ駆動回路の構成を簡略化して示したブロック図であり、MCU(Micro Controller Unit)40と、モータ駆動回路50と、DCモータ60と、などから構成される。
【0064】
MCU(Micro Controller Unit)40は、モータ駆動回路50に接続し、モータ駆動回路50に対し、モータへの印加電圧の時間的変化率に応じた所定の電気的角度を与え、DCモータ60の駆動を制御する機能を備えいる。
【0065】
モータ駆動回路50は、波形生成制御部510、波形生成部520、モータ駆動部530を備える。
【0066】
波形生成制御部510は、一方をMCU40、他方を波形生成部520と接続され、MCU40が指定する電気的角度に応じて波形生成部520を制御する。
【0067】
波形生成部520は、一方を波形生成制御部510、他方をモータ駆動部530と接続され、デューティ算出部521、カウンタ522、カウントスピードコントロール部523、比較器524から構成される。
【0068】
そして、波形生成部520を構成する各部521〜524は波形生成制御部510に従って動作し、デューティ算出部521は、生成するパルス波形のデューティを算出して比較器524に出力し、カウンタ522は、カウンタスピードコントロール部523からの制御に基づいたカウント値(=1秒間に発生するスイッチングパルス数)を比較器524に出力し、比較器524は、デューティ算出部521の出力とカウンタ522の出力に基づいたPWMパルスを生成し、モータ駆動部530に出力する。
【0069】
つまり、波形生成部520は、カウンタスピードコントロール部523によってカウンタ522を制御することによって、1秒間に発生するスイッチングパルス数=PWMのキャリア周波数を可変制御し、デューティ算出部521の出力とカウンタ522からの出力に基づいてPWMパルスを生成してモータ駆動部530に出力する。
【0070】
モータ駆動部530は、モータ駆動制御部531と4個のパワーMOSトランジスタからなるスイッチング部532から構成されており、一方を波形生成部520(の比較器524)、他方をDCモータ30のコイルと接続され、モータ駆動制御部531が波形生成部520からのPWMパルスに基づいてスイッチング部532を制御し、所定のモータ電源(VM)をDCモータ60に供給する。
【0071】
モータ駆動回路50は、上述の第1の実施例で説明したモータ駆動回路20の波形生成部B220b、ドライブ部240に相当する部分がないだけであり、その動作は基本的に同じであるため、モータ駆動回路50の各部の動作についての説明は省略する。
【0072】
DCモータを駆動制御する場合、PWMパルスのデューティが50[%]近辺(図5参照)、すなわち、トルクの低い領域ではPWMのキャリア周波数を高くして、トルクの切り替え周波数を高くすることにより、滑らかで、且つ、高速なトルク変化を可能にし、微妙な制御に対応できるようにする。
【0073】
一方、モータの最大トルクが発生するデューティ0[%]あるいは100[%]近傍(図5参照)では、PWMのキャリア周波数を所定値だけ低下させてトルク精度を確保することによってデューティ切り替えによるトルク変化に起因する音響ノイズ(回路のAC特性による波形の歪みに起因する駆動電流精度の悪化)を低減させる。
【0074】
すなわち、PWMのキャリア周波数の制御(変化)方法は、上述の第1の実施例のステッピングモータの場合と同様である。ただし、トルクの低い領域でトルクの切り替えが発生しないときは、PWMのキャリア周波数は低く抑えて、駆動回路の消費電力低減を図るものとする。
【0075】
従って、DCモータの制御を行う場合は、以下のような条件でPWMのキャリア周波数を変化させる。(Tr;モータに供給するモータ電源(VM)の立ち上がり時間とする。)
【0076】
[1]低トルクの場合のキャリア周波数は次のようにする。
【0077】
▲1▼低トルクで、且つ、トルクの切り替えをしないとき、キャリア周波数=20[kHz]とする。
▲2▼低トルクで、トルクの切り替えをするとき、トルクの切り替え周波数と20[kHz]を比較し、高い方の周波数をキャリア周波数とする。
【0078】
[2]高トルクの場合のキャリア周波数は次のようにする。
【0079】
(1)PWMパルス(波形)のデューティが50[%]以上のとき、キャリア周波数=((100−デューティ[%]/100)/Tr[s])[Hz]とする。
(2)PWMパルス(波形)のデューティが50[%]以下のとき、キャリア周波数=((デューティ[%]/100)/Tr[s])[Hz]とする。
【0080】
このようにキャリア周波数を変化させてDCモータの駆動制御を行うことにより、以下のような駆動制御が可能となる。
【0081】
1)低トルク領域で分解能が高く、かつ、トルク切り替え周波数を高くできるため、精度の高い駆動制御が可能になる。
2)高トルク領域において、精度の高いトルク設定が可能であるので、トルクの切り替え精度が向上し、高トルク領域で問題になる音響ノイズを低減することができる。
3)必要最小のパルスでのスイッチング周期になるため、駆動回路の消費電力を低減することができる。
4)モータ駆動パルスの立ち上がり速度を低く抑えることができるため、高密度実装時にモータ駆動波形の微弱信号線へのかぶりを低減することができる。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、モータ駆動回路は、キャリア周波数可変手段によりモータへの印加電圧の時間的変化率に応じて変化させたキャリア周波数、即ち、PWMパルスのデューティの変化に応じたキャリア周波数を生成し、このキャリア周波数に基づいてモータを駆動制御することによって、PWMパルスのデューティが0〜100[%]全域に渡り高い精度でモータの駆動制御を行うことができるようになるとともに、モータの駆動音を抑え、消費電力を低減できるという極めて優れた効果を奏するものである。
【0083】
また、モータ駆動パルスの立ち上がり速度を低く抑えることができ、モータの駆動状態を検出するためのフィードバック信号も不要であるため、他の信号線などへの影響(かぶり)を低減できるという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモータ駆動回路で2相ステッピングモータを制御するときの構成を略示的に示したブロック図である。
【図2】図1に示したモータ駆動回路の波形生成部の出力波形を略示的に示した説明図である。
【図3】図1に示したモータ駆動回路におけるスイッチング動作についての説明図である。
【図4】図1に示したモータ駆動回路において、スイッチング動作時のモータコイル印加電圧(VM)の立ち上がり時間を示したグラフである。
【図5】図1に示したモータ駆動回路におけるPWMパルスのデューティ[%]と電気的角度[deg]の関係を示したグラフである。
【図6】図4に示すグラフに基づく、PWMパルス(最小幅)の状態を略示的に示した説明図である。
【図7】本発明に係るモータ駆動回路でDCモータを制御するときの構成を略示的に示したブロック図である。
【符号の説明】
10;MCU(Micro Controller Unit)
20;モータ駆動回路、210;波形生成制御部、220a;波形生成部A、221a;デューティ算出部、222a;カウンタ、223a;カウントスピードコントロール部、224a;比較器、220b;波形生成部B、221b;デューティ算出部、222b;カウンタ、223b;カウントスピードコントロール部、224b;比較器、230;モータ駆動部、231;モータ駆動制御部、232;スイッチング部、240;ドライブ部、241;モータ駆動制御部、242;スイッチング部
30;2相ステッピングモータ
40;MCU(Micro Controller Unit)
50;モータ駆動回路、510;波形生成制御部、520;波形生成部、521;デューティ算出部、522;カウンタ、523;カウントスピードコントロール部、525;比較器、530;モータ駆動部、531;モータ駆動制御部、532;スイッチング部
60;DCモータ
Claims (1)
- PWM制御のためのキャリア周波数を任意に可変出力するキャリア周波数可変手段を備えたモータ駆動回路であって、
前記キャリア周波数可変手段により、
(1)ステッピングモータの回転を停止している状態或いはゆっくりと回転させる場合のキャリア周波数は、デューテイが50%以下のとき、
(デューテイ(%)/100/Tr(立ち上がり時間)(s))>20kHz
であれば、キャリア周波数は20kHzに設定し、
(デューテイ(%)/100/Tr(立ち上がり時間)(s))<20kHz
であれば、キャリア周波数は(デューテイ(%)/100/Tr(立ち上がり時間)(s))(Hz)に設定し、
デューテイが50%以上のとき、
((100−デューテイ(%))/100/Tr(立ち上がり時間)(s))>20kHz
であれば、キャリア周波数は20kHzに設定し、
((100−デューテイ(%))/100/Tr(立ち上がり時間)(s))<20kHz
であれば、キャリア周波数は(デューテイ(%)/100/Tr(立ち上がり時間)(s))(Hz)に設定し、
(2)ステッピングモータを高速で回転させる場合のキャリア周波数は、
(回転速度(pps))/4×360/(cosθ(rad))(Hz)>16kHz
であれば、キャリア周波数は(回転速度(pps))/4×360/(cosθ(rad))(Hz)に設定し、
(回転速度(pps))/4×360/(cosθ(rad))(Hz)<16kHz
であれば、キャリア周波数は16kHzに設定してステッピングモータを駆
動制御することを特徴とするモータ駆動回路。
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