JP4221907B2 - 電動パワーステアリング装置の制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や車両の操舵系にモータによる操舵補助力を付与するようにした電動パワーステアリング装置の制御装置に関し、特にモータの温度を推定してモータの温度保護や角速度推定値の補正を行い、更には温度センサの異常検出を行うようにした電動パワーステアリング装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車や車両のステアリング装置をモータの回転力で補助負荷付勢する電動パワーステアリング装置は、モータの駆動力を減速機を介してギア又はベルト等の伝達機構により、ステアリングシャフト或いはラック軸に補助負荷付勢するようになっている。かかる従来の電動パワーステアリング装置は、アシストトルク(操舵補助トルク)を正確に発生させるため、モータ電流のフィードバック制御を行っている。フィードバック制御は、電流制御値とモータ電流検出値との差が小さくなるようにモータ印加電圧を調整するものであり、モータ印加電圧の調整は、一般的にPWM(パルス幅変調)制御のデュ−ティ比の調整で行っている。
【0003】
ここで、電動パワーステアリング装置の一般的な構成を図18に示して説明すると、ハンドル1の軸2は減速ギア3、ユニバーサルジョイント4a及び4b、ピニオンラック機構5を経て操向車輪のタイロッド6に結合されている。軸2には、ハンドル1の舵角(操舵角)を検出する舵角センサ7及び操舵トルクを検出するトルクセンサ10が設けられており、ハンドル1の操舵力を補助するモータ20が減速ギア3を介して軸2に結合されている。パワーステアリング装置を制御するコントロールユニット30には、バッテリ14からイグニションキー11を経て電力が供給され、コントロールユニット30は、トルクセンサ10で検出された操舵トルクT、車速センサ12で検出された車速V、舵角センサ7で検出された舵角θに基いてアシスト指令の操舵補助指令値Iの演算を行い、演算された操舵補助指令値Iに基いてモータ20に供給する電流を制御する。
【0004】
コントロールユニット30は主としてCPUで構成されるが、そのCPU内部においてプログラムで実行される一般的な機能を示すと、図19のようになる。
【0005】
コントロールユニット30の機能及び動作を説明すると、トルクセンサ10で検出されて入力される操舵トルクTは、操舵系の安定性を高めるために位相補償器31で位相補償され、位相補償された操舵トルクTAが操舵補助指令値演算器32に入力される。また、車速センサ12で検出された車速Vも操舵補助指令値演算器32に入力される。操舵補助指令値演算器32は、入力された操舵トルクTA及び車速Vに基いてモータ20に供給する電流の制御目標値である操舵補助指令値Iを決定する。操舵補助指令値Iは減算器30Aに入力されると共に、応答速度を高めるためのフィードフォワード系の微分補償器34に入力され、減算器30Aの偏差(I-i)は比例演算器35に入力されると共に、フィードバック系の特性を改善するための積分演算器36に入力される。微分補償器34及び積分補償器36の出力も加算器30Bに加算入力され、加算器30Bでの加算結果である電流制御値Eが、モータ駆動信号としてモータ駆動回路37に入力される。モータ20のモータ電流値iはモータ電流検出回路38で検出され、モータ電流値iは減算器30Aに入力されてフィードバックされる。
【0006】
上述のような電動パワーステアリング装置において、従来モータ駆動用パワー素子が過熱により故障するのを防止するために、パワー素子が取付けられた放熱ブロックに温度センサを設け、パワー素子の温度を監視し、これによって異常過熱にならないように通電制御するようにしたものがある。また、モータを保護するためにモータにも温度センサを設け、モータの温度を監視し、同様に定格温度以上にならないように制御するものがある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年の更なるコストダウン要求の中、温度センサを用いるとどうしても高価となり、また、温度センサと制御回路とのコネクタ配線やインタフェース回路も必要であって、これらは電動パワーステアリング装置の小型化、ローコスト化の阻害要因となっていた。また、モータに温度センサを設けることなく、モータの平均電流検出値に応じて最大電流値を制限する方法もあるが、この方法では、モータ電流はモータ損失熱量には比例しないので、モータの定格温度以上で使用してしまう可能性が高くなる問題がある。
【0008】
モータ端子間電圧をVm、モータ巻線抵抗をRm、逆起電圧定数をKT、モータ電流をI、モータ角速度をωとすると、温度推定には一般に下記(1)式が利用される。
【0009】
Vm = Rm・I + KT・ω ・・・(1)
例えば特開平6−153381号公報では(1)式からモータ巻線抵抗Rmを求め、抵抗値の増分からモータ温度を推定している。この場合、モータには角速度センサが取付けられている。巻線抵抗値の増分からの温度推定であり、実際は温度によって変化する逆起電圧定数を一定としているため、逆起電圧定数の誤差がそのまま温度推定値の誤差に影響する欠点がある。また、特開平8−133107号公報では、操舵トルク入力の変化が小さいときは角速度ω≒0と推定し、Vm = Rm・Iからモータ巻線抵抗Rmを算出し、この増分からモータ温度を推定している。しかし、角速度ω≒0以外のときに温度推定できないという問題がある。
【0010】
更に、特開平10−100913号公報では抵抗値モデルから角速度を推定し、角速度ω≒0のところでVm = Rm・Iに基づいてモータ巻線抵抗Rmを算出し、この増分からモータ温度を推定し、逆起電圧定数KTの補正を行い、更に角速度の推定値を補正するようになっている。即ち、モータ角速度推定器による角速度推定値を用いて温度推定しているが、モータ角速度推定器で求められる角速度推定値には、角速度0付近での不感帯があり、これを用いて温度推定を行うと、特に直進走行時の低電流域では不正確になる問題がある。また、特開平8−207799号公報では、モータ電流と発熱部位抵抗値からモータ発熱量を計算し、それを発熱量と熱抵抗のモデルに当てはめ、モータの温度上昇を算出している。しかしながら、モータ電流からモータ発熱量を計算する過程で誤差を生じ易いという問題がある。
【0011】
本発明は上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、新たにモータ温度用センサを設けることなく、或は温度センサによって検出された温度とは別にモータ温度を推定し、モータの温度保護や角速度推定値の補正を行うと共に、温度センサの異常を検出するようにした電動パワーステアリング装置の制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサと、前記ハンドルと一体的に設けられたステアリングシャフトを補助負荷付勢するモータと、前記モータのモータ電流を測定する電流測定手段とを具備して成る電動パワーステアリング装置の制御装置に関するもので、本発明の上記目的は、前記操舵角センサから得られるハンドル操舵角速度、前記モータの端子間電圧、前記モータ電流及び前記モータの逆起電圧定数に基づいてモータ巻線抵抗を求め、前記モータ巻線抵抗に基づいて前記モータの温度を推定する機能を設けることによって達成される。
【0013】
また、本発明は、ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサと、前記ハンドルと一体的に設けられたステアリングシャフトを補助負荷付勢するモータと、前記モータの温度を測定するモータ用温度センサと、前記モータのモータ電流を測定する電流測定手段とを具備して成る電動パワーステアリング装置の制御装置に関し、本発明の上記目的は、前記操舵角センサから得られるハンドル操舵角速度、前記モータの端子間電圧、前記モータ電流及び前記モータの逆起電圧定数に基づいてモータ巻線抵抗を求め、前記モータ巻線抵抗に基づいて前記モータの温度を推定し、前記推定温度と前記モータ用温度センサの測定温度とを比較することにより、前記モータ用温度センサ又は前記操舵角センサの異常を検出する機能を設けることにより達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明では、操舵角センサから得られるハンドル操舵角速度からモータ角速度を得るようにしているが、特開平6−153381号に示されるモータ角速度との違いは、モータ角速度を得るための専用のセンサを用意するのではなく、ハンドルの操舵角を得るための操舵角センサを利用するとことと、逆起電圧定数の温度による変化も考慮して補正をかけていることである。そして、モータ角速度を得た後のアルゴリズムは、本出願人による特開平10−100913号とほぼ同一の手法を用いるが、モータ角速度とほぼ同義であるハンドル操舵角速度を用いることで、より正確な温度推定を可能にしている。
【0015】
また、補正したモータ巻線抵抗Rmと逆起電圧定数KTとを利用し、本出願人による特開平10−109655号及び特開平10−338152号に示されるような角速度ωの推定をより正確に行う。既に角速度が求められているので、この推定処理は一見無駄のように見えるが、角速度推定値の方がより高い分解能で算出できる場合などは有効である。そして、モータ又は制御装置に温度センサが設けられている場合は、この温度推定値と温度センサから得られる温度とを比較し、温度センサの異常を検出する。
【0016】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は本実施例での制御機能のブロック図であり、トルクセンサからの操舵トルクTは操舵補助指令値演算部100及びセンタ応答性改善部101に入力され、各出力が加算器102に入力され、その加算結果がトルク制御演算部103に入力されている。センタ応答性改善部101は、アシスト特性不感帯での安定性確保、静摩擦の補償を行う。トルク制御演算部103の出力信号はモータロス電流補償部104に入力され、その出力が加算器105を経て最大電流制限部106に入力され、最大電流制限部106で最大電流値が制限されて電流制御部110に入力される。モータロス電流補償部104は、モータ電流が流れてもモータ出力に現れない電流を上乗せして、モータ出力トルク0からの立ち上りを改善し、最大電流制限部106は、電流指令値の最大値が定格電流となるように制限している。電流制御部110の出力は、Hブリッジ特性補償部111を経て電流ドライブ回路112に入力され、これによりモータ113を駆動する。
【0018】
モータ113のモータ電流iは、モータ電流オフセット補正部120を経てモータ電流Imとしてモータ角速度推定部121、電流ドライブ切換部122及び電流制御部110に入力され、モータ端子間電圧Vmはモータ角速度推定部121に入力される。モータ角速度推定部121で推定された角速度ωはモータ角加速度推定部・慣性補償部123、モータロストルク補償部124及びヨーレート推定部125に入力され、ヨーレート推定部125の出力は収れん性制御部126に入力され、収れん性制御部126及びモータロストルク補償部124の各出力は加算器127で加算され、その加算結果が更に加算器141を経て加算器102に入力される。モータ角加速度推定部・慣性補償部123はモータ慣性を加減速させるトルクを操舵トルクから排除し、慣性感のない操舵感にし、収れん性制御部126は車両のヨーの収れん性を改善するために、ハンドルが振れ回る動作に対してブレーキをかけるようになっており、モータロストルク補償部124はモータ113のロストルクの発生する方向、つまりモータ113の回転方向に対してロストルク相当のアシストを行う。また、電流ディザ信号発生部130が設けられており、電流ディザ信号発生部130及びモータ角加速度推定部・慣性補償部123の各出力が加算器131で加算され、その加算結果が加算器105に入力されている。電流ディザ信号発生部130は、モータ113が静摩擦で張り付いてしまうのを防止する。
【0019】
また、モータ端子間電圧Vm及びモータ電流オフセット補正部120からのモータ電流iはモータ温度推定部150に入力され、舵角速度ωと協働して推定された推定温度値Tmはモータ角速度推定部121に入力される。モータの角速度ωはモータ角速度推定部121でも推定されるが、特開平10−109655号等で示される通り、モータ角速度推定部121で求められる角速度には角速度0付近での不感帯があり、これを用いて温度推定をすると、直進走行時には(低電流域では)不正確になる。また、推定値であるのであるので、他の領域での誤差も考えられる。このため、モータ角速度推定を行っている装置においても、舵角センサからの角速度を用いて求めることに利点がある。更に、モータ角速度推定部121で用いられている逆起電圧定数や巻線抵抗値を、モータ温度推定部150で補正することで角速度推定をより正確にしたり、2重系にすることで舵角センサの異常を検出することが可能となる。
【0020】
さらに、加算器141には、ハンドル戻し制御部140からハンドル戻し制御信号HRが印加され、ハンドル戻し制御部140には車速センサからの車速V、舵角センサからの舵角θ、舵角速度ωが入力されている。舵角速度ωとしては、舵角センサからの舵角θを微分した微分値又はモータ角速度推定部121によって推定されたモータ角速度ω、或は舵角速度センサを設け、その舵角速度センサからの値を利用するものであってもよい。
【0021】
このような構成において、温度推定及びモータ保護の動作を、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0022】
先ず、上述した操舵角センサ等からのハンドルの舵角速度ωを読込み(ステップS1)、舵角速度ωに基づいてモータ角速度ωを算出する(ステップS2)。例えば舵角速度ωの単位が[deg/sec]で、モータ113からステアリングコラムシャフトへの減速比がnの場合、モータ角速度ω[rad/sec]は下記(2)式で求められる。
【0023】
ω=ω×π/180×n ・・・(2)
次に、モータ電流オフセット補正部120からのオフセット補正されたモータ電流Imを読取り(ステップS3)、バッテリ電圧Vbat及び制御装置が出力しているデューティEから、下記(3)式に従ってモータ端子間電圧Vmを算出する(ステップS4)。モータ端子間電圧Vmを算出するセンサが付いているシステムであれば、そのまま用いても良い。
【0024】
Vm = Vbat×E ・・・(3)
そして、モータ角速度ωが0になったか否かを判定し(ステップS5)、0でない場合には次のような演算処理を実行する。モータ端子間電圧Vm、モータ電流Im及びモータ角速度ωは既知であり、逆起電圧定数KT(T)は当初は前もって測定された基準値を用い、下記(4)及び(5)式を用いて、モータ端子間電圧Vm及びモータ巻線抵抗R(T)を求める(ステップS10)。
【0025】
Vm = R(T)・Im+KT(T)・ω ・・・(4)
R(T) = {Vm−KT(T)・ω}/Im ・・・(5)
ただし、Vmはモータ端子間電圧、R(T)はモータ巻線抵抗、KT(T)は逆起電圧定数、Imはモータ電流、ωはモータ角速度である。
【0026】
こうしてモータ巻線抵抗R(T)が求められたことにより、モータ温度値Tmは下記(7)式で求められる(ステップS11)。
【0027】
Tm = {R(T)−Rref}/α+Tref ・・・(6)
ただし、Trefは基準温度、Rrefは基準温度におけるモータ抵抗値、αはモータ巻線の温度係数である。
【0028】
一方、上記ステップS5において舵角速度ωが0になったとき、上記(4)式は下記(7)式となる(ステップS6)。
【0029】
R(T) = Vm/Im ・・・(7)
逆起電圧定数KT(T)に無関係となるので、(6)式による温度推定(ステップS7)がより正確なものとなる。この温度を用いて逆起電圧定数KT(T)を下記(8)式に従って補正する(ステップS8)。
【0030】
KT(T) = {1+0.002(Tm+20)/β}・KTref ・・・(8)
ただし、βは逆起電圧定数の温度係数、KTREFは基準温度における逆起電圧定数である。
【0031】
次回に舵角速度ωが0になるまで、この補正された逆起電圧定数KT(T)をステップS10及びS11の計算に用いることにより、より正確な温度推定を行うことができる。
【0032】
このモータ温度推定値Tmを用いて、図3に示すように制限温度値Tmax以下であるか否かを判定し(ステップS20)、モータ温度推定値Tmが制限温度値Tmaxを超えている場合にはモータ保護制御を行う(ステップS21)。
【0033】
また、上述のように補正されたモータ巻線抵抗R(T)、逆起電圧定数KT(T)を特開平10−109655号及び特開平10−338152号で示されるモータ角速度推定の手法を用いて、モータ角速度推定をより正確なものとする。
【0034】
更に、モータ用温度センサが使用されている場合は、図4に示すように、先ず温度センサTm1の温度を読込み(ステップS30)、モータ温度推定値Tmと温度センサの温度Tmiとの差(Tm-Tm1)が許容誤差T1以上であるか否かを判定し(ステップS31)、差(Tm-Tm1)が許容誤差T1以上の場合に温度センサが異常であると判断する(ステップS32)。また、制御装置に温度センサが装備され、これからモータ温度を推定している場合は、図5に示すように先ず制御装置用温度センサから推定されたモータ温度推定値Tm2を読込み(ステップS33)、モータ温度推定値Tmと制御装置用温度センサから推定されたモータ温度推定値Tm2との差(Tm-Tm2)が許容誤差T2以上か否かを判定し(ステップS34)、差(Tm-Tm2)が許容誤差T2以上の場合には制御装置用温度センサが異常であると判断する(ステップS35)。
【0035】
一方、図6はハンドル戻し制御部140の構成例を示しており、舵角θに基づいて所定関数でハンドル戻し基本電流値Irを出力するハンドル戻し基本電流回路140Aと、車速Vを入力して所定関数によりVに応じたゲインGvを出力するゲイン回路140Bと、ハンドル戻し基本電流回路140Aからのハンドル戻し基本電流値Irとゲイン回路140BからのゲインGvとを乗算する乗算器140Cと、乗算器140Cからの出力Ir・Gvを接点a又はbに切換えて出力するスイッチ140Dと、舵角θ及び舵角速度ωを入力し、両者の符号の一致又は不一致を判定する符号判定回路140Fと、スイッチ140Dが接点bに切換えられたときの出力を0とするゼロ出力回路140Eとで構成されている。
【0036】
符号判定回路140Fは、判定信号としてスイッチ信号SWを出力してスイッチ140Dの接点を切換えるが、舵角θ及び舵角速度ωの符号が不一致のときにスイッチ信号SWで接点aに、両者の符号が一致したときにスイッチ信号SWで接点bに切換えるようになっている。また、スイッチ140Dの接点a,bは、舵角速度ωがゼロとなったことを検出する回路(図示せず)からも切換えられるようになっている。
【0037】
ここにおいて、運転者がハンドルを操作して車両がカーブを通過するとき、ステアリング装置はタイヤが路面から受ける反力によって中立点、つまり直線走行位置に戻るような力を受ける。このため、車両がカーブを通過し終えたとき、運転者がハンドルから手を離すと、ステアリング装置は路面から受ける反力により自然に中立点に復帰し、ハンドルは逆方向に回転する。このような動作は一般に「ハンドル戻し」と呼ばれている。
【0038】
一般に自動車の操舵ハンドルは、セルフアライニングトルクと呼ばれるサスペンションからの反力によって中立点に戻ろうとするが、電動パワーステアリング装置においては、操舵補助用のモータ20の回転を減速ギア3を介して舵取り機構に伝達しているため、モータ20の慣性モーメントや減速ギア3の摩擦等が影響し、特に低速走行時におけるハンドル1の戻りが悪くなるという問題がある。そのため、ハンドル1を中立点に戻すようにモータ20を制御する必要がある。
【0039】
ハンドル戻し制御と呼ばれるこの制御は、一般に舵角センサ7で検出された舵角θによって、ハンドル切り増し時と戻し時を区別することなく、ハンドル戻し方向に作用する戻し電流値を決定するようになっている。しかし、この電流値は、当然のことながらハンドルの切り増し方向と反対方向に働くため、切り増し時には過剰な摩擦感やバネのような違和感を運転者に与えることになっていた。
【0040】
図7はハンドル戻し制御部140の動作例を示しており、先ず舵角センサから舵角θを読取り(ステップS50)、中立点θcを基準とした舵角θを求める(ステップS51)。舵角θは読取値をθrとすれば、θ=θrーθcで求められる。そして、ハンドル戻し基本電流回路140Aは舵角θからハンドル戻し基本電流値Irを求め(ステップS52)、次に車速Vを読取り(ステップS53)、ゲイン回路140Bから出力された車速感応ゲインGvを、乗算器140Cにおいてハンドル戻し基本電流値Irと乗算する(ステップS54)。即ち、Ir・Gvを求める。
【0041】
次に、舵角速度ωを読込むが(ステップS55)、舵角速度ωは、舵角センサからの舵角θを微分した微分値又はモータ角速度推定部121で求めた推定値のモータ角速度ω、或は舵角速度センサからの出力値を利用するものであってもよい。そして、舵角速度ωがゼロであるか否かを判定し(ステップS60)、ゼロであれば停止時と判断してスイッチ140Dを接点bとし、これによってハンドル戻し制御部140の出力、つまりハンドル戻し制御信号HRをゼロとする(ステップS64)。
【0042】
また、上記ステップS60で舵角速度ωがゼロでない場合には、符号判定回路140Fは舵角符号と舵角速度符号が同一か否かを判定し(ステップS61)、舵角符号と舵角速度符号が同一であれば切り増し時と判断し、スイッチ信号SWによってスイッチ140Dを接点bとし、これによりハンドル戻し制御信号HRをゼロとする(ステップS63)。舵角符号と舵角速度符号が異なる場合にはハンドル戻り時と判断し、スイッチ信号SWによってスイッチ140Dを接点aとし、乗算器140Cの出力(= Ir・Gv)をそのまま出力してハンドル戻し制御信号HRとする(ステップS62)。
【0043】
次に、図1の他の部分の構成を概略説明する。本実施例では先ずセンタ応答性改善部101を図8に示すように、位相補償部101A、近似微分部101B及びゲイン設定部101Cで構成とし、位相補償部101Aを図9に示す周波数特性とし、近似微分部101Bを図10に示す周波数特性とする。これにより、位相補償と近似微分との合成特性は図11に示すようになる。また、ゲイン設定部101Cでは、車速V及び操舵トルクTによってゲインを切り換えて設定する。更に、ハンドルが急に戻されるような不安な操舵感を低減し、保舵を安定させるため、操舵トルク大で、かつ操舵トルク変化率大とし、操舵トルク減少方向の場合にゲインを小さくする。即ち、切り換え条件は、|操舵トルク|(=A)と|操舵トルクー操舵トルク(1サンプリング前)|(=B)がそれぞれの所定値以上で、かつsign(A)<>sign(B)である。切り換え後のゲインは例えば、車速範囲を3分割し、それぞれの範囲で異なる値とする。なお、sign(A)<>sign(B)は、A=操舵トルクと、B=操舵トルクー操舵トルク(1サンプリング前)の符号が異なることを意味している。
【0044】
また、本実施例では操舵補助指令値演算部100におけるアシスト量の計算において、3つの代表車速(0、V1、V2Km/h)によるアシスト特性を基本特性として設定し、その他の車速では車速補間ゲインに応じて各基本特性間を車速2Km/h毎の補間を行う。そして、アシスト特性の車速設定範囲0〜V2Km/h、分解能2Km/hとする。基本アシスト特性(トルク対電流)は図12に示すものであり、0Km/h = Io特性、V1 = Ia特性、V2 = Ib特性で表わされている。そして、その他の車速についての車速補間演算は、図13で示す車速(Km/h)対車速補間係数γで2Km/h毎に行う。車速0〜V1のとき、アシスト電流IはI = Ia(T)+γ(V)(Io(T)-Ia(T))であり、車速(V1+2)〜V2Km/hのとき、アシスト電流IはI = Ib(T)+γ(V)(Ia(T)−Ib(T)))である。
【0045】
更に、本実施例ではトルク制御演算部103として電動パワーステアリング装置の機械系の安定化、減速ギア部ゴムダンパによる振動の安定化、操舵フィーリングの調整のため、操舵トルク応答を設定するようにしている。その構成は図14に示すようになっており、クランプ回路103Aの後段に応答性定義部103Bが設けられ、その後段にクランプ回路103Cを経てロバスト安定化補償部103Dが設置されている。そして、ロバスト安定化補償部103Dの後段にクランプ回路103Eを経て位相補償部103Fが設けられ、更にクランプ回路103Gを経てロバスト安定化補償部103Hが設置されている。
【0046】
ロバスト安定化補償部103Hの特性は図15に示すものであり、制御系全体の特性を図16のようにする。機械系の特性が図17に示すようになっているため、総合的には山部と谷部が相殺されて、ほぼ平坦な特性となる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の電動パワーステアリング装置では、新たにモータ温度用センサを設けることなく、温度センサによって検出された温度とは別にモータの巻線温度を推定し、モータの温度保護制御を行うようになっている。しかも、ローコストで実現でき、モータ巻線温度の推定や温度保護制御をコントロールユニットのソフト的な対応で実現できる。また、モータ角速度の演算に用いる定数を推定温度値に従って補正することにより、角速度をより正確に検出でき、モータ温度によらない安定した操舵性能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電動パワーステアリング装置の制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本発明の動作例を示すフローチャートである。
【図3】モータ温度保護の動作例を示すフローチャートである。
【図4】モータ用温度センサの異常検出の動作例を示すフローチャートである。
【図5】制御装置温度センサの異常検出の動作例を示すフローチャートである。
【図6】ハンドル戻し制御部の構成例を示すブロック図である。
【図7】ハンドル戻し制御部の動作例を示すフローチャートである。
【図8】センタ応答改善部のブロック構成図である。
【図9】位相補償部の特性例を示す図である。
【図10】近似微分部の特性例を示す図である。
【図11】位相補償部及び近似微分部の合成特性を示す図である。
【図12】基本アシスト特性を示す図である。
【図13】車速補間演算の一例を示す図である。
【図14】トルク制御演算の構成例を示すブロック図である。
【図15】ロバスト安定化補償の特性例を示す図である。
【図16】制御系の特性例を示す図である。
【図17】機械系の特性例を示す図である。
【図18】電動パワーステアリングの一般例を示す機構図である。
【図19】コントロールユニットの一般的な内部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
7 舵角センサ
10 トルクセンサ
12 車速センサ
20 モータ
30 コントロールユニット
100 操舵補助指令値演算部
101 センタ応答性改善部
103 トルク制御演算部
110 電流制御部
112 電流ドライブ回路
113 モータ
121 モータ角速度推定部
124 モータロストルク補償部
125 ヨーレート推定部
126 収れん性制御部
140 ハンドル戻し制御部
150 モータ温度推定部

Claims (5)

  1. ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサと、前記ハンドルと一体的に設けられたステアリングシャフトを補助負荷付勢するモータと、前記モータのモータ電流を測定する電流測定手段とを具備して成る電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記操舵角センサから得られるハンドル操舵角速度、前記モータの端子間電圧、前記モータ電流及び前記モータの逆起電圧定数に基づいてモータ巻線抵抗を求め、前記モータ巻線抵抗に基づいて前記モータの温度を推定する機能を具備したことを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
  2. 前記モータの温度推定値を制限温度値と比較し、前記温度推定値が前記制限温度値以上となったときに前記モータの温度保護制御を行う請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  3. 前記モータの温度推定値に基づいて前記逆起電圧定数を補正するようになっている請求項1に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  4. 前記補正された逆起電圧定数及びモータ巻線抵抗に基づいてモータ角速度を推定するようになっている請求項3に記載の電動パワーステアリング装置の制御装置。
  5. ハンドルの操舵角を検出する操舵角センサと、前記ハンドルと一体的に設けられたステアリングシャフトを補助負荷付勢するモータと、前記モータの温度を測定するモータ用温度センサと、前記モータのモータ電流を測定する電流測定手段とを具備して成る電動パワーステアリング装置の制御装置において、前記操舵角センサから得られるハンドル操舵角速度、前記モータの端子間電圧、前記モータ電流及び前記モータの逆起電圧定数に基づいてモータ巻線抵抗を求め、前記モータ巻線抵抗に基づいて前記モータの温度を推定し、前記推定温度と前記モータ用温度センサの測定温度とを比較することにより、前記モータ用温度センサ又は前記操舵角センサの異常を検出する機能を具備したことを特徴とする電動パワーステアリング装置の制御装置。
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