JP4221813B2 - 循環流動層ボイラ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、循環流動層ボイラに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、従来の循環流動層ボイラは、図3に示される如く、水冷の炉壁1aにより形成された火炉1の底部に、空気分散板2が設けられており、該空気分散板2上に、投入された石炭或いはゴミ固形燃料等の燃料を、前記空気分散板2から吹き出される一次空気Aにより灰や石灰石等からなるベッド材3と共に流動化させながら燃焼させ、図示していない発電用蒸気タービン等に供給する蒸気を発生させるようにしてある。
【0003】
前記空気分散板2から吹き出される一次空気Aは、前記火炉1の底部に接続された一次空気ライン4を介してファン5の作動により供給されるようになっている。
【0004】
更に、前記火炉1の上部には、火炉1内での燃焼により発生した排ガスを導き得るようサイクロン6が接続されており、前記排ガスによって吹き上げられた灰が前記サイクロン6で捕集され、該サイクロン6で捕集された灰は、サイクロン6下部に接続された灰落下管7から灰再循環装置としての外部熱交換器8へ導入され、該外部熱交換器8において抜熱されて冷却された後、灰戻し管9を介して前記火炉1の底部に戻され、循環されるようになっている。
【0005】
ここで、前記外部熱交換器8は、前記灰落下管7が接続されるシールボックス10内底部に、流動用空気Cを空気分散板11から上方へ吹き出すためのウィンドボックス12を形成し、該ウィンドボックス12に、前記一次空気ライン4から分岐させた流動用空気供給管13を接続し、空気分散板11の上方におけるシールボックス10内に、循環灰を冷却するための伝熱管14を配設してなる構成を有している。又、前記外部熱交換器8は、一般的にサイクロン6下部の圧力よりも火炉1内下部の圧力の方が高くなっていることを考慮し、この状態において、火炉1内の排ガスがサイクロン6下部の灰落下管7側に流れ込むことを防止し、且つサイクロン6で分離された灰を火炉1内に確実に流下させて戻し得るよう、いわゆるJバルブのような形に形成してある。
【0006】
一方、前記サイクロン6で灰が分離された排ガスは、過熱器及び節炭器等を備えた後部伝熱部15において熱回収されてから排ガスライン16へ流出し、図示していない空気予熱器や集塵機等を経て煙突から大気に放出されるようにしてある。
【0007】
又、前記火炉1の上下方向中間部には、二次空気ライン17が接続され、ファン18の作動により二次空気Bが供給されるようになっており、前記一次空気ライン4及び二次空気ライン17の二系統から火炉1へ燃焼空気を供給することによりNOxの発生を抑制すると共に、前記二次空気ライン17から火炉1内に二次空気Bを供給することにより未燃分の燃焼を助勢するようにしてある。
【0008】
ところで、図3に示されるような循環流動層ボイラの場合、火炉1の伝熱面積は一定であるため、仮に、前記外部熱交換器8がなかったとすると、高負荷時にカロリーの高い燃料が供給されたような場合、火炉1において熱が取りきれずに温度が上昇してしまうことから、燃料の供給量を減らさざるを得なくなり、負荷が取れなくなるが、このような時には、循環灰が外部熱交換器8において冷却されて火炉1へ戻されるため、火炉1における温度上昇が抑えられ、燃料の供給量を減らさなくて済み、負荷も取ることができる。
【0009】
しかしながら、逆に、低負荷時のように火炉1内の温度が低い場合には、外部熱交換器8における灰の冷却量は調節できないため、該外部熱交換器8で灰が更に冷却されて火炉1へ戻されると、火炉1内の温度が低下しすぎて、火炉1内における流動燃焼が安定しなくなり、この結果、負荷をあまり下げられず、狭い負荷範囲でしか運転ができないという欠点を有していた。
【0010】
このような欠点を解消するものとしては、従来、例えば、図4に示されるようなものがあり、これは、灰落下管7の途中から分岐して火炉1の下部に接続され、サイクロン6で捕集された灰の一部を外部熱交換器8を通さずに火炉1へ直接戻すためのバイパスライン19を設け、該バイパスライン19途中にJバルブ20を形成し、該Jバルブ20に、流動用空気供給管13から分岐し且つ途中に流量調整弁21が設けられた流動用空気供給管22を接続してなる構成を有している。尚、図4中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0011】
図4に示される循環流動層ボイラにおいては、火炉1内で空気分散板2から吹き出される一次空気Aにより燃料がベッド材3と共に流動化しながら燃焼し、火炉1内での燃焼により発生した排ガスによって吹き上げられた灰がサイクロン6で捕集され、該サイクロン6で捕集された灰は、サイクロン6下部に接続された灰落下管7から外部熱交換器8へ導入され、該外部熱交換器8において抜熱されて冷却された後、灰戻し管9を介して前記火炉1の底部に戻され、循環される一方、必要に応じて、流量調整弁21の開度調節により、流動用空気供給管22からJバルブ20へ流動用空気Dが導入され、前記サイクロン6で捕集された灰の一部が外部熱交換器8を通らずに火炉1へ直接戻され、これにより、外部熱交換器8における灰の冷却量が適宜調節される形となる。
【0012】
即ち、高負荷時にカロリーの高い燃料が供給されたような場合には、流量調整弁21の開度を絞ってバイパスライン19へ分岐する循環灰の量を減らすと共に、外部熱交換器8へ導入される循環灰の量を増やすことにより、火炉1における温度上昇が抑えられ、燃料の供給量を減らさなくて済み、負荷も取ることができる一方、逆に、低負荷時のように火炉1内の温度が低い場合には、流量調整弁21の開度を広げてバイパスライン19へ分岐する循環灰の量を増やすと共に、外部熱交換器8へ導入される循環灰の量を減らすことにより、火炉1内の温度が低下しすぎることが防止され、火炉1内における流動燃焼が安定し、負荷を充分に下げることが可能となり、この結果、広い負荷範囲で且つ幅広い種類の燃料に対し適切な炉内温度で運転が行えるようになっている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図4に示されるような従来の循環流動層ボイラの場合、サイクロン6で捕集された灰を火炉1へ戻すための系統が二系統必要となって、それぞれの系統にJバルブ20のようなシール機構が必要になると共に、循環灰を外部熱交換器8とバイパスライン19とへ分配するための流動用空気供給管22も余分に必要となり、構造が複雑化し且つコストアップにもつながるという欠点を有していた。
【0014】
本発明は、斯かる実情に鑑み、バイパスラインを設けることを不要とし得、構造の簡略化並びに設備費の削減を図りつつ、広い負荷範囲で且つ幅広い種類の燃料に対し適切な炉内温度で運転を行うことができる循環流動層ボイラを提供しようとするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、サイクロンで捕集され灰落下管からシールボックス内へ導入される循環灰を冷却し、灰戻し管から火炉へ戻す外部熱交換器を備えた循環流動層ボイラにおいて、
シールボックス内底部に、流動用空気を空気分散板から上方へ吹き出すためのウィンドボックスを形成し、該ウィンドボックスを複数の室に分割し、各室にそれぞれ、途中に開閉弁が設けられた流動用空気供給管を接続し、
ウィンドボックスの所望の室内に、開閉弁を常時開放して流動用空気を常時供給することにより、該室の上方対応位置に、循環灰が常時流動する常時流動領域を形成すると共に、該常時流動領域が上方対応位置に形成された室以外の室内に、開閉弁を必要に応じて開閉して流動用空気を必要に応じて供給・停止することにより、該室の上方対応位置に、循環灰が流動或いは停止する流動停止可能領域を形成するよう構成し、
常時流動領域の下部にサイクロンで捕集された循環灰が導入されるよう、シールボックス下部に灰落下管を接続し、
流動停止可能領域内に、循環灰を冷却するための伝熱管を配設し、
該伝熱管より上方における常時流動領域と流動停止可能領域とに、前記流動用空気供給管から分岐し且つ途中に流量調整弁が設けられた流動用空気供給管が接続されて空気が吹き出され循環灰を灰戻し管へ移動させるための上部散気管を配設し、
外部熱交換器を構成したことを特徴とする循環流動層ボイラにかかるものである。
【0016】
上記手段によれば、以下のような作用が得られる。
【0017】
本発明の循環流動層ボイラにおいては、火炉内での燃焼により発生した排ガスによって吹き上げられた灰がサイクロンで捕集され、該サイクロンで捕集された灰は、サイクロン下部に接続された灰落下管から外部熱交換器の常時流動領域の下部へ導入される。
【0018】
ここで、高負荷時にカロリーの高い燃料が供給されたような場合には、常時開放される開閉弁以外の開閉弁も開放すると、常時流動領域だけでなく流動停止可能領域における灰も流動する状態となり、前記常時流動領域の下部へ導入された循環灰は、該常時流動領域と流動停止可能領域とで流動しつつ上昇し、伝熱管と接触し熱を奪われて温度低下した後、灰戻し管へ移動して行き、火炉の底部に戻され、循環されるため、火炉における温度上昇が抑えられ、燃料の供給量を減らさなくて済み、負荷も取ることが可能となる。
【0019】
一方、負荷が低く、火炉内における燃焼温度の低いときには、常時開放される開閉弁以外の開閉弁を閉じておくと、流動停止可能領域における灰は流動せずに停滞した状態となり、前記常時流動領域の下部へ導入された循環灰は、該常時流動領域のみで流動しつつ上昇し、伝熱管とほとんど接触せずに、上部散気管から吹き出される空気により灰戻し管へ移動して行き、火炉の底部に戻され、循環されるため、火炉内の温度が低下しすぎることが防止され、火炉内における流動燃焼が安定し、負荷を充分に下げることが可能となる。
【0020】
尚、前記上部散気管から吹き出される空気量は、該上部散気管が配設されている領域の空気分散板から流動用空気が供給されてその領域が流動状態にあるときには、絞ることが可能である。
【0021】
この結果、従来のようにバイパスラインを特別に設けたりしなくても、広い負荷範囲で且つ幅広い種類の燃料に対し適切な炉内温度で運転が行えることとなる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0023】
図1及び図2は本発明を実施する形態の一例であって、図中、図3と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、基本的な構成は図3に示す従来のものと同様であるが、本図示例の特徴とするところは、図1に示す如く、シールボックス10内底部に形成され且つ流動用空気Cを空気分散板11から上方へ吹き出すためのウィンドボックス12を複数(図の例では三個)の室12a,12b,12cに分割し、各室12a,12b,12cにそれぞれ、途中に開閉弁23a,23b,23cが設けられた流動用空気供給管13a,13b,13cを接続し、ウィンドボックス12の所望の室12a内に、開閉弁23aを常時開放して流動用空気Cを常時供給することにより、該室12aの上方対応位置に、循環灰が常時流動する常時流動領域24aを形成すると共に、該常時流動領域24aが上方対応位置に形成された室12a以外の室12b,12c内に、開閉弁23b,23cを必要に応じて開閉して流動用空気Cを必要に応じて供給・停止することにより、該室12b,12cの上方対応位置に、循環灰が流動或いは停止する流動停止可能領域24b,24cを形成し、常時流動領域24aの下部にサイクロン6で捕集された循環灰が導入されるよう、シールボックス10下部に灰落下管7を接続し、流動停止可能領域24b,24c内に、循環灰を冷却するための伝熱管14を配設し、該伝熱管14より上方における常時流動領域24aと流動停止可能領域24b,24cとに、空気が吹き出され循環灰を灰戻し管9へ移動させるための上部散気管25を配設し、外部熱交換器8を構成した点にある。
【0024】
前記常時流動領域24aと流動停止可能領域24b,24cとに配設される上部散気管25にはそれぞれ、流動用空気供給管13から分岐し且つ途中に流量調整弁26a,26b,26cが設けられた流動用空気供給管27a,27b,27cを接続してある。
【0025】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0026】
図1に示す循環流動層ボイラにおいては、火炉1内で空気分散板2から吹き出される一次空気Aにより燃料がベッド材3と共に流動化しながら燃焼し、火炉1内での燃焼により発生した排ガスによって吹き上げられた灰がサイクロン6で捕集され、該サイクロン6で捕集された灰は、サイクロン6下部に接続された灰落下管7から外部熱交換器8の常時流動領域24aの下部へ導入される。
【0027】
ここで、高負荷時にカロリーの高い燃料が供給されたような場合には、常時開放される開閉弁23a以外の開閉弁23b,23cも開放すると、常時流動領域24aだけでなく流動停止可能領域24b,24cにおける灰も流動する状態となり、前記常時流動領域24aの下部へ導入された循環灰は、該常時流動領域24aと流動停止可能領域24b,24cとで流動しつつ上昇し、伝熱管14と接触し熱を奪われて温度低下した後、灰戻し管9へ移動して行き、火炉1の底部に戻され、循環されるため、火炉1における温度上昇が抑えられ、燃料の供給量を減らさなくて済み、負荷も取ることが可能となる。
【0028】
一方、負荷が低く、火炉1内における燃焼温度の低いときには、常時開放される開閉弁23a以外の開閉弁23b,23cを閉じておくと、流動停止可能領域24b,24cにおける灰は流動せずに停滞した状態となり、前記常時流動領域24aの下部へ導入された循環灰は、該常時流動領域24aのみで流動しつつ上昇し、伝熱管14とほとんど接触せずに、上部散気管25から吹き出される空気により灰戻し管9へ移動して行き、火炉1の底部に戻され、循環されるため、火炉1内の温度が低下しすぎることが防止され、火炉1内における流動燃焼が安定し、負荷を充分に下げることが可能となる。
【0029】
又、前記開閉弁23aと開閉弁23bとを開放し、開閉弁23cのみを閉じれば、流動停止可能領域24cにおける灰は流動せずに停滞した状態となり、前記常時流動領域24aの下部へ導入された循環灰は、該常時流動領域24aと流動停止可能領域24bとで流動しつつ上昇し、伝熱管14の伝熱面の略半分が生かされる形となり、外部熱交換器8での収熱量を略半分にすることも可能となる。
【0030】
尚、前記上部散気管25から吹き出される空気量は、該上部散気管25が配設されている領域の空気分散板11から流動用空気Cが供給されてその領域が流動状態にあるときには、対応する流量調整弁26a,26b,26cの開度調節により絞ることが可能である。
【0031】
この結果、従来のようにバイパスライン19を特別に設けたりしなくても、広い負荷範囲で且つ幅広い種類の燃料に対し適切な炉内温度で運転が行えることとなる。
【0032】
こうして、バイパスライン19を設けることを不要とし得、構造の簡略化並びに設備費の削減を図りつつ、広い負荷範囲で且つ幅広い種類の燃料に対し適切な炉内温度で運転を行うことができる。
【0033】
尚、本発明の循環流動層ボイラは、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、ウィンドボックスの室の分割数は三個に限らず更に細分化したり或いは二個にすることも可能であること等、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0034】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の循環流動層ボイラによれば、バイパスラインを設けることを不要とし得、構造の簡略化並びに設備費の削減を図りつつ、広い負荷範囲で且つ幅広い種類の燃料に対し適切な炉内温度で運転を行うことができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する形態の一例の全体概要構成図である。
【図2】本発明を実施する形態の一例における外部熱交換器の概要構成図である。
【図3】従来の一例の全体概要構成図である。
【図4】従来の他の例の全体概要構成図である。
【符号の説明】
1 火炉
6 サイクロン
7 灰落下管
8 外部熱交換器
9 灰戻し管
10 シールボックス
11 空気分散板
12 ウィンドボックス
12a 室
12b 室
12c 室
13a 流動用空気供給管
13b 流動用空気供給管
13c 流動用空気供給管
14 伝熱管
23a 開閉弁
23b 開閉弁
23c 開閉弁
24a 常時流動領域
24b 流動停止可能領域
24c 流動停止可能領域
25 上部散気管
C 流動用空気
Claims (1)
- サイクロンで捕集され灰落下管からシールボックス内へ導入される循環灰を冷却し、灰戻し管から火炉へ戻す外部熱交換器を備えた循環流動層ボイラにおいて、
シールボックス内底部に、流動用空気を空気分散板から上方へ吹き出すためのウィンドボックスを形成し、該ウィンドボックスを複数の室に分割し、各室にそれぞれ、途中に開閉弁が設けられた流動用空気供給管を接続し、
ウィンドボックスの所望の室内に、開閉弁を常時開放して流動用空気を常時供給することにより、該室の上方対応位置に、循環灰が常時流動する常時流動領域を形成すると共に、該常時流動領域が上方対応位置に形成された室以外の室内に、開閉弁を必要に応じて開閉して流動用空気を必要に応じて供給・停止することにより、該室の上方対応位置に、循環灰が流動或いは停止する流動停止可能領域を形成するよう構成し、
常時流動領域の下部にサイクロンで捕集された循環灰が導入されるよう、シールボックス下部に灰落下管を接続し、
流動停止可能領域内に、循環灰を冷却するための伝熱管を配設し、
該伝熱管より上方における常時流動領域と流動停止可能領域とに、前記流動用空気供給管から分岐し且つ途中に流量調整弁が設けられた流動用空気供給管が接続されて空気が吹き出され循環灰を灰戻し管へ移動させるための上部散気管を配設し、
外部熱交換器を構成したことを特徴とする循環流動層ボイラ。
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