JP4220976B2 - 建築物 - Google Patents

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Description

本発明は、建築物に係り、特に上層階のコーナー空間から柱や梁等の構造部材を取り除くように改良された建築物に関する。
近年の建築物の高層化によって、大きい耐震性能が要求されることから、建築物の外周面の架構を筒状に構成し、建築物全体を一つの筒とみなして水平荷重に抵抗させるチューブ架構(例えば特許文献1参照)の採用が増加してきている。建築物の外周面に形成されるチューブ状の外周架構は、柱と梁とで複数の平面架構を形成し、これらの平面架構を架構連結梁でチューブ状に連結することで形成されている。
一方、大規模な集合住宅やオフィスビル等においては、給排水、冷暖房空調、エレベーター等の設備を建築物の中心部にコアとしてまとめて配置し、機能的な核として構成したセンターコア方式と称される配置プランがある。コアは、壁構造体やブレース架構等を、構造上有利な配置(例えば断面H字状)で垂直方向に延びるように構築して構成されているので、比較的水平剛性が高く、これを構造的な核(以下、構造的核という)として利用する場合がある。さらに図11に示すように、このコア71を外周面のチューブ架構72(外周架構73)と組み合わせることで、コア71と外周架構73とを二重の構造的核として利用する架構(以下、ダブルチューブ架構74という)を採用すれば、建築物のさらなる高層化に対応することが可能となる。なお、図12に示すように、前記コア71をチューブ状に構築すると、コア71がチューブ状の内周架構75となり、前記外周架構73と組み合わせたものもダブルチューブ架構76と称される。
一般に、チューブ架構の建築物は、内部の梁や柱を設けなくてよいので、内部空間を大きく確保することができ、空間利用効率が良好で、レイアウトの自由度も高いといった長所がある。
特開2003−239562号公報(段落0015) 特許第3584979号公報(図1、図3)
しかしながら、図11及び図12に示すような、チューブ架構の建築物では、建築物の下層階から上層階に至るまで、外周面を連続する外周架構73が構築されている。そのため、居室として良い眺望が期待できる上層階のコーナー空間81においても、チューブ架構72を構成する柱82や梁83が邪魔して、居室から外部への視野が制約されてしまうといった問題があった。具体的には、図12に示すように、コーナー空間81に柱82が位置する場合には、居室内から広い角度の眺望が得られない。また、図13及び図14に示すように、コーナー空間81に柱82はないものの、梁83が位置する場合(例えば特許文献2参照)には窓84(図14参照)の高さが制限され、眺望の開けた大きな開放感が得られない。
そこで、本発明は前記の問題を解決すべく、必要な強度を保持しながら、上層階のコーナー空間から柱や梁等の構造部材を取り除くことができる建築物を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、平面の中央部分に位置する水平剛性の高いコアと、外部に面して柱と梁とで構成された複数の平面架構と、前記コアと前記平面架構とに支持される複数階のスラブとを備えてなる建築物であって、前記建築物のコーナー部分で隣り合う前記平面架構の水平方向端部の柱は、互いに前記コーナー部分を挟んで所定の距離を隔てて配置され、特定階より下層にのみ、前記平面架構を互いに連結する架構連結梁を設置して、チューブ状の外周架構を形成することで、前記特定階より下層を前記コアと前記外周架構とからなるダブルチューブ架構とし、該ダブルチューブ架構より上の階の前記平面架構を構造上互いに独立させたことを特徴とする建築物である。
ここで、ダブルチューブ架構は、外周架構の内部に形成されるコアが、チューブ状の架構である場合と、チューブ状ではない他の形状に構築された架構である場合の両方を含むものとする。
請求項1に係る発明によれば、建築物の特定階より下層をコアと外周架構とからなるダブルチューブ架構として、下層の水平剛性を上げるとともに、下層の水平剛性向上によって上層の水平剛性を落としても全体で必要な強度を確保できる点に着目し、上層では平面架構を互いに連結することなく、コアで水平剛性を確保している。したがって、建築物全体で必要な強度を保持しつつ、特定階より上層では、建築物の外部を、平面架構を連結することなく構成できるので、コーナー部分の柱や梁等の構造部材を取り除くことができる。これによって、建築物において良い眺望を期待できる上層のコーナー部分において、水平方向のみならず、上下方向にも広い窓を形成することができ、眺望の開けた大きな開放感を得ることができる。
請求項2に係る発明は、前記特定階以上の層の高さHに対する前記コアの幅Wの比H/Wを2〜4の範囲内に設定し、地震時に前記コアの曲げモードが卓越するのを抑制するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の建築物である。
請求項2に係る発明によれば、特定階以上の層の高さHに対するコアの幅Wの比H/W(以下、アスペクト比という)が建築物の変形モードに影響する点に着目して、そのアスペクト比を所定の範囲内と設定することによって、地震時に前記コアの曲げモードが卓越するのを抑制するようにし、架構の断面、寸法、接合形式を通常の範囲に設定した場合に、上層のコアの変形を抑えて合理的な構造設計が可能となる。
請求項3に係る発明は、前記コアは、柱と梁とで構成されるチューブ状の内周架構であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の建築物である。
本発明によれば、建築物としての必要な強度を保持しながら、上層階のコーナー空間から柱や梁等の構造部材を取り除くことができるといった優れた効果を発揮する。
次に、本発明を実施するための最良の第一の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態では、平面中心に、壁構造体を断面H字状に組まれて構築されたコアが設けられた高層の建築物を例に挙げて説明する。
図1は本発明に係る建築物を実施するための最良の第一の形態を示した斜視図、図2は図1のA−A線断面図及び、図1のB−B線断面図、図3は建築物の架構を模式的に示した斜視図及び、建築物高さと転倒モーメントとの関係を示したグラフ、図4はアスペクト比と層間変形の割合との関係を示したグラフ、図5は建築物高さと変形量との関係を示したグラフ、図6は建築物頂部のコアと平面架構を示した平面図である。
まず、本実施の形態に係る建築物の構成を説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る建築物1は、10階建の集合住宅またはオフィスビル等からなる高層建築物である。かかる建築物1は、図2及び図3(a)に示すように、断面略正方形状に形成されており、平面の中央部分に位置する水平剛性の高いコア2と、外部に面して柱3と梁4とで構成されて構造上互いに独立する複数の平面架構5と、コア2と平面架構5とに支持される複数階のスラブ6とを備えている。
コア2は、プレキャストコンクリート板等からなる壁構造体7を断面H字状に組み合わせて一体的に固定し、建築物1の底部から頂部まで上下方向に延出されて構築されている。コア2には、給排水、冷暖房空調、エレベーター、階段等が配置され、構造的な核と機能的な核としての二つの役目を果たす。壁構造体7の強度やコア2の形状は、建築物1の平面計画及び構造計画等の各種条件により適宜設定される。なお、壁構造体7の組合せ形状は、断面H字状に限られるものではなく、断面正方形や断面多角形等のチューブ状や、断面T字状や断面S字状等のように、組み合わせて固定することで高い水平剛性を得られる形状であればよい。本発明では、コア2は所定の構造的強度を有するので、これをチューブ架構の一種とする。
平面架構5は、建築物1の外周面の各辺に沿って、建築物1の底部から頂部まで上下方向に延出されて構築されている。各平面架構5は、建築物1のコーナー部分を挟んで所定の距離を隔てて配置されている。平面架構5を構成する柱3と梁4のサイズは、建築物1の平面計画及び構造計画等の各種条件により適宜設定され、上層階になるに連れて小さいサイズの柱3と梁4が採用される。各平面架構5は、各階に形成されるスラブ6を介してコア2に連結されている。スラブ6は、梁を用いないフラットスラブが採用されており、内部に梁が突出しない。これによって、内部の設計レイアウトの自由度が向上するとともに、階高を低くすることができる。
ところで、本発明は、特定階より下層11のコーナー部分に、平面架構5を互いに連結する架構連結梁8を設置して、建築物1の外周面にチューブ状の外周架構9を形成することで、一部の層を前記コア2と前記外周架構9とからなる二重の構造的核を有するダブルチューブ架構21としたことを特徴とする。
特定階は、本実施の形態では6階となり、5階以下の下層11に架構連結梁8が設けられている。なお、特定階は、平面計画、建築物1の高さ、構造計画等の各種要因によって適宜設定される。本実施の形態では、架構連結梁8は、1〜5各階の上面部で設けられ、上階のスラブ6を支持するように配置される。架構連結梁8は、建築物1のコーナー形状に合わせて湾曲されている。この架構連結梁8で、各平面架構5を連結することで、5階以下の下層11は外周面がチューブ状の外周架構9となる。これによって、下層11は、コア2を内側の構造的核(チューブ架構)とし、チューブ状の外周架構9を外側の構造的核とするダブルチューブ架構21となる。
これに対して、特定階以上の上層12は、コア2からなる一つの構造的核(チューブ架構)と、外周面に設けられた平面架構5が設けられており、シングルチューブ架構22となっている。
上層12のコア2の高さ(特定階から建築物1の頂部までの高さ)Hは、上層12のコア2の幅Wに応じて設定可能な範囲が決められる。具体的には、特定階から上層12のコア2の高さHに対する幅Wの比H/W(以下、アスペクト比という)を計算し、このアスペクト比が所定の値の範囲内となるように、上層12のコア2の高さH及び幅Wが決められる。
なお、コアが本実施の形態のように平面正方形ではなく、平面長方形に形成された場合は、コアの高さHは、長方形の短辺の幅Wを基に算出される。
ここで、アスペクト比を基準にしたのは、架構を構成する柱、梁部材断面、スパン、階高、構造種別等、ケースバイケースで一律にコア2の高さHと幅Wを設定するのは困難であるが、架構が通常の一般的な断面、寸法、接合形式であると仮定して、アスペクト比の数値を設定することで、コア2の変形を抑えることができ合理的な構造設計が可能になることに着目したからである。
建物の変形モードは、図4に示すように、アスペクト比が大きくなるほど、曲げ成分(建物自身の変形δmとロッキングによる変形δr)の割合が増加し、せん断成分(せん断変形δs)の割合が減少する傾向を有している。これは、アスペクト比が大きくなり建物高さが高くなるとロッキングによる変形δrが増加し、曲げ成分が増加するためである。
このように、建物の変形モードは、アスペクト比によって大きく影響を受け、一般的には、アスペクト比が「2以下」の場合せん断型、「2〜3」の場合せん断と曲げの混合型、「3以上」の場合曲げ型となる。本実施の形態の建築物1の上層12のようなセンターコア方式の建物では、周囲の架構に比べて水平剛性が高いコア2が水平力の大半を負担する。この場合、前記のアスペクト比の傾向を考慮すると、アスペクト比が3を超えて大きくなると、曲げ変形が支配的になって一次モードが卓越し、極端な場合はホイッピング現象の発生も考慮しなければならない。そのため、アスペクト比が3を超える場合には、曲げ変形を抑えるために特殊な手段を講じてコア2の水平剛性を高める必要が出てくる(ここでの特殊な手段とは、柱や壁の断面を大きくして、曲げに抵抗する軸部材や鉄筋量を増やしたり、鉛直方向にプレストレスを入れたり、或いは最上階にトップガーターを設けて外側の平面架構とコアを繋ぐ等の方法がある。)。
そこで、アスペクト比の最適な基準値を、特殊な手段を講じることなく一次モードの卓越を防止できる「3」として、この「3」を中心として、せん断と曲げの混合型の下限値である「2」を下限値とするとともに、特殊な手段を講じることで曲げ変形を抑えることができる「4」を上限値とした。
すなわち、特定階から上層12のコア2の幅Wに対する高さHの比H/W(アスペクト比)が、「2〜4」の範囲内となるように上層12のコア2の高さH及び幅Wが決められる。これによって、上層12のコア2の曲げモードの卓越を制御することができるので、合理的な構造設計が行われる。
ここで、アスペクト比を「4」とした場合、上層12のコア2の水平剛性を上げるために特殊な手段を講じなければならないが、本実施の形態では、図6に示すように、コア2の頂部14と平面架構5の頂部15とを、剛性の高い逆梁16で連結して剛接合している。逆梁16は、梁を井桁状に組んで構成することで剛性を高くしており、コア2の頂部14と平面架構5の頂部15とに掛け渡して載置されてボルト等の締結手段で剛接合されている。これによって、コア2の頂部14の回転を拘束することができ、上層12にかかる曲げ変形を抑えることができるとともに、窓17の高さを確保でき、良好な眺望を得ることができる。なお、コア2の頂部14と平面架構5の頂部15とを接合する梁は、逆梁に限定されるものではない。必要な剛性を有していれば、通常の梁であってもよい。この場合、窓の高さが梁背分小さくなってしまうが、その梁背分、階高を高くすることで、前記と同様の作用効果を得ることができる。
ところで、下層11のダブルチューブ架構21の高さH´に対する幅W´の比H´/W´(以下、アスペクト比という)と、上層12のコア2(シングルチューブ架構22)の高さHに対する幅Wの比H/Wとの比は、ダブルチューブ架構21の水平剛性とコア2の水平剛性との差が、水平剛性が不連続となる特定階に変形が集中しない程度に小さくなるように設定されており、地震時変形モードの不連続性を緩和している。
建物を上下方向に見て水平剛性が不連続となる特定階に変形が集中しやすくなる。一方、各アスペクト比H´/W´、H/Wが大きくなると各水平剛性がそれぞれ低くなり、各アスペクト比H´/W´、H/Wが小さくなると各水平剛性がそれぞれ高くなる。本発明では、これらの点に着目して、元々の数値が比較的大きいダブルチューブ架構21の水平剛性と、元々の数値が比較的小さいコア2の水平剛性との差が小さくなるように、コア2のアスペクト比H/Wとダブルチューブ架構21のアスペクト比H´/W´を増減するようになっている。本実施の形態では、下層11のダブルチューブ架構21のアスペクト比H´/W´と、上層12のコア2(シングルチューブ架構22)のアスペクト比H/Wとの比は、例えば1:1となり、各アスペクト比が等しくなっている。このようにアスペクト比H/W,H´/W´を調整して設定することで、ダブルチューブ架構21の水平剛性とコア2の水平剛性との差が小さくなり、地震時変形モードの不連続性が緩和されるので、水平剛性が不連続となる特定階に変形が集中するのを防止でき、合理的な構造計算が可能となる。
ここで、ダブルチューブ架構21のアスペクト比H´/W´が大きくなることと、コア2のアスペクト比H/Wが小さくなることは、ダブルチューブ架構21の水平剛性とコア2の水平剛性との差を小さくすることになるので好ましい。したがって、下層11のダブルチューブ架構21のアスペクト比H´/W´が、上層12のコア2のアスペクト比H/Wよりも高くなるように、各アスペクト比の比H´/W´:H/Wを設定すればよい。
次に、前記構成による建築物1の作用を説明する。
かかる建築物1によれば、下層11をコア2と外周架構9とからなるダブルチューブ架構21として、下層11の水平剛性を上げることで、建物全体の揺れを抑えることができる。図5は建築物高さと変形量との関係を示したグラフであり、図中、太実線Xは本実施の形態に係る建築物の変形状態を示し、実線Yは底部から頂部までがコアと外周架構からなるダブルチューブ架構で構成された建築物の変形状態を示し、破線Zは底部から頂部までがコアと平面架構で構成された建築物の変形状態を示す。図示するように、本実施の形態の建築物は、他の二つの建物と比較して建物全体の揺れが小さくなっている。破線Zの建物は、下層部からコアのみのシングルチューブ架構となっており、大きな転倒モーメントがかかる下層部の水平剛性が不足しているため、揺れが大きいと考えられる。また、実線Yの建物は、下層部から上層部にかけてダブルチューブ架構となっており、下層の必要な水平剛性は確保されているが、上層もダブルチューブ架構となっているので、その分重量が増加して、これが本発明の建築物と比較して揺れを大きくする要因となっていると考えられる。
これらに対して、本実施の形態に係る建築物1は、下層11をダブルチューブ架構21とし、上層12をシングルチューブ架構22として、意識的に下層11の水平剛性を高くして、上層12の水平剛性を低くしている。これは、以下の理由による。高層建築物の場合、図3(b)に示すように、下層に向かうに連れて発生する転倒モーメントが大きくなり、特に底部付近で大きな転倒モーメントが発生する。よって、下層11の水平剛性を高くすることによって下層11に発生する大きな転倒モーメントを処理する。逆に上層12に発生する転倒モーメントは小さいので、上層12の水平剛性を低くしても全体で必要な強度を確保できる。また、下層11の水平剛性を高くすることで、下層11のロッキング回転が減少し、上層12の移動量が減少する。そのため、上層12の水平剛性を低くすることができる。
本実施の形態によれば、以上のような合理的な構造設計を行うことによって、建築物全体で必要な強度を保持しつつ、特定階より上層12では、平面架構5を連結することなく、建築物1の外部を構成できる。したがって、コーナー部分20から柱や梁等の構造部材を取り除くことができ、これによって、建築物1において良い眺望を期待できる上層12のコーナー部分20に、開放的な窓17を形成することができる。窓17は、最大で、床を構成するスラブ6の天端から天井を構成する上階のスラブ6の下端までの大きさとすることができ、水平方向のみならず、上下方向にも広い眺望の開けた大きな開放感を得ることができる。さらに、デザイン上も開口部の自由度が高くなり有利となる。
また、本実施の形態では、上下方向に見て水平剛性が不連続となる特定階に変形が集中するのを防止するために、ダブルチューブ架構21の水平剛性とコア2の水平剛性との差を小さくするように構成しているが、これとは別に、コア2が下層11から上層12まで連続的に形成されているので、この構成が外周面の構造的不連続性を補うこととなり、変形の集中への対応能力を高めている。
図7は本発明に係る建築物を実施するための最良の第二の形態を示した平面断面図であって、(a)は上層を示した平面断面図、(b)は下層を示した平面断面図である。
本実施の形態の建築物18は、平面の中央部分に位置するコア23が、ブレース架構24から構成された点で、第一の実施の形態の建築物1と相違する。ブレース架構24は、隣接する柱3間にブレース25を掛け渡して構成されている。ブレース架構24を、必要な水平剛性が得られる形状(本実施の形態では断面コ字状)に組み合わせてコア23が形成されている。コア23は下層11から上層12にかけて連続的に形成されている。なお、その他の構成については、第一の実施の形態の建築物1と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施の形態によれば、第一の実施の形態と略同様の作用効果を得ることができ、さらに、本実施の形態の方が、ブレース架構24が、壁構造体7と比較して軽量であるので、構造的に有利となる。
図8は本発明に係る建築物を実施するための最良の第三の形態を示した平面断面図であって、(a)は上層を示した平面断面図、(b)は下層を示した平面断面図である。
本実施の形態の建築物19は、平面の中央部分に位置するコア26が、チューブ状の内周架構27から構成された点で、第一の実施の形態の建築物1と相違する。内周架構27は、柱3と梁4とで構成される複数の平面架構28を架構連結梁29で互いに連結して構成されている。下層11は、内周架構27と外周架構9の二つのチューブ架構から構成されるダブルチューブ架構21となる。コア26は下層11から上層12にかけて連続的に形成されている。なお、その他の構成については、第一の実施の形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
本実施の形態によれば、第一の実施の形態と略同様の作用効果を得ることができ、さらに、本実施の形態の方が、内周架構27が、第一の実施の形態の壁構造体7から構成されたコア2と比較して水平剛性が高いので、構造的に有利となる。
図9は本発明に係る建築物を実施するための最良の第四の形態を示した斜視図、図10は図9のC−C線断面図、図9のD−D線断面図及び、図9のE−E線断面図である。
本実施の形態は、第一の実施の形態の建築物1よりもさらに高層の場合の建築物に適用される。図9に示すように、本実施の形態に係る建築物31は、15階建の集合住宅またはオフィスビル等からなる高層建築物である。建築物31は、下層32、中層33、上層34に分けられ、各層32,33,34毎に架構が相違している。下層32、中層33、上層34は、それぞれ5階分ずつで構成されており、各層32,33,34の高さH1,H2,H3は略同等に構成されている。上層34の高さH3は、後述するコア35の幅Wに応じて、アスペクト比が2〜4の範囲になるように設定されている。
図10に示すように、建築物31は断面略正方形状に形成されており、平面の中央部分に位置する水平剛性の高いコア35と、外部に面して柱36と梁37とで構成される複数の平面架構38と、コア35と平面架構38とに支持される複数階のスラブ39とを備えている。
コア35は、柱40と梁41とで構成される平面架構43を架構連結梁44で互いに連結して構成されるチューブ状の内周架構45である。コア35は建築物31の底部から頂部まで上下方向に延出されて構築されている。
外周面の平面架構38は、第一の実施の形態の平面架構5と比べてサイズ等の違い以外は基本的には同等のものである。平面架構38は、建築物31の外周面の各辺に沿って、建築物31の底部から頂部まで上下方向に延出されて構築されている。各平面架構38は、建築物1のコーナー部分を挟んで所定の距離を隔てて配置されており、各階に形成されるスラブ39を介してコア35に連結されている。図示しないが、コア35の頂部と平面架構38の頂部は、図6の逆梁と同様の逆梁で連結されている。
中層33と上層34との境界である特定階より下側となる下層32(図10(c)参照)及び中層33(図10(b)参照)には、平面架構38を互いに連結する架構連結梁46が設置され、建築物31の外周面にチューブ状の外周架構47が形成されている。
下層32には、コア35の内側に、第二のコア48が設けられている(図10(c)参照)。第二のコア48は、プレキャストコンクリート板等からなる壁構造体49を断面H字状に組み合わせて構築されている。壁構造体49の強度や第二のコア48の形状は、建築物31の平面計画及び構造計画等の各種条件により適宜設定される。なお、壁構造体49の組合せ形状は、断面H字状に限られるものではなく、正方形や多角形等のチューブ状や、断面T字状や断面S字状等のように、組み合わせることで高い水平剛性を得られる形状であればよい。
これによって、下層32は、外周架構47とコア35と第二のコア48を構造的核とするトリプルチューブ架構51となり、中層33は、外周架構47とコア35を構造的核とするダブルチューブ架構52となり、上層34は、コア35を構造的核とするシングルチューブ架構53となる。以上の構成によれば、各層32,33,34の水平剛性を段階的に変化させることができるので、各層32,33,34間の水平剛性の差を小さくすることができ、特定階への変形の集中を回避できる。また、下層32を非常に水平剛性の高いトリプルチューブ架構51としたことによって、より高層の建築物にも適用することが可能となる。特に建物高さの高い建築物においては、高層階における眺望が一段と良好になるので、上層34のコーナー部分の柱36や梁37を取り除くことによる効果が大きくなる。
なお、本実施の形態では、コア35の内側に第二のコア48を設けているが、コア35の外側に第二のコアを設ける構成であってもよい。
なお、前記実施の形態では、10階の建築物1,18,19と15階の建築物31を例に挙げて本発明を説明したが、ここで建築物が、5、6階建以下の中層建築物や、15階よりもさらに高層の超高層建築物であっても本発明が適用可能であるのは勿論である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。例えば、建築物の平面形状は正方形状に限られることなく、様々な形状の建築物に対応することが可能である。
本発明に係る建築物を実施するための最良の第一の形態を示した斜視図である。 (a)は図1のA−A線断面図、(b)は図1のB−B線断面図である。 (a)は建築物の架構を模式的に示した斜視図、(b)は建築物高さと転倒モーメントとの関係を示したグラフである。 アスペクト比と層間変形の割合との関係を示したグラフである。 建築物高さと変形量との関係を示したグラフである。 建築物頂部のコアと平面架構を示した平面図である。 本発明に係る建築物を実施するための最良の第二の形態を示した平面断面図であって、(a)は上層を示した平面断面図、(b)は下層を示した平面断面図である。 本発明に係る建築物を実施するための最良の第三の形態を示した平面断面図であって、(a)は上層を示した平面断面図、(b)は下層を示した平面断面図である。 本発明に係る建築物を実施するための最良の第四の形態を示した斜視図である。 (a)は図9のC−C線断面図、(b)は図9のD−D線断面図、(c)は図9のE−E線断面図、である。 従来の建築物を示した平面断面図である。 従来の他の建築物を示した平面断面図である。 従来のさらに他の建築物を示した平面断面図である。 従来のさらに他の建築物を示した斜視図である。
符号の説明
1 建築物
2 コア
3 柱
4 梁
5 平面架構
6 スラブ
7 壁構造体
8 架構連結梁
9 外周架構
11 下層
12 上層
21 ダブルチューブ架構

Claims (3)

  1. 平面の中央部分に位置する水平剛性の高いコアと、外部に面して柱と梁とで構成された複数の平面架構と、前記コアと前記平面架構とに支持される複数階のスラブとを備えてなる建築物であって、
    前記建築物のコーナー部分で隣り合う前記平面架構の水平方向端部の柱は、互いに前記コーナー部分を挟んで所定の距離を隔てて配置され、
    特定階より下層にのみ、前記平面架構を互いに連結する架構連結梁を設置して、チューブ状の外周架構を形成することで、前記特定階より下層を前記コアと前記外周架構とからなるダブルチューブ架構とし、該ダブルチューブ架構より上の階の前記平面架構を構造上互いに独立させたことを特徴とする建築物。
  2. 前記特定階以上の層の高さHに対する前記コアの幅Wの比H/Wを2〜4の範囲内に設定し、地震時に前記コアの曲げモードが卓越するのを抑制するように構成したことを特徴とする、請求項1に記載の建築物。
  3. 前記コアは、柱と梁とで構成されるチューブ状の内周架構であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の建築物。
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