JP4220766B2 - 離型シート及びセラミックグリーンシートの転写方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、刺激を与えることにより粘着性を有する被着体を損傷することなく容易に剥がすことができる離型性物質、これを用いた離型シート及びセラミックグリーンシートの転写方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、成形用、粘着用等として、離型フィルムが種々の分野で使用されているが、離型フィルム使用上の問題点として、離型フィルムの剥離力が重すぎる(強すぎる)場合には、部分的に剥離困難等の不具合を生じる場合があること、一方、剥離力が軽すぎる(弱すぎる)場合には、剥離するきっかけを与えると必要以上に剥離してしまい、その制御が困難なこと等がある。
【0003】
例えば、積層セラミックコンデンサ、多層セラミック基板といった積層セラミック製品の製造工程等におけるセラミックグリーンシート成形用として用いた場合、この離型フィルムの表面には、フィルム上に形成した薄いセラミックグリーンシートをフィルムから容易に剥がすことができる離型性が要求される。
【0004】
しかしながら、離型フィルムの離型力が軽すぎてセラミックグリーンシートから剥がれやすいと、後工程中でセラミックグリーンシートの剥がれが生じて、多層積層化が困難である等の問題がある。一方、離型フィルムの離型力が重すぎてセラミックグリーンシートが剥がれにくいと、フィルムから剥がしたセラミックグリーンシートにヒビ、割れなどの欠陥が発生し、歩留りが低下したり、積層コンデンサ等の製品の品質が低下したりする。そのため、フィルム中にシリコーンオイルを配合する(例えば、特許文献1参照)、フィルム表面にシリコーン樹脂等を被覆して離型層を形成する(例えば、特許文献2、3及び4参照)といった手段が採られている。
【0005】
積層セラミックコンデンサ、多層セラミック基板といった積層セラミック製品では、製品の性能向上のため多層化の程度がますます進み、それにつれてセラミックグリーンシートも薄型化しており、現在では数十μmという薄さのものが多くなっている。このようにセラミックグリーンシートが薄型化すると、前述したようなシリコーン樹脂に基づく離型性だけでは、離型フィルムとセラミックグリーンシートとの剥離が困難となる場合があり、セラミックグリーンシートにクラックや割れが発生するという問題が顕著になる。一方、セラミックグリーンシートの薄型化により、離型フィルム上にセラミックスラリーを均一に塗工することも困難となり、セラミックスラリーのハジキによる塗りムラやピンホールといった欠陥が発生することも問題となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−196111号公報
【特許文献2】
特開平1−208824号公報
【特許文献3】
特開平7−787257号公報
【特許文献4】
特開平7−137217号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、刺激を与えることにより粘着性を有する被着体を損傷することなく容易に剥がすことができる離型性物質、これを用いた離型シート及びセラミックグリーンシートの転写方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する離型性物質であって、前記気体発生剤から発生した気体は、前記離型性物質外へ放出されて前記離型性物質が発泡せず、かつ、前記気体発生剤から発生した気体が、前記離型性物質から粘着性を有する被着体の粘着面の少なくとも一部を剥がす離型性物質である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明の離型性物質は、刺激により気体を発生する気体発生剤を含有するものである。なお、本明細書において離型性物質とは、自身は粘着性を有さないか、粘着性を有する被着体を比較的容易に剥離することができる性質を有する物質をいう。
上記気体発生剤から気体を発生させる刺激としては特に限定されず、例えば、光、熱、超音波、衝撃等が挙げられる。
【0010】
上記刺激により気体を発生する気体発生剤としては特に限定されないが、例えば、アゾ化合物、アジド化合物等が好適に用いられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェイトジハイドロレート、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラハイドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシアシル)−2−メチル−プロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−カルボキシエチル)アミジン]プロパン}、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミドオキシム)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス(4−シアンカルボニックアシッド)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノイックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
【0011】
なかでも、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルプロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−メチルエチル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス(N−ヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−プロピル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−エチル−2−メチルプロピオンアミド)等の下記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物が好ましい。
【0012】
【化1】
【0013】
式(1)中、R1及びR2は、それぞれ低級アルキル基を表し、R3は、炭素数2以上の飽和アルキル基を表す。なお、R1とR2は、同一であっても、異なっていてもよい。
【0014】
上記一般式(1)で表されるアゾアミド化合物は、熱分解温度が高いことから、本発明の離型性物質は、高温での使用及び安定した貯蔵が可能となる。
これらのアゾ化合物は、光、熱等による刺激により窒素ガスを発生する。
【0015】
上記アジド化合物としては、例えば、3−アジドメチル−3−メチルオキセタン、テレフタルアジド、p−tert−ブチルベンズアジド;3−アジドメチル−3−メチルオキセタンを開環重合することにより得られるグリシジルアジドポリマー等のアジド基を有するポリマー等が挙げられる。これらのアジド化合物は、特定の波長の光、熱、超音波及び衝撃等による刺激を与えることにより分解して、窒素ガスを発生する。
【0016】
これらの気体発生剤のうち、上記アジド化合物は衝撃を与えることによっても容易に分解して窒素ガスを放出することから、取り扱いが困難であるという問題がある。更に、上記アジド化合物は、いったん分解が始まると連鎖反応を起こして爆発的に窒素ガスを放出しその制御ができないことから、爆発的に発生した窒素ガスによって被着体が損傷することがあるという問題もある。このような問題から上記アジド化合物の使用量は限定されるが、限定された使用量では充分な効果が得られないことがある。
【0017】
一方、上記アゾ化合物は、アジド化合物とは異なり衝撃によっては気体を発生しないことから取り扱いが極めて容易である。また、連鎖反応を起こして爆発的に気体を発生することもないため被着体を損傷することもなく、光の照射を中断すれば気体の発生も中断できることから、用途に合わせた気体放出速度の制御が可能であるという利点もある。従って、上記気体発生剤としては、アゾ化合物を用いることがより好ましい。
【0018】
上記気体発生剤は、粒子として存在しないことが好ましい。なお、本明細書において、気体発生剤が粒子として存在しないとは、電子顕微鏡により本発明の離型性物質を観察したときに気体発生剤を確認することができないことを意味する。本発明の離型性物質中に気体発生剤が粒子として存在すると、気体を発生させる刺激として光を照射したときに粒子の界面で光が散乱して気体発生効率が低くなってしまったり、本発明の離型性物質を塗膜状にしたときの表面平滑性が悪くなったりすることがある。
【0019】
上記気体発生剤を粒子として存在しないようにするには、通常、本発明の離型性物質中に溶解する気体発生剤を選択するが、本発明の離型性物質中に溶解しない気体発生剤を選択する場合には、例えば、分散機を用いたり、分散剤を併用したりすることにより本発明の離型性物質中に気体発生剤を微分散させる。本発明の離型性物質中に気体発生剤を微分散させるためには、気体発生剤は、微小な粒子であることが好ましく、更に、必要に応じてこれらの微粒子は、例えば、分散機や混練装置等を用いてより細かい微粒子とされることがより好ましい。すなわち、電子顕微鏡により本発明の離型性物質を観察したときに気体発生剤を確認することができない状態まで分散させることがより好ましい。
【0020】
本発明の離型性物質では、上記気体発生剤から発生した気体は離型性物質外へ放出される。これにより、光や熱等の刺激を与えると気体発生剤から発生した気体が離型性物質から粘着性を有する被着体の粘着面の少なくとも一部を剥がすため、容易に被着体を剥離することができる。この際、気体発生剤から発生した気体の大部分は離型性物質の外へ放出されることが好ましい。上記気体発生剤から発生した気体の大部分が離型性物質の外へ放出されないと、離型性物質が気体発生剤から発生した気体により全体的に発泡してしまい、粘着性を有する被着体を離型性物質との接触面から浮き上がらせる効果を充分に得ることができず、剥がす際に被着体に変形や破損を生じさせてしまうことがある。なお、被着体に変形等を生じさせない程度であれば、気体発生剤から発生した気体の一部が離型性物質中に溶け込んでいたり、気泡として離型性物質中に存在していたりしてもかまわない。
【0021】
本発明の離型性物質のバインダーとなる樹脂としては離型性を有する材料を含有していれば特に限定されないが、離型性が特に良好となることから硬化型シリコーン樹脂が好ましい。かかる樹脂は、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプであってもよく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等であってもよい。
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、付加型・縮合型・紫外線硬化型・電子線硬化型・無溶剤型等、いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
【0022】
上記硬化型シリコーン樹脂のうち市販されているものとてしては、信越化学工業社製のKS−723A/B、KS−774、KS−775、KS−778、KS−779H、KS−847H、KS−856、X−62−2422、X−62−2461、X−62−5039、X−60−5040、ダウ・コーニング・アジア社製のDKQ3−202、DKQ3−203、DKQ3−204、DKQ3−205、DKQ3−210、東芝シリコーン社製のYSR−3022、TPR−6700、TPR−6720、TPR−6721、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製のSD7223、SD7226、SD7229、LTC750A等が挙げられる。更に離型性物質の剥離性等を調整するために、剥離コントロール剤を併用してもよい。
【0023】
また、本発明の離型性物質のバインダーとなる樹脂は、例えば、被着体の性質が水系であるか有機溶剤系であるかに応じて適当なものを選択することもできる。例えば、有機溶剤系の被着体に対しては、ジメチルポリシロキサンを主成分とする熱硬化性シリコーン樹脂が好ましい。水系の被着体に対しては、シリカ微粉末を含有するジメチルポリシロキサン、親水性を付与するように変性したシリコーン樹脂 (例えば、信越化学社製のX−62−9022、KS−881,883)等が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0024】
また、本発明の離型性物質には必要に応じて顔料及び/又は染料を含有してもよい。
【0025】
本発明の離型性物質は、上記気体発生剤としてアジド化合物又はアゾ化合物等の光による刺激により気体を発生する気体発生剤を用いる場合には、更に光増感剤を含有することが好ましい。上記光増感剤は、上記気体発生剤への光による刺激を増幅する効果を有することから、より少ない光の照射により気体を放出させることができる。また、より広い波長領域の光により気体を放出させることができるので、粘着性を有する被着体がアジド化合物又はアゾ化合物から気体を発生させる波長の光を通過しないものであっても、被着体越しに光を照射して気体を発生させることができ被着体の選択の幅が広がる。
上記光増感剤としては特に限定されないが、例えば、チオキサントン増感剤等が好適である。
【0026】
上記粘着性を有する被着体としては、刺激を与える前の本発明の離型性物質を粘着することができるものであれば特に限定されないが、本発明の離型性物質の効果が顕著に現れることから、物理的な強度が低く、僅かな衝撃により変形又は破損する脆弱なものや、伸びたりちぎれたりする軟弱なものであることが好ましい。
【0027】
本発明の離型性物質は、粘着用や成形用の離型シート等の離型剤として好適である。上記離型シートとしては、少なくとも片面に、本発明の離型性物質を含有する層が形成されてなるものが挙げられる。
このような、少なくとも片面に、本発明の離型性物質を含有する層が形成されてなる離型シートもまた、本発明の1つである。
【0028】
本発明の離型シートとしては、例えば、本発明の離型性物質を含有する層が基材の一方の面にのみ形成されてなる片面離型シート、本発明の離型性物質を含有する層が基材の両面に形成されてなる両面離型シート、基材を有しないノンサポートシート(自立シート)等の離型シート等が挙げられる。
【0029】
本発明の離型シートは、少なくとも片面に複数の層が形成されたものであることが好ましい。この場合、最外層が本発明の離型性物質を含有する層であり、かつ、その他の層が本発明の離型性物質を含有しない層であることがより好ましい。これにより、上記気体発生剤から発生した気体は、粘着性を有する被着体との粘着面にのみ放出され、離型シートの被着体の反対側には放出されることがなく、従って、離型シートに糊残りすることなく被着体を剥離することができる。
【0030】
なお、本発明の離型性物質を含有する層が本発明の離型性物質を含有しない層と接する場合には、本発明の離型性物質を含有する層と本発明の離型性物質を含有しない層とは、本発明の離型性物質を含有する層を構成する樹脂成分と異なる組成の樹脂成分からなることが好ましい。これにより、本発明の離型性物質を含有する層中の気体発生剤が他の本発明の離型性物質を含有しない層に移行することを防止することができる。
【0031】
上記基材としては特に限定されないが、本発明の離型物質中の気体発生剤から気体を発生させる刺激が光による刺激である場合には、光を透過又は通過するものであることが好ましく、例えば、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ABS、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチルテレフタレート等のポリエステル、ナイロン、ウレタン、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニリデン等の透明な樹脂からなるシート、網目状の構造を有するシート、孔が開けられたシート等が挙げられる。また、本発明の離型シートが高温に加熱されることがある場合は、芳香族ポリエステル、ポリエーテルニトリル等の耐熱性樹脂からなるシート、網状の金属シートを埋め込み補強したシート等が好適に用いられる。
これらのシートは、延伸シートであってもよく、2軸延伸シートであることがより好ましい。また、上記基材がポリエステルからなる場合、該ポリエステルは、ホモポリマーであってもよく、第三成分を少量共重合させたものでもよく、また、これらのポリエステルを混合したものであってもよい。なお、上記ポリエステルからなる基材中には必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、染料、顔料等を添加することができる。
【0032】
上記基材の厚さとしては、シートとして製膜可能な厚さであり、可撓性とともに支持体として充分な剛性及び強度を有する厚さであれば特に限定されないが、通常、下限が9μm、上限が300μmであることが好ましく、下限が12μm、上限が188μmであることがより好ましい。
また、上記基材に高い平滑性が求められる場合には、離型性物質を含有する層より厚いことが好ましい。上記基材が充分に厚ければ離型性物質を含有する層の厚さに近い大きさの凹凸のある面に離型シートを粘着させても基材を平滑に保つことができる。
【0033】
上記基材には、プライマー処理が施されていてもよい。
上記プライマー処理としては特に限定されず、例えば、基材の表面にプライマー樹脂を塗布する処理、基材の表面にコロナ処理を施す処理等が挙げられる。
更に、上記基材の表面には、予めプラズマ処理が施されていてもよく、塗布延伸法(インラインコーティング法)により接着層、帯電防止層等の塗布層が設けられていてもよい。
【0034】
本発明の離型シートの剥離力としては特に限定されないが、本発明の離型シートをセラミックグリーンシートの転写シートとして用いる場合には、セラミックグリーンシートとの剥離力の好ましい下限は10mN/cm、好ましい上限は200mN/cmである。10mN/cm未満であると、本来剥離する必要のない場面においてセラミックグリーンシートが剥離してしまうことがあり、200mN/cmを超えると、剥離力が重くなり過ぎて、剥離時に剥離し難い等の不具合を生じることがある。より好ましい上限は100mN/cmである。
【0035】
本発明の離型シートにおいて、本発明の離型性物質が形成された層全体の平均塗工量(乾燥後)の好ましい下限が0.01g/m2、好ましい上限が2g/m2である。塗工量(乾燥後)が0.01g/m2未満であると、塗工性の面より安定性に欠け、均一な塗膜を得るのが困難なことがあり、塗工量が2g/m2を超えると、離型層自体の塗膜密着性、硬化性等が低下することがある。より好ましい上限は1.5g/m2である。
【0036】
本発明の離型シートは、上述した基材の少なくとも片面に、本発明の離型性物質を含有する層を、例えば、バーコート、グラビアコート、リバースグラビアコート、ダイコート、ドクターブレードコート等、従来公知の塗工方法で塗工することで形成することができる。なかでも本発明の離型シートを低コストで提供できることからバーコート方式、グラビアコート方式、リバースグラビアコート方式が好ましい。
【0037】
本発明の離型シートは、少なくとも片面に本発明の離型性物質を含有する層が形成されたものである。即ち、本発明の離型シートに脆弱で僅かな衝撃により変形や破損してしまう粘着性を有する被着体を粘着させている場合であっても、本発明の離型性物質を含有する層に刺激を与えることにより、上記被着体は、離型シートから浮き上がるので、上記被着体を変形や破損することなく剥がすことができる。
例えば、本発明の離型シートをセラミックグリーンシート成形用に用いた場合、ドクターブレード法によるシート成形においてセラミックグリーンシート上面とドクターブレードとが部分接触することによりセラミックグリーンシート両端部が剥離する等、本来剥離する必要のない箇所で剥離するという不具合が発生するのを極力抑えることが可能となる。これにより、将来的に更なるセラミックグリーンシートの薄膜化、多層化対応が可能となる。各種粘着用に用いた場合にも、剥離不具合の発生を極力抑えることができ、かつ適度な剥離性を持って剥離させることができる。
【0038】
本発明の離型シートの用途として特に限定されず、例えば、脆弱で僅かな衝撃により変形や破損してしまう粘着性を有する被着体を転写する際の転写シートとして使用することができる。
上記脆弱や軟弱で変形や破損してしまう粘着性を有する被着体としては、例えば、セラミックグリーンシート、熱転写印刷絵柄層、位相差板や偏光板キャストフィルム等が挙げられ、なかでも本発明の離型シートは、セラミックグリーンシートの転写シートとして好適に用いることができる。
本発明の離型シートを転写シートとして用いたセラミックグリーンシートの転写方法としては、例えば、本発明の離型シートに粘着された1のセラミックグリーンシートを他のセラミックグリーンシート上に転写するセラミックグリーンシートの転写方法であって、上記他のセラミックグリーンシート上に上記1のセラミックグリーンシートを上記離型シートに粘着されていない側の面が対向するように積層し、上記他のセラミックグリーンシートと上記1のセラミックグリーンシートとを粘着した後、上記離型シートに刺激を与えて上記離型シートを上記1のセラミックグリーンシートから剥離するセラミックグリーンシートの転写方法等が挙げられる。
このようなセラミックグリーンシートの転写方法も本発明の1つである。
【0039】
本発明のセラミックグリーンシートの転写方法は、本発明の離型シートに粘着された1のセラミックグリーンシートを他のセラミックグリーンシート上に転写するものである。
上記セラミックグリーンシートとしては特に限定されず、例えば、積層セラミックコンデンサ等のセラミック積層電子部品の製造工程において使用される公知の適度な粘着性を有するものが挙げられ、例えば、アルミナ等セラミックの原料粉末、バインダー樹脂、可塑剤及び有機溶剤等を混合した原料スラリーをシート状に成形し、乾燥させたものが挙げられる。
なお、ニッケル電極等は、セラミックグリーンシートや離型シートに印刷しておいてもよく、また、別に作製し、セラミックグリーンシートや離型シートにのせておいてもよい。
【0040】
本発明のセラミックグリーンシートの転写方法では、次に、上記他のセラミックグリーンシート上に上記1のセラミックグリーンシートを上記離型シートに粘着されていない側の面が対向するように積層し、上記他のセラミックグリーンシートと上記1のセラミックグリーンシートとを粘着する。
即ち、上記1のセラミックグリーンシートと他のセラミックグリーンシートとの粘着性を有する面同士を積層し、必要に応じてこれらを圧着することにより上記1のセラミックグリーンシートと他のセラミックグリーンシートとを粘着する。
【0041】
本発明のセラミックグリーンシートの転写方法では、次いで、本発明の離型シートに刺激を与えて上記離型シートを上記1のセラミックグリーンシートから剥離する。
上記離型シートに刺激を与えることにより、該離型シートから上記1のセラミックグリーンシートが浮き上がるので、上記1のセラミックグリーンシートから離型シートを容易に剥離することができる。
【0042】
なお、続いてセラミックグリーンシートの転写を行い、3層以上のセラミックグリーンシートを積層する場合、上記1のセラミックグリーンシート上に本発明のセラミックグリーンシートの転写方法を繰り返し行えばよい。
本発明のセラミックグリーンシートの転写方法によれば、その厚さが薄く、脆弱又は軟弱なセラミックグリーンシートであっても、複数枚のセラミックグリーンシートを変形したり破損したりすることなく積層することがでる。
【0043】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
厚さ25μmの2軸延伸PETフィルムの片面に、ジメチルポリシロキサン系のシリコーン樹脂液 (信越化学工業社製、KS−717)100重量部と1,1’−アゾジカルボニルジピペリジン100重量部とを溶解させたメチルエチルケトン(MEK)溶液をバーコーターで塗布し、60℃に加熱して、膜厚0.009μmの離型剤層を形成し、離型シートを作製した。
【0045】
(実施例2)
幅600mmのPETフィルム(38μm)の片面にワイヤレスバーを用いて、下記組成の離型剤層をフィルムの長手(縦)方向と平行に設けて離型シートを得た。その後、120℃、15秒間アニール処理を施した。
硬化型シリコーン樹脂(信越化学製:KS−847H) 100重量部
硬化剤(信越化学製:PL−50T) 5重量部
トルエン/MEK混合溶媒(混合比率1:1) 2000重量部
1,1’−アゾジカルボニルジピペリジン/MEK混合溶液 100重量部
【0046】
(離型シートの寸法安定性評価)
実施例1及び2にかかる離型シート上に、グリーンシート(セラミックスラリーの組成は下記のとおりであり、乾燥後の厚みが5μm)を積層し、更にその上にパターン印刷されたNi電極印刷層(乾燥後の厚みが3μm)を積層した。
セラミック原料粉体(チタン酸バリウム) 100重量部
バインダー(ポリビニルブチラール樹脂) 10重量部
可塑剤(フタル酸ジブチル) 10重量部
トルエン/MEK混合溶媒(配合比率は1:1)100重量部
【0047】
得られた積層体を積層のたびに紫外線を照射して気体を発生させつつセラミックグリーンシートの転写を繰り返して10層積層した。紫外線照射前においては、セラミックグリーンシートから離型シートが剥離することはなく、良好に取り扱うことができ、また、紫外線照射後には、セラミックグリーンシートを破損することなく容易に剥離することができた。電極印刷層の位置ずれを調べたところ、特に位置ずれが小さく問題はなかった。
なお、一部のセラミックグリーンシートでは、紫外線照射により、セラミックグリーンシートが剥離シートから自ら剥離していた。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、剥離不具合の発生を極力抑え、適度な離型性を有し、表面に電極パターンが圧着され埋め込まれていても剥離できる。また、表面に微粒子等を埋め込み、表面の一部を露出させて表面処理した後剥離する等、シート表面に被着物が埋め込まれるように密着されていても充分に剥離が可能である。例えば、セラミック製品製造分野(セラミック積層コンデンサ等)、粘着剤層保護用当、各種離型用として好適であり、その工業的価値は極めて高い。
Claims (3)
- 刺激を与えることにより粘着性を有する被着体を損傷することなく容易に剥がすことができる離型シートであって、
少なくとも片面に、硬化性シリコーン樹脂及び刺激により気体を発生する気体発生剤を含有する離型性物質を硬化させてなる離型層を有するものであり、
前記気体発生剤は、前記離型層中に粒子として存在していない
ことを特徴とする離型シート。 - 気体発生剤は、アゾ化合物であることを特徴とする請求項1記載の離型シート。
- 請求項1又は2記載の離型シートに粘着された1のセラミックグリーンシートを他のセラミックグリーンシート上に転写するセラミックグリーンシートの転写方法であって、
前記他のセラミックグリーンシート上に前記1のセラミックグリーンシートを前記離型シートに粘着されていない側の面が対向するように積層し、前記他のセラミックグリーンシートと前記1のセラミックグリーンシートとを粘着した後、前記離型シートに刺激を与えて前記離型シートを前記1のセラミックグリーンシートから剥離する
ことを特徴とするセラミックグリーンシートの転写方法。
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