JP4220739B2 - ツェインの分離方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
【0002】
【従来の技術】
ツェイン(ゼイン)はトウモロコシに含まれる含水アルコールに可溶な蛋白である。
ツェインは、容易にフイルム状等に成形することができるとともに、強靱で、且つ優れた耐熱性、耐酸性、耐水性、電気絶縁性等を有するという性質から、食品や錠剤等の皮膜剤、接着剤、塗装剤等に利用されている。
通常、ツェインは、トウモロコシ又はコーングルテンミールから抽出・精製して得られるが、抽出溶媒にはアルコールやアセトン等が使用される。
【0003】
ツェイン(ゼイン)の分離において、抽出溶剤としてアセトンを使用する従来法としては、例えば、穀類グルテンをアセトン60〜95%の高濃度アセトン溶液と混合した混合液を、50〜75℃の温度に加熱し、+10〜−25℃の温度に冷却して、20〜40%のツェインを含有するタフィー状底部液体層を分離する方法(特公昭50−16800)、含水アセトンを溶媒とするツェインの着色溶液を冷却することにより、該着色溶液中に容存せるツェインを析出せしめ、その析出液から析出ツェインを分離、採取することにより、色素含有量及び臭気の少ないツェインを得る方法(特開平5−130835)等がある。
【0004】
しかし、上記の従来法では、含水アセトン溶液の水分濃度が厳密に制御されていない等の理由で、ツェインを高い回収率でもって、安定的に得ることは不可能であった。
このように、高収率で安定したツェイン生産手段は未だなく、その実現が待たれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、色と臭いが少なく、しかも蛋白変性のない高品質のツェインを、極めて高い収率で安定的に生産することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
ツェインは水分の高い状態では、不可逆的な変性を生じ易いため、加水等によってツェイン溶液の水分を強制的に高くするということは採用し難い手段と考えられていた。
このような状況下、本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、通常では、ツェインが変性し易いと考えられる水分濃度でも、冷却温度や冷却時間との兼ね合いで、ツェインの回収率が高くなるが変性し難い水分濃度を見出し、更に研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、以下の構成からなるものである。
1)ツェインを含む含水アセトン溶液の水分濃度を、45〜55重量%に調整した後、該溶液の冷却を、液温−10〜−30℃で、4〜24時間保持して行うことにより、ツェインを析出させることを特徴とするツェインの分離方法。
2)冷却が、液温が0℃以下に達するまでには、ツェインを含む含水アセトン溶液を流動化させるものである請求項1記載のツェインの分離方法。
3)ツェインが、トウモロコシ又はコーングルテンミール由来のものである請求項1又は2記載のツェインの分離方法。
【0008】
本発明の特徴とするところは、先ず、ツェインを含む含水アセトン溶液の水分濃度を45〜55重量%に調整した後、次いで、該溶液を冷却し、ツェインを析出させる点にある。
即ち、本発明では、冷却開始前に予め、アセトン溶液の水分を45〜55重量%に調整し、次いで、液温が−10〜−30℃、好ましくは−15〜−20℃となるように速やかに冷却する。そして、液温が所定の温度に到達してから4〜24時間静置することで、適度の硬度のツェインを十分に析出させる。また、少なくとも、液温が0℃以下に達するまでは、アセトン溶液を流動させることで、析出物に含まれる液分量を低下させ、後工程での乾燥負荷等を軽減することを可能にしたものである。
【0009】
このように、冷却条件、特に含水アセトン溶液の水分濃度を制御することによって、全く蛋白変性することなく、アセトン溶液から適度の硬度のツェインを高収率で回収するとともに、更に、ツェインが析出し始める段階まで溶液を流動させることによって、最終的に回収されるツェインの析出物中に含まれる液分量を抑えたものである。
また、本発明は、色と臭いが少なくなった高品質のツェインを得ることができる点においても優れている。
このように、本発明では、液分量を低下させ、高い回収率で、液分量の低い析出物が得られるのに加え、色と臭いが低減する(蛋白純度が高まる)という効果もあることから、後工程での乾燥や精製等における負荷が非常に小さくなる。
また、本発明のツェインは、エタノール等の溶剤に再溶解してコーティング等に利用することができるが、その場合に、難溶性の不溶物が発生しないので、ハンドリングの悪化による生産性の低下という問題が発生しない点において優れている。
何れにしても、本発明は、常識外の手段、即ち、通常では、ツェインが変性し易いと考えられる水分濃度(45〜55重量%)を採用したにもかかわらず、ツェインの回収率が高くなったという特段の効果を奏し得た点に特徴を有するものである。
【0010】
以下、更に本発明の詳細について説明する。
本発明は、以下の工程からなる。
(1)アセトン溶液 → (2)水分調整 → (3)冷却降温 → (4)静置冷却 → (5)分離回収 → (6)析出物
【0011】
上記の各工程について、以下説明する。
(1)アセトン溶液
アセトン溶液としては、ツェインを含むアセトン溶液であれば、如何なる状態でも使用することができるが、該溶液のツェイン濃度及びアセトン濃度の制限は特にない。
ツェインを含むアセトン溶液を得るに際し、ツェイン原料は特に制限されないが、トウモロコシやコーングルテンミール等を用いるのがよい。その場合の、原料のトウモロコシやコーングルテンミール濃度やアセトン濃度等の制限は特にない。
従って、トウモロコシやコーングルテンミール等から含水アセトンを溶媒として抽出した抽出液が使用できることは勿論、ツェイン乾燥品を含水アセトンに溶解した溶液を使用することもできる。例えば、コーングルテンミールからエタノール抽出あるいはアセトン抽出した後に、乾燥しただけの未精製ツェインを本発明の技術に供することで、色や臭いの少なくなったツェインを得ることができる。
【0012】
(2)水分調整
本発明においては、ツェインを含む含水アセトン溶液の水分濃度を、45〜55重量%に調整することが必須の要件である。
含水アセトン溶液の水分濃度を調整する方法には特に制限はない。アセトン溶液に所定量の水を加えることで、水分濃度を45〜55重量%に調整することができる。また、含水アセトン溶液からアセトンを留去することで、水分濃度を45〜55重量%に調整することもできる。勿論、加水とアセトン留去を組み合わせて水分濃度を調整しても構わない。例えば、含水アセトン溶液に加水した後に、常圧加熱することによって、アセトンを留去する方法、又は含水アセトン溶液を減圧蒸留に供した後に加水する方法などを採用することができる。
ツェインを含むアセトン溶液の水分濃度が45重量%未満である場合、析出物として回収されるツェインの収量が著しく低くなる。また、冷却操作前にアセトン溶液の水分濃度を45重量%以上に設定すると、極めて高い収量でツェインを回収することができる。
しかし、水分濃度が高いほど析出物が硬くなってハンドリングが困難な性質となるばかりでなく、ツェインは水分濃度の高い状態で変性し易いという性質を持つことから、溶液に占める水分の割合が高くなるほど蛋白変性を起こし易くなる。
従って、ツェインを含むアセトン溶液の水分濃度は55重量%以下とする必要がある。
【0013】
(3)冷却降温
水分調整後のツェインを含む含水アセトン溶液の冷却降温は、該溶液の液温が−10〜−30℃になるように行うのがよい。その場合の冷却速度は、特に制限されない。
冷却は、冷却缶のジャケットに冷媒を通じることで成し遂げられるが、プレート熱交換器等を使用した冷媒との熱交換によって急速冷却しても構わない。また、冷却した気体(空気など)を含水アセトン溶液にバブリングすることも可能である。
冷却初期のツェインの析出物は、急速に不溶化するために液分を多量に抱き込んだ状態になり易い。このことは、最終的に回収する析出物の液分量を高くすることから、乾燥負荷の増大といった生産性の低下を招く要因となる。
しかし、冷却初期の急速に不溶化して形成されるツェインの析出物を流動させると、該析出物に含まれる液分量を低下させられる。これは、せん断力等の物理的な衝撃を与えることで、析出物に抱き込まれた多量の液分が排されることに起因すると推察される。
上記の溶液の流動は、攪拌によって成し遂げられることは勿論、溶液の移送または循環といった操作でも十分な効果が得られる。また、溶液中に気体を通じて(バブリング)溶液を流動(攪拌)させる方法でも十分な効果が期待できる。
【0014】
(4)静置冷却
所定の液温(−10〜−30℃)に冷却降温されたツェインを含む含水アセトン溶液は、静置冷却して、ツェインを析出させる。
即ち、上記の含水アセトン溶液を、所定の液温(−10〜−30℃)を維持した状態で静置することで、ツェインが十分に析出するとともに、析出物が底部に沈降して、含水アセトンに可溶な成分と分けることができる。
この場合の所定温度到達以降の析出物は、緩慢に不溶化することから液分の抱き込みが少なく、とりわけ攪拌等によって液分量の低下を図る必要はないが、撹拌し続けても構わない。
静置冷却時間は、4〜24時間が好ましい。4時間未満では安定した回収率が得られない。また、24時間を超えると、析出物が極度に硬くなるためにハンドリングが非常に困難となる。
【0015】
(5)分離回収
ツェインは、金属への付着性が非常に高く、ろ過性も極めて悪いこと、また、操作中に沈澱物が温まると液側への溶解ロスが発生して分離操作中に沈澱への回収率が低下するため、分離系の温度を−10〜−30℃低温に保たなければならないこと等の理由から、遠心分離、ろ過等の一般的な分離方法を採用することは適切ではない。
このため、本発明では、ツェインの分離回収は、デカンテーション法、即ち、前記の静置冷却後、先ず、分かれた上澄みを取り除き、次いで、底部に沈降したツェインの析出物を回収する方法を採用するのがよい。
上記の上澄みの除去は、冷却缶上部からの吸引や冷却缶側面からの抜液等によって実施することができる。
【0016】
(6)析出物
回収したツェインの析出物は、真空薄膜乾燥や常圧ドラム乾燥などによって乾燥品とすることができる。また、析出物にアセトンを添加して加熱することによって溶液とすることもできる。この溶液を更に精製することも可能であるが、流動性が高くなった(ハンドリングし易くなった)溶液を真空薄膜乾燥や噴霧乾燥に供して乾燥物を得ることもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は該例により制限されるものではない。なお、以下の「%」は、特に断らない限り、「重量%」を意味する。
【0018】
【実施例1〜5;比較例1〜2】
予め55℃に加温した75%アセトン水800mlにコーングルテンミール150gを投入し、55℃湯浴中にて時々撹拌しながら2時間抽出した。次に、得られた抽出液を、室温(25℃)に1時間放冷した後に、助剤濾過することにより、清澄なアセトン抽出液を得た。
次いで、得られたアセトン抽出液の水分濃度を、カールフィッシャー水分計を使用して予め測定し、溶液の水分が44、46、48、50、52、54、56%となるように、ガラス瓶に採取した抽出液60gに、所定量の水を添加した。次に、密栓した後に、雰囲気温度−20℃において18時間冷却した。この冷却操作において、冷却開始から6時間後に液温が−15℃付近に到達し、その後(冷却6〜18時間)の液温は−15〜−17℃で推移した。
【0019】
冷却終了後、デカンテーションによって、上澄みを取り除き、回収した沈澱(ツェイン)の性状を観察した。また、抽出液に含まれる固形分に対する沈澱として回収された固形分の割合をツェインの回収率として求めた。測定結果を表1に示す。ここで、ツェインの硬度とは、分離回収時における析出物の硬さを示す(表4、表5も同様)。
【0020】
【表1】
表1の結果から、水分濃度が高いほどツェインの回収率も高くなる。しかし、水分濃度が55%を超える比較例2では、ツェインの性状が硬くなり、その後のハンドリングが困難であった。また、アセトン水に再溶解すると難溶性の不溶物を生じた。
【0021】
【実施例6〜7】
予め50℃に加温した72%アセトン水1600mlにコーングルテンミール300gを投入し、50℃湯浴中にて時々撹拌しながら2時間抽出した。室温(25℃)に1時間放冷した後に、助剤濾過して、清澄なアセトン抽出液を得た。次に、抽出液1250gを減圧下(30〜50MPa)に加温(50℃)し、アセトンを留去しながら750gまで濃縮した。
次いで、得られた濃縮液の水分濃度を、カールフィッシャー水分計を使用して予め測定し、溶液の水分が47%となるように、ガラス瓶に採取した濃縮液30gに水を添加した。
【0022】
このようにして得た、水分濃度47%のツェインを含む含水アセトン溶液から試料2本を用意し、両者とも、−15℃冷媒中にて冷却を開始した。冷却開始から30分間で液温は−15℃付近まで低下し、液温が−15℃付近まで下がってから、更に4時間(合計4.5時間)冷却した。その場合、一方の試料(実施例6)は、冷却開始から終了まで静置状態で冷却し、他方の試料(実施例7)は、冷却初期の10分間(液温が0℃付近に達するまでの間)断続的に撹拌することで溶液を流動させた以外は、静置状態で冷却した。
冷却終了後、両者とも、デカンテーションによって上澄みを取り除き、冷却によって得られた沈澱(ツェイン)を回収した。冷却に供した濃縮液に含まれる固形分に対する沈澱として回収された固形分の割合をツェインの回収率として求めた。また、沈澱に含まれる液分の割合を測定した。測定結果を表2に示す。
【0023】
【表2】
表2の結果から、両者のツェインの回収率には大きな差はなかったが、回収したツェインに含まれる液分が、冷却初期に溶液を流動させなかった場合(実施例6)、高くなることが分かる。
【0024】
【実施例8;比較例3】
予め50℃に加温した72%アセトン水1600mlにコーングルテンミール300gを投入し、50℃湯浴中にて時々撹拌しながら2時間抽出した。室温(25℃)に1時間放冷した後に、助剤濾過し、清澄な含水アセトン抽出液を得た。次に、抽出液1250gを減圧下(30〜50MPa)に加温(50℃)し、アセトンを留去しながら750gまで濃縮した。
次いで、得られた濃縮液の水分濃度を、カールフィッシャー水分計を使用して予め測定し、溶液の水分が47%となるように、ガラス瓶に採取した濃縮液30gに水を添加した。
【0025】
次に、得られた水分濃度47%のツェインを含む含水アセトン溶液から試料2本を用意し、両者とも、−25℃冷媒中にて冷却を開始した。冷却開始から30分間で液温は−25℃付近まで低下し、液温が−25℃付近まで下がってから更に4時間冷却した。その場合、一方の試料(比較例3)は、冷却開始から終了まで静置状態で冷却し、他方の試料(実施例8)は、冷却初期の10分間(液温が0℃付近に達するまでの間)掻き混ぜることで溶液を流動させてから、静置状態で更に4時間冷却した。
冷却終了後、両者とも、デカンテーションによって上澄みを取り除き、冷却によって得られた沈澱(ツェイン)を回収した。冷却に供した濃縮液に含まれる固形分に対する沈澱として回収された固形分の割合をツェインの回収率として求めた。測定結果を表3に示す。
【表3】
表3の結果から、冷却初期に溶液を流動させなかったものは(比較例3)、液分を多量に含んだ沈降性の低い不溶物がデカンテーションのときに上澄みとともに流れ出てしまったために、著しくツェインの回収率が低くなることが分かる。
なお、このような現象は、特に冷却温度が低いとき(−25℃)に生起する(実施例6参照)。
【0026】
【実施例9〜12;比較例4〜7】
予め50℃に加温した72%アセトン水3200mlにコーングルテンミール550gを投入し、50℃湯浴中にて時々撹拌しながら2時間抽出した。室温(25℃)に1時間放冷した後に、目開き0.3mmのステンレスメッシュを用いて、含水アセトン抽出液と抽出残渣に分けた。次に、抽出液2500gを減圧下(30〜50MPa)に加温(50℃)し、アセトンを留去しながら1500gまで濃縮した。
次いで、得られた濃縮液の水分濃度を、カールフィッシャー水分計を使用して予め測定し、濃縮液に水を添加して水分濃度を47%とした。更に、水分調整後の濃縮液に濾過助剤を添加(対液1%)し、常温にて、精密濾過に供することで清澄な濾液を得た。
【0027】
次に、得られた水分濃度47%の濾液60gをガラス瓶に採取し、密栓した後に−15℃冷媒中にて冷却を開始した。冷却初期の30分間(液温が−15℃付近に下がるまでの間)断続的に混合することで溶液を流動させた。そして、更に静置状態で0、1、2、4、8、16、24、48時間冷却し、所定時間後に、デカンテーションによって上澄みを除去した。
次いで、回収した沈澱(ツェイン)の性状を観察した後、アセトン10gを加えて50℃湯浴中にて数分間加温し、更に室温においてホモジナイズして沈澱を再溶解した。また、濾液に含まれる固形分に対する沈澱として回収された固形分の割合をツェインの回収率として求めた。測定結果を表4に示す。
【0028】
【表4】
表4の結果から、所定温度に到達してから4時間以上静置状態で冷却すれば、十分なツェイン回収率が得られることが分かる。他方、24時間を超える冷却は(比較例7)、ツェインの性状を硬くすることが分かる。
また、再溶解したときに、48時間冷却したもの(比較例7)のみに、再溶解できなかった不溶物(難溶性の不溶物)が認められた。
以上のことから、長時間の冷却は、ツェインの硬化によるハンドリングの悪化ばかりでなく、歩留や品質の低下に繋がる難溶性の不溶物を発生させる原因にもなることが分かる。
【0029】
【実施例13〜16;比較例8〜9】
実施例9で調製した濾液(水分:47%)60gをガラス瓶に採取し、密栓した後、0、−5、−10、−15、−20、又は−25℃冷媒中にて冷却を開始した。何れの冷却温度においても、冷却初期の30分間(液温が冷媒温度付近に下がるまでの間)断続的に混合することで溶液を流動させた。引き続き、静置状態で16時間冷却し、上澄みを取り除いて沈澱を回収した。
次いで、得られた沈澱(ツェイン)の性状を確認した。また、沈澱に含まれる液分を測定するとともに、濾液に含まれる固形分に対する沈澱として回収された固形分の割合をツェインの回収率として求めた。測定結果を表5に示す。
【0030】
【表5】
表5の結果から、冷却温度が−10℃以下であれば、十分なツェイン回収率が得られることが分かる。
【0031】
【実施例17】
実施例14で調製した抽出液及び冷却沈澱(−15℃)に含まれる蛋白量を窒素燃焼法(窒素換算係数:6.25)によって測定し、各々の固形分に占める蛋白(ツェイン)の割合を求めた。測定結果を表6に示す。
【0032】
【表6】
表6の結果から、本発明の冷却沈澱によって、ツェインの純度が向上することが分かる。
【0033】
以上の実施例及び比較例の結果から、本発明において、(1)ツェインを含む含水アセトン溶液の水分含量を特定の値(45〜55重量%)にした点、(2)該溶液の冷却温度(−10〜−30℃)と冷却時間(4〜24時間)を特定の値にした点、(3)冷却初期に該溶液を流動化した点に、格別の意義があることが分かる。
【0034】
【発明の効果】
(1)本発明によれば、脱色、脱臭され、適度の硬度を有する高品質のツェインが極めて高い収率で得られることに加えて、変性要因を完全に排除した方法であることから、蛋白変性の全くないツェインを得ることができる。
(2)ツェイン中の液分含量が少ないものが得られるので、後の乾燥負荷を低減することができる。
(3)ツェインをエタノール等の溶剤に溶解してコーティング等に利用する場合、難溶性の不溶物が発生しないので、ハンドリングの悪化による生産性の低下が発生しない。
これらの利点は、産業上の生産性や経済性の点から大きな意義を持つ。
Claims (3)
- ツェインを含む含水アセトン溶液の水分濃度を、45〜55重量%に調整した後、該溶液の冷却を、液温−10〜−30℃で、4〜24時間保持して行うことにより、ツェインを析出させることを特徴とするツェインの分離方法。
- 冷却が、液温が0℃以下に達するまでには、ツェインを含む含水アセトン溶液を流動化させるものである請求項1記載のツェインの分離方法。
- ツェインが、トウモロコシ又はコーングルテンミール由来のものである請求項1又は2記載のツェインの分離方法。
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