JP2824352B2 - 色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製方法 - Google Patents
色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製方法Info
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Description
【0001】
【技術分野】本発明は、色素含有量並びに臭気の少ない
ゼインの調製方法に係り、特にとうもろこし又はコーン
グルテンミールからゼインを製造するに際して、色素含
有量並びに臭気の少ない、淡色のゼインを採取する方法
に関するものである。
ゼインの調製方法に係り、特にとうもろこし又はコーン
グルテンミールからゼインを製造するに際して、色素含
有量並びに臭気の少ない、淡色のゼインを採取する方法
に関するものである。
【0002】
【背景技術】ゼイン(ツェインとも呼ばれる)は、とう
もろこしの主蛋白質で、プロラミン系に属する、含水ア
ルコールに可溶な物質である。この物質は、容易にフィ
ルム状や繊維状に成形することが出来、強靭で、且つ優
れた耐熱性、耐酸性、耐水性、電気絶縁性を有するもの
であるところから、製紙加工塗布剤、木材製品の表面塗
装、合板等の接着剤、防湿剤、電気部品の防湿塗装、食
品や錠剤等のコーティング剤に利用されている。
もろこしの主蛋白質で、プロラミン系に属する、含水ア
ルコールに可溶な物質である。この物質は、容易にフィ
ルム状や繊維状に成形することが出来、強靭で、且つ優
れた耐熱性、耐酸性、耐水性、電気絶縁性を有するもの
であるところから、製紙加工塗布剤、木材製品の表面塗
装、合板等の接着剤、防湿剤、電気部品の防湿塗装、食
品や錠剤等のコーティング剤に利用されている。
【0003】そして、このように有用なゼインを得るた
めに、通常、とうもろこし或いはそれから得られるコー
ングルテンミールを出発原料とし、それに対して、60
〜95%(重量基準、以下同じ)濃度の含水エタノール
や90%前後のイソプロパノール等の低級アルコールを
溶媒として用いて、抽出を行なった後、かかる溶媒を留
去するか、その抽出液を冷水に投入する等の手段を用い
て、ゼイン固体を回収する方法が、採用されている。ま
た、特開昭61−16770号公報には、そのような抽
出液を、冷水に投入する代わりに、中性塩類溶液に滴下
して、ゼインの収率を上げる方法が明らかにされてお
り、また特開昭63−185998号公報には、抽出液
に水を加えてエタノール濃度を調整して、析出する不純
物を除去する方法が明らかにされ、更に特開昭63−1
85999号公報には、抽出液のpHを調整することに
より、エタノール可溶性の大きなゼインを得る方法が明
らかにされている。
めに、通常、とうもろこし或いはそれから得られるコー
ングルテンミールを出発原料とし、それに対して、60
〜95%(重量基準、以下同じ)濃度の含水エタノール
や90%前後のイソプロパノール等の低級アルコールを
溶媒として用いて、抽出を行なった後、かかる溶媒を留
去するか、その抽出液を冷水に投入する等の手段を用い
て、ゼイン固体を回収する方法が、採用されている。ま
た、特開昭61−16770号公報には、そのような抽
出液を、冷水に投入する代わりに、中性塩類溶液に滴下
して、ゼインの収率を上げる方法が明らかにされてお
り、また特開昭63−185998号公報には、抽出液
に水を加えてエタノール濃度を調整して、析出する不純
物を除去する方法が明らかにされ、更に特開昭63−1
85999号公報には、抽出液のpHを調整することに
より、エタノール可溶性の大きなゼインを得る方法が明
らかにされている。
【0004】ところで、このような従来法にあっては、
原料とうもろこしに由来する臭いや色素成分が、含水エ
タノールによる抽出の際に、ゼインと一緒に抽出され
て、ゼインと共に分離、回収されることとなるために、
得られた製品は、独特の臭気を有し、またかなり黄色味
を帯びている。このことは、前記したコーティング剤と
してのゼインの利用分野を制限することとなり、色の淡
い、むしろ無色で、しかも無臭の材料が望まれている多
くの食品、医薬・化粧品や塗装材等の分野では、従来の
ゼインは、到底、その要求を満足するものではなかった
のである。なお、とうもろこしに含まれる色素は、カロ
チノイド系のうちでも、エタノール可溶のキサントフィ
ル類が多いことが知られているが、そのようなキサント
フィル類やその他の黄色色素は、薄層クロマトグラフィ
ーにおいて、ゼインよりも無極性であるため、従来法の
ように含水エタノール液に水を加える場合には、ゼイン
に随伴して黄色色素も析出し、両者の分離は極めて困難
なのである。
原料とうもろこしに由来する臭いや色素成分が、含水エ
タノールによる抽出の際に、ゼインと一緒に抽出され
て、ゼインと共に分離、回収されることとなるために、
得られた製品は、独特の臭気を有し、またかなり黄色味
を帯びている。このことは、前記したコーティング剤と
してのゼインの利用分野を制限することとなり、色の淡
い、むしろ無色で、しかも無臭の材料が望まれている多
くの食品、医薬・化粧品や塗装材等の分野では、従来の
ゼインは、到底、その要求を満足するものではなかった
のである。なお、とうもろこしに含まれる色素は、カロ
チノイド系のうちでも、エタノール可溶のキサントフィ
ル類が多いことが知られているが、そのようなキサント
フィル類やその他の黄色色素は、薄層クロマトグラフィ
ーにおいて、ゼインよりも無極性であるため、従来法の
ように含水エタノール液に水を加える場合には、ゼイン
に随伴して黄色色素も析出し、両者の分離は極めて困難
なのである。
【0005】
【解決課題】本発明は、かかる事情を背景にして為され
たものであって、その課題とするところは、従来からの
ゼインに比して、その黄色味を著しく低減せしめた、色
調の淡い、しかも臭気の少ないゼインを得る手法を提供
することにある。
たものであって、その課題とするところは、従来からの
ゼインに比して、その黄色味を著しく低減せしめた、色
調の淡い、しかも臭気の少ないゼインを得る手法を提供
することにある。
【0006】
【解決手段】そして、本発明は、そのような課題解決の
ために、含水メタノ−ル、又は含水アセトンを溶媒とす
るゼインの着色溶液から、色素含有量及び臭気の少ない
ゼインを取り出すための方法にして、かかるゼインの着
色溶液を、所定の近似式にて求められるゼインの析出温
度よりも更に10℃以上低い温度に冷却することによ
り、該着色溶液中に溶存せるゼインを析出せしめ、そし
てその析出液から、析出ゼインを分離、採取することを
特徴とする色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製
方法を、その要旨とするものである。
ために、含水メタノ−ル、又は含水アセトンを溶媒とす
るゼインの着色溶液から、色素含有量及び臭気の少ない
ゼインを取り出すための方法にして、かかるゼインの着
色溶液を、所定の近似式にて求められるゼインの析出温
度よりも更に10℃以上低い温度に冷却することによ
り、該着色溶液中に溶存せるゼインを析出せしめ、そし
てその析出液から、析出ゼインを分離、採取することを
特徴とする色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製
方法を、その要旨とするものである。
【0007】
【作用】すなわち、本発明は、ゼインの含水イソプロパ
ノール、含水メタノール又は含水アセトンへの溶解度
が、温度に著しく依存することを利用して、ゼインの含
水イソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトン
の着色溶液を溶解度曲線の温度以下の所定の温度下に冷
却することにより、ゼインを析出させるようにしたもの
である。そして、その際、ゼインの着色溶液中に存在す
る色素成分は、ゼインよりも無極性であるところから、
含水イソプロパノール、含水メタノール又は含水アセト
ン中にそのまま溶存、残存させ、ゼインと共に析出しな
いようにすることによって、結果として、色調の淡いゼ
インを得ることが出来ることとなったのである。
ノール、含水メタノール又は含水アセトンへの溶解度
が、温度に著しく依存することを利用して、ゼインの含
水イソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトン
の着色溶液を溶解度曲線の温度以下の所定の温度下に冷
却することにより、ゼインを析出させるようにしたもの
である。そして、その際、ゼインの着色溶液中に存在す
る色素成分は、ゼインよりも無極性であるところから、
含水イソプロパノール、含水メタノール又は含水アセト
ン中にそのまま溶存、残存させ、ゼインと共に析出しな
いようにすることによって、結果として、色調の淡いゼ
インを得ることが出来ることとなったのである。
【0008】また、このように析出して得られるゼイン
にあっては、驚くべきことに、従来からのゼインに比べ
て、極めて臭いが少なく、そのため無臭に近いゼインを
得ることが出来るのである。なお、析出したゼインを分
離した後の含水イソプロパノール、含水メタノール又は
含水アセトン溶液は、再度、ゼインの抽出に利用出来る
という利点を有する。
にあっては、驚くべきことに、従来からのゼインに比べ
て、極めて臭いが少なく、そのため無臭に近いゼインを
得ることが出来るのである。なお、析出したゼインを分
離した後の含水イソプロパノール、含水メタノール又は
含水アセトン溶液は、再度、ゼインの抽出に利用出来る
という利点を有する。
【0009】
【具体的構成】ところで、かかる本発明において、臭い
や着色の少ないゼインを得るために用いられる、含水イ
ソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトンを溶
媒とするゼインの着色溶液とは、溶媒たる含水イソプロ
パノール、含水メタノール又は含水アセトンにゼインが
溶解されて、着色している溶液のことであって、本発明
にあっては、一般に、コーングルテンミールから含水イ
ソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトンを用
いてゼインを抽出分離した溶液や、色素含量の多い粗製
ゼインの含水イソプロパノール、含水メタノール又は含
水アセトンの溶液等が、そのままで、或いは必要に応じ
て濃縮された後、用いられることとなる。
や着色の少ないゼインを得るために用いられる、含水イ
ソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトンを溶
媒とするゼインの着色溶液とは、溶媒たる含水イソプロ
パノール、含水メタノール又は含水アセトンにゼインが
溶解されて、着色している溶液のことであって、本発明
にあっては、一般に、コーングルテンミールから含水イ
ソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトンを用
いてゼインを抽出分離した溶液や、色素含量の多い粗製
ゼインの含水イソプロパノール、含水メタノール又は含
水アセトンの溶液等が、そのままで、或いは必要に応じ
て濃縮された後、用いられることとなる。
【0010】中でも、本発明では、前者の溶液、即ちコ
ーングルテンミールから含水イソプロパノール、含水メ
タノール又は含水アセトンを用いてゼインを抽出分離
し、その含水イソプロパノール、含水メタノール又は含
水アセトン抽出着色液が、そのまま、または必要に応じ
て濃縮してなる着色溶液が、有利に用いられる。なお、
その出発原料たるコーングルテンミールは、とうもろこ
しから通常の湿式処理法によりコーンスターチを分離製
造する工程において、副産物として得られるものであ
る。そして、そのグルテンミールからゼインを含水イソ
プロパノール、含水メタノール又は含水アセトンを用い
て抽出するに際しては、常法に従って、コーングルテン
ミールに対して、60〜95%程度のイソプロパノー
ル、メタノール又はアセトンの濃度の含水イソプロパノ
ール、含水メタノール又は含水アセトンを、原料の3〜
10倍相当量加え、40〜60℃程度の温度で0.5〜
2時間抽出を行なうことにより、実施されるものであ
る。なお、必要に応じて、かかる抽出の際に、公知の方
法によりpHを調整することも可能であり、また抽出し
て得られた着色溶液には、遠心分離または濾過等の操作
が施され、不溶性の残渣が分離される。また、そのよう
な抽出着色溶液等のゼインの着色溶液には、必要に応じ
て濃縮操作が施され、その固形分濃度が20〜50%程
度の溶液とされて、本発明に従う操作が適用される。
ーングルテンミールから含水イソプロパノール、含水メ
タノール又は含水アセトンを用いてゼインを抽出分離
し、その含水イソプロパノール、含水メタノール又は含
水アセトン抽出着色液が、そのまま、または必要に応じ
て濃縮してなる着色溶液が、有利に用いられる。なお、
その出発原料たるコーングルテンミールは、とうもろこ
しから通常の湿式処理法によりコーンスターチを分離製
造する工程において、副産物として得られるものであ
る。そして、そのグルテンミールからゼインを含水イソ
プロパノール、含水メタノール又は含水アセトンを用い
て抽出するに際しては、常法に従って、コーングルテン
ミールに対して、60〜95%程度のイソプロパノー
ル、メタノール又はアセトンの濃度の含水イソプロパノ
ール、含水メタノール又は含水アセトンを、原料の3〜
10倍相当量加え、40〜60℃程度の温度で0.5〜
2時間抽出を行なうことにより、実施されるものであ
る。なお、必要に応じて、かかる抽出の際に、公知の方
法によりpHを調整することも可能であり、また抽出し
て得られた着色溶液には、遠心分離または濾過等の操作
が施され、不溶性の残渣が分離される。また、そのよう
な抽出着色溶液等のゼインの着色溶液には、必要に応じ
て濃縮操作が施され、その固形分濃度が20〜50%程
度の溶液とされて、本発明に従う操作が適用される。
【0011】 そして、本発明にあっては、上記のよう
な抽出着色溶液等のゼインの着色溶液を、その溶解温度
曲線が示す温度以下の所定の温度下に冷却せしめて、ゼ
インの析出を行なうものであるが、その際の具体的な温
度設定は、ゼインの着色溶液の水分量により決定される
こととなる。即ち、図1〜3は、種々の含水量の含水イ
ソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトンに対
して、各種割合でゼインを加熱、溶解させた後、その溶
液の温度を下げていき、析出物の出現による溶液の曇り
を生ずる温度を調べた結果であるが、この図1〜3から
明らかなように、ゼインの溶解度は溶媒たる含水イソプ
ロパノール、含水メタノール又は含水アセトン中の水分
量と温度に著しく影響されるのである。本発明者等が検
討したところ、ゼインの析出温度(y:℃)は、溶媒た
る含水イソプロパノール、含水メタノール又は含水アセ
トン中の水分濃度(x:%)に対して、それぞれ次のよ
うな二次関数:
な抽出着色溶液等のゼインの着色溶液を、その溶解温度
曲線が示す温度以下の所定の温度下に冷却せしめて、ゼ
インの析出を行なうものであるが、その際の具体的な温
度設定は、ゼインの着色溶液の水分量により決定される
こととなる。即ち、図1〜3は、種々の含水量の含水イ
ソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトンに対
して、各種割合でゼインを加熱、溶解させた後、その溶
液の温度を下げていき、析出物の出現による溶液の曇り
を生ずる温度を調べた結果であるが、この図1〜3から
明らかなように、ゼインの溶解度は溶媒たる含水イソプ
ロパノール、含水メタノール又は含水アセトン中の水分
量と温度に著しく影響されるのである。本発明者等が検
討したところ、ゼインの析出温度(y:℃)は、溶媒た
る含水イソプロパノール、含水メタノール又は含水アセ
トン中の水分濃度(x:%)に対して、それぞれ次のよ
うな二次関数:
【0012】y=a(x−b)2+c
【0013】にて近似され、そして、それらの係数bの
一部及びcは、その際のゼイン濃度(z:%)の対数に
対して、一次式においてよく相関され、その結果、ゼイ
ンの析出温度:yが、含水イソプロパノールを溶媒とす
る場合には、次の近似式:
一部及びcは、その際のゼイン濃度(z:%)の対数に
対して、一次式においてよく相関され、その結果、ゼイ
ンの析出温度:yが、含水イソプロパノールを溶媒とす
る場合には、次の近似式:
【0014】
【数1】
【0015】また含水メタノールを溶媒とする場合に
は、次の近似式:
は、次の近似式:
【0016】
【数2】
【0017】更に含水アセトンを溶媒とする場合には、
次の近似式:
次の近似式:
【0018】
【数3】
【0019】にて示され得ることが、明らかとなったの
である。
である。
【0020】 従って、本発明において、ゼインの着色
溶液を冷却して、ゼインを析出せしめるには、溶媒に応
じて、上記した近似式に従うゼインの析出温度:yより
も低い所定温度以下に、ゼインの着色溶液が冷却せしめ
られる必要があるのであり、それによって、抽出工程等
でゼインに伴って溶出した色素成分は、溶媒たる含水イ
ソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトン中に
そのまま溶質として溶存、残留し、その結果ゼインは、
そのような色素成分を殆ど含まない状態で析出、分離さ
れることとなるのである。
溶液を冷却して、ゼインを析出せしめるには、溶媒に応
じて、上記した近似式に従うゼインの析出温度:yより
も低い所定温度以下に、ゼインの着色溶液が冷却せしめ
られる必要があるのであり、それによって、抽出工程等
でゼインに伴って溶出した色素成分は、溶媒たる含水イ
ソプロパノール、含水メタノール又は含水アセトン中に
そのまま溶質として溶存、残留し、その結果ゼインは、
そのような色素成分を殆ど含まない状態で析出、分離さ
れることとなるのである。
【0021】 そして、かくして析出したゼインは、遠
心分離や濾過等の公知の適宜の手段によって、析出溶液
から分離、回収され、更に乾燥によって、完全に溶媒
(イソプロパノール、メタノール又はアセトン)が除去
せしめられる。尤も、析出物は常温付近ではゲル状の凝
集物になり易く、特に含水イソプロパノール、含水メタ
ノール又は含水アセトン中の水分が多い場合にはその傾
向が著しいため、本発明にあっては、濾過により析出ゼ
インを分離するためにも、上記近似式にて求められる析
出温度:yの値より更に10℃以上低い温度に、冷却温
度条件が設定されることとなるのである。
心分離や濾過等の公知の適宜の手段によって、析出溶液
から分離、回収され、更に乾燥によって、完全に溶媒
(イソプロパノール、メタノール又はアセトン)が除去
せしめられる。尤も、析出物は常温付近ではゲル状の凝
集物になり易く、特に含水イソプロパノール、含水メタ
ノール又は含水アセトン中の水分が多い場合にはその傾
向が著しいため、本発明にあっては、濾過により析出ゼ
インを分離するためにも、上記近似式にて求められる析
出温度:yの値より更に10℃以上低い温度に、冷却温
度条件が設定されることとなるのである。
【0022】このようにして得られたゼインは、着色の
少ない色調の淡いものであり、しかも無臭に近い、極め
て臭いの少ないものであって、含水低級アルコール又は
含水アセトンに溶かすと、完全に溶けて、極めて薄い黄
色の均一な透明溶液を与えるものである。
少ない色調の淡いものであり、しかも無臭に近い、極め
て臭いの少ないものであって、含水低級アルコール又は
含水アセトンに溶かすと、完全に溶けて、極めて薄い黄
色の均一な透明溶液を与えるものである。
【0023】なお、本発明においては、より完全なゼイ
ンの精製(脱色)を行なうために、本発明手法を繰り返
し実施することが出来、例えば上記の如くして回収した
ゼインを適当量の含水イソプロパノール、含水メタノー
ル又は含水アセトンで溶解し、必要あれば濃縮した後、
再度、冷却することにより、ゼインを析出させ、以てゼ
インの更なる脱色を図ることが可能である。
ンの精製(脱色)を行なうために、本発明手法を繰り返
し実施することが出来、例えば上記の如くして回収した
ゼインを適当量の含水イソプロパノール、含水メタノー
ル又は含水アセトンで溶解し、必要あれば濃縮した後、
再度、冷却することにより、ゼインを析出させ、以てゼ
インの更なる脱色を図ることが可能である。
【0024】
【実施例】以下に、本発明の幾つかの実施例を示し、本
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって何等の制約をも受
けるものでないことは、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記
の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り
において、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。なお、以下の実施例中の百分率は、特に断わ
りのない限り、何れも重量基準によって示されるもので
ある。
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって何等の制約をも受
けるものでないことは、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記
の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り
において、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。なお、以下の実施例中の百分率は、特に断わ
りのない限り、何れも重量基準によって示されるもので
ある。
【0025】実施例 1 コーングルテンミール50gに対する抽出操作を、90
%含水イソプロパノール300mlを用いて、60℃×
2時間、行なった後、遠心分離機を用いて固液分離する
ことにより、黄色に着色したゼイン抽出溶液を得た。次
いで、この抽出溶液を−10℃に冷却し、更にその温度
で16時間放置することにより、ゼインの析出を行なっ
た。その後、その析出物を、低温を保ちながら濾過分離
し、更に少量の冷イソプロパノールで洗浄した後、真空
乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン9.8gを得た。
%含水イソプロパノール300mlを用いて、60℃×
2時間、行なった後、遠心分離機を用いて固液分離する
ことにより、黄色に着色したゼイン抽出溶液を得た。次
いで、この抽出溶液を−10℃に冷却し、更にその温度
で16時間放置することにより、ゼインの析出を行なっ
た。その後、その析出物を、低温を保ちながら濾過分離
し、更に少量の冷イソプロパノールで洗浄した後、真空
乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン9.8gを得た。
【0026】一方、比較のために、上記の90%含水イ
ソプロパノールの代わりに90%含水エタノールを用い
て、同様な方法で抽出した黄色のゼイン抽出溶液を、不
揮発分:25%まで濃縮した後、冷水(1〜2℃)50
0ml中に滴下して、ゼインを析出せしめ、濾過、分離
した後、真空乾燥することにより、黄色味を帯びた、独
特の臭いのあるゼイン9.3gを得た。
ソプロパノールの代わりに90%含水エタノールを用い
て、同様な方法で抽出した黄色のゼイン抽出溶液を、不
揮発分:25%まで濃縮した後、冷水(1〜2℃)50
0ml中に滴下して、ゼインを析出せしめ、濾過、分離
した後、真空乾燥することにより、黄色味を帯びた、独
特の臭いのあるゼイン9.3gを得た。
【0027】上記の如くして得た2種のゼインの精製の
程度を定量的に表わすために、各試料を74%の含水エ
タノールに溶解して、ゼイン:2%を含有する含水エタ
ノール溶液を調製し、400nmと500nmにおける
吸光度の差(ΔA)を測定した。その結果、上記本発明
手法に従って得られた精製ゼインのΔAは0.080で
あったのに対し、比較例のゼインのΔAは0.495
で、黄色成分が本発明手法によって著しく減少したこと
が数値的にも認められた。
程度を定量的に表わすために、各試料を74%の含水エ
タノールに溶解して、ゼイン:2%を含有する含水エタ
ノール溶液を調製し、400nmと500nmにおける
吸光度の差(ΔA)を測定した。その結果、上記本発明
手法に従って得られた精製ゼインのΔAは0.080で
あったのに対し、比較例のゼインのΔAは0.495
で、黄色成分が本発明手法によって著しく減少したこと
が数値的にも認められた。
【0028】実施例 2 コーングルテンミール50gに対して、80%含水イソ
プロパノール300mlを用いて、60℃で2時間、抽
出を行なった後、遠心分離機を用いて固液分離すること
により、黄色に着色したゼイン抽出溶液を得た。次い
で、この抽出溶液を−15℃に冷却し、更にその温度で
16時間放置することにより、ゼインを析出せしめた。
その後、この得られた析出物を、低温を保ちながら濾過
分離し、更に少量の冷イソプロパノールで洗浄した後、
真空乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン9.6gを得
た。そして、実施例1と同様にして、得られたゼインの
吸光度差ΔAを測定して、0.082の値を得た。
プロパノール300mlを用いて、60℃で2時間、抽
出を行なった後、遠心分離機を用いて固液分離すること
により、黄色に着色したゼイン抽出溶液を得た。次い
で、この抽出溶液を−15℃に冷却し、更にその温度で
16時間放置することにより、ゼインを析出せしめた。
その後、この得られた析出物を、低温を保ちながら濾過
分離し、更に少量の冷イソプロパノールで洗浄した後、
真空乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン9.6gを得
た。そして、実施例1と同様にして、得られたゼインの
吸光度差ΔAを測定して、0.082の値を得た。
【0029】実施例 3 コーングルテンミール50gに対して、90%含水メタ
ノール300mlを用いて、50℃で2時間の抽出を行
なった後、遠心分離機を用いて、黄色のゼイン抽出溶液
を分離した。次いで、この抽出溶液を−15℃に冷却
し、更にその温度で16時間放置することにより、ゼイ
ンを析出せしめた。その後、その析出物を、低温を保ち
ながら濾過分離し、更に少量の冷メタノールで洗浄した
後、真空乾燥することにより、無色、無臭の精製ゼイン
8.2gを得た。そして、実施例と同様にして、得られ
たゼインの吸光度差:ΔAを測定すると、0.084で
あった。
ノール300mlを用いて、50℃で2時間の抽出を行
なった後、遠心分離機を用いて、黄色のゼイン抽出溶液
を分離した。次いで、この抽出溶液を−15℃に冷却
し、更にその温度で16時間放置することにより、ゼイ
ンを析出せしめた。その後、その析出物を、低温を保ち
ながら濾過分離し、更に少量の冷メタノールで洗浄した
後、真空乾燥することにより、無色、無臭の精製ゼイン
8.2gを得た。そして、実施例と同様にして、得られ
たゼインの吸光度差:ΔAを測定すると、0.084で
あった。
【0030】実施例 4 コーングルテンミール50gに対して、80%含水アセ
トン300mlを用いて、50℃で2時間の抽出を行な
った後、遠心分離して、黄色のゼイン抽出溶液を分離し
た。次いで、この抽出溶液を−15℃に冷却し、更にそ
の温度で16時間放置することによりゼインを析出せし
めた。形成された析出物を低温で濾過分離した後、少量
の冷アセトンで洗浄し、その後、真空乾燥して、無色、
無臭の精製ゼイン7.8gを得た。実施例1と同様にし
て、吸光度差:ΔAを測定すると、0.082であっ
た。
トン300mlを用いて、50℃で2時間の抽出を行な
った後、遠心分離して、黄色のゼイン抽出溶液を分離し
た。次いで、この抽出溶液を−15℃に冷却し、更にそ
の温度で16時間放置することによりゼインを析出せし
めた。形成された析出物を低温で濾過分離した後、少量
の冷アセトンで洗浄し、その後、真空乾燥して、無色、
無臭の精製ゼイン7.8gを得た。実施例1と同様にし
て、吸光度差:ΔAを測定すると、0.082であっ
た。
【0031】実施例 5 実施例1において比較試料として調製された、黄色味を
帯びたゼインを用い、その10gを90%含水イソプロ
パノール150mlに再溶解した。そして、このように
して得たゼイン溶液を、−5℃に冷却し、その温度で1
6時間放置することにより、ゼインを析出せしめた。そ
の後、この生成した析出物を、低温を保ちながら濾過分
離し、少量の冷イソプロパノールで洗浄した後、真空乾
燥して、無色、無臭の精製ゼイン9.2gを得た。ま
た、実施例1と同様にして、吸光度差:ΔAを測定した
ところ、0.081であった。
帯びたゼインを用い、その10gを90%含水イソプロ
パノール150mlに再溶解した。そして、このように
して得たゼイン溶液を、−5℃に冷却し、その温度で1
6時間放置することにより、ゼインを析出せしめた。そ
の後、この生成した析出物を、低温を保ちながら濾過分
離し、少量の冷イソプロパノールで洗浄した後、真空乾
燥して、無色、無臭の精製ゼイン9.2gを得た。ま
た、実施例1と同様にして、吸光度差:ΔAを測定した
ところ、0.081であった。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、薬剤や食品へのコーティングや塗装用等に好
適な、極めて着色の薄いゼインを経済的に製造すること
が出来る。また、本発明に従って得られるゼインは、淡
色であるので、従来では使用が困難であった各種食品、
医薬・化粧品等の分野やその他の工業分野でも使用可能
となったのである。しかも、このように、着色を著しく
軽減する効果に加えて、独特の臭いも、従来のものに比
して著しく軽減され得たことによって、食品、飼料・餌
料、医薬・化粧品や塗装材等の分野で有利に用いられ得
るのである。
によれば、薬剤や食品へのコーティングや塗装用等に好
適な、極めて着色の薄いゼインを経済的に製造すること
が出来る。また、本発明に従って得られるゼインは、淡
色であるので、従来では使用が困難であった各種食品、
医薬・化粧品等の分野やその他の工業分野でも使用可能
となったのである。しかも、このように、着色を著しく
軽減する効果に加えて、独特の臭いも、従来のものに比
して著しく軽減され得たことによって、食品、飼料・餌
料、医薬・化粧品や塗装材等の分野で有利に用いられ得
るのである。
【図1】ゼインの含水イソプロパノール溶液からゼイン
が析出する温度と含水イソプロパノール溶媒中の水分濃
度との関係を示すグラフである。
が析出する温度と含水イソプロパノール溶媒中の水分濃
度との関係を示すグラフである。
【図2】ゼインの含水メタノール溶液からゼインが析出
する温度と含水メタノール溶媒中の水分濃度との関係を
示すグラフである。
する温度と含水メタノール溶媒中の水分濃度との関係を
示すグラフである。
【図3】ゼインの含水アセトン溶液からゼインが析出す
る温度と含水アセトン溶媒中の水分濃度との関係を示す
グラフである。
る温度と含水アセトン溶媒中の水分濃度との関係を示す
グラフである。
Claims (1)
- 【請求項1】 含水メタノ−ル、または含水アセトンを
溶媒とするゼインの着色溶液から、色素含有量及び臭気
の少ないゼインを取り出すための方法にして、かかるゼ
インの着色溶液を、次式:y=0.05(x−17.
6) 2 +26−13log z 〔但し、xは含水メタノ
ール中の水分濃度(%)であり、zは着色溶液中のゼイ
ン濃度(%)である〕、またはy=0.16(x’−3
4.7) 2 −11+5 log z 〔但し、x’は含水ア
セトン中の水分濃度(%)であり、zは着色溶液中のゼ
イン濃度(%)である〕にて求められるゼインの析出温
度(y:℃)よりも更に10℃以上低い温度に冷却する
ことにより、該着色溶液中に溶存せるゼインを析出せし
め、そしてその析出液から、析出ゼインを分離、採取す
ることを特徴とする色素含有量並びに臭気の少ないゼイ
ンの調製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3321404A JP2824352B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | 色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3321404A JP2824352B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | 色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05130835A JPH05130835A (ja) | 1993-05-28 |
JP2824352B2 true JP2824352B2 (ja) | 1998-11-11 |
Family
ID=18132175
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3321404A Expired - Fee Related JP2824352B2 (ja) | 1991-11-08 | 1991-11-08 | 色素含有量並びに臭気の少ないゼインの調製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2824352B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
AU2019201465B1 (en) * | 2019-03-04 | 2020-05-28 | The Walter And Eliza Hall Institute Of Medical Research | Purification method |
-
1991
- 1991-11-08 JP JP3321404A patent/JP2824352B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05130835A (ja) | 1993-05-28 |
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