JP2716899B2 - 着色並びに臭気の少ないゼインの調製方法 - Google Patents
着色並びに臭気の少ないゼインの調製方法Info
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Description
の調製方法に係り、特にとうもろこし又はコーングルテ
ンミールからゼインを製造するに際して、色素含有量並
びに臭気の少ない淡色のゼインを採取する方法に関する
ものである。
もろこしの主蛋白質で、プロラミン系に属する、含水ア
ルコールに可溶な物質である。この物質は、容易にフィ
ルム状や繊維状に成形することが出来、強靭で、且つ優
れた耐熱性、耐酸性、耐水性、電気絶縁性を有するもの
であるところから、製紙加工塗布剤、木材製品の表面塗
装、合板等の接着剤、防湿剤、電気部品の防湿塗装、食
品や錠剤等のコーティング剤に利用されている。
めに、通常、とうもろこし或いはそれから得られるコー
ングルテンミールを出発原料とし、それに対して、60
〜95%(重量基準、以下同じ)濃度の含水エタノール
や90%前後のイソプロパノール等の低級アルコールを
溶媒として用いて抽出を行なった後、かかる溶媒を留去
するか、その抽出液を冷水に投入する等の手段を用い
て、ゼイン固体を回収する方法が、採用されている。ま
た、特開昭61−16770号公報には、そのような抽
出液を冷水に投入する代わりに、中性塩類溶液中に滴下
して、ゼインの収率を上げる方法が明らかにされてお
り、また特開昭63−185998号公報には、抽出液
に水を加えてエタノール濃度を調整して、析出する不純
物を除去する方法が明らかにされ、更に特開昭63−1
85999号公報には、抽出液のpHを調整することに
より、エタノール可溶性の大きなゼインを得る方法が明
らかにされている。
原料とうもろこしに由来する臭い及び色素成分が、含水
エタノールによる抽出の際に、ゼインと一緒に抽出され
て、ゼインと共に分離、回収されることとなるために、
得られた製品は、独特の臭いを有していると共に、かな
り黄色味を帯びている。このことは、前記したコーティ
ング剤としてのゼインの利用分野を制限することとな
り、色の淡い、むしろ無色で、しかも無臭の材料が望ま
れている多くの食品分野では、従来のゼインは、到底、
その要求を満足するものではなかったのである。なお、
とうもろこしに含まれる色素は、カロチノイド系のうち
でも、エタノール可溶のキサントフィル類が多いことが
知られているが、そのようなキサントフィル類やその他
の黄色色素は、薄層クロマトグラフィーにおいて、ゼイ
ンよりも無極性であるため、従来法のように含水エタノ
ール液に水を加える場合には、ゼインに随伴して黄色色
素も析出し、両者の分離は極めて困難なのである。
たものであって、その課題とするところは、従来からの
ゼインに比して、その黄色味を著しく低減せしめた、色
調が淡く且つ臭気の少ないゼインを得る手法を提供する
ことにある。
ために、含水低級アルコール又は含水アセトンを溶媒と
するゼインの着色溶液を、該溶媒としての含水低級アル
コール又は含水アセトンよりも含水量の少ない低級アル
コール又はアセトンと混合して、含水量を低下せしめる
ことにより、かかる着色溶液中に溶存せるゼインを析出
せしめ、そしてその析出液から析出ゼインを分離、採取
することを特徴とする臭気並びに着色の少ないゼインの
調製方法を、その要旨とするものである。
ール又は含水アセトンへの溶解度が、溶媒たる含水低級
アルコール又は含水アセトンの水分量に依存することを
利用して、含水量の多いゼインの着色低級アルコール又
はアセトン溶液を含水量の少ない低級アルコール又はア
セトンと混合せしめることによって、ゼインを析出させ
るようにしたものである。そして、その際、ゼインの着
色低級アルコール又はアセトン溶液中に存在する色素成
分は、ゼインよりも無極性であるところから、そのま
ま、低級アルコール又はアセトン中に溶存、残存させ、
ゼインと共に析出しないようにすることによって、結果
として、色調の淡いゼインを得ることが出来ることとな
ったのである。
にあっては、驚くべきことに、従来からのゼインに比べ
て極めて臭いが少なく、そのため無臭に近いゼインを得
ることが出来るのである。なお、析出したゼインを分離
した後の低級アルコール又はアセトン溶液は、再度、ゼ
インの抽出に利用出来るという利点を有する。
や臭いの少ないゼインを得るために用いられる、含水低
級アルコール又は含水アセトンを溶媒とするゼインの着
色溶液とは、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ル等の炭素数4以下の低級アルコール又はアセトンに所
定量の水が添加されてなる含水低級アルコール又は含水
アセトンからなる溶媒にゼインが溶解されて、着色して
いる溶液のことであって、本発明にあっては、一般に、
コーングルテンミールから含水低級アルコール又は含水
アセトンを用いてゼインを抽出分離した溶液や、色素含
量の多い粗製ゼインを含水低級アルコール又は含水アセ
トンに溶解せしめてなる溶液等が、必要に応じて濃縮さ
れた後、用いられることとなる。
ーングルテンミールから含水低級アルコール又は含水ア
セトンを用いてゼインを抽出分離し、その含水低級アル
コール又は含水アセトン抽出着色液を、そのまま、また
は必要に応じて濃縮して得られる着色溶液が、有利に用
いられる。なお、その出発原料たるコーングルテンミー
ルは、とうもろこしから通常の湿式処理法によりコーン
スターチを分離製造する工程において、副産物として得
られるものである。そして、そのグルテンミールからゼ
インを含水低級アルコール又は含水アセトンを用いて抽
出するに際しては、常法に従って、コーングルテンミー
ルに対して60〜95%程度の低級アルコール又はアセ
トンの濃度の含水低級アルコール又は含水アセトンを原
料の3〜10倍相当量加え、40〜60℃程度の温度で
0.5〜2時間抽出を行なうことにより、実施されるも
のである。なお、必要に応じて、かかる抽出の際に、公
知の方法によりpHを調整することも可能であり、また
抽出して得られた着色溶液には、遠心分離または濾過等
の操作が施されて、不溶性の残渣が分離される。
液等のゼインの着色溶液を、当該溶液の溶媒たる含水低
級アルコール又は含水アセトンよりも含水量の少ない低
級アルコール又はアセトンと混合するものであるが、そ
れに先立って、必要に応じてゼインの着色溶液には濃縮
操作が施され、固形分濃度が20〜50%程度の溶液と
される。
る低級アルコール又はアセトンは、一般に、体積比で、
かかる着色溶液の1〜20倍量において用いられるもの
であり、更にその水分量は、着色溶液を構成する溶媒た
る含水低級アルコール又は含水アセトンの水分量より少
なくすれば、ゼインの一応の析出は図られ得るが、より
有効な析出を行なうには、その水分量の差が大きければ
大きい程良く、そのために水分量で10%以上の差があ
るように構成することが望ましい。その意味において、
ゼインの着色溶液が混合せしめられる低級アルコール又
はアセトンの水分率は、望ましくは可及的に低くされ、
例えば1%以下とされるが、そのような低級アルコール
又はアセトンの水分量は、また、ゼインの着色溶液を全
量滴下した後の溶液全体の水分量が一般に5%を超えな
いように、好ましくは3%を超えないように調整され
る。また、このゼインの着色溶液が滴下せしめられる低
級アルコール又はアセトンの温度は、一般に5℃以下、
好ましくは0℃以下に設定することが望ましい。このよ
うな低級アルコール又はアセトンの水分量と温度の上限
の規定は、それら水分量や温度が高くなり過ぎると、低
級アルコール又はアセトンに対するゼインの溶解度が高
くなって、ゼインの析出量が減少し、目的とするゼイン
の収率が損なわれるからである。温度と低級アルコール
又はアセトン中の水分とを上記の如き範囲内に設定する
ことにより、抽出工程等でゼインに伴って溶出した色素
成分は、含水低級アルコール又は含水アセトン中に溶
存、残留して、ゼインは、そのような色素成分を殆ど含
まない状態で析出、分離されることとなるのである。
分離や濾過等の公知の適宜の手段によって、析出溶液か
ら分離、回収され、更に乾燥によって、完全に溶媒(低
級アルコール又はアセトン)が除去せしめられる。
しての性状は、SDSゲル電気泳動法並びにアミノ酸分
析法において標品と異なるところはなく、着色の少ない
色調の淡いものであり、しかも無臭に近い、極めて臭い
の少ないものであって、含水低級アルコール又は含水ア
セトンに溶かすと、完全に溶けて、極めて薄い黄色の均
一な透明溶液を与えるものである。
ンの精製(脱色)を行なうために、本発明手法を繰り返
し実施することが出来、例えば上記の如くして回収した
ゼインを適当量の含水低級アルコール又は含水アセトン
で溶解し、必要あれば濃縮した後、再度低級アルコール
又はアセトンと混合して、析出分離することにより、ゼ
インの更なる脱色を図ることが可能である。
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって何等の制約をも受
けるものでないことは、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記
の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限り
において、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。なお、以下の実施例中の百分率は、特に断わ
りのない限り、何れも重量基準によって示されるもので
ある。
5%含水エタノール600mlを用いて、60℃×2時
間の条件下で、行なった後、遠心分離機を用いて固液分
離することにより、黄色に着色したゼイン抽出溶液を得
た。次いで、この抽出溶液を濃縮して、不揮発性成分:
25.3%、水分:14.8%の濃縮液89gを得た。
その後、この濃縮液の一部20gを、予め0℃に冷却し
ておいた99.5%エタノール200ml中に、少量ず
つ撹拌しながら滴下して、ゼインを析出させた。この滴
下によって形成された析出溶液全体の水分率は2.1%
であった。そして、この精製した析出溶液を低温に保ち
ながら濾過分離し、更に少量の冷エタノールで洗浄した
後、真空乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン4.5gを
得た。
を冷水(1〜2℃)200ml中に滴下して、ゼインを
析出せしめ、濾過、分離した後、真空乾燥することによ
り、4.6gの、黄色味を帯びた、独特の臭いのあるゼ
インを得た。
程度を定量的に表わすために、各試料を74%の含水エ
タノールに溶解して、ゼイン:2%を含有する含水エタ
ノール溶液を調製し、400nmと500nmにおける
吸光度の差(ΔA)を測定した。その結果、上記本発明
手法に従って得られた精製ゼインのΔAは0.082で
あったのに対し、比較例のゼインのΔAは0.503で
あって、黄色成分が本発明手法によって著しく減少した
ことが数値的にも認められた。
を、−10℃の冷エタノール(99.5%濃度)200
ml中に、少量ずつ撹拌しながら滴下して、ゼインを析
出させた。次いで、その析出物を、低温を保ちながら濾
過、分離し、少量の冷エタノールで洗浄した後、真空乾
燥することにより、無色、無臭の精製ゼイン4.5gを
得た。そして、実施例1と同様にして、得られたゼイン
の吸光度差ΔAを測定すると、0.084であった。
ノール300mlを用いて、60℃で2時間、抽出を行
なった後、遠心分離して、黄色のゼイン抽出溶液を分離
せしめた。そして、その抽出溶液を濃縮し、不揮発性成
分:40.0%、水分:17.2%の濃縮液28gを得
た。その後、この濃縮液を、−10℃に冷却した99.
5%エタノール250ml中に少量ずつ撹拌しながら滴
下して、ゼインを析出させた。このゼインが析出された
溶液全体の水分は、2.3%であった。次いで、かかる
精製した析出物を、低温を保ちながら濾過、分離し、少
量の冷エタノールで洗浄した後、真空乾燥して、無色、
無臭の精製ゼイン10.1gを得た。実施例1と同様に
して吸光度差:ΔAを測定すると、0.091であっ
た。
ノール300mlを用いて、60℃で2時間の抽出を行
なった後、遠心分離して、黄色のゼイン抽出溶液を分離
した。その後、この抽出溶液を濃縮せしめ、不揮発性成
分:20.0%、水分:32.7%の濃縮液58gを得
た。そして、この濃縮液を−15℃に冷却された99.
5%エタノール500mlに少量ずつ撹拌しながら滴下
して、ゼインを析出させた。なお、このゼインの析出し
た溶液全体の水分は4.2%であった。その後、精製し
た析出物を低温で遠心分離した後、冷エタノール100
mlを加えて撹拌、洗浄し、再度、遠心分離した後、真
空乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン9.8gを得た。
実施例1と同様にして吸光度差:ΔAを測定すると、
0.085であった。
プロパノール300mlを用いて、60℃で2時間の抽
出操作を行なった後、遠心分離して、黄色のゼイン抽出
溶液を分離した。その後、この抽出溶液を濃縮せしめ、
不揮発性成分:32.4%、水分:17.3%の濃縮液
36gを得た。そして、この濃縮液を、−10℃に冷却
された99.5%イソプロパノール400mlに少量ず
つ撹拌しながら滴下して、ゼインを析出させた。なお、
このゼインの析出した溶液全体の水分は2.3%であっ
た。その後、精製した析出物を低温を保ちながら濾過、
分離し、少量の冷イソプロパノールで洗浄した後、真空
乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン10.6gを得た。
実施例1と同様にして吸光度差:ΔAを測定すると、
0.083であった。
ノール300mlを用い、50℃で2時間、抽出を行な
った後、遠心分離して、黄色のゼイン抽出溶液を分離せ
しめた。そして、その濃縮液を濃縮し、メタノールを加
えて溶液濃度を調整して、不揮発性成分:18.6%、
水分:19.5%の濃縮液56gを得た。その後、この
濃縮液を、−15℃に冷却した99.7%メタノール4
00ml中に少量ずつ撹拌しながら滴下して、ゼインを
析出させた。このゼインが析出された溶液全体の水分
は、3.1%であった。次いで、かかる精製した析出物
を、低温を保ちながら濾過、分離し、少量の冷メタノー
ルで洗浄した後、真空乾燥して、無色、無臭の精製ゼイ
ン8.5gを得た。実施例1と同様にして吸光度差:Δ
Aを測定したところ、0.089であった。
トン300mlを用いて、50℃で2時間、抽出を行な
った後、遠心分離して、黄色のゼイン抽出溶液を分離せ
しめた。そして、その濃縮液を濃縮し、アセトンを加え
て溶液濃度を調整して、不揮発性成分:21.2%、水
分:27.0%の濃縮液47gを得た。その後、この濃
縮液を、−15℃に冷却した99.6%アセトン400
ml中に少量ずつ撹拌しながら滴下して、ゼインを析出
させた。このゼインが析出された溶液全体の水分は、
3.6%であった。次いで、かかる精製した析出物を、
低温を保ちながら濾過、分離し、少量の冷アセトンで洗
浄した後、真空乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン8.
0gを得た。実施例1と同様にして吸光度差:ΔAを測
定したところ、0.085であった。
帯びたゼインを用い、その4gを85%含水エタノール
15mlに再溶解した。そして、このようにして得たゼ
イン溶液を、−10℃に冷却した99.5%エタノール
100ml中に、少量ずつ撹拌しながら滴下して、ゼイ
ンを析出させた。その後、この生成した析出物を低温を
保ちながら濾過、分離し、少量の冷エタノールで洗浄し
た後、真空乾燥して、無色、無臭の精製ゼイン3.7g
を得た。実施例1と同様にして吸光度差:ΔAを測定し
たところ、0.082であった。
によれば、薬剤や食品へのコーティングに好適な、極め
て着色の薄いゼインを、経済的に且つ有利に製造するこ
とが出来るのである。また、本発明に従って得られるゼ
インは、淡色であるので、従来では使用が困難であった
各種食品分野やその他の工業分野でも使用可能となった
のである。しかも、このように、着色を著しく軽減する
効果に加えて、独特の臭いも、従来のものに比して著し
く少なく為し得たことによって、食品、飼料・餌料、医
薬・化粧品や塗装材等の分野で有利に用いられ得るので
ある。
Claims (1)
- 【請求項1】 含水低級アルコール又は含水アセトンを
溶媒とするゼインの着色溶液を、該溶媒としての含水低
級アルコール又は含水アセトンよりも含水量の少ない低
級アルコール又はアセトンと混合せしめて、かかる着色
溶液中に溶存せるゼインを析出させ、そしてその析出液
から析出ゼインを分離、採取することを特徴とする着色
並びに臭気の少ないゼインの調製方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-222212 | 1991-08-07 | ||
JP22221291 | 1991-08-07 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0592998A JPH0592998A (ja) | 1993-04-16 |
JP2716899B2 true JP2716899B2 (ja) | 1998-02-18 |
Family
ID=16778893
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32140591A Expired - Fee Related JP2716899B2 (ja) | 1991-08-07 | 1991-11-08 | 着色並びに臭気の少ないゼインの調製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2716899B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE4427668A1 (de) * | 1994-08-04 | 1996-02-22 | Pfeifer & Langen | Verfahren zur Herstellung neuartiger Getreidekleber-Fraktionen und nach diesem Verfahren herstellbares Produkt |
AU2019201465B1 (en) * | 2019-03-04 | 2020-05-28 | The Walter And Eliza Hall Institute Of Medical Research | Purification method |
-
1991
- 1991-11-08 JP JP32140591A patent/JP2716899B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0592998A (ja) | 1993-04-16 |
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