JP4220359B2 - 電源回路 - Google Patents

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Description

本発明は、インバータ形式の電源回路に関し、特に部分並列共振を使用したものに関する。
従来、部分並列共振を使用した電源回路には、特許文献1に開示されているようなものがある。特許文献1の技術では、直流電源の直流電圧をスイッチングして、交流電圧に変換するスイッチング手段が設けられている。この交流電圧を全波整流する直流出力手段と、スイッチング手段の出力端との間に直列共振手段が設けられている。スイッチング手段の両端に並列共振手段が設けられている。スイッチング素子を周期的にタイミング制御手段がオン、オフ制御する。このタイミング制御手段では、スイッチング手段をオンした後には、このオンされたスイッチング手段を流れる電流が直列共振手段による直列共振が終了して、ほぼ零になった後に、当該スイッチング手段をオフとし、スイッチング手段をオフにした後には、このスイッチング手段に印加される電圧が並列共振手段によってほぼ零に変化した後に、当該スイッチング手段をオンするように制御している。
特許第2722869号明細書
この電源回路では、このスイッチング手段に供給される電圧が零である時点と、スイッチング手段を流れる電流が零である時点とで、スイッチング動作が行われているので、スイッチング損失が小さい。しかし、このスイッチング手段のスイッチング動作は、スイッチング手段の両端電圧がほぼ零になった後に行われる。そのため、電流が流れる期間が短く、力率が悪くなるという問題がある。
本発明は、並列共振を使用したインバータ形式の電源回路において、力率を改善することを目的とする。
本発明の一態様による電源回路は、直流電源を有している。この直流電源の直流電圧を制御信号に応じてオン、オフし、交流に変換する少なくとも1つのスイッチング素子を含むスイッチング手段が設けられている。このスイッチング手段から供給される交流入力をダイオードで全波整流し、コンデンサで平滑して、直流出力を取り出す直流出力手段が設けられている。スイッチング素子に制御信号を駆動回路が供給する。この駆動回路は、スイッチング素子をオン、オフさせ、当該スイッチング素子がオフした後には、当該スイッチング素子に印加される電圧が変化している状態で、当該スイッチング素子をオンするための前記制御信号を前記スイッチング素子に供給する。
このように構成した電源回路では、スイッチング素子は、その両端間電圧が変化している状態中に既に制御信号が供給されているので、両端間電圧がほぼ零になった途端に、スイッチング素子に電流が流れ始める。従って、両端間電圧がほぼ零になった後にスイッチング素子をオンさせる場合よりも、この電源回路では、電流が流れる期間が長くなり、力率が改善される。
本発明の他の態様の電源回路は、直流電源を有している。この直流電源の両端間にスイッチング手段が設けられている。このスイッチング手段は、直流電源の直流電圧をオン、オフする第1及び第2のスイッチング素子が前記直流電源の両端間に直列に接続された直列回路を有している。この直列回路に並列に電流経路が接続されている。第1及び第2のスイッチング素子の直列回路と電流経路とによって、ブリッジ回路が構成されている。この電流経路は、2つの電流通過素子の直列回路からなる。電流経路は、例えば直列に接続した2つのコンデンサとすることも可能であるし、或いは第1及び第2のスイッチング素子と同様に直列に接続された第3及び第4のスイッチング素子を使用することもできる。第1のスイッチング素子は、第1の制御信号が第1の状態、例えばHレベルの状態になるのに応じてオンとなり、第1の制御信号が第2の状態になるのに応じてオフとなる。第2のスイッチング素子は、第2の制御信号が第1の状態になるのに応じてオンとなり、第2の制御信号が第2の状態になるのに応じてオフとなる。第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と、前記2つの電流通過素子の相互接続点との間に、即ちブリッジ回路の出力端間に、直流出力手段が接続されている。この直流出力手段は、前記スイッチング手段の出力をダイオードで全波整流して、コンデンサで平滑して出力する。第1及び第2のスイッチング素子に並列に並列共振手段が設けられている。第1及び第2のスイッチング素子と直列に直列共振手段を設けることもできる。この直列共振手段としては、インダクタンス素子とコンデンサとの直列回路を使用することもできる。或いは、第1及び第2スイッチング素子の接続点と前記2つの電流通過素子の相互接続点との間に変圧器の一次巻線を接続し、かつこの変圧器の二次巻線の両端と中間タップとの間に前記直流出力手段を設けるような場合には、この変圧器のインダクタンス、例えば漏れインダクタンスとコンデンサとによって直列共振回路を形成することもできる。駆動回路が、第1の制御信号が第1の状態のとき、第2の制御信号が第2の状態であり、第1の制御信号が第2の状態のとき、第2の制御信号が第1の状態であるように、第1のスイッチング素子に第1の制御信号を、第2のスイッチング素子に第2の制御信号を供給する。駆動回路は、第1のスイッチング素子の両端間電圧が前記並列共振手段によって零に向かって変化している状態において第1のスイッチング素子の電圧が零になる直前に第1のスイッチング素子をオンするように第1の制御信号を第1の状態に変化させ、第2のスイッチング素子の両端間電圧が前記並列共振手段によって零に向かって変化している状態において第2のスイッチング素子の電圧が零になる直前に第2のスイッチング素子をオンするように第2の制御信号を第1の状態に変化させることを繰り返す。
このように構成すると、第1及び第2のスイッチング素子の両端間電圧がそれぞれほぼ零になると、直ちに第1及び第2のスイッチング素子に電流が流れる。即ち、これらスイッチング素子に電流が流れる期間が、これらの両端間電圧が零になった後に制御信号を第1の状態としたときに電流が流れる期間よりも長くなる。
この態様では、変圧器も設けることもできる。例えば、第1及び第2スイッチング素子の接続点と前記電流経路の中間点との間に、変圧器の一次巻線が接続され、この変圧器の二次巻線の両端と、二次巻線の中間タップとの間に、前記直流出力手段が設けられる。この場合、並列共振手段は、例えば第1及び第2のスイッチング素子の浮遊容量と、変圧器の一次巻線の自己インダクタンスとによって形成する。
このように構成した場合、上記と同様に力率を改善することができる上に、変圧器を用いたときに、負荷の値が大きくても、変圧器の一次側電流の振動や第1及び第2スイッチング素子の両端間電圧の乱れを防止することができる。即ち、詳細は後述するが、第1及び第2のスイッチング素子に供給する制御信号を第1の状態とするタイミングを、並列共振が終了した後とすると、並列共振手段に含まれているコンデンサの電荷を使用して、変圧器の一次巻線に一次側電流が流れる。このコンデンサの電荷が放電されると、今度は変圧器の一次巻線に蓄えられていたエネルギーによって一次側電流が流れる。この現象が繰り返されて、一次側電流が振動する。負荷が大きい場合には、第1及び第2のスイッチング素子の両端間電圧にも乱れが生じる。これに対し、本態様では、第1または第2のスイッチング素子の両端間電圧が変化している状態で、第1または第2のスイッチング素子への制御信号が第1の状態に変化させられるので、第1または第2のスイッチング素子の両端間電圧がそれぞれほぼ零になると、直ちに第1または第2のスイッチング素子に直流電源から電流が流れ、変圧器の一次巻線に一次側電流を供給することができる。その結果、一次側電流が振動することはなく、また第1及び第2のスイッチング素子の両端間電圧が乱れることもない。なお、変圧器を使用しない場合でも、負荷を接続した状態では、第1及び第2のスイッチング素子に供給する制御信号を第1の状態とするタイミングを、並列共振が終了した後とすると、第1または第2のスイッチング素子がオンとなる前に、並列共振手段に含まれているコンデンサの電荷の放電と、直列共振手段のインダクタンスに蓄えられたエネルギーの放出とによって負荷に電流が流れ、この電流が振動する。従って、変圧器を使用していない場合でも、第1及び第2のスイッチング素子の両端間電圧が変化している状態で、第1及び第2のスイッチング素子に供給されている制御信号を第1の状態に変化させることによって、直列共振手段や並列共振手段から負荷に電流を供給せず、直流電源から電流を負荷に供給することができ、負荷に供給する電流が不要な振動を生じることがない。
以上のよう、本発明によれば、スイッチング素子に電流が流れる期間を長くしているので、力率を改善することができる。また、変圧器を設けていない場合には、負荷電流の乱れを生じることがなく、また変圧器を設けている場合には、負荷電流を含む変圧器の一次側電流が乱れたり、第1及び第2のスイッチング素子の両端間電圧に乱れが生じたりすることもない。
本発明の1実施形態の電源回路は、図1に示すように、直流電源2を有している。この直流電源2には、例えば商用交流電源からの交流電圧を整流、平滑したものを使用することができる。この直流電源2の電圧をVccとする。
この直流電源2の正の端子2Pと負の端子2Nとの間に、直列に、電流経路、例えばコンデンサ4a、4bの直列回路が接続されている。これらコンデンサ4a、4bの直列回路と並列に、別の直列回路が接続されている。この直列回路は、半導体スイッチング素子、例えばMOSFET6a、6bを含み、これらのドレイン・ソース導電路を直列に接続してある。FET6a、6bのドレインが正極性に、ソースが負極性となるようにFET接続されている。FET6a、6bのゲートには、駆動回路8からそれぞれ制御信号、例えばゲート電圧が供給される。このゲート電圧は、第1の状態、例えばH(高)レベルと第2の状態、例えばL(低)レベルとの間で変化するもので、このゲート電圧の変化に従ってFET6a、6bがオン、オフ制御される。駆動回路8からのゲート電圧は、少なくとも100KHz台、例えば180KHzの周波数を持つ高周波電圧である。駆動回路8としては、フィードバック制御を使用していない他励式のものを使用することができる。このようにコンデンサ4a、4b及びFET6a、6bによって、ハーフブリッジ型のインバータが構成されている。
FET6aのソース及びFET6bのドレインの接続点7aと、コンデンサ4a、4bの相互接続点7bとが、このインバータの出力端子であり、これら出力端子の間には、変圧器10の1次巻線10Pが接続されている。変圧器10の2次巻線10Sに直流出力手段が設けられている。即ち、2次巻線10Sの一端には整流ダイオード12aのアノードが接続され、2次巻線10Sの他端にも整流ダイオード12bのアノードが接続されている。これら整流ダイオード12a、12bのカソードが相互接続され、これらカソードと、2次巻線10Sの中間タップ10Tとの間に平滑コンデンサ14が接続されている。このようにダイオード12a、12bによって全波整流回路が構成され、その整流出力が平滑コンデンサ14によって平滑される。この平滑コンデンサ14の両端が直流出力手段の出力端子となり、これらの間に負荷16が接続されている。
変圧器10の1次巻線10Pと直列に、直列共振回路を構成するインダクタンス素子18とコンデンサ20とが接続されている。また、FET6a、6bそれぞれのドレイン・ソース間容量22a、22bと、変圧器10の1次巻線10sの自己インダクタンスとによって並列共振回路が形成されている。これら容量22a、22bは、例えばそれぞれ約400pFのものであり、1次巻線10sの自己インダクタンスは、例えば250μHである。従って並列共振回路の共振周波数は、360KHzであり、インバータのスイッチング周波数(180KHz)の2倍の周波数である。
図2は、図1の電源回路の各部の波形を示したものである。図2を参照しつつ、図1の電源回路の動作を説明する。今、FET6aのゲート電圧がH(高)レベルであって、FET6bのゲート電圧がL(低)レベルであって、FET6aがオンの状態、FET6bがオフの状態であるとする。このとき、FET6aのドレイン・ソース間電圧は実質的に0であり、FET6bのドレイン・ソース両端間には直流電源2の電圧Vccが供給され、出力端子7aの電圧は、出力端子7bを基準とするとVcc/2である。このとき、FET6aのドレイン・ソース間には電流が流れている。
この状態において、駆動回路8が時刻t1にFET6aのゲート電圧をLレベルに変化させたとする。これによって、FET6aの容量22aとFET6bの容量22bと1次巻線10Pの自己インダクタンスからなる並列共振回路が並列共振し、FET6aの電圧は実質的に0から上昇を開始し、FET6bのドレイン・ソース両端間電圧は、Vccから下降を開始する。FET6bのドレイン・ソース間電圧が実質的に0になる前、例えば時刻t2にFET6bのゲート電圧は、駆動回路8によってHレベルに変化させられ、FET6bはオン状態になる。これによってFET6bの抵抗値が変化することにより並列共振が終了し、それ以後は、FET6a、6bのスルーレートに従ってFET6aの電圧はVccに向かって上昇し、FET6bのドレイン・ソース間電圧は実質的0に向かって降下する。このスルーレートの傾きに電圧共振による傾きを近づけるために、並列共振回路の共振周波数を高く設定している。このスルーレートの傾きは、概ね1V/ns程度である。実際にはスルーレートの傾きの方が、並列共振による傾きよりも急である。この点を表すため、図2では、スルーレートの傾き及び並列共振による傾きをかなり誇張して描いてある。しかし、実際には、両者には大きな差はない。
時刻t1から時刻t2の間が、いずれのFET6a、6bにもHレベルのゲート電圧が供給されていないデッドタイムである。
時刻t2において、FET6aはオフ、FET6bはオンの状態にある。しかし、コンデンサ14に接続されてほぼ一定電圧が供給されている整流ダイオード12bのカソードに比較して整流ダイオード12bのアノードの電圧は充分に高くなってなく、ダイオード12bはオフの状態である。そのため、FET6bには電流は流れない。FET6bのドレイン・ソース間電圧が実質的に0になると、整流ダイオード12bのアノード電圧が高くなり、整流ダイオード12bが導通し、FET6bに電流が流れる。これによって、平滑コンデンサ4b、コンデンサ20、インダクタンス素子18、1次巻線10P、FET6bに電流が流れる。この電流は、コンデンサ20、インダクタンス素子18からなる直列共振回路の作用によって正弦波状に変化する。
このように、FET6bのゲート電圧をHレベルとするタイミングを、時刻t2のように、FET6bのドレイン・ソース間電圧が零になる前としているので、FET6bのドレイン・ソース間電圧が実質的に零になった途端である時刻t3から、直列共振状態の電流を1次側巻線10Pに供給することができる。
1次巻線10P及びFET6b等に流れた電流は、ピーク値をすぎてやがて零になると、駆動回路8が、Hレベルのゲート電圧の供給を停止する(時刻t4)。即ち、FET6bのゲート電圧をLレベルに低下させる。これによって、直列共振が終了する。
時刻t4から、FET6aの容量22aとFET6bの容量22bと1次巻線10Pの自己インダクタンスとによる並列共振回路によって、FET6aのドレイン・ソース間電圧はVccから零に向かって低下を開始し、FET6bのドレイン・ソース間電圧はVccに向かって上昇を開始する。この並列共振回路の並列共振によるFET6bのドレイン・ソース間電圧の傾斜をFET6bのドレイン・ソース間電圧のスルーレートに近づけてあるので、FET6bのドレイン・ソース間電圧の上昇の傾き及びFET6aのドレイン・ソース間電圧の降下の傾きは、急峻である。FET6aのドレイン・ソース両端の電圧が実質的に0になる前、例えば時刻t5にFET6aのゲート電圧はHレベルに変化し、時刻t2と同様に並列共振が終了し、それ以後、FET6a、6bのスルーレートに従ってFET6bのドレイン・ソース間電圧はVccに向かって上昇し、FET6aのドレイン・ソース間電圧は実質的0に向かって降下する。
時刻t4から時刻t5の間も、いずれのFET6a、6bにもHレベルのゲート電圧が供給されていないデッドタイムである。以下、FET6bがオンになる場合と同様にして電流が流れる。
この電源回路では、FET6a、6bのドレイン・ソース間電圧が零になる前に、既にゲート電圧をHレベルに変化させているので、FET6a、6bのドレイン・ソース間電圧が零になると、直ちにFET6a、6bに電流が流れる。従って、1次巻線10Pに電流を流す期間を長く採ることができ、力率を改善することができる。
また、この電源回路では、FET6a、6bのドレイン・ソース間電圧が零になる前に、既にゲート電圧をHレベルに変化させているので、変圧器10の一次側電流の乱れに基づく高周波の不要放射を抑え、かつFET6a、6bのドレイン・ソース間電圧の乱れに基づく配線間の結合によるクロストークを抑えることもできる。以下、この点について説明する。
図3は、この電源回路が無負荷の状態において、FET6a、6bへのHレベルのゲート電圧の印加のタイミングを上記の説明の場合よりもかなり遅らせた場合、即ちFET6aまたは6bの電圧が実質的に0になった後にFET6aまたは6bのゲート電圧をHレベルに変化させた場合の波形図で、変圧器10の1次側電流として励磁電流のみが流れている。また、図4は、小負荷の状態において図3と同じ電圧印加タイミングとした場合の波形図であり、変圧器10の1次側電流として励磁電流と共振電流と負荷電流とが重畳されたものが流れている。負荷を接続したことにより、一次側電流の立ち上がりが無負荷の場合よりも急峻になっている。図5は、中程度の負荷状態において図3と同じ電圧印加タイミングとした場合の波形図である。変圧器10の1次側電流のうち負荷電流に相当する成分が振動し、その結果、一次側電流が生じている。図6は、大負荷の状態において図3と同じ電圧印加タイミングとした場合の波形図である。変圧器10の1次側電流のうち、負荷電流に相当する成分は、図5の場合よりもさらに振動している。その結果、一次側電流には、中負荷の場合よりも多く振動が生じている。このように、負荷を接続した状態では、ゲート電圧をHレベルとするタイミングを遅らせた場合、一次側電流に振動が生じる。また、中負荷及び大負荷の場合には、FET6a、6bのドレイン・ソース間電圧に乱れも生じ、大負荷の場合には、その乱れの数が中負荷の場合よりも多くなる。
このような一次側電流の振動によって高周波の不要放射が発生する可能性がある。また、FET6a、6bのドレイン・ソース間電圧の乱れによって、配線間の結合によるクロストークが生じる可能性がある。
この一次側電流の振動やFET6a、6bのドレイン・ソース間電圧の乱れが生じる理由は、次の通りである。並列共振が終了すると、整流ダイオード12aまたは12bがオンになるが、FET6a、6bは共にまだオフの状態であるので、変圧器10の1次側巻線10pに電流を流そうとしてFET6a、6bの浮遊容量22a、22bからエネルギーが吸い出される。その結果、出力端子7aの電位が下がり、整流ダイオード12aまたは12bが再びオフとなり、これら整流ダイオード12aまたは12bに電流が流れなくなる。しかし、変圧器10の1次巻線10pに流れ続けようとするエネルギーにより出力端子7aの電位が再上昇し、再び整流ダイオード12aまたは12bがオンし、これに電流が流れ始める。このようなサイクルが繰り返された結果、一次側電流の振動やFET6a、6bのドレイン・ソース間電圧の乱れが生じる。
これに対し、FET6aまたは6bの電圧が実質的に零になる前にゲート電圧をHレベルに予め変化させておくと、整流ダイオード12aまたは12bがオンになったときには、FET6aまたは6bが既にオンの状態であるので、FET6aまたは6bを介して直ちに変圧器10の1次巻線10pに一次側電流が電源2から供給され、一次側電流の振動やFET6a、6bのドレイン・ソース間電圧の乱れが生じず、高周波の不要放射やクロストークが生じることがない。
上記の実施の形態では、スイッチング素子としてFETを使用したが、これに限ったものではなく、例えば制御電極に第1の状態の制御信号が供給されている期間にオンとなるスイッチング素子、例えばバイポーラトランジスタまたはIGBTを使用することもできる。また、上記の実施の形態では、インバータは、ハーフブリッジ形式のものを使用したが、これに限ったものではなく、例えばフルブリッジ形式のインバータを使用することもできる。上記の実施の形態では、直列共振回路を構成するために、インダクタンス素子18とコンデンサ20とを使用したが、インダクタンス素子18を使用せずに、変圧器10の1次巻線10Pのインダクタンスとコンデンサ20とによって直列共振回路を構成することもできる。上記の実施の形態では、直列共振回路を使用したが、場合によっては、これを除去することもできる。上記の実施の形態では、直列共振電流がFET6a、6bに電流を流すことが可能な期間(例えばt3−t4間、t6−t7期間)の全域に渡って直列共振電流が流れるように構成したが、これに限ったものではなく、FET6a、6bに直列共振電流を流すことが可能になった時点、例えば時刻t3、t6から直列共振電流を流し始め、その終期はt3−t4間、t6−t7期間の任意の時刻とすることもできる。
本発明の1実施形態の電源回路の回路図である。 図1の電源回路の各部の波形図である。 図1相当の電源回路を無負荷としてFET6a、6bへのゲート電圧をHレベルとするタイミングをFET6a、6bの電圧が実質的に0になった後に遅らせた場合の各部の波形図である。 図3における負荷を小さい負荷とした場合の各部の波形図である。 図3における負荷を中負荷とした場合の各部の波形図である。 図3における負荷を大負荷とした場合の各部の波形図である。
符号の説明
2 直流電源
4a、4b コンデンサ
6a 6b FET(スイッチング素子)
8 駆動回路
10 変圧器(並列共振手段)
12a 12b ダイオード(直流出力手段)
14 平滑コンデンサ(直流出力手段)
20 コンデンサ(直列共振手段)
22a 22b FETのドレイン・ソース間容量(並列共振手段)

Claims (4)

  1. 直流電源と、
    この直流電源の直流電圧を制御信号に応じてオン、オフし交流に変換する少なくとも1つのスイッチング素子を含むスイッチング手段と、
    このスイッチング手段から供給される交流入力をダイオードで全波整流し、コンデンサで平滑して、直流出力を取り出す直流出力手段と、
    前記スイッチング素子の両端に並列に接続された並列共振手段と、
    前記スイッチング素子に制御信号を供給する駆動回路とを、
    具備し、前記スイッチング素子をオン、オフさせ、当該スイッチング素子がオフした後に、当該スイッチング素子に印加される電圧が前記並列共振手段により変化している状態で、当該スイッチング素子をオンするための前記制御信号を前記スイッチング素子に供給する
    電源回路。
  2. 直流電源と、
    この直流電源の直流電圧をオン、オフする第1及び第2のスイッチング素子が前記直流電源の両端間に直列に接続され、この直列の第1及び第2のスイッチング手段と並列に電流経路が接続され、この電流経路は、2つの電流通過素子の直列回路からなり、第1のスイッチング素子は第1の制御信号の第1の状態に応じてオンとなり、第1の制御信号の第2の状態に応じてオフとなり、第2のスイッチング素子は第2の制御信号の第1の状態に応じてオンとなり、第2の制御信号の第2の状態に応じてオフとなるスイッチング手段と、
    第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と、前記2つの電流通過素子の相互接続点との間に接続され、前記スイッチング手段の出力をダイオードで全波整流して、コンデンサで平滑して出力する直流出力手段と、
    前記第1及び第2のスイッチング素子に並列に形成された並列共振手段と、
    第1の制御信号が第1の状態のとき、第2の制御信号が第2の状態であり、第1の制御信号が第2の状態のとき、第2の制御信号が第1の状態であるように、第1のスイッチング素子に第1の制御信号を、第2のスイッチング素子に第2の制御信号を供給する駆動回路とを、
    具備し、前記駆動回路は、
    第1のスイッチング素子の両端間電圧が前記並列共振手段によって零に向かって変化している状態で、第1のスイッチング素子の電圧が零になる直前に第1のスイッチング素子をオンするように第1の制御信号を第1の状態に変化させ、第2のスイッチング素子の両端間電圧が前記並列共振手段によって零に向かって変化している状態で、第2のスイッチング素子の電圧が零になる直前に第2のスイッチング素子をオンするように第2の制御信号を第1の状態に変化させることを繰り返す
    電源回路。
  3. 請求項2記載の電源回路において、前記直流出力手段に直列に直列共振手段が接続されている電源回路。
  4. 請求項2または3記載の電源回路において、前記第1及び第2のスイッチング素子の相互接続点と、前記2つの電流通過素子の相互接続点との間に、変圧器の一次巻線が接続され、この変圧器の二次巻線の両端と、中間タップとの間に、前記直流出力手段が設けられている電源回路。
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