JP4220318B2 - プロセスチャンバー内のクリーニング方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロセスチャンバー内のクリーニング方法に関し、詳しくは、CVD装置等のプロセスチャンバー内に付着したシリコン系不純物を除去するプロセスチャンバー内のクリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの加工装置、表面改質装置、薄膜生成装置等では、プロセスチャンバー内に付着したシリコン系不純物を除去するため、NFやフルオロカーボンガスをプロセスチャンバー内に導入して高周波電力を印加し、プラズマを生成することによってフッ素(F)ラジカルを発生させ、このFラジカルによって不純物を除去することが行われている。また、プロセスチャンバーの前段で前記フルオロカーボンガスをプラズマ化してFラジカルを生成し、このFラジカルをチャンバー内に導入することにより不純物を除去するクリーニング方法も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−131750号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、NFやフルオロカーボンガスをプロセスチャンバー内に導入して高周波電力を印加するものでは、特許文献1の従来技術にも記載されているように、高価なガスを使用したり、地球温暖化に影響を与えるガスが排出されるという不都合があり、クリーニング効果も低いという問題がある。一方、特許文献1に記載された方法では、特定のフルオロカーボンガスをプロセスチャンバーの前段でプラズマ化してFラジカルを生成しているため、腐食性が極めて高いFラジカルが通過するプロセスチャンバーに至るまでの配管系が腐食するおそれがある。さらに、短寿命のFラジカルを、損失を抑えながらプロセスチャンバーに輸送する必要があるため、プロセスチャンバー前段のガスシステムにも制約が出てくる。
【0005】
また、両者とも、一段のプラズマ化でFラジカルを発生させるようにしているため、分解効率が低かったり、あるいは、分解率を高めるためには非常に大きな放電電力を必要とする。分解率が低い場合には、地球温暖化係数が高いNFやフルオロカーボンガスが未分解のままプロセスチャンバーから排出されることになり、環境負荷の面から問題である。
【0006】
さらに、フッ素ガス(F)や二フッ化カルボニル(COF)をプロセスチャンバーに導入してプラズマ化する方法も開発されているが、これらのガスは腐食性や毒性が極めて高いため、これらを供給源からプロセスチャンバーへ直接供給することは、危険性が高いため取り扱いが困難である。
【0007】
そこで本発明は、地球温暖化に影響を与えるガスの排出や配管系の腐食等を抑制しながら、プロセスチャンバーのクリーニングを効果的に行うことができるプロセスチャンバー内のクリーニング方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のプロセスチャンバー内のクリーニング方法は、プロセスチャンバー内に付着したシリコン系不純物を除去するクリーニング方法であって、三フッ化窒素をフッ素分子と窒素とに分解し、分解したフッ素分子及び窒素をプロセスチャンバー内に導入し、該プロセスチャンバー内でプラズマ化してフッ素ラジカルを発生させ、該フッ素ラジカルによりプロセスチャンバー内に付着した不純物を除去することを特徴としている。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のプロセスチャンバー内のクリーニング方法を適用した基板処理装置(実験装置)の系統図である。この基板処理装置は、プラズマ生成手段11を備えたプロセスチャンバー12と、該プロセスチャンバー12内に成膜原料ガスやクリーニングガス等を供給するためのガスシステムを構成するプロセスガス導入経路13と、該プロセスガス導入経路13に設けられて前記クリーニングガスを反応させてフッ素分子を発生させる反応器14と、該反応器14の下流側に設置されたフィルター15と、プロセスチャンバー12内を真空排気するための真空ポンプ16を有する減圧排気経路17とを備えている。なお、本形態例では、本発明のクリーニング効果を検証するための実験装置として、プロセスチャンバー12内にクリーニングガスを供給する補助クリーニングガス導入経路18と、プロセスチャンバー12内のガス組成を検出するための質量分析装置19とを設けている。
【0010】
プロセスチャンバー12内での基板21上への成膜操作は、基板21をサセプタ22を介して所定温度に加熱し、チャンバー上部に配置したプロセスガス導入部23から所定の原料ガスを導入するとともに、プラズマ生成手段11に電源部24から高周波電力を印加してチャンバー内にプラズマを生成することにより行われる。
【0011】
前記プロセスガス導入経路13には、成膜操作に使用する所定の原料ガスG1、希釈用あるいはパージ用のガスG2、成膜時やクリーニング時に使用する反応性のガスG3に加えて、プロセスチャンバー12内をクリーニングするためのクリーニングガスG4の供給源がそれぞれ設けられており、補助クリーニングガス導入経路18には、従来から用いられているNFのようなクリーニングガスG5やプラズマを生成する際の放電特性を向上させるための放電用ガスG6の供給源が設けられている。これらのガスは、流量調節計(マスフローコントローラー)MFCで精密に流量制御されてプロセスチャンバー12内に供給される。
【0012】
前記クリーニングガスG4としては、N用いる
【0013】
また、前記反応器14は、NF を反応(化学変化)させて活性なフッ素分子を発生させることができれば各種の反応器を用いることができる。例えば、プラズマ、熱、触媒、光を反応源として利用した反応器を用いることが可能であるが、反応器14の小型化や反応率の面を考慮するとプラズマが最適である。反応器14に用いるプラズマ生成手段は、励起周波数は高周波からマイクロ波まで使用可能であるが、マイクロ波が好適である。このときの反応器14は、NF を導入して反応させる反応室内にプラズマを形成するため、反応室の外周にアンテナや導波管を配置した構成とする。また、前記反応室は、アルミナや石英のように、励起波を透過し、かつ、ガスを遮断し、内外圧力差とフッ素による反応性とに耐えられる誘電体により形成する。
【0014】
プラズマを用いた反応器14では、NF 中の三フッ化窒素は、下記反応式に示すように、プラズマの作用により分解してNとFとを生成する
【0015】
2NF+e(プラズマ)→N+3F
【0016】
反応器14で発生したフッ素分子を含むガスは、フィルター15を経てプロセスガス導入部23からプロセスチャンバー12内に導入され、プラズマ生成手段11の作用によってプラズマ化し、チャンバーの内壁に付着したシリコン系の不純物を効果的に除去することができるFラジカルを発生させる。
【0017】
このように、ボンベ等の供給源から供給するには安定で安全性の高いNF を使用し、これをプロセスチャンバー12に供給する配管途中に設けた反応器14で反応させることにより、中間物質として活性な反応性ガスであるフッ素分子を発生させ、この反応性ガスをプロセスチャンバー12に導入して再度のプラズマ化でFラジカルを発生させるようにしたことにより、安全性を確保しながらクリーニング効果をより高めることができる。
【0018】
特に、反応器14では、上記反応式に示すように、NFはプラズマ放電特性が良好なNとFとに分解するので、別途プラズマ放電特性を改善するためのガスを混合しなくてもよくなり、これらの反応性ガスを高濃度でプロセスチャンバー12に供給できる。これにより、Fラジカルの濃度も高めることができ、高速なクリーニングを行うことが可能となる。
【0019】
さらに、反応器14であらかじめ反応(化学変化)させ、続いてプロセスチャンバー12でもプラズマ化しているので、NF ほとんどを分解することができ、プロセスチャンバー12から排出されるガス中に含まれる地球温暖化物質量を大幅に低減することができる。また、Fラジカルのような短寿命の化学種をプロセスチャンバー12に供給する必要性がないため、反応器14や反応器14とプロセスチャンバー12との間のガスシステムの自由度を大幅に向上することができる。
【0020】
【実施例】
実施例1
図1に示した実験装置を使用してNFの分解効率と生成物とを測定した。まず、ガスシステムから100%のNFを供給し、反応器を経由してプロセスチャンバーに流入したガスの成分を質量分析計(QMS)で測定した。反応器は、マイクロ波励起プラズマ(2.45GHz)を使用した。反応器における放電電力とNFの分解率との関係を図2に示す。
【0021】
従来は、100%のNFをクリーニングプロセスにおいて用いることは困難であったが、本実施例の場合、ラジカルの生成効率やプロセスチャンバーの仕様に関わらず、反応器でのガスの変換効率にのみ条件を最適化すればよいので、100%のNFから高収率でFを得ることができる。実験では、75W程度の低給電電力下でもNFは100%分解し、分解したNFからはNとFが生成し、その比率は、NFの1モルに対して、Nが0.5モル、Fは1.2モルであり、マスバランスの略取れた反応系を実現できていることがわかった。また、100%のNFを供給しても、NFは反応器において低消費電力で効率的に分解されるので、プロセスチャンバーに供給される時点では、既に地球温暖化物質であるNFは大幅に低減されている。
【0022】
実施例2
100%のNFを反応器を経由してプロセスチャンバーに導入した場合と、反応器を経由しないで100%のNFを導入した場合とで、プロセスチャンバー内での放電状態を比較した。プロセスチャンバーのプラズマは、ICP(誘導結合型13.56MHz)であり、放電条件は10mtorrで1kwとした。
【0023】
プロセスチャンバーに100%のNFを導入した場合は、プラズマ放電させることができなかったが、反応器でNFを分解してNとFとを主とする反応性ガスとし、これをプロセスチャンバーに導入した場合は、反応器の電力が75w以上において、プロセスチャンバー内で安定な放電状態を形成することができた。また、クリーニング効果も十分に満足のいくものであった。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、安定で毒性の低いNF ハンドリング性を生かしながら、F 用いた場合と同等のクリーニング特性や低環境負荷特性が得られる。すなわち、地球温暖化物質の排出を抑制し、かつ、高速なクリーニングを行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロセスチャンバー内のクリーニング方法を適用した基板処理装置(実験装置)の系統図である。
【図2】反応器における放電電力とNFの分解率との関係を示す図である。
【符号の説明】
11…プラズマ生成手段、12…プロセスチャンバー、13…プロセスガス導入経路、14…反応器、15…フィルター、16…真空ポンプ、17…減圧排気経路、18…補助クリーニングガス導入経路、19…質量分析装置、21…基板、22…サセプタ、23…プロセスガス導入部、24…電源部、G1…原料ガス、G2…希釈用あるいはパージ用のガス、G3…反応性のガス、G4…クリーニングガス

Claims (1)

  1. プロセスチャンバー内に付着したシリコン系不純物を除去するクリーニング方法であって、三フッ化窒素をフッ素分子と窒素とに分解し、分解したフッ素分子及び窒素をプロセスチャンバー内に導入し、該プロセスチャンバー内でプラズマ化してフッ素ラジカルを発生させ、該フッ素ラジカルによりプロセスチャンバー内に付着した不純物を除去することを特徴とするプロセスチャンバー内のクリーニング方法。
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