JP4219395B1 - 硝酸パラジウム溶液及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒等に適用する際、適用品の腐食性を低減することのできる硝酸パラジウム溶液の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、硝酸パラジウム溶液であって、パラジウム含有量に対する塩素含有量が100ppm以下であることを特徴とする硝酸パラジウム溶液である。この硝酸パラジウム溶液は、粉末状のパラジウムをカラムに充填して粉末層とし、硝酸を前記粉末層に通液させて、前記粉末状のパラジウムと前記硝酸とを反応させ、前記反応により生成した硝酸パラジウムを回収することで製造される。
【選択図】図1

Description

本発明は、硝酸パラジウム溶液及びその製造方法に関し、特に低塩素の硝酸パラジウム溶液及びその製造方法に関するものである。
硝酸パラジウムは、自動車排ガスフィルタや、脱臭、石油化学等における触媒製造用の原材料として使用されている化合物である。例えば自動車排ガスフィルタは、ステンレス製のハニカム構造体にシリカ、アルミナ粉末等からなるウオッシュコートを被覆し、これを硝酸パラジウム溶液に浸漬して、その後焼成することで製造される。
ここで、硝酸パラジウムの工業的製造方法としては、特許文献1に示すように密閉容器中でパラジウム金属塊を60%硝酸と35%塩酸の混合液に投入し、不活性ガスを封入して加熱溶解するバッチ式による方法がある。この方法によれば、短時間に高溶解率で不溶解性物質の発生を起こさずに硝酸パラジウム溶液を製造することが可能である。
特開平9−141092号公報
ところで、上記方法により製造した硝酸パラジウム溶液を原材料とした場合、自動車排ガスフィルタは、その製造時には何ら問題が生じないものの、使用中に経時でステンレスのハニカム構造体の腐食が進行し、これに起因して耐久寿命が短くなるという問題がある。
本発明は、ステンレス製のハニカム構造体等に対して腐食性の低い硝酸パラジウム溶液及びその製造方法の提供を目的とする。
まず、自動車排ガス浄化触媒がステンレス製のハニカム構造体を腐食させる原因を追及したところ、触媒中に微量存在する塩素成分にその要因があると考えた。この触媒中の塩素成分は、触媒の原料である硝酸パラジウム溶液に含まれる塩素に由来するものと考えられる。この点、上記の通り従来の硝酸パラジウムの製造方法では、硝酸によるパラジウム溶解促進を目的として塩酸を添加しており、この塩酸が製造される硝酸パラジウム中への塩素混入の要因と考えられる。
本発明者等は、上記検討結果から、腐食性の低い硝酸パラジウムとして塩素濃度の低いものが好ましいとして本発明を想到した。
即ち、本発明は、硝酸パラジウム溶液であって、塩素含有量がパラジウムに対して100ppm以下であることを特徴とする硝酸パラジウム溶液である。
本発明に係る硝酸パラジウム溶液を原材料として用いれば、従来自動車排ガスフィルタの使用中に経時にて進行したステンレスの腐食が生じることなく、従って自動車排ガスフィルタの耐久寿命が短くなることもない。
ここで、塩素含有量をパラジウムの濃度を基準としたのは、溶液全体に対する硝酸パラジウム溶液中の塩素含有量は、溶液を濃縮・希釈することでパラジウム含有量と共に変化するためである。従って、本発明における塩素含有量は、任意の硝酸パラジウム濃度の溶液について、パラジウム濃度と塩素濃度を測定し、それらから算出することができる。本発明に係る硝酸パラジウム溶液は、その用途等に応じて適宜に濃縮・希釈して使用することができる。例えば、触媒製造のための硝酸パラジウム溶液としては、パラジウム濃度50g/L〜600g/Lのものが使用される。硝酸パラジウム溶液の濃縮・希釈は、水や硝酸等の溶媒の蒸発・添加により可能である。
そして、パラジウムに対する塩素含有量を100ppm以下としたのは、本発明の課題となる腐食性の低い硝酸パラジウム溶液とするためである。尚、腐食性は塩素含有量の低下に伴い改善されるものであることから、塩素含有量の下限値については特に限定されるものではないが、不可避的な混入を考慮すると、30ppm以上とするのが好ましく更に好ましくは10ppm以上とするのが良い。
更に、本発明に係る硝酸パラジウム溶液のパラジウム濃度と硝酸濃度との比は、1:1.0〜1:2.0であるものが好ましい。このパラジウム濃度と硝酸濃度との比については、パラジウムイオンの吸着特性及び溶液の安定性の双方について関連性を有する。
即ち、硝酸パラジウムの用途としては、上記の通り、触媒原料が上げられるが、硝酸パラジウム溶液に触媒担体を浸漬させるとき、パラジウムイオンと硝酸イオンの競争吸着が生じる。従って、両者の比率は、パラジウムイオンの吸着特性に影響を与え、比率の小さいものの吸着特性が高い。一方、硝酸が少ないとパラジウム溶液の安定性に劣る面があり、安定性を考慮すると両者の比率は2.0程度まで高いものが好ましい。そこで、パラジウム濃度と硝酸濃度との比率は、1:1.0〜1:2.0の範囲内で両特性についての要求を考慮して規定するのが好ましい。例えば、パラジウムの吸着特性を重視するのであれば、1.1〜1.8とし、安定性を考慮するのであれば、1.3〜2.0とするのが好ましい。
また、本発明に係る硝酸パラジウム溶液は、パラジウムの濃度が300g/L〜550g/Lであることが好ましい。塩酸を用いたバッチ式による従来方法によって硝酸パラジウム溶液を製造した場合、かかる溶液のパラジウムの濃度が300g/L〜550g/Lである。従って、本発明に係る硝酸パラジウム溶液のパラジウム濃度も上記範囲内であることにより、例えば触媒製造のために硝酸パラジウムを濃縮又は希釈する工程において、別途に作業負担がかかることがないからである。
更に、本発明に係る硝酸パラジウム溶液は、パラジウムの濃度を50g/Lとしたとき700nmの吸光度が0.01〜0.1であることが好ましい。0.1を超えると、保存の際に沈殿が生じやすいからである。
以上説明した硝酸パラジウムの製造方法としては、上記従来法のような塩酸を添加するものとは異なる塩素フリーの方法が好ましい。この点、パラジウムは硝酸に溶解し難いものの、全く反応しないわけではない。従って、従来法(バッチ式)において塩酸を添加することなく反応させても一応は硝酸パラジウムを製造することができる。但し、本発明者等の検討では、このようにして製造される硝酸パラジウム溶液は、溶液中のパラジウム濃度が低く、その一方で硝酸濃度が高くなる。また、反応時間も極度に増大させる必要がある。また、Pd粉末に対する溶解率が低いという問題点がある。
そこで、本発明者等は、パラジウム濃度の高い硝酸パラジウム溶液を、塩酸を用いることなく製造する方法について鋭意検討を行った。その結果、カラム中において粉末状のパラジウムと硝酸を反応させる方法により、塩酸を使用することなくパラジウム濃度の高い硝酸パラジウムを製造できることを見出し、本発明を想到した。
即ち、本発明に係る方法は、粉末状のパラジウムをカラムに充填して粉末層とし、硝酸を前記粉末層に通液させて、前記粉末状のパラジウムと前記硝酸とを反応させ、前記反応により生成した硝酸パラジウムを回収することを特徴とする硝酸パラジウム溶液の製造方法である。
カラムを用いて反応させる本発明によれば、バッチ式とは異なり生成物を回収することができるので、硝酸パラジウムを反応場より効率的に除去することができる。よって、硝酸パラジウムがパラジウムと硝酸との接触を阻害することもなく連続して反応が進行する。また、粉末状のパラジウムを用いることにより、パラジウム金属塊を使用する従来方法と比べて硝酸との接触面積が増加するため、反応効率が向上する。従って、塩酸を使用しなくてもパラジウム濃度が高く触媒活性の高い硝酸パラジウムを製造できるのである。
以下、本発明に係る製造方法ついて、使用するカラム、粉末状パラジウム、及び製造条件を詳細に説明する。まず、カラムとは、本来、物質の分離などに用いる円筒状の容器又は装置であるが、本発明においてカラムを使用するのは、硝酸パラジウムを反応場より効率的に除去するためである。従って、以後説明するカラムの温度や空間速度を満たし、原材料や生成物に何ら影響をもたらさないものであれば、素材や形状、大きさ等は特に制限されない。また、カラム内の通液の方法についても、カラム上方から通液する方法または下方から通液する方法のどちらの方法を取ることも可能であるが、上方から通液する方が好ましい。例えばオープンカラムクロマト管を用いれば、重力落下により生成物が送流されるので硝酸パラジウムを容易に回収することができる。
そして、本発明において、カラムに充填する粉末状パラジウムは、嵩密度が1.5〜3.0g/mlであるものが好ましい。1.5g/mlより小さいと、硝酸との接触効率は挙がるものの、送流抵抗が大きくなって製造時間が長くなってしまう。また、溶解反応が激しく起こるため、反応熱によるカラム内部の温度上昇が著しい。一方、3.0g/mlより大きいと、硝酸との接触効率が悪くなってパラジウム濃度が低下してしまう。嵩密度が1.7〜2.6g/mlであれば、送流抵抗と反応効率のバランスがとれてパラジウム濃度の高い硝酸パラジウムをより効率よく製造できるので、より好ましい。尚、ここでの嵩密度は、粉末状パラジウムを適量採り、複数回タッピングして最充填したときに測定される体積により算出できる。
また、粉末状のパラジウムをカラムに充填する際には、カラムに振動を与えながら行うのが好ましい。充填層の充填密度を上記の嵩密度に近似させるためである。粉末の充填後、充填層を加圧しても良い。更に、硝酸パラジウム生成反応の進行に伴い、粉末状パラジウムは溶解し、充填層に隙間が生じてくることから、一定間隔或いは断続的に充填層を加圧して充填層の密度を維持させても良い。例えば、充填層の上部にウエイトを設置し、その重さにより絶えず充填層を加圧できるようにしても良い。
次に、本発明に係る製造条件についてであるが、まず、カラムの保持温度は0℃〜75℃であることが望ましい。パラジウムと硝酸との反応は発熱反応である。従って、発熱により硝酸が揮発してしまうと、パラジウム濃度が安定した硝酸パラジウムを得ることが出来ないため、カラムを冷却する必要がある。また、反応場を冷却することには、硝酸パラジウム溶液中に生じる酸化パラジウム等からなる不溶性の沈殿の発生を抑制する効果があり、結果として貯蔵安定性の向上につながることとなる。特に本発明では、粉末状のパラジウムを用いることからパラジウム金属塊よりも硝酸への接触効率が挙がるため、発熱による温度上昇がより顕著になる。但し、カラムの保持温度を0℃よりも低く設定すると、大気中の水分が結露してカラム中の硝酸パラジウム溶液に混入してしまい、パラジウム濃度が安定しない。従って、硝酸の揮発や沈殿の発生もより著しくなるところ、カラムの保持温度を0℃〜50℃、より好ましくは0℃〜30℃とすることにより、沈殿の発生を抑え、かつパラジウム濃度が安定した硝酸パラジウムを得ることが出来る。
そして、硝酸を粉末層に通液させる際の空間速度は、0.1hr−1〜2.5hr−1であることが好ましい。ここで、空間速度とは、単位時間あたりに粉末層体積の何倍相当分の硝酸を通液しているかということであり、流量を粉末層の体積で割ることで求められる。本発明では溶解反応とともに粉末層は小さくなるので、SVは反応とともに刻々変化するため、溶解開始時の粉末層と硝酸供給および排出流量にて決定した値を表示している。空間速度が速いと、製造時間が短縮されるが、パラジウムと硝酸との接触効率が低下することに伴い生成物中のパラジウムの濃度が低下する傾向にある。一方、空間速度が遅い場合、製造時間が延長されることに加え、層内に高濃度パラジウム溶液が停滞し、チラーによって冷却されて結晶化して通液できなくなる。従って本発明においては、空間速度を0.1hr−1〜2.5hr−1、より好ましくは0.3hr−1〜2.3hr−1とすることにより、製造時間やパラジウムと硝酸との接触効率のバランスを図り、パラジウム濃度の高い硝酸パラジウムを効率良く製造することが可能となる。
更に、通液させる硝酸の硝酸濃度は、10〜62%の硝酸が好ましい。10%未満では反応の進行が遅くなり、62%を超えると硝酸の揮発が激しくなり、使用する濃度を一定に管理することが難しいからである。
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、塩素を使用することなく高濃度のパラジウムを含有する硝酸パラジウム溶液を製造することができる。
尚、本発明に係る硝酸パラジウム溶液は、自動車排ガスフィルタ用の触媒に用途が限定されるものではなく、例えば石油化学、脱臭等における触媒製造用の原材料としても有用である。また、塩素を含有することが原因で腐食や劣化等が発生するため使用することが問題視されていた用途、例えばエアーフィルタのステンレスが腐食することが問題となっていた場合においても、本発明に係る硝酸パラジウム溶液を用いれば問題ない。
第1実施形態:粉末状パラジウムをΦ50mmオープンカラムクロマト管に充填して粉末層とし、上方から硝酸を通液することでパラジウム粉末を溶解した。図1は、このカラムの概略を示す。ここでは、上下に脱落防止のためのガラスウール敷いた状態で、カラムに粉末状パラジウムを充填し、上方から硝酸を滴下した。そして、カラム周囲に3℃のチラー溶液を循環させ、冷却した状態で耐酸性のシリコンチューブを用いたポンプによって60%硝酸を通液し、生成した硝酸パラジウム溶液を排出ポンプにて回収した。また、反応の進行に従い、粉末状パラジウムとガラスウールとの間に隙間ができることから、一定時間経過後、押し棒で充填層を押している。
本実施形態で用いた粉末状パラジウムの嵩密度(g/ml)、オープンカラム内温度(℃)、60%硝酸を通液する際の空間速度(以下SVと称す)(hr−1)は、表1に示すとおりとした。尚、嵩密度は、5gのパラジウム粉末を10mLメスシリンダーに採り、これを25mmの高さから800回落下させたときの体積を読み取り、この体積から嵩密度を算出した。この際、測定後、再度200回の落下を行い、測定値に差が生じなくなるまで繰り返した。
Figure 0004219395
比較例(従来例):第1実施形態に係る方法に対する比較として、従来法による硝酸パラジウムの製造を行った。この比較例では、パラジウム粉末を60%硝酸と35%塩酸の混合溶液に添加し、80℃で10時間溶解させることで硝酸パラジウム溶液を製造した。粉末状パラジウムと60%硝酸の質量比、及び粉末状パラジウムと35%塩酸の質量比は、表2に示す通りとした。
Figure 0004219395
そして、以上の第1実施形態及び比較例で得られた硝酸パラジウム溶液について、以下に示す物性評価を行った。
パラジウム濃度の測定:硝酸パラジウム溶液を塩酸にて脱硝酸した後、塩酸酸性溶液とした。次に、その溶液にアルコール溶液を添加してパラジウムを沈澱分離し、沈澱物を750℃で灰化した後、水素炎でメタル化した。硝酸パラジウム溶液中のパラジウム濃度は、メタル化したパラジウム量(g)に溶液採取量(g)を除して100を乗じることにより算出した。
パラジウム濃度と硝酸濃度の比率:溶液のアルカリ消費量をタイトレータにて測定して硝酸濃度(g/L)を算出し、パラジウム濃度と硝酸濃度の比率を算出した。尚、硝酸濃度はタイトレータによる滴定量から、以下に示す式により算出した。
Figure 0004219395
塩素含有量(ppm)の測定:製造された硝酸パラジウム溶液中のパラジウムを還元分離した溶液に、硝酸銀を添加して塩化銀を生成させた後、溶液の吸光度を測定することにより、塩素濃度(mg/L)を算出した。求められた塩素濃度、及び、上記で測定されたパラジウム濃度から塩素含有量(ppm)を算出した。尚、塩素濃度は、予め分光光度計にて460nm検量線を作成した後、ブランクとサンプルの吸光度を測定し、下記式に従い算出した。
Figure 0004219395
吸光度測定:硝酸パラジウム溶液のパラジウム濃度を50g/Lに調整した溶液の吸光度を測定し、吸光度の経時変化を確認した。
貯蔵安定性評価:硝酸パラジウム溶液を50mlスクリュー缶中に密閉し、常温条件下にて3カ月貯蔵して沈殿の発生の有無を確認することにより、貯蔵安定性を評価した。
以上の実施例、比較例により作製した硝酸パラジウム溶液の物性を比較したものを表3に示す。
Figure 0004219395
表からわかるように、本実施形態で製造した硝酸パラジウム溶液は、塩酸を使用する比較例と比較して塩素濃度が低く、いずれも100ppm(検出限界値)以下であった。また、本実施形態に係る硝酸パラジウム溶液は、パラジウム濃度が高く、貯蔵安定性も良好であった。
そして、吸光度を測定した結果によると、吸光度が高い比較例3では沈殿が発生しており、その保存性に問題があることがわかる。
MSAの評価:次に、実施例1、比較例1で製造された硝酸パラジウム溶液について、貴金属比表面積(MSA)を測定し対比した。γ-アルミナにパラジウム換算量で5wt%になるように硝酸パラジウムを担持した。硝酸パラジウムを吸着担持後、大気中600℃の条件下にて2時間焼成を行った。前処理は水素ガス雰囲気で行い、その後、COガスによってMSA測定を行った。
MSAは、その数値が大きいほど硝酸パラジウム溶液中におけるパラジウム触媒の分散性が高くなることを示しており、触媒活性を比較する目安となるものである。この測定結果は、実施例1に係る硝酸パラジウム溶液のMSAは273m/g(Pd基準)であったのに対し、比較例1では、218m/g(Pd基準)と実施例1の方が分散性に優れていることがわかった。この結果より、本実施形態に係る硝酸パラジウム溶液は、塩素フリーでかつ、塩素を含有する従来品と同等以上の物性を示すものであることがわかる。
第2実施形態:ここでは、本発明に係る硝酸パラジウムの製造方法について、製造条件を変更したものについて検討を行った(参考例2〜参考例4)。第1実施形態と同様の方法により、粉末状パラジウムをΦ50mmオープンカラムクロマト管に充填して粉末層とし、上方から硝酸を通液することでパラジウム粉末を溶解した。粉末状パラジウムの嵩密度(g/ml)、オープンカラム内温度(℃)、60%硝酸を通液する際の空間速度(以下SVと称す)(hr−1)は、表4に示すとおりとした。
Figure 0004219395
この実施形態では、製造された硝酸パラジウムについての物性測定の他、硝酸パラジウム溶液製造時のパラジウム溶解率(%)を以下のように測定し、製造効率の評価を行った。これらの結果を、製造した硝酸パラジウム溶液の物性評価結果と共に、表5に示す。
パラジウムの溶解率測定:製造に使用したパラジウムの質量(g)から製造を終えた時にオープンカラムクロマト管に残存したパラジウムの質量(g)を引いた値(g)に、製造に使用したパラジウムの質量(g)を除して100を乗じたものをパラジウムの溶解率(%)とした。
Figure 0004219395
参考例2、3の結果から、使用する粉末状パラジウムの嵩密度は、これが大きすぎても小さすぎてもパラジウムの溶解率が低下する傾向にある。従って、製造効率を考慮すると、嵩密度は、1.5〜3.0g/mlとするのが適切である。また、カラムの保持温度は、参考例4を見ると、これが高温であるとパラジウムの溶解率が低下する上に、安定性に乏しいパラジウム溶液が製造される。従って、この製造方法にあっては、カラムを0℃〜75℃に保持することが好ましい。
尚、硝酸の空間速度に関しては、上記実施例では提示がないが、実施例1において、空間速度を限りなく低くして(0.1未満)、溶液製造を行ったところ、カラム内に液溜りができその後の溶液の排出ができなかった。
以上から、いずれの条件でも塩素含有量の低い硝酸パラジウム溶液は製造可能であるが、製造効率を考慮すると、各製造条件の適正化を行うことが好ましいことがわかる。
本実施形態における硝酸パラジウム製造のためのカラムを示す図。

Claims (5)

  1. パラジウムと硝酸とからなる反応系で製造された硝酸パラジウム溶液であって、
    パラジウム含有量に対する塩素含有量が100ppm以下であると共に、
    パラジウム濃度と硝酸濃度との比が1:1.3〜1:2.0である硝酸パラジウム溶液。
  2. パラジウム濃度が300g/L〜550g/Lである請求項1記載の硝酸パラジウム溶液。
  3. パラジウムの濃度を50g/Lとしたとき700nmの吸光度が0.01〜0.1である請求項1記載の硝酸パラジウム溶液。
  4. 請求項1又は請求項2記載の硝酸パラジウム溶液の製造方法であって、
    嵩密度が1.5g/ml〜3.0g/mlである粉末状のパラジウムをカラムに充填して粉末層とし、
    カラムの保持温度を0℃〜75℃としつつ、硝酸を空間速度が0.1hr −1 〜2.5hr −1 となるように前記粉末層に通液させて、前記粉末状のパラジウムと前記硝酸とを反応させ、
    前記反応により生成した硝酸パラジウムを回収することを特徴とする硝酸パラジウム溶液の製造方法。
  5. 硝酸をPd粉末層の上方から通液させる請求項4記載の硝酸パラジウム溶液の製造方法。
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