JP4219136B2 - 磁気ディスク及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はHDD(ハードディスクドライブ)等に搭載される磁気ディスクに関し、特に、磁気ディスク用垂直磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の情報処理の大容量化に伴い、各種の情報記録技術が開発されている。特に磁気記録技術を用いたHDD(ハードディスクドライブ)の面記録密度は年率100%程度の割合で増加し続けている。HDD等に用いられる磁気ディスクにおいて高面記録密度を達成するためには、情報信号の記録を担う磁気記録層を構成する磁性結晶粒子を微細化すると共に、その層厚を低減していく必要があった。ところが、従来より商業化されている面内磁気記録方式(長手磁気記録方式、水平磁気記録方式とも呼称される)の磁気ディスクの場合、磁性結晶粒子の微細化が進展した結果、超常磁性現象により記録信号の熱的安定性が損なわれ、記録信号が消失してしまう、熱揺らぎ現象が発生するようになり、磁気ディスクの高記録密度化への阻害要因となっていた。
【0003】
この阻害要因を解決するために、近年、垂直磁気記録方式用の磁気ディスクが提案されている。垂直磁気記録方式の場合では、面内磁気記録方式の場合とは異なり、磁気記録層の磁化容易軸は基板面に対して垂直方向に配向するよう調整されている。垂直磁気記録方式は面内記録方式に比べて、熱揺らぎ現象を抑制することができるので、高面記録密度化に対して好適である。例えば、特開2002-92865号では、基板上に下地層、Co系垂直磁気記録層、保護層をこの順で形成してなる垂直磁気記録媒体に関する技術が開示されている。
【特許文献1】
特開2002−92865号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
垂直磁気記録媒体では垂直磁気記録層(磁性層)の磁化容易軸を基板面に対して垂直配向させる必要がある。垂直磁気記録層にhcp結晶構造からなるCo合金系磁性層を用いた場合、hcp結晶構造のc軸を基板面に対し垂直配向させることにより、垂直磁気記録層の磁化容易軸を垂直配向させることができる。
ところが、c軸が面内配向している従来の面内磁気記録媒体とは異なり、c軸を垂直配向させた垂直磁気記録媒体では、垂直磁気記録層を構成する元素が基板面に対して垂直方向、即ち、下地層側や保護層側に移動し拡散してしまうという問題が発生した。このような移動現象が発生する結果として、垂直磁気記録層内部の組成が基板面に対し垂直方向で変動し不均一となるので、垂直磁気記録層の磁気特性、記録再生特性が垂直方向で変動し不均一となり、磁気ディスクとして所望の磁気特性、記録再生特性が得られないという問題が発生した。
【0005】
さらに、前記移動現象が発生する結果として、垂直磁気記録層から浸潤した元素が下地層や保護層内部に拡散し、下地層や保護層の機能を損なうという問題も発生した。
本発明の目的は、垂直磁気記録層を構成する元素の移動を防止する手段を設けることにより、高記録密度化に適した磁気ディスク及びその製造方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らが前述の目的に鑑みて鋭意研究を進めた結果、垂直磁気記録層を構成する元素の移動を防止するためには、基板上に複数の垂直磁気記録層からなる垂直磁気記録層群を設け、各々の垂直磁気記録層間に、垂直磁気記録層を構成する元素の移動を防止できる中間層を設けると、好適に元素移動を抑止できることを見い出した。
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、以下の構成を有するものである。
【0007】
(構成1)基板上に垂直磁気記録層群を有する磁気ディスクであって、前記垂直磁気記録層群は、2層以上の垂直磁気記録層からなり、各垂直磁気記録層の間に、垂直磁気記録層を構成する元素の移動を防止する中間層を有することを特徴とする磁気ディスク。
(構成2)基板上に、2層以上の垂直磁気記録層からなる垂直磁気記録層群と、各垂直磁気記録層の間に設けた中間層とを有し、前記各垂直磁気記録層はCoPt系垂直磁気記録層であって、B、Nb、Zr及びHfから選択された少なくとも一種の元素を含有し、前記各垂直磁気記録層の膜厚は15nm以下であり、前記各中間層の膜厚は0.2nm以上であることを特徴とする磁気ディスク。
(構成3)前記中間層は、CoCr系合金層であることを特徴とする構成1又は2記載の磁気ディスク。
(構成4)前記中間層は、Tiを含む分割層により分割されていることを特徴とする構成1乃至3の何れかに記載の磁気ディスク。
(構成5)前記垂直磁気記録層と中間層との間に、Tiを含む介挿層が形成されていることを特徴とする構成1乃至4の何れかに記載の磁気ディスク。
(構成6)構成1乃至5の何れかに記載の磁気ディスクを熱処理することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
【0008】
上記構成1にあるように、本発明の磁気ディスクは、基板上に複数の垂直磁気記録層からなる垂直磁気記録層群を設け、各々の垂直磁気記録層間に中間層を設けるものであるが、本発明者の検討によると、この場合、各々の垂直磁気記録層の膜厚は15nm以下、好ましくは10nm以下、特に好ましくは5nm以下とすると、元素移動を好適に防止できることが判明した。各垂直磁気記録層の膜厚が15nmを越えると、各々の垂直磁気記録層内で元素の移動が発生して垂直方向の組成均一性が乱れることが知見された。
さらに、各々の垂直磁気記録層間に挿入される中間層の膜厚は0.2nm以上であることが好ましい。中間層の膜厚が0.2nm未満の場合では、中間層による元素移動防止作用が低下し、中間層を通過して元素移動が発生してしまうので好ましくない。なお、中間層の膜厚の上限については、中間層の機能の観点からは特に限定する必要はないが、実用上は、各垂直磁気記録層の膜厚よりも薄い方が好ましい。
【0009】
また、垂直磁気記録層群の膜厚、即ち、複数の垂直磁気記録層と中間層の膜厚の合計膜厚は、所望の情報記録密度に応じて適宜設計できる。但し、この膜厚が50nmを越えると磁気記録ヘッドによる飽和記録が困難となり、また、10nm未満では所定の磁気特性を得ることが困難となるので、実用上は10nm〜50nmとすることが好ましい。
構成2にあるように、本発明において、垂直磁気記録層はCoPt系垂直磁気記録層であって、B、Nb、Zr及びHfから選択された少なくとも一種の元素を含有することが好ましい。さらに、垂直磁気記録層の結晶構造はhcp結晶構造であることが好ましい。垂直磁気記録層にhcp結晶構造からなるCoPt系磁性層を用いた場合、hcp結晶構造のc軸を基板面に対し垂直配向させることにより、垂直磁気記録層の磁化容易軸を垂直配向させることができる。
【0010】
上記CoPt系垂直磁気記録層は保磁力Hcが高く、磁化反転核生成磁界Hnをゼロ未満の小さな値とすることができるので熱揺らぎに対する耐性を向上させることが出来、また、高いS/N比を得られるので好適である。特に、B、Nb、Zr、Hfを含有する場合においては、垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子を微細化させる作用があるので高記録密度化に好適である。B、Nb、Zr、Hfの各元素は、元素移動度が大きく、垂直磁気記録媒体においては基板面に対して垂直方向への移動拡散し易い傾向にある点が課題であったが、本発明では、これら元素の移動を防止する中間層が設けられているために、各々の垂直磁気記録層及び垂直磁気記録層群全体でこれらの元素組成比が均一化されるので、高い磁気特性及び記録再生特性を得ることができ好適である。
本発明においては、特にCoPtB系垂直磁気記録層が好ましい。CoPtB系垂直磁気記録層は、とくにS/N比が高く、高記録密度化にとって好適である。
なお、本発明の垂直磁気記録層において、Ptの含有量は10at%〜25at%であることが好ましく、特に12at%〜20at%であることが望ましい。Ptの含有量が10at%未満では異方性磁界Hkが低くなり、熱揺らぎ耐性が低下するので好ましくなく、また、25at%を越えるとfcc結晶構造との積層欠陥が発生する場合があるので好ましくない。
【0011】
また、本発明の垂直磁気記録層において、B、Nb、Zr及びHfから選択された少なくとも一種の元素の含有量は、2at%〜20at%であることが好ましく、特に3at%〜10at%であることが望ましい。これらの元素の含有量が2at%未満では磁性結晶粒子を微細化させる作用が低下するため好ましくなく、また、20at%を越えると垂直磁気記録層の垂直配向性が低下する為好ましくない。
また、本発明においては、垂直磁気記録層にCrを含有させてもよい。Crを含有させることにより磁性結晶粒子の粒界部分にCrを偏析させることができるので、磁性結晶粒子間の交換相互作用を遮断して高記録密度化に資することができる。垂直磁気記録層にCrを含有させる場合においては、その含有量は、10at%〜25at%とするのが好適であり、更には13at%〜22at%とするのが望ましい。Crの含有量が10at%未満では粒界部分へのCr偏析作用が十分でないので、磁性結晶粒子間の交換相互作用を抑制する作用が十分でなく、また、25at%を越えると、異方性磁界Hkの低下による熱揺らぎ耐性の低下が見られる場合があり、好ましくない。
【0012】
構成3にあるように、本発明において、前記中間層は、CoCr系合金層であることが好ましい。このCoCr系合金層は、垂直磁気記録層を構成する元素の拡散を防止する作用が高く好適である。
ここで、中間層に含有させるCrの含有量は25at%以上であることが好ましい。中間層にCrを25at%以上含有させる事により、中間層から垂直磁気記録層側へCrを拡散させることができる。中間層から垂直磁気記録層側へ拡散したCrは、垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子の粒界部分に偏析し、磁性結晶粒子の孤立化を促進する作用があるので、磁性結晶粒子間の交換相互作用を遮断し高記録密度化に資する。
本発明においては中間層にTaを含有させると特に好適である。中間層がCoCrTa系合金からなる場合、Taによって、中間層のCrを垂直磁気記録層側へ拡散させる作用が促進されると考えられる。また、中間層がCoCrTa系合金からなる場合、Taによって、垂直磁気記録層を構成する元素の拡散を防止する機能が向上するので特に好ましい。
この観点から中間層に含有させるTaの含有量は、0.5at%〜10at%であることが望ましい。
【0013】
また、本発明において、中間層にTiを含有させることも好ましい。Tiを含有させると、Tiによって、垂直磁気記録層を構成する元素の拡散を防止する機能が向上するので特に好ましい。
本発明において、中間層の結晶構造はhcp結晶構造であることが好ましい。中間層の結晶構造をhcp結晶構造とすると、基板面に対して平行に配向するようされた中間層のhcp(002)面と垂直磁気記録層のhcp(002)面との整合が促進され、磁性結晶粒子のエピタキシャル成長を助長するので、垂直磁気記録層の磁化容易軸を基板面に対して垂直方向に配向するよう促すことができ好ましい。
また、中間層をfcc結晶構造とする場合にあっては、基板面に対して平行に配向するようされた中間層のfcc(111)面と垂直磁気記録層のhcp(002)面との整合が促進され、垂直磁気記録層の磁性結晶粒子のエピタキシャル成長を助長するので、垂直磁気記録層の磁化容易軸を基板面に対して垂直方向に配向するよう促すことができ好ましい。
【0014】
構成4にあるように、本発明において、前記中間層は、Tiを含む分割層により分割されていると好適である。本発明者の考察によれば、Tiを含む分割層により中間層を分割することで、中間層に含有されたCrが垂直磁気記録層側へ拡散するのを更に促進していると考えられる。即ち、分割層のTiが中間層側へ拡散し、中間層へのTiの拡散によって、中間層のCrが垂直磁気記録層側へ拡散することを促進しているものと考察される。また、Tiを含む分割層による、垂直磁気記録層を構成する元素の拡散防止作用を得ることができるので、更に好ましい。
本発明においてはTiを含む分割層の結晶構造はhcp結晶構造であることが好ましい。Tiを含む分割層をこのような結晶構造とすることにより、垂直磁気記録層の磁性結晶粒子のエピタキシャル成長を助長するので、垂直磁気記録層の磁化容易軸を基板面に対して垂直方向に配向するよう促すことができ好ましい。
本発明において、Tiを含む分割層の膜厚は0.2nm〜2nmであることが好ましい。Tiを含む分割層の膜厚が0.2nm未満では上述の分割層による作用が十分ではなく、2nmを越えると好適に飽和記録することが困難になる場合があるので好ましくない。
【0015】
Tiを含む分割層に含有させるTiの含有量は85at%〜100at%(Ti層)であることが好ましい。Tiの含有量が85at%未満の場合、上述の分割層による作用が十分に得られないことと、垂直磁気記録層の垂直配向性を損なう場合があるので好ましくない。
また、構成5にあるように、本発明において、前記垂直磁気記録層と中間層との間には、Tiを含む介挿層が形成されていると好適である。本発明者の考察によれば、Tiを含む介挿層により、中間層に含有されたCrが垂直磁気記録層側へ拡散するのを更に促進しているものと考えられる。即ち、介挿層のTiが中間層側へ拡散し、中間層へのTiの拡散によって、中間層のCrが垂直磁気記録層側へ拡散することを促進しているものと考察される。また、Tiを含む介挿層による、垂直磁気記録層を構成する元素の拡散防止作用を得ることができるので、更に好ましい。
【0016】
本発明においてはTiを含む介挿層の結晶構造はhcp結晶構造であることが好ましい。Tiを含む介挿層をこのような結晶構造とすることにより、垂直磁気記録層の磁性結晶粒子のエピタキシャル成長を助長するので、垂直磁気記録層の磁化容易軸を基板面に対して垂直方向に配向するよう促すことができ好ましい。
本発明において、Tiを含む介挿層の膜厚は0.2nm〜2nmであることが好ましい。Tiを含む介挿層の膜厚が0.2nm未満では上述の介挿層の作用が十分に機能せず、2nmを越えると好適に飽和記録することが困難になる場合があるので好ましくない。
Tiを含む介挿層に含有させるTiの含有量は85at%〜100at%(Ti層)であることが好ましい。Tiの含有量が85at%未満の場合、上述の介挿層の作用が十分に得られないことと、垂直磁気記録層の垂直配向性を損なう場合があるので好ましくない。
【0017】
ところで、本発明においては、構成6にあるように、上述の構成1〜5の何れかに記載の磁気ディスクに熱処理を施す磁気ディスクの製造方法が好適である。本発明による磁気ディスクに熱処理を施すことにより、垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子の孤立化が促進される結果、磁性結晶粒子間の交換相互作用が遮断され、S/N比を向上させることができる。
従来、垂直磁気記録媒体に熱処理を施すと、垂直磁気記録層を構成する元素の移動、拡散が促進され、垂直磁気記録層内部の組成が基板面に対し垂直方向で変動し不均一となるので、垂直磁気記録層の磁気特性、記録再生特性が垂直方向で変動し不均一となり、磁気ディスクとして所望の磁気特性、記録再生特性が得られないという問題や、このような移動現象が発生する結果として、垂直磁気記録層から浸潤した元素が下地層や保護層内部に拡散し、下地層や保護層の機能を損なうという問題が加速的に発生してしまうために、垂直磁気記録層を備える磁気ディスクに熱処理を施すことは高記録密度化に対する阻害要因となっていた。
【0018】
本発明の磁気ディスクにおいては、垂直磁気記録層を構成する元素の移動を防止する手段が設けられているために、このような阻害要因をなくして、磁気ディスクに熱処理を施すことにより垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子の孤立化を効果的に促進し、好適な磁気ディスクを提供することができる。
本発明において施す熱処理の温度は、350℃〜700℃の範囲であることが好ましい。350℃未満であっては、磁性結晶粒子の孤立化と、結晶粒界の偏析が十分でない場合があり、また、700℃を越えると、磁性結晶粒子の肥大化による記録再生特性の劣化が見られる場合があるので好ましくない。更に好ましい熱処理温度としては、450℃〜700℃が好適である。なお、熱処理時間は、本発明における熱処理による効果を得るのに十分な時間であれば良く特に限定されないが、たとえば1秒〜1時間程度が好適である。
【0019】
本発明において施す熱処理は、垂直磁気記録層群の成膜後であることが好ましい。従来、垂直磁気記録層の成膜後の熱処理にあっては、磁性結晶粒子の孤立化を促進する作用が高い一方で、同時に、垂直磁気記録層を構成する元素の垂直方向への拡散も激しいという難点があったが、本発明においては、垂直磁気記録層を構成する元素の移動を防止する手段が設けられているために、このような難点をなくして、好適な磁気ディスクを提供することができる。なお、垂直磁気記録層群上に保護層又は潤滑層を形成する場合においては、これらの層の作用を低下させないよう、熱処理は、垂直磁気記録層群の形成後、保護層又は潤滑層の形成前に施すことが好ましい。
本発明において、基板は特に限定されないが、ガラス基板やアルミ合金等の金属基板を用いることができる。平滑性の高いガラス基板を用いると、磁気記録ヘッドの浮上量を低下させることができ、特に好適である。また、ガラス基板の場合にあっては、高熱耐性が高いので、本発明のように熱処理を施す場合、特に好ましい。
【0020】
本発明において、基板上に、垂直磁気記録層の磁気回路を好適に調整するための下地軟磁性層を設けてもよい。下地軟磁性層の材料としては、NiFe系合金や、CoNbZr系合金、FeTaC系合金、FeCoB系合金を用いることができる。
本発明において、基板上に、垂直磁気記録層の結晶配向を基板面に対して垂直方向に配向させるための非磁性下地層を設けることが好ましい。非磁性下地層の材料としては、Ti系合金が好ましい。Ti系合金の場合、hcp結晶構造を備えるCoPt系垂直磁気記録層の結晶軸(c軸)を垂直方向に配向するよう制御する作用が高く好適である。Ti系合金からなる非磁性下地層としては、Tiの他、TiCr系合金、TiCo系合金等が挙げられる。
このような非磁性下地層の膜厚は2nm〜30nmが好適である。下地層の膜厚が2nm未満の場合、垂直磁気記録層の結晶軸を制御する作用が不十分であり、また30nmを越えると、垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子のサイズが増大し、ノイズを増大させるため好ましくない。
【0021】
本発明において、垂直磁気記録層群の上に、保護層を設けることが好適である。保護層を設けることにより、磁気ディスク上を浮上飛行する磁気記録ヘッドから磁気ディスク表面を保護することができる。保護層の材料としては、たとえば炭素系保護層が好適である。また、保護層の膜厚は3nm〜7nm程度が好適である。本発明において、前記保護層上に、更に潤滑層を設けることが好ましい。潤滑層を設けることにより、磁気記録ヘッドと磁気ディスク間の磨耗を抑止でき、磁気ディスクの耐久性を向上させることができる。潤滑層の材料としては、たとえばPFPE(パーフロロポリエーテル)が好ましい。また、潤滑層の膜厚は0.5nm〜1.5nm程度が好適である。
【0022】
本発明の磁気ディスクは、以上のように、基板上に複数の垂直磁気記録層からなる垂直磁気記録層群を設け、各々の垂直磁気記録層間に中間層を設けており、垂直磁気記録層を構成する元素の拡散を効果的に防止でき、その結果、磁気ディスクとして所望の磁気特性、記録再生特性が得られるため、高記録密度化に好適である。また、本発明の磁気ディスクは、垂直磁気記録層を構成する元素の移動を防止する手段が設けられているため、熱処理を施すことによる垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子の孤立化を促進する効果が有効に得られ、S/N比を向上できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は、本実施例に係る磁気ディスクの断面を模式的に示したものである。図中11はアルミノシリケートガラスからなるディスク基板であり、その表面粗さはRmaxで3nm、Raで0.3nmに鏡面研磨されている。ディスク直径は65mmである。
また、12はTiからなる第1下地層(膜厚5nm)であり、13は、Co:65at%、Cr:32at%、Ta:3at%からなるCoCrTa合金の第2下地層(膜厚10nm)である。14はCo:64at%、Cr:15at%、Pt:13at%、B:8at%の組成のCoCrPtB合金磁性層からなる垂直磁気記録層(膜厚4nm)である。15はCo:65at%、Cr:32at%、Ta:3at%の組成のCoCrTa合金からなる非磁性中間層(膜厚1nm)であり、16は水素化炭素からなる保護層(膜厚5nm)である。17はPFPE(パーフロロポリエーテル)からなる潤滑層(膜厚0.9nm)である。
本実施例において、上記垂直磁気記録層14は6層(各層膜厚4nm)設けられており、各々の垂直磁気記録層間には上記中間層15(各層1nm)が設けられている。従って、各々の垂直磁気記録層と各々の中間層の積層膜である垂直磁気記録層群としての膜厚は、29nmである。
【0024】
次に、本実施例の磁気ディスクの製造方法について説明する。
まず、基板11上に、スパッタリング法により純Ar雰囲気中で、第1下地層12及び第2下地層13を形成した。次に垂直磁気記録層14と中間層15を交互に順次形成し、垂直磁気記録層群を形成した。この垂直磁気記録層群の形成の後に、到達真空度1×10-5 Torr以下の真空炉内で20分間、500℃の熱処理を施した。その後、ArガスとH2ガス(H2ガス混合比20%)の雰囲気中でカーボンをスパッタリングし、水素化炭素からなる保護層16を形成した。次に、ディップ法にて、PFPE系潤滑剤を塗布して、潤滑層17を形成した。
【0025】
次に、以上のようにして得られた本実施例の磁気ディスクの特性を評価した。まず、垂直磁気記録層14の結晶配向をX線回折装置によって調査したところ、hcp結晶構造を備え、また、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度5.2度)していることを確認した。また、中間層15の結晶配向を同様に調査したところ、hcp結晶構造を備え、また、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度3.1度)していることを確認した。よって、本実施例の磁気ディスクが垂直磁気記録媒体であることを確認できた。
また、本実施例の磁気ディスクにおける垂直磁気記録層14の磁性結晶粒子の平均粒径をTEM(透過型電子顕微鏡)で調査したところ7.2nmであり、高記録密度化に好適な微細粒子が形成されていた。
【0026】
次に、本実施例の磁気ディスクの巨視的、即ち、垂直磁気記録層群としての磁気特性を調査するために、振動試料磁力計(VSM)にて磁気特性(MH曲線)を評価した。その結果、残留磁化(Mr)/飽和磁化(Ms)比(角型比)は0.98、保磁力HcにおけるMH曲線(図2のMH曲線参照)の傾きはCGS単位系で1.1/(4π)、磁化反転核生成磁界Hn(図2の符号23参照)は−2100Oe、保磁力Hc(図2の符号21参照)は7200Oeであった。なお、本明細書では、外部磁界をプラスの飽和磁界からマイナス方向へ印加していった時に現れる磁化反転核生成磁界をHnとする。
これらの各種磁気特性値の意義は以下のとおりである。
【0027】
磁性結晶粒子間の交換相互作用の大きさは、保磁力HcにおけるMH曲線の傾きによって評価することができる。保磁力HcにおけるMH曲線の傾きが大きいほど、磁性結晶粒子間の交換相互作用が大きい。従って、磁性結晶粒子間の交換相互作用を遮断、抑止するためには、保磁力HcにおけるMH曲線の傾きの理論的下限である1/(4π)(πは円周率、CGS単位系)に近い方が好ましい。即ち、Cr等の元素を垂直磁気記録層内に拡散させる等により、結晶粒界の偏析を促し、磁性結晶粒子の孤立化を促進できた場合は、磁性結晶粒子間の交換相互作用を抑制することができるので、保磁力HcにおけるMH曲線の傾きは低下し、1/(4π)に近くなる。
磁化反転核生成磁界Hnについて説明すると、熱揺らぎ耐性と磁化反転核生成磁界Hnとは一定の関係があることが知られており、Hnが小さいほど、熱擾乱耐性、即ち熱揺らぎ耐性が高くなる傾向にある。つまり、熱揺らぎ耐性を向上させるためには、Hnは0未満(即ち、負の値)のなるべく小さい値であることが好ましい。
Mr/Ms比(角型比)に関しては、S/N比と熱揺らぎ耐性の観点から、1に近い方が好ましい。
したがって、本実施例の磁気ディスクの上記特性値は、垂直磁気記録媒体として極めて高い特性値であり、高記録密度化にとって好適である。
【0028】
次に、本実施例の磁気ディスクの微視的、即ち、各々垂直磁気記録層の磁気特性を評価するために、極カーループトレーサーにより磁気特性を評価した。その結果、保磁力Hcは7800Oeであった。
前述のVSM測定は、磁気ディスク全体、即ち、垂直磁気記録層群全体の磁気特性を評価するのに対して、極カーループトレーサーの場合、カー効果を用いて、最表面部分の磁気特性を選択的に評価することができる。従って、VSM測定による磁気特性と、極カーループトレーサーによる磁気特性とを対比することにより、磁気記録層内部の磁気特性の均一性を評価することができる。
垂直磁気記録媒体において、巨視的な保磁力(磁気ディスク全体の保磁力)と微視的な保磁力(最表面部分の保磁力)の差異は、巨視的な保磁力の25%以下であることが好ましい。25%を越えると、垂直磁気記録層の磁気特性が基板面垂直方向で不均一となり、所望の記録再生特性や、熱揺らぎ耐性が得られなくなるので好ましくない。
本実施例の磁気ディスクにおいては、巨視的な保磁力(VSM測定結果)と微視的な保磁力(極カーループトレーサー測定結果)の差異は600Oeであった。この差異は、VSM測定によるHc(7200Oe)に対して、8.3%であり、垂直磁気記録層群内が均一な磁気特性となっていることを示している。
【0029】
次に、本実施例の磁気ディスクの記録再生特性を測定した。信号記録周波数(S)は500kFciとし、媒体ノイズ(N)はDC領域から記録周波数の1.2倍迄の積分ノイズをスペクトラムアナライザーにより観察した。磁気記録ヘッドはライトトラック幅3.0μm、リードトラック幅0.5μmのヘッドを用いた。なお、再生素子にはGMR素子を用いた。磁気ヘッドの浮上量は15nmである。その結果、S/N比は、20.0dBであり、優れた記録再生特性を備えていることが分かった。
更に、本実施例の磁気ディスクの熱揺らぎ現象の耐久性を調査するため、ライトトラック幅2.0μm、リードトラック幅0.5μmのGMRヘッドにより、記録信号の時間に対する減衰量を評価した。減衰量が大きい場合、熱揺らぎ現象への耐久性が悪いことを示している。信号記録周波数は100kFciとし、磁気ディスクを60℃の環境で保持した。その結果、熱揺らぎによる信号減衰量は、−0.03dB/decadeであり、ほぼ熱揺らぎ現象が抑止されていると言える。
【0030】
(比較例)
次に比較例の磁気ディスクを製造した。本比較例の磁気ディスクは、実施例1の磁気ディスクにおいて中間層15が形成されていない点以外は実施例1と同様な製造方法により得られる。図3は本比較例の磁気ディスクの断面を模式的に示したもので、ディスク基板31上に、第1下地層32、第2下地層33、垂直磁気記録層34、保護層35、及び潤滑層36を有している。本比較例では、中間層15が形成されていないので、実施例1の垂直磁気記録層14の膜厚(4nm)の6倍の膜厚からなる垂直磁気記録層一層(24nm)のみで垂直磁気記録層34が構成されている。
【0031】
次に、本比較例の磁気ディスクの特性を評価した。各種特性値の評価方法は実施例1と同様である。
垂直磁気記録層はhcp結晶構造を備え、また、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度7度)していることを確認した。また、磁性結晶粒子の平均粒径は9nmであった。実施例1に比べて粒径が増大していることが分かった。
次に、VSMにより、本比較例の磁気ディスクの巨視的な磁気特性を評価した。その結果、Mr/Ms比は0.95、保磁力HcにおけるMH曲線の傾きはCGS単位系で、1.0/(4π)であった。また、磁化反転核生成磁界Hnは50Oe、保磁力Hcは5050Oeであった。更に、極カーループトレーサーにより本比較例の磁気ディスクを評価した。その結果、保磁力Hcは8100Oeであった。
【0032】
よって、本比較例の磁気ディスクにおいては、巨視的な保磁力(VSM測定結果)と微視的な保磁力(極カーループトレーサー測定結果)の差異は3050Oeであった。この差異は、VSMによるHc(5050Oe)に対して、60.4%であり、垂直磁気記録層内の磁気特性が基板面に対して垂直方向で不均一となっていることを示している。
次に、記録再生特性を評価したところ、S/N比は17.0dBであった。また、熱揺らぎによる信号減衰量は、−0.5dB/decadeであった。
このように、本比較例の磁気ディスクは、磁気特性が基板面に対し垂直方向で不均一であるので、記録再生特性及び熱揺らぎ特性が実施例1に比べて劣化していることを示している。
【0033】
(実施例2)
次に、実施例1の磁気ディスクにおいて、各々の中間層15のそれぞれをTiからなる分割層で分割した磁気ディスクを製造した。この分割層は中間層15の成膜工程の途中でTiをスパッタリングすることにより形成したものであり、膜厚は2nmである。この点以外は、実施例1と同様の製造方法により製造した磁気ディスクである。本実施例において、各々の中間層には上記分割層(各層2nm)が設けられているため、各々の垂直磁気記録層と各々の中間層(分割層を含む)の積層膜である垂直磁気記録層群としての膜厚は、39nmである。
次に、本実施例の磁気ディスクの特性を実施例1と同様にして評価した。
【0034】
垂直磁気記録層はhcp結晶構造を備え、また、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度4.5度)していることを確認した。また、中間層の結晶配向を同様に調査したところ、hcp結晶構造を備え、また、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度2.5度)していることを確認した。また、磁性結晶粒子の平均粒径は7.3nmであった。
次に、VSMにより、本実施例の磁気ディスクの巨視的な磁気特性を評価した。その結果、Mr/Ms比は0.99、保磁力HcにおけるMH曲線の傾きはCGS単位系で、1.0/(4π)であった。また、磁化反転核生成磁界Hnは−2300Oe、保磁力Hcは7400Oeであった。更に、極カーループトレーサーにより本実施例の磁気ディスクを評価した。その結果、保磁力Hcは7500Oeであった。
【0035】
よって、本実施例の磁気ディスクにおいては、巨視的な保磁力(VSM測定結果)と微視的な保磁力(極カーループトレーサー測定結果)の差異は100Oeであった。この差異は、VSMによるHc(7400Oe)に対して、1.4%であり、垂直磁気記録層群内が極めて均一な磁気特性となっていることを示している。
次に、記録再生特性を評価したところ、S/N比は22dBであった。また、熱揺らぎによる信号減衰量は、−0.02dB/decadeであり、熱揺らぎ現象はほぼ抑止されている。
このように、本実施例の磁気ディスクは、磁気特性が基板面に対し垂直方向で均一であり、優れた記録再生特性を備えていることが分かった。
【0036】
(実施例3)
次に、実施例1の磁気ディスクにおいて、各々の垂直磁気記録層14とその直上に位置する中間層15との間に、Tiからなる介挿層を挿入した磁気ディスクを製造した。この介挿層は、垂直磁気記録層14と中間層15の成膜工程の間にTiをスパッタリングすることにより形成したものであり、膜厚は2nmである。この点以外は、実施例1と同様の製造方法により得られた磁気ディスクである。本実施例において、各々の垂直磁気記録層と中間層の間に上記介挿層(各層2nm)が設けられているため、各々の垂直磁気記録層と各々の中間層と各々の介挿層の積層膜である垂直磁気記録層群としての膜厚は、39nmである。
次に、本実施例の磁気ディスクの特性を実施例1と同様にして評価した。
【0037】
垂直磁気記録層はhcp結晶構造を備え、また、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度4.4度)していることを確認した。また、中間層の結晶配向を同様に調査したところ、hcp結晶構造を備え、また、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度2.2度)していることを確認した。また、磁性結晶粒子の平均粒径は7.2nmであった。
次に、VSMにより、本実施例の磁気ディスクの巨視的な磁気特性を評価した結果、Mr/Ms比は0.99、保磁力HcにおけるMH曲線の傾きはCGS単位系で、1.1/(4π)であった。また、磁化反転核生成磁界Hnは−2200Oe、保磁力Hcは7300Oeであった。更に、極カーループトレーサーにより本実施例の磁気ディスクを評価した結果、保磁力Hcは7500Oeであった。
【0038】
よって、本実施例の磁気ディスクにおいては、巨視的な保磁力(VSM測定結果)と微視的な保磁力(極カーループトレーサー測定結果)の差異は200Oeであり、この差異は、VSMによるHc(7300Oe)に対して、2.7%であり、垂直磁気記録層群内が極めて均一な磁気特性となっていることを示している。
次に、記録再生特性を評価したところ、S/N比は21dBであった。また、熱揺らぎによる信号減衰量は、−0.02dB/decadeであり、熱揺らぎ現象はほぼ抑止されている。
このように、本実施例の磁気ディスクは、磁気特性が基板面に対し垂直方向で均一であり、優れた記録再生特性を備えている。
【0039】
(実施例4)
次に、実施例1の磁気ディスクにおいて熱処理を施さなかった点以外は、実施例1と同様の磁気ディスクを製造した。
本実施例の磁気ディスクの特性を実施例1と同様に評価した。
垂直磁気記録層はhcp結晶構造を備え、また、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度5.3度)していることを確認した。また、中間層は、hcp結晶構造を備え、c軸が基板面に対して概ね垂直方向に配向(分散度3.3度)していることを確認した。また、磁性結晶粒子の平均粒径は7.2nmであった。
【0040】
次に、VSMにより、巨視的な磁気特性を評価した。その結果、Mr/Ms比は0.96、保磁力HcにおけるMH曲線の傾きはCGS単位系で、1.3/(4π)であった。また、磁化反転核生成磁界Hnは−1200Oe、保磁力Hcは6300Oeであった。更に、極カーループトレーサーにより評価した結果、保磁力Hcは6400Oeであった。よって、本実施例の磁気ディスクにおいては、巨視的な保磁力(VSM測定結果)と微視的な保磁力(極カーループトレーサー測定結果)の差異は100Oeであり、この差異は、VSMによるHc(6300Oe)に対して、1.6%であり、垂直磁気記録層内の磁気特性が基板面に対して垂直方向で均一となっていることを示している。
次に、記録再生特性を評価したところ、S/N比は18.0dBであった。また、熱揺らぎによる信号減衰量は、−0.09dB/decadeであった。
【0041】
このように、本実施例の磁気ディスクは、磁気特性が基板面に対し垂直方向で均一であるものの、熱処理を施していないため、記録再生特性が実施例1と比べると若干劣化している。
なお、上述の実施例1〜4及び比較例について、すでに述べた磁気ディスクの層構成の内容及び特性評価結果をまとめて以下の表1及び表2に示した。
【0042】
【表1】
Figure 0004219136
【表2】
Figure 0004219136
上記表1中、磁気記録層、中間層、分割層及び介挿層膜厚は、各々一層の膜厚である。また、上記表2中、「α」は、保磁力におけるMH曲線の傾きをα/(4π)(CGS単位系)で表した場合のαである。「ΔH」は、(微視的Hc−巨視的Hc)/巨視的Hc×100(%)を表わす。「Δθ50」は、磁気記録層又は中間層の結晶配向分散度である。
【0043】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、基板上に複数の垂直磁気記録層からなる垂直磁気記録層群を設け、各々の垂直磁気記録層間に中間層を設けており、垂直磁気記録層を構成する元素が基板面に対して垂直方向へ拡散するのを防止できる。これにより、垂直磁気記録層内の磁気特性が垂直方向で均一となり、磁気ディスクとして所望の磁気特性、記録再生特性が得られるので、高記録密度化に適した、垂直磁気記録方式用磁気ディスクを提供することができる。
また、本発明の磁気ディスクは、垂直磁気記録層を構成する元素の移動を防止する手段が設けられているため、熱処理を施すことによる垂直磁気記録層を構成する磁性結晶粒子の孤立化を促進する効果が有効に得られ、記録再生特性を向上できる。
また、本発明の磁気ディスクは、上記中間層がTiを含む分割層で分割されていることにより、又は、垂直磁気記録層と中間層との間にTiを含む介挿層が形成されていることにより、垂直磁気記録層群内が極めて均一な磁気特性となり、記録再生特性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る磁気ディスクの断面模式図である。
【図2】 MH曲線図である。
【図3】比較例の磁気ディスクの断面模式図である。
【符号の説明】
11 ディスク基板
12 第1下地層
13 第2下地層
14 垂直磁気記録層
15 中間層
16 保護層
17 潤滑層

Claims (3)

  1. 基板上に垂直磁気記録層群を有する磁気ディスクであって、前記垂直磁気記録層群は、2層以上のhcp結晶構造を含むCo合金系垂直磁気記録層からなり、各垂直磁気記録層の間に、CoCrTa合金層からなる中間層を有し、前記中間層は、Tiからなる分割層により分割されており、前記各垂直磁気記録層はCoPt系垂直磁気記録層であって、Bを含有することを特徴とする磁気ディスク。
  2. 前記各垂直磁気記録層の膜厚は15nm以下であり、前記各中間層の膜厚は0.2nm以上であることを特徴とする請求項記載の磁気ディスク。
  3. 請求項1又は2に記載の磁気ディスクを熱処理することを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
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