しかし、特許文献2に記載の従来技術では、単に図柄表示装置を回転させる回転演出が行われるだけである。よって、遊技者は、図柄表示装置の回転演出にすぐに慣れてしまうため、遊技者に与えるインパクトも除々に弱くなる。そのため、将来的には、さらにインパクトのある演出を行うことが要望される。
そこで、図柄表示装置の近傍にランプなどの発光手段を配置し、その発光手段を図柄表示装置と一体に回転させるなどして、さらにインパクトのある演出を行うことが考えられる。しかし、発光手段が回転部側に配置されるため、遊技盤側にある図柄表示装置用制御装置と図柄表示装置とを接続する配線に加えて、遊技盤側にある発光手段用制御装置と発光手段とを接続する配線も回転可能に構成する必要があり、配線が複雑になってしまう。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、単に図柄表示装置を回転させる回転演出を行うだけの場合よりも遊技者に強いインパクトを与えることができ、配線を簡素化することができる遊技機を提供することにある。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、遊技盤と、前記遊技盤に固定されたセンター役物と、複数種類の図柄を変動または停止させて表示可能な正面視略矩形状の表示部を有し、前記センター役物の窓部の内側に配置される図柄表示装置とを備え、遊技盤面に垂直な軸を中心として前記図柄表示装置が回転しうる遊技機であって、前記窓部を正面視略円形状に形成して、その内径を前記表示部の長辺よりも大きくなるように設定し、前記遊技盤側であって前記窓部の内側の箇所に発光手段を固定し、前記窓部の内側であって前記図柄表示装置が存在しない箇所に、前記発光手段の光を透過しうる装飾カバー部材を前記発光手段の前側を通過しうるように配置するとともに、その装飾カバー部材を前記図柄表示装置と一体回転可能とし、前記図柄表示装置及び前記装飾カバー部材を設置する支持部の後面に、ハーネス挿通空間を有する筒状の回転軸部が形成され、前記回転軸部の回転軸線を、前記図柄表示装置及び前記装飾カバー部材によって構成された回転部の重心位置を通過するように設定し、少なくとも制御信号を演出制御手段から回転中の前記図柄表示装置に送信可能な電気経路を有し、前記電気経路上に、回転不能に配置された固定側コネクタと、前記固定側コネクタの前側にて対向配置され、該固定側コネクタに対して回転可能な回転側コネクタとからなる盤状の連結部材を配置し、前記連結部材の中心部に設けられた回転軸部挿通孔に前記回転軸部を挿通するとともに、前記回転軸部挿通孔から後方に突出した前記回転軸部の先端にモータの回転軸を連結し、前記ハーネス挿通空間の内部にハーネスを通し、前記ハーネスの一端を前記図柄表示装置に接続するとともに、前記ハーネスの他端を前記回転側コネクタに接続したことを特徴とする遊技機をその要旨とする。
従って、請求項1に記載の発明によると、単に図柄表示装置を回転させる演出が行われるだけでなく、装飾が施された装飾カバー部材もそれに伴って回転する。よって、図柄表示装置の回転による演出と装飾カバー部材の回転による演出との相乗効果により、単に図柄表示装置だけを回転させる場合よりも遊技者に強いインパクトを与えることができる。さらに、装飾カバー部材の回転演出に加えて、発光手段の光が装飾カバー部材を透過することにより、装飾カバー部材が発光する発光演出も行われる。これにより、遊技者に与えるインパクトがよりいっそう強くなる。しかも、装飾カバー部材による演出がよりいっそう華やかになる。また、前記発光手段の前側を通過しうるように前記装飾カバー部材を配置したことにより、装飾カバー部材が発光手段の前側を通過するときに、発光手段からの光が直接装飾カバー部材を透過しうるようになるため、発光手段により効率良く装飾カバー部材を発光させることができる。また、装飾カバー部材に光拡散処理が施されている場合には、発光手段からの光を装飾カバー部材で効率よく拡散することができる。
また、発光手段が回転部側に固定される場合に必要となる構成、例えば、発光手段と遊技盤側とを接続する配線が不要となるため、配線を簡素化することができる。
さらに、窓部は、正面視略円形状に形成され、その内径が図柄表示装置の表示部の長辺よりも大きくなっている。このため、図柄表示装置が回転した場合であっても、図柄表示装置(特に、表示部の外周部分)がセンター役物の裏側に隠れにくくなる。従って、図柄表示装置が窓部を介して常時視認可能となるため、図柄表示装置による主たる遊技演出が見やすくなる。
ここで、センター役物の窓部は、図柄表示装置の略全体が常時視認可能となる必要最小限の大きさであることが好ましい。仮に、窓部が大きいと、それに伴ってセンター役物が大型化するため、センター役物が固定される遊技盤上に釘などを配置するスペースが減ってしまうからである。また、窓部の形状としては、正面視略円形状、具体的には、正面視円形状や正面視楕円形状などが挙げられるが、正面視円形状であることが好ましい。仮に、窓部の形状を正面視楕円形状とすると、図柄表示装置がセンター役物の裏側に隠れないようにするために、楕円の短径(窓部の内径)を表示部の長辺よりも大きく設定する必要がある。その結果、窓部が大きくなってしまい、それに伴いセンター役物も大型化してしまう。一方、窓部の形状を正面視円形状とすれば、正面視楕円形状とした場合よりも窓部を小さくすることができるため、センター役物の大型化を抑えることができる。
また、本発明において好適な図柄表示装置としては、液晶式、ドットマトリックス式、エレクトロルミネッセンス素子式、7セグメント式の電気式図柄表示装置などが挙げられるが、これらの中でも特に液晶式のものを用いることが好ましい。このようにすれば、図柄表示装置による複雑な演出が可能となる。
図柄表示装置の表示部の形状としては、正面視略矩形状、具体的には、正面視長方形状や正面視正方形状などが挙げられるが、液晶式の図柄表示装置を用いる場合、正面視長方形状であることが好ましい。このようにすれば、表示部が一般的な液晶パネルと同じ形状となるため、その液晶パネルを利用して表示部を構成することができ、コスト的に有利となるからである。なお、図柄表示装置を前記窓部から常時視認可能とするために、例えば正面視円形状の表示部を有する図柄表示装置を用いることも考えられる。しかし、回転時であっても図柄表示装置が動いているか否かが分かりにくいため、遊技者に強いインパクトを与えることができない。一方、本発明では、正面視略矩形状の表示部を有する図柄表示装置を用いることにより、回転時に図柄表示装置の各辺を見せることで、その動きを分かりやすくすることができるため、遊技者に強いインパクトを与えることができる。
前記発光手段としては特に限定されず周知のもの(例えばランプや発光ダイオードなど)を使用することが可能である。しかし、前記遊技盤側であって前記窓部の内側の箇所において大きな固定スペースの確保が難しいという関係上、ランプなどに比べて小型の発光ダイオードを使用することが好適である。なお、消費電力が少ないという点においても発光ダイオードは有利である。
また、本発明において発光手段は前側を装飾カバー部材が通過しうる箇所に固定される。このようにすれば、発光手段の光を直接装飾カバー部材に導くことができるため、発光手段の光を装飾カバー部材に導くための構成は特に必要なくなる。さらに、発光手段は、一部分に集中して配置されていてもよいが、図柄表示装置及び装飾カバー部材の回転中心の周りに分散して配置されることが好ましい。特には、前記図柄表示装置及び前記装飾カバーの回転中心を基準として、前記発光手段が点対称となるように配置される(請求項6)ことが好ましい。例えば、発光手段は、前記回転中心を基準として上下左右に配置されることが好ましい。このようにすれば、例えば、図柄表示装置及び装飾カバー部材が定常状態にある場合や、図柄表示装置及び装飾カバー部材が定常状態から90°回転するごとに、発光手段の光が装飾カバー部材を透過しうるようになる。ここで、「定常状態」とは、図柄表示装置の表示部が正面視長方形状をなす場合、表示部が有する一対の長辺部分が水平となり、一対の短辺部分が鉛直となる状態のうち、あらかじめ定めた一方の長辺が上方に位置する状態をいう。なお、固定される発光手段の数は特に限定されず、例えば、回転中心を基準として上下左右に複数個ずつ固定されていてもよい。
前記装飾カバー部材としては、例えば、透明または半透明な材料を用いて形成された装飾カバー部材があるほか、光を通過させる孔が形成された装飾カバー部材などがある。もちろん、透明または半透明な材料を用いて形成された装飾カバー部材に孔を設けてもよい。
装飾カバー部材の形状としては、正面視長方形状、正面視正方形状、正面視円形状、正面視楕円形状、正面視三角形状などが挙げられる。好ましくは、窓部が正面視円形状をなし、図柄表示装置の表示部が正面視長方形状をなす場合、正面視略半円形状であることがよい。このようにすれば、前記窓部の内側であって前記図柄表示装置が存在しない箇所を、装飾カバー部材によって完全に覆うことが容易になるからである。
ここで、本発明の装飾カバー部材においては、発光手段の発した光を拡散する何らかの構成を備えていることがよく、具体的には少なくとも装飾カバー部材に光拡散処理が施されていることが好ましい。かかる光拡散処理が施されていると、光が装飾カバー部材を透過する際にその進行方向が多方向に変えられる結果、光が拡散される。このとき、装飾カバー部材を外方から見ると装飾カバー部材における比較的広い領域が煌びやかに光って見えるため、結果的に演出効果を高めることができる。なお、発光手段として発光ダイオードを選択した場合、このよう光拡散処理は特に有効であるといえる。発光ダイオードはランプに比べて光を発する角度範囲が狭いからである。
ここで装飾カバー部材に施されている光拡散処理とは、例えば部材の表面に凹凸を形成するような加工を指し、その具体例としては溝加工、ダイヤモンドカット加工、シボ加工、ブラスト加工などを挙げることができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記固定側コネクタが有する複数の固定側接点と、前記回転側コネクタが有する複数の回転側接点とを、常時互いに接触するように対向配置し、前記複数の固定側接点を、前記図柄表示装置の回転中心の周りに同心円状に配置するとともに、前記複数の回転側接点を、前記図柄表示装置の回転中心の周りに螺旋状かつ等角度間隔に配置したことをその要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記回転軸部が、前記遊技盤の裏側に取り付けられる支持フレームに突設された軸受部によって下方側から支持され、前記固定側コネクタ及び前記回転側コネクタがケーシング内に収容され、前記ケーシングが前記支持フレームに設けられた支持板に固定され、前記固定側コネクタが前記ケーシング内に固定されて回転不能になる一方、前記回転側コネクタが、前記ケーシング内にて前記固定側コネクタに近接して配置され、前記固定側コネクタに対して回転可能になっていることをその要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記装飾カバー部材が前記発光手段の前側に位置するときに、前記発光手段を発光させることをその要旨とする。
装飾カバー部材が発光手段の前側に位置していない場合には、仮に発光手段が発光したとしても、発光手段の発した光は遊技者の目に到達しにくい。ゆえに、発光手段にて行われている発光演出が無駄になってしまう。その点、請求項4に記載の発明によれば、装飾カバー部材が発光手段の前側に位置していない場合に、発光手段は発光しない。よって、発光手段を常時発光させる場合に比べて消費電力が低減されるため、コスト的に有利となる。
発光手段を発光させる態様としては、回転中の装飾カバー部材が発光手段の前側を通過する際に発光手段を瞬間的に発光させることや、回転している装飾カバー部材が発光手段の前側で停止した際に発光手段を発光させることなどが挙げられるが、装飾カバー部材が停止した際に発光手段を発光させることが好ましい。このようにすれば、装飾カバー部材が発光手段の前側を通過する際に発光手段を発光させる場合よりも、発光手段が長時間発光するため、発光手段の発した光が遊技者の目に到達しやすくなる。よって、遊技者により強いインパクトを与えることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記窓部の中心が、前記図柄表示装置及び前記装飾カバー部材からなる回転部の回転中心と一致しており、前記回転部は、前記回転中心を基準として点対称なデザインとなっていることをその要旨とする。
従って、請求項5に記載の発明によると、回転部が回転することにより上下が逆転したとしても、図柄表示装置と装飾カバー部材との位置関係は逆転前と同じになる。よって、回転部を例えば1/2回転させた状態で停止させたとしても、図柄表示装置や装飾カバー部材が逆向きになっているという違和感を遊技者に与えにくい。
回転部が前記回転中心を基準として点対称なデザインとは、回転部の形状や色が、前記回転中心を基準として点対称な形状であることをいう。なお、回転部は、前記回転中心を基準として点対称な形状となるのに加え、前記回転中心を基準として点対称な色となることがより好ましい。このようにすれば、回転部を例えば1/2回転させた状態で停止させた場合に、図柄表示装置や装飾カバー部材が逆向きになっているという違和感がより小さくなる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記図柄表示装置及び前記装飾カバー部材の回転中心を基準として、複数の前記発光手段が点対称となるように配置されていることをその要旨とする。
従って、請求項6に記載の発明によると、回転中心を基準として複数の発光手段が点対称となるように配置されているため、装飾カバー部材が1/2回転することで上下が逆転したとしても、発光手段の前側に装飾カバー部材が位置することとなる。よって、図柄表示装置及び装飾カバー部材を再び1/2回転させて前記定常状態に戻したりしなくても、1/2回転したままの状態で定常状態にある場合と同様の演出を行うことができる。
請求項7に記載の発明は、遊技盤と、前記遊技盤に固定されたセンター役物と、複数種類の図柄を変動または停止させる遊技演出を表示可能な正面視略矩形状の表示部を有し、前記センター役物の窓部の内側に配置される図柄表示装置と、遊技盤面に対して垂直な軸を中心として前記図柄表示装置を回転させるモータと、前記遊技演出を実行させる制御を行う演出制御手段と、前記モータを駆動させる制御を行う駆動制御手段とを備える遊技機であって、前記窓部を正面視略円形状に形成して、その内径を前記表示部の長辺よりも大きくなるように設定し、前記遊技盤側であって前記窓部の内側の箇所に発光手段が固定され、前記窓部の内側であって前記図柄表示装置が存在しない箇所に、前記発光手段の光を透過しうる装飾カバー部材を配置するとともに、その装飾カバー部材を前記図柄表示装置と一体回転可能とし、前記装飾カバー部材の回転位置に応じて前記発光手段を発光させる制御を行う発光制御手段を設け、前記図柄表示装置及び前記装飾カバー部材を設置する支持部の後面に、ハーネス挿通空間を有する筒状の回転軸部が形成され、前記回転軸部の回転軸線を、前記図柄表示装置及び前記装飾カバー部材によって構成された回転部の重心位置を通過するように設定し、少なくとも制御信号を前記演出制御手段から回転中の前記図柄表示装置に送信可能な電気経路を有し、前記電気経路上に、回転不能に配置された固定側コネクタと、前記固定側コネクタの前側にて対向配置され、該固定側コネクタに対して回転可能な回転側コネクタとからなる盤状の連結部材を配置し、前記連結部材の中心部に設けられた回転軸部挿通孔に前記回転軸部を挿通するとともに、前記回転軸部挿通孔から後方に突出した前記回転軸部の先端に前記モータの回転軸を連結し、前記ハーネス挿通空間の内部にハーネスを通し、前記ハーネスの一端を前記図柄表示装置に接続するとともに、前記ハーネスの他端を前記回転側コネクタに接続したことを特徴とする遊技機をその要旨とする。
装飾カバー部材が発光手段の前側に位置していない場合には、仮に発光手段が発光したとしても、発光手段の発した光は遊技者の目に到達しにくい。ゆえに、発光手段にて行われている発光演出が無駄になってしまう。その点、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の発明の作用効果に加え、以下の作用効果を有する。即ち、装飾カバー部材の回転位置に応じて発光手段を発光させる制御を行う発光制御手段を備えているため、例えば、装飾カバー部材が発光手段の前側に位置している場合のみに、発光手段を発光させる制御を行うことができる。このようにすれば、発光手段を常時発光させる場合に比べて消費電力が低減されるため、コスト的に有利となる。
請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記固定側コネクタが有する複数の固定側接点と、前記回転側コネクタが有する複数の回転側接点とを、常時互いに接触するように対向配置し、前記複数の固定側接点を、前記図柄表示装置の回転中心の周りに同心円状に配置するとともに、前記複数の回転側接点を、前記図柄表示装置の回転中心の周りに螺旋状かつ等角度間隔に配置したことをその要旨とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7または8において、前記回転軸部が、前記遊技盤の裏側に取り付けられる支持フレームに突設された軸受部によって下方側から支持され、前記固定側コネクタ及び前記回転側コネクタがケーシング内に収容され、前記ケーシングが前記支持フレームに設けられた支持板に固定され、前記固定側コネクタが前記ケーシング内に固定されて回転不能になる一方、前記回転側コネクタが、前記ケーシング内にて前記固定側コネクタに近接して配置され、前記固定側コネクタに対して回転可能になっていることをその要旨とする。
以上詳述したように、請求項1〜9に記載の発明によれば、単に図柄表示装置を回転させる回転演出を行うだけの場合よりも遊技者に強いインパクトを与えることができ、配線を簡素化することができる遊技機を提供することができる。
特に、請求項4に記載の発明によれば、発光手段を常時発光させる場合に比べて消費電力が低減されるため、コスト的に有利となる。
以下、本発明をパチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」という)に具体化した一実施形態を図1〜図9に基づき説明する。
図1には、パチンコ機10の機表側が略示されている。機体の外郭をなす外枠11の開口前面側には、各種の遊技機用構成部材をセットする縦長方形の中枠12が開閉及び着脱自在に組み付けられている。また、中枠12の前面側には、機内部に配置された遊技盤13を透視保護するためのガラス枠を備えたガラス保持枠14と、上球皿15aを有する上皿ユニット15とが、ともに横開き状態で開閉可能に組み付けられている。
前記ガラス保持枠14の上部前面には枠ランプ16aが設けられ、遊技盤13の遊技盤面13aには盤面ランプ16bが設けられている。枠ランプ16a及び盤面ランプ16bは、各種遊技の演出状態(大当り、リーチなど)に応じて点灯(点滅)・消灯などの発光装飾による演出を行うようになっている。また、外枠11下部の両側部には、前記遊技の状態に応じて各種音声(効果音など)を出力するスピーカ17が設けられている。また、中枠12の下部には、下球皿18及び操作手段19などを有する下皿ユニット20が装着されている。
図1,図2に示されるように、遊技盤13の遊技盤面13aの略中央部には、窓部22を有する枠状の大型装飾部材21(センター役物)が固定されている。窓部22の内側には、表示部Hを備えた液晶式図柄表示装置41(図柄表示装置)が配設されている。この液晶式図柄表示装置41では、変動画像(または画像表示)に基づく遊技演出が行われるようになっている。そして、表示部Hには、複数種類の図柄を複数列で変動または停止させて図柄組み合わせを導出させる図柄組み合わせゲームが表示可能となっている。具体的には、複数種類の図柄が左、右、中の3列で変動し、左→右→中の順番で停止するようになっている。また、表示部Hには、魚や船などのキャラクタを登場させるといったバーチャルな演出が表示される(図8,図9参照)。
図1,図2に示されるように、液晶式図柄表示装置41は、遊技盤面13aに対して垂直に延びる軸(具体的には、図2に示される回転軸線C)を中心として回転可能となっている。さらに、表示部Hは、正面視略長方形状をなしており、窓部22とは形状及び大きさが異なっている。一方、窓部22は、正面視円形状をなしており、表示部Hの長辺よりも大きい内径を有している。よって、液晶式図柄表示装置41の回転位置に関係なく、表示部Hの略全体が窓部22から常時露出して視認可能となる(図8,図9参照)。
図2に示されるように、遊技盤13の裏側には、支持フレーム50が取り付けられている。支持フレーム50には図柄制御基板34が支持されている。図柄制御基板34には、制御装置側中継基板45がハーネス(図示略)を介して電気的に接続されている。図柄制御基板34は、液晶式図柄表示装置41を表示制御するための図柄信号を、制御装置側中継基板45を介して出力する。一方、液晶式図柄表示装置41は、ハーネス67,68及び連結コネクタ64(図3参照)を介して制御装置側中継基板45に電気的に接続されている。
また、支持フレーム50には、液晶式図柄表示装置41を回転させるための駆動源となるモータ51が固定されている。モータ51の回転軸52は、カップリング(図示略)を介して液晶式図柄表示装置41の回転軸部42に連結されている。回転軸部42は、液晶式図柄表示装置41が設置された支持部41aに一体形成されるとともに、支持フレーム50に突設された軸受部53によって下方側から支持されている。
図2に示されるように、支持フレーム50には支持板54が設けられており、同支持板54の前面側には複数個(本実施形態では4個)の発光ダイオード46a〜46d(発光手段)が固定されている。各発光ダイオード46a〜46dは、図1に示すように、正面視で前記窓部22の内側の箇所に固定されている。そして、各発光ダイオード46a〜46dは、液晶式図柄表示装置41及びレンズカバー43の回転中心(回転軸線C)を基準として、点対称となるように配置されている。詳述すると、各発光ダイオード46a〜46dは、回転軸線Cを基準として上下左右にかつ等角度間隔(本実施形態では90°間隔)に配置されている。具体的には、回転軸線Cの上側には発光ダイオード46aが配置され、回転軸線Cの下側には発光ダイオード46cが配置されている。また、回転軸線Cの左側には発光ダイオード46bが配置され、回転軸線Cの右側には発光ダイオード46dが配置されている。なお、各発光ダイオード46a〜46dと回転軸線Cとの間の距離は、それぞれ等しくなっている。
図2,図3に示されるように、前記支持部41aには、装飾が施されたレンズカバー43(装飾カバー部材)が設置されている。レンズカバー43は、その前面が液晶式図柄表示装置41の前面と略同一面上に位置するように設けられている(図2参照)。また、レンズカバー43は、窓部22の内側であって液晶式図柄表示装置41が存在しない箇所に配置されている。レンズカバー43は、正面視で液晶式図柄表示装置41の外周側となる部分に配置されている。具体的に言うと、レンズカバー43は、液晶式図柄表示装置41が有する一対の長辺部分にそれぞれ設けられている。よって、両レンズカバー43は、液晶式図柄表示装置41と一体に回転する。そして、液晶式図柄表示装置41及び両レンズカバー43などにより回転部48(図3参照)が構成される。なお、液晶式図柄表示装置41の回転軸部42の回転軸線Cは、回転部48の重心位置Oを通過するように設定されている。また、回転部48の回転中心(回転軸線C)は、窓部22の中心と一致している。
図1〜図3,図8,図9に示されるように、両レンズカバー43は、互いに同一のデザインとなっている。即ち、両レンズカバー43は、互いに同一の外形(正面視略半円形状)をなし、互いに同一の色(本実施形態では青色)に着色されている。また、両レンズカバー43には、互いに同一の装飾が施されている。よって、液晶式図柄表示装置41及び両レンズカバー43などからなる回転部48は、回転軸線Cを基準として点対称なデザインとなっている。また、両レンズカバー43の底辺(液晶式図柄表示装置41との接続部分)の長さは、液晶式図柄表示装置41の長辺の長さと略同一に設定されている。よって、両レンズカバー43は、窓部22を介して常時視認可能となっている。ゆえに、レンズカバー43が大きすぎるために、レンズカバー43が他の部材(支持フレーム50など)に干渉して配置できなくなる、といった問題が解消される。また、レンズカバー43が小さすぎるために、液晶式図柄表示装置41及びレンズカバー43の隙間から機内部が窓部22を介して露出してしまう、といった問題が解消される。
図1〜図3,図8,図9に示されるように、両レンズカバー43は、例えば青色の半透明な合成樹脂材料を用いて形成された成形品であり、前記各発光ダイオード46a〜46dの光を透過しうるように構成されている。また、両レンズカバー43は、各発光ダイオード46a〜46dの前側を通過しうるように配置されている。換言すると、両レンズカバー43は、各発光ダイオード46a〜46dの存在を隠しうる箇所に配置されている。例えば、図1,図8に示されるように、液晶式図柄表示装置41が回転前の定常状態(液晶式図柄表示装置41が有する一対の長辺部分が水平となり、一対の短辺部分が鉛直となる状態)にある場合、一方のレンズカバー43は発光ダイオード46aの前側に配置される。それとともに、他方のレンズカバー43は発光ダイオード46cの前側に配置される。この状態において、発光ダイオード46a,46cの光がレンズカバー43を透過した場合、レンズカバー43が例えば青色に発光する発光演出が行われる。即ち、発光ダイオード46a,46c及びレンズカバー43にて行われる演出は、液晶式図柄表示装置41によって行われる演出とは内容が異なるものとなる。なお、本実施形態では、各発光ダイオード46a〜46dは、始動入賞口に入賞した遊技球を始動保留球として表示するためのものではない。
図1〜図3,図8,図9に示されるように、両レンズカバー43には光拡散処理が施されており、具体的にはレンズカバー43の内側面の略全体に溝加工が施されている。本実施形態においてレンズカバー43に形成された多数の光拡散用溝は、所定の金型を用いてレンズカバー43を成形する際に同時に形成されたものである。これにより、発光ダイオード46a〜46dの光がレンズカバー43を透過する際にその進行方向が多方向に変えられる結果、光が拡散される。このとき、レンズカバー43を外方から見るとレンズカバー43における比較的広い領域が煌びやかに光って見えるため、結果的に演出効果を高めることができる。
図3に示されるように、前記制御装置側中継基板45及び液晶式図柄表示装置41は、電気経路61によって接続されている。電気経路61は、前記回転部48の停止時、回転時にかかわらず、前記図柄制御基板34から液晶式図柄表示装置41に前記図柄信号などを送信可能となっている。電気経路61は、回転部48の回転中心近傍に配置されている。また、電気経路61上には、固定側コネクタ62及び回転側コネクタ63からなる前記連結コネクタ64が配置されている。連結コネクタ64は、略円盤状をなしており、その中心部には液晶式図柄表示装置41の前記回転軸部42が挿通されるようになっている。即ち、連結コネクタ64は、液晶式図柄表示装置41の回転中心近傍に配置されている。固定側コネクタ62は前記ハーネス67を介して制御装置側中継基板45に電気的に接続され、回転側コネクタ63は前記ハーネス68を介して液晶式図柄表示装置41に電気的に接続されている。図2に示されるように、固定側コネクタ62及び回転側コネクタ63はケーシング(図示略)内に収容され、同ケーシングは前記支持板54に固定されている。固定側コネクタ62は、ケーシング内に固定されているため、回転不能になっている。一方、回転側コネクタ63は、ケーシング内にて固定側コネクタ62に近接して配置され、固定側コネクタ62に対して回転可能になっている。回転側コネクタ63は、液晶式図柄表示装置41の回転軸部42の端部に取付金具(図示略)を介して固定されている。なお、回転軸部42は筒状をなしており、その回転軸部42内にはハーネス68が通っている。ハーネス68の一端は液晶式図柄表示装置41に接続されるとともに、ハーネス68の他端は回転側コネクタ63に接続されている。
図4に示されるように、固定側コネクタ62の固定側接触面62aには複数の固定側接点65が配置されている。各固定側接点65は、液晶式図柄表示装置41の回転中心の周りに同心円状に配置されたリング状の金属板である。各固定側接点65は、ハーネス67を構成する電線にそれぞれ電気的に接続されている。一方、図5に示されるように、回転側コネクタ63の回転側接触面63aには複数の回転側接点66が配置されている。各回転側接点66は、液晶式図柄表示装置41の回転中心の周りに同心円状かつ螺旋状に配置された金属凸部である。各回転側接点66は等角度間隔(本実施形態では45°間隔)に配置されている。各回転側接点66は、ハーネス68を構成する電線にそれぞれ電気的に接続されている。固定側接点65及び回転側接点66は、互いに同数配置されており、停止時のみならず回転時においても、常時互いに接触するように対向配置されている。これにより、前記回転部48の回転時にハーネス67,68が捩れなくなるため、回転部48を、同一方向に連続的に回転させることができる。固定側接点65及び回転側接点66には、液晶式図柄表示装置41に赤色、緑色、青色を表示させる信号、液晶式図柄表示装置41に供給される電源などが流れるようになっている。また、一対の固定側接点65及び回転側接点66は、グランドに接続されている。
次に、パチンコ機10の電気的な構成について説明する。
図6に示されるように、このパチンコ機10は、主制御基板31、音声制御基板32、ランプ制御基板33、前記図柄制御基板34及び統括制御基板37を備えている。主制御基板31には統括制御基板37が接続され、統括制御基板37には音声制御基板32、ランプ制御基板33及び図柄制御基板34がそれぞれ接続されている。統括制御基板37には主制御基板31から出力された制御信号が入力され、音声制御基板32、ランプ制御基板33及び図柄制御基板34には、統括制御基板37から出力された制御信号が入力されるようになっている。
主制御基板31はメインCPU31aを備えており、メインCPU31aにはROM31b及びRAM31cが接続されている。メインCPU31aは、大当り判定用乱数、図柄決定用乱数、変動パターン決定用乱数などの各種乱数の値を所定の周期(例えば4ms)ごとに順次更新するようになっている。メインCPU31aは、更新後の各種乱数の値をRAM31cにおける所定の領域に設定し、更新前の値を書き換えることにより各種乱数の値を更新している。ROM31bには、パチンコ機10を制御するための制御プログラムなどが記憶されている。RAM31cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報(各種乱数の値など)が一時的に記憶されるようになっている。
図6に示されるメインCPU31aは、大当り判定用乱数(大当りか否かを判定するための乱数)及び図柄決定用乱数(大当り時の図柄を決定するための乱数)に基づいて、前記液晶式図柄表示装置41による図柄変動を付与するようになっている。具体的には、メインCPU31aは、図柄変動開始時に、変動パターンなどの図柄変動に関する信号を、前記統括制御基板37に対して出力するようになっている。
前記統括制御基板37は、統括制御手段としての統括CPU37aを備えており、統括CPU37aにはROM37b及びRAM37cが接続されている。統括CPU37aは、各種乱数の値を所定の周期ごとに更新している。そして、統括CPU37aは、更新後の値をRAM37cの設定領域に設定して更新前の値を書き換えている。
そして、図6に示されるメインCPU31aから変動パターンを示す信号が入力されると、統括CPU37aは、その変動パターンを示す信号を、前記音声制御基板32、前記ランプ制御基板33及び前記図柄制御基板34に対して出力するようになっている。また、統括CPU37aは、入力された変動パターンを示す信号に基づいて、レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置するタイミングと発光ダイオード46a〜46dの発光タイミングとを同期させるための同期情報を、ランプ制御基板33及び図柄制御基板34に対して出力するようになっている。具体的に言うと、図柄制御基板34に対して出力される同期情報とは、変動パターンごとに対応付けられた遊技演出の時間内において、モータ51の駆動開始タイミングと駆動終了タイミングとを規定している情報である。即ち、回転部48の回転演出は、変動パターンに基づいて行われるようになっている。また、ランプ制御基板33に対して出力される同期情報とは、変動パターンごとに対応付けられた遊技演出の時間内において、各発光ダイオード46a〜46dの発光開始タイミングと発光終了タイミングとを個々に規定している情報である。これらの同期情報により、レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置するタイミングと発光ダイオード46a〜46dの発光タイミングとを同期させることができ、ランプ制御基板33及び図柄制御基板34が実行する遊技演出の具体的な内容が、統括CPU37aによって統括的に制御される。
音声制御基板32は、サブ制御手段の一部を構成するサブCPU32aを備えており、サブCPU32aにはROM32b及びRAM32cが接続されている。ROM32bには、各種の制御プログラム、複数種類の音声演出用の演出実行データなどが記憶されている。RAM32cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。前記音声演出用の演出実行データとは、サブCPU32aが、前記スピーカ17の音声出力態様(効果音の種類、音声言語の種類、音声出力時間など)を制御するための情報である。
そして、前記統括CPU37aから変動パターンを示す信号が入力されると、図6に示されるサブCPU32aは、それに対応する音声演出の演出実行を指示するようになっている。より詳しくは、サブCPU32aは、音声演出用の演出実行データを音声信号に変換し、スピーカ17に出力するようになっている。その結果、スピーカ17は、音声信号に基づき所定の報知動作(音声の出力)を行うようになっている。
前記ランプ制御基板33は、サブ制御手段の一部を構成するサブCPU33aを備えており、このサブCPU33aにはROM33b及びRAM33cが接続されている。ROM33bには、複数種類の発光演出用の演出実行データが記憶されている。RAM33cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。
そして、前記統括CPU37aから変動パターンを示す信号が入力されると、図6に示されるサブCPU33aは、それに対応する発光演出の演出実行を指示するようになっている。より詳しくは、サブCPU33aは、選択した発光演出用の演出実行データを発光制御信号に変換し、前記枠ランプ16a、前記盤面ランプ16b及び前記発光ダイオード46a〜46dに出力する。その結果、枠ランプ16a、盤面ランプ16b及び発光ダイオード46a〜46dは、発光制御信号に基づき所定の報知動作(発光)を行うようになっている。なお、統括CPU37aから前記同期情報が入力されると、サブCPU33aは、同期情報が規定した発光開始タイミング及び発光終了タイミングに合わせて、発光ダイオード46a〜46dを発光させる制御を行うようになっている。なお、発光開始タイミング及び発光終了タイミングは、レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置するタイミングと同期している。このため、前記レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dのうち少なくとも1つの前側に位置するときにのみ、レンズカバー43の後側にある発光ダイオードが発光するようになる。即ち、サブCPU33aは、レンズカバー43の回転位置に応じて発光ダイオード46a〜46dを発光させる制御を行う発光制御手段としての機能を有している。
前記図柄制御基板34は、サブ制御手段の一部を構成するサブCPU34aを備えており、このサブCPU34aにはROM34b及びRAM34cが接続されている。ROM34bには、複数種類の表示演出用の演出実行データや各種の画像情報(図柄の画像情報、背景画像、文字画像、登場キャラクタの画像など)が記憶されている。RAM34cには、パチンコ機10の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が一時的に記憶(設定)されるようになっている。前記表示演出用の演出実行データとは、サブCPU34aが、前記液晶式図柄表示装置41の表示内容(図柄変動、キャラクタの動作など)、前記モータ51の回転を制御するための情報である。
そして、前記統括CPU37aから前記変動パターンを示す信号が入力されると、図6に示されるサブCPU34aは、それに対応する表示演出の演出実行を指示するようになっている。より詳しくは、サブCPU34aは、表示演出用の演出実行データを図柄信号に変換し、液晶式図柄表示装置41に出力するようになっている。その結果、液晶式図柄表示装置41は、図柄信号に基づき複数の図柄の変動を開始するようになっている。即ち、サブCPU34aは、演出制御手段としての機能を有している。
また、図8,図9に示されるように、左列及び右列を同一種類の図柄で確定停止させた状態で、中列の図柄が変動するノーマルリーチ(「7,↓,7」(↓は変動中を示す)など)が発生すると、サブCPU34aは、一定時間モータ51を駆動させて前記回転部48を回転させるようになっている。なお、統括CPU37aから前記同期情報が入力されると、サブCPU34aは、同期情報が規定したモータ51の駆動開始タイミング及び駆動終了タイミングに合わせて、モータ51の駆動を制御するようになっている。即ち、サブCPU34aは、駆動制御手段としての機能を有している。なお、回転部48が回転した場合、回転部48が回転しない場合よりも大当りとなる信頼度が高くなる。また、回転部48の回転演出を、いわゆる大当り予告手段として用いてもよい。さらに、回転部48の回転数や回転速度の違いに応じて、大当りとなる信頼度が変化するようにしてもよい。
次に、液晶式図柄表示装置41及びレンズカバー43などにて実行される演出について説明する。
図8に示されるように、液晶式図柄表示装置41が定常状態にある場合に遊技球の入賞があると、液晶式図柄表示装置41による図柄変動が開始される。この状態においては、各レンズカバー43の後側に位置している発光ダイオード46a,46cは発光していないため、遊技者は、各発光ダイオード46a,46cの存在を確認できないようになっている。
ここで、左列及び右列を同一種類の図柄で確定停止させた状態で、中列の図柄が変動するノーマルリーチが発生すると、サブCPU33aは、各レンズカバー43の後側に位置している発光ダイオード46a,46cの発光を開始させる(図7参照)。これにより、発光ダイオード46a,46cの発光に伴い各レンズカバー43が突然発光するため、遊技者に意外性を与えることができる。また、発光ダイオード46a,46cの光は、レンズカバー43を透過する際に進行方向が多方向に変えられる。従って、光がレンズカバー43を介して直接遊技者の目に到達するばかりでなく、光拡散効果によってレンズカバー43における比較的広い領域が煌びやかに光って見える。また、サブCPU34aは、モータ51を駆動させ、液晶式図柄表示装置41及び各レンズカバー43を反時計回り方向に連続して複数回回転させる。従って、液晶式図柄表示装置41にて行われるノーマルリーチ演出を、遊技者に常時見せながら回転させることができるため、遊技者にインパクトを与えることができる。
例えば、液晶式図柄表示装置41及び各レンズカバー43が定常状態から反時計回り方向に90°回転した場合(図9参照)、液晶式図柄表示装置41及びレンズカバー43の回転中心の左側及び右側にある発光ダイオード46b,46dが発光(点灯)するとともに、前記発光ダイオード46a,46cが発光を終了(消灯)した状態となる(図7参照)。即ち、レンズカバー43の回転位置に合わせて同レンズカバー43の後側にある発光ダイオードが発光するため、各レンズカバー43は、見掛け上、常時発光し続けているように見える。
前述した発光ダイオード46a〜46dによる点灯及び消灯を繰り返しつつ、回転部48を複数回回転させた後、液晶式図柄表示装置41にて行われていたノーマルリーチ演出が終了すると同時に、サブCPU34aはモータ51を停止させる。即ち、液晶式図柄表示装置41及びレンズカバー43の回転時間は、ノーマルリーチ演出の演出時間と略等しくなっている。なお、サブCPU34aは、液晶式図柄表示装置41が定常状態となる位置でモータ51を停止させてもよいし、液晶式図柄表示装置41が定常状態から180°回転した位置でモータ51を停止させてもよい。仮に、液晶式図柄表示装置41を定常状態から180°回転させた位置でモータ51を停止させたとしても、液晶式図柄表示装置41と両レンズカバー43との位置関係は定常状態の場合と同じであるからである。なお、表示部Hの表示の上下が逆転している場合、サブCPU34aは、表示部Hの表示を上下反転させる反転信号を液晶式図柄表示装置41に入力すればよい。また、サブCPU34aは、モータ51の停止とともに各発光ダイオード46a〜46dの発光を終了させる。これにより、各レンズカバー43の発光演出が終了する。即ち、レンズカバー43が発光する時間も、ノーマルリーチ演出の演出時間と略等しくなっている。
従って、本実施形態によれば以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態のパチンコ機10によれば、単に液晶式図柄表示装置41を回転させる演出が行われるだけでなく、レンズカバー43もそれに伴って回転する。よって、液晶式図柄表示装置41の回転による演出とレンズカバー43の回転による演出との相乗効果により、単に液晶式図柄表示装置41だけを回転させる場合よりも遊技者に強いインパクトを与えることができる。また、装飾が施されたレンズカバー43が回転するため、何も装飾がないレンズカバーが回転する場合よりも遊技者に強いインパクトを与えることができる。さらに、レンズカバー43の回転演出に加えて、発光ダイオード46a〜46dの光がレンズカバー43を透過することにより、レンズカバー43が発光する発光演出も行われる。これにより、遊技者に与えるインパクトがよりいっそう強くなる。しかも、レンズカバー43による演出がよりいっそう華やかになる。
また、発光ダイオード46a〜46dが回転部48側に固定される場合に必要となる構成、例えば、遊技盤13側にあるランプ制御基板33と発光ダイオード46a〜46dとを回転可能に接続する配線が不要となるため、配線を簡素化することができる。
さらに、窓部22は、正面視円形状に形成され、その内径が液晶式図柄表示装置41の表示部Hの長辺よりも大きくなっている。このため、液晶式図柄表示装置41が回転した場合であっても、液晶式図柄表示装置41(特に、表示部Hの外周部分)が大型装飾部材21の裏側に隠れにくくなる。従って、液晶式図柄表示装置41が窓部22を介して常時視認可能となるため、液晶式図柄表示装置41による主たる遊技演出が見やすくなる。
(2)本実施形態の液晶式図柄表示装置41では、表示部Hに魚や船などのキャラクタを登場させるといったバーチャルな演出が表示され、レンズカバー43では、発光ダイオード46a〜46dからの光によりレンズカバー43自体が発光するという実体的な演出が行われる。即ち、液晶式図柄表示装置41及びレンズカバー43にて行われる演出は、互いに異なっている。よって、液晶式図柄表示装置41と同様のバーチャルな演出をレンズカバー43にて行う場合よりも、遊技者に強いインパクトを与えることができるため、パチンコ機10の興趣をよりいっそう高めることができる。
(3)本実施形態では、発光ダイオード46a〜46dは液晶式図柄表示装置41よりも奥側に配置されているが、レンズカバー43は、その前面が液晶式図柄表示装置41の前面と略同一面上に位置するように配置されている。そのため、見掛け上の発光面は、発光ダイオード46a〜46dではなくレンズカバー43の前面となる。よって、レンズカバー43を設けずに発光ダイオード46a〜46dのみによって発光演出を行う場合に比べて、遊技者により近い位置で発光演出が行われるため、発光演出が遊技者にとって視認しやすいものとなる。
(4)レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置していない場合には、仮に発光ダイオード46a〜46dが発光したとしても、光が遊技者の目に到達しにくい。ゆえに、発光ダイオード46a〜46dによる発光演出が無駄になってしまう。その点、本実施形態によれば、レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置していない場合に、発光ダイオード46a〜46dは発光しない。よって、発光ダイオード46a〜46dを常時発光させる場合に比べて消費電力が低減されるため、コスト的に有利となる。
また、各発光ダイオード46a〜46dの発光タイミングの制御は、従来用いられてきたランプ制御基板33上に回路を追加することでも可能となるが、本実施形態では、従来用いられてきたROM33b内に制御プログラムを追加することで可能としている。ゆえに、回路の追加に伴い部品点数が増加することによる、ランプ制御基板33の製造コストの上昇を防止できる。
(5)本実施形態では、液晶式図柄表示装置41が回転前の定常状態にある場合に、一方のレンズカバー43の後側に発光ダイオード46aが位置し、他方のレンズカバー43の後側に発光ダイオード46cが位置するようになっている。このようにすれば、液晶式図柄表示装置41が回転前の定常状態で停止している場合であっても、レンズカバー43が発光する発光演出を行うことができる。
(6)固定側コネクタ62及び回転側コネクタ63を用いずに液晶式図柄表示装置41と制御装置側中継基板45との間を単純に配線でつなぐ場合には、回転部48が一方向に回転して配線が捩れると、回転部48を逆方向に回転させて配線の捩れを戻す必要がある。例えば、ノーマルリーチ演出時に回転部48を一方向に回転させた場合には、ハズレ演出時などの別の機会において、前回とは逆方向(例えば、液晶式図柄表示装置41を回転前の定常状態に戻す方向)に回転部48を回転させなければならない。仮に、液晶式図柄表示装置41を定常状態に戻さずに一方向に回転させ続けると、断線のおそれがあるからである。よって、具体的に言えば、1回目の回転演出時に回転部48の回転方向を記憶しておき、2回目の回転演出を行う場合に、回転部48を1回目とは逆方向に回転させる制御が必要となる。つまり、固定側コネクタ62及び回転側コネクタ63を用いない場合には、回転演出に大きな制限が生じてしまう。
それに対して、本実施形態では、回転側コネクタ63が固定側コネクタ62に対して回転可能に設けられている。このため、回転部48が回転した場合に、固定側コネクタ62に接続されるハーネス67や回転側コネクタ63に接続されるハーネス68が捩れることがない。よって、回転演出に制限がなくなり、回転部48を同一方向に連続的に回転させることができるため、よりダイナミックな動きを実現することができる。ゆえに、遊技者に与えるインパクトがよりいっそう強くなる。
(7)本実施形態では、レンズカバー43が液晶式図柄表示装置41とともに回転し、レンズカバー43を発光させる発光ダイオード46a〜46dは、回転部48にではなく支持フレーム50に設けられた支持板54に固定されている。このため、液晶式図柄表示装置41用の連結コネクタ64とは別に、発光ダイオード46a〜46d用の連結コネクタを設けなくても済む。
(8)仮に、連結コネクタ64が電波式などである場合、図柄信号などが不正目的で他人に受信される可能性がある。一方、本実施形態では、連結コネクタ64の固定側接点65と回転側接点66とが機械的に接触可能となっている。そのため、図柄信号などを、他人に受信されることなく図柄制御基板34から液晶式図柄表示装置41に確実に送ることができ、しかも連結コネクタ64を安価に製作することができる。
(9)本実施形態では、液晶式図柄表示装置41の回転軸部42の回転軸線Cは、回転部48の重心位置Oを通過するように設定されている。このため、重心バランスが安定した状態で回転部48を回転させることができる。よって、回転時に生じる重心のバラツキにより回転軸部42に必要以上の負担をかけることもない。
なお、本発明の実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、レンズカバー43は、液晶式図柄表示装置41が有する一対の長辺部分にそれぞれ設けられていた。しかし、図10に示されるように、レンズカバー43は、液晶式図柄表示装置41の長辺部分に加え、液晶式図柄表示装置41が有する一対の短辺部分にそれぞれ設けられていてもよい。
・レンズカバー43における光拡散処理は上記実施形態のような溝加工のみに限定されず、ダイヤモンドカット加工などのような他の処理であってもよい。また、レンズカバー43の光拡散処理自体を省略してもよい。
・上記実施形態では、レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置するときにのみ、レンズカバー43の後側にある発光ダイオードが発光するようになっていた。しかし、発光ダイオード46a〜46dは常時発光し続けるようになっていてもよい。
・上記実施形態では、統括CPU37aから出力された同期情報に基づいて、レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置するタイミングと発光ダイオード46a〜46dの発光タイミングとが同期するように制御されていた。しかし、レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置するタイミングと発光ダイオード46a〜46dの発光タイミングとを、異なる方法で同期させてもよい。具体的には、各発光ダイオード46a〜46dの近傍に、レンズカバー43を検知して検知信号を出力する検知センサを設ける。そして、サブCPU33aが、入力された検知信号に基づいて発光ダイオード46a〜46dを発光させることで、レンズカバー43が発光ダイオード46a〜46dの前側に位置するタイミングと発光ダイオード46a〜46dの発光タイミングとを同期させるようにする。
・上記実施形態では、回転部48の回転演出が、変動パターンに基づいて行われるようになっていたが、変動パターンと独立して行われるようになっていてもよい。
・上記実施形態では、液晶式図柄表示装置41及びレンズカバー43からなる回転部48をモータ51によって回転させることにより、レンズカバー43を液晶式図柄表示装置41と一体回転させるようになっていた。しかし、レンズカバー43を回転させる駆動機構を、液晶式図柄表示装置41を回転させる駆動機構とは別々に設け、それぞれの駆動機構を同時に駆動させることにより、レンズカバー43を液晶式図柄表示装置41と一体回転させるようにしてもよい。
・上記実施形態では、回転部48は、反時計回り方向に回転するようになっていた。しかし、回転部48は、時計回り方向に回転するようになっていてもよいし、両方向に回転するようになっていてもよい。また、回転部48は、同一方向に連続的に回転させることができるものであったが、回転部48の最大回転角度(最大回転回数)を設定するようにしてもよい。例えば、回転部48の最大回転回数を、90°(1/4回転)、180°(1/2回転)、360°(1回転)、720°(2回転)などに設定してもよい。
・上記実施形態では、左列及び右列を同一種類の図柄で確定停止させた状態で、中列の図柄が変動するノーマルリーチが発生したときに、回転部48が回転するようになっていた。しかし、回転部48が回転するタイミングを変更してもよい。例えば、左図柄及び右図柄が同一の図柄で停止した状態で、特別な演出が行われるとともに、中図柄が変動するスーパーリーチが発生したときに、回転部48が回転するようにしてもよい。なお、特別な演出としては、例えば、キャラクタが出現する演出、背景が切り替わる演出、音声が高まる演出、ランプの点滅が激しくなる演出などが挙げられる。また、ノーマルリーチが発生した状態で各図柄が一旦停止した後、スーパーリーチに発展して再び各図柄が変動するときに、回転部48が回転するようにしてもよい。
・上記実施形態では、左列及び右列を同一種類の図柄で確定停止させた状態で、中列の図柄が変動するノーマルリーチが発生したときに、回転部48が回転するようになっていた。しかし、回転部48が回転するタイミングを変更してもよい。例えば、液晶式図柄表示装置41に表示される各図柄が大当りの表示結果(「7,7,7」)で確定停止したときに、回転部48が回転するようにしてもよい。また、大当り遊技演出(全図柄が大当りの表示結果で確定停止した後に行われる演出)の終了後に、大当りの抽選確率が高確率に変動する確率変動が開始されるときに、回転部48が回転するようにしてもよい。
・上記実施形態では、左列及び右列を同一種類の図柄で確定停止させた状態で、中列の図柄が変動するリーチが発生したときに、回転部48が回転するようになっていた。しかし、再抽選(各図柄を仮停止させた後、再び各図柄を変動させて確定停止させること)において、回転部48が回転するようにしてもよい。
・上記実施形態では、各発光ダイオード46a〜46dは、前側をレンズカバー43が通過しうる領域において、液晶式図柄表示装置41及びレンズカバー43の回転中心(回転軸線C)を基準として点対称となるように配置されていた。しかし、発光ダイオード46a〜46dを別の箇所に配置してもよい。例えば、発光ダイオード46a〜46dを回転中心の近傍に配置するとともに、発光ダイオード46a〜46dの光を前側に反射させる鏡を、前側をレンズカバー43が通過しうる領域において回転中心を基準として点対称となるように配置してもよい。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)請求項1乃至9のいずれか1項において、前記装飾カバー部材は、前記窓部から常時視認可能であること。
(2)請求項1乃至9のいずれか1項において、前記装飾カバー部材に光拡散処理が施されていること。
(3)請求項1において、前記発光手段は常時発光し続けるように設定されていること。
(4)請求項1乃至9のいずれか1項において、演出実行を指示するサブ制御手段と、前記サブ制御手段が実行する演出の具体的な内容を統括的に制御する統括制御手段とを備え、前記発光手段の発光タイミングは、前記統括制御手段によって制御されるようになっていること。
(5)請求項1乃至9のいずれか1項において、前記装飾カバー部材は、前記発光手段の存在を隠しうるようになっていること。このようにすれば、発光手段の発光に伴い装飾カバー部材が突然発光するため、遊技者に意外性を与えることができる。
(6)請求項1乃至9のいずれか1項において、前記図柄表示装置が回転前の定常状態にある場合に、前記装飾カバー部材の後側に前記発光手段が位置すること。このようにすれば、図柄表示装置が回転前の定常状態で停止している場合であっても、装飾カバー部材が発光する発光演出を行うことができる。