JP4218912B2 - 電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品に関するものであり、さらに詳しく言えば、プリント基板等に面実装されるリードレスの電子部品に関するものである。以下、乾式金属化フィルムコンデンサについて詳細に説明するが、本発明は乾式金属化フィルムコンデンサに限定されるものではなく他の電子部品についても全く同様に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の電子部品、例えば金属化フィルムコンデンサは、図6に示すように構成されている。すなわち、一対の金属化フィルムを重ね合せて巻回し、両端面にメタリコン金属を溶射して電極引出部を形成してなる部品素子15に引出線16を溶接またははんだ付け等により接合し、これを樹脂ケース17内に収納し、その樹脂ケース内に熱硬化性樹脂などからなる樹脂18を注入、充填後、硬化することにより形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなリード線タイプの金属化フィルムコンデンサをプリント基板に取付ける場合、引出線をプリント基板に設けられた貫通孔に貫通させ、はんだ付けを行っている。
しかし、電子部品のプリント基板等への自動挿入、効率化が進む中で、面実装タイプの金属化フィルムコンデンサがユーザーより強く要望されている。
【0004】
しかしながら、上記のリード線タイプの金属化フィルムコンデンサは、引出線が鉛直方向に引き出されているので、面実装して使用するには引出線を樹脂ケースの開口部付近で90度折曲げる必要があり、上記折曲げ近辺の樹脂に亀裂が発生し、長時間使用すると、亀裂から吸湿しコンデンサ特性を劣化させるという問題があり、また断面円形のリード線を使用しているのでプリント基板に設置してはんだ付けすると、そのはんだ付け強度にバラツキが生じ品質が不安定になるなどの問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、特性劣化がなく、安定した基板実装ができるリードレスの電子部品を提供するものである。
【0006】
すなわち、引出線16を有する部品素子15と、該素子を収納するケース17と、該ケースの開口部に配設され、かつ引出線16が挿通する孔2または溝11を有し、上記ケースより大きい寸法の角形絶縁板1とからなり、該絶縁板の略中央部に外表面に向けて漏斗状あるいは階段状に拡げられた貫通窓3を設け、該窓より樹脂18を注入するよう構成し、上記絶縁板1に外部接続端子12をインサート成型により一体化し、かつ、引出線16と接続したことを特徴としている。
【0008】
また、上記絶縁板1に、樹脂ケース17の開口部と嵌合する溝部8を設けたことを特徴としている。
【0009】
そして、上記絶縁板1の外表面7に位置決め用の凸部9を形成したことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
引出線を有する部品素子を樹脂ケースに収納し、引出線が挿通する孔または溝を有する、ケースより大きい寸法の角形絶縁板で上記ケースの開口部を封口し、上記引出線を角形絶縁板の表面に引き出し、かつ上記絶縁板の略中央部に設けた貫通窓より樹脂を注入して構成される。
さらに、上記絶縁板には予め、外部接続端子をインサート成型により配設し、該端子と引出線とを接続している。
【0011】
上記の構成によって、電子部品をプリント基板に装着する場合に、引出線の先端部が角形絶縁板に設けた外部接続端子に接続され、引出線の折曲げ部がなくなるため、角形絶縁板のプリント基板に当接する面の凸部が全くない状態となり、電子部品の傾きやガタつきが全くなくなり、安定した基板実装ができ、また、実装作業を容易かつ迅速に行うことができ、製品特性も安定化する。
【0012】
【実施例】
[比較例]図1は本発明の比較例による乾式金属化フィルムコンデンサの図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は斜視図で、図2は、本発明の一実施例によるL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板の図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は底面図である。
【0013】
以下、比較例について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、図6と同一部品については同一番号を付している。図2に示すL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板1は、樹脂ケース17より寸法が大きく、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などの電気的絶縁性、機械的強度に優れた材料からなり、その略中央部に貫通窓3が設けられ、角形絶縁板1の外表面7に外部接続端子12の外表面が略同一になるよう貫通窓3を介して配設され、縁端まで延伸した段付凹部5と、該凹部内に引出線16を導出する孔10とを有し、外部接続端子12は、真鍮、銅等の電気的、機械的に優れた材料からなり、電気はんだメッキ、錫メッキなどを施し、その一端部はL字状に折曲げられた折曲げ部14と角形絶縁板1に配設したとき段付凹部5に適合する段差とを有し、他端部に引出線16を導出する押出し孔13を有している。上記絶縁板自体の孔10と上記外部接続端子の押出し孔13とを一致させ貫通孔2を形成し、外部接続端子12の折曲げ部14が角形絶縁板1の側縁に当接するように配設し、インサート成型により一体化する。このとき、角形絶縁板1への保持力を高めるため外部接続端子12の側縁あるいは角部の一部に突起を設けてもよい。
【0014】
次に、このL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板1で樹脂ケース17の開口部を封口して乾式金属化フィルムコンデンサを作製する要領について説明する。
図1に示すように、一対の金属化フィルムを重ね合せて巻回し、両端面に亜鉛、はんだなどのメタリコン金属を溶射して電極引出部を形成し、該電極引出部にはんだメッキ軟CP線、はんだメッキ軟銅線などからなる引出線16を溶接またははんだ付けにより接合した部品素子15を形成し、該素子をポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂などからなる樹脂ケース17内に収納する。
そして、L字状の外部接続端子12を配設した角形絶縁板1の貫通孔2に上記樹脂ケース内に収納した部品素子の引出線16を貫通させて表面より導出し、上記絶縁板により樹脂ケース17の開口部を遮蔽し、角形絶縁板1に設けている貫通窓3よりウレタン樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂などからなる樹脂18を注入、充填後、硬化し、外部接続端子12と引出線16とをレーザー溶接等により接合し、上記引出線を切断して乾式金属化フィルムコンデンサを得る。
【0015】
上記構成によれば、樹脂の注入、充填後、硬化したことにより、樹脂ケースとL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板とを樹脂の毛管現象で密着固定し一体化したので耐振性を有している。
また、L字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板の貫通孔より引出線を導出し、該引出線と外部接続端子とを接合するが、角形絶縁板と樹脂ケースとを一体固着しているので、角形絶縁板を固定することにより接合する部分が安定し、品質の安定した接合作業を行うことができ、さらに、引出線を外部接続端子との接合後、切断するが、角形絶縁板の段付凹部に適合する段差を外部接続端子に設けているので、引出線が角形絶縁板の外表面より突出することもなく、外部接続端子とプリント基板とのはんだ付けも容易に行うことができ、品質の安定化が図れる。
【0016】
[実施例]図3は本発明の一実施例による乾式金属化フィルムコンデンサの図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は斜視図で、図4は本発明の一実施例によるL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板の図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は底面図であり、図において、同一番号を付したものは同一部品であり、その説明は省略する。前述の比較例と相違する点は、角形絶縁板自体の構造であって、図4に示す角形絶縁板1は、比較例と同様に孔10と段付凹部5と貫通窓3とが設けられ、さらに、その略中央部に設けた貫通窓3を階段状4に拡げるとともに、樹脂ケース17の開口部に嵌合する溝部8が形成され、外部接続端子12のL字状に折曲げられた折曲げ部14が当接するように側縁に突出部6が設けられ、プリント基板に当接する外表面7には、プリント基板に設けられた挿入孔に嵌合する位置決め用の凸部9が形成されている。
【0017】
上記構成によれば、角形絶縁板の貫通窓を階段状に拡げたことにより、樹脂の注入、充填後、硬化によりプリント基板等に当接する角形絶縁板の外表面に樹脂の付着、流出がなく、プリント基板等に当接する外表面が平滑であるので、安定した基板実装ができ、プリント基板等とのはんだ付けが容易で品質の安定化が図れる。
また、樹脂ケースの開口部に嵌合する溝部を角形絶縁板に設けたことにより、角形絶縁板と樹脂ケースとが樹脂により密着固定し、一体化するので耐振性を有し、さらに、樹脂が樹脂ケースの開口部端面より流出しても、角形絶縁板の溝部にて受け止め、外観を綺麗に保つことができる。
そして、角形絶縁板の外表面に設けた凸部とプリント基板等に設けられた挿入孔との嵌合により安定した基板実装ができ、また、実装位置精度が確保でき、安定したはんだ付けにより品質の安定化が図れる。
また、角形絶縁板の側縁に突出部を設け、該突出部に当接するようにL字状の外部接続端子の折曲げ部を配設しているので、プリント基板等へのはんだ付け状態を目視にて検査することができる。
【0018】
なお、上記実施例では引出線を接合してなる部品素子を樹脂ケース内に収納し、角形絶縁板の貫通孔より引出線を導出し、角形絶縁板に配設したL字状の外部接続端子に接続した実施例を示したが、図5に示すように、角形絶縁板の貫通孔2に溝11を端縁より設けて、引出線16を差込んで外部接続端子に接続してもよい。また、樹脂を貫通窓より注入、充填後、硬化しているが、この貫通窓を漏斗状に拡げてもよく、さらに、この注入、充填後、硬化時の空気抜きとして角形絶縁板に貫通窓以外に空気抜き孔を設けてもよい。
【0019】
【発明の効果】
上記のように本発明の電子部品によれば、樹脂ケースとL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板とは樹脂の毛管現象で密着固定し一体化するので耐振性を有する。
また、上記絶縁板に樹脂ケースの開口部が嵌合する溝部を設けることにより、角形絶縁板と樹脂ケースとが樹脂により密着固定する。
さらに、L字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板の貫通孔より引出線を導出し、該引出線と外部接続端子とを接合するが、角形絶縁板と樹脂ケースとを一体固着しているので、角形絶縁板を固定することにより接合する部分が安定し、品質の安定した接合作業を行うことができ、また、引出線を外部接続端子との接合後、切断するが、角形絶縁板の段付凹部に適合する段差を外部接続端子に設けているので、引出線が角形絶縁板の外表面より突出することもなく、外部接続端子とプリント基板とのはんだ付けも容易に行うことができ、品質が安定化する。そして、角形絶縁板の貫通窓を漏斗状あるいは階段状に拡げたことにより、樹脂がプリント基板等に当接する角形絶縁板の外表面に付着、流出することなく、プリント基板等に当接する外表面が平滑であるので、安定した基板実装ができ、プリント基板等とのはんだ付けが容易で品質の安定化が図れる。
また、樹脂ケースの開口部に嵌合する溝部を角形絶縁板に設けることにより、樹脂が樹脂ケースの開口部端面より流出しても、樹脂を角形絶縁板の溝部にて受け止め、外観を綺麗に保つことができる。
さらに、角形絶縁板の外表面に設けた凸部とプリント基板等に設けられた挿入孔との嵌合により安定した基板実装ができ、また、実装位置精度が確保でき、安定したはんだ付けにより品質の安定化が図れる。
そして、角形絶縁板の側縁に突出部を設け、該突出部に当接するようにL字状の外部接続端子の折曲げ部を配設しているので、プリント基板等へのはんだ付け状態を目視にて検査することができ、工業的ならびに実用的に、価値大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の比較例による乾式金属化フィルムコンデンサの図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は斜視図である。
【図2】図2は本発明の比較例によるL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板の図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は底面図である。
【図3】図3は本発明の一実施例による乾式金属化フィルムコンデンサの他の図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は斜視図である。
【図4】図4は本発明の一実施例によるL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板の図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は底面図である。
【図5】図5は本発明の他の一実施例によるL字状の外部接続端子を配設した角形絶縁板の図面で、(a)は平面図、(b)は正断面図、(c)は底面図である。
【図6】図6は従来の金属化フィルムコンデンサの一部断面図である。
【符号の説明】
1 角形絶縁板
2 貫通孔
3 貫通窓
4 階段状
5 段付凹部
6 突出部
7 外表面
8 溝部
9 凸部
10 孔
11 溝
12 外部接続端子
13 押出し孔
14 折曲げ部
15 部品素子
16 引出線
17 樹脂ケース
18 樹脂
Claims (3)
- 引出線を有する部品素子と、該素子を収納するケースと、該ケースの開口部に配設され、かつ引出線が挿通する孔または溝を有し、上記ケースより大きい寸法の角形絶縁板とからなり、該絶縁板の略中央部に外表面に向けて漏斗状あるいは階段状に拡げられた貫通窓を設け、該窓より樹脂を注入するよう構成し、上記絶縁板に外部接続端子をインサート成型により一体化し、かつ、引出線と接続したことを特徴とする電子部品。
- 上記絶縁板に、樹脂ケースの開口部と嵌合する溝部を設けたことを特徴とする請求項1記載の電子部品。
- 上記絶縁板の外表面に位置決め用凸部を形成したことを特徴とする請求項1または2記載の電子部品。
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