JP4218585B2 - 内燃機関の燃料噴射量制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射量制御装置に関する。
従来より、吸気通路壁面や吸気弁の背面等の吸気通路を構成する部材(以下、「吸気通路構成部材」という)へ付着する燃料の量等を燃料挙動シミュレーションモデル(以下、「燃料挙動モデル」という)に基づいて推定し、この推定した燃料付着量等に応じて燃焼室内における混合気の空燃比を目標空燃比に一致させるための燃料噴射量を決定する内燃機関の燃料噴射量制御装置が知られている(例えば、特許文献1)。
この種の装置において用いられる燃料挙動モデル(図2参照)によれば、燃料量fi(k)の燃料噴射が行なわれた後の燃料付着量fw(k)は下記(1)式により求められる。
fw(k)=R・fi(k)+P・fw(k−1) …(1)
上記(1)式において、fw(k−1)は燃料量fi(k)の燃料噴射を行なう前の燃料付着量、Pは吸気通路構成部材に既に付着していた燃料のうち一吸気行程を経た後に同吸気通路構成部材に付着したまま残留している燃料の割合(燃料残留率)、Rは噴射された燃料のうち吸気通路構成部材へ直接付着する燃料の割合(燃料付着率)である。
一方、今回の燃料噴射量fi(k)の燃料のうち気筒(燃焼室)内に吸入される燃料の量は(1−R)・fi(k)となり、既に付着している燃料の量(燃料付着量)fw(k−1)のうち気筒内に吸入される燃料量は(1−P)・fw(k−1)となる。そこで、fc(k)を今回の吸気行程において燃焼室内に吸入される混合気の空燃比が所定の目標空燃比と一致するために必要な燃料量(要求燃料量)であるとすると、同混合気の空燃比を目標空燃比とするためには、下記(2)式が成立するように今回の燃料噴射量fi(k)を決定すればよいことになる。
fc(k)=(1−R)・fi(k)+(1−P)・fw(k−1) …(2)
したがって、実際には上記(2)式を変形した下記(3)式により今回の燃料噴射量fi(k)を求めればよい。
fi(k)={fc(k)−(1−P)fw(k−1)}/(1−R) …(3)
ところで、燃料残留率P及び燃料付着率Rは燃料挙動パラメータと呼ばれるパラメータであり、内燃機関の運転状態により決定される。より詳細には、これら燃料挙動パラメータP、Rは、一般に次のようにして定められ、実際の運転において使用される。すなわち、先ず吸入空気量(またはスロットルバルブ開度)、機関回転数及び機関冷却水温度等の運転状態を表すパラメータ(以下、「運転状態パラメータ」という)を一定に維持した定常運転状態にて機関を運転し、その際、上記(1)式及び上記(3)式により燃料噴射量を決定するようにする。なお、この時燃料挙動パラメータP、Rの初期値としては、それぞれ0以上1以下のある値が用いられる。次に、上記のように決定された燃料噴射量の燃料を噴射した場合の空燃比を実測して、実測した空燃比と目標空燃比とが一致するように燃料挙動パラメータP、Rを変更していく(このことは、すなわち、実測した空燃比と目標空燃比とが一致するように燃料噴射量を変更していくことである)。そして、実測した空燃比と目標空燃比とが一致した時、燃料挙動パラメータP、Rとその時の運転状態パラメータとの関係を求め、その関係を記憶装置(例えば、ROM)に記憶させておく。
そして、実際の運転においては、先ず、吸気弁が今回閉弁される時の運転状態パラメータが推定され、その運転状態パラメータと上記記憶装置に記憶しておいた関係とを用いて燃料挙動パラメータP、Rが決定される。そして、この決定された燃料挙動パラメータP、Rを用いて、吸気弁が今回閉弁される前に行なわれる燃料噴射の燃料噴射量が決定されるのである。
特許第2754744号公報 特開平10−169469号公報 特開平8−21274号公報
ところで、内燃機関は上記運転状態パラメータが一定の定常運転状態で運転されるだけではなく、例えばスロットル弁開度が急激に変更され上記運転状態パラメータが急激に変動する場合等の過渡運転状態でも運転される。そして、このような場合において、上記のように吸気弁閉弁時の推定運転状態パラメータの値に基づいて燃料挙動パラメータP、Rを決定し、その燃料挙動パラメータP、Rを用いて燃料噴射量を決定するようにすると、燃料挙動パラメータが適切でないために決定される燃料噴射量が不適切となる場合がある。すなわち、過渡運転状態においては、運転状態パラメータが時々刻々と変化しているため、吸気弁閉弁時の推定運転状態パラメータの値のみに基づいて決定された燃料挙動パラメータP、Rは適切な値とはならず、その燃料挙動パラメータP、Rを用いて決定された燃料噴射量も不適切なものとなってしまう恐れがあるのである。そして、このように燃料噴射量が不適切なものとなってしまうと、その結果として内燃機関の実際の空燃比が目標空燃比から乖離し、排気ガス中の未燃成分や窒素酸化物が増大してしまうという問題が生じる。
本発明は上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料挙動モデルに基づいて燃料噴射量を決定する燃料噴射量制御装置において、過渡運転状態における燃料噴射量をより適切に決定することができる燃料噴射量制御装置を提供することである。
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された燃料噴射量制御装置を提供する。
1番目の発明は、内燃機関の吸気通路に噴射された燃料の挙動を機関運転状態により決定される燃料挙動パラメータを用いて表す燃料挙動モデルに基づいて、燃焼室内における混合気の空燃比を目標空燃比と一致させるのに必要な燃料噴射量を決定する燃料噴射量制御装置であって、予め求めた上記内燃機関を定常運転した場合における機関運転状態と上記燃料挙動パラメータとの関係を用い、機関運転状態から上記燃料挙動パラメータを決定する燃料挙動パラメータ決定手段を有していて、上記燃料噴射量の決定には、燃料噴射が開始される時及び吸気弁が閉弁される時の夫々について推定された機関運転状態の間の機関運転状態に対して上記燃料挙動パラメータ決定手段によって決定された燃料挙動パラメータが用いられることを特徴とする、燃料噴射量制御装置を提供する。
内燃機関の吸気通路に噴射された燃料の挙動を機関運転状態により決定される燃料挙動パラメータを用いて表す燃料挙動モデルに基づいて、燃焼室内における混合気の空燃比を目標空燃比と一致させるのに必要な燃料噴射量を決定する燃料噴射量制御装置が公知である。この種の燃料噴射量制御装置においては、通常、上記内燃機関を定常運転した場合における機関運転状態と上記燃料挙動パラメータとの関係が予め求められており、実際の運転においては、先ず吸気弁が閉弁される時の機関運転状態が推定され、その機関運転状態から上記の予め求められている関係に基づいて求められた燃料挙動パラメータを用いて燃料噴射量が決定されるようになっている。
しかしながら、このようにして求めた燃料噴射量は、内燃機関の運転状態が過渡運転状態である場合には不適切となる場合がある。すなわち、過渡運転状態においては、運転状態が時々刻々と変化しているため、吸気弁閉弁時の推定運転状態のみに基づいて決定された燃料挙動パラメータは適切な値とはならず、その燃料挙動パラメータを用いて決定された燃料噴射量も不適切なものとなってしまう恐れがあるのである。
これに対し、一番目の発明では、上記燃料噴射量の決定の際には、燃料噴射が開始される時及び吸気弁が閉弁される時の夫々について推定された機関運転状態の間の機関運転状態に対して上記燃料挙動パラメータ決定手段によって決定された燃料挙動パラメータが用いられるようになっている。そして、このようにすることによって、結果として、従来に比べて過渡運転状態において、より適切に燃料噴射量を決定することができる。
すなわち、燃料の挙動を考慮する必要があるのは燃料噴射開始時から吸気弁閉弁時までであり、この間に運転状態が変化する場合には、吸気弁閉弁時の運転状態を用いるよりも燃料噴射開始時と吸気弁閉弁時との間の運転状態を用いた方が、この間の燃料の挙動をより適切に表す燃料挙動パラメータを得ることができると考えられる。したがって、本発明のようにすることによって、従来に比べてより適切な燃料挙動パラメータを得ることができると考えられる。このため、その結果として、本発明によれば、従来に比べて過渡運転状態において、より適切に燃料噴射量を決定することができるのである。
2番目の発明は1番目の発明において、上記燃料噴射が開始される時の推定機関運転状態として、上記燃料噴射量を決定する時の機関運転状態が用いられることを特徴とする。
2番目の発明のようにすることによって、制御負荷の低減を図ることができる。
3番目の発明は1番目または2番目の発明において、上記機関運転状態を表すために運転状態パラメータが用いられ、該運転状態パラメータとして吸気圧が用いられることを特徴とする。
4番目の発明は3番目の発明において、上記運転状態パラメータとして更に、吸気弁の作用角が用いられることを特徴とする。
各請求項に記載の発明は、燃料挙動モデルに基づいて燃料噴射量を決定する燃料噴射量制御装置において、過渡運転状態における燃料噴射量をより適切に決定することができるという共通の効果を奏する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。尚、図面において、同一又は類似の構成要素には共通の参照番号を付す。
図1は本発明の内燃機関の燃料噴射量制御装置の一実施形態を説明するための概略構成図である。図1において、1は内燃機関本体、2は吸気弁、3は排気弁である。また、4はシリンダ(気筒)、5はシリンダ4内に形成された燃焼室、6は燃焼室5内の混合気を点火するための点火栓である。更に、7は各気筒への分岐吸気通路を構成する下流側吸気管であって、ここには吸気通路内に燃料を噴射するための燃料噴射弁8が設けられている。9はサージタンク、11は上流側吸気管、12は排気管である。
図1に示されているように、上記上流側吸気管11内には吸入空気量を制御するためのスロットル弁13が設けられている。本実施形態においては、スロットル弁13はアクセルペダルの踏込み量に対応して開度が変更されるようになっている。スロットル弁開度を調整することで吸気圧が制御され、その結果として吸入空気量が制御される。また、スロットル弁13はスロットル弁開度を検出するスロットル弁開度センサ14を備えている。更に、上記スロットル弁13の上流には吸入空気量を検出するためのエアフローメータ15が設けられている。また、本実施形態においては、機関回転数を検出するための回転数センサ16及び内燃機関冷却水の温度を検出するための冷却水温センサ17が設けられている。なお、他の実施形態においては更に、吸気圧を検出するための吸気圧センサや吸気温を検出するための吸気温センサが設けられていてもよい。
19は電子制御装置(ECU)であって、公知の形式のデジタルコンピュータから構成され、上述の各種センサからの信号に基づいて内燃機関の運転に必要な種々の演算を行なうと共に、その結果を反映して点火栓6や燃料噴射弁7等の作動を制御するようになっている。
ところで、本実施形態においては、燃料噴射弁8からの燃料噴射量が、以下で説明するように内燃機関の吸気通路に噴射された燃料の挙動を機関運転状態により決定される燃料挙動パラメータを用いて表す燃料挙動モデルに基づいて決定されるようになっている。この燃料挙動モデルは、燃料噴射弁から噴射された燃料の一部が吸気管の内壁面や吸気弁の背面等の吸気通路を構成する部材(すなわち、吸気通路構成部材)へ付着してしまうことを考慮して構築されたものである。なお、この燃料挙動モデル自体については従来より公知のものであるので、ここでは簡単に説明する。
すなわち、本実施形態で用いられている燃料挙動モデルは図2に示されたようなものであって、この燃料挙動モデルによれば、燃料量fi(k)の燃料噴射が行なわれた後の燃料付着量fw(k)は、下記(4)式により求められる。
fw(k)=R・fi(k)+P・fw(k−1) …(4)
上記(4)式において、fw(k−1)は燃料量fi(k)の燃料噴射を行なう前の燃料付着量、P、Rは燃料挙動パラメータであって、Pは吸気通路構成部材に既に付着していた燃料のうち一吸気行程を経た後に同吸気通路構成部材に付着したまま残留している燃料の割合(燃料残留率)、Rは噴射された燃料のうち吸気通路構成部材へ直接付着する燃料の割合(燃料付着率)である。
一方、今回の燃料噴射量fi(k)の燃料のうち燃焼室5内に吸入される燃料の量は(1−R)・fi(k)となり、既に付着している燃料の量(燃料付着量)fw(k−1)のうち気筒内に吸入される燃料量は(1−P)・fw(k−1)となる。そこで、fc(k)を今回の吸気行程において燃焼室5内に吸入される混合気の空燃比が所定の目標空燃比と一致するために必要な燃料量(要求燃料量)とすると、同混合気の空燃比を目標空燃比とするためには、下記(5)式が成立するように今回の燃料噴射量fi(k)を決定すればよいことになる。
fc(k)=(1−R)・fi(k)+(1−P)・fw(k−1) …(5)
すなわち、この(5)式を変形した以下の(6)式により今回の燃料噴射量fi(k)(すなわち、燃焼室5内における混合気の空燃比を目標空燃比と一致させるのに必要な燃料噴射量)を求めることができる。
fi(k)={fc(k)−(1−P)fw(k−1)}/(1−R) …(6)
ここで、上記要求燃料量fc(k)については、先ず現在のスロットル弁開度、機関回転数及び吸入空気量(あるいは吸入空気流量)等から今回の吸気行程において燃焼室5内に吸入される空気量を推定し、次いでその推定された空気量との関係で目標空燃比を実現する燃料量を算出することで求めることができる。
また、上記(6)式で使用される燃料挙動パラメータP、Rについては、上記内燃機関を定常運転した場合における機関運転状態と上記燃料挙動パラメータP、Rとの関係が予め求められてECU19に記憶されており、実際の運転においては、その予め求められた関係に基づいて上記燃料挙動パラメータP、Rが決定されるようになっている。
すなわち、例えば、機関運転状態を表す運転状態パラメータとして吸気圧Pmを選択した場合を考えると、先ず、吸気圧Pmを一定に維持した定常運転状態にて機関を運転し、その際、上記(4)式及び上記(6)式により燃料噴射量を決定するようにする。なお、この時燃料挙動パラメータP、Rの初期値としては、それぞれ0以上1以下のある値が用いられる。次に、上記のように決定された燃料噴射量の燃料を噴射した場合の空燃比を実測して、実測した空燃比と目標空燃比とが一致するように燃料挙動パラメータP、Rを変更していく(このことは、すなわち、実測した空燃比と目標空燃比とが一致するように燃料噴射量を変更していくことである)。そして、実測した空燃比と目標空燃比とが一致した時、燃料挙動パラメータP、Rとその時の吸気圧Pmとの関係を求め、その関係をECU19(より詳細にはECU19の記憶装置(例えば、ROM))に記憶させておく。そしてこの作業を吸気圧Pmを変化させて行なうことによって、吸気圧Pmから燃料挙動パラメータP、Rを求めるマップを作成することができる。図3(a)及び(b)は、夫々、吸気圧Pmから燃料挙動パラメータP(燃料残留率)を求めるためのマップ及び吸気圧Pmから燃料挙動パラメータR(燃料付着率)を求めるためのマップの例である。
そして、実際の運転においては、これらのマップを用いて燃料噴射量fi(k)を求める上記(6)式で使用される燃料挙動パラメータP、Rが決定されるのであるが、本実施形態は、この燃料挙動パラメータP、Rの決定の仕方が従来と異なっている。すなわち、上述したようなマップを用いて燃料挙動パラメータP、Rを決定する場合、従来は、吸気弁が閉弁される時の吸気圧Pmfwdが上述の各センサからの検出値に基づいて推定され、このPmfwdに対応する燃料挙動パラメータP、Rが求められ、その燃料挙動パラメータP、Rが上記(6)式で使用されて燃料噴射量fi(k)が求められていた。しかしながら、上記のようにPmfwdに対応する値として求められた燃料挙動パラメータP、Rは、吸気弁が閉弁される時の運転状態(例えば、吸気圧がPmfwdの状態)で定常運転された場合に適切な値であるため、特に過渡運転状態の場合には、このようにして求めた燃料挙動パラメータP、Rを用いて求められる燃料噴射量fi(k)は不適切な値となる可能性が高い。
そこで、本実施形態では、過渡運転状態における燃料噴射量をより適切に決定するために、以下のようにして燃料噴射量fi(k)を求める上記(6)式で使用される燃料挙動パラメータP、Rを決定する。すなわち、本実施形態において上記マップを用いて燃料挙動パラメータP、Rを決定する場合には、先ず燃料噴射が開始される時の吸気圧Pminjと吸気弁が閉弁される時の吸気圧Pmfwdが上述の各センサからの検出値に基づいて推定され、次いで、これらの値から、上記マップで燃料挙動パラメータP、Rを求めるための仮想吸気圧Pmmapが求められる。仮想吸気圧Pmmapは以下の(7)式で求められる。
Pmmap=α・Pminj+(1−α)・Pmfwd …(7)
ここで、αは0以上1以下の値(0≦α≦1)である。また、αは一定値(例えば、0.5)としてもよいし、機関運転状態、例えば機関回転数等に応じて変化させてもよい。あるいは、αを加速中と減速中とで切替えるようにしてもよい。
上記(7)式を用いて仮想吸気圧Pmmapが求められると、次いでこのPmmapに対応する燃料挙動パラメータP、Rが上記マップから求められる。そして、その燃料挙動パラメータP、Rを用いて上記(6)式から燃料噴射量fi(k)が求められる。
以上のように、本実施形態では、燃料噴射開始時の吸気圧Pminjと吸気弁閉弁時の吸気圧Pmfwdとの間の仮想吸気圧Pmmapに対応する燃料挙動パラメータP、Rが求められ、その値を用いて燃料噴射量が求められる。このようにしているのは、燃料の挙動を考慮する必要があるのは燃料噴射開始時から吸気弁閉弁時までであり、この間に運転状態パラメータである吸気圧が変化する場合には、吸気弁閉弁時の吸気圧Pmfwdを用いるよりも燃料噴射開始時と吸気弁閉弁時との間の上記仮想吸気圧Pmmapを用いた方が、この間の燃料の挙動をより適切に表す燃料挙動パラメータP、Rを得ることができると考えられるからである。つまり、本実施形態のようにすることによって、より適切な燃料挙動パラメータP、Rを得ることができる。そしてその結果、従来に比べて過渡運転状態において、より適切に燃料噴射量を決定することができる。
換言すれば、本実施形態では燃料噴射開始時の吸気圧Pminjと吸気弁閉弁時の吸気圧Pmfwdとが考慮されて燃料噴射量が決定される。そして、このことは結果として、燃料噴射開始時から吸気弁閉弁時までの吸気圧の変化、すなわち機関運転状態の変化を加味して燃料噴射量を決定することになるので、本実施形態によれば、従来に比べて過渡運転状態における燃料噴射量をより適切に決定することができる。
なお、上記の燃料噴射が開始される時の吸気圧Pminjとして、上記(6)式を用いて燃料噴射量fi(k)を算出する時の吸気圧Pmcrtを用いるようにしてもよい。すなわち、燃料噴射量算出時から燃料噴射開始時までの吸気圧変化は小さいと仮定して、上記(7)式のPminjとして燃料噴射量算出時の吸気圧Pmcrtを用いる。このようにすると、例えば上記吸気圧Pmcrtが他の制御のために既に求められている場合や、吸気圧センサを有している場合等において制御負荷を軽減することができる。
図4は、吸気圧Pmの経時変化の一例を示した図であり、上述の各吸気圧Pmcrt、Pminj、Pmfwdの関係が示されている。図中、t1が燃料噴射量算出時、t2が燃料噴射開始時、t3が吸気弁閉弁時である。
なお、上述した実施形態においては、燃料噴射量の算出に用いる燃料挙動パラメータP、Rの値を求める場合に、上記(7)式を用いて仮想吸気圧Pmmapが求められ、このPmmapに対応する燃料挙動パラメータP、Rが上記マップから求められたが、他の実施形態においては、燃料噴射開始時と吸気弁閉弁時との間の所定時期における吸気圧Pmsが直接推定され、このPmsに対応する燃料挙動パラメータP、Rが上記マップから求められてもよい。また、更に他の実施形態では、上述の吸気圧Pminj、Pms、Pmfwdの夫々に適当な比率を乗算して足し合わせた値Pmr(Pmr=x・Pminj+y・Pms+z・Pmfwd;但し、x+y+z=1)を求め、このPmrに対応する燃料挙動パラメータP、Rが上記マップから求められてもよい。
また、以上の説明では、運転状態パラメータとして吸気圧Pmを用いた場合を説明したが、運転状態パラメータとして他の値、例えば吸入吸気量を用いてもよい。この場合には、上述した吸気圧Pmの場合と同様にして、吸入吸気量と上記燃料挙動パラメータP、Rとの関係を予め求めてマップにしておく必要がある。
次に、図5を参照しつつ本発明の別の実施形態について説明する。図5は、この実施形態についての図1と同様な概略構成図である。なお、本実施形態は、図1を参照しつつ先に説明した実施形態と共通する部分を多く有しており、これら共通する部分についての説明は原則として省略する。
図5に示された構成を図1に示された構成と比較すると、図5に示された内燃機関10においては、図1に示された内燃機関1と異なり、吸気弁2に作用角を変更するための作用角変更装置21が設けられている。つまり、本実施形態では作用角変更装置21を作動することにより、吸気弁2の作用角を制御することができる。なお、本実施形態においては作用角変更装置21によって吸気弁2の作用角が変更されると、それに伴って、吸気弁2のバルブリフト量も変更されるようになっている。より詳細には、本実施形態において、作用角とバルブリフト量は一対一の対応関係を有している。また、作用角変更装置21を有していることに伴って、本実施形態においては、吸気弁2の作用角を検出するための作用角センサ22が設けられている。更に、本実施形態ではスロットル弁13の開度がアクセルペダルの踏込み量とは無関係に変更することができるようになっている。
そして、このような構成を有することにより本実施形態では、内燃機関10の吸入空気量が、スロットル弁13と作用角変更装置21とをECU19により協調制御することによって制御されるようになっている。すなわち、スロットル弁13によって吸気圧が制御され、作用角変更装置21によって吸気弁2の作用角(及びバルブリフト量)が制御されるので、これらを協調制御することによって吸入空気量を制御することができるのである。
そして、このような吸入空気量制御が実施される本実施形態においても、図1を参照しつつ先に説明した実施形態と同様な考え方を適用して燃料挙動モデルに基づいて燃料噴射量を決定することにより、従来に比べて過渡運転状態において、より適切に燃料噴射量を決定することができる。
すなわち、本実施形態においても上述の(6)式を用いて燃料噴射量が算出される。ここで、要求燃料量fc(k)については、先に説明した実施形態と同様、先ず今回の吸気行程において燃焼室5内に吸入される空気量を推定し、次いでその推定された空気量との関係で目標空燃比を実現する燃料量を算出することで求めることができる。なおこの時、上記空気量の推定は、吸気弁閉弁時における推定スロットル開度及び作用角に基づいて行われてもよい。
また、上記(6)式で使用される燃料挙動パラメータP、Rについても、先に説明した実施形態の場合と同様、上記内燃機関を定常運転した場合における機関運転状態と上記燃料挙動パラメータP、Rとの関係が予め求められてECU19に記憶されており、実際の運転においては、その予め求められた関係に基づいて上記燃料挙動パラメータP、Rを決定するようになっている。
但し、ここで本実施形態の場合には、スロットル弁13と作用角変更装置21との協調制御によって吸入空気量が制御されているため、運転状態パラメータとして例えば吸気圧Pmと吸気弁2の作用角Saとの二つを用いる必要がある。
これまでの説明から明らかであると思われるので、詳細な説明は省略するが、この場合燃料挙動パラメータP、Rを求めるためのマップは次のようにして作成される。すなわち、先ず吸気圧Pmと作用角Saとを一定に維持した定常運転状態にて機関を運転し、その際、上記(4)式及び上記(6)式により燃料噴射量を決定するようにする。この時の燃料挙動パラメータP、Rの初期値としては、それぞれ0以上1以下のある値を用いる。次に、上記のように決定された燃料噴射量の燃料を噴射した場合の空燃比を実測して、実測した空燃比と目標空燃比とが一致するように燃料挙動パラメータP、Rを変更していく。そして、実測した空燃比と目標空燃比とが一致した時、燃料挙動パラメータP、Rとその時の吸気圧Pm及び作用角Saとの関係を求め、その関係をECU19に記憶させておく。そしてこの作業を吸気圧Pm及び作用角Saを変化させて行なうことによって、吸気圧Pm及び作用角Saから燃料挙動パラメータP、Rを求めるマップを作成することができる。
そして、実際の運転においては、これらのマップを用いて燃料噴射量fi(k)を求める上記(6)式で使用される燃料挙動パラメータP、Rが決定されるのであるが、本実施形態では、図1を参照しつつ先に説明した実施形態と同様、過渡運転状態における燃料噴射量をより適切に決定するために、以下のようにして燃料噴射量fi(k)を求める上記(6)式で使用される燃料挙動パラメータP、Rを決定する。
すなわち、本実施形態において上記マップを用いて燃料挙動パラメータP、Rを決定する場合には、先ず燃料噴射が開始される時の吸気圧Pminj及び作用角Sainjと吸気弁が閉弁される時の吸気圧Pmfwd及び作用角Safwdが推定され、次いで、これらの値から、上記マップで燃料挙動パラメータP、Rを求めるための仮想吸気圧Pmmap及び仮想作用角Samapが求められる。ここで仮想吸気圧Pmmap及び仮想作用角Samapは、夫々以下の(8)式及び(9)式で求められる。
Pmmap=α・Pminj+(1−α)・Pmfwd …(8)
Samap=β・Sainj+(1−β)・Safwd …(9)
ここで、α及びβは0以上1以下の値(0≦α≦1,0≦β≦1)である。また、α及びβは一定値(例えば、0.5)としてもよいし、機関運転状態、例えば機関回転数や作用角等に応じて変化させてもよい。あるいは、α及びβを加速中と減速中とで切替えるようにしてもよい。
上記(8)式及び(9)式を用いて仮想吸気圧Pmmap及び仮想作用角Samapが求められると、次いでこのPmmap及びSamapに対応する燃料挙動パラメータP、Rが上記マップから求められる。そして、その燃料挙動パラメータP、Rを用いて上記(6)式から燃料噴射量fi(k)を求めることができる。
そして、図1を参照しつつ先に説明した実施形態の場合と同様に、上述したようにして燃料噴射量を求める本実施形態によれば、従来に比べて、過渡運転状態においてより適切に燃料噴射量を決定することができる。
なお、以上では、吸気弁の作用角及びバルブリフト量が変更され得る場合について説明されたが、他の場合においても上述したのと同様の考え方を適用して、従来に比べてより適切な燃料噴射量を求めることが可能である。すなわち、本発明は、吸気弁及び排気弁の一方または両方について、作用角、バルブリフト量、バルブ開閉タイミングの一つもしくは複数が変更され得る場合についても適用することができ、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
図1は本発明の内燃機関の燃料噴射量制御装置の一実施形態を説明するための概略構成図である。 図2は燃料挙動モデルを説明するための図である。 図3(a)及び図3(b)は、夫々、吸気圧Pmから燃料挙動パラメータP(燃料残留率)を求めるためのマップ及び吸気圧Pmから燃料挙動パラメータR(燃料付着率)を求めるためのマップの例である。 図4は、吸気圧Pmの経時変化の一例を示した図であり、燃料噴射量算出時の吸気圧Pmcrt、燃料噴射開始時の吸気圧Pminj、吸気弁閉弁時の吸気圧Pmfwdの関係を示した図である。 図5は、本発明の内燃機関の燃料噴射量制御装置の別の実施形態を説明するための概略構成図である。
符号の説明
1、10…内燃機関本体
2…吸気弁
3…排気弁
4…シリンダ(気筒)
5…燃焼室
6…点火栓
7…下流側吸気管
8…燃料噴射弁
11…上流側吸気管
12…排気管
13…スロットル弁
14…スロットル弁開度センサ
15…エアフローメータ
16…回転数センサ
19…電子制御装置(ECU)

Claims (4)

  1. 内燃機関の吸気通路に噴射された燃料の挙動を機関運転状態により決定される燃料挙動パラメータを用いて表す燃料挙動モデルに基づいて、燃焼室内における混合気の空燃比を目標空燃比と一致させるのに必要な燃料噴射量を決定する燃料噴射量制御装置であって、
    予め求めた上記内燃機関を定常運転した場合における機関運転状態と上記燃料挙動パラメータとの関係を用い、機関運転状態から上記燃料挙動パラメータを決定する燃料挙動パラメータ決定手段を有していて、
    上記燃料噴射量の決定には、燃料噴射が開始される時及び吸気弁が閉弁される時の夫々について推定された機関運転状態の間の機関運転状態に対して上記燃料挙動パラメータ決定手段によって決定された燃料挙動パラメータが用いられることを特徴とする、燃料噴射量制御装置。
  2. 上記燃料噴射が開始される時の推定機関運転状態として、上記燃料噴射量を決定する時の機関運転状態が用いられることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射量制御装置。
  3. 上記機関運転状態を表すために運転状態パラメータが用いられ、該運転状態パラメータとして吸気圧が用いられることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料噴射量制御装置。
  4. 上記運転状態パラメータとして更に、吸気弁の作用角が用いられることを特徴とする請求項3に記載の燃料噴射量制御装置。
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