JP4218054B1 - 工作機械の制御装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】工作機械を省エネ制御するための制御装置20は、停止時に基準点移動手段23によって主軸をX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に予め設定された有効範囲内の基準点位置として原点に保持し、主軸をX軸またはZ軸方向でワークと干渉しない位置に保持させる。タイマ24で省エネモード開始のための設定時間を計測した後に、Y軸駆動源停止手段21yでY軸サーボモータMyへの通電を遮断すると共にブレーキ装置13を作動させる。位置監視手段25によって主軸のY軸方向の位置ズレ量を検知し、検知した主軸の基準点位置からの位置ズレ量が有効範囲内か否かを判別手段31で判別する。主軸の位置ズレ量が有効範囲を外れた場合に解除手段32で省エネモードを解除する。
【選択図】図3
Description
このとき、X軸とZ軸の駆動用サーボモータは停止させることができる。しかし、垂直軸であるY軸方向においては、主軸を原点位置または待機位置に保持するために、重力に逆らって自身の位置を維持する必要がある。Y軸駆動用モータには常に電流が流れて駆動状態に保持される。そのため、Y軸駆動用モータは発熱し、その熱が工作機械本体に伝達されるため、工作機械の精度が低下し、ワークの加工精度が劣化する原因になっていた。
例えば、特許文献1に記載された発明では、パンチプレス機を制御する制御装置が自動運転中か否かを判断して、自動運転でないときに油圧シリンダに圧油を供給する油圧駆動手段としてのプレスモータを駆動停止させるようにしている。これによって自動運転中以外でプレスモータなどによる騒音の低減や省エネを達成できるとしている。
また、特許文献2に記載されたサーボ機構の制御装置では、停止時に被制御対象を所定位置に移動させる可動部位に設けたサーボモータへの給電を停止させて可動部位のブレーキ装置を作動させて可動部位を所定位置に停止させる。サーボモータへの給電が停止されると可動部位における実際の移動量を位置検出センサで検出して入力し、可動部位の実際の移動量が予め設定した許容範囲を外れた場合に異常信号を出力するようにしている。
また、特許文献2に記載されたサーボ機構の制御装置では、これを工作機械に適用した場合、サーボモータへの給電が停止された際に可動部位が移動すると主軸の移動によって主軸に保持された工具とテーブルに固定されたワークとが干渉するおそれがあるという不具合があった。
本発明によれば、工作機械の停止時に主軸の駆動源も停止させ、これに応じて主軸を有効範囲内の基準点位置に相対移動させて保持し、基準点位置で主軸はワークに対してX軸方向及びZ軸方向の少なくとも一方向においてワークと干渉しない位置にずれて配設させられ、その後、Y軸駆動源停止手段によってY軸駆動源の通電を遮断してブレーキ装置の制動を働かせて、主軸のY軸方向の位置ズレ量を位置監視手段で検知して位置ズレ量が有効範囲内に含まれるか否かを判別し、有効範囲に含まれる場合は通電停止状態を維持して省エネモードに維持し、有効範囲を外れる場合には主軸の基準点位置からY軸方向への位置ズレが大きいとして省エネモードを解除してY軸駆動源に通電して再稼働する。しかも、省エネモード状態で、主軸がY軸方向に降下したとしても主軸の位置がX軸または/及びZ軸方向にずれているからワークと干渉するおそれがない。
Y軸駆動源の給電停止とブレーキ装置による制動を開始してタイマで計測した所定時間経過後に、主軸のY軸方向の位置ズレ量を位置監視手段で検知して位置ズレ量が有効範囲内に含まれるか否かを判別することで、ブレーキ装置の劣化や主軸及び工具の重量による降下等による主軸のY軸方向の位置ズレ量を検出できる。ここで、Y軸駆動源がギヤに連結されている場合にはギヤとのバックラッシュ異常も検知できる。
工作機械の無人運転や夜間運転等に適用できる。また、手動制御状態では、主軸を動かす場合等があるために省エネモードに自動的に移行することは好ましくない。
Y軸駆動源への給電停止時にブレーキ装置の制動を開始すると、Y軸方向の位置ズレが発生するが、この位置ズレ量を省エネモード開始時の主軸の位置ずれ量との差分として検出して、設定された許容誤差を超えるか否かによってブレーキ装置の異常を検知できる。
これによって3軸の駆動源について同時に給電停止を制御できる。
本発明によれば、省エネモード状態で、主軸がY軸方向に降下したとしても主軸の位置がX軸または/及びZ軸方向にずれているからワークと干渉するおそれがない。
なお、基準点位置はX軸、Y軸、Z軸方向における原点位置であることが好ましい。
図1及び図2に示す工作機械1はマシニングセンタであり、ベース2の一端部に門形のコラム3が立設され、ベース2上のコラム3に対向する位置には保持部4が設けられている。ここで、工作機械1において垂直軸をY軸とし、Y軸に直交する水平面内において横方向をX軸、X軸に直交する縦方向をZ軸とする。
コラム3にはY軸方向に直交する方向に一対のX軸ガイドレール6a、6bが平行に配設され、X軸ガイドレール6a,6bに沿って左右方向(X軸方向)に移動可能にサドル7が配設されている。また、サドル7にはY軸方向に1対のY軸ガイドレール8a、8bが配設され、Y軸ガイドレール8a、8bに沿って上下方向(Y軸方向)に昇降可能な主軸頭9が設けられている。主軸頭9には図示しない工具を保持する主軸10がZ軸方向に突出している。
また、サドル7にはX軸ガイドレール6a,6bと平行にボールネジ14が設けられ、ボールネジ14の一端部にはX軸駆動源としてX軸サーボモータMxが連結されている。ボールネジ14はサドル7に螺合状態に保持され、X軸サーボモータMxの正逆回転駆動によってサドル7を主軸10と一体にX軸方向に移動可能としている。
なお、加工位置にあるパレット18aはボールネジ19を介してZ軸駆動源としてZ軸サーボモータMzに連結されており、Z軸サーボモータMzを正逆回転させることで、テーブル18をZ軸ガイドレール16a、16bに沿ってZ軸方向に前後動可能としている。
X軸サーボモータMxとZ軸サーボモータMzは軸が重力の影響を受けないためにブレーキ装置は設けられていないが、図3で一点鎖線で示すようにブレーキ装置27、29が取り付けられていてもよい。
制御手段22における上述した主軸モータ、B軸モータと共にY軸サーボモータMy、X軸サーボモータMx、Z軸サーボモータMzがOFFとされて工作機械1の駆動停止となったタイミングを検出した信号に基づいて、基準点移動手段23では、主軸10を省エネ制御のための図7に示す基準点位置Sに移動させるよう各モータMy,Mx,Mzを駆動する。
なお、X−Y軸の面内におけるY軸方向の原点Oは図7に示すX−Y軸座標面において、X軸とY軸の交差点である。図1に示す工作機械1のコラム3上では、原点OはY軸ガイドレール8a、8bのX軸ガイドレール6aに近接する位置、例えばX軸ガイドレール6aから下方側1mm程度の位置に設定する。
この有効範囲Lは、上述したモータ重量やブレーキ装置13の適正な制動力等に基づいて経験的に設定される。なお、Y軸サーボモータMyがギヤを介してボールネジ12に連結されている場合には適正なバックラッシュの距離も含むものとする。図7では、有効範囲LをX−Y軸座標面内で示している。主軸10は、図7に示すように、基準点移動手段23によって有効範囲L内における所定の基準点位置S、例えば原点Oに移動させられる。
但し、t=0分で省エネモードを開始させると、Y軸サーボモータMyにブレーキ装置13をかけると共に各モータへの給電を遮断することになるため、短時間で駆動を再開する場合には各モータのスタート制御のために駆動開始が若干遅れてしまい好ましくない。少なくとも所定時間tを数分程度以上経過した時間として省エネモードをスタートすることが好ましい。
タイマ24には所定時間tの経過後または適宜段階でY軸サーボモータMyへの給電停止とブレーキ装置13の作動信号を出力するY軸駆動源停止手段21y、各モータMx、Mzへの給電停止の作動信号を個々に出力するX軸駆動源停止手段21x、Z軸駆動源停止手段21zがそれぞれ設けられている。なお、X軸サーボモータMxとZ軸サーボモータMzにブレーキ装置27,29をそれぞれ設けた場合には各ブレーキ装置の作動信号も同時に出力する。
また、Y軸サーボモータMyには、主軸10のY軸方向位置を検知するための位置監視手段25が設けられており、Y軸サーボモータMyの停止、駆動に関わらず、常時、主軸10のY軸方向位置を検出して制御手段22にフィードバックしている。
同様にX軸サーボモータMxにも位置監視手段28が設置され、Z軸サーボモータMzにも位置監視手段30が設置されている。
判別手段31は、位置監視手段25,28,30で検出した主軸10の各軸方向における位置を有効範囲L内か否かを判別する。この判別手段31では、省エネモード制御状態において、Y軸方向の省エネモード開始時とY軸サーボモータMyへの給電遮断時とで位置監視手段25によって検知した主軸10の降下位置を比較判別することも行われる(図7参照)。なお、基準点位置SからのY軸方向のズレ量をDとする。
解除手段32は、判別手段31による判別によって省エネモードを解除する。自動制御確認手段33は、工作機械の自動制御モードと手動制御モードを判別する。
また、制御手段22からの信号による異常表示を行う異常表示手段34が設けられている。異常表示手段34は、Y軸方向の省エネモード開始時とY軸サーボモータMyへの給電遮断及びブレーキ装置13作動時との主軸10のY軸方向のズレ量Dが予め設定した許容範囲を外れた場合に、ブレーキ装置13の異常表示を行うものである。
先ず、工作機械1によるワークの切削加工が終了すると動作停止させる。制御手段22で各モータの駆動停止を検知すると、基準点移動手段23によって主軸10をX軸、Z軸、Y軸方向について有効範囲L内の予め設定した基準点S、例えば原点Oに移動させる(図5参照;ステップ99)。この時点で、主軸モータ、B軸モータ、X軸サーボモータMx、Z軸サーボモータMz及びY軸サーボモータMyが停止する。
しかし、少なくともY軸サーボモータMyについては、重力に逆らって主軸10にY軸方向の停止位置である基準点位置Sを維持させるために通電状態を保持する。X軸サーボモータMx、Z軸サーボモータMzは通電を遮断しても主軸10が移動することはないので、ここで通電を遮断する。或いは通電状態に保持していもよい。
次に制御手段22で工作機械1の制御モードが自動制御モードか手動制御モードかを判別し、手動制御モードの場合には省エネモードに入らない(ステップ103)。手動制御モードの場合、手動パルス発生器によるワークの送りやワークの早送り、原点復帰等の動作をオペレータが操作することが想定されるためである。
そして、主軸10についてX軸、Y軸、Z軸方向位置が有効範囲L内にあることを判別手段31で確認する。いずれかの軸方向で有効範囲Lを外れた場合には省エネモードを終了する(ステップ104)。
Y軸サーボモータMyの省エネモード開始と同時に主軸10のY軸方向の座標値(第一座標値とする)を位置監視手段25で検知して記憶する(ステップ108)。そして、Y軸サーボモータMyの給電停止した直後における主軸10のY軸方向の座標値(第二座標値とする)を位置監視手段25で検知して記憶する(ステップ109)。
次に、制御手段22で第一座標値と第二座標値の差異を、主軸10のY軸方向のズレ量Dとして算出し(ステップ110)、ズレ量Dが予め設定した許容範囲内か否かを判別手段31で判別する(ステップ111)。ズレ量Dがブレーキ装置13による通常のズレ量としての許容範囲を越える場合には、ブレーキ装置13の異常と判断して異常表示手段34で異常表示する(ステップ112)。
そして、省エネモードを終了して(ステップ120)、主軸10についてのクーラを再稼働させ潤滑剤の供給を再開する。
また、ステップ112において、基準点位置Sにおける主軸10と省エネモード開始によるブレーキ装置13の異常に起因する主軸10の降下位置とのズレ量Dが許容範囲を外れた場合に異常表示するようにした。この場合、工作機械1を停止させてY軸サーボモータMyのブレーキ装置13のメンテナンスを行ってもよい。或いは、異常表示で警告するだけに留めて省エネモードを継続し、主軸10が有効範囲Lを外れた時点でメンテナンス作業を行ってもよい。
更に、省エネモードに際し、主軸10の有効範囲L内での基準点位置Sへの設定時にX軸方向とZ軸方向の少なくとも一方向において主軸10をワークからずれた位置に設定するから、Y軸サーボモータMyへの通電遮断とブレーキ装置13による制動状態から主軸10及び工具及び主軸頭9の自重、ブレーキ装置13の劣化等に起因する主軸10のY軸方向の降下が発生しても、主軸10や工具とワークとの干渉を防止できる。
更に、省エネモード開始時とY軸サーボモータMyの給電停止及びブレーキ装置13の作動直後との主軸10のY軸方向ズレ量Dを算出することで、ブレーキ装置13の劣化の程度を検出できる。なお、Y軸サーボモータMyとボールネジ12との間にギヤを介在させた場合には、ギヤのバックラッシュによる異常をも検知できる。
例えば、上述の実施形態による省エネモード制御方法では、省エネモード開始時の主軸10の第一座標値とY軸サーボモータMyの通電遮断及びブレーキ装置13の作動直後の主軸10の第二座標値との差分によるズレ量Dを算出することで、ブレーキ装置13の劣化(やバックラッシュ異常)を検出できるようにしたが、この点のズレ量検出制御を省略してもよい。また、タイマ24を省略して主軸10を基準点位置Sに位置させた直後からズレ量Dを位置監視手段25で検出するようにしてもよい。
この場合、省エネモード制御段階では、主軸10は水平面内の2軸であるX軸方向とZ軸方向には重力の影響がなく移動しないため、Y軸サーボモータMyのY軸方向(垂直軸方向)への降下量だけを検知することで、上述した実施形態の作用効果を発揮できる。
10 主軸
18 テーブル
13、27,29 ブレーキ装置
18 テーブル
20 制御装置
21y Y軸駆動源停止手段
22 制御手段
23 基準点移動手段
24 タイマ
25、28,30 位置監視手段
34 異常表示手段
My Y軸サーボモータ
Mx X軸サーボモータ
Mz Z軸サーボモータ
L 有効範囲
S 主軸の基準点
O 原点
Claims (9)
- 工具を把持する主軸をワークに対して互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に相対移動させてワークを加工すると共に、前記主軸の駆動源への通電を遮断することで省エネ制御する工作機械の制御装置において、
前記工作機械の停止時に、前記主軸をX軸、Y軸、Z軸の3軸方向において予め設定された有効範囲内の基準点位置に保持し且つ該基準点位置における前記主軸はX軸及びZ軸方向の少なくとも一方向においてワークと干渉しない位置にある基準点移動手段と、
前記主軸を基準点位置に移動させた段階で、前記主軸を垂直軸方向であるY軸方向に移動制御するY軸駆動源への通電を遮断すると共にブレーキ装置を作動させるY軸駆動源停止手段と、
前記Y軸駆動源への通電を遮断すると共にブレーキ装置を作動させた状態で前記主軸のY軸方向の位置ズレ量を検知する位置監視手段と、
検知した前記主軸の位置ズレ量が前記有効範囲内か否かを判別する判別手段と、
前記主軸の位置ズレ量が有効範囲を外れた場合に省エネモードを解除する解除手段とを備えていることを特徴とする工作機械の制御装置。 - 前記Y軸駆動源の停止後に予め設定された所定時間が経過したことを計測するタイマを更に備えていて、
前記判別手段では前記所定時間経過後に前記主軸の位置ズレ量が有効範囲内か否かを判別するようにした請求項1に記載の工作機械の制御装置。 - 前記工作機械が自動制御状態であることを確認する自動制御確認手段が配設され、自動制御モードであることを確認して前記Y軸駆動源停止手段を作動させるようにした請求項1または2に記載された工作機械の制御装置。
- 前記位置監視手段では、Y軸駆動源の省エネモード開始時の前記主軸の位置ずれ量と、前記駆動源停止手段によって前記Y軸駆動源への通電を遮断すると共にブレーキ装置を作動させた段階での前記主軸の位置ズレ量との差分を算出し、
該差分が前記有効範囲より小さい予め設定した許容範囲を越える場合に異常を表示する異常表示手段を設けた請求項1乃至3のいずれかに記載された工作機械の制御装置。 - 前記主軸を基準点位置に移動させた段階で、前記主軸をX軸方向に移動制御するX軸駆動源への通電を遮断するX軸駆動源停止手段と、Z軸方向に移動制御するZ軸駆動源への通電を遮断するZ軸駆動源停止手段とを、備えている請求項1乃至4のいずれかに記載された工作機械の制御装置。
- 前記基準点位置はX軸、Y軸、Z軸方向の原点である請求項1乃至5のいずれかに記載の工作機械の制御装置。
- 工具を把持する主軸をワークに対して互いに直交するX軸、Y軸、Z軸の3軸方向に相対移動させてワークを加工すると共に、前記主軸の駆動源への通電を遮断することで省エネ制御する工作機械の制御方法において、
前記工作機械の停止時に、前記主軸をX軸、Y軸、Z軸の3軸方向において予め設定された有効範囲内の基準点位置に保持し且つ該基準点位置における前記主軸はX軸及びZ軸方向の少なくとも一方向においてワークと干渉しない位置にある工程と、
前記主軸を基準点位置に移動させた段階で、前記主軸を垂直軸方向であるY軸方向に移動制御するY軸駆動源への通電を遮断すると共にブレーキ装置を作動させる工程と、
前記Y軸駆動源への通電を遮断すると共にブレーキ装置を作動させた状態で前記主軸のY軸方向の位置ズレ量を検知する工程と、
検知した前記主軸の位置ズレ量が前記有効範囲内か否かを判別し、前記主軸の位置ズレ量が有効範囲を外れた場合に省エネモードを解除するようにしたことを特徴とする工作機械の制御方法。 - 前記Y軸駆動源の停止後に予め設定された所定時間が経過したことを計測する工程と、
前記所定時間経過後に前記主軸の位置ズレ量が有効範囲内か否かを判別するようにした請求項7に記載の工作機械の制御方法。 - 前記基準点位置はX軸、Y軸、Z軸方向の原点位置である請求項7または8に記載の工作機械の制御方法。
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