JP4217932B2 - 光情報記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光情報記録媒体に関し、例えば情報記録層を積層した光ディスクに適用することができる。本発明は、エンハンス膜、結晶化促進膜を配置してなる相変化材料による情報記録層を積層し、最も支持基板側の情報記録層にのみ反射膜を形成すると共に、各情報記録層を構成する膜材料を選定することにより、書き換え可能であって、かつ高密度記録することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクにおいては、情報記録層を積層して高密度記録できるようになされたものが発売されている。このような光ディスクは、再生専用の光ディスクの技術に基づいて情報記録面を積層した再生専用のものと、相変化型光ディスクの技術に基づいて情報記録面を積層した記録再生可能なものとが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところがこのような情報記録面を積層した記録再生可能な光ディスクにおいては、ビームスポット径を小型化して線速度を増大すると、正しくデータを記録することが困難な問題があり、これにより、結局、情報記録面を2層により積層しても、10〔GB〕以上の記憶容量を確保することが困難であった。
【0004】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、書き換え可能であって、かつ高密度記録することができる情報記録媒体を提案しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1に係る発明においては、凹凸パターンによる案内溝が形成された厚さ0.3〜1.2〔mm〕の支持基板上に、透明の中間層を間に挟んで複数の情報記録層が積層され、厚さ10〜177〔μm〕の光透過層が積層されてなる光情報記録媒体に適用して、前記情報記録層は、InSe、SbSe、SbTe二元合金、InSbSe、GeSbTe、InSbTe三元合金、GeSbTeSe、AgInSbTe四元合金、AgInSbSeTe五元合金、これらの何れかの合金の窒化物又は酸化物の少なくとも1種類を含む相変化材料による相変化材料膜を有し、少なくとも前記相変化材料膜の前記支持基板側又は前記支持基板側とは逆側に、前記相変化材料膜と接して設けられ、Si、SiC、Ge、GeC、Sn、SnC、Al、AlC、Ga、GaC、In、InC、これら何れかの窒化物又は酸化物の少なくとも1種類を含む材料であって、前記相変化材料膜の濡れ性を悪化させる材料により形成された前記相変化材料膜の溶融、結晶化を促進する結晶化促進膜、ZnS、ZnS−SiO 2 、SiO 2 、MgF 2 の少なくとも1種類を含む材料により形成された前記相変化材料膜における結晶化された領域と非晶質の領域との反射率差を拡大するエンハンス膜が形成され、最も支持基板側の前記情報記録層は、前記支持基板側の最も外側に反射膜が割り当てられ、前記支持基板側とは逆側の最も外側に、Au、AuCo合金、SiAg合金、SiO x 、ZnS−SiO x 、Au−SiO 2 混合物、Au−ZnS−SiO 2 混合物の少なくとも1種類を含む材料により形成された前記相変化材料膜の透過光を多重反射すると共に、前記相変化材料膜における結晶化された領域と非晶質の領域との反射率差を拡大する半透明エンハンス膜が割り当てられ
【0009】
請求項1に係る構成によれば、相変化材料による情報記録層は、少なくとも相変化材料膜の支持基板側又は支持基板側とは逆側に、結晶化促進膜、エンハンス膜が形成されていることにより、この結晶化促進膜により非晶質の部分の結晶化を促進し、またエンハンス膜により戻り光の光量差を確保することができる。このとき、最も支持基板側の情報記録層は、支持基板側の最も外側に反射膜が割り当てられ、支持基板側とは逆側の最も外側に半透明エンハンス膜が割り当てられていることにより、最も入射光量の少ない支持基板側の情報記録層において、透過光を多重反射して有効に利用することができ、その分感度を向上することができ、これにより情報記録層を多層化した場合でも、上層側情報記録層に記録した情報の劣化等を有効に回避して光量が低下する下層側を確実にアクセスすることができる。このとき結晶化促進膜を、Si、SiC、Ge、GeC、Sn、SnC、Al、AlC、Ga、GaC、In、InC、これら何れかの窒化物又は酸化物の少なくとも1種類を含む材料により形成することにより、ビームスポット径を小型化して線速度を増大した場合でも、非晶質化した相変化材料を容易に溶融して結晶化させることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態に係る光ディスクを示す断面図である。この光ディスク1は、高い転送レートにより所望の情報を高密度記録し、また記録した情報を再生する場合に適用される。光ディスク1は、中間層5を間に挟んだ複数の情報記録層3及び4を支持基板2上に積層した後、光透過層6が形成される。光ディスク1は、この光透過層6側より各情報記録層3及び4に選択的に所定光量のレーザービームを集光することにより、各情報記録層3及び4に所望のデータを記録できるようになされている。
【0015】
ここで支持基板2は、レーザービームLの案内溝を構成する凹凸パターンが情報記録層3側に形成され、例えばポリカーボネート、ポリオレフィン等のプラスチック基板、ガラス基板、又はAl、ステンレス等の金属基板が適用される。支持基板2は、プラスチック基板による場合には射出成形により、ガラス基板又は金属基板による場合には、フォトポリマー法(2P法)により凹凸パターンが形成される。また支持基板は、厚さ0.3〔mm〕〜1.2〔mm〕により作成され、これにより光ディスク1全体の厚さが現在市場にて流通している光ディスクの厚さより厚くならないようになされる。
【0016】
情報記録層3は、相変化材料膜を有する情報記録層であり、情報記録層4の透過光によっても、所望のデータを確実に記録できるように、高感度に形成される。より具体的に、情報記録層3は、支持基板2側より、順次反射膜3A、第2エンハンス膜3B、第2結晶化促進膜3C、相変化材料膜3D、第1結晶化促進膜3E、第1エンハンス膜3F、半透明エンハンス膜3Gを積層して形成される。
【0017】
ここで反射膜3Aは、Al合金、BiSb合金、Ag合金等を用いて作成され、相変化材料膜3Dを透過するレーザービームLを反射して相変化材料膜3Dに再入射させることにより、レーザービームLの利用効率を増大し、情報記録層3の感度を向上する。これにより反射膜3Aは、ビームスポット径を小型化して線速度を増大した場合であっても、上層側の情報記録層4を透過して光量が低下してなるレーザービームによって相変化材料膜3Dを確実に溶融できるようにする。
【0018】
第2エンハンス膜3B及び第1エンハンス膜3Fは、ZnS、ZnS−SiO2 、SiO2 、MgF2 の少なくとも1種類を含む材料により形成され、各材料の光学特性に応じた膜厚の選定により、相変化材料膜3Dにおける結晶化された領域と、非晶質の領域との反射率差を拡大する。これにより第2エンハンス膜3B及び第1エンハンス膜3Fは、ビームスポット径を小型化して線速度を増大した場合であっても、確実に相変化材料膜3Dの結晶化された領域と、非晶質の領域とを識別できるようにする。なお第2エンハンス膜3B及び又は第1エンハンス膜3Fは、相変化材料膜3Dを構成する相変化材料、光学系の構成等によって実用上十分に相変化材料膜3Dにおける結晶化された領域と、非晶質の領域とで反射率の差を確保できる場合、省略される場合もある。
【0019】
第2結晶化促進膜3C及び第1結晶化促進膜3Eは、相変化材料膜3Dに対して濡れ性の悪い材料により作成され、相変化材料が非晶質により固化する場合には高エネルギー状態により固化するようにし、これにより緩和現象である相変化材料膜3Dの溶融、結晶化を促進する。具体的に、第2結晶化促進膜3Cは、Si、SiC、Ge、GeC、Sn、SnC、Al、AlC、Ga、GaC、In、InC、これら何れかの窒化物又は酸化物の少なくとも1種類を含む材料を用いて、各材料の光学特性に応じた膜厚により作成される。これにより第2結晶化促進膜3C及び第1結晶化促進膜3Eは、ビームスポット径を小型化して線速度を増大した場合であっても、相変化材料膜3Dの非晶質化した領域を簡易に結晶化できるようする。なお第2結晶化促進膜3C及び又は第1結晶化促進膜3Eは、レーザービームLの線速度が遅い場合には、結晶化に十分な時間を確保できることにより、省略される場合もある。
【0020】
相変化材料膜3Dは、InSe、SbSe、SbTe二元合金、InSbSe、GeSbTe、InSbTe三元合金、GeSbTeSe、AgInSbTe四元合金、AgInSbSeTe五元合金、これらの何れかの合金の窒化物又は酸化物の少なくとも1種類を含む相変化材料が適用される。相変化材料膜3Dは、スパッタリング等により作成され、スパッタリングにより作成された場合には、一般に、作成直後、一様なレーザービームの照射により全体が結晶化され、いわゆる初期化の処理が実行される。
【0021】
半透明エンハンス膜3Gは、相変化材料膜3Dを透過するレーザービームを多重反射させることにより、情報記録層3の感度を増大し、さらには光透過層6側より見て相変化材料膜3Dにおける結晶化された領域と非晶質の領域との反射率を逆転させる。すなわち一般に、結晶化された領域と非晶質の領域とでは結晶化された領域の方が反射率、熱伝導率が高い。さらに結晶化された領域は融解の際に潜熱が必要となり、これらにより結晶化された領域と非晶質の領域とでは、結晶化された領域の方が溶融が困難で、これによりダイレクトオーバーライトする場合には消し残りが発生する。なおこの消し残りは、再生時、再生信号の波形歪みにより観察される。これにより半透明エンハンス膜3Gは、結晶化された領域と非晶質の領域との反射率を逆転させて結晶化された領域に多くのレーザービームが照射されるようにし、オーバーライトによる消し残りを防止する。半透明エンハンス膜3Gは、Au、AuCo合金、SiAg合金、SiOx 、ZnS−SiOx 、Au−SiO2 混合物、Au−ZnS−SiO2 混合物の少なくとも1種類を含む材料を用いて作成される。但しx≦2である。
【0022】
中間層5は、厚さ30〔μm〕程度の透明材料層であり、アクリル酸系UVレジン、ポリカーボネイトシート、ポリオレフィンシート等を用いて作成される。中間層5は、何れかの情報記録層3又は4にレーザービームLを集光した場合に、他方の情報記録層4又は3においてはこのレーザービームが実用上十分にデフォーカスするように設定され、これによりこの他方の情報記録層4又は3における温度上昇が所定値を越えないようにする。このため中間層5は、その厚さがレーザービームLを集光する対物レンズLの開口数NAにより制限される。ここでレンズLの開口数NAを増大するとビームスポット径が小型化することにより、このビームスポット径の小形化により従来の2層構造による光ディスクでは記録することが困難な程度であって、さらに12インチ径の光ディスクで15〔GB〕程度の記録容量を確保しようとすると、開口数NAにあっては、0.9〜0.8程度は必要となる。これにより中間層5においては、この範囲の開口数NAより必要とされる十分な厚さを確保できるように、厚さ30〔μm〕程度に設定されるようになされている。
【0023】
中間層5は、さらに支持基板2と同様に、レーザービームLの案内溝を構成する凹凸パターンが情報記録層4側に形成される。
【0024】
情報記録層4は、情報記録層3と同様に相変化材料膜を有する情報記録層であり、情報記録層3に比して感度が低くなるように形成される。すなわち情報記録層4は、反射層、半透明エンハンス層が省略されている点を除いて、支持基板側の情報記録層3と同一に構成される。これにより情報記録層4は、支持基板2側より、順次第2エンハンス膜4B、第2結晶化促進膜4C、相変化材料膜4D、第1結晶化促進膜4E、第1エンハンス膜4Fを積層して形成される。またこれら第2エンハンス膜4B、第2結晶化促進膜4C、相変化材料膜4D、第1結晶化促進膜4E、第1エンハンス膜4Fは、第1の情報記録層3の対応する膜と同様に構成される。これにより情報記録層4は、情報記録層3と同様に、ビームスポット径を小型化して線速度を増大した場合であっても、確実に所望の情報を記録し、また記録した情報を再生できるようになされている。
【0025】
光透過層6は、情報記録層4の保護層を構成し、アクリル酸系UVレジン、ポリカーボネイトシート、ポリオレフィンシート等を用いて作成される。ここでこの光透過層6は、開口数NAが0.9〜0.8程度の対物レンズによりレーザービームLを照射して、十分にスキュー歪みを低減できるように、厚さ10〜177〔μm〕により作成される。
【0026】
なお情報記録層3及び4は、ビームスポット径を小型化して線速度を増大した場合に、確実に所望の情報を記録再生するとの観点からは、図1に示す多層膜構造によるものが好適ではあるが、レーザービームLの線速度が遅い場合にあっては、上述したように適宜、結晶化促進膜3C、3E、4C、4E、エンハンス膜3B、3F、4B、4Fを省略することができる。しかしながらこのように情報記録層3及び4の構成を簡略化する場合でも、支持基板2側の情報記録層3にあっては、好ましくは支持基板2側より、順次、反射膜、エンハンス膜、相変化材料膜、結晶化促進膜、エンハンス膜、半透明エンハンス膜を積層して形成することにより、さらに好ましくは、反射膜、エンハンス膜、結晶化促進膜、相変化材料膜、エンハンス膜、半透明エンハンス膜を積層して形成することにより、ビームスポット径を小型化して線速度を増大した場合でも、確実に所望の情報を記録再生することができる。
【0027】
またこの実施の形態では2層の情報記録層を積層して光ディスクを構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、複数の情報記録層を積層して光ディスクを構成する場合、さらには光ディスクに限らず、種々の光情報記録媒体を構成する場合に広く適用することができる。
【0028】
図2は、このような光ディスク1をアクセスする光ディスク装置の光学系を示す略線図である。この光ディスク装置10は、レーザーダイオード11より出射したレーザービームLをコリメータレンズ12により略平行光線に変換した後、非点収差補正板13により非点収差を補正し、偏光ビームスプリッタ14により反射してレーザービームの光路を光ディスク1に向けて折り曲げる。さらに光ディスク装置10は、このレーザービームを1/4波長板15により偏光し、対物レンズ16により光ディスク1に照射する。光ディスク装置10では、矢印Aにより示すように、光軸に沿った方向にこの対物レンズ16が可動することにより、このレーザービームLを情報記録層3又は4に選択的に集光し、情報記録層3又は4を選択的にアクセスする。
【0029】
また光ディスク装置10は、このようにレーザービームを照射して得られる戻り光を対物レンズ16により受光し、続く1/4波長板15によりこの戻り光をレーザービームLと直交する偏光面に偏光する。さらに光ディスク装置10は、この1/4波長板15より出射する戻り光を偏光ビームスプリッタ14を透過させ、コリメータレンズ17により受光素子18の受光面に集光する。
【0030】
光ディスク装置10は、再生時にあっては、レーザーダイオード11より一定の再生光量によりレーザービームLを出射し、受光素子18による戻り光の受光結果を処理することにより、光ディスク1に記録された情報を再生する。また記録時にあっては、所定の光量より間欠的にレーザービームの光量を立ち上げ、これにより情報記録層3又は4の相変化材料膜を部分的に非晶質化し、またはこれとは逆に部分的に結晶化し、所望の情報をピット列により記録する。
【0031】
以上の実施例の構成によれば、相変化材料膜を結晶化促進膜、エンハンス膜により挟持するようにし、さらに支持基板側及びこれと逆側に反射膜及び半透明エンハンス膜をそれぞれ配置し、これらの膜材料を適宜選定することにより、ビームスポット径を小型化して線速度を増大しても所望のデータを確実に記録し、また記録した情報を再生することができ、これにより書き換え可能であって、かつ高密度記録することができる情報記録媒体を得ることができる。
【0032】
すなわちSi、SiC、Ge、GeC、Sn、SnC、Al、AlC、Ga、GaC、In、InC、これら何れかの窒化物又は酸化物の少なくとも1種類を含む材料により結晶化促進膜を形成することにより、容易に相変化材料を結晶化することができる。
【0033】
またZnS、ZnS−SiO2 、SiO2 、MgF2 の少なくとも1種類を含む材料によりエンハンス膜を形成することにより、非晶質の部分と結晶化した部分とを確実に識別することが可能となる。
【0034】
またAu、AuCo合金、SiOx 、ZnS−SiOx 、Au−SiO2 混合物、Au−ZnS−SiO2 混合物の少なくとも1種類を含む材料により半透明エンハンス膜を形成することにより、消し残しを確実に防止することができる。
【0035】
またAl合金、BiSbの何れかを含む材料により反射膜を作成することにより、十分な感度を確保することができる。
【0036】
【実施例】
この実施例において、光ディスク1は、図1について上述した膜構造により中間層5を間に挟んで2層の情報記録層3及び4を積層して構成される。この実施例において、支持基板2は、厚さ1.2〔mm〕のポリカーボネイト基板が適用され、射出成形による凹凸パターンが一体に形成される。ここでこの凹凸パターンは、トラックピッチ0.9〔μm〕のランドグループ記録用案内溝を構成する。
【0037】
この実施例では、この支持基板2上に、Al合金による反射膜3A、ZnS−SiO2 混合物による第2エンハンス膜3B、SiNによる第2結晶化促進膜3C、GeSbTeNによる相変化材料膜3D、SiNによる第1結晶化促進膜3E、ZnS−SiO2 混合物による第1エンハンス膜3F、Au−Co合金による半透明エンハンス膜3Gを順次スパッタリング法により成膜し、情報記録層3を形成した。またこの情報記録層3に一様にレーザービームを照射して相変化材料膜3Dを結晶化させ、初期化の処理を実行した。
【0038】
なお各膜の膜厚は、以下の通りである。
反射膜3A :20〔nm〕
第2エンハンス膜3B :45〔nm〕
第2結晶化促進膜3C :10〔nm〕
相変化材料膜3D :14〔nm〕
第1結晶化促進膜3E :10〔nm〕
第1エンハンス膜3F :85〔nm〕
半透明エンハンス膜3G:11〔nm〕
【0039】
また続いて、アクリル酸系UVレジンをスピンコートで塗布した後、UVランプにより硬化させ、厚さ30〔μm〕の中間層5を形成した。このとき2P法により凹凸パターンを形成し、この凹凸パターンにより情報記録層4におけるランドグループ記録用案内溝を形成した。なおこの案内溝もトラックピッチ0.9〔μm〕により作成した。
【0040】
さらにこの中間層5上に、ZnS−SiO2 混合物による第2エンハンス膜4B、SiNによる第2結晶化促進膜4C、GeSbTeNによる相変化材料膜4D、SiNによる第1結晶化促進膜4E、ZnS−SiO2 混合物による第1エンハンス膜4Fをスパッタリング法により順次成膜した。
【0041】
なお各膜の膜厚は、以下の通りである。
第2エンハンス膜4B :110〔nm〕
第2結晶化促進膜4C : 10〔nm〕
相変化材料膜4D : 8〔nm〕
第1結晶化促進膜4E : 10〔nm〕
第1エンハンス膜4F :100〔nm〕
【0042】
さらに、アクリル酸系UVレジンをスピンコートで塗布した後、UVランプにより硬化させて光透過層6を作成した。続いて情報記録層4に一様にレーザービームを照射して相変化材料膜4Dを結晶化させ、初期化の処理を実行した。なお光透過層6は、厚さ70〔μm〕により作成した。
【0043】
この実施例にあっては、図2について上述した構成の光学系によりこの光ディスク1をアクセスし、特性を確認した。なおこの光学系にあっては、開口数NAが0.85であり、レーザービームは波長650〔nm〕であった。この光ディスク1にット長0.23〔μm〕、線速10〔m/s〕にて所望の情報を記録再生したところ、ジッター10〔%〕以下により記録した情報を再生することができた。なおこのット長0.23〔μm〕、線速10〔m/s〕による場合、トラックピッチ0.45〔μm〕であることにより、直径12cmの光ディスクにおいては、上下2層の情報記録層3及び4で16〔GB〕の記憶容量を確保することできる。
【0044】
この実施例では、この光ディスク1との対比により図3に示す構成の光ディスク20をアクセスし、その特性を確認した。
【0045】
ここでこの光ディスク20は、上述の光ディスク1と同一の支持基板22上に、Al合金による反射膜23A、ZnS−SiO2 混合物による第2エンハンス膜23B、GeSbTeによる相変化材料膜23D、ZnS−SiO2 混合物による第1エンハンス膜23Fをスパッタリング法により順に成膜して情報記録層23を形成した後、レーザービームの照射によりこの情報記録層23を初期化した。
【0046】
また光ディスク1と同一の構造、材料による中間層25を作成した後、順次ZnS−SiO2 混合物による第2エンハンス膜24B、GeSbTeによる相変化材料膜24D、ZnS−SiO2 混合物による第1エンハンス膜24Fをスパッタリング法により順次成膜して情報記録層24を形成した後、光ディスク1と同一の光透過層26を形成して初期化した。
【0047】
この光ディスク20を光ディスク1と同様に評価したところ、ット長0.23〔μm〕、線速10〔m/s〕では書き換えすることが困難で、線速4〔m/s〕において、光ディスク1と同程度のジッター量により記録されたデータを書き換えることができた。これにより結晶化促進膜の効果等を確認することができた。
【0048】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、エンハンス膜、結晶化促進膜を配置してなる相変化材料による情報記録層を積層し、最も支持基板側の情報記録層のみに反射膜を形成すると共に、各情報記録層を構成する膜材料を選定することにより、書き換え可能であって、かつ高密度記録することができる光情報記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る光ディスクを示す断面図である。
【図2】図1の光ディスクをアクセスする光ディスク装置の光学系を示す略線図である。
【図3】実施例との比較に使用した光ディスクを示す断面図である。
【符号の説明】
1、20……光ディスク、2、22……支持基板、3、4、23、24……情報記録層、3A、23A……反射膜、3B、3F、4B、4F、23B、23F、24B、24F……エンハンス膜、3C、3E、4C、4E、23C、23E、24C、24E……結晶促進膜、3D、4D、23D、24D……相変化材料膜、3G、23G……半透明エンハンス膜、5、25……中間層、6、26……光透過層

Claims (5)

  1. 凹凸パターンによる案内溝が形成された厚さ0.3〜1.2〔mm〕の支持基板上に、透明の中間層を間に挟んで複数の情報記録層が積層され、厚さ10〜177〔μm〕の光透過層が積層されてなる光情報記録媒体であって、
    前記情報記録層は、
    InSe、SbSe、SbTe二元合金、InSbSe、GeSbTe、InSbTe三元合金、GeSbTeSe、AgInSbTe四元合金、AgInSbSeTe五元合金、これらの何れかの合金の窒化物又は酸化物の少なくとも1種類を含む相変化材料による相変化材料膜を有し、
    少なくとも前記相変化材料膜の前記支持基板側又は前記支持基板側とは逆側に、前記相変化材料膜と接して設けられ、Si、SiC、Ge、GeC、Sn、SnC、Al、AlC、Ga、GaC、In、InC、これら何れかの窒化物又は酸化物の少なくとも1種類を含む材料であって、前記相変化材料膜の濡れ性を悪化させる材料により形成された前記相変化材料膜の溶融、結晶化を促進する結晶化促進膜、ZnS、ZnS−SiO 2 、SiO 2 、MgF 2 の少なくとも1種類を含む材料により形成された前記相変化材料膜における結晶化された領域と非晶質の領域との反射率差を拡大するエンハンス膜が形成され、
    最も支持基板側の前記情報記録層は、
    前記支持基板側の最も外側に反射膜が割り当てられ、
    前記支持基板側とは逆側の最も外側に、Au、AuCo合金、SiAg合金、SiO x 、ZnS−SiO x 、Au−SiO 2 混合物、Au−ZnS−SiO 2 混合物の少なくとも1種類を含む材料により形成された前記相変化材料膜の透過光を多重反射すると共に、前記相変化材料膜における結晶化された領域と非晶質の領域との反射率差を拡大する半透明エンハンス膜が割り当てられ
    ことを特徴とする光情報記録媒体。
    但し、x≦2である。
  2. 前記反射膜が、Al合金、BiSb、Ag合金の何れかを含む材料により作成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  3. 前記最も支持基板側の前記情報記録層は、
    前記支持基板側より、順次、前記反射膜、前記エンハンス膜、前記相変化材料膜、前記結晶化促進膜、前記エンハンス膜、前記半透明エンハンス膜を積層して形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  4. 前記最も支持基板側の前記情報記録層は、
    前記支持基板側より、順次、前記反射膜、前記エンハンス膜、前記結晶化促進膜、前記相変化材料膜、前記エンハンス膜、前記半透明エンハンス膜を積層して形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
  5. 前記最も支持基板側の前記情報記録層は、
    前記支持基板側より、順次、前記反射膜、前記エンハンス膜、前記結晶化促進膜、前記相変化材料膜、前記結晶化促進膜、前記エンハンス膜、前記半透明エンハンス膜を積層して形成された
    ことを特徴とする請求項1に記載の光情報記録媒体。
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