JP4217785B2 - ガス再生式放電NOx処理方法及び装置 - Google Patents

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本発明は、燃焼排ガスや汚染空気中のNOxを除去する方法及びその方法を実施する装置に関する。
NOx汚染ガスを放電処理する場合、酸素が含まれていると放電によるNOx分解反応は著しく阻害される。例えば、窒素希釈の3%程度の酸素濃度において、300ppm程度のNOを放電処理する場合には、NOxの酸化反応のみが進行し、NOx分解反応はほとんど進行しない。酸化反応では、直接NOxを除去することができないため、酸素を除いてNOx分解(還元)反応を生起することが望ましい。そのための方法として、NOxを一旦吸着剤に吸着させ、脱着時の流通ガスを窒素ガスとして、放電によりNOx分解を行うという方法がある(非特許文献1)。吸着剤としては、銅イオン交換ゼオライト(非特許文献2)やMnOx-ZrO2(非特許文献3)、Fe-Mn-Ti(非特許文献4)等がある。
(N.Goto, S.Kudo, H.Motoyama & S.Ohyama, Japanese Journal of Applied Physics,41,L64(2002)) (J.Despres, M.Koebel, O.Krocher, M.Elseneer & A.Wkaun, Microporous and Mesoporous Matearials,58,175(2003)) (K.Eguchi, M.Watabe, S.Ogata & H.Arai, Journal of Catalysis,158,420(1996)) (H.Y.Huang & R.T.Yang,LANGMUIR,17,4997(2001))
上記方法における問題点は、NOx1分子の分解に要するエネルギー消費量が大きいことである。主なエネルギー消費源は、窒素ガスの製造エネルギー、放電注入エネルギー、NOx脱着時の加熱もしくは減圧エネルギーである。これらのエネルギー消費量を可能な限り低減することが重要な課題である。
したがって本発明は、NOx分解に要するエネルギー消費量が小さく、効率よくNOxを分解処理することができるガス再生式吸蔵放電NOx処理方法及びその方法を実施する装置を提供することを目的とする。
本発明によるガス再生式放電NOx処理方法は、上記課題を解決するため、NOx吸着剤にNOx汚染ガスを流通させ、NOxを吸着させた後、流通ガスを窒素ガスとして吸着剤を加熱もしくは減圧することによりNOxを脱着させ、NOx脱着後のガスから金属酸化反応を利用して酸素を取り除いた後、放電処理によりNOxの分解除去を行い、放電処理後のガスを再度NOx吸着剤に循環させ、脱着用ガスとして循環使用するようにしたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理方法は、前記ガス再生式放電NOx処理方法において、前記脱着後のガスから酸素を除去する際に酸化された金属を、水電解により得られる水素により還元し、再生するようにしたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理方法は、前記ガス再生式放電NOx処理方法において、前記脱着時の循環ガスをNOを主成分とする混合ガスとし、放電処理では前記脱着NOxと同程度のNOを分解すると共に、NOをNOに変換することにより、放電処理後のガスをNOx吸着剤の脱着用ガスとして循環使用するようにしたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理方法は、前記ガス再生式放電NOx処理方法において、前記放電処理に伴うガス加熱作用によりガス温度を上昇させ、ガスがNOx吸着剤へ再循環する際に、この温度上昇を利用してNOx脱着を促進するようにしたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理装置は、外部からのNOx汚染ガスを導入しNOxを吸着するとともにNOx吸着後の清浄ガスを排出し、且つNOxを吸着した後に流通ガスを窒素ガスとして吸着剤を加熱もしくは減圧することによりNOxを脱着させるNOx吸着剤充填容器と、前記NOx吸着剤充填容器から脱着したNOxを含むガスを導入し、金属の酸化反応を利用してガス成分中の酸素を除去する酸素除去剤充填容器と、前記酸素除去剤充填容器からのNOxを含むガスに対して放電し、NOxを分解除去した後、前記NOx吸着剤充填容器に供給する放電容器とを備えたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理装置は、前記ガス再生式放電NOx処理装置において、前記NOx吸着剤充填容器からの脱着後のガスから酸素を除去する際に酸化された金属を、水電解装置により得られる水素により還元し、再生するようにしたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理装置は、前記ガス再生式放電NOx処理装置において、前記脱着時の流通ガスをNOを主成分とする混合ガスとし、前記放電容器では前記脱着NOxと同程度のNOを分解すると共にNOをNOに変換し、前記放電処理後のガスをNOx吸着剤の脱着用ガスとして循環使用するようにしたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理装置は、前記ガス再生式放電NOx処理装置において、前記放電容器における放電処理に伴うガス加熱作用によりガス温度を上昇させ、該ガスがNOx吸着剤へ再循環する際に、この温度上昇によりNOx脱着を促進するようにしたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理装置は、前記ガス再生式放電NOx処理装置において、前記NOx吸着剤充填容器は、ガス再生式放電NOx処理装置設置場所とは別の場所でNOx汚染ガスを吸着したものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理装置は、前記ガス再生式放電NOx処理装置において、外部からのNOx汚染ガスと、前記放電容器からの流通ガスのいずれかを選択して前記NOx吸着剤充填容器に導入する弁を備えたものである。
また、本発明による他のガス再生式放電NOx処理装置は、前記ガス再生式放電NOx処理装置において、前記NOx吸着剤充填容器からのガスと、前記水電解装置からの水素のいずれかを選択して前記酸素除去剤充填容器に導入する弁を備えたものである。
上記のような本発明は、後述するような理由によって窒素ガス製造エネルギーを低減することができ、また酸素除去効果、NOx高濃度化、NO主成分化によって放電処理エネルギー効率を向上することができ、更に、脱着エネルギーの削減によって、効率よくNOxの処理を行うことができる。
本発明は、NOx分解に要するエネルギーを低減することを目的として、NOx吸着剤にNOx汚染ガスを流通させ、NOxを吸着させた後、流通ガスを窒素ガスとして吸着剤を加熱もしくは減圧することによりNOxを脱着させ、NOx脱着後のガスから金属酸化作用を利用して酸素を取り除いた後、放電処理によりNOxの分解除去を行い、放電処理後のガスを再度NOx吸着剤に循環させ、脱着用ガスとして循環使用することを特徴とするガス再生式放電NOx処理方法としたものであり、また、外部からのNOx汚染ガスを導入しNOxを吸着するとともにNOx吸着後の清浄ガスを排出し、且つNOxを吸着した後に流通ガスを窒素ガスとして吸着剤を加熱もしくは減圧することによりNOxを脱着させるNOx吸着剤充填容器と、前記NOx吸着剤充填容器から脱着したNOxを含むガスを導入し、金属の酸化作用を利用してガス成分中の酸素を除去する酸素除去剤充填容器と、前記酸素除去剤充填容器からのNOxを含むガスに対して放電し、NOxを分解除去した後、前記NOx吸着剤充填容器に供給する放電容器とを備えたことを特徴とするガス再生式放電NOx処理装置としたものである。
本発明による実施例を図1に示す。図1に示すガス再生式吸蔵放電NOx処理装置10は、NOx吸着剤充填容器11に対して三方弁1の切り替えによって車両或いは工場等からのNOx汚染ガスの導入と、放電容器13からの放電処理ガスの導入のいずれかを選択的に導入することができるようにし、また、三方弁2の切り替えによって排気浄化ガスとして外部に排出し、或いは循環ポンプ1側に連通するように切り替えることができるようにしている。なお、放電容器13には、当初、N/NO混合ガスが充填されている。
三方弁3は酸素除去剤充填容器12に対して、循環ポンプ1と循環ポンプ2のいずれかのガスを選択的に導入可能とし、三方弁4は酸素除去剤充填容器12からのガスを、放電容器13または凝縮器14のいずれかに導くように選択的に切り替えるようにしている。
凝縮器14からのガス及び液体は気液分離器15を通し、水素成分を水素貯蔵容器16に貯留するとともに、水素の不足分を気液分離器15からの水を導入し水素を発生する水電解装置17からの水素を水素貯蔵容器16に補給し貯蔵する。水素貯蔵容器16からの水素は循環ポンプ2によって前記三方弁3の切り替えによって酸素除去剤充填容器12に供給するようにしている。
上記のような構成からなるガス再生式吸蔵放電NOx処理装置10は、以下のとおりの操作を行う。即ち、
(1)最初図1に示すように、三方弁1をNOx汚染ガス側に、三方弁2を排気清浄ガス側にセットし、NOx汚染ガスをNOx吸着剤充填容器11に流通させることにより、NOxを吸着剤に吸着させ、清浄ガスを排気する。
(2)次いで図2に示すように、三方弁1、4を放電容器13側に、三方弁2、3を循環ポンプ1側に切り替えてセットし、循環ポンプ1を起動することにより、放電容器13中に充満しているN/NO等の混合ガスをNOx吸着剤充填容器11に流通させる。以下、このガスを循環ガスとする。同時に、図示していない電源から放電容器13へ放電エネルギーを供給し、放電を開始する。
(3)循環ガスが鉄や銅等の金属を充填した酸素除去剤充填容器12を流通する際に、金属の酸化作用を利用して、酸素を除去する。
(4)循環ガスが放電容器13を流通する際に、放電によりNO分解反応を進行させることによって、NOxの一部を分解する。同時に、NO分解時の生成物であるO原子がNOをNOに変換し、NOxの主成分をNOとする。また、放電によるエネルギー注入に伴い、処理ガスの温度が上昇する。
(5)温度上昇した処理ガスを再びNOx吸着剤充填容器11に流通させ、温度上昇効果によりNOxの脱着を促進する。
上記(3)〜(5)の手順を繰り返し、(1)の過程で吸着剤に吸着されたNOxと同量程度のNOxが放電により分解処理された時点で、放電及び循環ポンプ1を停止する。この段階では、NOx吸着剤充填容器11や酸素除去剤充填容器12、放電容器13中にはN/NO等の混合ガスが残留している。NOx吸着剤充填容器11は、時間の経過と共に温度が低下し、容器中に残存するNOxは、ある程度再吸着される。その後、再び(1)に戻る。
同時に、(1)の処理と併行して、三方弁3、4を切り替え、循環ポンプ2を起動し、水素貯蔵容器16中の水素を酸素除去剤充填容器12に流通させ、金属を還元させることにより酸素除去能力を回復させる。同時に、金属還元により減少した水素貯蔵容器16中の水素ガスを、水電解装置17で得られる水素ガスにより補給する。また、金属の還元により水蒸気が生成するが、水蒸気は凝縮器14内で結露させ、気液分離器15を通して水電解装置17に供給する。このため、外部からの水分補給の必要はない。
以上の実施例は、全ての装置を一体的に構成したものであるが、車載化を行う場合には、NOx吸着剤のみを車載し、その他の装置を固定ステーションに設置し、給油時等にNOxを脱着させ、その後の処理を行う方法が考えられる。あるいは、車載化するNOx吸着剤を着脱式とする方法も可能である。
これらの方法では、放電や水素製造に系統電力の利用が可能となり、処理コストの低減が可能である上、車重量も低減できる可能性がある。近年、NOx吸着剤の吸着性能が向上しFe-Mn-Tiでは、1gの吸着剤で0.83mmolのNOxが吸着可能と報告されている(H.Y.Huang & R.T.Yang,LANGMUIR,17,4997(2001))。
このような吸着剤を用いれば、1日の走行分あるいは1回給油の走行分に対応するNOx吸着剤を車載化することは十分に可能と考えられる。例えば排ガス流量を3000L/min(温度を300Kに換算した流量)として、100ppmのNOを10時間吸着すると、総吸着NOは7.3molとなり、必要な吸着剤は約8.8kgと試算される。
上記のような作動を行う本発明によるガス再生式吸蔵放電NOx処理装置は、以下のような理由により、窒素ガス製造エネルギーの低減、放電処理エネルギー効率の向上、脱着エネルギーの削減の3点の作用効果を奏することができる。
1.窒素ガス製造エネルギーの低減
窒素ガスの製造は、PSAや膜分離により行われるが、酸素を0.1%以下に抑える場合の製造エネルギーは、ガス供給の容量にも依存するが、1500〜2500J/L程度である。この窒素ガスを利用して、NOxの放電処理を行う場合、NOx分解反応により酸素が生成し、NOx分解量の増大と共に酸素濃度が上昇する。酸素濃度が上昇すると、放電によるNOx分解の効率が大幅に低下する。仮に酸素濃度の許容値を1%とすると、酸素1%の生成に対応するNOxの分解量は、NOではNの2%、NOでは1%となる。これより、窒素ガスの製造エネルギーをNOx1分子の分解当たりに換算すると、19 〜64eVとなり、放電注入エネルギーに匹敵するエネルギー消費となる。
本発明では、放電によるNOx分解で生成した酸素は、鉄や銅等の金属酸化作用により除去し、窒素ガスは繰り返し循環利用する。このため、窒素ガスの充填コストは無視できる程度に小さくなる。
ただし、酸素除去に伴い酸化した金属を処理することが必要である。本発明では、金属の再生を水素による還元反応で行い、水素は水の電気分解により供給する。電気分解による水素の製造エネルギーは、エネルギー効率を60%程度とすると、水素1分子当たり約4eVである。即ち、NO1分子当たり4eV、NO2では8eVのエネルギーが酸素除去剤の再生に必要ということになる。これに金属還元反応の反応効率や、NOx分解以外に由来する酸素の除去という要因が加味されるが、前述の窒素ガス製造器を用いる場合の19〜64eVよりは、低エネルギーで窒素ガスの再生が可能である。さらに、次項で述べるように、酸素除去により放電処理のエネルギー効率が向上するという長所もある。
2.放電処理エネルギー効率の向上
本発明では、脱着時の流通ガスとして、NOを主成分とするN/NOx他混合ガスを用い、これに吸着剤から脱着したNOxが加わる。脱着ガスは、金属酸化作用による酸素除去を行った後、放電処理を行う。放電処理では、放電により生成するN原子等の還元種によりNOが分解され、NO分解時に生成するO原子がNOをNOに変換する。放電によるNO分解は、吸着剤からのNOx脱着量と同程度に留め、再度、吸着剤の脱着ガスとして循環させる。以上の過程の内、放電処理のエネルギー効率向上に寄与するのは、酸素除去、NOx高濃度化、NO主成分化の3点である。以下、この3点について述べる。
(1)酸素除去効果
放電によるNOx分解においては、酸素は最も重要な阻害要因である。酸素によるエネルギー効率低下の影響度は、処理するNOx濃度により異なるが、酸素濃度は数千ppmm以下、可能であれば1000ppm以下に保つことが望ましい。本発明では、放電処理の前段階において酸素除去を行うため、放電容器入口における酸素濃度は十分に低い状態に保たれる。放電処理では、NOx吸着剤からの脱着量と同程度のNOを分解する。吸着剤から脱着するNOx濃度が3000ppm程度である場合には、放電容器出口における酸素濃度も3000ppm程度であり、残存するNO濃度も同程度であることから、放電処理全般において、高いエネルギー効率を維持することが可能である。
また、前述の窒素ガス製造器を用いる方法では、酸素濃度は1%までを許容して製造エネルギーの試算を行っているが、それと比較して、本方式では酸素濃度が低い水準に保持されることになり、エネルギー効率が向上する。
(2)NOx高濃度化
放電によりNOの分解を行う上で、NO濃度が3000ppm程度までは、濃度の上昇に伴うエネルギー効率の向上が見込まれる。本発明では、脱着用ガスとして、NOを主成分とするN/NOx他混合ガスを循環させ、これに吸着剤から脱着したNOxが加わる。このため、放電容器入口へは高濃度のNOxガスが流入する。放電処理は、NOxの脱着分に相当する分量のNOを分解するに留めるため、放電容器出口におけるNOx濃度も、比較的高い状態に保たれる。従って、放電処理全般において、NOx濃度は高濃度に保持されることになり、その結果、放電処理のエネルギー効率が向上する。
(3)NO主成分化
放電によるNOx分解においては、NOに対するよりも、NOの方が放電処理のエネルギー効率が高い。これは、N原子によるNOの分解反応の一部に、NOを2分子生成する反応があることが主原因と考えられる。また、放電で生成するN原子等の還元種は、NOよりもNOとの反応を優先的に行う。その結果、NOxの成分比率に関して、NOの占める割合が50%程度以上であれば、エネルギー効率の低下は軽微である。また、NOの分解反応で生成するO原子は、酸素濃度が低い場合には、NOをNOに変換する。これより、吸着剤からの脱着NOxの主成分がNOである場合においても、放電処理では、循環ガス中のNOに対する分解反応の方が優先的に進み、それと併行して、NO分解反応で生成したO原子が、脱着したNOをNOに変換する。その結果、放電容器出口におけるNOx主成分はNOとなり、再度、吸着剤の脱着ガスとして循環利用される。このように、本方式における放電処理ではNO分解とNO主成分化が進行するため、脱着NOxの主成分がNOである場合にも、高いエネルギー効率を維持できる。
例えば、吸着剤としてMnOx-ZrO2を用いた場合には、脱着NOxの主成分はNOである。MnOx-ZrO2は、水蒸気の影響を受けにくく、この点では、銅イオン交換ゼオライトよりも優れている((財)シッフ゜・アント゛・オーシャン財団,小型内航船用エンジン排ガス浄化触媒の調査研究報告書(1998))。本方式は、このように、脱着NOxの主成分がNOである場合に特に効果的である。
また、NOx汚染空気を浄化する場合にも、NOxの主成分はNOであることから、本方式のNO主成分化が有効である。さらに、この場合には、吸着剤による高濃度化にも限界があることから、本発明による高濃度化が有効であり、加えて、次項で述べるように、脱着エネルギーの占める割合が大きくなり、その削減も本方式により可能である。
以上、本発明における酸素除去、NOx高濃度化、NO主成分化により、NOx1分子の分解処理に必要な放電注入エネルギーは、40〜60eV程度に抑えることが可能と考えられる。
3.脱着エネルギーの削減
NOx吸着剤からの脱着は、加熱あるいは減圧により行うが、そのためのエネルギー投入が必要である。300℃の温度上昇を行う場合、吸着剤の加熱以外に、窒素ガスを300℃温度上昇させるために約390J/Lが必要である。減圧の場合、0.3気圧に減圧するためには約100J/Lの仕事量が必要である。前者は熱エネルギーで、後者は動力エネルギーであるので、両者を必要な電気エネルギーに換算すれば、共に120J/L程度である。
脱着するNOxの濃度が3000ppm程度の場合で、その全量を放電で処理するとすれば、NOx1分子の処理に必要な脱着エネルギーは、約10eV(電気エネルギー換算値)となり、それ程大きくはない。しかし、NOx汚染空気のように低濃度のNOxを吸着した場合に、高い脱着濃度を実現することは困難を伴う。仮に脱着濃度が300ppm程度で、その全量を放電で処理する場合を想定すると、NOx1分子の処理に必要な脱着エネルギーは約100eV(電気エネルギー換算値)となり、放電注入エネルギーを凌ぐ程に大きい。
本発明は、このような脱着エネルギーを削減する効果を有する。本発明では脱着用ガスとしてNOxを含んだガスを流通させるため、まずは当初成分のNOxに対して放電処理を行い、次に、放電の加熱作用により流通ガス温度を上昇させた後、吸着剤に再循環させ、脱着を行うという方法が可能である。放電注入エネルギーの90%以上は熱化することから、放電注入エネルギーを脱着エネルギーとして活用することは有効な方法である。
例えば、放電処理により2200ppmのNOxを分解する場合で、NOx1分子の分解に必要な放電注入エネルギーを50eVとすると、処理ガス1L(300K)当たりの放電注入エネルギーは、約430Jとなる。放電注入エネルギーの内、熱化する割合を90%とすると、約300℃の温度上昇が見込まれる。さらに、ガスの周回により温度上昇分が重畳される可能性もあるが、熱損失による温度降下の影響もある。概算として、この場合には、脱着エネルギーの全量を放電加熱により供給することが可能と考えられる。
一方、低濃度のNOx汚染空気を処理する場合で、脱着NOx濃度として300ppm程度を想定すると、300ppmのNOx分解では、放電加熱による温度上昇は40℃程度に留まり、脱着エネルギーの全量を賄うには不十分である。この場合、他の加熱あるいは減圧手段を併用することになるが、脱着エネルギーの低減が可能である。このように脱着濃度が低い場合には、前述のように、脱着エネルギーが放電注入エネルギーを凌ぐ程の大きなエネルギー消費源となるため、脱着エネルギーの削減が部分的であっても、エネルギー消費全体に対する削減効果は大きい。
他の方法として、NOx吸着剤充填容器内で放電処理を行うことにより脱着エネルギーを放電入力で賄う方法も当然考えられるが、この方法では、放電による吸着剤の劣化が懸念される。このため、放電場と吸着剤は分離が望ましい。さらに、汚染ガスの連続処理を行う上では、NOx吸着剤充填容器を2ヶ並列にして、交互に使用することになるが、本発明のように、放電容器が分離されていれば、ガスの連続処理を行う際にも、放電容器は1つで連続処理が可能である。
本発明は、NOx汚染ガス排出源或いはその周辺地点に設置し、排ガス処理装置あるいは空気浄化装置として使用するほか、車両等の移動機器にNOx吸着剤充填容器を備え、固定施設に設置したガス再生式放電NOx処理装置にこの容器を接続し、内部のNOxを処理する形態でも使用することができる。。
本発明の実施例の第1の作動態様を示す説明図である。 同実施例の第2の作動態様を示す説明図である。 同実施例の第3の作動態様を示す説明図である。
符号の説明
10 ガス再生式吸蔵放電NOx処理装置
11 NOx吸着剤充填容器
12 酸素除去剤充填容器
13 放電容器
14 凝縮器
15 気液分離器
16 水素貯蔵容器
17 水電解装置
18 循環ポンプ

Claims (11)

  1. NOx吸着剤にNOx汚染ガスを流通させ、NOxを吸着させた後、流通ガスを窒素ガスとして吸着剤を加熱もしくは減圧することによりNOxを脱着させ、NOx脱着後のガスから金属酸化作用を利用して酸素を取り除いた後、放電処理によりNOxの分解除去を行い、放電処理後のガスを再度NOx吸着剤に循環させ、脱着用ガスとして循環使用することを特徴とするガス再生式放電NOx処理方法。
  2. 前記脱着後のガスから酸素を除去する際に酸化された金属を、水電解により得られる水素により還元し、再生することを特徴とする請求項1記載のガス再生式放電NOx処理方法。
  3. 前記脱着時の循環ガスをNOを主成分とする混合ガスとし、放電処理では前記脱着NOxと同程度のNOを分解すると共に、NOをNOに変換することにより、放電処理後のガスをNOx吸着剤の脱着用ガスとして循環使用することを特徴とする請求項1記載のガス再生式放電NOx処理方法。
  4. 前記放電処理に伴うガス加熱作用によりガス温度を上昇させ、ガスがNOx吸着剤へ再循環する際に、この温度上昇を利用してNOx脱着を促進することを特徴とする請求項1記載のガス再生式放電NOx処理方法。
  5. 外部からのNOx汚染ガスを導入しNOxを吸着するとともにNOx吸着後の清浄ガスを排出し、且つNOxを吸着した後に流通ガスを窒素ガスとして吸着剤を加熱もしくは減圧することによりNOxを脱着させるNOx吸着剤充填容器と、
    前記NOx吸着剤充填容器から脱着したNOxを含むガスを導入し、金属の酸化反応を利用してガス成分中の酸素を除去する酸素除去剤充填容器と、
    前記酸素除去剤充填容器からのNOxを含むガスに対して放電し、NOxを分解除去した後、前記NOx吸着剤充填容器に供給する放電容器とを備えたことを特徴とするガス再生式放電NOx処理装置。
  6. 前記NOx吸着剤充填容器からの脱着後のガスから酸素を除去する際に酸化された金属を、水電解装置により得られる水素により還元し、再生することを特徴とする請求項5記載のガス再生式放電NOx処理装置。
  7. 前記脱着時の流通ガスをNOを主成分とする混合ガスとし、前記放電容器では前記脱着NOxと同程度のNOを分解すると共にNOをNOに変換し、前記放電処理後のガスをNOx吸着剤の脱着用ガスとして循環使用することを特徴とする請求項5記載のガス再生式放電NOx処理装置。
  8. 前記放電容器における放電処理に伴うガス加熱作用によりガス温度を上昇させ、該ガスがNOx吸着剤へ再循環する際に、この温度上昇によりNOx脱着を促進することを特徴とする請求項5記載のガス再生式放電NOx処理装置。
  9. 前記NOx吸着剤充填容器は、ガス再生式放電NOx処理装置設置場所とは別の場所でNOx汚染ガスを吸着したものであることを特徴とする請求項5記載のガス再生式放電NOx処理装置。
  10. 外部からのNOx汚染ガスと、前記放電容器からの流通ガスのいずれかを選択して前記NOx吸着剤充填容器に導入する弁を備えたことを特徴とする請求項5記載のガス再生式放電NOx処理装置。
  11. 前記NOx吸着剤充填容器からのガスと、前記水電解装置からの水素のいずれかを選択して前記酸素除去剤充填容器に導入する弁を備えたことを特徴とする請求項6記載のガス再生式放電NOx処理装置。
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