JP4216452B2 - 光ケーブルの巻き始め端末を取り出す方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、既に布設された電力用の引き込み用ビニ−ル絶縁電線(以下、DV線という)に、螺旋状に絡めて布設するコイル状に巻かれた光ケーブルから成る光ユニット束を、現場で使用するまでコイル状に巻かれた光ケーブルの保形性を確実に維持すると共に、使用に際しては光ケーブルの巻き始め端末を容易に取り出せる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、公衆通信網の光ファイバ化が推進されており、個々の家屋まで通信用光ケーブルを配線した光通信網の実現が目指されているが、通常、配線用光ケーブルは架空配電線網に並行して布設される。従って、各家屋への引き落とし線としては、既に布設されているDV線に通信用の光ドロップケーブルが追加布設されることになるが、美観の問題、布設回数の問題、布設スペースの問題等からこれらのケーブルを一束化することが主流になりつつある。しかしこの一束化した集合ケーブルによる布設は、DV線と光ドロップケーブルの同時新設の場合にしか適用できず、DV線が既に布設されている場合には不向きであった。
そこで、図3に示したように、既設DV線を利用して光ドロップケーブルを布設する方法が最近提案されている。この布設方法は、先ず図3(a)に示した如く、コイル状に光ケーブル40を巻いた光ユニット束42を既設DV線44にはめ込み、光ケーブル40の巻き始め先端部を光ケーブル配線用接続器46に接続し、その後、光ユニット束42をDV線44に沿って家屋48側へ移動し、屋外光接続箱50の処で光ケーブル40を接続すれば、図3(b)に示すように、DV線44に対し螺旋状に巻かれながら通信用の光ケーブル40が布設されることになる。そして図4(a)に示したコイル状に巻かれた光ケーブル40から成る光ユニット束42は、ドラム巻きにしたものも考えられるが、スムーズに光ユニット束42から光ケーブル40を繰り出すためには、図4(b)に示すように、内側をケーブルの巻き始め層とし、その層の上に適宜何層かコイル状に巻き上げて、巻き終わり層を最外部とするのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述の光ユニット束42を、その荷姿を使用前において崩れないように保持するために、光ユニット束42の外周面をプラスチックフィルム等で覆って外側から型崩れしないように支持したものや、或は結束紐で数カ所縛り付けたものが使用されていた。しかしながら、プラスチック製フィルムで覆ったものは、ある程度の保形性はあるが、保管中に外力等の負荷が掛かると型崩れを起こし、光ケーブルの性能にも悪影響を及ぼしかねないという問題点があり、また、結束紐で縛ったものは、フィルムで覆ったものより更に保形性は悪く、かつ布設時には結束紐を除去するので作業中に型崩れしてしまうという虞れもあった。その上、光ユニット束42の内径寸法が小さいと、光ケーブルの巻き始め端末を手で取り出すことが困難であった。
本発明は上記した光ユニット束が有する問題点に鑑みなされたものであって、光ユニット束の型崩れを防ぐと共に、光ユニット束の内径寸法が小さいものであっても、光ケーブルの巻き始め端末を容易に手で取り出すことができるようにすることが本発明の技術課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この課題を達成するために、本発明は光ケーブルの巻き始め端末を円筒状巻き芯に取付けた後、前記巻き芯に対してコイル状に光ケーブルを複数層巻き付け、光ケーブルの巻き付け後の反発戻り完了後に光ケーブルの最外層を糊付けして円筒状保護カバーを形成して光ユニット束を構成し、光ユニット束使用時に円筒状巻き芯を光ユニット束から引き出して光ケーブルの巻き始め端末を取り出す方法である。
【0005】
【作用】
本発明によると、光ケーブルの巻き付け後の反発戻り完了後に光ケーブルの最外層を糊付けして円筒状保護カバーを形成するため、反発戻り量を考慮することなく保護カバーが形成できる。光ケーブルの反発戻り後は、円筒状巻き芯の外周面と光ケーブルの最内層との間の若干の隙間ができるので、円筒状巻き芯が引き出し易くなり、その結果、光ケーブル巻き始め端末も一緒に取り出されることになる。
【0006】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図1及び図2に基づいて説明する。図1は円筒状巻き芯に光ケーブルをコイル状に巻き付けた後に、その最外層に保護カバ−を挿入した保管状態での光ユニット束を示したものであり、(a)は上面図、(b)はその側面図であり、図2は光ユニット束から円筒状巻き芯を取り出す過程を示した説明図である。先ず、光ユニット束2の製作工程を説明すると、図1に示した円筒状巻き芯4は、ボール紙或はビニール等の合成樹脂から成り、光ケーブル6の巻き始め端末6aをこの円筒状巻き芯4に固定する。その後、この巻き芯4に対してコイル状に光ケーブル6を複数層巻き付け、光ケーブル6の巻き付け後の反発戻りにより増大した最外層の外径と等しいか若干小さな径の円筒状保護カバ−8を光ケーブル6の最外層に挿入し、次に、光ケーブル6の巻き終わり端末6bをこの円筒状保護カバ−8に固定することで光ユニット束2は完成する。円筒状保護カバ−8の内径寸法が、光ケーブル6の巻き付け後の反発戻りを考慮してあるため、保管状態においては光ケーブル6の最外層は円筒状保護カバ−8の内周面に密着する。これにより光ユニット束2の型崩れは、内部の円筒状巻き芯4と相俟って防止できる。
次に、光ユニット束2を布設に際し使用するときは、光ケーブル6の巻き始め端末6aを取り出すことが必要となるが、円筒状巻き芯4がその取り出しの障害となっている。そこで、光ケーブル6の巻き始め端末6aを光ユニット束2より取り出す方法について図2に基づき述べると、光ケーブル6の円筒状巻き芯4への巻き付け後の光ユニット束2の巻き径の増大は、円筒状巻き芯4の外周面と光ケーブル6の最内層との間に若干の隙間を造ることになる。これにより、外力により円筒状巻き芯4は、円筒の軸心方向である、例えば矢印X方向に移動可能となり、この円筒状巻き芯4が光ユニット束2より抜け出てくれば、やがて光ケーブル6の巻き始め端末6aが露出することになる。その後は、巻き始め端末6aを円筒状巻き芯6から切り離し、円筒状巻き芯6自体は光ユニット束2より引き抜いて破棄する。このようにして、光ユニット束2の内径が小さいものであって、巻き始め端末6aが手で掴みにくいような場合であっても、光ケーブル6の巻き始め端末6aを光ユニット束2から容易に取り出すことができる。また、円筒状巻き芯6が抜き取られた後でも、円筒状保護カバ−8により光ユニット束2が保持されているので、布設時においても光ユニット束2の形状が直ちに崩れることはない。
【0007】
上述の実施例は円筒状保護カバ−8を光ケーブル6の最外層に挿入するタイプのものとして説明してきたが、別の実施例として、光ケーブル6を複数層巻き付けた後に、その最外層に糊付けをしたものであってもよい。巻き付け後の光ケーブル6の反発戻りによる径の増大後に糊付けが行われるので、保護カバ−の内径寸法を気にする必要がないし、光ケーブル6の巻き終わり端末6bをあらためて固着するという作業が省ける利点もある。
いずれにしても、緩くなった円筒状巻き芯4を引き抜いて、光ケーブル6の巻き始め端末6aを光ユニット束2から容易に取り出すことができる点は同じである。
【0008】
【発明の効果】
以上の通り、本発明においては、保管状態の光ケーブル6の最外層は糊付けした円筒状保護カバー8の内周面に密着しているので、光ユニット束2の型崩れは、内部の光ケーブル6を巻き付けるために利用した円筒状巻き芯4と相俟って防止できる。また、保護カバーは糊付けにより形成されているので、保護カバーの内径寸法を気にする必要がないし、光ケーブル6の巻き終わり端末6bをあらためて固着するという作業も省ける。そして、円筒状巻き芯を移動させて巻き始め端末6aを光ユニット束2から容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】保管状態での本発明の光ユニット束を示したものであり、(a)は上面図、(b)はその側面図である。
【図2】光ユニット束から円筒状巻き芯を取り出す過程を示した説明図である。
【図3】既設DV線を利用して光ドロップケーブルを布設する方法を説明するための図であって、(a)は光ユニット束を既設DV線にはめ込んだ図であり、(b)は光ケーブルの布設完了図である。
【図4】コイル状に巻かれた光ケーブルから成る光ユニット束であって、(a)はその上面図であり、(b)は側面図である。
【符号の説明】
2・・・光ユニット束
4・・・円筒状巻き芯
6・・・光ケーブル
8・・・円筒状保護カバ−
40・・・光ケーブル
42・・・光ユニット束
44・・・DV線(電力線)
46・・・光ケーブル配線用接続器
48・・・家屋
50・・・屋外光接続箱

Claims (1)

  1. 光ケーブルの巻き始め端末を円筒状巻き芯に取付けた後、前記巻き芯に対してコイル状に光ケーブルを複数層巻き付け、光ケーブルの巻き付け後の反発戻り完了後に光ケーブルの最外層を糊付けして円筒状保護カバーを形成して光ユニット束を構成し、光ユニット束使用時に円筒状巻き芯を光ユニット束から引き出して光ケーブルの巻き始め端末を取り出す方法
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