以下、本発明の実施形態を添付の図面(図1〜図24)に従って説明する。但し、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
ここでは、まず、図1〜図9を参照しながら、本発明の実施形態の前提となる表示装置の概念的な構成およびその動作について説明する。
図1は、本発明に係わる表示装置の概念図である。なお、これ以降、前述した構成要素と同様のものについては、同一の参照番号を付して表すこととする。
図中、1は第1の画像ソース、2は第2の画像ソース、3は第1の画像ソースからの第1の画像データ、4は第2の画像ソースからの第2の画像データ、5は表示制御部、6は表示データ、7は表示部(例えば液晶表示パネル等)、8は第1の画像ソース1からの第1の画像データ3に基づく第1の表示画像、9は第2の画像ソース2からの第2の画像データ4に基づく第2の表示画像、10は表示部7に対して左側に位置する観察者(利用者)、11は表示部7に対して右側に位置する観察者(利用者)である。
図1の概念図は、表示部7に対する観察者10、11の相対的位置に応じて、換言すれば表示部7に対する視野角に応じて、観察者10は第1の表示画像8を、観察者11は第2の表示画像9を実質的に同時に見ることができ、しかも各々の表示画像8、9は表示部7の表示面全体にわたって見ることができることを概念的に示している。図1において、第1の画像ソース1は例えばDVDプレーヤやテレビ受信機等で、第1の画像データはそれらから出力される映画画像や受信画像である。また、第2の画像ソース2は例えばカーナビゲーション装置等で、第2の画像データはそこから出力される地図やルート案内画像等である。そして、それぞれの第1の画像データ3および第2の画像データ4は表示制御部5に供給され、それら画像データは、表示部7で実質的に同時に表示できるように処理される。
表示制御部5から表示データ6を供給される表示部7は、後述する視差バリアを備えた液晶表示パネル等で構成される。表示部7の横方向の総画素の半数が第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像8の表示に、残りの半数の画素が第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像9の表示に使用される。表示部7に対して左側に位置する観察者10には、第1の表示画像8に対応する画素のみが見え、第2の表示画像9は表示部7の表面に形成されている視差バリアによって遮られて実質的に見えない。また一方で、表示部7に対して右側に位置する観察者11には、第2の表示画像9に対応する画素のみが見え、第1の表示画像8は視差バリアにより遮られて実質的に見えない。
係る構成により、単一の画面で左右の利用者に異なる情報やコンテンツを提供することができる。もちろん、第1の画像ソース1と第2の画像ソース2とが同じであれば、従来通り左右の利用者が同じ画像を見ることもできる。
上記のとおり、本発明に係る表示装置では、複数の画像が表示される画面はあくまでも1つであり、この1つの画面上に、それぞれ独立して画質調整が行える複数の画像(図1では、2種類の画像)を同時に表示することを可能にしている点に注意すべきである。
図2は、本発明に係るマルチビュー表示装置の車両への搭載例を示す斜視図である。図中、12は助手席、13は運転席、14はウインドシールド、15は操作部、16はスピーカである。
図1のマルチビュー表示装置の表示部7は、例えば図2に示すように、運転席13と助手席12とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。マルチビュー表示装置に対する各種操作は、表示部7の表面に一体的に形成したタッチパネル(図示せず)や操作部15、または、赤外線もしくは無線リモートコントローラ(図示せず)の操作によって行われる。車両の各ドアにはスピーカ16が配置され、表示画像に連動した音声や警告音等が出力される。
運転席13に図1の観察者11が、助手席12には観察者10が座る。表示部7に対する第1視方向(運転席側)から見ることができる画像は例えばカーナビゲーション装置の地図等の画像であり、実質的に同時に第2視方向(助手席側)から見ることができる画像は例えばテレビ受信画像やDVD映画画像である。したがって、運転席13の運転者がカーナビゲーションによる運転支援を受けるのと同時に助手席12の同乗者はテレビやDVDを楽しむことができる。しかも、それぞれの画像は例えば7インチの画面全体を使用して表示されるため、従来のマルチウインドウ表示のように画像サイズが小さくなることもない。つまり、運転者、同乗者にとっては、あたかも各々に独立した専用のディスプレイがあるかの如く、それぞれに最適な情報やコンテンツが提供されるのである。
図3は、表示部7の断面構造の概略図である。図中、100は液晶表示パネル、101はバックライト、102は液晶表示パネルのバックライト側に設置された偏光板、103は液晶表示パネルの発光方向側の前面に配置された偏光板、104はTFT(Thin Film Transistor)基板、105は液晶層、106はカラーフィルタ基板、107はガラス基板、108は視差バリアである。液晶表示パネル100は、TFT基板104とそれに対向して配置されるカラーフィルタ基板106の間に液晶層105を挟持した一対の基板と、その発光方向側の前面に配置された視差バリア108とガラス基板107とを、2枚の偏光板102・103の間に挟んだ構成となっており、バックライト101からやや離隔して配設される。そして、これらの構造により、液晶表示パネル100は、RGB色(三原色)で構成される画素を有することとなる。
液晶表示パネル100の各画素は、左側(助手席側)表示用と、右側(運転席側)表示用に分けられて表示制御される。そして、左側(助手席側)表示用画素は、視差バリア108により右側(運転席側)への表示は遮断され、左側(助手席側)からのみ見えるようになっている。また一方で、右側(運転席側)表示用画素は、視差バリア108により左側(助手席側)への表示が遮断され、右側(運転席側)からのみ見えるようになっている。これによって、運転者と同乗者に異なった表示を提供することが可能となる。つまり、運転者にはナビゲーションの地図情報を与え、同時に同乗者にはDVDの映画等を見せることが可能となる。なお、視差バリア108、上記液晶表示パネルの各画素の構成を変更すれば、3方向等、複数方向に異なった画像を表示する構成も可能である。また一方で、視差バリア自体を電気的に駆動可能な液晶シャッタ等で構成して視野角を可変するようにしてもよい。
図4は、表示パネルを正面から見た構造の概略図であり、前述の図3は図4中のA−A′断面である。図中、109は左側(助手席側)表示用の画素、110は右側(運転席側)表示用の画素である。図3および図4は、例えば横方向に800画素、縦方向に480画素並べられた液晶表示パネル100の一部を表す。左側(助手席側)表示用の画素109と右側(運転席側)表示用の画素110は縦方向にグループ化され、交互に並んでいる。視差バリア108は、横方向にある間隔で配置され、縦方向には一様である。これによって、左側から表示パネルを見ると、視差バリア108が右側用画素110を覆い隠して、左側用画素109が見える。また同様に右側から見ると、視差バリア108が左側用画素109を覆い隠して、右側用画素110が見える。さらに正面付近では、左側用画素109と右側用画素110の両方が見えるため、左側の表示画像と右側の表示画像とが実質的に重なって見える。ここで、図4中の交互に並んだ左側用画素109および右側用画素110は、図3のようにRGB色を有しているが、各グループの縦方向内は、R列、G列、B列のように単色で構成されていてもよいし、RGBが複数混じった列として構成されていてもよい。
図5はTFT基板104の概略を示す回路図である。111は表示パネル駆動部、112は走査線駆動回路、113はデータ線駆動回路、114はTFT素子、115〜118はデータ線、119〜121は走査線、122は画素電極、123はサブピクセルである。
図5に示すように、サブピクセル123は各データ線115〜118および各走査線119〜121によって囲まれた領域を一単位とし、複数形成される。各サブピクセルには、液晶層105に電圧を印加する画素電極122とそれをスイッチング制御するTFT素子114が形成されている。表示パネル駆動部111は、走査線駆動回路112およびデータ線駆動回路113の駆動タイミングを制御する。走査線駆動回路112はTFT素子114の選択走査を行い、またデータ線駆動回路113は画素電極122への印加電圧を制御する。
上記複数のサブピクセルは、第1の画像データと第2の画像データの合成データもしくは、第1と第2の個々の画像データに基づいて、例えばデータ線115と117に第1の画素データ(左側の画像表示用)を、またデータ線116と118に第2の画素データ(右側の画像表示用)を送信することよって、第1の画像を表示する第1の画素群と第2の画像を表示する第2の画素群とを形成する。
図6は、本発明に係る表示装置の概略を示すブロック図であり、いわゆるAVN(Audio Visual Navigation) 複合機への適用例である。図中、124はタッチパネル、200は制御部、201はCD/MD再生部、202はラジオ受信部、203はTV受信部、204はDVD再生部、205はハードディスク(HD:Hard Disk)再生部、206はナビゲーション部、207は分配回路、208は第1の画像調整回路、209は第2の画像調整回路、210は音声調整回路、211は画像出力部、212はVICS情報受信部、213はGPS情報受信部、214はセレクタ、215は操作部、216はリモコン送受信部、217はリモコン、218はメモリ、219は外部音声/映像(画像)入力部、220はカメラ、221は明るさ検知部、222は乗員検知部、223はリア表示部、224はETC車載器、225は通信ユニットである。
表示部7は、タッチパネル124、液晶表示パネル100およびバックライト101から構成される。表示部7の液晶表示パネル100は、これまでに述べてきたように、第1視方向として運転席側から見られる画像と、第2視方向として助手席側から見られる画像とを、実質的に同時に表示することが可能となっている。なお、表示部7には、液晶表示パネル以外のフラットパネルディスレイ、例えば有機ELディスプレイ・パネル、プラズマ・ディスプレイ・パネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることもできる。
各種ソース(CD/MD再生部201、ラジオ受信部202、TV受信部203、DVD再生部204、HD再生部205およびナビゲーション部206)からの画像データや音声データは、制御部200からの指示に基づき左用に指定された画像ソースの画像データを第1の画像調整回路208に、右用に指定された画像ソースの画像データを第2の画像調整回路209に分配する分配回路207を介して、画像データであれば第1の画像調整回路208および第2の画像調整回路209に、音声データであれば音声調整回路210にそれぞれ分配される。そして、第1および第2の画像調整回路208、209では、画像の輝度や色調、コントラストなどが調整され、調整された各画像は画像出力部211にて、表示部7に表示される。また音声調整回路210では各部のスピーカへの分配や音量、音質が調整され、調整された音声が、対応するスピーカ16から出力される。
図7は画像出力部211の概略を示すブロック図である。図中、226は第1の書込回路、227は第2の書込回路、228はVRAM(Video Random Access Memory:グラフィックス・ディスプレイのフレーム・バッファ専用RAM)である。
画像出力部211は、例えば図7に示すように、第1の書込回路226と第2の書込回路227とVRAM(Video RAM)228と表示部駆動部111とを備えている。例えば、第1の書込回路226は、第1の画像調整回路208で調整された画像データのうち奇数列に対応する画像データ(すなわち、図1の第1の表示画像8用の画像データ)を、第2の書込回路227は、第2の画像調整回路209で調整された画像データのうち偶数列に対応する画像データ(すなわち、図1の第2の表示画像9用の画像データ)をもとにし、それぞれVRAM228における該当する領域に書き込む。また表示部駆動部111は液晶表示パネル100を駆動する回路であり、VRAM228に保持されている画像データ(第1の画像データと第2の画像データの合成データ)に基づいて、液晶表示パネル100の対応する画素を駆動する。尚、VRAM228には第1の画像データと第2の画像データの合成されたマルチビュー表示用の画像に対応するように画像データの書き込みが行われているので、駆動回路は1つでよく、その動作も通常の液晶表示装置の駆動回路の動作と同じである。また別の構成として、第1の画像データと第2の画像データを合成せずに、それぞれの画像データに基づいて、液晶表示パネルの対応する画素を駆動する第1の表示パネル駆動回路および第2の表示パネル駆動回路を用いることも考えられる。
ここで、図6で示した各種ソースの一例について説明をすると、HD再生部205を選択した場合、ハードディスク(HD)に記憶されたMP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、再生すること等を行う音楽データや画像データを選択するためのメニュー表示や画像データを表示部7に表示させることができる。
ナビゲーション部206は、ナビゲーションの為に利用される地図情報を記憶した地図情報記憶部を備え、VICS情報受信部212、GPS情報受信部213から情報を入手し、ナビゲーション動作の為の画像を作成し、出力する。またTV受信部203は、アンテナからセレクタ214を介して、アナログTV放送波およびディジタルTV放送波を受信し、その画像を出力する。
また、外部音声/映像(画像)入力部219に接続された、例えば後方監視用のカメラ220からの映像(画像)を表示部7に表示するようにしてもよい。なお、後方監視用カメラ220以外に、ビデオカメラおよびゲーム機等を外部音声/映像(画像)入力部219に接続してもよい。
図8は制御部200の概略を示すブロック図である。図中、229はインターフェース、230はCPU、231は記憶部、232はデータ記憶部である。
制御部200は、分配回路207ならびに各種ソースを制御し、選択された2つのソースもしくは1つのソースについて表示を行わせる。また制御部200は、これら各種ソースをコントロールするための操作メニュー表示を表示部7に表示させることも行っている。ここで、図8で示すように、制御部200はマイクロプロセッサなどで構成され、インターフェース229を介して、表示装置内の各部や各回路を統括的に制御しているCPU230を備えている。このCPU230には、表示装置の動作に必要な各種のプログラムを保持するROM(Read-Only Memory:リード・オンリ・メモリ)からなるプログラム記憶部231と、各種のデータを保持するRAM(Random Access Memory:ランダム・アクセス・メモリ)からなるデータ記憶部232とが設けられている。なお、ROMやRAM等は、CPUに内蔵されたものでも、外部に設けたものでも使用することが可能である。また、ROMはフラッシュメモリのように電気的に書替可能な不揮発性メモリでもよい。
利用者(ユーザ)は、上記各種ソースの操作を、表示部7の表面に取り付けられているタッチパネル124や表示部7の周囲に設けられたスイッチ、もしくは音声認識等の入力操作や選択操作を操作部215によって行うことができる。またリモコン送受信部216を介して、リモコン217により入力もしくは選択操作をしてもよい。制御部200は、このタッチパネル124や操作部215の操作に従って、各種ソースに対する制御を含めた制御を行っている。また、制御部200は、図2のように車両内に複数備え付けられたスピーカ16の各音量等を、音声調整回路210を用いて制御することができるように構成されている。また制御部200は、メモリ218に画質設定情報やプログラム、車両情報等の各種設定情報を記憶させることも行っている。
図9はメモリ218の概略を示すブロック図である。図中、233は第1の画面RAM、234は第2の画面RAM、235は画質設定情報記憶部、236は対環境調整値保持部である。なお、上記の第1の画面RAM、第2の画面RAM、画質設定情報記憶部、および対環境調整値保持部の具体的な構成に関しては、図17にても後述する。
メモリ218は、例えば図9に示すように、利用者が設定した第1の画像および第2の画像の画質の調整値をそれぞれ書込可能な第1の画面RAM233および第2の画面RAM234を有する。また、第1の画像および第2の画像の画質を調整する場合に、読み出すことができる各画質調整用のプリセット値として予め複数段階の画質調整値が記憶されている画質設定情報記憶手段235も有する。さらに車外の明るさ変化等の周囲環境変化に応じて画質を調整するために、周囲環境に対する第1の画像および第2の画像の画質の調整値を保持する対環境調整値保持手段236を有している。ここで画質設定情報記憶手段235および対環境調整値保持手段236は、フラッシュメモリなどの電気的に書替可能不揮発性メモリまたはバッテリバックアップされた揮発性メモリにより構成される。
制御部200は、明るさ検知部221(例えば、車両のライトスイッチや光センサ)や乗員検知部222(例えば、運転席や助手席に設けられる感圧センサ)により検知された情報を元に、音声の定位位置等の設定を変更させることが可能である。
223は車両の後席用に設けられたリア表示部であり、画像出力部211を介して、表示部7に表示される画像と同じもの、または運転席用の画像もしくは助手席用の画像のいずれか一方が表示可能である。
制御部200は、ETC車載器250からの料金表示等を表示させることを行っている。また制御部200は、携帯電話などと無線接続するための通信ユニット225を制御し、これに関する表示がされるようにしてもよい。
ついで、添付図面(図10〜図24)を参照しながら、本発明の好ましい実施形態(実施例)を説明する。
図10は、本発明の第1の実施形態に係るマルチビュー表示装置の構成を示すブロック図であり、図11は、図10の表示部10aの断面形状を概略的に示す図である。
ここでは、個々に画質の調整がなされた画像・音響ソースからの2種類の画像データをVRAM(Video Random Access Memory:グラフィックス・ディスプレイのフレーム・バッファ専用RAM)93に書き込むことにより、互いに独立した2種類の画像を同一の液晶表示パネル100aの画面に表示するような車載用のマルチビュー表示装置の構成を簡略化して示す。
図10のマルチビュー表示装置においては、車両の運転席および助手席に対してマルチビュー表示を行わせるための表示部10aが設けられている。この表示部10aでは、運転席等の第1の方向から観察される第1画像と助手席等の第2の方向から観察される第2画像とが、同一のマルチビュー表示パネル20にそれぞれ表示される。
マルチビュー表示パネル20の右側から見るユーザ(例えば、運転者)には、第1画像が観察され、左側から見るユーザ(例えば、助手)には第2画像が観察される。右側のユーザには第2画像は観察されず、左側のユーザには第1画像は観察されない。このため、右側のユーザは、左側のユーザの視線を気にすることなく自身の好みの画像を見ることができ、左側のユーザは右側のユーザの視線を気にすることなく自身の好みの画像を見ることができる。
さらに、図10の表示部10aは、液晶表示パネル100aの表面側に光学系分離素子104aが設けられてマルチビュー表示パネル20が形成され、さらにその前面にタッチパネル102aが形成された構造となっている。なお、原理的には、液晶表示パネル100a以外に、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマ・ディスプレイ・パネル等からなる表示器を用いることもでき、また一方で、光学系分離素子104aについては、液晶シャッタで構成してアクティブなもの(例えば、可変シャッタ)とすることも可能である。
図11に示すように、タッチパネル102aは、可撓性を有する一対の透明絶縁基板120a、128a、上記一対の透明絶縁基板上に形成された透明電極122a、126a、および上記透明電極上にマトリックス状に配置されたドットスペーサ124a等から構成される。ユーザが透明絶縁基板120a上を押圧することによってドットスペーサ124aが透明電極126aに接触すると、その接点の位置が電気抵抗の測定により検出され、図10の画像制御部8aにおいて、入力情報が読み取られるように構成されている。なお、タッチパネル102aは、上記の構成に限定されるものではなく、他の方式のものを採用することも可能である。
図11の液晶表示パネル100aは、液晶表示素子により構成されており、縦方向に複数の帯状部の表示領域に分割され、第1画像に対応する第1の表示領域110aと、第2画像に対応する第2の表示領域112aとが交互に形成されている。前述のように、図11の液晶表示パネル100aの表面側に、光学系分離素子104aが配置されマルチビュー表示パネル20が形成される。そして、液晶表示パネル100aの表示素子は、表示パネル駆動回路94により駆動制御される。
光学系分離素子104aは、運転席から観察される第1画像と、助手席から観察される第2画像とを所定の視野角で分離してマルチビュー表示を行わせる機能を有しており、ポリカーボネイト等から形成される透明カバー(または透明絶縁基板)130aを有する。この透明カバー130aの表裏の面には、複数の遮光部131a、133aが交互に形成され、その結果として、複数の透光性スリット部132a、134aが交互に形成されている。なお、図11では、透明カバー130aの表裏の面に複数の遮光部および複数の透光性スリット部を形成する例が示されているが、透明カバー130aの一方の面のみに、複数の遮光部および複数の透光性スリット部を形成することも可能である。
図11に示すように、運転席を含む第1視野領域内の第1の乗員(例えば、運転者)171は、光学系分離素子104aの作用によって、第1の表示領域110aの集合体としての画像のみを運転席用の第1画像として視認することができ、助手席を含む第2視野領域内の第2の乗員(例えば、助手)172は、光学系分離素子104aの作用によって、第2の表示領域112aの集合体としての画像のみを助手席用の第2の画像として視認することができる。このように実際は、1つの画面を縦方向に複数分割した1つおきの画像を視認することとなるが、1つの表示領域の幅を非常に狭くすることによって、運転席側からも、助手席側からも別々の画像をそれぞれ同時に視認することが可能になる。
好ましくは、予め設定された厚さおよび幅を有する透光性スリット部を使用して、マルチビューにおける視認角度や視認範囲や、クロストーク等が決定される。
図10のマルチビュー表示装置において、画像・音響ソースの例として、テレビ受像機21やナビゲーション装置22(案内音声が音声出力となる)、DVD再生機32が例えば、車室内のインストルメントパネル内等に設けられ、それぞれが異なった方向から画像が観察できる画像・音響ソースとなっている。
さらに、図10のマルチビュー表示装置においては、表示パネル駆動回路94が設けられている。この表示パネル駆動回路94は、表示することが選択された画像・音響ソースから送出される画像データ(異なった画像・音響ソースの画像を表示する場合は、選択された2つの画像・音響ソースの画像データ)を処理してマルチビュー表示パネル20を駆動する信号を生成し、それぞれ対応する第1画像および第2画像をマルチビュー表示パネルにそれぞれ表示させる。
さらに、図10のマルチビュー表示装置は、画像・音響ソースから送出される第1画像データと第2画像データとが同時に入力される入力選択回路80を備えている。この入力選択回路80では、ユーザが選択した画像・音響ソースの2種類の画像データ(第1画像データ、および第2画像データとして選択、なお、上記画像データが同じ場合もある)が次段に出力される。
さらに、図10のマルチビュー表示装置における画質調整部88は、第1画像の画質の調整を行う第1の画質調整回路81と、第2画像の画質の調整を行う第2の画質調整回路82とを備えている。ここで、第1の画質調整回路81による第1画像の画質の調整と、第2の画質調整回路82による第2画像の画質の調整とは、互いに独立して遂行される。上記の第1および第2の画質調整回路81、82による画質調整方法としては、アナログ的に行う方法もあるが、入力された画像データをディジタル化して処理用のメモリ(図示されていない)に記憶し、その画像データを演算処理することにより画質調整を行うのが実際上好ましい。
さらに、図10のマルチビュー表示回路は、第1の書込回路91と、第2の書込回路92と、VRAM93と、前述の表示パネル駆動回路94とを備えている。ここで、第1の書込回路91は、マルチビュー表示パネル20の画面の奇数列に出力される画像データをVRAM93の該当列に書き込み、第2の書込回路72は、同画面の偶数列に出力される画像データをVRAM93の該当列に書き込む。
表示パネル駆動回路94は、液晶表示パネル100aを駆動するドライバ回路であり、VRAM93に保持されている第1画像データおよび第2画像データに基づいて、液晶表示パネル100aの対応する画素を駆動する。既に説明したように、VRAM93には、マルチビュー表示用の画像に対応するように画像データの書き込みが行われているので、駆動回路は1つでよく、その動作も通常の液晶表示装置の駆動回路の動作と同じである。
さらに、図10のマルチビュー表示装置は、入力選択回路80、第1の画質調整回路81、第2の画質調整回路82、第1の書込回路91、第2の書込回路92、VRAM93、および表示パネル駆動回路94の動作を統括的に制御するための画像制御部8aを備えている。この画像制御部8aは、マイクロコンピュータ(マイコン)により構成される。このマイコンには、表示装置の動作に必要な各種のプログラムを保持するROM(Read-Only Memory:リード・オンリ・メモリ)等のプログラム記憶部83と、各種のデータを保持するRAM等の画像情報記憶部84とが設けられている。なお、ここでは、ROMやRAM等をマイコンの外部に設けているが、マイコンに内蔵のROMやRAM等を使用することも可能である。
さらに、図10のマルチビュー表示装置においては、各種のデータを入力するためのタッチパネルやリモコンの操作キー等の入力手段60や、第1画像または第2画像の画質の調整状態を選択するための選択手段(例えば、選択ボタン等)62を含む操作部6aが設けられている。このような操作部6aとして、音量または/および音質の調整操作の開始を指示する音声調整操作開始指示手段、音量または/および音質の調整操作の完了を指示する音声調整操作完了指示手段、第1の音声または/および第2の音声の音量または/および音質を調整する音声調整操作手段等が挙げられる。選択手段62として、一方の音量または/および音質の調整状態を示す音声調整設定値を他方の音声調整設定値とする音声調整設定値の複写を指示する音声調整複写操作手段と、モード切替操作手段、一方の音量または/および音質の調整状態を示す音声調整設定値と、他方の音量または/および音質の調整状態を示す音声調整設定値との入れ替えを指示する音量調整入替操作手段、音量または/および音質の調整状態を示す音声調整設定値の登録を指示する音声調整設定値登録操作手段(例えば、登録スイッチ)、予め、または後述する登録処理により記憶されている音声調整設定値の呼び出しを指示する音声調整設定値読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)が挙げられる。なお、選択手段62は、入力手段60と同様にタッチパネルやリモコンの操作キーで構成してもよい。また、前述の音声調整設定値登録操作手段と音声調整設定値読出操作手段とを兼用する音声調整設定値登録/読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)を設け、操作状態(長押し/短押し)で機能(登録指示/読出指示)を切り替える場合もある。
さらに、図10のマルチビュー表示装置においては、運転席側および助手席側の周囲環境の変化を検出する周囲環境センサ(例えば、明るさセンサ等)70を含む各種のセンサ7aが配置されている。この周囲環境センサ70として、音量・音質に影響を与える騒音センサや窓開閉センサ等も別個に設けられている。なお、周囲環境センサ70は、運転席および助手席の周囲環境の変化(明るさ、騒音等)を共通に検出するための共通の周囲環境センサであってもよいし、運転席、助手席の周囲環境の変化をそれぞれ別々に検出するための複数の周囲環境センサであってもよい。
図10のマルチビュー表示装置においては、車両の運転席(第1の場所)用に選択されている画像・音響ソースの第1の音声を出力する第1の音声出力部51、および助手席(第2の場所)用に選択されている画像・音響ソースの第2の音声を出力する第2の音声出力部52が設けられている。ここでは、運転席側の第1の音声出力部51のスピーカ等から第1の音声が出力され、かつ、助手席側の第2の音声出力部52のスピーカ等から第2の音声が出力される。
さらに、図10の音響制御装置においては、音響制御部1a、音量・音質調整部33および出力分配回路4aが設けられている。
より詳しくいえば、音響制御部1aは、特定の音響ソースから送出される第1の音響情報(すなわち、第1の音響信号)と特定の画像・音響ソースから送出される第2の音響情報(すなわち、第2の音響信号)とを適宜処理し、それぞれ対応する第1の音声および第2の音声を第1の音声出力部51および第2の音声出力部52にそれぞれ出力させるようにするために、音量・音質調整部33および入力選択回路80に対する適切な音響制御を行う。好ましくは、音響制御部1aと画像制御部8aは、共通のマイコンにより構成される。
音量・音質調整部33は、音響制御部1aによる制御に基づいて、第1の音響信号の音量・音質の調整を行う第1の音量・音質調整回路3a−1と、音響制御部1aによる制御に基づいて、第2の音響信号の音量・音質の調整を行う第2の音量・音質調整回路3a−2とを具備している。これらの第1の音量・音質調整回路3a−1および第2の音量・音質調整回路3a−2は、ディジタルフィルタ等を用いてディジタル形式の音響信号の処理を行うDSPにより構成される。
ここで、第1の音量・音質調整回路3a−1は、画像・音響ソースの第1の音響信号の音量・音質の調整を行う機能を有しており、第2の音量・音質調整回路3a−2は、画像・音響ソースの第2の音響信号の音量・音質の調整を行う機能を有しており、第1の音量・音質調整回路3a−1による第1の音響信号の音量・音質の調整と、第2の音量・音質調整回路3a−2による第2の音響信号の音量・音質の調整とは、互いに独立して遂行される。
入力選択回路80は、第1の音量・音質調整回路3a−1および第2の音量・音質調整回路3a−2に入力される音響ソースの信号を選択する。出力分配回路4aは、画像・音響ソースの選択状態に応じて、音量・音質の調整が行われた第1の音響信号に対応する第1の音声および第2の音響信号に対応する第2の音声を生成する。例えば、出力分配回路4aは、運転席用スピーカ、助手席用スピーカから各座席の表示画像に対応した音声が出力されるように音響信号を分配する。なお、入力選択回路および出力分配回路は、スイッチング回路やリレー等で構成することが可能である。
最終的に、出力分配回路4aにて生成された第1の音声および第2の音声は、予め指定された運転席側の第1の音声出力部51および助手席側の第2の音声出力部52からそれぞれ出力される。これによって、運転席側と助手席側とで互いに独立に第1の音声および第2の音声の音量・音質の調整を行うことが可能になる。
図10の音響制御装置における音響制御部1aは、第1の音量・音質調整回路3a−1、第2の音量・音質調整回路3a−2および分配回路4a等の各構成要素の動作を統括的に制御する機能を有している。この音響制御部1aには、マルチビュー表示装置の動作に必要な各種のプログラムを保持するROM等のプログラム記憶部11aと、音響情報に関係する各種のデータを保持するRAM等のデータ記憶部とが設けられている。なお、ここでは、ROMやRAM等を音響制御部1aの外部に設けているが、音響制御部1aに内蔵のROMやRAM等を使用することも可能である。
上記のデータ記憶部として、第1の音声の調整状態を示す音声調整設定値を記憶する第1の音声の音声調整設定値記憶部17、および第2の音声の調整状態を示す音声調整設定値を記憶する第2の音声の音声調整設定値記憶部18を含む音声調整状態記憶部12aや、第1の音声および第2の音声に関する複数の音声調整設定値を保持する設定値保持手段15aが挙げられる。なお、上記の設定値保持手段として、第1の音声または/および第2の音声の音声調整設定値をプリセット値として予め、または後述する登録処理により保持するプリセットRAM(すなわち、プリセット保持手段)や、第1の音声および第2の音声の音声調整設定値の設定頻度に関する情報を記憶する音声調整設定値情報記憶手段や、周囲環境に対して設定される第1の音声および第2の音声の音声調整設定値を保持する対環境調整設定値保持手段や、電源OFF(オフ)時点直前の第1の音声の音声調整設定値記憶部17に記憶されている音声調整設定値または/および第2の音声の音声調整設定値記憶部18に記憶されている音声調整設定値等、次回起動時に設定される音声調整設定値を記憶する初期音声調整設定値記憶手段や、モード切替操作手段により選択されたモードが記憶されるモード記憶部等が挙げられる。さらに、上記のデータ記憶部として、車両内に乗車している乗車人員(乗員)の状態(例えば、乗員の総数、各乗員が乗車している座席)に関する情報を記憶する乗車人員情報記憶手段等の音響設定情報記憶手段16aが挙げられる。
より詳しくいえば、プリセットRAMには、選択手段62の音声調整設定値読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)に対応して第1の音声または/および第2の音声の音量または/および音質の音声調整設定値が記憶されるようになっている。そして、音声調整設定値読出操作手段が操作されれば、該当する音声調整設定値がプリセットRAMから読み出され、第1の音声の音声調整設定値記憶部17または/および第2の音声の音声調整設定値記憶部18に書き込まれ、第1の音声または/および第2の音声が音量設定値に基づいて調整されることになる。また一方で、選択手段62の音声調整設定値登録操作手段(例えば、登録スイッチ)および音声調整設定値読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)が操作されれば、第1の音声の音声調整設定値記憶部17または/および第2の音声の音声調整設定値記憶部18に書き込まれている音声調整設定値が、プリセットRAMにおける音声調整設定値読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)に対応する領域に書き込まれる。なお、プリセットRAMのプリセット音声調整設定値の一部をメーカで設定した固定値とする方法も有用である。なお、前述したように、音声調整設定値登録操作手段と音声調整設定値読出操作手段とを兼用する音声調整設定値登録/読出操作手段を設け、操作状態(長押し/短押し)で機能(登録指示/読出指示)を切り替えてもよい。また、1つの音声調整設定値読出操作手段に対応して複数の音声調整設定値を保持するようにしてもよい。その場合は、音声調整設定値読出操作手段の操作毎に、プリセットRAMの操作された音声調整設定値読出操作手段に対応する領域に保持された音声調整設定値がサイクリックに読み出される。
第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18および第2の音声調整設定値記憶部18には、音声調整設定値が書き込まれ、この第1および第2の音声調整設定値記憶部17、18に書き込まれた値に応じて、第1および第2の音量・音質調整回路3a−1、3a−2が音声の音量または/および音質の調整を行う。
図10のマルチビュー表示装置によれば、運転席から観察される第1画像の画質の調整と、助手席から観察される第2画像の画質の調整とを互いに独立して行い、画質が調整された各々の画像信号をVRAMに書き込むことにより、運転席側と助手席側とで互いに独立した画像を表示することができると共に、運転席側における第1の音声の音量または/および音質の調整と、助手席側における第2の音声の音量または/および音質の調整とを互いに独立して行い、音量・音質が調整された各々の音響信号を、予め指定された第1のスピーカおよび第2のスピーカからそれぞれ出力することにより、運転席側と助手席側とで互いに独立した音質または/および音量の調整を行うことができる。それゆえに、運転席および助手席等の各座席に適した表示画像の調整が可能になると共に、上記の各座席に適した音声の調整が可能になる。
なお、各音声の調整処理については、後述する。
図12は、本発明の第2の実施形態に係るマルチビュー表示装置の構成を示すブロック図であり、図13は、図4の表示部10aの断面形状を概略的に示す図である。
ここでは、前述の図10の実施形態の場合と同様に、個々に画質の調整がなされた画像・音響ソースからの2種類の画像データをVRAM93に書き込むことにより、互いに独立した2種類の画像を同一のマルチビュー表示パネル20の画面に表示するような車載用のマルチビュー表示装置の構成を簡略化して示す。
図12の第2の実施形態に係るマルチビュー表示装置においては、前述の図10の第1の実施形態の場合と同様に、車両の運転席および助手席に対してマルチビュー表示を行わせるための表示部10aが設けられている。図12の表示部10aでは、前述の図10の第1の実施形態の場合と異なり、液晶表示パネル100aの表面側に、光学系分離素子104aの代わりに液晶シャッタ106aが形成されている。具体的には、図12の表示部10aは、液晶表示パネル100aの表面側に液晶シャッタ106aが設けられてマルチビュー表示パネル20が形成され、さらにその前面にタッチパネル102aが形成された構造となっている。図12のマルチビュー表示装置のその他の構成は、前述の図10の第1の実施形態の構成と同じである。したがって、ここでは、図12および図13の表示部10a以外の構成要素に関する詳細な説明を省略する。
図12に示すように、タッチパネル102aは、前述の図11のタッチパネルと同様に、可撓性を有する一対の透明絶縁基板120a、128a、上記一対の透明絶縁基板上に形成された透明電極122a、126a、および上記透明電極上にマトリックス状に配置されたドットスペーサ124a等から構成される。
図13の液晶表示パネル100aは、前述の図10のマルチビュー表示パネルと同様に、液晶表示パネルにより構成されており、縦方向に複数の帯状部の表示領域に分割され、第1画像が表示される第1の表示領域110aと、第2画像が表示される第2の表示領域112aとが交互に形成されている。前述のように、液晶表示パネル100aの表面側に液晶シャッタ106aが配置されてマルチビュー表示パネル20が形成される。そして、液晶表示パネル100aの表示素子は、表示パネル駆動回路94により駆動制御される。
液晶シャッタ106aは、運転席から観察される第1画像と、助手席から観察される第2画像とを所定の視野角で分離してマルチビュー表示を行わせる機能を有している。より詳しくいえば、液晶シャッタ106aは、2枚の透明ガラス基板141、145と、これらの透明ガラス基板141、145間に封入された液晶143と、透明ガラス基板141の下面側および透明ガラス基板145の上面側に配置された偏光板140、146とを有する。
透明ガラス基板141の液晶143側の面には、ITO(Indium-Tin Oxide:インジウム酸化錫)等からなる透明電極142が形成されている。また一方で、透明ガラス基板145の液晶143側の透明電極142と対向する面には、ITO等からなる透明電極144が形成されている。これらの相対向する透明電極142、144と、これらの透明電極142、144間の液晶143とにより、液晶シャッタ106aの主要部が構成される。
透明電極142、144は、画像制御部8a(図12参照)に接続されており、この画像制御部8aから、液晶シャッタ106aを駆動するための駆動信号が供給される。このような構成の液晶シャッタ106aにおいて、一方の透明電極142と他方の透明電極144との間に、上記駆動信号による電圧が印加されていない状態では、液晶表示パネル100aを通過した光は、例えばクロスニコルの状態に配置されている2枚の偏光板を通過して運転席および助手席の両方に到達する。
また一方で、一方の透明電極142と他方の透明電極144との間に所定の電圧が印加された場合、一方の透明電極142と他方の透明電極144との間の液晶143の向きが変化し、これらの透明電極142、144間の領域では、光が遮断される。この結果、運転席を含む第1視野領域内の第1の乗員(例えば、運転者)171は、液晶シャッタ106aの作用によって、第1の表示領域110aの集合体としての画像のみを運転席用の第1画像として視認することができ、助手席を含む第2視野領域内の第2の乗員(例えば、助手)172は、液晶シャッタ106aの作用によって、第2の表示領域112aの集合体としての画像のみを助手席用の第2画像として視認することができる。このように実際は、1つの画面を縦方向に複数分割した1つおきの画像を視認することとなるが、1つの表示領域の幅を非常に狭くすることによって、運転席側からも、助手席側からも別々の画像をそれぞれ同時に視認することが可能になる。
この構成の場合、第1の画質調整回路81および第2の画質調整回路82(いずれも図12参照)は、一方の透明電極142と他方の透明電極144との間に印加される電圧の大きさを変化させて液晶シャッタ106aの透過率を制御することにより、第1画像および第2画像の各々の画質の補正処理を行うことも可能である。
図14および図15を用いて、図10〜図13に示すマルチビュー表示装置の音声調整処理を説明する。図14および図15は、図10および図12に示す音響制御部1aの音声調整処理を説明するためのフローチャートのその1およびその2である。なお、音響制御部1aが、音声調整手段、音声調整複写手段、音声調整入替手段、プリセット音声調整手段、プリセット登録手段、モード切替手段、音声出力遮断手段、および初期音声調整手段に相当する。
本フローチャートは、図10および図12に示す音響制御部が、入力手段60の音声調整操作指示手段からの音量または/および音質を調整する音声調整操作の開始指示を検出したときに実行される。つまり、ユーザ(利用者)によって、入力手段60の音声調整操作指示手段が操作されると本フローチャートが実行される。
なお、ステップS7およびS8が、独立モードで、音声調整操作手段の操作を検出して、第1の音声または第2の音声の音声調整設定値の調整を行う音声調整処理であり、ステップS9およびS10は、独立モードで、音声調整複写操作手段を検出して、他方の音声調整設定値を一方の音声調整設定値とする音声調整複写処理であり、ステップS11およびS12は、独立モードでの音声調整設定値のプリセット処理であり、ステップS13およびS14は、独立モードでの音声調整設定値のプリセット読出処理であり、ステップS19およびS20は、共通モードで、音声調整操作手段の操作を検出して、第1の音声または第2の音声の音声調整設定値の調整を行う音声調整処理であり、ステップS21およびS22は、共通モードで、第1の音声の音声調整設定値と第2の音声の音声調整設定値とを入れ替える音声調整入替処理であり、ステップS23およびS24は、共通モードでの音声調整設定値のプリセット処理であり、ステップS25およびS26は、共通モードでの音声調整設定値のプリセット読出処理である。
なお、音声調整処理として音量を調整する例について説明するが、音質の調整、音量および音質の両方の調整でも同様の処理を行う。
まず、画像制御部8aに図16の(a)に示す独立モード/共通モードを選択するモード選択画像の表示を指示し、表示部10aにモード選択画像を表示させる(図14のステップS1)。なお、モード選択画像は、音量調整対象の音声に対応する方向にのみに表示してもよいし、両方に表示してもよい。なお、15Aは単独モード選択操作部、15Bは共通モード選択操作部(15A、15Bがモード切替操作手段に対応)であり、15Cは調整完了スイッチ(音声調整操作完了手段に対応)である。
次に、操作部6a(図16の(a)の15A〜15C)が操作されたか否かを判定し、操作部6aの単独モード選択操作部15Aが操作されたことを検出した場合は、ステップS3に進み、操作部6aの共通モード選択操作部15Bが操作されたことを検出した場合は、ステップS17に進み、操作部6aの調整完了スイッチ15Cが操作されたことを検出、あるいは所定時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合、処理を終了する(ステップS2)。ステップS1およびS2がモード切替手段に対応する。つまり、ステップS2では、ユーザ(利用者)の操作部6a(選択手段62)のモード切替操作手段の操作状態を判定し、独立モードの場合にはステップS3に進み、共通モードである場合にはステップS17に進む。
次に、独立モードでの音声調整処理を説明する。
ステップS3では、画像制御部8aに図16の(b)に示す単独モード音声調整画像の表示を指示して表示部10aに単独モード音声調整画像を表示させ、ステップS4に進む。なお、図16の(b)中、15Dは音量アップスイッチ(音声調整操作手段に対応)、15Eは音量ダウンスイッチ(音声調整操作手段に対応)、15Fは音量調整設定値複写スイッチ(音声調整複写操作手段に対応)、15Gはプリセットスイッチ(音声調整設定登録/読出操作手段に対応)、15Hは戻るスイッチ、15Iは調整完了スイッチ(音声調整操作完了指示手段に対応)である。
ステップS4では、出力分配回路4aに音声調整対象の音声以外の音声の出力の遮断を指示してステップS5に進む。
ステップS5では、音量調整を行いやすい所定の調整用音声(例えば、ホワイトノイズ等)を音声調整対象音声が出力される音声出力部から出力させてステップS6に進む。
ステップS6では、操作部6a(図16の(b)の15D〜15I)が操作されたか否かを判定し、図16の(b)の15D〜15Hが操作されたことを検出した場合、ステップS7に進み、操作部6aの操作完了スイッチ15I(音声調整操作完了指示手段)が操作されたことを検出した場合、または所定時間、操作部6a(図15の(b)の15D〜15I)がいずれも操作されないことを検出した場合、処理を終了する。
ステップS7では、ステップS6(または、後述するステップS16)で検出した操作が音量アップスイッチ15D、音量ダウンスイッチ15Eの操作か否かを判定し、検出した操作が音量アップスイッチ15D、音量ダウンスイッチ15Eである場合、ステップS8に進み、検出した操作が音量アップスイッチ15D、音量ダウンスイッチ15E以外である場合、ステップS9に進む。つまり、ステップS7では、ユーザ(利用者)が操作部6a(入力手段60)の音声調整操作手段を用いて音量調整操作を行った場合にはステップS8に進み、そうでない場合には、ステップS9に進む。
ステップS8では、音量アップスイッチ15D、音量ダウンスイッチ15Eからの音量調整指示に応じて、音声調整対象の音声の音声調整設定値を調整し、音声調整対象の音声に対応する音声調整状態記憶部12a(第1の音声が音声量調整対象である場合には、第1の音声の音声調整設定値記憶部17、第2の音声が音声調整対象である場合には、第2の音声の音声調整設定値記憶部18)に保持されている音声調整設定値を調整された音量調整設定値で書き替えると共に、調整された音量調整設定値に対応する音声調整指示を、音声調整対象の音声に対応する音量・音質調整回路部33(第1の音声が音声量調整対象である場合には、第1の音量・音質調整回路3a−1、第2の音声が音声調整対象である場合には、第2の音量・音質調整回路3a−2)に出力してステップS16に進む。つまり、ステップS8では、第1の音声が音声量調整対象の音声である場合、操作部6aの音声調整操作手段からの音声調整指示(ユーザの音声調整操作)に応じて、第1の音声の音声調整設定値記憶部17の音声調整設定値を書き替えると共に、第1の音声の音声調整設定値記憶部17に書き込まれた音声調整設定値に対応する音声調整指示を第1の音量・音質調整回路3a−1に送信して第1の音声の音量を変更し、第2の音声が音声量調整対象の音声である場合、操作部6aの音声調整操作手段からの音声調整指示(ユーザの音声調整操作)に応じて、第2の音声の音声調整設定値記憶部18の音声調整設定値を書き替えると共に、第2の音声の音声調整設定値記憶部18に書き込まれた音声調整設定値に対応する音声調整指示を第2の音量・音質調整回路3a−2に送信して第2の音声の音量を変更してステップS16に進む。
本処理では、運転席側または助手席側のいずれか一方の座席側から、他方の座席側で出力される音声の音量・音質の調整を行うことも可能であるため、他方の座席側で出力される音声が一方の座席側の乗員に及ぼす影響を回避することができる。さらに、他方の座席側の乗員が音量・音質の調整方法を知らない場合であっても、一方の座席側の乗員が他方の座席側の音声の音量・音質の調整を代行することができる。
ステップS9では、ステップS6(または、後述するステップS16)で検出した操作が音声調整設定値複写スイッチ15Fの操作か否かを判定し、検出した操作が音声調整設定値複写スイッチ15Fの操作である場合、ステップS10に進み、検出した操作が音声調整設定値複写スイッチ15F以外の操作である場合、ステップS11に進む。つまり、ステップS9では、ユーザ(利用者)が操作部6a(選択手段62)の音声調整複写操作手段を用いて音声調整設定値の複写操作を行った場合にはステップS10に進み、そうでない場合には、ステップS11に進む。
ステップS10では、音声調整対象以外の音声(例えば、第2の音声)の音声調整設定値を、音声調整状態記憶部12a(例えば、第2の音声の音声調整設定値記憶部18)から読み出し、音声調整対象の音声(例えば、第1の音声)に対応する音声調整状態記憶部12a(例えば、第1の音声の音声調整設定値記憶部17)の音声調整設定値を、音声調整対象以外の音声(例えば、第2の音声)から読み出し、音声調整対象の音声(例えば、第1の音声)に対応する音声調整状態記憶部12a(例えば、第1の音声の音声調整設定値記憶部17)の音声調整設定値を、音声調整対象以外の音声(例えば、第2の音声)に対応する音声調整状態記憶部12a(例えば、第2の音声の音声調整設定値記憶部18)から読み出した音声調整設定値で書き替えると共に、音声調整対象の音声に対応する音量・音質調整回路部33(例えば、第1の音量・音質調整回路3a−1)に書き替えられた音声調整設定値に対応する音声調整指示を出力し、ステップS16に進む。つまり、ステップS10では、音声調整対象の音声(例えば、第1の音声)の音声調整状態が、音声調整対象以外の音声(例えば、第2の音声)の音声調整状態に変更される。
本処理では、ユーザ(利用者)の操作によって、音声調整設定値の複写指示が行われると、第1の音声または第2の音声のいずれか一方の音声(音声調整対象の音声)の音声調整設定値が、他方の音声(音声調整対象以外の音声)の音声調整設定値に変更されるように処理される。具体的には、第1の音声の音声調整状態(音声調整設定値)を第2の音声の音声調整状態(音声調整設定値)に変更する場合、第2の音声の音声調整設定値記憶部18の記憶値(音声調整設定値)で第1の音声の音声調整設定値記憶部17の音声調整設定値を書き替えるようにしている(あるいは、第2の音声の音声調整状態(音声調整設定値)を第1の音声の音声調整状態(音声調整設定値)に変更する場合、第1の音声の音声調整設定値記憶部17の記憶値(音声調整設定値)で第2の音声の音声調整設定値記憶部18の音声調整設定値を書き替えるようにしている)。この処理により、運転者が座席を変わるときに、好みの音量・音質をそのまま引き継ぐことができる。なお、本処理が音声調整複写手段に対応する。
ステップS11では、ステップS6(または、後述するステップS16)で検出した操作がプリセットスイッチ15Gの長押しであるか否かを判定し、検出した操作がプリセットスイッチ15Gの長押しである場合、ステップS12に進み、検出した操作がプリセットスイッチ15Gの長押し以外の操作である場合、ステップS13に進む。つまり、ステップS11では、ユーザ(利用者)が操作部6a(選択手段62)の音声調整設定値登録/読出操作手段を用いて音量調整設定値の登録操作を行った場合にはステップS12に進み、そうでない場合には、ステップS13に進む。なお、音声調整設定値の登録操作は、本例のように音声調整設定値登録操作手段と音声調整設定値読出操作手段とを兼用する音声調整設定値登録/読出操作手段を設けた場合、後述する音声調整設定値読出操作と異なる態様としてもよいし、前述のように音声調整設定値登録操作手段と音声調整設定値読出操作手段とを別個に設けた場合、音声調整設定値登録操作手段(登録スイッチ)と音声調整設定値読出操作手段(プリセットスイッチ)の同時操作等、適宜変更可能である。また、音声調整設定値登録操作手段は、図16の(b)に示すように複数であってもよいし、図示しないが単数であってもよい。また、各音声で共通に設けられてもよいし、各音声毎に個別に設けられてもよい。
ステップS12では、音声調整対象の音声に対応する音声調整状態記憶部12aに記憶されている音声調整設定値を読み出し、操作されたプリセットスイッチ15Gに対応する設定値保持手段15a(例えば、プリセットRAM)の対応する領域に書き込み、ステップS16に進む。つまり、第1の音声が音声調整対象の音声である場合、操作部6a(選択手段62)からの登録指示(ユーザの登録操作)により、第1の音声の音声調整設定値記憶部17に記憶されている音声調整設定値が、操作された音声調整設定値登録/読出操作手段に対応する設定値保持手段15aの対応する領域に書き込まれる(あるいは、第2の音声が音声調整対象の音声である場合、第2の音声の音声調整設定値記憶部18に記憶されている音声調整設定値が、操作された音声調整設定値登録/読出操作手段に対応する設定値保持手段15aの対応する領域に書き込まれる)。なお、1つの音声調整設定値登録/読出操作手段に対応する設定値保持手段15aの領域に書き込まれる音声調整設定値は、1つでもよいし、複数でもよい。なお、本処理がプリセット登録手段に対応する。
ステップS13では、ステップS6(または、後述するステップS16)で検出した操作がプリセットスイッチ15Gの短押しであるか否かを判定し、検出した操作がプリセットスイッチ15Gの短押しである場合、ステップS14に進み、検出した操作がプリセットスイッチ15Gの短押し以外の操作である場合、ステップS15に進む。つまり、ステップS13では、ユーザ(利用者)が操作部6a(選択手段62)の音声調整設定値登録/読出操作手段を用いて音量調整設定値の読出操作を行った場合にはステップS14に進み、そうでない場合には、ステップS15に進む。
ステップS14では、操作されたプリセットスイッチ15Gに対応する設定値保持手段15aの領域に記憶されている音声調整設定値を読み出し、読み出された音声調整設定値で、音声調整対象の音声(例えば、第1の音声)に対応する音声調整状態記憶部12a(例えば、第1の音声の音声調整設定値記憶部17)の音声調整設定値を書き替えると共に、書き替えられた音声調整設定値に対応する音声調整指示を、音声調整対象の音声に対応する音量・音質調整回路部33(例えば、第1の音量・音質調整回路3a−1)に出力する。このようにして、音声調整対象の音声の音声調整設定値が、設定値保持手段15aに記憶されている所定の音声調整設定値に書き替わる。
本処理では、音声調整設定値登録/読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)の読出操作が行われると、操作された音声調整設定値登録/読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)に対応する設定値保持手段15aの領域に記憶されている音声調整設定値が読み出され、音声調整対象の音声(第1の音声あるいは第2の音声)の音声調整設定値の設定を行うように構成される。このような構成では、設定値保持手段15aに予め保持(メーカプリセット、ユーザプリセット)されている音声調整値により各々の音声の調整が容易に行える。なお、1つの音声調整設定値登録/読出操作手段に対応して複数の音声調整設定値が記憶されている場合、音声調整設定値登録/読出操作手段の操作毎に記憶されている音声調整設定値がサイクリックに読み出されるようにしてもよい。なお、本処理がプリセット音声調整手段に対応する。
ステップS15では、ステップS6(または、後述するステップS16)で検出した操作が音量アップスイッチ15D、音量ダウンスイッチ15E、音量調整設定値複写スイッチ15F、およびプリセットスイッチ15G以外の操作であるため、操作に対応する処理を行い、ステップS16に進む。なお、検出した操作が、図16の(b)に示す戻るスイッチ15Hの操作である場合にはステップS2に戻り、調整完了スイッチ15Iの操作である場合には、処理を終了する。
ステップS16では、調整完了スイッチ15Iが操作されたことを検出した場合、あるいは所定の時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合、処理を終了し、調整完了スイッチ15I以外のスイッチの操作を検出した場合、ステップS7に進む。なお、ステップS7に進んだ場合、ステップS7〜S15の処理は、ステップS16で検出した操作に基づいて処理を行う。
次に、共通モードでの音声調整処理を説明する。
図15のステップS17では、画像制御部8aに図16の(c)に示す共通モード音声調整画像の表示を指示して表示部10aに共通モード音声調整画像を表示させ、ステップS18に進む。なお、図16の(c)中、15Jは音量アップスイッチ(音声調整操作手段に対応)、15Kは音量ダウンスイッチ(音声調整操作手段に対応)、15Lは音量調整設定値複写スイッチ(音声調整複写操作手段に対応)または音量調整設定値入替スイッチ、15Nはプリセットスイッチ(音声調整設定登録/読出操作手段に対応)、15Mは戻るスイッチ、15Oは調整完了スイッチ(音声調整操作完了指示手段に対応)である。
ステップS18では、操作部6a(図16の(c)の15J〜15O)が操作されたか否かを判定し、図16の(c)の15J〜15Mが操作されたことを検出した場合、ステップS19に進み、操作部6aの操作完了スイッチ15O(音声調整操作完了指示手段)が操作されたことを検出した場合、または所定時間、操作部6a(図16の(c)の15J〜15O)がいずれも操作されないことを検出した場合、処理を終了する。
ステップS19では、ステップS18(または、後述するステップS28)で検出した操作が音量アップスイッチ15J、音量ダウンスイッチ15Kの操作か否かを判定し、検出した操作が音量アップスイッチ15J、音量ダウンスイッチ15Kである場合、ステップS20に進み、検出した操作が音量アップスイッチ15J、音量ダウンスイッチ15K以外である場合、ステップS21に進む。つまり、ステップS19では、ユーザ(利用者)が操作部6a(入力手段60)の音声調整操作手段を用いて音量調整操作を行った場合にはステップS20に進み、そうでない場合には、ステップS21に進む。
ステップS20では、音量アップスイッチ15J、音量ダウンスイッチ15Kからの音量調整指示に応じて、第1の音声および第2の音声の音声調整設定値を調整し、音声調整状態記憶部12a(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18)に保持されている音声調整設定値を調整された音量調整設定値で書き替えると共に、調整された音量調整設定値に対応する音声調整指示を、音量・音質調整回路部33(第1の音量・音質調整回路3a−1および第2の音量・音質調整回路3a−2)に出力してステップS28に進む。つまり、ステップS20では、操作部6aの音声調整操作手段からの音声調整指示(ユーザの音声調整操作)に応じて、第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18の音声調整設定値を書き替えると共に、第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18に書き込まれた音声調整設定値に対応する音声調整指示を第1の音量・音質調整回路3a−1および第2の音量・音質調整回路3a−2に送信して第1の音声の音量および第2の音声の音量を変更し、ステップS28に進む。なお、ステップS20の音声調整は、第1の音声および第2の音声を同じ音量(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18の音声調整設定値が同じ値)になるように調整してもよいし、各音声の音声調整設定値を同じ方向(プラス方向またはマイナス方向)に同じ値だけ調整してもよい。
ステップS21では、ステップS18(または、後述するステップS28)で検出した操作が音声調整設定値入替スイッチ15Lの操作か否かを判定し、検出した操作が音声調整設定値入替スイッチ15Lの操作である場合、ステップS22に進み、検出した操作が音声調整設定値入替スイッチ15L以外の操作である場合、ステップS23に進む。つまり、ステップS21では、ユーザ(利用者)が操作部6a(選択手段62)の音声調整入替操作手段を用いて音量調整設定値の複写操作を行った場合にはステップS22に進み、そうでない場合には、ステップS23に進む。
ステップS22では、1つの音声(例えば、第1の音声)の音声調整設定値を1つの音声(例えば、第1の音声)に対応する音声調整状態記憶部12a(例えば、第1の音声の音声調整設定値記憶部17)から読み出し、他の音声(例えば、第2の音声)の音声調整設定値を他の音声(例えば、第2の音声)に対応する音声調整状態記憶部12a(例えば、第2の音声の音声調整設定値記憶部18)から読み出す。そして、読み出された1つの音声(例えば、第1の音声)の音声調整設定値で他の音声(例えば、第2の音声)に対応する音声調整状態記憶部12a(例えば、第2の音声の音声調整設定値記憶部18)に保持されている音声調整設定値を書き替え、読み出された他の音声(例えば、第2の音声)の音声調整設定値で1つの音声(例えば、第1の音声)に対応する音声調整状態記憶部12a(例えば、第1の音声の音声調整設定値記憶部17)に保持されている音声調整設定値を書き替え、書き替えられた音声調整設定値に対応する音声調整指示をそれぞれに対応する音量・音質調整回路部33(第1の音量・音質調整回路3a−1および第2の音量・音質調整回路3a−2)に出力してステップS28に進む。このように、1つの音声(例えば、第1の音声)の音声調整状態が他の音声(例えば、第2の音声)の音声調整状態に変更されると共に、他の音声(例えば、第2の音声)の音声調整状態が1つの音声(例えば、第1の音声)の音声調整状態に変更される。なお、ステップS22では、各音声に対応する各音声調整設定値を各音声調整状態記憶部12a(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18)から一旦読み出し、各音声調整状態記憶部12a(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18)の各音声調整設定値を書き替えるように処理しているが、音声調整状態記憶部12aの定義を変更(第1の音声の音声調整設定値記憶部17を第2の音声の音声調整設定値記憶部18に切り替え、第2の音声の音声調整設定値記憶部18を第1の音声の音声調整設定値記憶部17に切り替える)するようにしてもよい。
本処理では、操作部6a(選択手段62)の音声調整設定値入替操作手段のユーザ(利用者)の操作によって、音声調整設定値の入替指示が行われると、第1の音声の音声調整状態(音声調整設定値)が、第2の音声の音声調整状態(音声調整設定値)に変更されると共に、第2の音声の音声調整状態(音声調整設定値)が、第1の音声の音声調整状態(音声調整設定値)に変更されるようになる。つまり、第1の音声の音声調整設定値記憶部17の値と第2の音声の音声調整設定値記憶部18に記憶されている音声調整設定値とを入れ替える。この処理により、例えば、長時間運転等で運転者と助手席にいる乗員が変わる場合等に、各々の好みの音量・音質をそのまま引き継ぐことが可能になる。なお、本処理が音声調整入替手段に対応する。
ステップS23では、ステップS18(または、後述するステップS28)で検出した操作がプリセットスイッチ15Nの長押しであるか否かを判定し、検出した操作がプリセットスイッチ15Nの長押しである場合、ステップS24に進み、検出した操作がプリセットスイッチ15Nの長押し以外の操作である場合、ステップS25に進む。つまり、ステップS23では、ユーザ(利用者)が操作部6a(選択手段62)の音声調整設定値登録/読出操作手段を用いて音量調整設定値の登録操作を行った場合にはステップS24に進み、そうでない場合には、ステップS25に進む。なお、音声調整設定値の登録操作は、本例のように音声調整設定値登録操作手段と音声調整設定値読出操作手段とを兼用する音声調整設定値登録/読出操作手段を設けた場合、後述する音声調整設定値読出操作と異なる態様としてもよいし、前述のように音声調整設定値登録操作手段と音声調整設定値読出操作手段とを別個に設けた場合、音声調整設定値登録操作手段(登録スイッチ)と音声調整設定値読出操作手段(プリセットスイッチ)の同時操作等、適宜変更可能である。また、音声調整設定値登録操作手段は、図16の(c)に示すように複数であってもよいし、図示しないが単数であってもよい。また、各音声で共通に設けられてもよいし、各音声毎に個別に設けられてもよい。
ステップS24では、音声調整状態記憶部12a(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18)に記憶されている音声調整設定値を読み出し、操作されたプリセットスイッチ15Nに対応する設定値保持手段15a(例えば、プリセットRAM)の対応する領域に書き込み、ステップS28に進む。つまり操作部6a(選択手段62)からの登録指示(ユーザの登録操作)により、第1の音声の音声調整設定値記憶部17に記憶されている音声調整設定値および第2の音声の音声調整設定値記憶部18に記憶されている音声調整設定値が、操作された音声調整設定値登録/読出操作手段に対応する設定値保持手段15aの領域に書き込まれる。なお、前述のように、1つの音声調整設定値登録/読出操作手段に対応する設定値保持手段15aの領域に書き込まれる音声調整設定値は、1つでもよいし、複数でもよい。また、設定値保持手段15aに書き込まれる音声調整設定値は、各音声毎に登録可能であってもよい。なお、本処理がプリセット登録手段に対応する。
ステップS25では、ステップS18(または、後述するステップS28)で検出した操作がプリセットスイッチ15Nの短押しであるか否かを判定し、検出した操作がプリセットスイッチ15Nの短押しである場合、ステップS26に進み、検出した操作がプリセットスイッチ15Nの短押し以外の操作である場合、ステップS27に進む。つまり、ステップS25では、ユーザ(利用者)が操作部6a(選択手段62)の音声調整設定値登録/読出操作手段を用いて音量調整設定値の読出操作を行った場合にはステップS26に進み、そうでない場合には、ステップS27に進む。
ステップS26では、操作されたプリセットスイッチ15Nに対応する設定値保持手段15aの領域に記憶されている音声調整設定値を読み出し、読み出された音声調整設定値で、音声調整状態記憶部12a(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18)の音声調整設定値を書き替えると共に、書き替えられた音声調整設定値に対応する音声調整指示を、各々対応する音量・音質調整回路部33(第1の音量・音質調整回路3a−1および第2の音量・音質調整回路3a−2)に出力する。このようにして、第1の音声および第2の音声の音声調整設定値が、設定値保持手段15aに記憶されている所定の音声調整設定値に書き替わる。
本処理では、音声調整設定値登録/読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)の読出操作が行われると、操作された音声調整設定値登録/読出操作手段(例えば、プリセットスイッチ)に対応する設定値保持手段15aの領域に記憶されている音声調整設定値が読み出され、第1の音声および第2の音声の音声調整設定値の設定を行うように構成される。このような構成では、設定値保持手段15aに予め保持(メーカプリセット、ユーザプリセット)されている音声調整値により各々の音声の調整が容易に行える。前述のように、1つの音声調整設定値登録/読出操作手段に対応して複数の音声調整設定値が記憶されている場合、音声調整設定値登録/読出操作手段の操作毎に記憶されている音声調整設定値がサイクリックに読み出されるようにしてもよい。なお、前述のように、1つの音声調整設定値登録/読出操作手段に対応して、各音声毎に異なる音声調整設定値が保持されている場合には、各音声で異なる音声調整設定値が読み出される。
ステップS27では、ステップS18(または、後述するステップS28)で検出した操作が音量アップスイッチ15J、音量ダウンスイッチ15K、音量調整設定値複写スイッチ15L、およびプリセットスイッチ15N以外の操作であるため、操作に対応する処理を行い、ステップS28に進む。なお、検出した操作が、図16の(c)に示す戻るスイッチ15Mの操作である場合にはステップS2に戻り、調整完了スイッチ15Oの操作である場合には、処理を終了する。
ステップS28では、調整完了スイッチ15Oが操作されたことを検出した場合、あるいは所定の時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合、処理を終了し、調整完了スイッチ15O以外のスイッチの操作を検出した場合、ステップS7に進む。なお、ステップS19に進んだ場合、ステップS19〜S27の処理は、ステップS28で検出した操作に基づいて処理を行う。
前述のように、独立モードまたは共通モードを選択できるようになっているので、状況により、第1の音声および第2の音声の音声調整(同じ音声調整状態、同じ方向への調整)を統合して行ったり、各音声で独立して音声調整状態を調整したりすることができる。
なお、前述の複写処理は、共通モードに設けられてもよく、前述の入替処理は、単独モードに設けられてもよい。
また、共通モードの場合にも音声調整を行いやすいように、所定の音声を出力するようにしてもよい。
次に、前述の図14および図15に示す音響制御部1aの音声調整処理の変形例を図17〜図21を用いて説明する。図17〜図21は、音量調整設定値に上限、下限が設けられた音声調整処理を説明するためのフローチャートであり、図17は、第1の変形例を示すフローチャートであり、図18は、第2の変形例を示すフローチャートであり、図19は、第3の変形例を示すフローチャートであり、図20は、第4の変形例を示すフローチャートである。また、図21の(a)は、調整された音声調整設定値を設定値保持手段15aに保持させる処理を説明するためのフローチャートであり、図21の(b)は、設定値保持手段15aの音声調整設定値の保持例を示す図である。図17〜図21の音声調整処理は、図14および図15の音声調整処理に適宜追加可能である。
図17〜図20の音声調整処理について説明する。本処理では、予め音声調整設定値の調整可能範囲(適正範囲)が設定されているものとする。
まず、図17の音声調整処理について説明する。
図14のステップS16で、調整完了スイッチ15Iが操作されたことを検出した場合、もしくは所定時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合、または、図15のステップS28で、調整完了スイッチ15Oが操作されたことを検出した場合、もしくは所定時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合にステップS29に進む。ステップS29では、図14および図15の音声調整処理で調整された音声調整設定値が予め設定された調整可能範囲(適正範囲)内か否かを判定し、適正範囲内であれば図14の終了に進み、適正範囲外であれば、ステップS30に進む。
ステップS30では、調整された音声調整設定値が適正範囲外であることをユーザに報知するために、対応する各構成に指示を出力して、図14のステップS16からステップS30の本処理に移行した場合には、図14のステップS7に進み、図15のステップS28からステップS30の本処理に移行した場合には、図15のステップS19に進む。
つまり、本処理では、調整された音声調整設定値が適正範囲外である場合、音声調整処理が完了しないようにすると共に、音声調整設定値が適正範囲内に収まるように、調整を促す。
次に、図18の音声調整処理について説明する。
図14のステップS16で、調整完了スイッチ15Iが操作されたことを検出した場合、もしくは所定時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合、または、図15のステップS28で、調整完了スイッチ15Oが操作されたことを検出した場合、もしくは所定時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合にステップS31に進む。ステップS31では、図14および図15の音声調整処理で調整された音声調整設定値が予め設定された調整可能範囲(適正範囲)内か否かを判定し、適正範囲内であれば図14の終了に進み、適正範囲外であれば、ステップS32に進む。
ステップS32では、調整された音声調整設定値を上限または下限に調整し、対応する音声調整状態記憶部12aに書き込むと共に、調整可能範囲の上限または下限に対応する音声調整指示を、対応する音量・音質調整回路部33に出力して図14の処理に進む。
つまり、本処理では、調整された音声調整設定値が適正範囲外である場合、調整可能範囲の上限または下限の音声調整状態に設定する。
次に、図19の音声調整処理について説明する。
図14および図15の各音声調整処理(図14のステップS8、S10、S12、およびS14、ならびに図15のS20、S22、S24、およびS26)を行ってステップS33に進む。ステップS33では、図14および図15の音声調整処理で調整された音声調整設定値が予め設定された調整可能範囲(適正範囲)内か否かを判定し、適正範囲内で図14のステップS8、S10、S12、およびS14からステップS33に移行した場合、図14のステップS16に進み、適正範囲内で図15のステップS20、S22、S24、およびS26からステップS33に移行した場合、図15のステップS28に進む。適正範囲外であれば、ステップS34に進む。
ステップS34では、調整された音声調整設定値が適正範囲外であることをユーザに報知するために、対応する各構成に指示を出力して、図14のステップS8、S10、S12、およびS14からステップS33に移行した場合には、図14のステップS7に進み、図15のステップS20、S22、S24、およびS26からステップS33に移行した場合には、図15のステップS19に進む。適正範囲外であれば、ステップS34に進む。図14のステップS16からステップS30の本処理に移行した場合には、図14のステップS7に進み、図15のステップS28からステップS30の本処理に移行した場合には、図15のステップS19に進む。
つまり、本処理では、調整された音声調整設定値が適正範囲外である場合、音声調整処理が完了しないようにすると共に、音声調整設定値が適正範囲内に収まるように、調整を促す。
次に、図20の音声調整処理について説明する。
図14のおよび図15の各音声調整処理(図14のステップS8、S10、S12、およびS14、ならびに図15のS20、S22、S24、およびS26)を行ってステップS35に進む。ステップS35では、図14および図15の音声調整処理で調整された音声調整設定値が予め設定された調整可能範囲(適正範囲)内か否かを判定し、適正範囲内で図14のステップS8、S10、S12、およびS14からステップS35に移行した場合、図14のステップS16に進み、適正範囲内で図15のステップS20、S22、S24、およびS26からステップS35に移行した場合、図15のステップS28に進む。適正範囲外であれば、ステップS36に進む。
ステップS36では、調整された音声調整設定値を上限または下限に調整し、対応する音声調整状態記憶部12aに書き込むと共に、調整可能範囲の上限または下限に対応する音声調整指示を、対応する音量・音質調整回路部33に出力し、図14のステップS8、S10、S12、およびS14からステップS35に移行した場合、図14のステップS16に進み、図15のステップS20、S22、S24、およびS26からステップS35に移行した場合、図15のステップS28に進む。
つまり、本処理では、調整された音声調整設定値が適正範囲外である場合、調整可能範囲の上限または下限の音声調整状態に設定するようになっているので、各々の座席側で視聴される音声が、他の座席側の乗員に対して耳障りにならないようにすることができる。
なお、調整可能範囲は、固定値でもよいし、前述の周囲環境センサの検出結果に基づいて設定されてもよい。
次に、図21を用いて、図14の音声調整処理で調整された音声調整設定値の設定値保持手段15aへの記憶処理について説明する。図21の(a)は、図14の音声調整処理で調整された音声調整設定値の設定値保持手段15aへの記憶処理を示すフローチャートであり、図21の(b)は、設定値保持手段15aの音声調整設定値の記憶例の一例を示す図である。
図14のステップS16で、調整完了スイッチ15Iが操作されたことを検出した場合、もしくは所定時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合、または、図15のステップS28で、調整完了スイッチ15Oが操作されたことを検出した場合、もしくは所定時間、操作部6aのいずれも操作されないことを検出した場合にステップS37に進む。ステップS37では、図14および図15の音声調整処理で調整された音声調整設定値、およびその頻度(設定回数)を図21の(b)で示すように設定値保持手段15aに書き込み、図14の終了に進む。
なお、図21の(b)は、一例であり、記憶方法は、音声調整設定値と他の項目の少なくとも1つとが対になって記憶されればよい。
本処理で記憶された音声調整設定値は、後述する起動時や環境変化検出時の音声調整処理で適用される。
次に、図22を用いて、図10および図12に示すマルチビュー表示装置の音響制御部1aの環境変化に応じた音声調整処理を説明する。本フローチャートは、図10および図12に示すマルチビュー表示装置の電源が電源ON(オン)になっている間(あるいは、マルチビュー表示を行っている間)、定期的に実行される。
まず、周囲環境センサ70から周囲環境を検出し、ステップS21bに進む(ステップS21a)。なお、前述したように、周囲環境センサ70は、運転席側および助手席側の周囲環境を共通に検出するためのものであってもよいし、運転席側および助手席側の周囲環境をそれぞれ別々に検出するように複数設けられてもよい。
ステップS21bでは、周囲環境センサ70からの検出結果に応じて、設定値保持手段15aに記憶されている音声調整設定値に基づいて音声調整状態記憶部12a(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18)の音声調整設定値を調整すると共に、調整された音声調整設定値に対応する音声調整指示を、音量・音質調整回路部33に出力して処理を終了する。この処理によれば、周囲環境センサ70による検出結果に応じて、両音声(第1の音声および第2の音声)の調整が行えるので、各音声に対して影響を及ぼす周囲環境に対する音声の調整が自動的にまとめて行える。
なお、周囲環境の変化量を検出して音声調整を行ってもよい。また、設定値保持手段15aには、音声調整設定値として、環境に応じた音声調整設定値が記憶されていてもよいし、環境の変化量に応じた音声調整設定値が記憶されていてもよい。また、音声調整設定値は、予めメーカ側で記憶された固定値であってもよいし、前述の図21で説明した処理で記憶された音声調整設定値でよい。また、各音声毎に音声調整設定値が記憶されていてもよい。
なお、周囲環境センサ70が運転席側および助手席側の周囲環境を共通に検出するためのものである場合には、周囲環境センサ70による検出結果に応じて第1の音声および第2の音声の同じ方向への音声調整、または同じ音声調整状態への調整が統合して行えるので、各音声に対して共通して影響を及ぼす周囲環境の変化に対する音声の調整が自動的にまとめて行え、運転席側および助手席側の周囲環境をそれぞれ別々に検出するように複数設けられている場合には、運転席側および助手席側の各座席で異なる影響を与える環境変化に応じて音声の調整が自動的に適切に行われるようになる。このような構成では、周囲環境の変化に応じて適切な音声調整状態を設定することができる。さらに、周囲環境の変化が急激に起こった場合でも、例えば、トンネルや窓開走行等の周囲環境の顕著な変化に応じた各音声の調整を迅速に行うことができるようになる。
次に、図23を用いて、図10および図12に示すマルチビュー表示装置の音響制御部1aの起動時の音声調整処理を説明する。本フローチャートは、音響制御部1aが、操作部6a等からマルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)に実行する。
起動時の初期設定等の処理を行い、ステップS22bに進む(ステップS22a)。ステップS22bでは、音声調整状態記憶部12a(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18)に後述する所定の音声調整設定値を書き込み、書き込まれた音声調整設定値に対応する音声調整指示を、対応する音量・音質調整回路部33に出力して処理を終了する。本処理では、マルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)に、各音声が所定の音声調整設定値による音声調整状態に設定されるので、音声調整のための手間を省くことが可能になる。
次に、前述の所定の音声調整設定値を説明する。所定の音響調整設定値とは、例えば、予めメーカが設定値保持手段15a(初期調整設定値記憶手段に対応)に記憶させている初期音声調整設定値、前述の図21で説明したようにユーザが設定値保持手段15a(初期調整設定値記憶手段に対応)に記憶させた音声調整設定値のうちの所定条件に合致する音声調整設定値、表示装置の電源OFF時(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)に設定値保持手段15a(初期調整設定値記憶手段に対応)に記憶された音声調整設定値(ラストメモリとも呼ばれる)、後述する表示装置の電源OFF時(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)に設定値保持手段15a(初期調整設定値記憶手段に対応)に記憶された音声調整設定値のうちの所定条件に合致する音声調整設定値等が挙げられる。
前述の所定の音声調整設定値が、予めメーカが設定値保持手段15a(初期調整設定値記憶手段に対応)に記憶させている初期音声調整設定値である場合には、設定値保持手段15aに予め記憶させている初期音声調整設定値により第1および第2の音声の音声調整を行うようにしているので、各々の音声の初期調整状態が自動的に選択され、音声調整のための操作の手間を省くことが可能になる。
また、所定の音声調整設定値が、表示装置の電源OFF時(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)の音声調整設定値である場合には、表示装置の電源OFF時(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)に音声調整状態記憶部12a(第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18)の音声調整設定値を、一旦設定値保持手段15a(初期調整設定値記憶手段に対応)に記憶させ、起動時に記憶させておいた音声調整設定値を読み出し、第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18に書き込むようにしてもよいし、表示装置の電源OFF時(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)に第1の音声の音声調整設定値記憶部17および第2の音声の音声調整設定値記憶部18に設定されている音声調整設定値を消去されないように保持し続けるような構成(この場合は、前述の書込処理は不要になる)であってもよい。このような構成では、表示装置の電源OFF前(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わる前)に使用されていた音声調整状態に設定されるので、継続して使用する可能性が高い音声調整状態を選択することができるようになり、音声調整のための操作の手間を省くことが可能になる。
さらに、所定の音声調整設定値が、前述の図21で説明したようにユーザが設定値保持手段15aに記憶させた音声調整設定値や後述する表示装置の電源OFF時(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)に設定値保持手段15aに記憶された音声調整設定値のうちの所定条件に合致する音声調整設定値である場合には、マルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)に、周囲環境、頻度、ラストソース等の少なくとも1つを条件に使用する可能性が高い音声調整設定値が設定されるので、使用の可能性が高い音声調整状態を選択することができるようになり、音声調整のための操作の手間を省くことが可能になる。
なお、本処理が初期音声調整手段に対応する。
次に、図24を用いて、図10および図12に示すマルチビュー表示装置の電源OFF時(イグニッションOFF時)(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)の音響制御部1aの音声調整設定値の記憶処理を説明する。起動時の音声調整処理を説明する。本フローチャートは、音響制御部1aが、操作部6a等からのマルチビュー表示装置の電源OFFの指示(イグニッションOFFの指示)(あるいは、マルチビュー表示→シングルビュー表示切替指示)を検出したときに実行する。つまり、ユーザ(利用者)が、マルチビュー表示装置の電源OFF時や、イグニッションOFF時や、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったときに実行される。なお、本フローチャートは、図21と実行されるタイミングが異なるだけである。
ステップS23aでは、マルチビュー表示装置の電源OFF(イグニッションOFF)(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わった)が行われた時点の音声調整設定値を設定値保持手段15aに記憶し、処理を終了する。なお、音声調整設定値の記憶方法に関していえば、前述の図21の(b)に示すような形態で記憶される。図21の(b)と同様に、音声調整設定値と他の項目の少なくとも1つとが対になって記憶されればよい。このような構成では、周囲環境等に応じてユーザが調整した音声調整設定値(ユーザが満足している音声調整設定値)が記憶されているため、記憶された音声調整設定値を前述の図22および図23の処理に適用することにより、次回からの音声調整がより適切に行われることになる。
なお、前述の図10および図12のマルチビュー表示装置の音響制御部1aにより、プログラム記憶部11aに格納されている前述のプログラム(フローチャート)を読み出し、または音響制御部1aに内蔵のRAMやROMに格納されている前述のプログラム(フローチャート)を用いて、前述の音声調整処理を実行させることが可能である。
より具体的にいえば、前述の図10および図12のマルチビュー表示装置のプログラム記憶部11aまたは音響制御部1aに内蔵のRAMやROMに格納されているプログラム(フローチャート)は、第1の方向から観察できる第1の表示領域に表示される画像(第1画像)と第2の方向から観察できる第2の表示領域に表示される画像(第2画像)とを表示することが可能な表示装置において、第1画像に対応する第1の音声の調整を行う音声調整処理と、第2画像に対応する第2の音声の調整を行う音声調整処理とを含む。
好ましくは、前述の図10および図12のマルチビュー表示装置のプログラム記憶部11aまたは音響制御部1aに内蔵のRAMやROMに格納されているプログラム(フローチャート)は、同表示装置において、第1の方向から観察できる第1の表示領域に表示される画像(第1画像)に対応する第1の音声に対する音声調整操作に対して、第1の音声の音声調整設定値を記憶する第1の音声調整設定値記憶手段の音声調整設定値を書き替える処理と、第2の方向から観察できる第2の表示領域に表示される画像(第2画像)に対応する第2の音声に対する音声調整操作に対して、第2の音声の音声調整設定値を記憶する第2の音声調整設定値記憶手段の音声調整設定値を書き替える処理とを含む。