JP4215545B2 - 柔軟剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は柔軟剤、特に柔軟性、吸水性の向上、及び残留柔軟剤成分によっておこる肌荒れの改善に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、洗濯後の衣類に柔軟性を与える目的で各種の柔軟剤組成物が使用されてきた。これら柔軟剤の基剤としては、ジアルキルジメチル4級アンモニウム塩が一般的である。この4級アンモニウム塩は、各種繊維に対して良好な柔軟性を与えることができる反面、処理した衣類の表面を撥水化し、タオルや肌着などに必要な吸水性を低下させる傾向が強いという欠点がある。
【0003】
また更なる柔軟性向上、衣類に対するハリ・コシの付与、あるいは洗濯シワの軽減などを目的として、特定のシリコーン系化合物と先に述べたアミン化合物などとを併用することが試みられている。このような例として、4級アンモニウム塩と特定のシリコーン誘導体とを含有することを特徴とする衣料用仕上げ剤が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしこれらの組成物は衣類に対して十分な柔軟性と吸水性を充分に与えるに至っていない。
【0004】
一方、これまで長く用いられてきたジアルキルジメチル4級アンモニウム塩に代わって、生分解性の高いカチオン性界面活性剤としてエステル型4級アンモニウム塩の使用が検討されている。これらは、脂肪酸とアルカノールアミンとを反応させた後、4級化することによって得られ、柔軟剤の要求性能の中で特に重要である柔軟性の点で、ジアルキルジメチル4級アンモニウム塩と比較して劣ることが知られている
たとえば、飽和脂肪酸/不飽和脂肪酸の重量比が2〜30/70〜98のエステル型4級アンモニウム塩を含む組成物が報告されている(例えば、特許文献3参照)が、この組成物は吸水性に非常に優れているものの、柔軟性付与効果に乏しい。
【0005】
さらに、特定のシス体/トランス体比率を示す炭素数12〜22のアルキル基(または炭素数11〜21のアシル基)を持つエステル型4級アンモニウム塩を含む組成物が柔軟性を満足させた上で、優れた吸水性を示すことが報告されている(例えば、特許文献4参照)。柔軟剤組成物が衣類の柔軟性や吸水性に与える影響は、4級アンモニウム塩の長鎖アルキル基(またはアシル基)の組成によって大きく異なり、モノ不飽和アルキル基(またはアシル基)のシス体/トランス体比率を調整することで吸水性は若干改善されるものの、充分な柔軟性と吸水性を得ることは困難である。
【0006】
衣類に対して優れた柔軟性と十分な吸水性を与えるため、上記のジアルキルジメチル4級アンモニウム塩、エステル型4級アンモニウム塩以外の柔軟剤基剤についても、数多くの知見が開示されている。
しかしながら、これら柔軟剤組成物は皮膚刺激性が強く、柔軟処理後の衣類にはこれら成分が残留し、アトピー性皮膚炎等のアレルギー症状を持つ人にとって、肌荒れの原因となる可能性が指摘されている。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−110075号公報
【特許文献2】
特開2000−154476号公報
【特許文献3】
特開平4−333667号公報
【特許文献4】
特開平2−139480号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決し、処理した衣類に対して優れた柔軟性と吸水性とを賦与し、さらには衣類の着用時に残留柔軟剤成分によっておこる肌荒れを低減させうる柔軟剤組成物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特定のアルキレンオキシド誘導体、特定のアミン化合物および特定のエーテル型非イオン性界面活性剤とを配合することにより、目的の柔軟剤組成物を得るに至った。
すなわち、本発明の柔軟剤組成物は、下記a)0.1〜10質量%、b)5〜40質量%、およびc)0.5〜10質量%を含有することを特徴とする。
a) 下記の式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体
【0010】
【化4】
R1O−[(AO)m(EO)n]−R2 (I)
(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、mおよびnはそれぞれ炭素数3〜4のオキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70であり、オキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が、20〜80質量%である。オキシアルキレン基とオキシエチレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。R1およびR2は同一もしくは異なっていてもよい炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子であり、R1およびR2の炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である。)
b) 式(II)で示されるアミン化合物、又は該アミン化合物の中和物、あるいは該アミン化合物の4級化物
【0011】
【化5】
(式中、R3、R4、R5の少なくとも1つが、炭素数12〜36の炭化水素基、又は炭素数12〜36の炭化水素鎖中にエステル基、アミド基、あるいはエーテル基を有する官能基である。また、R3、R4、R5のいずれかが水素原子、又は炭素数1〜11の炭化水素基であってもよい。)
c) 式(III)で示されるアルキレンオキシド付加非イオン性界面活性剤
【0012】
【化6】
R6−(BO)l−H (III)
(式中、R6は炭素数10〜24の炭化水素鎖を有する脂肪酸、多価アルコール脂肪酸エステル、アルコール、アミン、及びアルカノールアミドから選択される化合物の残基である。BOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基、lはオキシアルキレン基の平均付加モル数で、8≦l≦50であり、オキシアルキレン基全体に対するオキシエチレン基の割合が30質量%以上である。)
また、前記柔軟剤組成物のうち、a)のアルキレンオキシド誘導体が、オキシアルキレン基とオキシエチレン基がランダム状に付加しているアルキレンオキシド誘導体からなることが好適である。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるa)成分、式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体において、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、例として、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。
【0014】
mは炭素数3〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、好ましくは2≦m≦20である。nはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦n≦70、好ましくは2≦n≦20である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基またはオキシエチレン基が1以下もしくは70を越えるとであると肌荒れを低減する効果が十分得られない。
また、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は、20〜80質量%である。オキシエチレン基の割合が20質量%以下もしくは80質量%以上であると肌荒れを低減する効果が十分得られない。
【0015】
エチレンオキシドおよび炭素数3〜4のアルキレンオキシドの付加する順序は特に指定はない。またオキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。好ましくはランダム状に付加されているものが挙げられる。
【0016】
R1およびR2は炭素数1〜4の炭化水素基または水素原子で、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基である。炭素数5以上の炭化水素基では吸水性が低下する。R1、R2は同一であっても異なっていても良い。
【0017】
R1およびR2はそれぞれ1種のみを用いても、炭素数1〜4の炭化水素基と水素原子とが混在しても、炭素数1〜4の炭化水素基が混在しても良い。ただし、R1およびR2の炭化水素基のうち、炭化水素基と水素原子の存在割合は、炭化水素基の数(X)に対する水素原子の数(Y)の割合Y/Xが0.15以下、好ましくは0.06以下である。Y/Xの割合が0.15を越えると、肌荒れを低減する効果が十分得られない。
【0018】
本発明のアルキレンオキシド誘導体は公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシドおよび炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下にエーテル反応させることによって得られる。
【0019】
本発明で用いるアルキレンオキシド誘導体としては、例えば、POE(9)POP(2)ジメチルエーテル、POE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(15)POP(5)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(9)POB(2)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル等のランダム又はブロックポリマーが挙げられる。
【0020】
本発明の柔軟剤中へのアルキレンオキシド誘導体の配合量は、通常0.1〜10質量%程度、好ましくは1.0〜5.0質量%程度配合される。
本発明で用いるb)成分、式(II)で示されるアミン化合物において、R3、R4、R5の少なくとも1つが、炭素数12〜36の炭化水素基、又は炭素数12〜36の炭化水素鎖中にエステル基、アミド基、あるいはエーテル基を有する官能基である。また、R3、R4、R5のいずれかが水素原子、又は炭素数1〜11の炭化水素基であってもよい。
本発明で用いられるアミン化合物は、該アミン化合物、又は該アミン化合物の中和物あるいは該アミン化合物の4級化物であり、さらにこれらの混合物であってもよい。
【0021】
本発明のアミン化合物、該アミン化合物の中和物、該アミン化合物の4級化物は、いずれも分子内に少なくとも1個もしくは2個の炭素数12〜36、好ましくは14〜24の炭化水素基を有している。このような炭化水素基としては、例えばドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ドコシル基などの飽和炭化水素基、オレイル基、リノール基などの不飽和炭化水素基、ヤシ油アルキル基、牛脂アルキル基などの混合炭化水素基が挙げられ、さらにこれらの混合物であってもよい。また、炭素数12〜36の炭化水素鎖中にエステル基、アミド基、あるいはエーテル基を有する官能基であってもよい。
【0022】
本発明のアミン化合物の中和は、通常の酸を用いて行うことができる。酸としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、安息香酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、アクリル酸等の有機酸を挙げることができる。また、上記アミン化合物の4級化物は、過アルキル化法により長鎖アルキル基を有する3級アミンに、更にアルキル基を結合することにより得ることができる。過アルキル化剤としては、例えばジメチル硫酸又は塩化ベンジルを使用することができる。また、これらの過アルキル化剤の代わりに、沃化メチル、塩化メチル、塩化エチル、臭化ブチル等の低級ハロゲン化アルキル、ジエチル硫酸又はエピクロロヒドリン等を使用してもよい。
【0023】
本発明のアミン化合物には、脂肪酸とアルカノールアミンからなるエステルを4級化して得られるエステル型4級アンモニウム塩も該当する。エステル型4級アンモニウム塩は、それを構成する脂肪酸は炭素数12〜24の脂肪酸で、たとえば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘニン酸などの飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸などのモノ不飽和脂肪酸、リノール酸、リノレン酸などの多価不飽和脂肪酸等が挙げられ、これらは通常、牛脂、豚脂、パーム油、大豆油、ヒマワリ油、オリーブ油等の天然油脂を分解・精製、あるいは硬化して得られる。これらの中でも特に大豆油、ヒマワリ油、オリーブ油を原料油脂として、分解・部分水添などを組み合わせて得られる脂肪酸を用いることが工業的に好ましい。脂肪酸の炭素数が11以下では衣類に対して充分な柔軟性が与えられず、炭素数25以上では吸水性が低下する。
【0024】
さらに、本発明のアミン化合物の量は5〜40質量%、好ましくは10〜25質量%である。5質量%未満の場合は、衣類に対して充分な柔軟性を与えることができず、40質量%を超える場合は、衣類の吸水性を低下させ、また粘度が高く、水への分散が不良の場合がある。また本発明のアミン化合物のうちエステル型4級アンモニウム塩を使用することが好ましい。
【0025】
本発明で用いるc)成分、式(III)で示されるアルキレンオキシド付加非イオン界面活性剤において、BOは炭素数2〜4のオキシアルキレン基であり、例として、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が挙げられる。
【0026】
lはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、8≦l≦50、さらに好ましくは20≦l≦40である。平均付加モル数が8モル未満の場合や、50モルを超える場合は組成物が乳化途中でゲル化したり、調製後数日後に分離が見られる等、性状や保存安定性に問題があるばかりでなく、衣類に与える柔軟性・吸水性ともに好ましくない。
また、オキシアルキレン基全体に対するオキシエチレン基の割合は30質量%以上であり、好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは100質量%である。オキシエチレン基の割合が30質量%より少ない場合には、吸水効果を十分に発揮することができない。
【0027】
R6は炭素数10〜24の炭化水素鎖を有する脂肪酸、多価アルコール脂肪酸エステル、アルコール、アミン、及びアルカノールアミドから選択される化合物の残基であって、当該化合物の活性水素が除かれた形の官能基である。炭素数10〜24の炭化水素鎖は直鎖、飽和のものに限定されるものではなく、分岐、不飽和のものでもよい。例えばカプリル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基、オレイル基、リノール基、ヤシ油アルキル基、牛脂アルキル基などが挙げられる。炭化水素鎖の炭素数が9以下、又は炭素数が25以上の場合には、柔軟効果、吸水効果を十分向上させることができない。
【0028】
本発明のアルキレンオキシド付加非イオン界面活性剤には、前記炭素数10〜24の炭化水素鎖を有する脂肪酸、多価アルコール脂肪酸エステル、アルコール、アミン及びアルカノールアミドから選択される化合物に、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを平均8〜50モル付加した非イオン性界面活性剤が該当する。
【0029】
本発明の非イオン性界面活性剤としては、脂肪酸のアルキレンオキシド付加物として、たとえばポリオキシエチレン(10)モノラウレート、ポリオキシエチレン(30)ステアレート、ポリオキシエチレン(50)ステアレート、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)ステアレート、多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキシド付加物として、ポリオキシエチレン(20)グリセリルモノラウレート、ポリオキシエチレン(40)ソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(10)グリセリルモノラウレート、アルコールのアルキレンオキシド付加物として、ポリオキシエチレン(10)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ラウリルエーテル、ポリオキシエチレン(50)ノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(8)セチルエーテル、アミンのアルキレンオキシド付加物として、ポリオキシエチレン(10)ステアリルアミン、ポリオキシエチレン(40)ラウリルアミン、アルカノールアミドのアルキレンオキシド付加物として、ポリオキシエチレン(15)オレイン酸アミド、ポリオキシエチレン(45)パルミチン酸アミド等が挙げられ、これらのうちから1種以上を選択して用いることができる。
【0030】
さらに、柔軟剤組成物の経時粘度変化が少なく、凍結復元性が良好な組成物を得るためには、c)成分としてエチレンオキシドを20〜30モル付加したポリオキシエチレン(20)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ラウリルエーテル等を用いることがより好ましい。
柔軟剤組成物中のc)成分の配合量は0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%である。配合量が0.5質量%未満では、柔軟剤組成物として十分な保存安定性が得られない。また、配合量が10質量%を超える場合は組成物の性状がゲル状になりやすいだけでなく、柔軟性・吸水性ともに低下し、十分な性能が得られない。
さらに、本発明の柔軟剤組成物のpHは、精製水で5%希釈時に2.7〜4.5、さらには3.0〜4.0であることが望ましい。
【0031】
本発明の柔軟剤組成物には、必須成分である上記a)、b)、c)の各成分の他に、本発明の効果を阻害しない範囲で、塩化カルシウム、食塩、塩化アンモニウム等の粘度調整剤、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム等のpH調整剤、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチルアルコール等の溶剤、高重合メチルポリシロキサン、ジメチルシロキサン、メチル(ポリオキシエチレン)シロキサン重合体等のシリコン誘導体、酸化防止剤、香料、色剤防腐剤などを配合することができる。
【0032】
【実施例】
次に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれによって限定されるものではない。なお、配合量は全て質量%で示す。まず始めに各実施例及び比較例で用いた処理方法、評価法について説明する。
柔軟剤処理方法
市販の木綿タオルまたは木綿メリヤス肌着を、市販の洗剤(トップ ライオン株式会社製)にて5回繰り返し洗濯することによって、製品に付着している柔軟剤を除去した後、容量7リットルの小型洗濯機に柔軟剤組成物の2.2%水溶液を調製し、25℃、浴比1/30で3分間攪拌処理を行った。
【0033】
評価方法
上記方法で処理した布を室温下で自然乾燥後、25℃、65%RHの恒温恒湿室に24時間放置した。これらの布について柔軟性および吸水性の評価を行った。
「柔軟性」
20名の女性をパネラーとし、柔軟処理後の木綿タオル3枚を重ねたものを1サンプルとし、柔軟性について官能評価を行った。柔軟性が十分認められると感じた場合を4点、柔軟性がやや認められると感じた場合を3点、柔軟性がほとんど認められないと感じた場合を2点、柔軟性が全く認められないと感じた場合を1点として、20名の平均値を求めて、平均値が3.0以上のものを柔軟性に優れた柔軟剤組成物と評価した。
【0034】
「吸水性」
前記柔軟剤組成物で処理した木綿メリヤス肌着を2.5×15cmの短冊状に切り取り、その一端1cmを10分間水に浸し、水位の上昇を測定した。上昇水位が7.5cm以上の者を吸水性に優れた柔軟剤組成物と評価した。
【0035】
「皮膚刺激性(パッチテスト)」
前記柔軟剤組成物の1.0質量%水溶液を調製し、パッチテスト用絆創膏のガーゼ部分に滴下。これを被験者20名の上腕部に貼り付け、48時間後の皮膚の状態を確認した。判定は以下の評価基準で行い、評価点を20人の平均で表した。0.1以下を刺激性が低いと判断した。
0:反応なし
1:軽い紅斑
2:紅斑
3:紅斑+浮腫
4:紅斑+浮腫+丘疹〜小水疱
5:大水疱
【0036】
次に、本発明にかかるアルキレンオキシド誘導体の合成例について示す。
合成例1 ブロックポリマーの合成
ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル
【化7】
CH3O(EO)5(PO)10(EO)5CH3
【0037】
プロピレングリコール76gと触媒として水酸化カリウム3.1gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりプロピレンオキシド522gを滴下させ、2時間攪拌した。ひきつづき滴下装置によりエチレンオキシド440gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム224gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル188gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧−0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、前記化7に示すアルキレンオキシド誘導体を得た。
塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が110、化合物1の水酸基価が0.3、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.003であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に変換されている。
【0038】
合成例2 ランダムポリマーの合成例
ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル
【化8】
CH3O[(EO)10/(PO)10]CH3
【0039】
なお、以下の実施例において、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、[(EO)/(PO)]はランダム状結合を表す。
プロピレングリコール76gと触媒として水酸化カリウム3.1gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド440gとプロピレンオキシド522gの混合物を滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム224gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル188gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧−0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、前記化8に示すアルキレンオキシド誘導体を得た。
塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が107、化合物1の水酸基価が0.4、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.004であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に変換されている。
【0040】
実施例1〜10、比較例1〜10
本発明者らは、以上の各製造例に準じて各種アルキレンオキシド誘導体を調製し、下記表2及び表3に記載した配合組成よりなる実施例1〜10及び比較例1〜10の20種の柔軟剤組成物を調製し、その特性について前記評価方法により評価を行なった。実施例及び比較例の試験結果を表4及び5に示す。
なお、組成物に配合するa、b、cの各成分としては、以下に示すものを用いた。
【0041】
a成分
下記表1に示す7種のアルキレンオキシド誘導体を調製し、a−1〜a−6成分として用いた。
【表1】
【0042】
b成分
以下に示す6種の脂肪酸アンモニウム塩をb−1〜b−6成分とした。
<b−1>
ドデシルトリメチルアンモニウムクロライドをb−1成分として用いた。
<b−2>
オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドをb−2成分として用いた。
【0043】
・混合脂肪酸の調製
ステアリン酸(日本油脂(株)製のNAA−180)、パルミチン酸(日本油脂(株)製のNAA−160)、オレイン酸(日本油脂(株)製のエキストラオレイン80)、微水添大豆油脂肪酸を所定の重量比で混合して、下記表2に示す脂肪酸組成を有する6種の混合脂肪酸▲1▼〜▲3▼を調製した。なお、試験に用いた上記脂肪酸の詳細な脂肪酸組成を表3に示す。
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
<b−3成分>
攪拌機、温度計及び還流冷却器を備えた4つ口フラスコに上記の混合脂肪酸▲1▼を422.0g仕込み、85℃加熱後トリエタノールアミン111.8gを添加した。160℃、窒素気流下にて水の留出が始まるまで加温後、1.5時間で210℃まで昇温後4時間加温し、26.8gの水を分離した。25℃に冷却後、507.0gの微黄色固体が得られた。この固体は酸価4.3、水酸基価82.1を有し、窒素含量は2.0%であった。
この反応生成物500.0gをジメチル硫酸100.0gを用いて85℃において2時間かけて4級化した後、反応混合物をさらに1時間攪拌することによって混合脂肪酸▲1▼エステル型4級アンモニウム塩を得た。
【0046】
<b−4成分>
b−3成分と同様の方法で、上記の混合脂肪酸▲2▼とトリエタノールアミンを反応させ酸価4.1、水酸基価81.2、窒素含量2.0%の微黄色固体を得た。この反応生成物を同様の方法で4級化することによって得た混合脂肪酸▲2▼エステル型4級アンモニウム塩をb−4成分として用いた。
<b−5成分>
b−3成分と同様の方法で、上記の混合脂肪酸▲3▼とトリエタノールアミンを反応させ酸価4.0、水酸基価81.8、窒素含量1.9%の微黄色固体を得た。この反応生成物を同様の方法で4級化することによって得た混合脂肪酸▲3▼エステル型4級アンモニウム塩をb−5成分として用いた。
【0047】
c成分
以下に示す6種類の非イオン性界面活性剤をc−1〜c−6成分として用いた。
<c−1成分>
ポリオキシエチレン(15E.O.)モノステアレートをc−1成分として用いた。
<c−2成分>
ポリオキシエチレン(40E.O.)ステアリルエーテルをc−2成分として用いた。
<c−3成分>
ポリオキシエチレン(30E.O.)ラウリルエーテルをc−3成分として用いた。
<c−4成分>
ポリオキシエチレン(20E.O.)オレイン酸アミドをc−4成分として用いた。
<c−5成分>
ポリオキシエチレン(5E.O.)モノステアレートをc−5成分として用いた。
<c−6成分>
ポリオキシエチレン(60E.O.)ラウリルエーテルをc−6成分として用いた。
【0048】
・実施例
【表4】
【0049】
・比較例
【表5】
【0050】
上記の結果から、本発明のアルキレンオキシドa−1〜a−3と、本発明のアミン化合物b−1〜b−5と、本発明の非イオン性界面活性剤c−1〜c−4とを配合している実施例1〜10の柔軟剤組成物は、柔軟性が3.9〜3.0、吸水性が9.8〜7.7と、柔軟剤としては十分な柔軟性、吸水性を示し、さらに皮膚刺激性は0.1以下と、ほとんど皮膚刺激性を示さないものであった。
【0051】
これに対して、アルキレンオキシドを配合していない比較例1、本発明の範囲外のアルキレンオキシドa−4〜a−6を配合している比較例2〜4では、柔軟性、吸水性、皮膚刺激性の点で、全てを十分に満たしているものはなく、a−7を配合することによってR1およびR2の炭化水素基数に対する水素原子数の割合が約0.20である比較例5においても、皮膚刺激性が十分でなかった。また、b成分の配合量が2.0質量%である比較例6では柔軟性が十分でなく、b成分を45質量%配合した比較例7では吸水性が十分でない。さらに、c成分の配合量が0.1質量%である比較例8、本発明の範囲外のc成分であるc−5、c−6を配合した比較例9、10では、吸水性が十分でなかった。
【0052】
【発明の効果】
本発明の柔軟剤組成物を用いることにより、処理した衣類に対して優れた柔軟性と吸水性を同時に与え、さらには衣類の着用時に残留柔軟剤成分によっておこる肌荒れを低減させることができる。
Claims (2)
- 下記a)0.1〜10質量%、b)5〜40質量%およびc)0.5〜10質量%を含有することを特徴とする柔軟剤組成物。
a) 式(I)で示されるアルキレンオキシド誘導体
b) 式(II)で示されるアミン化合物、又は該アミン化合物の中和物、あるいは該アミン化合物の4級化物
c) 式(III)で示されるアルキレンオキシド付加非イオン性界面活性剤
- 請求項1記載の柔軟剤組成物において、a)のアルキレンオキシド誘導体が、オキシアルキレン基とオキシエチレン基がランダム状に付加しているアルキレンオキシド誘導体からなることを特徴とする柔軟剤組成物。
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