JP4214637B2 - 包皮型食品及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、包皮型食品及びその製造方法に関し、例えば、オムレツやオムライス等のように、具材を卵の皮で包み込んだ包皮型食品及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
一般的に市場に出回っているオムライスやオムレツは、主食用として1食分を想定し、100g以上の大きさの商品が多く流通している。しかし、この商品は、弁当箱に入れて持ち運びする際には、その大きさから納まりが悪く不便であった。また、副食材料としての役割を果たすにも、やはり大きさの点で不適格な商品であった。このため、従来より小型の、例えば一口サイズのオムライス等の商品に対する要望が高かった。しかし、このような一口サイズのものは、卵包皮食品として高品質である条件、すなわち、薄い包皮に包まれた製品を効率よく生産することは困難であった。
【0003】
そこで本発明者らは、特開平11−28080号公報に示されるように、良好な食感、食味を有する一口サイズの包皮型食品、例えばオムライスやオムレツ等を効率良く製造する方法を提案した。しかし、この方法で作った製品を凍結して冷凍食品にした場合に、卵がやや硬くなったり、卵と中種具材とがベタついた食感になることがあった。また、その冷凍食品を長期間保存した後に解凍して喫食すると、中種の食味が薄くなったり、退色したりする傾向があった。さらに、卵白が一定量以上含まれていると、焼成工程において製品が浮き上がり安定した焼成ができにくい欠点があった。
【0004】
そこで本発明は、一口サイズで良好な食感、食味が得られ、かつ、冷凍食品に加工しても、凍結前と同等に良好な食感、食味を有する包皮型冷凍食品を得ることができ、しかも、包皮型冷凍食品の解凍工程、例えば電子レンジ解凍における解凍ムラを無くし、適量を適時に解凍して喫食でき、かつ、弁当箱等にそのまま入れて持ち運ぶことができる包皮型食品を提供するとともに、製品の焼成工程における製品の浮き上がりを無くし、安定した焼成工程を行える包皮型食品の製造方法を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の包皮型食品は、ソースの配合割合が20〜70重量%である米飯とソースとの配合品にデキストリンを配合した中種であって、かつ、該中種中のデキストリンの配合割合が5〜30重量%である中種を、卵白の配合割合が10〜30重量%である卵汁と、油脂と、デキストリンとを配合した加熱凝固食品であって、かつ、前記油脂の配合割合が5〜12重量%で、前記デキストリンの配合割合が5〜30重量%の加熱凝固食品で形成した包皮により包んだことを特徴としている。
【0008】
また、製造方法として、卵白の配合割合が10〜30重量%である卵汁と、油脂と、デキストリンとを配合した加熱凝固食品であって、かつ、前記油脂の配合割合が5〜12重量%で、前記デキストリンの配合割合が5〜30重量%の加熱凝固食品を焼成器の凹部内に注入し、該加熱凝固食品が完全に凝固する前に、ソースの配合割合が20〜70重量%である米飯とソースとの配合品にデキストリンを配合した中種であって、かつ、該中種中のデキストリンの配合割合が5〜30重量%である中種を前記加熱凝固食品に包まれるように投入し、該中種を前記凹部内に挿入される押器で押して成型した後、成型後の中種の上に前記加熱凝固食品を追加注入し、次いで焼成器全体を加熱し、前記加熱凝固食品を凝固させて中種を包む包皮を形成することを特徴としている。
【0009】
さらに、本発明では、これらの製造方法で製造した包皮型食品を凍結して包皮型冷凍食品を製造することも含んでいる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の包皮型食品の一形態例を示すもので、図1は断面図、図2は一部断面斜視図である。この包皮型食品10は、中種11を包皮12により包んだものであって、円柱状部13と該円柱状部13の一端に連続した半球状部14とからなる釣鐘型の外形を有している。この包皮型食品10における軸線方向の寸法、即ち包皮型食品10の全高H及び円柱状部13の直径Dは、それぞれ20〜50mm、好ましくはそれぞれ25〜45mmの範囲内であって、かつ、この全高Hに対する直径Dの比率(D/H)が0.8〜1.5、好ましくは0.9〜1.4の範囲内の外形を有し、さらに、重量が15〜50g、好ましくは20〜45gであり、包皮の厚さが0.5〜8mm、好ましくは1〜5mmの範囲で形成されている。
【0011】
なお、半球状部14は、真球の半割体である必要はなく、円柱状部13から連続した曲面を有する、いわゆるドーム状になっていればよい。また、円柱状部13も、真円の円柱体である必要はなく、円錐形となっていてもよい。さらに、円柱状部13の底部(半球状部14の反対側)は、円柱状部13の周面と底面とが尖った状態になっていてもよく、丸味を帯びていてもよい。また、底面がドーム状に僅かに膨らんでいても凹んでいてもよい。
【0012】
包皮型食品10の全高Hや直径Dが大きすぎたり、重量が重すぎる場合は、一口サイズとして不適当であるだけでなく、焼成時に型崩れが発生し易くなり、逆に小さすぎたり、軽すぎたりすると、食品としての存在感が薄くなり、製造も面倒なものとなる。また、全高Hに対して直径Dが大きくなりすぎると偏平な形状になるため、これを凍結して解凍した場合に温度ムラが発生することがある。一方、直径が小さくなると、見た目の安定性に欠け、製造も困難になる。
【0013】
上述のような範囲内に形成された包皮型食品10は、製造段階における焼成時に型崩れがなく、凍結して冷凍食品とした場合でも、解凍時における解凍ムラが起きない上に型崩れもないという利点を有している。さらに、このような包皮型食品10は、喫食時に、どの方向から噛んでもほぼ同様な食感が得られ、一口サイズであるから、成人はもちろんのこと、幼児、老人、病人であっても楽しく喫食することができる。このような一口サイズの包皮型食品10がオムライスである場合、一般にプチオムライスと呼ばれることがある。
【0014】
中種11は、包皮12に包まれる全てのもののことであり、中種11としては、適宜な食材を用いることができるが、例えば米飯のみ又はソースのみのこともあり、あるいは米飯とソースとの両方であることもある。例えばオムライスの場合は、中種11を大別すると、米飯とソースとになる。
【0015】
このときの米飯は、浸漬米のみを炊飯したもの(白飯)でもよく、浸漬米に適宜な量の油脂(例えば、サラダ油等)や、その他必要に応じて各種添加物を添加して炊飯したものであってもよい。また、ソースは、ソース原料(例えば、ケチャップ、カレー等)に、具材(例えば、鶏肉、玉葱、ジャガイモ、野菜等)、調味料(例えば、胡椒、甘味料、旨味調味料、食塩、油等)等を加え、さらに、必要に応じて水を加えて加熱調理したものを使用することができる。
【0016】
中種11が米飯のみ、あるいは、米飯とソース、特に、具材を含まないソースとの混合物の場合、包皮型食品10の外形等を前記範囲内で形成することにより、包皮型食品10を製造する際の焼成や、その後の凍結、解凍等を行う場合の型崩れが少なく、良好な形状を保つことができる。また、解凍時における解凍ムラも少なくなる。特に、包皮12が卵皮である場合に、極めて顕著な効果を期待することができる。
【0017】
また、中種11が米飯とソースとの混合物である場合、ソースの配合割合は、中種11の20〜70%(重量%、以下同じ)、好ましくは25〜65%が適当である。この配合割合にすると、中種を混合、成型するときに空隙部分を減らすことができ、成型した中種11を、包皮12を形成する材料内、例えば卵汁内に充填したときに、卵汁が中種11に染み込むことを抑えることができ、中種11の食味、色彩等を良好に保持することができる。中種が前記米飯のみ、あるいは米飯とソースとの混合物である場合、これを中種飯と呼ぶことがある。
【0018】
一方、包皮12は、加熱すると凝固して包皮12を形成することができる食品、即ち加熱凝固食品を加熱凝固させて形成したものである。この加熱凝固食品は、加熱すると凝固する成分、例えば、卵中のタンパク、小麦粉や片栗粉中のでんぷん等のような成分を少なくとも一つ含む食品である。具体的には、卵液や、小麦粉を水に溶いた物等を使用することができ、ナン、クレープの皮、お好み焼、たこ焼き、ホットケーキ等のミックス粉、液状のミックスも使用することができる。特に、卵液(卵黄及び卵白)に、でんぷん、デキストリン、油脂、水、調味料を必要に応じて添加混合した卵汁が好適である。
【0019】
上述のような中種11及び包皮12を有する包皮型食品10を製造する際には、中種11及び包皮12のを形成する食品に、あらかじめデキストリンを配合したものを使用する。中種11となる中種飯や、包皮12となる加熱凝固食品中にデキストリンを添加すると、冷凍前と冷凍後とにおける品質の変化を小さくできるとともに、冷凍工程、解凍工程を経た後の品質劣化を小さくできる。すなわち、これらの冷凍耐性を高めることができる。
【0020】
また、冷凍食品は、凍結方法、解凍方法により若干異なるが、冷凍時や解凍時に離水や表面の乾燥が発生する。一方、デキストリンは吸水性が高いため、これを冷凍食品に配合しておくと、冷凍時や解凍時における離水を抑制したり、他の食品への水分の移行を抑制したりすることができる。なお、デキストリンとしては、例えば、一般に「粉あめ」と称される品(例えば、商品名サンデック)を使用することができる。
【0021】
デキストリンの配合割合は、中種11や包皮12の種類、性状によってそれぞれ適当に選択することができるが、通常は、これらに対して、5〜30%が適当である。デキストリンの配合割合が5%未満であると、冷凍耐性が十分に発揮されず、解凍したときに食感を低下させることがあり、配合割合が30%を超えると、食品の甘みが高くなり過ぎたり、食品自体にねばりがでてきて食味、食感を低下させることがある。
【0022】
また、加熱凝固食品に油脂を配合すると、包皮12にソフト感を付与することができる。油脂の配合量は、加熱凝固食品に対して5〜12%が適当であり、5%未満であるとソフト感が十分に得られず、12%を超えると食品が油っこくなってしまう。特に、卵汁に適量の油脂を配合すると、卵が乳化されて卵のソフト感が一層向上し、より好ましい食感となる。油脂としては、一般の食用油であれば特に限定されるものではなく、例えば、サラダ油、なたね油、オリーブ油、ごま油、紅花油等を使用することができる。
【0023】
また、全卵のみからなる卵液や卵汁を用いてオムライスやプチオムライスを製造すると、焼成時に卵が膨れて焼成機の型から浮上がり、安定した焼成が行えなくなる、いわゆる浮き上がり現象が発生することがあるが、加熱凝固食品として、卵白比率を下げた卵汁を使用することにより、この浮き上がり現象を防止できるとともに、製品としての外観や食味を向上させることができる。
【0024】
卵黄比率を上げた卵汁とは、卵汁に卵黄を加えて卵汁中の卵白の配合割合を10〜30%、好ましくは13〜27%に低下させたものである。卵白が10%未満では、卵黄の味が強くなりすぎて卵の風味が損なわれてしまい、外観が黄色っぽくなってしまう。また、卵白が30%を越えると、浮き上がり現象の防止効果が不安定となる。このときの、卵黄と卵白との比は、1:0.2〜1.5程度の範囲が好ましく、特に、1:0.6〜1.4が好ましい。
【0025】
図3は、前述のような包皮型食品を製造する工程の一段階を示す断面図である。前述のような包皮型食品10は、包皮型食品の外形に対応した凹部21を有する鍋体22と、成型用の押器23とを備えた焼成器を使用することによって製造することができる。
【0026】
この焼成器を使用した包皮型食品10の製造は、基本的には、所定温度に加熱した鍋体22の凹部21内に所定量の加熱凝固食品24を注入し、この加熱凝固食品24が完全に凝固する前に、あらかじめ適当な量、大きさに小分けした中種11を凹部21の中心、すなわち、加熱凝固食品24に包まれるように投入し、続いて、凹部21の内部形状よりも小さい押器23で中種11を凹部21の底部に押し込んで所定形状に成型し、次いで、中種11の上から所定量の加熱凝固食品24を追加注入した後、全体を加熱して加熱凝固食品24を凝固させて前述の包皮を形成する各工程により行われる。
【0027】
例えばオムライスを製造する場合は、中種11の主原料となる米を洗米・浸漬した後、水を加えて炊飯するとともに、ソース原料と適宜な具材や調味料等を混合して加熱調理し、ソースを調製しておき、炊飯米とソースとを適量配合して中種11とする。一方、包皮12を形成する加熱凝固食品24として、でんぷん、デキストリン、油脂、水、調味料を卵液に適量混合して卵汁を調製しておく。
【0028】
所定温度に加熱した鍋体22の凹部21内に、所定量の卵汁(24)を注入して加熱する。この卵汁の外周側が凝固し始め、全体が完全に凝固する前に、所定量の中種11を凹部21内に投入する。このとき、中種11は、凹部21より僅かに小さくて凹部21に近い形状にあらかじめ成型してから投入してもよいし、予備成型せずに適当な形状のまま直接投入してもよく、中種11の堅さなどに応じて適宜に選択することができる。中種11を投入した後、押器23で押して中種11の形を整えるとともに、その外周面全体に卵汁が行き渡るようにする。
【0029】
最後に、中種11の上から、包皮型食品10における底面部を形成するための所定量の卵汁を追加投入して全体を加熱し、卵汁を加熱凝固させて包皮12を形成することにより、図1,図2に示す形状のオムライス、すなわち、米飯とソースとの混合物からなる中種11の周囲を、卵汁が凝固した包皮12で包んだ包皮型食品10が得られる。
【0030】
このようにして得られたオムライス(包皮型食品)は、そのままで喫食することもできるが、これを凍結させて包装し、冷凍食品として保存流通させ、適時に解凍して喫食することもできる。なお、凍結処理や解凍処理は、適宜な方法で行うことができ、特に限定されるものではない。例えば、解凍は、電子レンジ解凍、蒸し解凍、オーブン解凍、湯煎解凍、自然解凍等によって簡便に行うことができる。
【0031】
【実施例】
中種として中種飯を調製した。なお、括弧内は中種飯全体に対する配合割合を表している。まず、精白米(生米)7kg(28.3%)を洗米・浸漬した後、炊飯水10kg(40.5%)を加えて常法により炊飯した。別途、サラダ油0.5kg(2.0%)、白胡椒0.01kg(0.0%)、食塩0.2kg(0.8%)、デキストリン(商品名サンデック)2.0kg(8.1%)、ケチャップ5.0kg(20.2%)を混合して加熱調理し、ケチャップソース7.71kg(31.2%)を作った。炊飯米とケチャップソースとを、ソースの配合割合を31.2%にして配合し、中種飯となるケチャップライスを作った。
【0032】
一方、包皮を形成する加熱凝固食品として卵汁を製造した。括弧内は卵汁全体に対する配合割合である。全卵20.0kg(36.7%)、卵黄8.0kg(14.7%)、サラダ油5.0kg(9.2%)、でんぷん(商品名マプス)1.5kg(2.8%)、デキストリン(商品名サンデック)5.0kg(9.2%)、水15.0kg(27.5%)を配合混合し、合計で54.5kgの卵汁を作った。このとき、全卵中の卵白と卵黄との重量比は、大体、卵白2:卵黄1であるから、使用した全卵中の卵白の量は略13.3kgとなり、卵汁全体に対する卵白の配合割合は24.4%となる。また、卵汁中の卵黄と卵白との比は、14.7kg:13.3kgであるから略1:0.9となる。
【0033】
焼成には、図3に示す形状の焼成器を使用した。凹部の直径及び深さは、それぞれ40mmで、凹部の底部形状は略半球形となっている。凹部に約10gの卵汁を注入して加熱し、卵汁が凝固仕切らないうちに、直径30mm、高さ25mmの釣鐘状に成型したの中種飯14gを凹部に投入して押器で形を整えた。さらに卵汁3gを注入した後、10分間加熱して一口サイズのオムライスを製造した。卵皮の厚さは、平均して1.5mmであった。得られたオムライスをトンネルフリーザーで芯温−15℃まで凍結させ、密封包装して包皮型冷凍オムライスとした。
【0034】
比較対象物として、従来から一般に流通している標準的な形状及び大きさの冷凍オムライス(長手方向120mm、短手方向60mm、厚さ40mmで、底が略平面のラグビーボール型。重さ100g)を、同じ中種飯及び卵汁を使用して製造し、同様に凍結させて冷凍オムライスとした。
【0035】
前述のようにして製造した図4に示す形状の包皮型冷凍オムライスA(実施例品)と、図5に示す形状の上記従来型冷凍オムライスB(比較例品)とをそれぞれ電子レンジによって加熱し、解凍後の温度ムラと食感とを比較した。解凍後の喫食は、大略60℃位の品温が適当とされているので、品温が平均して60℃になるまで加熱した。このときの各部の温度は、図4及び図5に示す頂上▲1▼、中心▲2▼、端▲3▼でそれぞれ測定した。頂上▲1▼と端▲3▼は表面から約2mm内側の温度を測定した。
【0036】
その結果、実施例品である包皮型冷凍オムライスAは、▲1▼42℃、▲2▼66℃、▲3▼60℃であり、温度ムラは最大で24℃であった。比較例品である従来型冷凍オムライスBでは、▲1▼64℃、▲2▼24℃、▲3▼54℃であり、温度ムラは最大で40℃に達した。このように温度ムラが大きいと、食感を損ねる原因になる。
【0037】
実際に喫食試験した食感も、実施例品はソフト感に富み、本格的なオムライス感があり、極めて良好であった。それに対して、比較例品はソフト感はあるものの、実施例品に比較すると劣るものであった。
【0038】
比較例品のオムライスは、尖った部分(角、カド、図5の▲3▼の位置)が、皿等の載置面から少し上に離れている上、電子レンジのマイクロ波を直接受け易い位置にあるので、マイクロ波を受け難い中心部分が0℃以下の凍結状態であっても、この尖った部分がいち早く解凍して0℃以上に昇温し、氷が水になる。この状態でマイクロ波を受けると、水は氷よりも著しく早く発熱(昇温)するので、角と中心部との温度差はさらに拡大する。しかも、発生した熱は、外部又は内部へ伝導により移動するのであるが、形状が偏平なために移動速度が遅く、したがって、温度ムラが大きくなる。
【0039】
これに対し、実施例品のオムライスは、角の部分が略載置面上であり、マイクロ波が直接照射され難い位置にあることと、しかも、角以外は略球形に近いので、マイクロ波を一様に受けることになり、発熱(昇温)が一様に起きる。そして、形状が小型で球形に近いから、伝導による均熱化が早いため、結果として温度ムラが小さくなる。
【0040】
さらに、一般に、水や低級糖類等の小分子はマイクロ波を吸収し易く発熱し易いのに対して、脂質、糖質、蛋白質等の大きな分子はマイクロ波を吸収し難く発熱し難いので、上記形状による特徴に加えて、デキストリンや油脂を適当量配合しておくことにより、マイクロ波の吸収発熱にも特徴が現れる。
【0041】
このように、包皮型食品の形状と大きさ及び配合されたデキストリンと油脂とが、電磁波の透過と吸収、熱の発生と放散に相互に関連することにより、実施例品は比較例品に対して温度分布が均一(ムラが少ない)になったものと推測される。すなわち、実施例品の形状寸法と配合されたデキストリンや油脂とによって生じる効果である。このことは、解凍における温度ムラが少ないことにも、焼成や解凍における型崩れが少ないことにも関連する。
【0042】
次に、全体形状は略同様の釣鐘型であるが、各部の寸法が違うオムライスをそれぞれ製造し、焼成後の状態及び冷凍食品とした後の解凍状況を比較した。中種飯及び卵汁は前述のものを使用し、製造工程や凍結工程は、寸法による差はあるにしても、基本的には前記同様にして行った。解凍には電子レンジを使用した。
【0043】
結果を表1に示す。この結果から、横(円柱状部の直径)と高さがそれぞれ50mm以下であれば、安定した焼成を行うことができ、形が崩れる割合も少しであり、不良品による損失(ロス率)は実用的には無視できる程度であることがわかる。解凍後も、焼成時の形状を良好に保っていた。解凍後の形状が良好なのは、デキストリンの冷凍耐性と、オムライスの特定の形状との相乗効果でもある。
【0044】
一方、横と高さがそれぞれ60mmのものは、焼成時の型崩れが多くて安定した焼成が困難であり、不良品損失(ロス率)が大きく、解凍するときの型崩れも大きかった。したがって、横と高さが50mm以下ならば、製造ラインでの工業生産が十分可能であるのに対して、横と高さが60mmでは大量生産には不向きと判断された。
【0045】
【表1】
【0046】
次に、凹部に注入する卵汁の量と、中種飯の投入割合とを調節し、包皮(卵皮)の厚さが異なるもの(0.3mm、0.5mm、4mm、8mm、10mmの5種)を製造して比較した。なお、以下の実験で製造した包皮型食品における全高及び直径は、それぞれ40mmとした。
【0047】
その結果、卵皮の厚さが0.5mm、4mm、8mmのときは、焼成後の状態、解凍後の状態及び食味、食感ともに良好であったのに対し、卵皮が0.3mmのものは皮が弱くて破損し、焼成において中種飯がはみ出してしまった。また、解凍後の状態は良好に保たれてはいたものの、ソフト感に欠けたり、ソースの色が表面に出たりしていた。一方、卵皮が10mmのものは、焼成後は良好な状態であったが、解凍後は形が崩れたうえ、中種飯の存在感がなく、味が薄くなってしまった。
【0048】
また、卵汁におけるデキストリンの配合割合が異なるもの(3%、5%、15%、30%、35%の5種)を使用して前記同様にしてオムライスを製造し、凍結後に解凍して食味及び食感を比較した。その結果、デキストリンの配合割合が、5、15、30各%のときは、オムライスとして良好な食味、食感が得られたのに対し、デキストリンが3%ではソフト感に欠け、35%では甘みが若干強くなってしまった。
【0049】
さらに、中種飯におけるデキストリンの配合割合が異なるもの(3%、5%、15%、30%、35%の5種)を使用して前記同様にオムライスを製造し、凍結後に解凍して食味及び食感を比較した。その結果、卵汁の場合と同様に、デキストリンの配合割合が、5、15、30各%のときは、オムライスとして良好な食味、食感が得られたのに対し、デキストリンが3%ではソフト感に欠け、35%では若干甘みが強くなっていた。
【0050】
また、卵汁におけるサラダ油の配合割合が異なるもの(3%、5%、12%、15%の4種)を使用して前記同様にオムライスを製造し、凍結後に解凍して食味及び食感を比較した。その結果、サラダ油の配合割合が、5%及び12%のときは、食味、食感が良好であったのに対し、サラダ油が3%ではソフト感に欠け、15%では油っこさが強くなっていた。
【0051】
次に、卵汁における全卵と卵黄の配合量を変化させ、卵汁全体に対する卵白、卵黄の配合割合を、表2の通りとした各卵汁を使用した。前記同様にしてオムライスを製造し、焼成時の浮き上がり現象による不良品ロス(焼成ロス)を測定するとともに、凍結後に解凍して食味及び食感を比較した。なお、全卵は、卵白2:卵黄1の重量比で卵白比率を計算した。
【0052】
結果は表2に示す通りであった。卵汁全体に対する卵白の配合割合が、10、20、30各%のときは、焼成時の浮き上がりによる不良品は実質的になく、食味、食感、外観ともに良好であった。これに対し、卵白の割合が5%では浮き上がり現象による不良品はないものの、食感、外観に欠けるところがあり、卵白が34.5%では、焼成時の浮き上がりがはなはだしく、不良品ロスが大きくなってしまった。
【0053】
【表2】
【0054】
さらに、中種飯として、ケチャップソースの添加率(配合割合)が表3に示すように異なるものを使用し、前記同様にしてオムライスを製造し、凍結させて6ヶ月の保存テストで色調を観察するとともに、解凍後の食味を比較した。その結果を表3に示す。この結果から、ソースの配合割合が30、50、70各%では、6ケ月後にも色調は良好であり、食味も良好であった。ソース配合割合が20%では、6ケ月後には色調にも食味にも若干の変化が見られたが、実用的には十分であった。それに対して、ソース配合割合が10%では、3ケ月後には退色が現れ、6ケ月後には食味がかなり変化した。また、80%のものは、色調は良好であったが、ケチャップ味が強く、具材の食感が乏しくなってしまった。
【0055】
【表3】
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の包皮型食品は、焼成した状態においても、冷凍品を解凍調理した状態においても、良好な食感、食味が得られ、長期冷凍保存しても退色することはなく、解凍後の食感、食味も良好である。また、一口サイズの製品であるため、適時適量を解凍調理して喫食することができ、成人はもとより、特に、幼児、老人、病人も食事を楽しむことができる。さらに、一口サイズで比較的小さいため、電子レンジで容易にかつ均一に解凍調理できるだけでなく、蒸し解凍、オーブン解凍、あるいは湯煎解凍な等の様々な解凍方法も採用できる。
【0057】
また、本発明方法によれば、包皮型食品、とりわけ卵包皮型食品の焼成工程における浮き上がりを防止することができ、不良品ロスが少なく、生産性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の包皮型食品の一形態例を示す断面図である。
【図2】 同じく一部断面斜視図である。
【図3】 包皮型食品の製造工程の一段階を示す断面図である。
【図4】 実施例品である包皮型冷凍オムライスの温度測定点を示す説明図である。
【図5】 比較例品である従来型冷凍オムライスの温度測定点を示す説明図である。
【符号の説明】
10…包皮型食品、11…中種、12…包皮、13…円柱状部、14…半球状部、21…凹部、22…鍋体、23…押器、24…加熱凝固食品
Claims (3)
- ソースの配合割合が20〜70重量%である米飯とソースとの配合品にデキストリンを配合した中種であって、かつ、該中種中のデキストリンの配合割合が5〜30重量%である中種を、卵白の配合割合が10〜30重量%である卵汁と、油脂と、デキストリンとを配合した加熱凝固食品であって、かつ、前記油脂の配合割合が5〜12重量%で、前記デキストリンの配合割合が5〜30重量%の加熱凝固食品で形成した包皮により包んだことを特徴とする包皮型食品。
- 卵白の配合割合が10〜30重量%である卵汁と、油脂と、デキストリンとを配合した加熱凝固食品であって、かつ、前記油脂の配合割合が5〜12重量%で、前記デキストリンの配合割合が5〜30重量%の加熱凝固食品を焼成器の凹部内に注入し、該加熱凝固食品が完全に凝固する前に、ソースの配合割合が20〜70重量%である米飯とソースとの配合品にデキストリンを配合した中種であって、かつ、該中種中のデキストリンの配合割合が5〜30重量%である中種を前記加熱凝固食品に包まれるように投入し、該中種を前記凹部内に挿入される押器で押して成型した後、成型後の中種の上に前記加熱凝固食品を追加注入し、次いで焼成器全体を加熱し、前記加熱凝固食品を凝固させて中種を包む包皮を形成することを特徴とする包皮型食品の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の包皮型食品を凍結することを特徴とする包皮型冷凍食品の製造方法。
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