JP4214492B2 - 工作機械におけるワーク冷却装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークやイケール等の熱変形を防止してワークの加工精度を向上させるための工作機械におけるワーク冷却装置に関するものである。
従来、ワークの加工精度を向上させるために、ワークの切削加工部へクーラント(切削油剤)を供給する流体回路を用いて、主軸装置内の発熱部の冷却を行って、該主軸装置の熱変位を低減させるようにした工作機械における主軸冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、コラム構造体やテーブル上のワーク取付用のイケール構造体の内部に形成された空洞部に液体を循環させ、工場内の室温の温度分布の差に応じてその循環時間を制御することにより、前記各構造体の各部の温度を略均一に保って、各構造体の熱変形を抑制するようにした工作機械における構造体冷却装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。さらに、ワークの加工中はその切削加工部とテーブル上のワーク取付用のイケールの中空内部に冷却液を噴射してワークを冷却し、ワークの加工停止後はイケールの中空内部に冷却液を噴射したままとしてイケールの内部を冷却することにより、イケールの局部的熱変形を抑えて、ワークの正確な寸法測定を行えるようにした工作機械のワーク冷却、測定装置が知られている(例えば、特許文献3参照)。
特許第3773316号公報 特開2002−239857号公報 特許第3481800号公報
一般に、工作機械においては、ワークの切削加工部へクーラントの供給を行う場合には、機械におけるワークの加工領域を加工領域カバーで覆い、クーラントが機械の外側へ漏れないようにしてワークの切削加工が行われる。そして、加工領域カバーの外側には自動パレット交換装置が設置され、該自動パレット交換装置内に次に加工する新しいワーク(待機ワーク)を搭載したパレットが外部から搬送されて取り付けられるか、または自動パレット交換装置内のパレット上のイケール等にワークを作業者が取り付けるようになっている。自動パレット交換装置の外部にあったワークまたは自動パレット交換装置内の待機ワークは周囲環境の温度分布に晒されており、前記クーラントとは温度が異なったり、高さの高いワークでは上下方向に温度差が生じている。
そのため、自動パレット交換装置内の待機ワークを機械内のテーブル上に移載して切削加工をするに際して、前記特許文献1〜3に記載されている技術のようにワークやイケール構造体にクーラントや冷却液をワークに噴射すると、ワーク自身の温度分布やワークとクーラントとの温度差が徐々に変化して、ワークの温度がクーラントの温度に近づいて行き、このような温度変化の途中で切削加工が行われることなるので、加工精度の劣化やそのバラツキが生じる問題がある。
そこで、加工精度の劣化等を防止するために、待機ワークを自動パレット交換装置で機械のテーブル上に搬入した直後は、暫く加工せずにワークにクーラントを吹き付けてワークの温度が均一になるのを待つ方法も考えられるが、この場合には長い養生時間が必要であり、加工時間が長くなってしまうという問題もある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、加工待ちの待機ワークをその加工待ち時間を利用して予め加工時の温度状態に維持させることにより、ワークの加工精度の向上と加工準備時間の短縮を図ることができる工作機械における冷却装置を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために、以下の構成としたことを特徴とする。
すなわち、請求項1に係る工作機械におけるワーク冷却装置は、テーブル上のワークを加工する加工領域を囲む加工領域カバーと、テーブルに対してワークを受け渡しする自動パレット交換装置の少なくとも段取り部側を囲むパレット交換領域カバーとが仕切り部材で区切られて設けられると共に、温度調節されたクーラントタンク内のクーラントを、クーラントポンプによって加工領域内に設けたクーラントノズルに供給し、テーブル上のワークに向かって吹き付けるクーラント装置を備えた工作機械におけるワーク冷却装置において、クーラント装置には、パレット交換領域カバー内に設けた吐出ノズルによって、クーラントタンク内のクーラントをパレット交換領域カバー内に位置されたワークに吹き付ける冷却液吐出装置が設けられていることを特徴としている。
請求項2に係る工作機械におけるワーク冷却装置は、請求項1に記載のワーク冷却装置において、冷却液吐出装置は、クーラントポンプとクーラントノズルとを接続するクーラント配管から分岐されて吐出ノズルに接続された分岐配管と、該分岐配管に設けられクーラント配管から吐出ノズルへのクーラントの供給およびその停止を切り換える切換弁と、該切換弁の切換動作を制御する制御装置とを備えていることを特徴としている。
請求項3に係る工作機械におけるワーク冷却装置は、請求項1に記載のワーク冷却装置において、冷却液吐出装置は、クーラントノズルに供給するクーラントポンプとは別に設けられ、クーラントタンク内のクーラントを配管を通して吐出ノズルに供給する冷却液ポンプと、該冷却液ポンプの運転、停止の切換動作を制御する制御装置とを備えていることを特徴としている。
請求項4に係る工作機械におけるワーク冷却装置は、請求項2または3に記載のワーク冷却装置において、制御装置は、パレット交換領域カバーの外側における段取り部の近傍に設けられて切換動作を行わせる手動の操作スイッチを備えていることを特徴としている。
請求項5に係る工作機械におけるワーク冷却装置は、請求項2〜4のいずれかに記載のワーク冷却装置において、制御装置は、テーブル上の加工が完了したワークを自動パレット交換装置によって待機ワークと交換する前に、吐出ノズルへのクーラントの供給を自動的に停止させる自動停止手段を備えていることを特徴としている。
本発明は以下の優れた効果を奏する。
すなわち、請求項1に係る工作機械におけるワーク冷却装置によれば、パレット交換領域カバー内で待機ワークやこれを取り付けたイケール等を、加工領域で加工中のワークに吹き付ける温度調節されたクーラントと同一のクーラントによって冷却するので、ワークやイケール等の温度分布の違いをワークの加工前に修正し、次に加工される時点の温度にワークやイケール等の温度を均一化し、それらの熱変形を防止することにより、ワークの加工精度を向上させることができる。また、加工待ち時間を利用してパレット交換領域カバー内でワークやイケール等にクーラントを吹き付けるため、ワークの加工精度を高めるための養生時間を加工時間に含める必要がなく、加工時間の短縮が可能である。
請求項2に係る工作機械におけるワーク冷却装置によれば、冷却液吐出装置の吐出ノズルにクーラントを供給するポンプを、加工領域カバー内のクーラントノズルへクーラントを供給するクーラントポンプと共用することができるので、冷却液吐出装置専用のクーラントポンプを省略することができる。
請求項3に係る工作機械におけるワーク冷却装置によれば、クーラントタンクから吐出ノズルにクーラントを供給する冷却液回路に切換弁を設けたり、該切換弁用の制御器を設けなくて済み、装置の構成を簡単にすることができる。
請求項4に係る工作機械におけるワーク冷却装置によれば、自動パレット交換装置内のイケール等へのワークの取付が完了した後に、操作スイッチを押すことにより、自動パレット交換装置内の待機ワークにクーラントを確実に吹き付け、所要時にその吹き付けを容易に停止させることができる。
請求項5に係る工作機械におけるワーク冷却装置によれば、テーブル上の加工完了のワークが自動パレット交換装置上の待機ワークと交換される際には、吐出ノズルからのクーラント液の吹き出しが自動的に停止されるので、クーラントが自動パレット交換装置の外へ飛散したり、作業者に降りかかったりすることなく、自動パレット交換装置での段取り作業を支障なく、容易に行うことができる。
以下、本発明の一実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置を添付図面を参照して説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置1を示す。このワーク冷却装置1は、例えば、横型のマシニングセンタ(工作機械)2に付設されている。
工作機械2は、ベース3と、該ベース3上の前部に設けられてZ軸方向zに移動するテーブル4と、ベース3上の後部に設けられてX軸方向xに移動するコラム5と、該コラム5に支持されてY軸方向yに移動する主軸ヘッド6とを備えている。
テーブル4の上面の中央には、ワークWをイケールまたは治具(以下、「イケール等」という)7を介して取り付けたパレットPが、自動パレット交換装置8によって自動交換されて載置されるようになっており、ワークWが主軸ヘッド6に設けられた主軸Sに装着された工具で加工されるようになっている。
また、自動パレット交換装置(APC)8は、ベース3の前端側に設置された架台9と、この架台9のベース3側に、鉛直の中心軸C周りに回転自在に支持され該中心軸Cに直交する方向に伸びる一対の旋回支持アーム10,10と、架台9の中央付近に鉛直軸周りに旋回可能な段取りテーブル11と、旋回支持アーム10,10の旋回、該旋回支持アーム10,10によるパレットPのクランプ、アンクランプ、段取りテーブル11の旋回、上下動等を行わせるAPC作動装置12とを備え、旋回支持アーム10,10が、テーブル4がパレット交換位置に移動したときに、該テーブル上4のパレットPと段取りテーブル11上のパレットPとを受け取って旋回することにより、テーブル4上の加工済みワークWと段取りテーブル11上の新しいワーク(待機ワーク)Wとを互いに入れ替える(テーブル4に対してワークWを受け渡しする)ようにした、従来周知の2面式自動パレット交換装置である。
また、ベース3と架台9には、テーブル4上のワークWを加工する加工領域A側を囲む加工領域カバー13aと、自動パレット交換装置8の段取り部B側、すなわち待機ワークWやイケール等7を囲むパレット交換領域カバー13bとが支持されて設けられている。加工領域カバー13aとパレット交換領域カバー13bは、図1で紙面の手前側と向かい側とにZ軸方向zに沿って配置された直立平板状の両側パネル14a,14aと、架台9におけるベース3と反対側に配置された直立平板状の前側パネル14bと、コラム5側に配置された直立平板状の後側パネル14cと、水平板状の天井パネル14dとにより1つの矩形箱状に形成されたカバー体を、旋回支持アーム10,10の中心軸Cを通りX軸方向xに沿って配置された直立平板状の仕切部材14eによって区切られて構成されている。なお、パレット交換領域カバー13bは自動パレット交換装置8の形式によってはその全体を囲むものであってもよい。
仕切部材14eは、旋回支持アーム10,10の位置から上方の天井パネル14dの近くまでの部分に矩形状の開口部14fが設けられ、該開口部14fの位置に、旋回旋回支持アーム10,10の長手方向(図1で左右方向)における中央(中心軸Cの位置)に直立して固定された平板状の可動仕切部材(仕切部材)14gを備えている。該可動仕切部材14gは加工領域AでワークWの加工中は開口部を液密に閉鎖して加工領域A側と段取り側Bとを区切り、ワーク交換時には旋回支持アーム10,10と一緒に旋回して加工領域A側と段取り部B側とを連通させてワークWを通過させるようになっている。
可動仕切部材14gは、旋回支持アーム10に固定せずに天井パネル14dに昇降可能に支持させて開口部14fを開閉するようにすることもできる。
ベース3の後端側(コラム5側)の床面上には、クーラントLを貯留したクーラントタンク15が設置されており、クーラントLを第1のクーラントポンプ16によって吸引してクーラント配管17を通して主軸ヘッド6内のクーラント通路に流して、主軸ヘッド6の前面(加工領域内)に設けたクーラントノズル6aから加工領域A内のテーブル4上のワークWに吹き付けるようになっている。また、加工領域カバー13aの天井パネル14dには複数個のクーラントノズル18aを有するクーラントパイプ18が取り付けられており、クーラントタンク15内のクーラントLを第2のクーラントポンプ19によって吸引して、電磁切換弁(切換弁)20を有するクーラント配管21を通してクーラントパイプ18に送ってクーラントノズル18aからテーブル4上のワークWに吹き付けるようになっている。
また、パレット交換領域カバー13b内には、自動パレット交換装置8の段取り部B側に位置されたパレットP上の一対のワークW,Wの側面に向けられた複数の吐出ノズル22aを有するクーラントパイプ22,22と、天井パネル14dに沿って配され一対のワークW,Wの上部に向けられた複数の吐出ノズル23aを有するクーラントパイプ23とが設けられており、各クーラントパイプ22,22,23は、第2のクーラントポンプ19に接続されたクーラント配管21の電磁弁20の上流側で分岐された分岐配管24の分岐枝管24a,24b,24cにそれぞれ接続されている。
そして、分岐配管24には電磁弁(切換弁)25が設けられており、該電磁弁25の開閉によって第2のクーラントポンプ19から供給されるクーラントLが、各吐出ノズル22a,22a,23aによって、パレット交換領域カバー13b内に位置されたワークW,Wに吹き付けられ、またはその停止が行われるようになっている。
クーラントタンク15には温度調節器26が付設されており、ベース3の後端部付近に取り付けられ、工作機械2の設置された周囲環境の代表温度を検出する温度センサ27と、クーラントタンク15内のクーラントLの温度を検出する液温センサ28との各検出温度の偏差値にもとづいて、温度調節器26がクーラントLを冷却、加熱して予め定められた設定温度を維持すべく調節するようになっている。
また、図1において、29は工作機械2を制御するNC装置であり、その記憶部内に格納された加工プログラムに従って制御手段30を動作させ、該制御手段30が、APC作動装置12と、各クーラントポンプ16,19を動作させるポンプ駆動装置31と、各電磁弁20,25を動作させる電磁弁ドライバ(切換弁ドライバ)32とを、それぞれ所要時に作動させるようになっている。ポンプ駆動装置31は、クーラントポンプ16,19をそれぞれ作動させる電動モータと、該電動モータを動作させるモータドライバ等とからなっている。
そして、パレット交換領域カバー13bの外側における段取り部Bの近傍(架台9の正面)には、押しボタンスイッチからなる操作スイッチ33が設けられ、該操作スイッチ33が作業者によって手動で押されると、NC装置29を経て制御手段30に操作信号が入力され、該制御手段30が電磁弁ドライバ32を介して電磁弁25に対して開閉の切換動作を行わせるようになっている。
クーラントタンク15,クーラントポンプ16,19、クーラント配管17,21、クーラントパイプ18、クーラントノズル6a,18a、電磁弁20、温度調節器26等によってクーラント装置Eが構成されている。また、クーラント配管21、分岐配管24、分岐枝管24a,24b,24c、クーラントパイプ22,23、吐出ノズル22a,23a、電磁弁25等によって冷却液吐出装置Fが構成されている。さらに、操作スイッチ33、制御手段30、電磁弁ドライバ32等によって電磁弁25の切換動作を制御する制御装置Gが構成されている。
なお、架台9とベース3には急勾配の傾斜液流路9aと緩やかな傾斜液流路3aがそれぞれ設けられており、パレット交換領域カバー13bと加工領域カバー13a内においてワークWに吹き付けられた後に架台9上とベース3上に流下したクーラントLが、各傾斜液流路9a,3aを通って樋3bからクーラントタンク15に戻るようになっている。
次に、工作機械におけるワーク冷却装置1の作用について、図2をも参照しながら説明する。
NC装置29が動作して工作機械2が作動されると、NC装置29の記憶部に格納されている加工プログラムが実行され、テーブル4上のパレットPに固定されたイケール等7に取り付けられているワークW,Wが、主軸ヘッド6の主軸Sに装着された工具で加工が行われる。その際、NC装置29の指令で制御手段30が動作して、ポンプ駆動装置31を介して第1,第2のクーラントポンプ16,19が作動されると共に、電磁弁20が開かれるので、クーラントタンク15内の設定温度に調節されたクーラントLが、クーラント配管17によって主軸ヘッド6内のクーラント通路に送られた後クーラントノズル6aからテーブル4上のワークWの側面に吹き付けられると共に、クーラント配管21によってクーラントパイプ18に送られてクーラントノズル18aからワークWの上部に吹き付けられる。これにより、ワークWやイケール等7が温度差を生じない状態とされてワークWの加工が行われる。
一方、加工領域A側でテーブル4上のワークWが加工されている間に、自動パレット交換装置8の段取り部B側では、架台9の段取りテーブル11上で、パレットPに取り付けたイケール等7に次に加工すべき新しいワーク(待機ワーク)Wを、加工済みのワークWと交換して位置決め固定する等のワークの段取り作業が作業者によって行われる。
この間、図2に示すように、NC装置29は操作スイッチ33が押されたか否かを検知している(ステップS1)。そして、作業者がワーク段取り作業を完了したときに(ステップS2)、操作スイッチ33を押す(ステップS3)と、パレット交換領域カバー13b内の吐出ノズル22a,23aからクーラントLを吹き出させるための指令信号がNC装置29を経てに制御手段30に入力されるので、制御手段30は、電磁弁ドライバ32を介して分岐配管24の電磁弁25を開かせる(ステップS4)。
そのため、第2のクーラントポンプ19によってクーラント配管21に送り出されたクーラントLが、分岐配管24から分岐枝管24a,24b,24cを経て各クーラントパイプ22,22,23に送られ、各吐出ノズル22a,22a,23aから自動パレット交換装置8の段取り部B側で段取りテーブル11上に載置されたパレットPのイケール等7に取り付けられたワークW,Wに対して、その側面と上部に温度調節されたクーラントLが吹き付けられる。これにより、段取り部B側に位置されたパレットP上のイケール等7とワークW,Wは、その加工前まで、テーブル4上のワークWが加工されている加工待ち時間を利用して、予め加工時の温度状態に調整しておくことができる。
次に、制御手段30がNC装置29からの指令で加工領域AでのワークWの加工が完了したか否かを判断し(ステップS5)、加工が完了していないときは、NC装置29から加工プログラムが終了して、自動パレット交換装置8によるワーク交換指令が出されるのを待ち(ステップS6)、ワーク交換指令が出されたときは、制御手段30が電磁弁ドライバ32を介して分岐配管24の電磁弁25を閉弁させるので、、各クーラントパイプ22,22,23の吐出ノズル22a,22a,23aから段取り部B内のワークWとイケール等7へのクーラントLの吹き付けが自動的に停止される(ステップS7)。
この場合、NC装置29は、テーブル4上のワークWが加工を完了されて自動パレット交換装置8によって新しいワーク(待機ワーク)Wと交換される前に、吐出ノズル22a,23aへのクーラントLの供給を自動的に停止させる自動停止手段として機能している。
そこで、制御手段30からAPC作動装置12に動作指令が出力され、従来周知のようにして、テーブル4がワーク交換位置に移動され、テーブル4上のパレットPと段取り部B側の段取りテーブル11上のパレットPとが旋回支持アーム10,10上に同時に載置、クランプされ、しかる後、旋回支持アーム10,10が中心軸Cの周りに180度旋回して、新しいワークWを有するパレットPがテーブル4上に移載されて加工位置へ移動され、加工済みのワークWを有するパレットPが段取りテーブル11上に移載され、これにより自動パレット交換装置8によるワーク交換動作が終了する(ステップS8)。そして、加工位置へ移動されたテーブル4上の新しいワークWが加工をされている間に、段取り部Bでは加工済みのワークWをパレットPから取り外して新しいワークWを取り付ける等の段取り作業を行う。この段取り作業が終了したならば、必要に応じて、操作スイッチ33を押し、クーラントLをのようにパレット交換領域カバー13内で段取り部BのワークW,Wに吹き付けるようにする。
以上説明したように、実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置1は、テーブル4上のワークWを加工する加工領域Aを囲む加工領域カバー13aと、テーブル4に対してワークWを受け渡しする自動パレット交換装置8の段取り部B側を囲むパレット交換領域カバー13bとが仕切部材14e,14gで区切られて設けられると共に、クーラントタンク15内の温度調節されたクーラントLを、クーラントポンプ16,19よってクーラント配管17,21等を介して加工領域A内に設けたクーラントノズル6a,18aに供給し、テーブル4上のワークWに向かって吹き付けるクーラント装置Eを備え、クーラント装置に、パレット交換領域カバー13b内に設けた吐出ノズル22a,23aによって、クーラントタンク15内のクーラントLをパレット交換領域カバー13b内に位置されたワークWに吹き付ける冷却液吐出装置Fが設けられた構成とされている。
したがって、実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置1によれば、パレット交換領域カバー13b内で待機ワークWやこれを取り付けたイケール等7を、ワーク加工領域Aで加工中のワークWに吹き付ける温度調節されたクーラントLと同一のクーラントLによって冷却するので、ワークWやイケール等7の温度分布の違いをワークWの加工前に修正し、次に加工される時点の温度にワークWやイケール等7の温度を均一化し、それらの熱変形を防止することにより、ワークWの加工精度を向上させることができる。
また、加工待ち時間を利用してパレット交換領域カバー13b内でワークWやイケール7等にクーラントLを吹き付けるため、ワークWの加工精度を高めるための養生時間を加工時間に含める必要がなく、加工時間の短縮が可能である。
また、実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置1によれば、冷却液吐出装置Fが、クーラントポンプ19とクーラントノズル18aとを接続するクーラント配管21から分岐されて吐出ノズル22a,23aに接続された分岐配管24と、該分岐配管24に設けられクーラント配管21から吐出ノズル22a,23aへのクーラントLの供給およびその停止を切り換える電磁弁25と、該電磁弁25の切換動作を制御する電磁弁ドライバ32,制御手段30とを備えた構成とされているので、冷却液吐出装置Fの吐出ノズル22a,23aにクーラントLを供給するクーラントポンプを、加工領域カバー13a内のクーラントノズル18aへクーラントLを供給するクーラントポンプ19と共用することができるので、冷却液吐出装置F専用のクーラントポンプを省略することができる。
しかし、上記に限らず、冷却液吐出装置Fは、クーラントノズル18aに供給するクーラントポンプ19とは別に設けられ、クーラントタンク15内のクーラントLをクーラント配管21と別の配管を通して吐出ノズル22a,23aに供給する冷却液ポンプと、該冷却液ポンプの運転、停止の切換動作を制御する制御装置Gとを備えた構成としてもよい。この場合には、クーラントタンク15から吐出ノズル22a,23aにクーラントLを供給する冷却液回路に電磁弁25を設けたり、電磁弁ドライバ32等の制御器を設けなくて済み、装置の構成を簡単にすることができる。
また、実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置1によれば、制御装置Gが、パレット交換領域カバー13bの外側における段取り部Bの近傍に設けられて切換動作を行わせる手動の操作スイッチ33を備えた構成とされているので、自動パレット交換装置8内のイケール等7へのワークWの取付が完了した後に、操作スイッチ33を押すことにより、自動パレット交換装置8内の待機ワークWにクーラントLを確実に吹き付け、所要時にその吹き付けを容易に停止させることができる。
また、実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置1によれば、制御装置Gが、テーブル4上のワークWが加工を完了されて自動パレット交換装置8によって待機ワークWと交換される前に、吐出ノズル22a,23aへのクーラントLの供給を自動的に停止させるNC装置からなる自動停止手段を備えた構成とされているので、テーブル4上の加工完了のワークWが自動パレット交換装置8上の待機ワークWと交換される際には、吐出ノズル22a,23aからのクーラントLの吹き出しが自動的に停止されるので、クーラントLが自動パレット交換装置8の外へ飛散したり、作業者に降りかかったりすることなく、自動パレット交換装置8での段取り作業を支障なく、容易に行うことができる。
なお、実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置1においては、クーラント装置Eにおける主軸ヘッド6のクーラントノズル6aと、加工領域カバー13a側の天井パネル14dに設けたクーラントノズル18aとに、クーラントポンプ16とクーラント配管17を有するクーラント供給回路と、クーラントポンプ19とクーラント配管21を有するクーラント供給回路とによって個別にクーラントLを供給するようにしたが、これに限らず、いずれか一方のクーラント回路のみによって両クーラントノズル6a,18aにクーラントLを供給するようにしてもよい。
また、自動パレット交換装置8は、その段取り部B側で作業者がパレットPのイケール等7にワークWを取り付ける2面式の自動パレット交換装置として示したが、これに限らず、2面以上の多面式のものであってもよいし、外部の多面式パレット交換装置や搬送車等によって搬送してきた新しいワークWを搭載したパレットPを、テーブル4に対して受け渡しするものであれば、どのような形式のものでもよい。
本発明を適用する工作機械として横型のマシニングセンタを例にして説明したが、本発明はこれに限らず、縦型のマシニングセンタ、フライス盤、研削盤、その他の工作機械に適用することもできる。
本発明の一実施の形態に係る工作機械におけるワーク冷却装置を示す系統図である。 同じくワーク冷却装置の作動を説明するフロー図である。
符号の説明
1 ワーク冷却装置
2 工作機械
4 テーブル
6a,18a クーラントノズル
7 イケール等
8 自動パレット交換装置
10 旋回支持アーム
13a 加工領域カバー
13b パレット交換領域カバー
14e 仕切部材
14g 可動仕切部材(仕切部材)
15 クーラントタンク
16,19 第1、第2のクーラントポンプ
17,21 クーラント配管
18、22,23 クーラントパイプ
20,25 電磁弁(切換弁)
22a,23a 吐出ノズル
24 分岐配管
24a,24b,24c 分岐枝管
26 温度調節器
29 NC装置
30 制御手段
33 操作スイッチ
A 加工領域
B 段取り部
P パレット
W ワーク

Claims (5)

  1. テーブル上のワークを加工する加工領域を囲む加工領域カバーと、前記テーブルに対してワークを受け渡しする自動パレット交換装置の少なくとも段取り部側を囲むパレット交換領域カバーとが仕切部材で区切られて設けられると共に、クーラントタンク内の温度調節されたクーラントを、クーラントポンプによって前記加工領域内に設けたクーラントノズルに供給し、前記テーブル上のワークに向かって吹き付けるクーラント装置を備えた工作機械におけるワーク冷却装置において、
    前記クーラント装置には、前記パレット交換領域カバー内に設けた吐出ノズルによって、前記クーラントタンク内のクーラント液をパレット交換領域カバー内に位置するワークに吹き付ける冷却液吐出装置が設けられていることを特徴とする工作機械におけるワーク冷却装置。
  2. 前記冷却液吐出装置は、前記クーラントポンプと前記クーラントノズルとを接続するクーラント配管から分岐されて前記吐出ノズルに接続された分岐配管と、該分岐配管に設けられ前記クーラント配管から前記吐出ノズルへのクーラントの供給およびその停止を切り換える切換弁と、該切換弁の切換動作を制御する制御装置とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械におけるワーク冷却装置。
  3. 前記冷却液吐出装置は、前記クーラントノズルに供給するクーラントポンプとは別に設けられ、クーラントタンク内のクーラントを配管を通して前記吐出ノズルに供給する冷却液ポンプと、該冷却液ポンプの運転、停止の切換動作を制御する制御装置とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の工作機械におけるワーク冷却装置。
  4. 前記制御装置は、前記パレット交換領域カバーの外側における段取り部の近傍に設けられて前記切換動作を行わせる手動の操作スイッチを備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の工作機械におけるワーク冷却装置。
  5. 前記制御装置は、前記テーブル上の加工を完了したワークを前記自動パレット交換装置によって待機ワークと交換する前に、前記吐出ノズルへのクーラントの供給を自動的に停止させる自動停止手段を備えていることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の工作機械におけるワーク冷却装置。
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