JP4214423B2 - 液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気光学表示材料として有用なネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置に関する。更に詳しくは、高信頼性を要するパッシブ駆動方式及びアクティブマトリクス駆動方式液晶表示素子用液晶組成物及びこれを用いる液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子は、電卓のディスプレイとして登場して以来、コンピューターの開発と歩みを同じくして、TN(Twisted Nematic)モードからSTN(Supertwisted Nematic)モードへと表示容量を増やし、コンピューターと人とのインターフェースとして広く普及してきた。特に、各画素に薄膜トランジスタをつけたアクティブマトリクス液晶表示素子(AM-LCD)は、CRTにも代替できる高画質を備え、フラット化・省エネルギー化の後押しを受けて、もっとも将来性のあるディスプレイとして期待されている。
【0003】
しかしディスプレイの表示容量が増加するに従い、90°に捻ったTNディスプレイでは、コントラストを十分にとることができなくなり、電子手帳→ワープロ→パソコンと表示容量が増えてくると、いわゆる”闇夜にカラス“状態になってしまった。この欠点を補うべく、高密度表示が要求される用途に対し、STN-LCD、AM-LCDが開発された。
【0004】
STN-LCDは、TN-LCDの捻りを更に強く捻ったものである。捻りを上げることにより印加電圧に対する光学応答が急峻になり、TNでは達成できなかったパソコンのインターフェースとして十分なコントラストを有する可能性が出てきた。また、コントラストの視角依存性も改善された。しかし、捻ったがために、応答速度が悪化してしまい、応答速度の改善が課題として残された。LCDの用途の大半がパソコン用ディスプレイのため、マウスやスクロールに対応できる50msec〜150msec程度までの応答特性の改善が必須である。
【0005】
応答特性を改善するために、液晶組成物の低粘性化、LCDの低ギャップ化、従来の線順次駆動法に代えたMLA(Multi Line Addressing)法などの駆動方法の改善が検討されているが、未だ満足できる特性を得るに至っていない。
【0006】
一方、AM-LCDはコントラストを上げるために、各画素に薄膜トランジスタやダイオードのスイッチング素子をつけて、画素に電圧を供給する。
AM-LCDはTN・STNのパッシブ駆動方式とは異なり、スイッチング素子を通して、各画素に数十msec毎に電荷を供給することにより駆動する。このため、電荷が供給されてから数十msec後の次の書き込み時間までの間は、与えられた電荷を完全に保持できないと、表示の悪化をきたすことになる。電荷が逃げると電極間の電位が下がり、透過光強度が変化してコントラストが低下してしまう。このため、AM-LCDでは、高い電圧保持特性が求められる。 高い電圧保持特性を得るため、AM-LCD用液晶組成物は、高比抵抗を維持しやすい材料を取捨選択して使用する必要がある。
【0007】
依然としてAM-LCDの用途の大半をしめるPC用ディスプレイには、低消費電力に対応した低電圧駆動用液晶組成物への要請が強い。駆動電圧を低くするためには、液晶の閾値電圧Vthを下げ、誘電率異方性Δεを大きくする材料が望まれる。誘電率異方性が大きい系では、粘性が増大し、レスポンスが悪化することに加え、周囲の汚染の影響を受けやすくなるため、高抵抗を維持することが難しくなる。このため、低電圧駆動が可能な高速レスポンスかつ高電圧保持率液晶組成物が強く求められていた。
【0008】
また、上記のパッシブ駆動を行うTN、STN方式においても、低電圧化による電流値の増加を抑えるため、高抵抗・高速レスポンス液晶組成物の要請が強くなってきた。
【0009】
しかし、高いネマチックーアイソトロピック転移温度、低いクリスタル(若しくはスメクチック)転移温度、低電圧駆動可能な低いしきい値電圧、高速応答を可能とする低粘性、かつ高い電圧保持率を同時に満足する液晶組成物および液晶表示素子はなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のアクティブマトリクス駆動を行うAM-LCD用およびパッシブ駆動方式を行うTN-LCD、STN-LCD液晶組成物に求められる種々の特性を満足し、かつ、しきい値電圧が低く、広いネマティック温度範囲、低い粘性を有し、高い電圧保持率を高温度まで維持できる液晶組成物およびこれを使用した液晶表示素子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、これらの課題を解決するために、種々の液晶化合物を用いた液晶組成物を作成し、評価検討した結果、
1.一般式(I)
【0012】
【化5】
【0013】
(この式において、R1は炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基、オキサアルキル基、オキサアルケニル基又はアルコキシ基を示し、Z1及びZ2はそれぞれ独立して単結合、―CH2CH2―、―CH2CH2CH2CH2―、又は―C≡C―を示し、環A及び環Bはそれぞれ独立してシクロへキシレン、フェニレン、フッ素原子により置換されたフェニレン、あるいは少なくとも一個の水素原子(H)が重水素原子(D)により置換されたシクロへキシレンを示す。)で表される化合物群Aから選ばれる化合物を少なくとも1種以上を含有し、一般式(II)
【0014】
【化6】
【0015】
(この式において、R2は炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基、オキサアルキル基、オキサアルケニル基又はアルコキシ基を示し、Z3は単結合、―CH2CH2―、―CH2CH2CH2CH2―、又は―C≡C―を示し、環Cはシクロへキシレン、フェニレン、フッ素原子により置換されたフェニレン、あるいは少なくとも一個の水素原子(H)が重水素原子(D)により置換されたシクロへキシレンを示し、X1及びY1はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を示す。)で表される化合物群Bから選ばれる化合物を少なくとも1種以上含有し、更に、一般式(III)
【0016】
【化7】
【0017】
(この式において、R3及びR4はそれぞれ独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基、オキサアルキル基、オキサアルケニル基又はアルコキシ基を示し、Z4及びZ5はそれぞれ独立して単結合、―CH2CH2―、―CH2CH2CH2CH2―、又は―C≡C―を示し、mは0又は1の整数を表し、環D、環E及び環Fはそれぞれ独立してシクロへキシレン、フェニレン、フッ素原子により置換されたフェニレン、あるいは少なくとも一個の水素原子(H)が重水素原子(D)により置換されたシクロへキシレンを示す。)で表される化合物群Cから選ばれる化合物を少なくとも1種以上含有することを特徴とする液晶組成物であって、該液晶組成物が少なくとも85℃のネマチック-アイソトロピック転移温度(N−I点)を有し、25℃でのしきい値電圧が1.2V以上1.8V以下の範囲にあり、20℃での最大粘度が28mPa・sであることを特徴とする液晶組成物。
2.上記1記載の化合物群A、化合物群B、化合物群Cで表される各群から選ばれた化合物の重量割合が、液晶組成物の全重量に対して、それぞれ5〜90重量%、2〜30重量%、5〜40重量%であることを特徴とする上記1記載の液晶組成物。
3.一般式(IV)
【0018】
【化8】
【0019】
(この式において、R5は炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、オキサアルキル基、オキサアルケニル基又はアルコキシ基を示し、Z6、Z7及びZ8はそれぞれ独立して単結合、―CH2CH2―、―CH2CH2CH2CH2―、又は―C≡C―を示し、nは0又は1の整数を表し、環G、環H及び環Iはそれぞれ独立してシクロへキシレン、フェニレン、フッ素原子により置換されたフェニレン、あるいは少なくとも一個の水素原子(H)が重水素原子(D)により置換されたシクロへキシレンを示し、X2及びY2はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子を示す。但し、nが0である場合、X、Yのいずれか一方は水素原子を示す。)で表される化合物群Dから選ばれた液晶化合物を含むことを特徴とする上記1又は2記載の液晶組成物。
4.−20℃より低いネマチック-クリスタル(若しくはスメクティック)転移温度を有し、25℃での光学異方性が0.07〜0.12の範囲にあり、且つ25℃での誘電率異方性が3以上であることを特徴とする上記3記載の液晶組成物。
5.上記1、2、3又は4記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。
6.上記1、2、3又は4記載の液晶組成物を用いたアクティブマトリクス駆動型液晶表示素子。
7.上記1、2、3又は4記載の液晶組成物を用いたツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子。
8.上記5、6又は7記載の液晶表示素子を用いた液晶表示装置。
を前記課題の解決手段として見いだした。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のネマチック液晶組成物及びこれを用いた液晶表示装置の一例について説明する。
【0021】
本発明の液晶組成物における好ましい態様として、液晶成分は、合計で少なくとも10種以上の化合物を必要とし、化合物群A(以下A群という)より1種〜15種、化合物群B(以下B群という)より1種〜5種、化合物群C(以下C群という)より1種〜10種の範囲が好ましい。この効果は、A群の一般式(I)の液晶成分を5〜90重量%の範囲で、B群の一般式(II)を2〜30重量%の範囲で、C群の一般式(III)を10〜40重量%の範囲で含有させることが好ましい。更に好ましくは、それぞれの群の重量%を、30〜80重量%、5〜20重量%、10〜30%の範囲で含有させることにより特段のものとなる。
【0022】
以下に本発明の液晶組成物を構成する各群の化合物について詳述する。
一般式(I)〜(III)の化合物は公知の化合物であり、当業者が容易に入手することができる。
【0023】
A群に相当する一般式(I)の化合物は、大きい比誘電率を持ち、低電圧駆動可能な低しきい値電圧を組成物に付与する。しかし、この群の化合物を多く使用すると、粘性の増大や、低温安定性の不安定化を招くことになる。B群の一般式(II)の化合物を使用することにより、更なる低電圧駆動化が可能となると共に低温での動作温度範囲を広げることができる。しかし、この化合物の使用率を大きくすると、液晶組成物のネマティックーアイソトロピック転移温度を著しく低下させてしまう。また、C群の一般式(III)で示される化合物は、強い極性を持たず粘性が低い。これらの化合物を使用することにより、駆動可能な温度範囲、特に低温側の温度範囲を一層広くでき又一層高速応答化させることができる。
【0024】
上記一般式(I)〜(III)おけるR1〜R4は、それぞれ独立して炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基、オキサアルキル基、オキサアルケニル基又はアルコキシ基を示すが、炭素原子数1〜7が特に好ましい。アルケニル基は、低粘性でかつ、ネマティック温度範囲を広くするため、特に好ましい。
【0025】
A群の一般式(I)で示される化合物の例としては次の化合物が好ましい。R-CCPffF、R-CaCPffF、R-CCaPffF、R-CbCPffF、R-CCbPffF、R-CPPffF、R-CaPPffF、R-CPaPffF、R-CPtPffF、R-CaPtPffF、R-CbPtPffF、R-CbPPffF、R-CPbPffF、R-PPPffF
R-PaPPffF、R-PPaPffF、R-PbPPffF、R-PPbPffF
B群の一般式(II)で示される化合物の例としては次の化合物が好ましい。R-CPF、R-CaPF、R-CbPF、R-PPF、RPaPF、R-PbPF、R-CPfF、R-PPfF、R-CaPfF、R-CbPfF、R-PaPfF、R-PbPfF、R-CPffF、R-PPffF、R-CaPffF、R-CbPffF、R-PaPffF、R-PbPffF
R-PtPF、R-PtPfF、R-PtPffF
C群の一般式(III)で示される化合物の例としては、次の化合物が好ましい。R-CC-R'、R-CP-R'、R-CaCR'、R-CaP-R'、R-CbC-R'、R-CbP-R
R-PP-R'、R-PaP-R'、R-PbP-R'、R-PtP-R'、R-CCP-R'、R-CaCP-R'、R-CCaP-R'、R-CbCP-R'、R-CCbP-R'、R-CPPR'、R-CaPP-R'、R-CPaP-R'、R-CbPP-R'、R-CPbP-R'R-CPtP-R'、R-PPP-R'、R-PtPP-R'、R-PPtP-R'、R-CaPtPR'、R-CbPtP-R'
(但し、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基、オキサアルキル基、オキサアルケニル基又はアルコキシ基を示し、Cはシクロへキシレン基、または少なくとも一個の水素原子(H)が重水素原子(D)で置換されたシクロへキシレン基、Pはフェニレン基又はフッ素原子により置換されたフェニレン基、−若しくは連結基を示していないものは単結合を示し、aは―CH 2 CH 2 ―を、bは―CH 2 CH 2 CH 2 CH 2 ―を、tは―C≡C―を示し、Fは4位の位置に置換されたフッ素原子を示し、fは 3 又は 5 位の位置に置換されたフッ素原子を示す。)
また、本発明のネマチック液晶組成物は、少なくとも85℃のネマチック-アイソトロピック転移温度(N−I点)、25℃でのしきい値電圧が1.2V以上1.8V以下の範囲にあり、20℃での最大粘度が28mPa・sを有するものであるが、好ましいN−I点としては90℃以上、より好ましくは100℃以上である。
【0026】
液晶組成物の全重量に対して、A群の化合物、B群の化合物、C群の化合物で表される各群から選ばれた化合物の重量割合が、それぞれ5〜90重量%、2〜30重量%、5〜40重量%であることが望ましく、更に望ましくは、5〜70重量%、2〜20重量%、5〜50重量%であることが望ましい。
【0027】
このようにして得られた、液晶組成物を使用した液晶表示素子は、高いコントラスト、高い電圧保持率特性を示し、低電圧駆動で駆動できかつ低温においても速い応答速度を示す。
【0028】
本発明のネマチック液晶組成物は、一般式(I)で表されるA群の化合物中から少なくとも1種と、一般式(II)で表されるB群の化合物中から少なくとも1種、および一般式(III)で表されるC群の化合物中から、少なくとも1種以上の化合物を必須成分として用いた液晶組成物であるが、更に、好ましく加えることのできる成分として、一般式(IV)で表されるD群の化合物の中から少なくとも1種以上の化合物を選択し含有させることができる。
【0029】
液晶組成物の全重量に対して、D群のから選ばれた化合物の重量割合が、5〜70重量%が望ましく、更に望ましくは、10〜60重量%であることが望ましい。
【0030】
上記一般式(IV)におけるR5は、炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基、オキサアルキル基、オキサアルケニル基又はアルコキシ基を示すが、炭素原子数1〜7が特に好ましい。アルケニル基は、低粘性でかつ、ネマティック温度範囲を広くするため、特に好ましい。
【0031】
化合物D群(以下、D群という)の一般式(IV)で示される化合物の好ましい例としては、次の化合物が上げられる。
R-CCPfF、R-CaCPfF、R-CCaPfF、R-CbCPfF、R-CbCPfF、
R-CPPfF、R-CaPPfF、R-CPaPfF、R-PPPfF、R-PaPPfF、R-PbPPfF、
R-CPtPfF、R-CaPtPfF、R-CbPtPfF、R-PtPPfF、R-PPtPfF
R-CCPPF、R-CaCPPF、R-CCaPPF、R-CCPaPF
R-CbCPPF、R-CCbPPF、R-CCPbPF
R-CCCPF、R-CaCCPF、R-CCaCPF、R-CCCaPF、
R-CbCCPF、R-CCbCPF、R-CCCbPF
R-CPPPF、R-CaPPPF、R-CPaPPF、R-CPPaPF、R-CbPPPF、R-CPbPPF
R-PPPPF、R-CPCPF、R-PCPCF、
R-CCPtPF、R-CPtPPF、R-CaPtPPF、R-CbPtPPF
R-PtPPPF、R-PPtPPF、R-PPPtPF、R-PtPtPtPF、
R-CCPPfF、R-CaCPPfF、R-CCaPPfF、R-CCPaPfF
R-CbCPPfF、R-CCbPPfF、R-CCPbPfF
R-CCCPfF、R-CaCCPfF、R-CCaCPfF、R-CCCaPfF、
R-CbCCPfF、R-CCbCPfF、R-CCCbPffF
R-CPPPfF、R-CaPPPfF、R-CPaPPfF、R-CPPaPfF、
R-PPPPfF、R-CPCPfF、R-PCPCfF、
R-CCPtPfF、R-CPtPPfF、R-CaPtPPfF、R-CbPtPPfF
R-PtPPPfF、R-PPtPPfF、R-PPPtPfF、R-PtPtPtPfF、
R-CCPPffF、R-CaCPPffF、R-CCaPPffF、R-CCPaPffF
R-CbCPPffF、R-CCbPPffF、R-CCPbPffF
R-CCCPffF、R-CaCCPffF、R-CCaCPffF、R-CCCaPffF、
R-CbCCPffF、R-CCbCPffF、R-CCCbPffF
R-CPPPffF、R-CaPPPffF、R-CPaPPffF、R-CPPaPffF、
R-CbPPPffF、R-CPbPPffF、R-CPPbPffF
R-PPPPffF、R-CPCPffF、R-PCPCffF、
R-CCPtPffF、R-CPtPPffF、R-CaPtPPffF、R-CbPtPPffF
R-PtPPPffF、R-PPtPPffF、R-PPPtPffF、R-PtPtPtPffF、
(但し、Rはそれぞれ独立に炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基、オキサアルキル基、オキサアルケニル基又はアルコキシ基を示し、Cはシクロへキシレン基、または少なくとも一個の水素原子(H)が重水素原子(D)で置換されたシクロへキシレン基、Pはフェニレン基又はフッ素原子により置換されたフェニレン基、−若しくは連結基を示していないものは単結合を示し、aは―CH2CH2―を、bは―CH2CH2CH2CH2―を、tは―C≡C―を示し、Fは4位の位置に置換されたフッ素原子を示し、fは3又は5位の位置に置換されたフッ素原子を示す。)
上記記載の本発明の液晶組成物は、少なくとも85℃のネマチック-アイソトロピック転移温度(N−I点)、25℃でのしきい値電圧が1.2V以上1.8V以下の範囲にあり、20℃での最大粘度が28mPa・sを有するものであるが、更には−20℃以下の結晶相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度、25℃における光学異方性が0.07〜0.12の範囲にあり、25℃における誘電率異方性が3以上であることがより好ましく、より好ましい結晶相又はスメクチック相−ネマチック相転移温度は−30℃以下、更に好ましくは−40℃以下であり、誘電率異方性は5以上が好ましく、6〜12の範囲が特に好ましい。また、光学異方性は0.08〜0.11の範囲が特に好ましい。
【0032】
上記記載の本発明の液晶組成物は、低電圧駆動に対応し、かつアウトドア用途に使用できる広いネマチック温度範囲(つまり、高いネマチックーアイソトロピック転移温度と低いネマチック−結晶又はスメクチック転移温度)を有する。更に、得られた液晶組成物は、高い比抵抗を示し高温でも高い電圧保持率を保ち、低電圧駆動が可能であり、低粘性で高速応答性を示す。
【0033】
更に、本発明の別の態様は、上記記載の液晶組成物を使用することを特徴とした液晶表示素子に関する。このような本発明の液晶表示素子は、アクティブ・マトリクス駆動型、および高信頼性を要するパッシブ駆動型ツイスティッド・ネマチックあるいはスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示用装置に好ましく用いることができる。
【0034】
【実施例】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
【0035】
Tni :ネマチック−アイソトロピック転移温度(℃)
T-n :クリスタル又はスメクチック−ネマチック転移
温度(℃)
△ε :25℃での誘電率異方性 (-)
△n :25℃での複屈折率(-)
η :20℃での粘度(mPa・s)
Vth :セル厚6μmのTN-LCDに注入した時のしきい値電圧(V)(電圧無印加時の輝度から10%輝度が低下したときの電圧)
HR :80℃での電圧保持率(%)(セル厚6μmのTN-LCDに注入し、5V印加、フレームタイム20ms、パルス幅64μsで測定したときの測定電圧と初期印加電圧との比を%で表した値)
(参考例1) ネマチック液晶組成物EX1
【0036】
【化9】
【0037】
を調整した。ここに、カイラル物質「S−811」(メルク社製)を0.1%添加して混合液晶を調整し、これをセルに注入して表示特性を測定した。
結果は以下の通りであった。
【0038】
Tni: 89.4 ℃
T-n:−52 ℃
Vth: 1.54 V
△ε: 8.2
△n: 0.092
η : 27.0 c.p.
HR: 99.7%
(実施例2) ネマチック液晶組成物EX2
【0039】
【化10】
【0040】
を調整した。ここに、カイラル物質「S−811」(メルク社製)を0.1%添加して混合液晶を調整し、これをセルに注入して表示特性を測定した。
結果は以下の通りであった。
【0041】
Tni: 91.2 ℃
T-n: −47. ℃
Vth: 1.60 V
14
△ε: 7.0
△n: 0.094
η : 21.2 c.p.
HR: 99.5%
(参考例2) ネマチック液晶組成物EX3
【0042】
【化11】
【0043】
を調整した。ここに、カイラル物質「S−811」(メルク社製)を0.1%添加して混合液晶を調整し、これをセルに注入して表示特性を測定した。
結果は以下の通りであった。
【0044】
Tni: 88.0 ℃
T-n: −52 ℃
Vth: 1.66 V
△ε: 5.5
△n: 0.074
η : 19.8 c.p.
HR: 99.7%
(実施例4) ネマチック液晶組成物EX4
【0045】
【化12】
【0046】
を調整した。ここに、カイラル物質「S−811」(メルク社製)を0.1%添加して混合液晶を調整し、これをセルに注入して表示特性を測定した。
結果は以下の通りであった。
【0047】
Tni: 90.0 ℃
T-n:−40 ℃
△n: 0.092
η : 23.1 c.p.
Vth: 1.61 V
HR: 99.7%
(実施例5) ネマチック液晶組成物EX5
【0048】
【化13】
【0049】
を調整した。ここに、カイラル物質「S−811」(メルク社製)を0.1%添加して混合液晶を調整し、これをセルに注入して表示特性を測定した。
結果は以下の通りであった。
【0050】
Tni: 92.2 ℃
T-n:−56 ℃
△n: 0.084
η : 19.8 mPa.s
Vth: 1.78 V
HR: 99.7%
(実施例6) ネマチック液晶組成物EX6
【0051】
【化14】
【0052】
を調整した。ここに、カイラル物質「S−811」(メルク社製)を0.1%添加して混合液晶を調整し、これをセルに注入して表示特性を測定した。
結果は以下の通りであった。
【0053】
Tni: 100.9 ℃
T-n:−58 ℃
△n: 0.086
η : 21.0 mPa.s
Vth: 1.78 V
HR: 99.8%
(実施例7) ネマチック液晶組成物EX7
【0054】
【化15】
【0055】
を調整した。ここに、カイラル物質「S−811」(メルク社製)を0.1%添加して混合液晶を調整し、これをセルに注入して表示特性を測定した。
結果は以下の通りであった。
【0056】
Tni: 91.0 ℃
T-n:−64 ℃
△n: 0.085
η : 21.8 c.p.
Vth: 1.80 V
HR: 99.7%
(参考例3) ネマチック液晶組成物EX8
【0057】
【化16】
【0058】
【化17】
【0059】
を調整した。ここに、カイラル物質「S−811」(メルク社製)を0.1%添加して混合液晶を調整し、これをセルに注入して表示特性を測定した。
結果は以下の通りであった。
【0060】
Tni: 85.2 ℃
T-n:−35 ℃
△n: 0.087
η : 28.0 c.p.
Vth: 1.38 V
HR: 99.3%
(比較例1) 比較混合液晶REF1
【0061】
【化18】
【0062】
を調製した。
この組成物の諸特性を測定したところ、結果は以下の通りであった。
Tni: 82.1 ℃
T-n: −32. ℃
Vth: 1.38 V
△ε : 8.8
△n : 0.083
η : 34.4 c.p.
比較混合液晶REF1は、本発明のネマチック液晶組成物の必須成分であるC群に相当する化合物を含まない混合液晶である。
【0063】
前記実施例8のEX8のしきい値電圧は、REF1と同程度であるにも関わらず、本発明の液晶組成物のほうが、高Tni及び低T-nを有するため広い温度範囲で液晶相を示し、粘性においても、本発明のほうが大きく低下していることがわかる。
(比較例2) 比較混合液晶REF2
前記比較例1の比較混合液晶REF1は、実施例8のEX8と比較すると粘性が大幅に悪化している。そこで、比較例2では、REF1と同じく本発明の液晶組成物の必須成分であるC群に相当する化合物を含まず、且つEX8と同様の粘性、即ち28.0c.p.となるよう比較混合液晶REF2
【0064】
【化19】
【0065】
を調製した。
この組成物の諸特性を測定したところ、結果は以下の通りであった。
Tni: 80.8 ℃
T-n: −35. ℃
Vth: 1.38 V
△n : 0.078
η : 28.0 c.p.
これより、REF2の混合液晶は、Tniが80.8℃となってしまい、本発明の液晶組成物におけるTniが85℃以上という要件を確保することができなかった。
【0066】
以上、実施例1〜8の結果より、本発明のネマチック組成物は広いネマチック液晶温度範囲、低いしきい値電圧、及び高い電圧保持率を有することが明らかであり、また、低粘性であることから、高速応答性をも有することが理解できる。
【0067】
また、比較例からも明らかなように、本発明のネマチック液晶組成物はA群、B群、C群の各々の群から選ばれる化合物を必須成分として用いることにより、広い温度範囲で液晶相を示し、且つ低粘性の液晶組成物を得ることが可能となることが明らかである。
【0068】
【発明の効果】
本発明のネマチック液晶組成物は、広いネマティック温度範囲、低い粘性を有し、これを用いた液晶表示素子は、しきい値電圧が低く、高い電圧保持率を高温度まで維持することが可能である。従って、高速応答性が可能な、特にアクティブマトリクス駆動型、あるいはツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示装置に非常に有用である。
Claims (7)
- 一般式(I)
- 一般式(IV)においてnが1を表す化合物を含有する請求項1記載の液晶組成物。
- −20℃より低いネマチック-クリスタル(若しくはスメクティック)転移温度を有し、25℃での光学異方性が0.07〜0.12の範囲にあり、且つ25℃での誘電率異方性が3以上であることを特徴とする請求項2記載の液晶組成物。
- 請求項1、2又は3記載の液晶組成物を用いた液晶表示素子。
- 請求項1、2又は3記載の液晶組成物を用いたアクティブマトリクス駆動型液晶表示素子。
- 請求項1、2又は3記載の液晶組成物を用いたツイスティッド・ネマチック又はスーパー・ツイスティッド・ネマチック液晶表示素子。
- 請求項4、5又は6記載の液晶表示素子を用いた液晶表示装置。
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