JP4214181B2 - サイクロスポリンの3−位誘導体の毛髪成長のための利用 - Google Patents

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Description

本発明は、サイクロスポリン誘導体を有効成分として含んでなる毛髪成長促進剤に関する。より詳しくは、本発明は、3−位が置換されたサイクロスポリン誘導体を有効成分として含んでなる毛髪成長促進剤に関する。
人間の頭皮には、平均して約10万から15万本ほどの毛髪が含有されている。それぞれの毛髪は、主として三つの成長段階、即ち、発育期(anagen)、退行期(catagen)、休止期(telogen)を有し、その後、脱落する。このような毛髪成長サイクルは、3〜6年の周期で繰り返され、一つのサイクルの長さは他のサイクルのそれとは異なる。その結果、平均的な成人で、通常、毎日約50本から100本の毛髪が脱落する。一般に脱毛症とはこのような発育成長期の期間が短くなり、退行期及び休止期の毛髪の割合が多くなって、抜け毛の数が過剰に且つ異常に増加する現象に因るものである。
脱毛の原因としては血液循環不良説、男性ホルモン過剰作用説、皮脂の産生・分泌過剰説、過酸化物、細菌などによる頭皮機能低下説、遺伝的要因、老化、ストレスなどが論議されてきた。しかしながら、明確なメカニズムは明らかにされていない。最近は食生活の変化、現代の社会環境などによるストレスの増加などにより脱毛で悩んでいる人口が増えつつある傾向にある。また、脱毛症に罹る人の年齢も低くなっており、しかも女性の脱毛症人口も上昇しつつある現状である。
このような脱毛症の治療や予防のために、これまで幅広く使用されている製剤の一つはミノキシジル含有製剤である。アメリカFDAの承認を受けている毛髪再生剤は二つあり、ミノキシジルはそれら承認を受けている毛髪再生剤のうちの一つである。ミノキシジルは、当初は血圧降下を目的とした高血圧薬剤として開発された。しかしながら、この薬剤を使用した際に、副作用として発毛効果が観察されたことから、それ以後、この薬剤は、毛髪再生剤として有名になった。ミノキシジルが毛髪再生剤として作用するメカニズムについては明確に解明されていないが、ミノキシジルが血管を拡張させることにより血流量が増加し、それによって毛根に多くの栄養が供給され、その結果として毛髪の成育が増進されると推測されている。
このような血流量増加モデルはミノキシジルが毛根を構成する主要細胞である真皮乳頭で血管拡張に関わる成長因子である血管内皮成長因子(VEGF)の発現を増幅させるという最近の報告によって間接的に支持されている。また、ミノキシジルの毛髪回復メカニズムにおける血管拡張効果以外にも、ミノキシジルが体外培養で毛根中の真皮乳頭細胞の活性化を増進すると共に、体外での小胞の細胞培養において毛嚢の成育を増進させることが報告されている。
これらの事実は、ミノキシジルが成長因子として毛根に直接作用していることを示している。
更に、最近メルク(Merck)社が発売開始したプロぺシア(Propecia)の主成分であるフィナステライド(finasteride)は、脱毛症の治療剤として使用される。それは、男性ホルモンであるテストステロンが、テストステロンよりも更に強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロンに転換されることを抑制する。
1997年12月、フィナステライドの1mgタブレットが男性型脱毛症の治療のための毛髪再生剤としてFDAから使用承認を受けて現在販売中である。臨床試験において、それは有意な毛髪成長促進効果を有することが証明されている。しかしながら、フィナステライドには、副作用として男性機能を抑制する虞があることも報告されている。
フィナステライドもミノキシジルも臨床試験における効果がさほど優れず、しかも副作用に対する虞があることから、新たな改善された毛髪再生剤の開発のための研究が活発になされている。
サイクロスポリン系の薬剤は免疫抑制活性を有している。これらはまた、ウィルス、真菌類、原虫等の成長を抑制する効果を有していると共に、腎臓毒性、肝毒性、高血圧、歯周組織肥大、発毛効果等々の様々な生理学的な効果を副作用として有している。
代表的なサイクロスポリンであるサイクロスポリンAは多数個のN−メチルアミノ酸と8番目の位置にD−アラニンを有する11個のアミノ酸で構成された環状のペプチドであって、以下の化学式で表される。
Figure 0004214181
上記式中、MeBmtは、N−メチル−(4R)−4−[(E)−2−ブテニル]−4−メチル−L−スレオニンを示し、AbuはL−α−アミノ酪酸を示し、Sarはザルコシンを示し、MeLeuはN−メチル−L−ロイシンを示し、ValはL−バリンを示し、AlaはL−アラニンを示し、DAlaはD−アラニンを示し、MeValはN−メチル−L−バリンを示す。
上記化学式で示されるサイクロスポリンAのアミノ酸の形態は、特に指定がなければL−配置である。アミノ酸残基の番号は上記化学式で示した通り、MeBmtから出発して、即ち、MeBmtを1番にして、時計方向の順序で最後のMeVal(N−メチル−L−バリン)を11番とした。
サイクロスポリンAからサイクロスポリンZの多様な誘導体命名法は一般に使用される方法に基づいた(非特許文献1参照。)。
例えばサイクロスポリンAの2−位のAbuが、L−アラニン、L−スレオニン、L−バリン又はL−ノルバリンに置換された場合、得られた誘導体は、それぞれサイクロスポリンB、サイクロスポリンC、サイクロスポリンD及びサイクロスポリンGと命名される。また、サイクロスポリン誘導体のアミノ酸残基がサイクロスポリンA分子のそれらと異なる場合、誘導体の命名はその置換基を記載することにより表示される。例えば、サイクロスポリンAの3番目の残基であるザルコシンが、[N−メチル−D−Abu]或いは[N−メチル−D−Nva]で置換された場合、それぞれ[N−メチル−D−Abu]サイクロスポリンA或いは[N−メチル−D−Nva]サイクロスポリンAと表示される。
また一方、一般的に使用されるアミノ酸略語法、例えば、N−メチル−L−ロイシンはMeLeu、N−メチル−L−イソロイシンはMeIle、N−メチル−L−バリンはMeVal、N−メチル−L−アラニンはMeAla、MeNvaはN−メチル−L−ノルバリンはMeNva、L−ロイシンはLeu、L−イソロイシンはIle、サルコシンはSar、L−セリンはSer、L−バリンはVal、L−アラニンはAla、D−アラニンはDAla、L−アミノ酪酸はAbu、L−スレオニンはThr、そしてL−ノルバリンはNvaがそれぞれ用いられる。
更に,7番目のアミノ酸残基のカルボニル基の酸素が硫黄が置換された場合、その誘導体の名前はそれぞれの文献に従い、サイクロポリン7−チオアミド又は[ΨCS−NH]サイクロスポリン)(非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4参照。)と表示される。
これまで、サイクロスポリンの毛髪再生剤としての開発可能性について多くの研究グループによって検討されてきた。特に、動物の発毛試験、ヒトの円形脱毛症(非特許文献5参照。)、ヒト男性型脱毛症(非特許文献6及び非特許文献7参照。)及び動物モデルでの化学療法による脱毛抑制効果(非特許文献8参照。)などについての研究が幅広くなされてきた。マウスの背中での比較試験結果によれば、サイクロスポリンは、ミノキシジルより約100倍ほど優れた発毛効果を有することが示されている。この結果に基づいて、サイクロスポリンを男性型脱毛症の治療剤として利用する試みがなされており、数多くの特許出願がなされている。
例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3は、サイクロスポリン誘導体の毛髪再生剤としての利用を開示している。
また、特許文献4は、8−位が改変されたサイクロスポリン誘導体を教示しており、特許文献5はイソサイクロスポリンを教示している。
更に、特許文献6及び特許文献7は、毛髪再生剤としてサイクロスポリンを使用する場合に、経皮吸収性に優れていることを開示している。
Helv.Chim.Acta,1987,70:13−36 Helv.Chim.Acta,1991,74:1953−1990 J.Org.Chem.1993,58:673−677 J.Org.Chem.1994,59:7249−7258 J.Am.Acad.Dermatol.,1990,22,242〜250 J.Am.Acad.Dermatol.,1990,22,251〜253 Skin Pharmacol.,1994,7,101〜104 Am.J.Pathol.,1997,150,1433〜1441 日本国特開昭60−243008号 特開昭62−19512号公報 特開昭62−19513号公報 ヨーロッパ特許公開第0414632B1号公報 国際特許公開第93/17039号公報 米国特許第5、807、820号明細書 英国特許第2、218、334A号明細書
本発明は、サイクロスポリンAの副作用に係わる上記問題点に鑑みなされたもので、有効成分としてサイクロスポリン誘導体を含んでなる、優れた毛髪成長促進能を有する毛髪成長促進剤を提供することを目的とする。
本発明の特徴部の一つは、上記及びその他の目的が、毛髪成長を促進するための新規な薬剤を開発すべく、種々のサイクロスポリン誘導体を合成し、それらの毛髪成長促進効果を評価することにより得られた、下式[1]で示されるサイクロスポリンの3−位類縁体を有効成分として含んでなる毛髪成長促進剤を提供することにより達成される点が挙げられる。
Figure 0004214181
上記式中、
Aは、N−メチル−(4R)−4−[(E)−2−ブテニル]−4−メチル−L−スレオニン(2S、3R、4R、6E)−3−スルフヒドリル−4−メチル−2−(メチルアミノ)−6−オクテン酸、又は(2S、4R、6E)−3−オキソ−4−メチル−2−(メチルアミノ)−6−オクテン酸を表し、
Bは、L−アミノ酪酸(Abu)、L−アラニン(Ala)、L−スレオニン(Thr)、L−バリン(Val)又は L−ノルバリン(Nva)を表し、
Cは、式:CHNH−CH(R)−COOHで示されるD−アミノ酸を表し[但し、Rは、水素、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、ハロアルキル、エステル、アルコキシ、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノからなる群より選ばれた1以上の置換基を有する、或いは有さないC1−C6の直鎖状、又は分枝状のアルキル、アルケニル又はアルキニルを表すか、又は、式:−X−R’(式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、R’は水素、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、ハロアルキル、エステル、アルコキシ、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノからなる群より選ばれた1以上の置換基を有する、或いは有さないC1−C6の直鎖状又は分枝状のアルキル、アルケニル又はアルキニルを表す。)で表される基を表す。]、
Dは、N−メチル−L−ロイシン、γ−ヒドロキシ−N−メチル−L−ロイシン又はL−バリンを表し、
Eは、L−バリン)又はL−ノルバリンを表し、
Fは、N−メチル−L−ロイシン、γ−ヒドロキシ−N−メチル−L−ロイシン又はL−ロイシンを表し、
Gは、L−アラニン又はL−アラニンチオアミド([ΨCS−NH]、NH−CHCH−CS−)を表し、
Hは、式:−NH−CH(CHR)−COOHで示されるD−アミノ酸を表し[但し、Rは水素、又は式:−X−R’(式中、Xは酸素原子又は硫黄原子を表し、R’は水素、アミノ、ヒドロキシ、ハロゲン、ハロアルキル、エステル、アルコキシ、シアノ、ニトロ、アルキルアミノ及びジアルキルアミノからなる群より選ばれた1以上の置換基を有する、或いは有さないC1−C6の直鎖状又は分枝状のアルキル、アルケニル又はアルキニルを表す。)で表される基を表す。]、
Iは、N−メチル−L−ロイシン、γ−ヒドロキシ−N−メチル−L−ロイシン又はL−ロイシンを表し、
Jは、N−メチル−L−ロイシン、γ−ヒドロキシ−N−メチル−L−ロイシン又はL−ロイシンを表し、
Kは、N−メチル−L−バリン又はL−バリンを表す。
本発明の他の特徴部を挙げれば、下式[2]で示される、毛髪成長促進効果に優れたサイクロスポリンの3−位類縁体を有効成分として含んでなる毛髪成長促進剤を提供することである。
Figure 0004214181
上記式中、
MeBmtは、N−メチル−(4R)−4−[(E)−2−ブテニル]−4−メチル−L−スレオニンを表し、
A’は、L−アミノ酪酸(Abu)、L−アラニン(Ala)、L−スレオニン(Thr)、L−バリン(Val)又はL−ノルバリン(Nva)を表し、
B’は、N−メチル−D−アミノ酪酸、N−メチル−D−ノルバリン、D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル、D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル、D−2−メチルチオザルコシン、N−メチル−O−プロぺニル−D−セリン又はN−メチル−D−セリンを表し、
C’は、N−メチル−L−ロイシン、γ−ヒドロキシ−N−メチル−L−ロイシン又はL−バリンを表し、
D’は、L−バリン又はL−ノルバリンを表し、
E’は、N−メチル−L−ロイシン、γ−ヒドロキシ−N−メチル−L−ロイシン又はL−ロイシンを表し、
F’は、L−アラニン又はL−アラニンチオアミド([ΨCS−NH]、NH−CHCH3−CS−)を表し、
G’は、D−アラニン又はD−セリンを表し、
H’は、N−メチル−L−ロイシン、γ−ヒドロキシ−N−メチル−L−ロイシン又はL−ロイシンを表し、
I’は、N−メチル−L−ロイシン、γ−ヒドロキシ−N−メチル−L−ロイシン又はL−ロイシンを表し、
MeValは、N−メチル−L−バリンを表す。
本発明のもう一つの特徴部を挙げれば、下式[3]で示される、毛髪成長促進効果に優れたサイクロスポリンの3−位類縁体を有効成分として含んでなる毛髪成長促進剤を提供することである。
Figure 0004214181
上記式中、
MeBmtは、N−メチル−(4R)−4−[(E)−2−ブテニル]−4−メチル−L−スレオニンを表し、
A”は、L−アラニン(Ala)、L−スレオニン(Thr)、L−バリン(Val)又はL−ノルバリン(Nva)を表し、
B”は、N−メチル−D−アミノ酪酸、N−メチル−D−ノルバリン、D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル、D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル、D−2−メチルチオザルコシン、N−メチル−O−プロぺニル−D−セリン又はN−メチル−D−セリンを表し、
MeLeuは、N−メチル−L−ロイシンを表し、
Valは、L−バリンを表し、
Alaは、L−アラニンを表し、
DAlaは、D−アラニンを表し、
MeValは、N−メチル−L−バリンを表す。
本発明の更にもう一つの特徴部を挙げれば、液剤、スプレー、ゲル、ペースト、乳剤、クリーム、コンディショナー又はシャンプーの形状に剤形化されたサイクロスポリンの3−位類縁体を含んでなる毛髪成長促進剤の組成物を提供することである。
本発明は、サイクロスポリンAの3−位が置換されたサイクロスポリンA誘導体を有効成分として含んでなる毛髪成長促進剤を提供するものであり、本発明の該毛髪成長促進剤は優れた毛髪成長効果をを示す点に顕著な効果を奏する。
毛髪成長促進効果を有する新規な薬剤を開発する目的で、本発明者らは、サイクロスポリンの3−位類縁体を種々化学合成し、それらの毛髪成長促進効果を調べた。即ち、本発明は、サイクロスポリン誘導体を有効成分として含んでなる毛髪成長促進剤を提供するものである。本発明を実施するための最良の形態は、以下の種々の実施例に示されるが、これらの実施例は、あくまでも例示であって、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
サイクロスポリンAの3−位類縁体の合成
サイクロスポリンAのアルキル化は以下の一般的な方法に従って行った。
テトラヒドロフラン(THF)にジイソプロピルアミン((i−Pr)NH)を加え、これに窒素雰囲気下、−78℃でn−ブチルリチウム(BuLi)のヘキサン溶液を加えて30分間撹拌した。このようにして得られたLDA(リチウムジイソプロピルアミド)の溶液にサイクロスポリンAのTHF溶液を加え、1時間撹拌した後、求電子試剤を加えた。
(1−1)[N−メチル−D−Abu ]サイクロスポリンA:化合物1の合成
上記の一般的な方法に従って、10当量のLDA溶液にサイクロスポリンA 1.0gのTHF50ml溶液を−78℃で加えた。反応混合物を−78℃で2時間撹拌した後、沃化エチル0.4mlを加えた。室温にした後、更に24時間撹拌し、20mlの水を加えた後濃縮した。残渣にエーテル(EtO)を加えた後、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g、ジクロロメタン:メチルアルコール=96:4)に付し、次いでHPLCに付して表題化合物0.1gを得た。
得られた化合物の分子量はFAB MS(ZMS AX 505H)分析により測定した。 構造確認のため、H−NMR(600MHz,Bruker)及び13C−NMR(150MHz,Bruker)により核磁気共鳴(NMR)測定を行った。スペクトルデータをそれぞれ図1及び図2に示す。
(1−2)[N−メチル−D−Nva ]サイクロスポリンA:化合物2の合成
一般的な方法に従って、10当量のLDA溶液にサイクロスポリンA 1.0gのTHF50ml溶液を−78℃で加えた。反応混合物を−78℃で2時間撹拌した後、沃化プロピル0.41mlを加えた。室温にした後、更に24時間撹拌し、20mlの水を加えた後濃縮した。残渣にエーテル(EtO)を加えた後、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g、ジクロロメタン:メチルアルコール=96:4)に付し、次いでHPLCに付して表題化合物0.12gを得た。
得られた化合物の分子量はFAB MS(ZMS AX 505H)分析により測定した。 構造確認のため、H−NMR(600MHz,Bruker)及び13C−NMR(150MHz,Bruker)により核磁気共鳴(NMR)測定を行った。スペクトルデータをそれぞれ図3及び図4に示す。
(1−3)[D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル ]サイクロスポリンA:化合物3の合成
一般的な方法に従って、10当量のLDA溶液にサイクロスポリンA 1.0gのTHF50ml溶液を−78℃で加えた。反応混合物を−78℃で2時間撹拌した後、1−ブロモ−2−ブチン0.73mlを加えた。室温にした後、更に24時間撹拌し、20mlの水を加えた後濃縮した。残渣にエーテル(EtO)を加えた後、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g、ジクロロメタン:メチルアルコール=96:4)に付し、次いでHPLCに付して表題化合物0.13gを得た。
得られた化合物の分子量はFAB MS(ZMS AX 505H)分析により測定した。 構造確認のため、H−NMR(600MHz,Bruker)及び13C−NMR(150MHz,Bruker)により核磁気共鳴(NMR)測定を行った。スペクトルデータをそれぞれ図5及び図6に示す。
(1−4)[D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル ]サイクロスポリンA:化合物4の合成
一般的な方法に従って、THF(200ml)、(i−Pr)NH(3.2ml)、BuLi(8ml)、サイクロスポリンA(3.76g)のTHF(50ml)溶液及び臭化プロパルギル(3.57g)を使用してアルキル化を行った。室温にした後、更に24時間撹拌し、40mlの水を加えた後濃縮した。残渣にエーテル(EtO)を加えた後、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g、ジクロロメタン:メチルアルコール=96:4)に付し、次いでHPLCに付して化合物3(0.18g)及び化合物4(0.08g)を得た。
得られた化合物の分子量はFAB MS(ZMS AX 505H)分析により測定した。 構造確認のため、H−NMR(600MHz,Bruker)及び13C−NMR(150MHz,Bruker)により核磁気共鳴(NMR)測定を行った。化合物4のこれらスペクトルデータをそれぞれ図7及び図8に示す。
(1−5)[D−2−メチルチオ−Sar ]サイクロスポリンA:化合物5の合成
一般的な方法に従って、THF(100ml)、(i−Pr)NH(1.6ml)、BuLi(4.0ml)、サイクロスポリンA(1.0g)のTHF(30ml)溶液及び二硫化メチル(Me)(1.5ml)を使用してアルキル化を行った。溶液を0℃で14時間撹拌し、20mlの水を加えた後濃縮した。残渣にエーテル(EtO)を加えた後、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g、ジクロロメタン:メチルアルコール=50:1〜96:4)に付し、次いでHPLCに付して化合物5(0.36g)及び化合物6(0.05g)を得た。
得られた化合物の分子量はFAB MS(ZMS AX 505H)分析により測定した。 構造確認のため、H−NMR(600MHz,Bruker)及び13C−NMR(150MHz,Bruker)により核磁気共鳴(NMR)測定を行った。化合物5のこれらスペクトルデータをそれぞれ図9及び図10に示す。
(1−6)[N−メチル−O−プロぺニル−D−Ser ]サイクロスポリンA:化合物6の合成
一般的な方法に従って、[D−メチルセリン]サイクロスポリンA(0.62g、0.5mmol)、テトラブチルアンモニウムクロライド(0.11g、0.5mmol)及びアリルブロマイド(0.24g、2.0mmol)をジクロロメタン(50ml)に溶かした後、これに30%NaOH水溶液1.5mlを加え、混合物を2時間撹拌した。50mlのジクロロメタンを加えた後、溶液を水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g、ジクロロメタン:メチルアルコール=97:3)に付し、次いでHPLCに付して表題化合物0.4gを得た。
得られた化合物の分子量はFAB MS(ZMS AX 505H)分析により測定した。 構造確認のため、H−NMR(600MHz,Bruker)及び13C−NMR(150MHz,Bruker)により核磁気共鳴(NMR)測定を行った。スペクトルデータをそれぞれ図11及び図12に示す。
(1−7)[N−メチル−D−Ser ]サイクロスポリンA:化合物7の合成
一般的な方法に従って、10当量のLDA溶液にサイクロスポリンA 1.0gのTHF50ml溶液を−78℃で加えた。反応混合物を−78℃で2時間撹拌した後、パラホルムアルデヒド2.0gを加えた。室温にした後、更に24時間撹拌し、20mlの水を加えた後濃縮した。残渣にエーテル(EtO)を加えた後、水及び飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウム(MgSO)で乾燥した。濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(シリカゲル100g、ジクロロメタン:メチルアルコール=96:4)に付し、次いでHPLCに付して表題化合物0.3gを得た。
得られた化合物の分子量はFAB MS(ZMS AX 505H)分析により測定した。 構造確認のため、H−NMR(600MHz,Bruker)及び13C−NMR(150MHz,Bruker)により核磁気共鳴(NMR)測定を行った。スペクトルデータをそれぞれ図13及び図14に示す。
処方例1 ヘアートニック
1−1:[N−メチル−D−Abu ]サイクロスポリンA含有ヘアートニックの製造
それぞれの成分を混合、撹拌し、完全に溶解させて、下記表1に示される組成の3種の毛髪成長促進トニックを調製した。表1の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアートニックと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
1−2:[N−メチル−D−Nva ]サイクロスポリンA含有ヘアートニックの製造
それぞれの成分を混合、撹拌し、完全に溶解させて、下記表2に示される組成の3種の毛髪成長促進トニックを調製した。表2の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアートニックと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
1−3:[D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル ]サイクロスポリンA含有ヘアートニックの製造
それぞれの成分を混合、撹拌し、完全に溶解させて、下記表3に示される組成の3種の毛髪成長促進トニックを調製した。表3の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアートニックと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
1−4:[D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル ]サイクロスポリンA含有ヘアートニックの製造
それぞれの成分を混合、撹拌し、完全に溶解させて、下記表4に示される組成の3種の毛髪成長促進トニックを調製した。表4の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアートニックと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
1−5:[D−2−メチルチオ−Sar ]サイクロスポリンA含有ヘアートニックの製造
それぞれの成分を混合、撹拌し、完全に溶解させて、下記表5に示される組成の3種の毛髪成長促進トニックを調製した。表5の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアートニックと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
1−6:[N−メチル−O−プロぺニル−D−Ser ]サイクロスポリンA含有ヘアートニックの製造
それぞれの成分を混合、撹拌し、完全に溶解させて、下記表6に示される組成の3種の毛髪成長促進トニックを調製した。表6の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアートニックと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
1−7:[N−メチル−D−Ser ]サイクロスポリンA含有ヘアートニックの製造
それぞれの成分を混合、撹拌し、完全に溶解させて、下記表7に示される組成の3種の毛髪成長促進トニックを調製した。表7の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアートニックと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
処方例2 ヘアクリーム
2−1:[N−メチル−D−Abu ]サイクロスポリンA含有ヘアクリームの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表8に示される組成の3種のヘアークリームを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
表8の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアークリームと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
2−2:[N−メチル−D−Nva ]サイクロスポリンA含有ヘアクリームの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表9に示される組成の3種のヘアークリームを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
表9の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアークリームと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
2−3:[D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル ]サイクロスポリンA含有ヘアクリームの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表10に示される組成の3種のヘアークリームを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
表10の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアークリームと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
2−4:[D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル ]サイクロスポリンA含有ヘアクリームの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表11に示される組成の3種のヘアークリームを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
表11の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアークリームと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
2−5:[D−2−メチルチオ−Sar ]サイクロスポリンA含有ヘアクリームの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表12に示される組成の3種のヘアークリームを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
表12の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアークリームと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
2−6:[N−メチル−O−プロぺニル−D−Ser ]サイクロスポリンA含有ヘアクリームの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表13に示される組成の3種のヘアークリームを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
表13の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアークリームと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
2−7:[N−メチル−D−Ser ]サイクロスポリンA含有ヘアクリームの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表14に示される組成の3種のヘアークリームを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
表14の組成物1は、後述する試験例1による動物実験での評価で、0.1%サイクロスポリンA含有の通常のヘアークリームと同等のレベルの毛髪成長促進効果を有することが判った。
Figure 0004214181
処方例3 シャンプー
3−1:[N−メチル−D−Abu ]サイクロスポリンA含有シャンプーの製造
香料、着色剤及び水を除いた各成分を混合し、撹拌下に加熱して完全に溶解させた。室温まで冷却した後、これに香料と着色剤を混合した。最後に水を総量が100%になるように加えて、下記表15に示される組成の3種のシャンプーを調製した。
Figure 0004214181
3−2:[N−メチル−D−Nva ]サイクロスポリンA含有シャンプーの製造
香料、着色剤及び水を除いた各成分を混合し、撹拌下に加熱して完全に溶解させた。室温まで冷却した後、これに香料と着色剤を混合した。最後に水を総量が100%になるように加えて、下記表16に示される組成の3種のシャンプーを調製した。
Figure 0004214181
3−3:[D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル ]サイクロスポリンA含有シャンプーの製造
香料、着色剤及び水を除いた各成分を混合し、撹拌下に加熱して完全に溶解させた。室温まで冷却した後、これに香料と着色剤を混合した。最後に水を総量が100%になるように加えて、下記表17に示される組成の3種のシャンプーを調製した。
Figure 0004214181
3−4:[D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル ]サイクロスポリンA含有シャンプーの製造
香料、着色剤及び水を除いた各成分を混合し、撹拌下に加熱して完全に溶解させた。室温まで冷却した後、これに香料と着色剤を混合した。最後に水を総量が100%になるように加えて、下記表18に示される組成の3種のシャンプーを調製した。
Figure 0004214181
3−5:[D−2−メチルチオ−Sar ]サイクロスポリンA含有シャンプーの製造
香料、着色剤及び水を除いた各成分を混合し、撹拌下に加熱して完全に溶解させた。室温まで冷却した後、これに香料と着色剤を混合した。最後に水を総量が100%になるように加えて、下記表19に示される組成の3種のシャンプーを調製した。
Figure 0004214181
3−6:[N−メチル−O−プロぺニル−D−Ser ]サイクロスポリンA含有シャンプーの製造
香料、着色剤及び水を除いた各成分を混合し、撹拌下に加熱して完全に溶解させた。室温まで冷却した後、これに香料と着色剤を混合した。最後に水を総量が100%になるように加えて、下記表20に示される組成の3種のシャンプーを調製した。
Figure 0004214181
3−7:[N−メチル−D−Ser ]サイクロスポリンA含有シャンプーの製造
香料、着色剤及び水を除いた各成分を混合し、撹拌下に加熱して完全に溶解させた。室温まで冷却した後、これに香料と着色剤を混合した。最後に水を総量が100%になるように加えて、下記表21に示される組成の3種のシャンプーを調製した。
Figure 0004214181
処方例4 ヘアーコンディショナー
4−1:[N−メチル−D−Abu ]サイクロスポリンA含有ヘアーコンディショナーの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表22に示される組成の3種のヘアーコンディショナーを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
Figure 0004214181
4−2:[N−メチル−D−Nva ]サイクロスポリンA含有ヘアーコンディショナーの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表23に示される組成の3種のヘアーコンディショナーを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
Figure 0004214181
4−3:[D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル ]サイクロスポリンA含有ヘアーコンディショナーの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表24に示される組成の3種のヘアーコンディショナーを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
Figure 0004214181
4−4:[D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル ]サイクロスポリンA含有ヘアーコンディショナーの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表25に示される組成の3種のヘアーコンディショナーを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
Figure 0004214181
4−5:[D−2−メチルチオ−Sar ]サイクロスポリンA含有ヘアーコンディショナーの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表26に示される組成の3種のヘアーコンディショナーを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
Figure 0004214181
4−6:[N−メチル−O−プロぺニル−D−Ser ]サイクロスポリンA含有ヘアーコンディショナーの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表27に示される組成の3種のヘアーコンディショナーを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
Figure 0004214181
4−7:[N−メチル−D−Ser ]サイクロスポリンA含有ヘアーコンディショナーの製造
油相成分及び水相成分をそれぞれ別の容器で混合し、80℃に加熱して完全に溶解させた。得られた二相の成分を混合し、乳化した後、室温まで冷却した。これに香料及び着色剤を添加物として加えて、下記表28に示される組成の3種のヘアーコンディショナーを調製した。水は油相成分と水相成分を含む全量を100%とするための調整用として加えた。
Figure 0004214181
試験例1 本発明のサイクロスポリン誘導体の毛髪成長促進効果試験
生後6〜7週の雌C57BL/6マウスを使用した。背中部位の毛を電気剃刀を用いて除去した後、各マウスの重さを計って体重が均一に分散されるようランダムに幾つかの試験グループに分けた。順応期間を1日設けて次の日からその背中部位にサイクロスポリンA及び実施例1でHPLCにより精製したサイクロスポリンA誘導体(化合物1〜7)100μl(濃度:0.1%w/v)を1日1回、30日間塗布した。その結果は育毛の程度を肉眼で測定することにより判断した。それぞれの除毛した領域に関して、新生毛が育った面積の割合を求めて比較した。
表29から判るように、本発明のサイクロスポリン誘導体は、ベヒクル(vehicle)だけを塗布した対照群に比べて顕著な毛髪成長促進効果がある。更に、本発明の誘導体は、サイクロスポリンAの場合と同等のレベルの毛髪成長促進効果を示す。30日の実験過程を通して背中の状態を比較したが、対照群及び全ての試験群のマウスで特異な皮膚刺激所見は認められなかった。
Figure 0004214181
上記結果からも明らかなように、本発明のサイクロスポリン誘導体は、液剤、スプレー、ゲル、ペースト、乳剤、クリーム、コンディショナー、シャンプー等々の種々の形状に剤型化することが出来る。特に商業的に多用されるヘアートニック、クリーム、コンディショナー、シャンプーを製造したが、前記実験例1の動物評価試験を通して本発明の処理群が対照群より優れた発毛効果があることを確認した。
サイクロスポリンAの3位を置換した本発明のサイクロスポリンA誘導体を有効成分にとして含んでなる毛髪成長促進剤は優れた毛髪成長促進効果を示す。
[N−メチル−D−Abu]サイクロスポリンAのH−NMRスペクトルである。 [N−メチル−D−Abu]サイクロスポリンAの13C−NMRスペクトルである。 [N−メチル−D−Nva]サイクロスポリンAのH−NMRスペクトルである。 [N−メチル−D−Nva]サイクロスポリンAの13C−NMRスペクトルである。 [D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル]サイクロスポリンAのH−NMRスペクトルである。 [D−2−(メチルアミノ)へキサ−4−イノイル]サイクロスポリンAの13C−NMRスペクトルである。 [D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル]サイクロスポリンAのH−NMRスペクトルである。 [D−2−(メチルアミノ)ペント−4−イノイル]サイクロスポリンAの13C−NMRスペクトルである。 [D−2−メチルチオザルコシン]サイクロスポリンAのH−NMRスペクトルである。 [D−2−メチルチオザルコシン]サイクロスポリンAの13C−NMRスペクトルである。 [N−メチル−O−プロぺニル−D−セリン]サイクロスポリンAのH−NMRスペクトルである。 [N−メチル−O−プロぺニル−D−セリン]サイクロスポリンAの13C−NMRスペクトルである。 [N−メチル−D−セリン]サイクロスポリンAのH−NMRスペクトルである。 [N−メチル−D−セリン]サイクロスポリンAの13C−NMRスペクトルである。

Claims (2)

  1. [D−2−メチルチオザルコシン ]サイクロスポリンAを有効成分として含んでなる、毛髪成長促進剤。
  2. 液剤、スプレー、ゲル、ペースト、乳剤、クリーム、コンディショナー及びシャンプーからなる群より選ばれた形状に剤形化されてなる、請求項1に記載の毛髪成長促進剤。
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