JP4213780B2 - 感圧性接着剤組成物とその接着シ―ト類 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高固形分濃度に調製可能な感圧性接着剤組成物と、これを用いたテ―プ状やシ―ト状などの接着シ―ト類とに関する。
【0002】
【従来の技術】
感圧性接着剤は、重合体溶液に粘着付与樹脂や架橋剤を混合することにより、調製され、これを支持体上に塗布し乾燥させて、テ―プ状やシ―ト状などの接着シ―ト類とされている。近年、乾燥効率や省エネルギ―性、作業環境の面から、溶剤の使用量をできるだけ削減することが要望されている。
【0003】
この要望に対し、重合体溶液を高固形分濃度にすると、重合体溶液の粘度が上昇して、支持体上に塗布する際の作業性に問題を生じたり、塗布面が荒れるなどの不都合を生じる。重合体の分子量を下げることにより、低粘度で高固形分濃度にする試みもあるが、この場合、架橋後の凝集力が不足し、これを回避するために架橋しすぎると接着力やタツクが不足するなどの問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情に照らして、低粘度で高固形分濃度に調製可能で、しかも架橋処理後にすぐれた接着特性を発揮する、とくに接着力と凝集力とを満足する感圧性接着剤組成物とその接着シ―ト類を得ること、さらには上記の架橋処理を低温で短時間に行うことができる、製造作業性にすぐれた感圧性接着剤組成物とその接着シ―ト類を得ることを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的を達成するために、鋭意検討した結果、重合体の分子鎖片末端に複数個の官能基を導入して、分子鎖末端の見掛けの官能基導入率を特定する構成としたときに、この重合体の分子量を下げて低粘度で高固形分濃度の重合体溶液としても、これを架橋剤などにて架橋処理すると、主鎖延長と網状化とが同時進行して分子鎖長の長い架橋重合体を生成でき、これにより接着特性にすぐれる、とくに接着力と凝集力とを満足する感圧性接着剤組成物とその接着シ―ト類が得られ、しかも上記の架橋処理は低温で短時間に完了でき、製造作業性の面でも好結果が得られることを知り、本発明を完成するに至つた。
【0006】
すなわち、本発明は、一般式;CH2=C(R1)COOR2(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数2〜14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体を50重量%以上含む単量体の重合体を含有し、この重合体は、分子鎖片末端に複数個の官能基を有し、数平均分子量が6万以上、重量平均分子量が10万以上、分子鎖末端の見掛けの官能基導入率が100%以上であり、上記官能基が水酸基、カルボキシル基、シリル基の中から選ばれることを特徴とする感圧性接着剤組成物(請求項1)、とくに上記重合体100重量部あたり、架橋剤を0.05〜7重量部含有する上記構成の感圧性接着剤組成物(請求項2)に係るものである。また、本発明は、支持体上に上記構成の感圧性接着剤組成物を架橋処理した接着剤層を有することを特徴とする接着シ―トまたはテープ(請求項3)に係るものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明におけるアクリル系単量体は、一般式;CH2 =C(R1 )COOR2 (R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数2〜14のアルキル基である)で表される単量体であり、とくに、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニルなどの炭素数4〜12のアルキル基を有するアクリル酸エステルが好ましく用いられる。このアクリル系単量体とともに、これと共重合可能な改質用単量体を併用してもよく、この場合、良好な接着特性を得るために、上記のアクリル系単量体が単量体全体の50重量%以上、好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上となるようにするのがよい。また、重合体のガラス転移点が250K以下となるように、単量体組成を選択するのが望ましい。
【0008】
上記の改質用単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリルアミド、マレイン酸のモノまたはジエステル、N−メチロ―ル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレ―ト、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ―ト、(メタ)アクリル酸、オリゴエステル(メタ)アクリレ―ト、ε−カプロラクトン(メタ)アクリレ―トなどが挙げられる。
【0009】
本発明では、上記の単量体を用いて、分子鎖片末端に複数個の官能基を有し、数平均分子量が6万以上、重量平均分子量が10万以上、分子鎖末端の見掛けの官能基導入率が100%以上である重合体を生成する。上記の両平均分子量は、ゲルパ―ミエ―シヨンクロマトグラフイ―法(GPC法)により、測定される。また、上記の官能基導入率とは、重合体全体中の分子鎖末端に官能基が導入された重合体の割合を意味し、GPC法による数平均分子量と核磁気共鳴スペクトル(NMR)での分子鎖末端の官能基量とより計算され、末端官能基数が複数個のため「見掛けの官能基導入率」として100%以上に設定する。
【0010】
このような分子鎖片末端に複数個の官能基を有し、分子鎖末端の見掛けの官能基導入率が100%以上(通常140%まで)の重合体によると、分子量を上記のように小さくして低粘度で高固形分濃度の重合体溶液としても、これを架橋処理したときに分子鎖末端同志の反応確立が高く、かつ主鎖延長と網状化とが同時進行して分子鎖長の長い架橋重合体を生成し、その結果、接着特性にすぐれる、とくに接着力と凝集力とを満足する感圧性接着剤組成物が得られる。また、上記の架橋処理では、上述のように、分子鎖片末端の複数個の官能基に基づく主鎖延長と網状化の反応が同時に進行するため、低温で短時間に完了でき、上記接着特性を発揮させるための製造作業性にすぐれている。
【0011】
これに対し、従来用いられてきた重合体は、分子鎖末端の官能基導入率が50%に満たないものであり、架橋処理により上記のような分子鎖長の長い架橋重合体を生成しにくく、接着特性の良好な感圧性接着剤組成物が得られない。また、上記の官能基導入率を50%以上に高めることにより、上記接着特性の改善をはかるようにしたとしても、本発明のように分子鎖片末端に複数個の官能基を存在させない場合は、架橋処理に際して、主鎖延長と網状化とを同時進行させることができず、その結果、架橋処理をより高温でまたはより長時間行う必要があり、上記接着特性を発揮させるための製造作業性に問題を生じやすい。
【0012】
また、本発明において、分子鎖片末端に複数個の官能基を有し、分子鎖末端の見掛けの官能基導入率が100%以上であつても、この重合体の分子量があまりに低すぎると、上記のような架橋重合体をやはり生成しにくくなる。このため、本発明に用いる上記重合体としては、既述のとおり、数平均分子量が6万以上、重量平均分子量が10万以上であることが必要である。分子量の上限としては、塗布性などに支障をきたさない低粘度で高固形分濃度が得られる限り、できるだけ高い分子量に設定することができ、重合体の組成や溶剤の種類などに応じて、適宜決定することができる。通常は、数平均分子量が15万以下、重量平均分子量が40万以下であるのが望ましい。
【0013】
本発明において、このような分子鎖片末端に複数個の官能基を有し、かつ分子鎖末端の見掛けの官能基導入率および分子量がそれぞれ特定された重合体は、たとえば、前記したアクリル系単量体を50重量%以上含む単量体を、複数個の官能基を有する連鎖移動剤の存在下で溶液重合することにより、またその際に上記連鎖移動剤の溶解性、連鎖移動定数、消費速度などを考慮して、適宜の重合条件を選択する、とくに重合系内の上記連鎖移動剤の濃度が重合初期から終期までほぼ一定となるように上記連鎖移動剤を重合の進行に伴つて滴下法で加えて重合処理することにより、生成することができる。
【0014】
上記の複数個の官能基を有する連鎖移動剤は、重合体の分子鎖片末端に複数個の官能基を導入させるためのものであり、たとえば、3−メルカプト−1,2−プロパンジオ―ル、3−メルカプトプロピルトリオ―ル、3,3,3−トリアルコキシプロピルチオ―ルなどの水酸基を有する連鎖移動剤、メルカプトコハク酸などのカルボキシル基を有する連鎖移動剤、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのシリル基を有する連鎖移動剤が用いられる。これらは、溶解性や連鎖移動定数により異なるが、一般には、前記単量体100重量部あたり、0.01〜5重量部の割合で用いられる。多すぎると、分子量が低下しすぎたり、不純物として未反応の連鎖移動剤が残存して、架橋反応を阻害する場合があり、少なすぎると、接着力と凝集力との両立ができないなどの問題を生じやすい。
【0015】
なお、本発明においては、上記の分子鎖片末端に複数個の官能基を有し、分子鎖末端の見掛けの官能基導入率が100%以上である特定分子量の重合体とともに、分子鎖片末端に1個の官能基を有し、分子鎖末端の官能基導入率が50%以上であり、その数平均分子量が6万以上、重量平均分子量が10万以上である重合体を併用して、接着特性を適度に調整するようにしてもよい。この場合、上記後者の重合体は、前者の本発明の重合体との合計量中、50重量%以下、好ましくは40重量%以下であるのがよく、あまり多く使用しすぎると、架橋処理の短時間化などをはかれなくなるため、好ましくない。
【0016】
上記後者の重合体は、官能基を1個有する連鎖移動剤を用いる以外は、前記本発明の重合体の生成方法と同様にして生成できる。また、前記本発明の重合体の生成方法において、複数個の官能基を有する連鎖移動剤と、官能基を1個有する連鎖移動剤とを併用して、本発明の重合体と上記後者の重合体とを同時に生成させることもできる。官能基を1個有する連鎖移動剤には、2−メルカプトエタノ―ル、1−メルカプト−2−プロパノ―ル、3−メルカプト−1−プロパノ―ル、p−メルカプトフエノ―ルなどの水酸基を有する連鎖移動剤、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトニコチン酸などのカルボキシル基を有する連鎖移動剤が用いられる。
【0017】
本発明の感圧性接着剤組成物は、前記本発明の重合体、つまり、分子鎖片末端に複数個の官能基を有し、分子鎖末端の見掛けの官能基導入率が100%以上である特定分子量の重合体を主剤とし、通常は、固形分が40重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは60重量%以上(通常70重量%まで)の高固形分濃度の重合体溶液として取り扱われる。また、このときの溶液粘度は、塗布性、その他の取り扱い性に支障をきたすことのない、室温で500ポイズ以下、好ましくは300ポイズ以下、さらに好ましくは200ポイズ以下(通常50ポイズまで)に調整されているのがよい。
【0018】
このような感圧性接着剤組成物には、必要に応じて、粘着付与樹脂、充填剤、顔料などの一般の感圧性接着剤組成物に配合される各種の添加剤を含ませることができる。とくに、粘着付与樹脂として、重合体の分子鎖末端に導入した官能基と同種の官能基を有する粘着付与樹脂を含ませるようにすると、末端官能基の反応率を上げるという効果が得られるため、好ましい。
【0019】
本発明の感圧性接着剤組成物は、最終的に架橋処理して、接着力と凝集力とを満足する、すぐれた接着特性を発揮させる。架橋処理は、分子鎖末端に導入された官能基により、主鎖延長と網状化とを同時に行わせて、分子鎖長の長い架橋重合体を生成させるものであり、この目的を達成するために、通常は、感圧性接着剤組成物の調製に際し、あらかじめ重合体の上記官能基と反応する多官能性化合物を架橋剤として含ませておくのがよい。また、その際に、上記の架橋剤とともに、錫化合物などを触媒として含ませるようにしてもよい。
【0020】
架橋剤としては、重合体の官能基が水酸基の場合、トリレンジイソシアネ―ト、ジフエニルメタンジイソシアネ―ト、p−フエニレンジイソシアネ―ト、ヘキサメチレンジイソシアネ―ト、1,5−ナフタレンジイソシアネ―ト、多価アルコ―ルとジイソシアネ―トとの付加物などのポリイソシアネ―ト化合物が用いられる。また、重合体の官能基がカルボキシル基の場合、アジリジン化合物、ジアミン化合物、ヘキサメチレンジイソシアネ―ト、イソホロンジイソシアネ―トなどの脂環族ポリイソシアネ―ト化合物などが用いられる。これら架橋剤の使用量は、重合体の官能基量に応じて決定されるが、通常は、重合体100重量部あたり、0.05〜7重量部とするのがよい。多すぎると接着力が低下し、少なすぎると凝集力が不足し、いずれも好ましくない。
【0021】
また、本発明の感圧性接着剤組成物において、重合体の分子鎖末端に導入された官能基がシリル基などである場合、この官能基同志は熱や水などの賦活によりそれ自体で反応させることができる。したがつて、このような場合は、上記した架橋剤はあえて含ませる必要はない。この架橋剤無添加の系でも、熱や水などの賦活によつて上記官能基同志を架橋反応させて、前記同様の効果を発揮する分子鎖長の長い架橋重合体を生成させることができる。
【0022】
本発明においては、このような感圧性接着剤組成物を支持体上に塗布乾燥し、また前記した架橋処理を施すことにより、支持体の片面または両面に厚さが片面で通常25〜1,000μmとなる架橋処理した接着剤層を有するテ―プ状やシ―ト状などの接着シ―ト類とする。ここで、上記の架橋処理は低温で短時間に行うことができる。また、上記の支持体としては、各種のプラスチツクフイルム、紙、ラミネ―ト紙、不織布、金属箔、発泡シ―トなどが用いられる。
【0023】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0024】
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル66部を溶剤として、アクリル酸2−エチルヘキシル45部、アクリル酸ブチル50部、アクリル酸5部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、3−メルカプト−1,2−プロパンジオ―ル0.03部を入れ、窒素置換を行つたのち、昇温して、重合反応を行つた。重合途中でサンプリングし、ガスクロマトグラフイ―法で3−メルカプト−1,2−プロパンジオ―ルの消費量を測定し、残存するモノマ―に対し3−メルカプト−1,2−プロパンジオ―ルが重合初期と同じ濃度となるように滴下法で追加して、重合させ、全3−メルカプト−1,2−プロパンジオ―ル使用量を0.1部とした。重合温度は開始から4時間は60℃に保ち、その後2時間70℃とした。
【0025】
このようにして、分子鎖片末端に2個の水酸基を有し、重量平均分子量が26万、数平均分子量が13万(GPC法によるポリスチレン換算)、分子鎖末端の見掛けの水酸基導入率が120%である重合体を生成し、この重合体を60重量%含有する溶液(常温での粘度:140ポイズ)を得た。この重合体溶液Aに、その固形分100部あたり、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物1.5部、ジブチルスズラウレ―ト0.015部を加えて、感圧性接着剤組成物とした。これを、厚さが25μmのポリエステルフイルムの上に、乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、120℃で3分間加熱乾燥した。その後、さらに50℃で24時間の架橋処理を施して、接着テ―プを作製した。
【0026】
実施例2
トルエン33部と酢酸エチル33部を溶剤とし、アクリル酸2−エチルヘキシル80部、アクリル酸エチル15部、アルリルアミド5部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、3−メルカプト−1,2−プロパンジオ―ル0.09部(全量)を用いて、実施例1と同様にして、分子鎖片末端に2個の水酸基を有し、重量平均分子量が21万、数平均分子量が11万、分子鎖末端の見掛けの水酸基導入率が112%である重合体を生成し、この重合体を60重量%含有する溶液(常温での粘度:120ポイズ)を得た。この重合体溶液Bに、その固形分100部あたり、トリメチロ―ルプロパンのヘキサメチレンジイソシアネ―ト付加物2.6部、ジブチルスズラウレ―ト0.026部、テルペン変性フエノ―ル15部を加えて、感圧性接着剤組成物とした。これを用いて、実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0027】
実施例3
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル66部を溶剤として、アクリル酸2−エチルヘキシル45部、アクリル酸ブチル50部、アクリル酸5部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、2−メルカプトエタノ―ル0.03部を入れ、窒素置換を行つたのち、昇温して、重合反応を行つた。重合途中でサンプリングし、ガスクロマトグラフイ―法で2−メルカプトエタノ―ルの消費量を測定し、残存するモノマ―に対し2−メルカプトエタノ―ルが重合初期と同じ濃度になるように滴下法で追加して、重合させ、全2−メルカプトエタノ―ル使用量を0.1部とした。重合温度は開始から4時間は60℃に保ち、その後2時間70℃とした。
【0028】
このようにして、重量平均分子量が21万、数平均分子量が11万、分子鎖末端の水酸基導入率が56%である重合体を60重量%含有する溶液(常温での粘度:120ポイズ)を得た。この重合体溶液Cと実施例1で得た重合体溶液Aとを、固形分重量比が25:75となるように混合し、さらにその全固形分100部あたり、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物3.2部、ジブチルスズラウレ―ト0.032部を加えて、感圧性接着剤組成物とした。これを用いて、実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0029】
比較例1
冷却管、窒素導入管、温度計、攪拌機を備えた反応容器に、酢酸エチル66部を溶剤として、アクリル酸2−エチルヘキシル45部、アクリル酸ブチル50部、アクリル酸5部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、2−メルカプトエタノ―ル0.035部(全量)を入れ、窒素置換を行つたのち、昇温して、重合反応を行つた。その際、重合の最初から連鎖移動剤を全量入れた。重合温度は、開始から4時間は60℃に保ち、その後2時間70℃とした。
【0030】
このようにして、重量平均分子量が24万、数平均分子量が12万、分子鎖末端の水酸基導入率が25%である重合体を生成し、この重合体を60重量%含有する溶液(常温での粘度:130ポイズ)を得た。この重合体溶液Dに、その固形分100部あたり、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物3.2部、ジブチルスズラウレ―ト0.032部を加えて、感圧性接着剤組成物とした。これを用いて、実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0031】
比較例2
酢酸エチル66部を溶剤として、アクリル酸2−エチルヘキシル45部、アクリル酸ブチル50部、アクリル酸5部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、ラウリルメルカプタン0.233部(全量)を用い、実施例1と同様にして、重合平均分子量が24万、数平均分子量が12万、分子鎖末端の水酸基導入率が0%である重合体を生成し、この重合体を60重量%含有する溶液(常温での粘度:130ポイズ)を得た。この重合体溶液Eに、その固形分100部あたり、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物3.2部、ジブチルスズラウレ―ト0.032部を加えて、感圧性接着剤組成物とした。これを用いて、実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0032】
比較例3
酢酸エチル66部を溶剤として、アクリル酸2−エチルヘキシル45部、アクリル酸ブチル50部、アクリル酸5部、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、3−メルカプト−1,2−プロパンジオ―ル0.235部(全量)を用い、実施例1と同様にして、分子鎖片末端に2個の水酸基を有し、重量平均分子量が6万、数平均分子量が3万、分子鎖末端の見掛けの水酸基導入率が150%である重合体を生成し、この重合体を60重量%含有する溶液(常温での粘度:30ポイズ)を得た。この重合体溶液Fに、その固形分100部あたり、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物3.2部、ジブチルスズラウレ―ト0.032部を加えて、感圧性接着剤組成物とした。これを用いて、実施例1と同様にして、接着テ―プを作製した。
【0033】
上記の実施例1〜3および比較例1〜3で作製した接着テ―プについて、以下の方法により、剥離接着力および保持力を測定した。これらの測定結果は、後記の表1に示されるとおりであつた。
【0034】
<剥離接着力>
20mm×100mmの接着テ―プを、被着体として#280のサンドペ―パでサンデイングしたステンレス板に、2Kgのロ―ラを1往復させる方式で圧着した。23℃で20分間経過後、23℃,65%RHの雰囲気下、引張り速度300mm/分の条件で、180度剥離に要する力を測定した。
【0035】
<保持力>
接着テ―プをフエノ―ル樹脂板に10mm×20mmの接着面積で接着し、20分経過後、80℃下に20分放置した。ついで、フエノ―ル樹脂板を垂下し、接着テ―プの自由端に500gの均一荷重を負荷し、80℃において接着テ―プが落下するまでの時間(分)を測定した。
【0036】
【0037】
上記の表1の結果より明らかなように、本発明の実施例1〜3は、重合体の分子量を小さくして高固形分濃度(60重量%)で低粘度な重合体溶液を調製し、これをベ―スとした感圧性接着剤組成物より、剥離接着力と保持力を満足する、すぐれた接着特性を有する接着テ―プが得られているものであることがわかる。これに対し、比較例1〜3では、上記のような接着特性の良好な接着テ―プは得られておらず、とくに保持力の改善効果に乏しいことがわかる。
【0038】
また、上記の実施例1〜3では、架橋処理を低温で短時間で行つて、上記すぐれた接着特性が得られており、接着テ―プの製造作業性にすぐれていることも明らかである。ちなみに、実施例3で得た重合体溶液C(重合体の分子鎖末端の水酸基導入率56%)に、実施例1で得た重合体溶液A(重合体の分子鎖末端の見掛けの水酸基導入率120%)を加えずに、他の添加剤は実施例3と同じにして、感圧性接着剤組成物を調製し、これを用いて実施例1と同様にして接着テ―プを作製したところ、前記の架橋処理条件では十分に架橋が進行せず、接着特性とくに保持力に劣つていることがわかつた。
【0039】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、分子鎖片末端に複数個の官能基を導入して、分子量および分子鎖末端の見掛けの官能基導入率を特定した重合体を主剤とすることにより、低粘度で高固形分濃度の重合体溶液を容易に調製でき、かつこれを架橋処理すると主鎖延長と網状化とが同時に進行して分子鎖長の長い架橋重合体を生成でき、これにより接着力と凝集力とを満足する、接着特性にすぐれる感圧性接着剤組成物とその接着シ―ト類を得ることができる。また、上記の架橋処理は低温で短時間に行えるため、製造作業性の改善にも好結果が得られる。
Claims (3)
- 一般式;CH2=C(R1)COOR2(式中、R1は水素またはメチル基、R2は炭素数2〜14のアルキル基である)で表されるアクリル系単量体を50重量%以上含む単量体の重合体を含有し、この重合体は、分子鎖片末端に複数個の官能基を有し、数平均分子量が6万以上、重量平均分子量が10万以上、分子鎖末端の見掛けの官能基導入率が100%以上であり、上記官能基が水酸基、カルボキシル基、シリル基の中から選ばれることを特徴とする感圧性接着剤組成物。
- 重合体100重量部あたり、架橋剤を0.05〜7重量部含有する請求項1に記載の感圧性接着剤組成物。
- 支持体上に請求項1または2に記載の感圧性接着剤組成物を架橋処理した接着剤層を有することを特徴とする接着シ―トまたはテープ。
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