JP4213446B2 - 椅子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、学校の教室や講堂等において使用される椅子であって、不使用時には、背凭れを机に向かって前方に移動させておくようにしたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の従来の椅子としては、カウンターの下部や、机の前下方の床面上等に、左右方向を向く軸をもって枢着した1本の脚支柱の上端部に座を固着し、上記脚支柱を、後傾して座をほぼ水平に支持する使用位置から、ほぼ垂直をなすかまたは前傾して、座がカウンターまたは机の下に収容される不使用位置に向かって、常時ばね付勢したものがある(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
また、平行リンク機構を用いて、座を、使用位置から、机に近接する不使用位置まで前後方向に移動しうるようにしたものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0004】
【特許文献1】
実公昭58−36857号公報(第1〜2頁、第2図)。
【特許文献2】
実開平5−21745号公報(第1〜2頁、図2)。
【特許文献3】
特許第2815341号公報(第1〜4頁、第1図)。
【特許文献4】
特開2000−139603号公報(第1〜4頁、図1)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前者は、上端部に座を固着した脚支柱を、ほぼ垂直の不使用位置から使用位置まで大きく後傾させなければならず、使用位置としたときの脚支柱の後傾角度が大きいので、そのときの座に掛る負荷が脚支柱の下端部に大きなモーメントとして作用し、脚支柱の下端部を頑丈な構造としなければならない。
【0006】
後者は、座の下方における平行リンク及びそれを支持する支持ブロックが前後方向に長い空間を占有し、それらが着座者の足に当ったり、通行の妨げとなったりするおそれがある。
【0007】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、脚支柱の前後方向の回動角度を小さくでき、座体を常時安定して支持することができるとともに、座体の前後方向の移動量を十分に確保することができ、しかも脚支柱やベースが着座者の足に当ったり、通行の妨げとなったりすることがないようにした椅子を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)ベースに、脚支柱の下端部を、左右方向を向く軸をもって枢着することにより、脚支柱の上部が予め定めた前方の不使用位置と後方の使用位置との間を前後方向に回動可能とし、前記脚支柱の上部に、側方を向くアームの基端部を、ほぼ上下方向を向く軸をもって枢着することにより、前記アームの先端部が前後方向に所要角度回動可能とし、かつ前記アームの先端部の上面をもって座体を支持する。
【0009】
(2)上記(1)項において、脚支柱の上部を側方に屈曲して、その先端部に、アームの枢支部材を設け、このアームの枢支部材から、前記アームが脚支柱の基部の上方に向かって延出するようにする。
【0010】
(3)上記(1)または(2)項において、アームを、基端部が前後に並ぶ上下方向を向く軸をもって脚支柱に枢着された前後1対の平行リンクと、両平行リンクの先端部に、前後に並ぶ上下方向を向く軸をもって枢着され、かつアームの先端部をなす座受け部材とにより形成する。
【0011】
(4)上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、アームの先端部に、座体を、ほぼ上下方向を向く軸まわりに回動可能として枢着する。
【0012】
(5)上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、脚支柱が不使用位置に位置しているとき、アームを脚支柱に枢支する軸が前傾し、それによって、アーム及び該アームにより支持された座体が自重により前方に移動するようにする。
【0013】
(6)上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、ベースに、脚支柱を不使用位置に向かって常時付勢する付勢手段を設ける。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1〜図4は、本発明の椅子の一実施形態の使用位置としたときの状態を、図5は、同じく不使用位置としたときの状態を、また、図6及び図7は、各部の詳細を示す。
【0015】
この椅子(1)は、机(2)(図3及び図5参照)の後方(図3及び図5の左方を前方とする)の床面(3)上に、アンカーボルト(4)をもって固着したベース(5)のほぼ中央に、下端部が左右方向を向く軸(6)をもって枢着された脚支柱(7)を備えている。
【0016】
脚支柱(7)は、円筒形の鋼管をほぼ直角に折曲して形成され、上下方向を向く基部(7a)の上端に、左側方に向かって延出する水平部(7b)を備えている。
【0017】
図6に示すように、基部(7a)の下端には、左右方向を向く筒体(8)が、溶接等により倒立T字状をなすように固着されており、筒体(8)の両端には、軸(6)が挿通する軸孔(9)が中央に穿設された端板(10)(10)が固着されている。
【0018】
図6及び図7に示すように、各端板(10)の外側面下部には、軸孔(9)を中心とする扇形の凹部(11)が設けられ、この凹部(11)に、ベース(5)のほぼ中央に設けられた左右方向を向く凹部(12)の両端面に形成されたほぼ扇形の突部(13)が、軸(6)回りに若干の余裕をもって嵌合するようにして、脚支柱(7)の下端部、すなわち筒体(8)と端板(10)(10)とを、軸(6)をもってベース(5)に枢着することにより、脚支柱(7)は、ほぼ上方を向く不使用位置(図5参照)と、若干後傾した使用位置(図1及び図3参照)との間を軸(6)まわりに回動可能となっている。
【0019】
筒体(8)内における軸(6)まわりには、2個のねじりコイルばね(付勢手段)(14)(14)が左右対称に外嵌されている。各ねじりコイルばね(14)における内側の端部より離心方向に延出された端末(14a)は、筒体(8)の上部中央に穿設された係止孔(15)に係止され、また外側の端部より離心方向に延出された端末(14b)は、筒体(8)の下部両側部に穿設された通孔(16)を通って、ベース(5)における凹部(12)の底面に当接され、両ねじりコイルばね(14)(14)により、脚支柱(7)は、図3における反時計回りに、すなわち不使用位置に向かって常時付勢されている。
【0020】
脚支柱(7)の水平部(7b)の先端には、上方を向く枢支部材(17)が固着され、枢支部材(17)の上部には、右側方に向かって水平に延出する前後1対の平行リンク(18)(18)の左端部(基端部)が、上下方向を向く軸(19)(19)をもって枢着されている。
【0021】
両平行リンク(18)(18)の右端部(先端部)は、ほぼ中央に上下方向を向く軸孔(20)が穿設された座受け部材(21)の左側部に、前後に並ぶ上下方向の軸(22)(22)をもって枢着されている。
【0022】
軸孔(20)には、座(23)と背凭れ(24)とを一体的に形成した側面視L字状の座体(25)における座(23)の下面中央に突設した軸(26)が上方より回転自在に嵌合されている。
【0023】
両平行リンク(18)(18)の長さは、脚支柱(7)の水平部(7b)の長さとほぼ等しくし、座体(25)の軸(26)が、脚支柱(7)の基部(7a)のほぼ直上に位置しうるようにするのが好ましい。
【0024】
両平行リンク(18)(18)は、図4に実線で示す後限位置と、同じく想像線で示す前限位置との間を、各軸(19)を中心として回動することができ、上記各位置に達したとき、互いに対向する側面同士が密接し、それ以上の回動が阻止されるようになっている。必要に応じて、枢支部材(17)に、平行リンク(18)(18)の回動範囲を規制するストッパ(図示略)を設けてもよい。
【0025】
上述の平行リンク(18)(18)を枢支する軸(19)(19)及び軸(22)(22)は、脚支柱(7)が使用位置のときはほぼ垂直方向を向き、脚支柱(7)が不使用位置のときは前傾するようにしてある。
【0026】
したがって、脚支柱(7)が不使用位置のときは、軸(19)(19)が前傾することにより、両平行リンク(18)(18)とそれによって支持された座体(22)とは、自重により前方に移動し、前限位置で停止する(図5の実線参照)。
【0027】
また、脚支柱(7)は、ねじりコイルばね(14)(14)により不使用位置に向かって付勢されているので、座体(22)は、常時は図5に実線で示すように、座(23)が机(2)の天板(2a)の下方に潜入し、かつ背凭れ(24)が天板(2a)の前縁に近接した不使用位置に位置している。
【0028】
この状態から、背凭れ(24)を後方へ引き、図5に想像線で示すように、平行リンク(18)(18)を後限まで回動させ、次いでその状態から、ねじりコイルばね(14)(14)の付勢力に抗して、脚支柱(7)を使用位置まで倒すことにより、座体(25)を、図3に実線で示す使用位置とすることができる。
この状態で、座体(25)に着座すれば、正常な着座姿勢をとることができる。
【0029】
また、この着座したままの状態で、座体(25)を、図3に想像線で示す位置まで軽力で移動させることができる。
【0030】
すなわち、平行リンク(18)(18)が軸(19)を中心として後限位置から前限位置までの範囲を回動することにより、このような座体(25)の前後移動が容易にできる。
【0031】
椅子(1)の使用後、椅子(1)から離れると、脚支柱(7)がねじりコイルばね(14)(14)の付勢により、不使用位置に回動させられ、そのときの軸(19)(19)の前傾により、平行リンク(18)(18)が前限位置へ回動し、座体(25)は不使用位置へ自動的に戻される。
なお、本発明は、上記の例に限定されることなく、幾多の変形が可能である。
【0032】
例えば、上述の両平行リンク(18)(18)と座受け部材(21)とに代えて、基端部を枢支部材(17)に枢着した1本のアーム(図示略)の先端部で、座体(25)を支持するようにしたり、座体(25)を常に前方を向くように座受け部材(21)に固着したり、または座体(25)を座受け部材(21)に回転自在に設けた上で、座体(25)を前方を向く位置に常時復帰させるばね等よりなる復帰手段を必要に応じて設けたりすることができる。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によると、アームが脚支柱の上端部より前後方向に回動しうるようにしたので、脚支柱の回動範囲を大きくすることなく、座体の前後方向の移動量を十分に確保することができる。したがって、後傾角度が大となる従来のもののように、脚支柱やベースが着座者の足に当ったり、通行の妨げとなったりすることがなく、また、脚支柱の基部及びベースに、着座者や座体の荷重が大きなモーメントとして掛ることがない。
【0034】
請求項2記載の発明によると、座体の中央の下方に、脚支柱の基部及びベースが位置するようにすることができ、もって、座体をバランスよく、安定して支持することができる。
【0035】
請求項3記載の発明によると、座体を、常に前方等の同一の方向を向いたままで前後方向に回動することができる。すなわち、アームの回動により、座体の向きが変動することがない。
【0036】
請求項4記載の発明によると、座体の向きを自由に変更できるので便利であり、特に、離着席時に座席を側方に向けることにより、容易に離着席できる。
【0037】
請求項5記載の発明によると、ばね等を設けることなく、座体を自重により前方に移動させ、不使用位置に位置させることができ、部品点数の削減及び構造の簡素化を図ることができる。
【0038】
請求項6記載の発明によると、離席時に、脚支柱が付勢手段により付勢されて、常に不使用位置に復帰させられるので、離席の度に座体を元の不使用位置に戻す必要がなく、また戻し忘れのおそれもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における使用位置としたときの、座体を想像線で示す斜視図である。
【図2】同じく、使用位置としたときの正面図である。
【図3】同じく、使用位置としたときの椅子と机との側面図である。
【図4】同じく、座体と、前限位置としたときの平行リンクとを想像線で示す平面図である。
【図5】同じく、不使用位置としたときの椅子と机との側面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿う拡大縦断正面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う縦断側面図である。
【符号の説明】
(1)椅子
(2)机
(2a)天板
(3)床面
(4)アンカーボルト
(5)ベース
(6)軸
(7)脚支柱
(7a)基部
(7b)水平部
(8)筒体
(9)軸孔
(10)端板
(11)凹部
(12)凹部
(13)突部
(14)ねじりコイルばね(付勢手段)
(14a)(14b)端末
(15)係止孔
(16)通孔
(17)枢支部材
(18)平行リンク(アーム)
(19)軸
(20)軸孔
(21)座受け部材(アーム)
(22)軸
(23)座
(24)背凭れ
(25)座体
(26)軸

Claims (6)

  1. ベースに、脚支柱の下端部を、左右方向を向く軸をもって枢着することにより、脚支柱の上部が予め定めた前方の不使用位置と後方の使用位置との間を前後方向に回動可能とし、前記脚支柱の上部に、側方を向くアームの基端部を、ほぼ上下方向を向く軸をもって枢着することにより、前記アームの先端部が前後方向に所要角度回動可能とし、かつ前記アームの先端部の上面をもって座体を支持するようにしたことを特徴とする椅子。
  2. 脚支柱の上部を側方に屈曲して、その先端部に、アームの枢支部材を設け、このアームの枢支部材から、前記アームが脚支柱の基部の上方に向かって延出するようにした請求項1記載の椅子。
  3. アームを、基端部が前後に並ぶ上下方向を向く軸をもって脚支柱に枢着された前後1対の平行リンクと、両平行リンクの先端部に、前後に並ぶ上下方向を向く軸をもって枢着され、かつアームの先端部をなす座受け部材とにより形成した請求項1または2記載の椅子。
  4. アームの先端部に、座体を、ほぼ上下方向を向く軸まわりに回動可能として枢着した請求項1〜3のいずれかに記載の椅子。
  5. 脚支柱が不使用位置に位置しているとき、アームを脚支柱に枢支する軸が前傾し、それによって、アーム及び該アームにより支持された座体が自重により前方に移動するようにした請求項1〜4のいずれかに記載の椅子。
  6. ベースに、脚支柱を不使用位置に向かって常時付勢する付勢手段を設けた請求項1〜5のいずれかに記載の椅子。
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