JP4213334B2 - 合成樹脂製パレット - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂で、それぞれ、一体に成形された半製品である上部スキッドと下部スキッドとを、桁部で溶着することにより形成される合成樹脂製パレットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一例として、図5〜図7に示されているように、四隅に形成された隅桁部1a’と、隅桁部1a’の中間に形成された中間桁部1b’と、中央部に形成された中央桁部(図示されていない。)とを有する平面形状が方形状の上部スキッドS1と、同様に、四隅に形成された隅桁部1a”と、隅桁部1a”の中間に形成された中間桁部1b”と、中央部に形成された紂王桁部1c”とを有する、上記の上部スキッドS1と同一形状の下部スキッドS2とを、それぞれ、合成樹脂で一体に成形するとともに、上部スキッドS1の隅桁部1a’の端面、中間桁部1b’の端面及び中央桁部の端面と、下部スキッドS2の隅桁部1a”の端面、中間桁部1b”の端面及び中央桁部1c”の端面とを、それぞれ、互いに溶着することにより形成される合成樹脂製パレットが知られている。
【0003】
上述したようにして形成された合成樹脂製パレットは、図6に示されているように、上部デッキボード2と下部デッキボード3と、四隅に形成された隅桁部1a’、1a”からなる筒状の隅桁1aと、隅桁1aの中間に形成された中間桁部1b’、1b”とからなる筒状の中間桁1bと、中央桁部1c’とからなる筒状の中央桁(図示されていない。)とを有するとともに、隅桁1aと中間桁1bとの間及び中間桁1bと中央桁との間には、フォークリフトのフォークが挿入可能なフォーク挿入孔4が形成されている。なお、下部スキッドS2の隅桁部1a”と中間桁部1b”及び中間桁部1b”と中央桁部1c”とを、それぞれ連結する連結部5以外の下部スキッドS2には、開口6が形成されている。
【0004】
また、上部スキッドS1の隅桁部1a’、中間桁部1b’及び中央桁部内には、隅桁部1a’、中間桁部1b’及び中央桁部と同じ高さを有する、適当な桁内リブが、それぞれ、形成されている。同様に、下部スキッドS2の隅桁部1a”、中間桁部1b”及び中央桁部1c”内にも、隅桁部1a”、中間桁部1b”及び中央桁部1c”と同じ高さを有する、適当な桁内リブが、それぞれ、形成されている。一例として、図5には、下部スキッドS2の隅桁部1a”内には、隅桁部1a”の側壁に略平行な十字状に交差する桁内リブ1a1”、1a2”が形成されており、また、下部スキッドS2の中間桁部1b”内には、中間桁部1b”の側壁に略平行な十字状に交差する桁内リブ1b1”、1b2”が形成されており、更に、下部スキッドS2の中央桁部1c”内には、中央桁部1c”の側壁に略平行な十字状に交差する桁内リブ1c1”、1c2”が形成されている例が示されている。上述したように、上部スキッドS1と下部スキッドS2とは、同一形状に形成されており、従って、上部スキッドS1の隅桁部1a’内、中間桁部1b’内及び中央桁部内にも、上記下部スキッドS2の隅桁部1a”の桁内リブ1a1”、1a2”、中間桁部1b”の桁内リブ1b1”、1b2”及び中央桁部1c”の桁内リブ1c1”、1c2”と同じ桁内リブが形成されている。そして、上述したように、上部スキッドS1の隅桁部1a’の端面、中間桁部1b’の端面及び中央桁部の端面と、下部スキッドS2の隅桁部1a”の端面、中間桁部1b”の端面及び中央桁部1c”の端面とを、それぞれ、互いに溶着して合成樹脂製パレットを製造する際には、各桁部の桁部側壁の端面と同様に、各桁部内の桁内リブの端面も溶着されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図6のI−I線に沿った垂直断面図である図7を用いて、従来の合成樹脂製パレットが有する課題について説明する。
【0006】
上述した従来の隅桁部や中間桁部や中央桁部を構成する桁部側壁や桁内リブの肉厚は、全て、略同じ厚さに形成されており、また、これらの肉厚は、合成樹脂製パレットの重量を軽減するために、近年、薄く形成される傾向にある。例えば、桁部側壁や桁内リブの肉厚は、2〜4mm程度に形成されている。
【0007】
上部スキッドS1の隅桁部1a’の端面、中間桁部1b’の端面及び中央桁部の端面と、下部スキッドS2の隅桁部1a”の端面、中間桁部1b”の端面及び中央桁部1c”の端面とを、それぞれ、互いに溶着して合成樹脂製パレットを製造する際に、上部スキッドS1と下部スキッドS2とが水平方向にずれた状態で溶着すると、例えば、図7に示されているように、上部スキッドS1の隅桁部1a’の桁側壁1a3’と下部スキッドS2の隅桁部1a”の桁側壁1a3”の端面及び上部スキッドS1の隅桁部1a’の桁内リブ1a2’と下部スキッドS2の隅桁部1a”の桁内リブ1a2”の端面がずれて、接合面積が減少し、上部スキッドS1と下部スキッドS2の接合強度が低下して、合成樹脂製パレットが、接合部で損傷したり、破壊する等の問題があった。なお、図7には、上部スキッドS1の中間桁部1b’の桁側壁1b3’と下部スキッドS2の中間桁部1b”の桁側壁1b3”の端面及び上部スキッドS1の中間桁部1b’の桁内リブ1b2’と下部スキッドS2の中間桁部1b”の桁内リブ1b2”の端面がずれて、この部分での接合面積も減少している例も示されている。
【0008】
本発明の目的は、上述した従来の合成樹脂製パレットが有する課題を解決することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上述した目的を達成するために、合成樹脂で、それぞれ、一体に成形された半製品である上部スキッドと下部スキッドとを、桁部で溶着することにより形成される合成樹脂製パレットにおいて、第1には、上部スキッド或いは下部スキッドの何方か一方の桁部の桁側壁や桁内リブの肉厚を、もう一方の上部スキッド或いは下部スキッドの桁部の桁側壁や桁内リブの肉厚より厚くしたものであり、第2には、肉厚の厚い上部スキッド或いは下部スキッドの高さを、肉厚の薄い上部スキッド或いは下部スキッドの高さより低くしたものである。
【0010】
【実施例】
以下に、本発明の実施例について説明するが、本発明の趣旨を越えない限り何ら、本実施例に限定されるものではない。なお、本発明の合成樹脂製パレットも、上述した従来の合成樹脂製パレットと同様に、上部スキッドの隅桁部の端面、中間桁部の端面及び中央桁部の端面と、下部スキッドの隅桁部の端面、中間桁部の端面及び中央桁部の端面とを、それぞれ、互いに溶着することにより形成されるものであり、同じ構成部材については、上述した従来の合成樹脂製パレットにおいて使用されている符号と同じ符号が使用されている。
【0011】
図1及び図2に示されている実施例は、下部スキッドS2の隅桁部1a”の桁側壁1a3”と桁内リブ1a1”、1a2”の肉厚t”、下部スキッドS2の中間桁部1b”の桁側壁1b3”と桁内リブ1b1”、1b2”の肉厚t”及び下部スキッドS2の中央桁部1c”の桁側壁1c3”と桁内リブ1c1”、1c2”の肉厚t”を、上部スキッドS1の隅桁部1a’の桁側壁1a3’と桁内リブ1a1’、1a2’の肉厚t’、上部スキッドS1の中間桁部1b’の桁側壁1b3’と桁内リブ1b1’、1b2’の肉厚t’及び上部スキッドS1の中央桁部の桁側壁と桁内リブの肉厚より、厚くしたものである。例えば、上部スキッドS1の各桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚を、2〜3.5mmとし、下部スキッドS2の各桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚を、4〜5mmとする。
【0012】
上述したように、下部スキッドS2の各桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚を、上部スキッドS1の各桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚より、厚く形成することにより、下部スキッドS2に対して、上部スキッドS1が水平方向にずれても、下部スキッドS2の各桁部の桁側壁及び桁内リブの端面と、上部スキッドS1の各桁部の桁側壁及び桁内リブの端面との接合面積が減少するようなことがなく、従って、上部スキッドS1と下部スキッドS2の接合強度が向上し、ひいては、合成樹脂製パレットの強度が向上し、合成樹脂製パレットの耐久性能が向上することになる。
【0013】
図3に示されている実施例は、図1及び図2に示されている実施例において、下部スキッドS2の各桁部の高さh1を、上部スキッドS1の各桁部の高さh2より、低くしたものであり、合成樹脂製パレットの全体の高さHは、図1及び図2に示されている実施例の合成樹脂製パレットと同一である。このように、桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚t”を厚くした下部スキッドS2の桁部の高さh1を、肉厚t’の薄い上部スキッドS1の高さh2より低くすることにより、下部スキッドS2の重量を軽減することができ、ひいては、合成樹脂製パレット全体の重量の増加を抑えることができる。また、桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚t”を厚くすると、デッキ面との肉厚差により、下部スキッドS2に変形(反り)が生じる場合があるので、このような変形(反り)を抑えるために、肉厚t”の厚い下部スキッドS2の桁部の高さh1を、上記のように低くすることが好ましい。
【0014】
図4に示されている実施例は、上述した図1や図2に示されている実施例及び図3に示されている実施例とは逆に、上部スキッドS1の各桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚t’を、下部スキッドS2の各桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚t”より、厚く形成するとともに、下部スキッドS2の各桁部の高さh1を、上部スキッドS1の各桁部の高さh2より、高くしたものであり、合成樹脂製パレットの全体の高さHは、図1や図2及び図3に示されている実施例の合成樹脂製パレットと同一である。このように構成することにより、図3に示されている実施例と同様に、上部スキッドS1の重量を軽減することができ、ひいては、合成樹脂製パレット全体の重量の増加を抑えることができる。
【0015】
下部スキッドS2の隅桁部1a”と中間桁部1b”及び中間桁部1b”と中央桁部1c”とを、それぞれ連結する連結部5以外の下部スキッドS2に、開口6が形成されている場合には、図1や図2及び図3に示されている実施例のように、下部スキッドS2の各桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚t”を、上部スキッドS1の各桁部の桁側壁及び桁内リブの肉厚t’より、厚く形成することにより、開口6が形成されているための下部スキッドS2の強度低下を補償することができ、ひいては、合成樹脂製パレットの強度や剛性を高めることができる。
【0016】
上述した実施例においては、各桁部内に、1個の十字状に交差する桁内リブが形成されている例が示されているが、公知のように、交差リブを含め、種々の桁内リブを、多数、形成することができ、このような場合には、上部スキッドS1或いは下部スキッドS2の桁側壁及び桁内リブの全部を、肉厚に形成することなく、上部スキッドS1或いは下部スキッドS2の桁側壁及び桁内リブのうち、桁側壁のみ、或いは、桁内リブの所望のもの、又は、桁側壁と桁内リブの所望のものを、適宜、肉厚に形成することもできる。
【0017】
なお、上述した実施例は、4方差しの合成樹脂製パレットを用いて説明されているが、当然のことながら、2方差しの合成樹脂製パレットにも、本発明の趣旨を適用することができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、以上説明した構成を有しているので、以下に記載する効果を奏するものである。
【0019】
上部スキッド或いは下部スキッドの何方か一方の桁部の桁側壁や桁内リブの肉厚を、もう一方の上部スキッド或いは下部スキッドの桁部の桁側壁や桁内リブの肉厚より厚くしたので、下部スキッドに対して、上部スキッドが水平方向にずれても、下部スキッドの桁部と上部スキッドの桁部の接合面積が減少するようなことがなく、従って、上部スキッドと下部スキッドの接合強度が向上し、ひいては、合成樹脂製パレットの強度が向上し、合成樹脂製パレットの耐久性能が改善できる。
【0020】
肉厚の厚い上部スキッド或いは下部スキッドの高さを、肉厚の薄い上部スキッド或いは下部スキッドの高さより低くしたことにより、合成樹脂製パレット全体の重量の増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の合成樹脂製パレットを構成する上部スキッドと下部スキッドの分解斜視図である。
【図2】図2は本発明の合成樹脂製パレットの隅桁及び中間桁の略中央部に沿った部分垂直断面図である。
【図3】図3は本発明の別の実施例の合成樹脂製パレットの隅桁及び中間桁の略中央部に沿った部分垂直断面図である。
【図4】図4は本発明の更に別の実施例の合成樹脂製パレットの隅桁及び中間桁の略中央部に沿った部分垂直断面図である。
【図5】図5は従来の合成樹脂製パレットを構成する上部スキッドと下部スキッドの分解斜視図である。
【図6】図6は従来の合成樹脂製パレットの斜視図である。
【図7】図7は図6のI−I線に示されている隅桁及び中間桁の略中央部に沿った部分垂直断面図である。
【符号の説明】
S1・・・・・・・・・・上部スキッド
S2・・・・・・・・・・下部スキッド
1a’、1a”・・・・・隅桁部
1b’、1b”・・・・・中間桁部
1c”・・・・・・・・・中央桁部
Claims (2)
- 合成樹脂で、それぞれ、一体に成形された半製品である上部スキッドと下部スキッドとを、桁部で溶着することにより形成される合成樹脂製パレットにおいて、上部スキッド或いは下部スキッドの何方か一方の桁部の桁側壁や桁内リブの肉厚を、もう一方の上部スキッド或いは下部スキッドの桁部の桁側壁や桁内リブの肉厚より厚くしたことを特徴とする合成樹脂製パレット。
- 肉厚の厚い上部スキッド或いは下部スキッドの高さを、肉厚の薄い上部スキッド或いは下部スキッドの高さより低くしたことを特徴とする請求項1に記載の合成樹脂製パレット。
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