JP4213247B2 - 高濃度水酸化カルシウム水性懸濁液及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液及びそれを簡単に効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、水酸化カルシウムは、酸性廃水の中和処理剤などとして使用時に酸化カルシウム又は水酸化カルシウムの粉体を水に加えて懸濁液に調製するか、あるいは直接懸濁液がそのまま用いられているが、懸濁液調製時に粉塵が飛び散り作業環境を悪化させ、懸濁液化に手間がかかるし、また懸濁液の直接使用の場合も経時的に粘度が上昇してくるために作業性からしてその濃度はせいぜい25〜30重量%止まりであり、それよりも高濃度の懸濁液は製造困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、先に、固形分含有量が多いものでも低粘度で、作業性に優れる高濃度水酸化カルシウム水性懸濁液を開発したが(特開平9−268011号公報)、このものは固形分の粒子の粒径が大きすぎると粒子が沈降しやすい上に、タンク、樋、配管等のデッド部分に堆積物を生じやすく、かつポンプの摩耗や、pH電極の摩耗等を起こしやすいという欠点を有する。
本発明は、このような欠点を克服し、固形分含有量が多くても沈降しにくく、低粘度で、流動性や粘度の経時的安定性が良好であり、作業性に優れる高濃度水酸化カルシウム水性懸濁液を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、高濃度で、しかも低粘度の水酸化カルシウム水性懸濁液を開発するために種々研究を重ねた結果、石膏を添加し、固形分含有量及び固形分の粒子の粒径を調整することにより、その目的に適合することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、石膏を溶解した水中に95重量%以上が粒径45μm以下の粒子である水酸化カルシウムが、50〜75重量%の固形分濃度で含有され、かつ粘度が500cP以下であることを特徴とする高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液、及び酸化カルシウム粒子にモル比で1.5〜100倍の水を混合し、反応させて水酸化カルシウム水性懸濁液を製造するに際し、石膏を溶解した水を用い、混合時の一次温度上昇による昇温幅を1.0〜7℃、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が1.5〜30.5分になるように反応条件を制御して反応させることを特徴とする、固形分濃度50〜75重量%で粘度500cP以下の高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液の製造方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の高濃度で低粘度の水酸化カルシウム水性懸濁液(以下、本発明懸濁液という)は、固形分含有量が50〜75重量%、好ましくは65〜75重量%という高濃度でありながら、粘度は500cP以下、特に100cP以下である。本発明の高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液においては、固形分の95重量%以上が粒径45μm以下、好ましくは15μm以下の粒子であることが必要である。固形分含有量が65〜75重量%、かつ固形分の95重量%以上が粒径15μm以下の粒子であるものが粘度100cP以下になるので有利である。一般に粘度が500cPを超えると作業性が落ちるので、実用的ではなくなる。固形分含有量が少なすぎると反応効率が落ち、また45μm以上の粒子の量が多くなると沈降しやすく、輸送ラインやpH電極などの計測器のスケーリングや摩耗が起きやすく、中和処理などの作業効率が低下する傾向が見られる。
【0007】
本発明懸濁液は、酸化カルシウム粒子と過剰の水を混合、反応させて水酸化カルシウム水性懸濁液を製造する方法において、混合時の一次温度上昇による昇温幅が1.0〜7℃以下、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が1.5〜30.5分となるように反応を制御することにより製造することができる。ここで、一次温度上昇とは混合時の瞬間的な温度上昇を意味し、また二次温度上昇とは混合後少し経ってから起こる急激な温度上昇を意味する。
図1に、本発明懸濁液を製造する際の混合、反応時の発熱時間と発熱温度の関係を模式的にグラフ(太実線)で示す。図1において、aは一次温度上昇による昇温幅、bは混合時から二次温度上昇開始時までの時間、cは二次温度上昇をそれぞれ示す。
【0008】
酸化カルシウム粒子の調製方法としては、酸化カルシウムの塊状物や粗大粒子を乾式粉砕し、乾式分級して用いれば、特に制限はないが、通常、石灰石をロータリーキルン、ベッケンバッハ炉、流動焙焼炉で焼成したのち、ケージミル、バイブロミル、ボールミル、ディスクミル、フンボルトミルなどの乾式粉砕機で粉砕し、竪型分級機、横型分級機など空気分級を行うか、篩い分けなどの分級を行う方法が用いられる。
【0009】
酸化カルシウム粒子との反応に用いる水は、清水が好ましいが、本発明の目的を損なわない範囲で多少の不純物を含んでいても差し支えなく、工業用水で十分である。
【0010】
水の使用量は、酸化カルシウム粒子に対し、過剰量、すなわちモル比で1.5〜100、好ましくは5〜50の範囲で選ばれる。
【0011】
酸化カルシウム粒子と水との反応、すなわち消化反応は、酸化カルシウム粒子と水を所定割合でそれぞれ混合機に供給し、混合機中で均一に混合することによって行うのが好ましい。混合機としては、すき刃型ミキサー、単一パドルミキサー、二重パドルミキサー、スレーカー、ヘンシェルミキサー、コーレスミキサーなどが挙げられる。
【0012】
本発明懸濁液を製造するに際しては、石膏を溶解した水を用いる必要がある。また、所望に応じ、さらにグリセリンを加えてもよい。
【0013】
本発明懸濁液を製造する方法において、固形分がより確実に粒径45μm以下の粒子を95重量%以上含有するように調製するには、液体サイクロンまたは篩により分級するのがよい。
【0014】
本発明懸濁液の好適な製造方法は、酸化カルシウム粒子と過剰の水を混合、反応させ、その際、石膏を添加するとともに、混合時の一次温度上昇による昇温幅が1.0〜7分、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が1.5〜30.5分となるように制御し、必要に応じ反応後脱水して、固形分含有量が42重量%以上の水酸化カルシウム水性懸濁液又はろ滓を調製し、次いでこれに水酸化カルシウムに対して0.1〜10.0重量%の分散剤、又は該分散剤と水、又は水を添加し、混合、分散させる方法である。このような方法の中でも、酸化カルシウム粒子と過剰の水を混合、反応させ、その際石膏を添加するとともに、混合時の一次温度上昇による昇温幅が1.0〜7分、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が1.5〜30.5分となるように制御し、反応後脱水して、固形分含有量が42重量%以上のろ滓を調製し、次いでこれに、水酸化カルシウムに対して0.1〜10.0重量%の分散剤と水、又は水を添加し、混合、分散させる方法が特に有利であるが、その他、酸化カルシウム粒子と過剰の水を混合、反応させ、その際石膏を添加するとともに、混合時の一次温度上昇による昇温幅が1.0〜7分、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が1.5〜30.5分となるように制御し、固形分含有量が42重量%以上の水酸化カルシウム水性懸濁液を調製し、次いでこれに、水酸化カルシウムに対して0.1〜10.0重量%の分散剤、又は該分散剤と水、又は水を添加し、混合、分散させる方法も用いられる。
上記反応後脱水する場合には、脱水は濾過、加圧プレス、遠心分離等で行われる。濾過は例えばヌッチェで行われ、遠心分離は例えばデカンターで行われる。
このようにして所定濃度に調整された本発明懸濁液が得られる。
【0015】
分散剤としては、カルボン酸塩、好ましくはカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩、中でもカルボン酸ナトリウム塩や、スルホ基導入型重合体、例えば2‐アクリロイルアミノ‐2‐メチルプロパンスルホン酸とアクリル酸との共重合体等がよく、さらにキレート価が500以上のものが好ましく、特にカルボン酸ナトリウム塩又はスルホ基導入型重合体であって、かつ500以上のキレート価を有するものが好ましい。分散剤の用量は、水酸化カルシウムに対して、通常0.1〜10.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%の範囲で選ばれる。
【0016】
【実施例】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、各実施例及び比較例において、水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度はブルックフィールド型単筒形回転粘度計を用いて25℃、60rpmの条件で1分間操作した後の値を測定したものである。また、粒径については、実施例2〜4及び実施例7、比較例4、比較例5における酸化カルシウム粉末の粒径はマイクロトラックHRA粒度分布計(日機装社製)を用い、その他分級手段が格別示されていない場合の粒径は篩を用いて測定したものである。
【0017】
実施例1
粒径10〜20mmの石灰石を1100℃で2時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕後、分級機で粒径45μm以下に調整して得られた酸化カルシウム粉末100gを、水600cm3に石膏1.0gを溶解した20℃の水溶液に1.4m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、一次温度上昇による昇温幅が1.0℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が1.5分であった。この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは97重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分62.5%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水を添加し、固形分55.0%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.0重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を調製した。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は400cPであり、14日経過後は450cPであった。
【0018】
実施例2
粒径10〜20mmの石灰石を950℃で2時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕後、分級機で粒径を15μm以下に調整して得られた酸化カルシウム粉末100gを、水400cm3に石膏3.0gを加えた10℃の水性懸濁液に1.4m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、一次温度上昇による昇温幅が3℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が11.0分であった。この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは98重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分65.0%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水を添加し、固形分55.0%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.5重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を調製した。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は200cPであり、14日経過後は240cPであった。
【0019】
実施例3
粒径10〜20mmの石灰石を1300℃で2時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕後、分級機で粒径を15μm以下に調整して得られた酸化カルシウム粉末100gを、水400cm3に石膏3.0gを加えた10℃の水性懸濁液に1.4m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、一次温度上昇による昇温幅が1.5℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が17.5分であった。この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは98重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分62.5%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水とA−6028(東亜合成社製、分散剤)0.3gを添加し、固形分52.0%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.4重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を調製した。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は100cPであり、14日経過後は99cPであった。
【0020】
実施例4
粒径10〜20mmの石灰石を1300℃で4時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕後、分級機で粒径を15μm以下に調整して得られた酸化カルシウム粉末100gを、水500cm3に石膏3.0gとグリセリン5.0gを加えた20℃の水性懸濁液に12m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、一次温度上昇による昇温幅が2℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が30.5分であった。この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは99重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分71.2%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水とアロンT−40(東亜合成社製、分散剤)1.0gを添加し、固形分60.0%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.9重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を調製した。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は130cPであり、14日経過後は150cPであった。
【0021】
実施例5
石灰石をベッケンバッハ炉で焼成し、バイブロミルで乾式粉砕したのち、ミクロンセパレーターで空気分級し、粒径45μm以下の粒子を97重量%含有するように調整して得られた酸化カルシウム粉末1000kgを、水5m3に石膏20kgを加えた30℃の水性懸濁液に周速7m/sで撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。また、この際、一次温度上昇による昇温幅が2.5℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が8.5分であった。この懸濁液を液体サイクロンでカットポイント45μmで分級し、固形分が粒径45μm以下の粒子を97.5重量%含有する水酸化カルシウム水性懸濁液を得た。これをデカンターで脱水し、固形分55重量%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水を添加し、固形分50重量%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.8重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を調製した。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は350cPであり、14日経過後は480cPであった。
【0022】
実施例6
石灰石をロータリーキルンで焼成し、バイブロミルで乾式粉砕したのち、ミクロンセパレーターで空気分級し、粒径45μm以下の粒子を97重量%含有するように調整して得られた酸化カルシウム粉末1000kgを、水5m3に石膏10kgを溶解した10℃の水溶液に周速7m/sで撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。また、この際、一次温度上昇による昇温幅が3℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が8.1分であった。この懸濁液を液体サイクロンでカットポイント45μmで分級し、固形分が粒径45μm以下の粒子を97.5重量%含有する水酸化カルシウム水性懸濁液を得た。これをデカンターで脱水し、固形分55重量%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水を添加し、固形分52重量%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.9重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を得た。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は400cPであり、14日経過後は480cPであった。
【0023】
実施例7
石灰石をベッケンバッハ炉で焼成し、バイブロミルで乾式粉砕したのち、ミクロンセパレーターで空気分級し、粒径15μm以下の粒子を97重量%含有するように調整して得られた酸化カルシウム粉末1000kgを、水5m3に石膏20kgを加えた10℃の水性懸濁液に周速7m/sで撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。また、この際、一次温度上昇による昇温幅が3℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が8.1分であった。この懸濁液を液体サイクロンでカットポイント45μmで分級し、固形分が粒径45μm以下の粒子を99.5重量%含有する水酸化カルシウム水性懸濁液を得た。これをデカンターで脱水し、固形分55重量%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水とA−6028(東亜合成社製、分散剤)5kgを添加し、固形分52重量%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.9重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を得た。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は100cPであり、14日経過後は110cPであった。
【0024】
比較例1
粒径10〜20mmの石灰石を950℃で2時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕して調製した粒径0.25〜0.6mmの酸化カルシウム粉末100gを20℃の水400cm3に1.4m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、初期の酸化カルシウムと水との混合時から最高温度到達時までの反応温度y(℃)と反応時間x(分)との相関関係が、y=56x+29.903、相関係数r=1.00であり、この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは95重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分58.5%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水を添加し、固形分41.0%、粘度4850cPの水酸化カルシウム水性懸濁液を得た。
【0025】
比較例2
粒径10〜20mmの石灰石を1300℃で2時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕して調製した粒径0.25〜0.6mmの酸化カルシウム粉末100gを20℃の水400cm3に1.4m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、初期の酸化カルシウムと水との混合時から最高温度到達時までの反応温度y(℃)と反応時間x(分)との相関関係が、y=1.4655×ln(x)+29.903、相関係数r=0.99であり、この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは80重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分58.5%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水を添加し、固形分41.2%、粘度2300cPの水酸化カルシウム水性懸濁液を得た。
【0026】
比較例3
粒径10〜20mmの石灰石を1300℃で2時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕して調製した粒径150μm以下の酸化カルシウム粉末100gを、水400cm3に石膏3.0gを溶解した20℃の水溶液に1.4m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、初期の酸化カルシウムと水との混合時から最高温度到達時までの反応温度y(℃)と反応時間x(分)との相関関係が、y=12.4×ln(x)+18.3、相関係数r=0.97であり、この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは70重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分58.8%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水を添加し、固形分41.1%の水酸化カルシウム水性懸濁液を得た。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は560cPであったが、14日経過後は780cPであった。
【0027】
比較例4
粒径10〜20mmの石灰石を950℃で2時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕後、分級機で粒径を15μm以下に調整して得られた酸化カルシウム粉末100gを20℃の水500cm3に12m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、一次温度上昇による昇温幅が2℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が1.5分であった。この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは99重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分60.5%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水を添加し、固形分50.0%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.9重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を調製した。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は700cPであり、14日経過後は780cPであった。
【0028】
比較例5
粒径10〜20mmの石灰石を1100℃で2時間電気炉で焼成し、ボールミルで乾式粉砕後、分級機で粒径を15μm以下に調整して得られた酸化カルシウム粉末100gを20℃の水400cm3に1.4m/sの周速で撹拌しながら添加し、消化反応が終結するまで撹拌した。この際、一次温度上昇による昇温幅が5℃であり、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が5.0分であった。この懸濁液の固形分中、篩目45μmの篩を通過したものは98重量%であった。得られた懸濁液をヌッチェで一次脱水後、加圧プレスで二次脱水し、固形分75.0%のろ滓を得た。このろ滓をコーレスミキサー中で撹拌しながら水酸化カルシウムに対し10重量%のA−6001(東亜合成社製、分散剤)と水を添加し、固形分70.0%で、固形分中、篩目45μmの篩を通過したものが99.2重量%の水酸化カルシウム水性懸濁液を調製した。得られた水酸化カルシウム水性懸濁液の粘度は800cPであり、14日経過後は900cPであった。
【0029】
以上の結果から、比較例1及び2で得られた水酸化カルシウム水性懸濁液は粘度が高く、流動性が良好でなく、作業性に難があるし、また比較例3で得られた水酸化カルシウム水性懸濁液は粘度は低下したものの、経時的に粘度が上昇し、品質が劣化するし、比較例4及び5で得られた水酸化カルシウムは依然として粘度が高いのに対し、各実施例で得られた水酸化カルシウム水性懸濁液はいずれも低粘度で、流動性や粘度の経時的安定性が良好であることが分る。
【0030】
【発明の効果】
本発明の高濃度水酸化カルシウム水性懸濁液は、固形分含有量が多くても沈降しにくく、低粘度で、流動性や粘度の経時的安定性が良好であり、特にタンク、樋、配管等のデッド部分に堆積物を生じにくく、スケーリング防止効果に優れる上に、ポンプやpH電極の摩耗等を低減できるので、作業性に優れているし、また、固形分含有率が高く運送コストを低減することができ、中和処理等の種々の処理を効率よく行うことができる。
したがって、本発明の高濃度水酸化カルシウム水性懸濁液は、種々の酸性物特に酸性廃水の中和処理剤として好適に用いられ、その他、溶融炉からでる溶融金属の受け皿への付着防止剤、電気溶接時に飛散する溶融金属の溶接個所以外の金属面への付着防止剤、塗料やプラスチックの充填剤、建築用壁材、地盤改良材等としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明懸濁液を製造する際の混合、反応時の発熱時間と発熱温度の関係を示すグラフの模式図。
【符号の説明】
a 一次温度上昇による昇温幅
b 混合時から二次温度上昇開始時までの時間
c 二次温度上昇
Claims (5)
- 石膏を溶解した水中に95重量%以上が粒径45μm以下の粒子である水酸化カルシウムが、50〜75重量%の固形分濃度で含有され、かつ粘度が500cP以下であることを特徴とする高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液。
- さらにグリセリンを含む請求項1記載の高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液。
- 酸化カルシウム粒子にモル比で1.5〜100倍の水を混合し、反応させて水酸化カルシウム水性懸濁液を製造するに際し、石膏を溶解した水を用い、混合時の一次温度上昇による昇温幅を1.0〜7℃、かつこの混合時から二次温度上昇開始時までの時間が1.5〜30.5分になるように反応条件を制御して反応させることを特徴とする、固形分濃度50〜75重量%で粘度500cP以下の高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液の製造方法。
- 石膏とともにグリセリンを溶解した水を用いる請求項3記載の高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液の製造方法。
- 反応生成物に、その中の水酸化カルシウムに基づき0.1〜10.0重量%の分散剤を添加させる請求項3又は4記載の高濃度、低粘度水酸化カルシウム水性懸濁液の製造方法。
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