JP4210773B2 - 無方向性電磁鋼板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板、特に、商用周波数よりも高い周波数、中でも1kHz 以上の周波数域において電磁鋼板として用いる場合に良好な磁気特性を有する、無方向性電磁鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、地球環境の保護・改善を目的に、省エネルギー化への機運が高まっている。電気機器に注目すると、高効率化、省電力化のために、インバーター方式を採用する製品が増えてきており、その周波数も高効率化のために高周波域へと年々移ってきている。従来からインバーター化、高周波化に伴い、力率改善目的でリアクトルが使用されているが、更に電源汚染を防ぐ目的でインバーター機器に高周波リアクトルの使用が増してきている。これら高周波リアクトルは、1 kHz以上、更には10kHz 以上の周波数域で使用されることから、従来からある、通常の高周波対応珪素鋼板を用いたのでは、発熱が大きくなってしまい、使用することが困難であったため、特殊な材料を使用せざるを得なかった。
【0003】
高周波鉄損を改善するためには、鋼の固有抵抗を高めることが重要であり、一般にはSiやAlの含有量を増す手法がとられていた。しかし、Si、Alの含有量を増すと加工性が劣化し、通常の方法で製造することは困難であった。この製造性を改善する技術としては、高珪素鋼板に関する特開昭61−166923号公報に記載された低温強圧下の熱間圧延による方法や、特開昭62−227078号公報に記載されたSiの拡散浸透処理による方法などがある。しかし、いずれの技術も、高Si、Al鋼が本質的に具備する脆性を改善するものではなく、それによって製造された製品は加工性が極めて悪く、リアクトルコア等に加工するのが困難であった。また、前者の特開昭61−166923号公報に開示された技術は、合金としての脆性を見かけ上改善すべく圧延組織の微妙な調整が必要とするものであり、製造過程で厳密な制御を行わなければならないことから、工業的に安定して生産するのは困難である。一方、後者の特開昭62−227078号公報に開示された技術では、特殊な拡散浸透法を用いるため、工業的な製造を行う場合にはコストにおいて極めて不利であり、また、その結晶粒は粗大となることから、高周波鉄損には不利である。
【0004】
実際、Siの拡散浸透処理による高Si材として、6.5 mass%Siを含有させた鋼板が存在し、インバーターエアコン用のリアクトルコアとして使用されているが、その伸びは5 %程度であり、通常の方法では打ち抜き加工や曲げ加工は困難であるため、短冊状に加工された鋼板を積層しリアクトルコアを製造している。通常の方法で曲げ加工や打ち抜き加工が可能であれば、巻きコアやEIコアのような打ち抜き・積層コアを製造でき、その加工費用の低減に寄与するところは大きい。
【0005】
また、高Si量とせずに鋼の固有抵抗を高めるためにCrを添加する技術が、特開平11−229095号公報に記載されている。しかしながら、そのSiの含有量は通常の珪素鋼板のそれの範囲を超えたものではなく、また、電気自動車用モータコア用素材を目的とし、その使用可能周波数域も、従来からの高周波用途の珪素鋼板と同様に1kHz未満の周波数に対応したものであり、1 kHz 以上の高周波リアクトル用素材としては十分な高周波磁気特性が得られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来技術においては、1 kHz 以上の周波数用途に利用できるまで固有抵抗を高めることは、Si、Alの利用の他は行われておらず、そして、鋼の固有抵抗を高めた高Si、Al鋼の素材自体が本質的にそなえる脆性を改善することは行われてなかったのが現状であった。
【0007】
そこで、この発明は、上記の点に鑑み、高Si鋼の脆性を改善することで製造を容易にし製品の加工性の改善を図り、よって高い固有抵抗と良好な打ち抜き加工性及び曲げ加工性を併せ持ち、通常の圧延法にて製造可能で、最終焼鈍にて結晶粒径を高周波用に最適化可能である、1kHz 以上の周波数域で特に優れた磁気特性を有する高周波リアクトル用無方向性電磁鋼板を提案することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らはFe−Si合金やFe−Si−Al合金について、高い固有抵抗と合金の良好な加工性の両立を達成すべく研究開発を行った末に、Crを共存させることが効果があるとの知見を得、その成果を特開平11−343544号公報に開示している。すなわち、これまでは、Fe−Si合金やFe−Si−Al合金において、Crを添加するほど靱性は劣化すると考えられてきたが、Siが3 mass%以上の含有量であっても、C及びNの含有量を合計で100ppm以下に低減した上で、一定量以上のCrを含有させることにより、むしろ高い靱性が得られることを見出したものである。
【0009】
かかる技術を基に、発明者らは、更なる製造性の向上を目指して鋭意研究を重ねた結果、上記の合金系にMnを適量添加することによって、C及びNの含有量が合計で100ppmをこえる、従来は製造性が阻害される含有量であっても、圧延を問題なく行えることを見出した。すなわち、C及びNの含有量が合計で100ppmに抑制することなく、従って脱炭および脱窒に特段の配慮をすることなく、高周波磁気特性に優れる無方向性電磁鋼板が得られることを見出したのである。
【0010】
すなわち、この発明の要旨構成は次のとおりである。
(1) Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及びSi:2.5 mass%以上10mass%以下を含み、かつC及びNを合計量で100 ppm 300 ppm 以下に低減し、さらにMn:25(C+N)〜1.0 mass%を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物からなり、比抵抗が60μΩcm以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
【0011】
(2) 上記(1) において、さらにAl:5 mass%以下及びP:1mass%以下のいずれか1種又は2種を含有することを特徴とする無方向性電磁鋼板。
【0012】
【発明の実施の形態】
この発明の無方向性電磁鋼板に関し、磁気特性については、CrをSi又はSi及びAlと同時に含有させることにより、固有抵抗の増大に相乗的な効果が表れる。その結果、特に高周波域での鉄損を、SiやAlのみ、ないしは、SiとAlを含有する合金系に比べ格段に低減することができる。
【0013】
また、これまでの高固有抵抗の材料は圧延性が悪く、通常の圧延法によっては、0.5mm 程度までしか減厚されていなかった。また、単に厚みを減じてもヒステリシス損失のために、十分な鉄損低減ができないとされてきた。しかし、発明者らの鋭意研究の結果、この発明にあるように、成分と純度を制御することにより、減厚した場合の高周波鉄損特性向上の効果を促進し得る。
【0014】
したがって、この発明の無方向性電磁鋼板は、高周波領域、特に1kHz 以上の周波域での磁気特性が優れているため、インバーターエアコン用のリアクトルや太陽光発電等のリアクトル素材として最も適しており、この発明の鋼板を用いることで、各種特性を改善し、発熱が少なく、効率のよいリアクトル製品が達成できる。
【0015】
以下、この発明を詳細に説明する。まず、この発明の無方向性電磁鋼板における成分組成範囲の限定理由について説明する。
CrはSi及びAlとの相乗効果によって鋼の固有抵抗を大幅に向上させて、特に1kHz以上の周波数域での鉄損を低減し、更には耐食性を向上させる基本的な合金成分であり、しかも、3.5 mass%以上のSi含有量の場合、又は3 mass%以上のSi含有量かつ0.5 mass%を超えるAl含有量の場合であっても通常の圧延可能な程度の靱性を得るのに極めて有効であり、その観点からは2 mass%以上を要する。Si量やAl量が上記の場合よりも少ないときには、Cr量を更に減じても加工性は確保できるが、Cr含有による加工性向上効果を発揮させ、かつ、鋼の固有抵抗を60μΩcm以上とするためには、1.5 mass%以上のCrが必須である。一方、20mass%を超えると靱性向上の効果が飽和するとともに、コスト上昇を招くので、Crの含有量の範囲は、1.5 mass%以上、20mass%以下、好ましくは、2 mass%以上、10mass%以下、より好ましくは、3 mass%以上、7 mass%以下と規定する。
【0016】
Siは、単独でも鋼の固有抵抗を上昇させるが、更に、Crとの相乗効果によって固有抵抗を大幅に上昇させ、特に1kHz以上の周波数域での鉄損を低減するのに有効な成分である。Si量が2.5 mass%未満ではCrやAlを併用しても磁束密度を余り犠牲にせずに60μΩcm以上の固有抵抗を得るには至らず、このため、良好な高周波磁気特性は得られない。一方、10mass%を超えると、Crを含有させても通常圧延可能なまでの靱性が確保できないので、Siの含有量の範囲は、2.5 mass%以上、10mass%以下、好ましくは、2.5 mass%以上、7 mass%以下、より好ましくは、3.5 mass%以上、5 mass%以下と規定する。
【0017】
C及びNは、無方向性電磁鋼板の靱性を劣化させるために低減する必要がある。しかしながら、この発明においては、所定量のMnを含有させることにより、このC及びNの悪影響を緩和できるため、C及びNの含有を合計量で300 ppm まで許容することができる。すなわち、C及びNが合計量で100 ppm をこえると、熱延板の巻取り工程、その後の冷間(温間)圧延工程における通板が阻害されるが、所定量のMnを含有させることによりC及びNが合計量で100 ppm をこえる場合でも、上記通板が可能になる結果、C及びNの許容値を300 ppm まで緩和できるのである。従って、C及びNを極低化するために要する精錬コストを低減する利点も併せて得ることが可能である。一方、C及びNの上限を300ppmをこえる範囲に設定しても、それに伴う精錬上の効能はとくに存在しないため、上限は300ppmとする。
【0018】
なお、C及びN以外の不純物量は特に限定されないが、例えばSについては50ppm 以下、好ましくは20ppm 以下、より好ましくは10ppm 以下に、Oについては50ppm 以下、好ましくは30ppm 以下、より好ましくは15ppm 以下に、規制することが推奨される。
【0019】
Mn:25(C+N)〜1.0mass %
Mnは、C及びNによる靱性劣化を抑制し、熱延板の靱性を改善するのに重要な元素であり、そのためには、少なくとも(C+N)量の25倍は必要である。一方、Mnは1mass%をこえて含有させても、靱性改善の効果は飽和するのに対して、原料コストが上昇するため、1mass%以下とする。
【0020】
ここで、C+Nが100ppmをこえると靱性が劣化するのは、熱延工程で巻き取られた熱延コイルの冷却中に時効析出する炭窒化物が、破壊の起点となるためと考えられる。そして、Fe−Cr−Si合金に適量のMnを添加することにより、溶質原子の易動度が減少し、時効析出を遅らせる効果が発揮され、その結果、破壊起点となる炭窒化物が減少し、靱性が回復するものと考えられる。
【0021】
Al及びPは、無方向性電磁鋼板に更に添加することにより、一層の電気抵抗の上昇を与えることが知られている。これらの成分の添加により、この発明の趣旨が損なわれることなく、更なる鉄損の低減が達成できる。そこで、この発明では、AlおよびPのいずれか1種又は2種を含有させることができる。とはいえ、これらの成分を大量に添加するとコスト上昇を招くため、添加量はそれぞれAl:5mass%以下及びP:1mass%以下とする。
【0022】
ところで、この発明において、磁気特性および圧延性、また耐食性などを更に向上させる目的で、従来知られている合金成分を追加添加することは、この発明の効果を損なうものではなく、それらの成分を含有させることも可能である。それらの成分の代表例を以下に列記する。
5mass%以下のNiは、耐食性改善成分であるとともに、延性−脆性遷移温度を下げ、加工性を向上させるほか、結晶粒を微細にさせ易いため、渦電流損を抑制し、高周波鉄損の低減にも効果がある。1 mass%以下のCuにもNiと同様の効果がある。5 mass%以下のMoやWは耐食性を改善する。1 mass%以下のLa、VやNb、0.1 mass%以下のTi、YやZr、0.1 mass%以下のBは、靱性を高めて加工性を向上させる効果がある。5 mass%以下のCoは、磁束密度を向上させ、ひいては鉄損低減に効果がある。0.1 mass%以下のSbやSnは、集合組織を改善し、ひいては鉄損低減に効果がある。
【0023】
この発明の成分の鋼板においては、板厚を減じれば高周波鉄損特性改善の効果を促進するが、この減厚の効果を格段に得るためには、板厚を0.4 mm以下とすることが有効である。ただし、0.01mmより薄くするには、製造コストが高くなるばかりか、その鋼板の取扱いに格段の注意が必要で、製品製造のコストも高くなるために、板厚の範囲を0.01mm以上、0.4 mm以下とするのが好ましい。更に好ましくは、0.02〜0.25mmである。
【0024】
優れた高周波鉄損を達成するには固有抵抗を高めることが必要であり、この発明の鋼では、少なくとも60μΩcm以上が望ましい。60μΩcmより固有抵抗が低いと、板厚をいかに薄くしても所望の高周波鉄損は得られないため、この発明では固有抵抗は60μΩcm以上とするのが好ましい。
【0025】
この発明の無方向性電磁鋼板は、以下の方法により製造することができる。
前述した成分組成範囲に調整された合金素材は、連続鋳造又は造塊−分塊圧延によりスラブとすることができる。また、薄スラブ連続鋳造法を用いて、厚みの薄いスラブを製造することもできる。得られたスラブは、加熱保持後に熱間圧延に供するか、また、CC-DR 法(連続鋳造後に直送して圧延する方法)やHCR 法(連続鋳造後に保温を行う方法)のように、連続鋳造時の顕熱を保持したまま加熱することなく熱間圧延に供することができる。
【0026】
その後の熱間圧延は、極力薄く圧延することによって、次工程の冷間圧延ないしは温間圧延における加工性、すなわち圧延性を良好にすることができる。これは、この発明のFe−Cr−Si系合金組成の場合には、熱延板の表面部分の方が中心部分よりも靱性が高く、加工性が優れているとの新知見に基づくものである。そのための熱延板の厚みは3 mm以下、好ましくは2.5 mm以下、より好ましくは2.0mm以下とする。
【0027】
熱間圧延後は、必要に応じて熱延板焼鈍を行う。熱延板焼鈍を行うことにより、圧延された素材の集合組織が改善され、鉄損特性の向上に有利に作用する。
この熱延板焼鈍条件は、例えば、温度700 〜1100℃、時間1 秒〜2 時間で行う。焼鈍温度が高い場合や焼鈍時間が長い場合は、焼鈍効果が飽和して鉄損特性の一層の改善が見込めないこと及びコスト上昇の要因となること、焼鈍温度が低い場合や焼鈍時間が短い場合は鉄損特性の向上効果が小さいことから、これらの作用効果を考慮して上記の範囲内で定めれば良い。
【0028】
熱間圧延後又は必要に応じて行った熱延板焼鈍後は、酸洗もしくはショットブラスト等により熱延スケールを除去した後に、冷間圧延や温間圧延を行う。素材成分と純度の調整により熱延板の靱性が改善されているため、更に温間や冷間で圧延して0.4 mm以下の厚みの薄板とすることができる。一般に、板厚を減じると、とりわけ高周波において渦電流損が有利に抑制され、低鉄損になることは周知である。しかし、従来は高固有抵抗の材料は圧延性が悪く、通常の圧延法によっては0.5 mm程度までしか減厚されていなかった。また、単に厚みを減じてもヒステリシス損失のために、十分な鉄損低減ができないとされてきた。この点、この発明では、素材成分と純度を調整することにより、減厚した場合の高周波鉄損特性の効果を促進し得る。かかる減厚の効果を得るためには、板厚を0.4 mm以下とすることが有効である。もっとも、0.01mmよりも薄くするには、コスト上、工業的に無理があるので、板厚の範囲を0.01〜0.4 mm、好ましくは0.02〜0.25mmと規定する。
【0029】
以上のような冷間圧延や温間圧延は、1回の圧延又は途中焼鈍を含む2回以上の圧延により行う。途中焼鈍を行うことは、圧延材の集合組織の改善を通じて磁気特性の向上に有利に作用する。また、この冷間圧延や温間圧延の作業性を改善することができる。途中焼鈍の条件は、例えば、温度600 〜1100℃で時間1 秒〜10分の範囲とする。焼鈍温度が低い場合や焼鈍時間が短い場合は鉄損特性の向上効果が小さいこと、焼鈍温度が高い場合や焼鈍時間が長い場合は、焼鈍効果が飽和して鉄損特性の一層の改善が見込めないこと及びコスト上昇の要因となることから、これらの作用効果を考慮して上記の範囲内で定めれば良い。
ここで、冷間圧延及び温間圧延は、コストの面からできるだけ低い温度とすることが好ましい。温間圧延を行う場合は、300 ℃程度以下の温度とすることが望ましい。
【0030】
冷間圧延、温間圧延の後は、仕上げ焼鈍を施し、更に絶縁被膜を被成して製品とする。これらの仕上げ焼鈍の条件、絶縁被膜の被成条件に関しては、通常の電磁鋼板や電磁ステンレス鋼板で常用される方法と同様にすればよい。
【0031】
【実施例】
〔実施例1〕
真空溶解炉にて、表1に示す、Fe−4.8 〜5.1 mass%Cr−3.7 〜4.1 mass%Siを基本成分としてC+N量およびMn量を種々に変化させた成分組成になる、合金を溶製し、これらの鋳塊を60mm厚に切り出し、Ar中で1100℃に加熱して30min 保持した後、板厚2.5 mmまで熱間圧延した。得られた熱延板は、熱延コイルでの冷却相当処理として、500 ℃から100 ℃までの温度域を20℃/hの冷却速度で冷却する処理を施した。
【0032】
この熱延板から、厚さ2.0mm 、幅10mm及び長さ55mmで切欠き2mmのVノッチシャルピー試験片を圧延方向と平行に採取し、シャルピー試験を行って、脆性破面率50%となる温度(延性−脆性遷移温度:DBTT)を求めた。
【0033】
ここに、C+N量およびMn量とDBTTとの関係を図1に示すように、C+Nが100ppm以下ではいずれも遷移温度が+130 ℃以下と良好な靱性を示すが、C+Nが100ppmをこえると、Mnを含有しない場合には遷移温度が急激に上昇し、脆化は著しくなることがわかる。しかしながら、MnをC+Nの25倍をこえる範囲で含有させた場合は、C+Nが100ppmをこえていても、良好な靱性が確保されることがわかる。
【0034】
次に、熱延板のスケールを除去したのち、板厚0.10mmまで圧延した際の圧延性を評価した。すなわち、素材を200 ℃に予熱したのち、冷間圧延が可能であったものをランクA、このランクAの処理では割れが生じるが、300 ℃加熱の通常の温間圧延で製造できたものをランクB、そしてランクBの処理によっても割れを生じたものについては、1パス毎に400 ℃の再加熱を行って試験片としたものをランクCとして評価した。
【0035】
その後、820 ℃で10秒間の最終焼鈍を水素・窒素混合雰囲気中で行い、絶縁被膜を付与した。得られた製品をエプスタイン試料に切り出し、JIS C2550(1975年)に準じて磁性を測定した。その結果を、圧延性の評価に併せて表2に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004210773
【0037】
【表2】
Figure 0004210773
【0038】
表2に示したように、Mn≧25(C+N)かつDBTTが100 ℃以下で得られたものは、ランクAの優れた圧延性を示した。一方、200 ℃で予熱した比較例では、300 ℃の温間圧延でも割れが生じ、製造性に劣るものであった。
【0039】
〔実施例2〕
実施例1と同様の工程によって表3に示す種々の成分組成(C+N: 139〜166ppm)になる合金を溶製した。溶製後は実施例1と同様の工程によって鋼板を作製し、評価を行った。熱延板の曲げ回数、薄板の磁気特性、電気抵抗および圧延性の評価条件は実施例1と共通である。その評価結果を表4に示す。
【0040】
【表3】
Figure 0004210773
【0041】
【表4】
Figure 0004210773
【0042】
表4に示した鋼No.17 および18はPを添加した例、鋼No.19 および20はAlを添加した例、そして鋼No.21 および22はPおよびAlを複合添加した例である。いずれの場合も、Mn≧25(C+N)を満足する発明例は、DBTTが低くなり、圧延性も改善されていた。
【0043】
【発明の効果】
この発明によれば、従来のSi量6.5 mass%までのFe−Si合金やFe−Al合金に比べて同等以上の高周波磁気特性を、良好な加工性とともに確保することができ、総合的に極めて優秀な磁性材料の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シャルピー試験の結果をC+N量及びMn量に関して整理した図である。

Claims (2)

  1. Cr:1.5 mass%以上20mass%以下及び
    Si:2.5 mass%以上10mass%以下
    を含み、かつC及びNを合計量で100 ppm 300 ppm 以下に低減し、さらに
    Mn:25(C+N)〜1.0 mass%
    を含有し、残部は鉄及び不可避的不純物からなり、比抵抗が60μΩcm以上であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
  2. 請求項1において、さらに
    Al:5 mass%以下及び
    P:1mass%以下
    のいずれか1種又は2種を含有することを特徴とする無方向性電磁鋼板。
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